JP2019173764A - 防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られた防振装置を提供する。【解決手段】防振装置1Aは、内側部材2と、外筒3と、内側部材2と外筒3との間に配置された弾性体4と、内側部材2と外筒3との間に配置された、弾性体4の少なくとも一部で区画された密閉室Sと、を備えており、密閉室Sに、多孔質体5と液体6とを含むコロイド溶液Lが封入されている。【選択図】図1
Description
本発明は、防振装置に関するものである。
従来の防振装置には、外枠に保持された振動吸収材料として、ゴム弾性体とゲル状物質とを併用したものがある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の防振装置によれば、ゲル状物質の減衰特性を活用し、振動を減衰させることができる。また特許文献1に記載の防振装置によれば、弾性体の弾性特性を活用し、外力の吸収に必要な、当該防振装置のバネレートを確保することができる。このように特許文献1に記載の防振装置によれば、簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立を図ることができる。
しかしながら、特許文献1に記載の防振装置において、ゲル状物質は、入力された荷重に対して反力を生じない。即ち、特許文献1に記載の防振装置では、当該防振装置全体のバネレートは、主として弾性体に依存している。このため、特許文献1に記載の防振装置では、振動減衰とバネレートとの両立に改善の余地があった。
本発明の目的は、簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られた防振装置を提供することである。
本発明に係る防振装置は、内側部材と、外筒と、前記内側部材と前記外筒との間に配置された弾性体と、前記内側部材と前記外筒との間に配置された、前記弾性体の少なくとも一部で区画された密閉室と、を備えており、前記密閉室に、多孔質体と液体とを含むコロイド溶液が封入されている。
本発明に係る防振装置によれば、簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
本発明に係る防振装置によれば、簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
本発明に係る防振装置は、前記密閉室を軸線周りに複数備えており、複数の当該密閉室が互いに独立した密閉室であることが好ましい。
この場合、互いの密閉室をオリフィス等の流路により接続することなく、より簡易な構造になる。
この場合、互いの密閉室をオリフィス等の流路により接続することなく、より簡易な構造になる。
本発明に係る防振装置において、少なくとも、一対の前記密閉室は、当該一対の密閉室が前記軸線を挟んで互いに対向する位置に配置されていることが好ましい。
この場合、2つの密閉室が前記軸線を通る1軸上に配置されることより、当該1軸上の振動において、より効果的に振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
この場合、2つの密閉室が前記軸線を通る1軸上に配置されることより、当該1軸上の振動において、より効果的に振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
本発明に係る防振装置において、複数の前記密閉室は、4つの密閉室であり、当該4つの密閉室は、前記内側部材の周りに配置されていることが好ましい。
この場合、一対の密閉室の一方が前記軸線を通る1軸上に配置され、また、一対の密閉室の他方が他の1軸上に配置されることにより、直交する2軸上の振動において、より効果的に振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
この場合、一対の密閉室の一方が前記軸線を通る1軸上に配置され、また、一対の密閉室の他方が他の1軸上に配置されることにより、直交する2軸上の振動において、より効果的に振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
本発明に係る防振装置において、前記密閉室に封入された前記コロイド溶液は、それぞれ、同一濃度とすることができる。
この場合、各密閉室のコロイド溶液として、同一濃度のコロイド溶液を用いることにより、より簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
この場合、各密閉室のコロイド溶液として、同一濃度のコロイド溶液を用いることにより、より簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
本発明に係る防振装置において、前記密閉室に封入された前記コロイド溶液の少なくとも1つの濃度は、前記密閉室に封入された他の前記コロイド溶液と異なる濃度とすることができる。
この場合、各密閉室のコロイド溶液として、異なる濃度のコロイド溶液を用いることにより、振動入力方向に応じて異なる減衰力及びバネレートを生じさせることができる。
この場合、各密閉室のコロイド溶液として、異なる濃度のコロイド溶液を用いることにより、振動入力方向に応じて異なる減衰力及びバネレートを生じさせることができる。
本発明に係る防振装置は、前記弾性体の膨出を抑制する膨出抑制部材を備えることが好ましい。
この場合、弾性体に生じる膨出を抑えることにより、密閉室の圧力を正圧状態に維持することができる。
この場合、弾性体に生じる膨出を抑えることにより、密閉室の圧力を正圧状態に維持することができる。
本発明に係る防振装置において、前記膨出抑制部材は、振動入力方向に延在していることが好ましい。
この場合、弾性体が振動入力方向に対して直交する方向に膨出することを抑制することができる。
この場合、弾性体が振動入力方向に対して直交する方向に膨出することを抑制することができる。
本発明に係る防振装置において、前記膨出抑制部材は板状部材であり、複数の当該板状部材が積層配置されていることが好ましい。
この場合、内側部材と外筒との、振動入力に対する相対的な動きを確保しつつ、弾性体に生じる膨出をより強固に抑えることにより、密閉室の圧力をより高い正圧状態に維持することができる。
この場合、内側部材と外筒との、振動入力に対する相対的な動きを確保しつつ、弾性体に生じる膨出をより強固に抑えることにより、密閉室の圧力をより高い正圧状態に維持することができる。
本発明に係る防振装置によれば、簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られた流体封入ブッシュを提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る防振装置について説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る防振装置1Aを示す。
本実施形態において、「軸方向」とは、防振装置1Aの中心軸(軸線)Oに沿って当該中心軸Oに対して平行に延在している方向をいう。また本実施形態において、「軸方向断面」とは、防振装置1の中心軸Oを含む平面による断面をいう。また本実施形態において、「軸周り」とは、防振装置1の中心軸Oの周りをいう。また本実施形態において、「軸直方向」とは、防振装置1Aの中心軸Oに対して直交する方向をいう。また本実施形態において、「軸直方向断面」とは、防振装置1Aの中心軸Oに対して直交する平面による断面をいう。また、以下の説明において、実質的に同一の事項は、同一の符号を使用することによって、その説明を省略する。
本実施形態において、防振装置1Aは、車両用のサスペンションブッシュである。前記サスペンションブッシュとしては、例えば、コンプライアンスブッシュが挙げられる。
本実施形態において、防振装置1Aは、内筒(内側部材)2を備えている。本実施形態において、内筒2は、振動発生部又は振動受部の一方に結合している。また本実施形態において、内筒2は、防振装置1Aの中心軸Oと同軸に配置されている。
また防振装置1Aは、外筒3を備えている。本実施形態において、外筒3は、振動発生部又は振動受部の他方に結合している。本実施形態では、外筒3は、後述の弾性体4の外側に配置されている。また本実施形態において、外筒3は、防振装置1Aの中心軸Oと同軸に配置されている。
更に防振装置1Aは、内筒2と外筒3との間に配置された弾性体4を備えている。本実施形態では、弾性体4は、2つの脚状部材である。本実施形態では、弾性体4は、内筒2と外筒3とに結合されている。本実施形態では、弾性体4は、ゴムからなる。本実施形態では、弾性体4は、内筒2と外筒3とに加硫接着されている。
また防振装置1Aは、内筒2と外筒3との間に配置された密閉室Sを備えている。密閉室Sは、弾性体4の少なくとも一部で区画されている。本実施形態では、密閉室Sは、内筒2、外筒3及び弾性体4で区画されている。
本実施形態では、防振装置1Aは、密閉室Sを中心軸O周りに複数備えている。本実施形態では、防振装置1Aは、2つの密閉室S1,S2を備えている。本実施形態では、密閉室S1,S2は、互いに独立した密閉室である。
本発明に従えば、密閉室Sが複数の場合、少なくとも、一対の密閉室Sは、当該一対の密閉室Sが中心軸Oを挟んで対向する位置に互いに配置することができる。本実施形態では、2つの密閉室S1,S2が中心軸Oを挟んで対向する位置に配置されている。
密閉室Sには、コロイド溶液Lが封入されている。コロイド溶液Lは、多孔質体5と液体6とを含んでいる。コロイド溶液Lは、多孔質体5と液体6とを分散混合させたコロイド溶液である。
図2は、図1の領域Aを示す。図2には、1つの多孔質体5が模式的に示されている。図2に示すように、多孔質体5は、複数の孔5hを有している。図2中では、6つの孔5hのうち、例示的に1つの孔5hに対して符号5hを付している。本実施形態では、多孔質体5は、少なくとも、その表面5fに撥水性を有している。前記撥水性は、例えば、多孔質体5の表面5fを撥水層とすることで実現することができる。なお、本実施形態において、「撥水性」という用語は、水を対象にする性能に限定されることなく、液体全般を対称にする性能を含む広い意味で用いられている。
また多孔質体5としては、略中央に中空部(図示省略)が形成された略球形粒状物が挙げられる。前記球形粒状物では、複数の孔5hはそれぞれ細孔である。複数の孔5hは前記中空部から放射状に延びており、当該孔5hの一端は中空部に通じており、当該孔5hの他端は外界に開口させている。こうした多孔質体5の具体例としては、疎水化多孔質シリカゲル、アエロゲル、セラミックス、多孔質ガラス、ゼオライト、多孔質PTFE、多孔質蝋、多孔質ポリスチレン、アルミナ、カーボン(黒鉛、木炭、フラーレンおよびカーボンナノチューブを含む。)等からなる略球形粒状物が挙げられる。また液体6の具体例としては、水が挙げられる。また水以外の液体の他の例としては、水と不凍剤との混合液が挙げられる。こうした液体の具体例としては、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等から選ばれた少なくとも一種以上を、多くとも67容量%混入させた水が挙げられる。ただし、多孔質体5は、疎水化多孔質シリカゲルに限定されるものではなく、また液体6も、水に限定されるものではない。
本実施形態では、密閉室S内の圧力は、初期状態において、正圧状態である。ここで、初期状態とは、防振装置1Aが振動系に設置されていない状態をいう。本実施形態では、図2に示すように、初期状態において、液体6は、孔5hの途中まで浸入した状態になっている。本実施形態では、孔5hに浸入した液体6の液面6fは、孔5hとの間に空間Cを形成している。即ち、本実施形態において、初期状態において正圧状態にあるとは、液体6が孔5hの途中まで浸入した状態になっていることを意味する。
液体6の液面6fは、密閉室Sの圧力が増加すると、当該圧力の増加に従って空間Cを減少させる方向(孔5hの奥側に向かう方向)に移動する。このため、密閉室S内の圧力が増加すると、コロイド溶液Lの体積は減少する。反対に、液体6の液面6fは、密閉室Sの圧力が減少すると、当該圧力の減少に従って空間Cを増加させる方向(孔5hの入口側に向かう方向)に移動する。このため、密閉室S内の圧力が減少すると、コロイド溶液Lの容積は増加する。すなわち、本実施形態において、密閉室S内に封入されたコロイド溶液Lは、体積弾性を有する液体として振舞うことができる。
なお、本実施形態では、孔5hは、止まり穴(めくら穴)であるが、貫通孔であってもよい。また本実施形態では、孔5hは、それぞれ、独立しているが、互いに連通していてもよい。
次に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る防振装置1Aの動作について説明をする。
本実施形態において、防振装置1Aの内筒2を固定し、外筒3に対して軸直方向に荷重Fが入力されると、荷重Fが入力された側の外筒3の部分は、弾性体4の弾性力に抗して、内筒2に向かって軸直方向に変位する。これにより、密閉室S1(弾性体4が軸直方向に押し潰される側の密閉室)の圧力は増加する。このとき、図2に示すように、密閉室S1のコロイド溶液Lでは、密閉室S1の圧力上昇に伴い、液体6が多孔質体5の孔5hの奥側に向かって流れる。これにより、密閉室S1では、コロイド溶液Lの体積は増加する。
これに対し、密閉室S1と中心軸Oを挟んで反対側の外筒3の部分は、弾性体4の弾性力に抗して、内筒2から遠ざかるように軸直方向に変位する。これにより、密閉室S2(弾性体4が引き延ばされる側の密閉室)の圧力は減少する。このとき、図2に示すように、密閉室S2のコロイド溶液Lでは、液体6の圧力減少に伴い、液体6が多孔質体5の孔5hの開口側に向かって流れる。これにより、密閉室S2では、コロイド溶液Lの体積は減少する。
従って、本実施形態に係る防振装置1Aによれば、振動(荷重F)が入力されると、2つの密閉室S1及びS2のそれぞれにおいて、コロイド溶液Lに含まれる液体6が、その表面張力の作用の下、多孔質体5の孔5hに対して流入・流出を繰り返す。これにより、本実施形態に係る防振装置1Aによれば、コロイド溶液Lが封入された2つの密閉室S1及びS2がそれぞれ独立して、外部から加えられたエネルギを散逸させることにより、荷重Fによって生じる振動等を減衰させることができる。即ち、本実施形態に係る防振装置1Aによれば、コロイド溶液Lが封入された2つの密閉室S1及びS2がそれぞれ独立して、減衰力を発生させる構造となる。
本実施形態によれば、弾性体4の少なくとも一部で区画された密閉室Sに、多孔質体5と液体6とを含むコロイド溶液Lを封入しただけの簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立を図ることができる。従って、本実施形態に係る防振装置1Aによれば、簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
一方、図3には、従来の防振装置30を模式的に示す。防振装置30は、密閉室SAと密閉室SBとをオリフィス31で連通させたものである。密閉室S1及びS2とオリフィス31には、液体32が封入されている。
本実施形態に係る防振装置1Aと同様、防振装置30の内筒2を固定し、外筒3に対して軸直方向に荷重Fが入力されると、荷重Fが入力された側の外筒3の部分は、弾性体4の弾性力に抗して、内筒2に向かって軸直方向に変位する。これにより、密閉室SA(弾性体4が軸直方向に押し潰される側の密閉室)の圧力は増加する。このとき、密閉室SAの液体32は、オリフィス31を通過して密閉室SB(弾性体4が引き延ばされる側の密閉室)に流れる。反対に、外筒3が内筒2に対して軸直方向に荷重Fと反対側に移動すると、密閉室SBの液体32は、オリフィス31を通過して密閉室SAに流れる。このように、従来の防振装置30は、液体32がオリフィス31を流れることにより、荷重Fに対する内筒2からの反力が変化する。これにより、従来の防振装置30は、オリフィス31内の液体32の重さによる共振と、液体32がオリフィス31を通過する際に生じる粘性減衰とを活用し、振動を減衰させることができる。
これに対し、本実施形態に係る防振装置1Aは、密閉室Sを中心軸O周りに複数備えており、複数の当該密閉室Sが互いに独立した密閉室である。この場合、互いの密閉室Sをオリフィス31等の流路により接続することなく、より簡易な構造になる。
また本発明によれば、少なくとも、一対の密閉室Sは、当該一対の密閉室Sが中心軸Oを挟んで互いに対向する位置に配置されていることが好ましい。本実施形態では、2つの密閉室S1及びS2は、中心軸Oを挟んで対向する位置に配置されている。この場合、図1に示すように、2つの密閉室S1及びS2が中心軸Oを通るY軸(1軸)上に配置されることより、当該Y軸上の振動において、より効果的に振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
また本発明によれば、複数の密閉室Sは、4つの密閉室Sであり、当該4つの密閉室Sは、内筒2の周りに90度の間隔で配置されていることが好ましい。
図4には、本発明の第2実施形態に係る防振装置1Bを示す。図4に示すように、本実施形態に係る防振装置1Bでは、Y軸に配置された一対の密閉室S1及びS2に加え、中心軸O及びY軸と直交するX軸に、他の、一対の密閉室S3及びS4が配置されている。この場合、一方の、一対の密閉室S1及びS2が軸線を通るY軸(1軸)上に配置され、また、他方の、一対の密閉室S3及びS4がX軸(他の1軸)上に配置されることにより、直交するX軸及びY軸(2軸)上の振動において、より効果的に振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
本発明によれば、防振装置1A及び1Bのそれぞれにおいて、各密閉室Sに封入されたコロイド溶液Lは、それぞれ、同一濃度とすることができる。この場合、各密閉室Sのコロイド溶液Lとして、同一濃度のコロイド溶液Lを用いることにより、より簡易な構造で、振動減衰とバネレートとの両立が図られる。
また本発明によれば、防振装置1A及び1Bのそれぞれにおいて、各密閉室Sに封入されたコロイド溶液Lの少なくとも1つの濃度は、密閉室Sに封入された他のコロイド溶液Lと異なる濃度とすることができる。この場合、各密閉室Sのコロイド溶液Lとして、異なる濃度のコロイド溶液Lを用いることにより、振動入力方向に応じて異なる減衰力及びバネレートを生じさせることができる。また、この場合、防振装置1A及び1Bの構成(例えば、密閉室Sの形状、密閉室Sのレイアウト)及び外部環境(例えば、振動入力方向・防振装置1A及び1Bの配置レイアウト)に合わせた適当な、減衰特性とバネレートとを得ることができる。
ところで、上述の各実施形態において、密閉室S内の圧力は、初期状態において、常に正圧状態であることが求められる。これは、図2を参照して説明したように、コロイド溶液Lが体積弾性を有する液体として機能するためには、液体6を孔5hの途中まで浸入した状態に維持することが求められるためである。図2を参照すると、密閉室S内の圧力が低い場合、孔5hに浸入した液体6の液面6fは、初期状態において、破線で示すように、孔5hの入口側により近い位置となる。この場合、密閉室S内の圧力が減少したときに、十分な減衰性能を発揮できない。従って、上述の各実施形態では、密閉室S内のコロイド溶液Lを高い圧力で封入しておくことが好ましい。
しかしながら、上述の各実施形態において、密閉室S内のコロイド溶液Lを高い圧力で封入した場合、弾性体4にも高い圧力が加わることになる。この場合、密閉室S内の圧力と弾性体4との関係によっては、当該弾性体4が軸方向に膨出することが懸念される。弾性体4が膨出した場合、密閉室Sの体積が増加することになる。この場合、結果として、密閉室S内の圧力が低下し、十分な減衰性能を発揮できなくなることが考えられる。
そこで、本発明に係る防振装置によれば、弾性体4の膨出を抑制する膨出抑制部材7を備えることが好ましい。
図5には、本発明の第3実施形態に係る防振装置1Cを示す。
図5に示すように、本実施形態に係る防振装置1Cでは、弾性体4の軸方向端にそれぞれ、弾性体4の膨出を抑制する膨出抑制部材7を備えている。本実施形態では、膨出抑制部材7は、弾性体4と一体に構成されている。また本実施形態では、膨出抑制部材7は、環状の板状部材で構成されている。これにより、本実施形態において、膨出抑制部材7は、図5に示すように、内筒2を貫通した状態で、弾性体4と共に、内筒2と外筒3との間に配置される。この場合、膨出抑制部材7は、密閉室S内に高い圧力のコロイド溶液Lを封入したときに、弾性体4に生じる膨出を抑えることができる。これにより、本実施形態に係る防振装置1Cによれば、密閉室Sの圧力を、液体6が孔5hの途中まで浸入した状態となる正圧状態に維持することができる。
本実施形態に係る防振装置1Cにおいて、膨出抑制部材7は、弾性体4の表面又は内部に設けることができる。また膨出抑制部材7は、弾性体4よりも高剛性の剛性体を用いることができる。こうした高剛性の剛性体としては、例えば、金属、樹脂等を材料とした剛性体を採用することができる。
本実施形態に係る防振装置1Cにおいて、膨出抑制部材7は、振動入力方向に延在していることが好ましい。本実施形態では、膨出抑制部材7は、軸直方向に延在している。この場合、弾性体4が振動入力方向に対して直交する方向に膨出することを抑制することができる。また、この場合、図1にて説明のように、外筒3に対して軸直方向に荷重Fが入力されても、内筒2と外筒3との、振動入力(荷重Fの入力)に対する相対的な動きを確保することができる。
特に、本実施形態に係る防振装置1Cにおいて、膨出抑制部材7は板状部材であり、複数の当該板状部材が積層配置されている。この場合、内筒2と外筒3との、振動入力に対する相対的な動きを確保しつつ、弾性体4に生じる膨出をより強固に抑えることにより、密閉室Sの圧力をより高い正圧状態に維持することができる。
本実施形態では、弾性体4の軸方向端側にそれぞれ、3つの膨出抑制部材7a,7b,7cが積層に配置されている。本実施形態では、複数の膨出抑制部材7は、それぞれ、軸方向から見て互いに重なり合っている部分を有している。具体的には、軸方向両側の膨出抑制部材7a及び7cは径方向の一部が膨出抑制部材7cと重なり、中央の部材である膨出抑制部材7cは、膨出抑制部材7a及び7bに対して全体が重なっている。また本実施形態では、複数の膨出抑制部材7のうち、1つの膨出抑制部材7の径方向長さは、内筒2から外筒3までの径方向長さよりも短い。具体的には、軸方向の両側の膨出抑制部材7a及び7cの長さは、膨出抑制部材7cよりも長く、中央の部材である膨出抑制部材7cの長さは、膨出抑制部材7a及び7cよりも短い。また本実施形態では、膨出抑制部材7aは、弾性体4の軸方向端の表面に設けられている。また本実施形態では、膨出抑制部材7b,7cはそれぞれ、弾性体4の内部に設けられている。特に、本実施形態では、膨出抑制部材7cは、最も軸方向中央に近い位置に位置し、当該膨出抑制部材7cの一部が、シール部材8を介して外筒3の内周面に固定されている。膨出抑制部材7の積層構造は、少なくとも2つ以上の膨出抑制部材7によって構成することができる。
図6には、図1の防振装置1Aにおいて、密閉室Sの圧力をより高い正圧状態にしたときに、弾性体4に生じ得る変形状態を軸方向断面で示す。なお、この例では、防振装置1Aは、中間筒9を備えており、当該中間筒9は、シール部材8を介して外筒3に固定されている。膨出抑制部材7を設けない防振装置1Aでは、密閉室Sの圧力をより高い正圧状態にした場合、弾性体4が軸方向に膨出し、密閉室Sの圧力が低下する。この場合、密閉室Sにコロイド溶液を封入した図1の防振装置1Aであっても、十分な減衰性能を発揮できない。
これに対し、図5に示すように、本実施形態に係る防振装置1Cでは、弾性体4の外形形状は、密閉室Sの圧力をより高い正圧状態であっても、膨出抑制部材7によって保持されている。従って、本実施形態に係る防振装置1Cによれば、密閉室Sの圧力をより高い正圧状態であっても、十分な減衰性能を発揮させることができる。また3つの膨出抑制部材7a,7b,7cは、振動入力方向に延在し、互いに軸方向に間隔を置いて積層配置されている。従って、本実施形態に係る防振装置1Cによれば、内筒2と外筒3との、振動入力に対する相対的な動きを確保することができる。
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。上述した各実施形態に採用された様々な構成は、相互に適宜、置き換えることができる。
1A:防振装置(第1実施形態), 1B:防振装置(第2実施形態), 1C:防振装置(第3実施形態), 2:内筒(内側部材), 3:外筒, 4:弾性体, 5:多孔質体, 6:液体, 7:膨出抑制部材, 7a〜7c:膨出抑制部材, 8:シール部材, 30:従来の防振装置, 31:オリフィス, 32:液体, L:コロイド溶液, S:密閉室, S1〜S4:密閉室, O:中心軸(軸線)
Claims (9)
- 内側部材と、
外筒と、
前記内側部材と前記外筒との間に配置された弾性体と、
前記内側部材と前記外筒との間に配置された、前記弾性体の少なくとも一部で区画された密閉室と、を備えており、
前記密閉室に、多孔質体と液体とを含むコロイド溶液が封入されている、防振装置。 - 前記密閉室を軸線周りに複数備えており、複数の当該密閉室が互いに独立した密閉室である、請求項1に記載の防振装置。
- 少なくとも、一対の前記密閉室は、当該一対の密閉室が前記軸線を挟んで互いに対向する位置に配置されている、請求項2に記載の防振装置。
- 複数の前記密閉室は、4つの密閉室であり、当該4つの密閉室は、前記内側部材の周りに配置されている、請求項3に記載の防振装置。
- 前記密閉室に封入された前記コロイド溶液は、それぞれ、同一濃度である、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の防振装置。
- 前記密閉室に封入された前記コロイド溶液の少なくとも1つの濃度は、前記密閉室に封入された他の前記コロイド溶液と異なる濃度である、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の防振装置。
- 前記弾性体の膨出を抑制する膨出抑制部材を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の防振装置。
- 前記膨出抑制部材は、振動入力方向に延在している、請求項7に記載の防振装置。
- 前記膨出抑制部材は板状部材であり、複数の当該板状部材が積層配置されている請求項7又は8に記載の防振装置。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
CN113007018A (zh) * | 2021-03-12 | 2021-06-22 | 北京金风科创风电设备有限公司 | 限位装置、止回系统、风力发电机组及控制方法 |
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-
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- 2018-03-26 JP JP2018058873A patent/JP2019173764A/ja active Pending
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KR102270938B1 (ko) * | 2020-05-27 | 2021-06-30 | 양하정 | 면진장치 |
CN113007018A (zh) * | 2021-03-12 | 2021-06-22 | 北京金风科创风电设备有限公司 | 限位装置、止回系统、风力发电机组及控制方法 |
CN113007018B (zh) * | 2021-03-12 | 2021-11-23 | 北京金风科创风电设备有限公司 | 限位装置、止回系统、风力发电机组及控制方法 |
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