JP2019173691A - ハイブリッド車両の制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料中のアルコール濃度が確定していないような特殊状況下においても失火判定を行うことのできるハイブリッドシステムの制御装置を提供することを目的とする。【解決手段】失火の兆候があると判定された場合、エンジンの作動状態が負荷運転に該当するか否かが判定される(S14)。作動状態が負荷運転に該当すると判定された場合、充電要求が出される(S16)。作動状態が負荷運転に該当しないと判定された場合、MG押し当てトルクの増加指令が出される(S18)。ステップS16またはS18に続いて、アルコール濃度が未確定であるか否かが判定される(S20)。アルコール濃度が未確定の場合、暫定的な失火判定値が設定される(S22)。アルコール濃度情報が確定している場合、通常の失火判定値が設定される(S24)。【選択図】図2

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御システムに関する。
特開2010−096034号公報には、アルコールを混合した燃料を使用可能なエンジンの失火判定を行う装置が開示されている。この判定装置は、燃料中のアルコール濃度に応じて設定した失火判定値を用い、失火判定を行う。失火判定値は、燃料中のアルコール濃度と、失火判定値との関係を規定したテーブルを照合することにより設定される。
特開2010−096034号公報
しかしながら、例えば給油が行われた直後は燃料中のアルコール濃度が均一でなく、アルコール濃度の確定までにある程度の時間を要する。そのため、上記判定装置では、このような特殊な状況下において失火判定を開始できない可能性が高い。
また、上記判定装置は、エンジンを車両の駆動源とするシステムに適用されるものであり、エンジンと電動機を駆動源とするハイブリッド車両にそのまま適用することはできない。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、燃料中のアルコール濃度が確定していないような特殊状況下においても失火判定を行うことのできるハイブリッド車両の制御システムを提供することを目的とする。
本発明は、上述した課題の少なくとも1つを解決するためのハイブリッド車両の制御システムであり、次の特徴を有する。
前記ハイブリッド車両は、アルコールを混合した燃料を使用可能な内燃機関と、電動機と、を駆動源とする。
前記制御システムは、アルコール濃度取得手段と、電子制御ユニットと、を備える。
前記アルコール濃度取得手段は、燃料中のアルコール濃度を取得するように構成されている。
前記電子制御ユニットは、前記内燃機関の失火判定処理を行うように構成されている。
前記電子制御ユニットは、失火兆候判定部と、判定値設定部と、空気量調整部と、を備える。
前記失火兆候判定部は、前記アルコール濃度が未確定である場合、または、前記内燃機関の潤滑油が燃料により希釈されている場合、失火の兆候の有無を判定する。
前記判定値設定部は、前記兆候があると判定された場合、前記失火判定処理に使用する失火判定値を設定する。
前記空気量調整部は、前記兆候があると判定された場合、前記内燃機関および前記電動機の作動状態に応じて前記内燃機関の空気量を増加させる空気量増量指令を出す。
前記判定値設定部は、前記アルコール濃度が確定し、且つ、前記潤滑油が希釈されている場合、前記アルコール濃度に基づいて前記失火判定値を設定する。
前記判定値設定部は、前記アルコール濃度が未確定の場合、前記失火判定値を暫定的な判定値に設定する。
前記判定値設定部は、前記内燃機関の目標空燃比と実空燃比の乖離量が所定量以上の場合、前記失火判定値または前記暫定的な判定値を、前記乖離量に応じて増加させる。
本発明によれば、アルコール濃度が未確定である場合、または、内燃機関の潤滑油が燃料により希釈されている場合、失火の兆候の有無が判定される。つまり、失火の判定が困難な状況下において、失火の兆候の有無が判定される。そして、失火の兆候があると判定された場合、失火判定値が設定される。この失火判定値は、アルコール濃度の確定状況に応じて設定される。アルコール濃度が確定し、且つ、潤滑油が希釈されている場合は、当該アルコール濃度に基づいて失火判定値が設定される。アルコール濃度が確定していない場合は、暫定的な失火判定値が設定される。よって、本発明によれば、特殊状況下においても失火判定を行うことができる。
また、本発明によれば、失火の兆候があると判定された場合、空気量増量指令が出される。空気量増量指令が出されることで、内燃機関の空気量が増加する。内燃機関の空気量が増加すれば、失火時と燃焼時とでトルク差が顕著になる。そのため、失火判定の精度が向上する。また、空気量増量指令は、内燃機関および電動機の作動状態に応じた指令である。よって、本発明によれば、ハイブリッド車両における失火判定の精度を向上できる。
また、本発明によれば、目標空燃比と実空燃比の乖離量が所定量以上の場合、失火判定値または暫定的な判定値が当該乖離量に応じて増加される。失火判定値または暫定的な判定値が増加されれば、アルコール濃度が確定していない間の失火判定精度が担保される。
本発明の実施の形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。 条件調整処理の流れを説明するフローチャートである。 負荷運転中の条件調整処理の流れを説明するタイムチャートである。 自立運転中の条件調整処理の流れを説明するタイムチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
1.システム構成の説明
図1は、本発明の実施の形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムは、内燃機関(以下、単に「エンジン」と称す。)と、MG(Motor Generator)と、を走行用の動力源とするハイブリッド車両を制御するシステムである。エンジンは、アルコールを混合した燃料を使用可能に構成されている。つまり、ハイブリッド車両は、FFV(Flexible Fuel Vehicle)でもある。MGは、エンジンを駆動する電動機としての機能と、バッテリに充電するための発電機としての機能と、を有している。
図1に示すシステムは、アルコール濃度センサ10と、A/Fセンサ20と、クランク角センサ30と、ECU(Electric Control Unit)40と、エンジンECU50と、MGECU60と、を備えている。
アルコール濃度センサ10は、燃料の供給経路に設けられる静電容量型のセンサである。アルコール濃度センサ10は、誘電率の変化に基づいて、燃料中のアルコール濃度を測定する。アルコール濃度センサ10は、測定したアルコール濃度の情報をECU40に送る。
A/Fセンサ20は、エンジンの排気通路に設けられる。A/Fセンサ20は、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能なリニア検出型のセンサである。A/Fセンサ20は、検出した空燃比の情報をECU40に送る。
クランク角センサ30は、エンジンのクランク軸の回転角度を検出するセンサである。クランク角センサ30は、検出した回転角度の情報をECU40に送る。
ECU40は、プロセッサ、メモリ、および、入出力インタフェースを備えるマイクロコンピュータである。ECU40は、入出力インタフェースを介して各種情報を受け取る。ECU40は、受け取った各種情報に基づいて、エンジンの失火判定処理を行う。
ECU40は、ハイブリッド車両が停止状態にある場合に、失火判定処理を行う。失火判定処理を行う機能として、ECU40は、アルコール濃度推定部41と、失火兆候判定部42と、空気量調整部43と、判定値設定部44と、失火判定部45と、を備えている。ECU40の構成の詳細については後述する。
エンジンECU50は、エンジンのスロットル開度やシフト段等を調整する。MGECU60は、MGやバッテリを統括的に管理する。エンジンECU50およびMGECU60は、プロセッサ、メモリ、および、入出力インタフェースを備えるマイクロコンピュータである。エンジンECU50およびMGECU60の機能は、ECU40に組み込まれていてもよい。
2.ECU40の構成の説明
アルコール濃度推定部41は、A/Fセンサ20からの空燃比情報に基づいて燃料中のアルコール濃度を推定する。アルコール濃度推定部41は、例えば、空燃比情報に基づいて設定された空燃比フィードバック補正係数の平均値と、所定の基準値との差に基づいて、燃料中のアルコール濃度を推定する。なお、空燃比フィードバック補正係数の計算手法は公知のものが適用できる。
失火兆候判定部42は、アルコール濃度情報が入力されない場合、失火の兆候を判定する。アルコール濃度情報は、アルコール濃度センサ10が測定したアルコール濃度の情報、または、アルコール濃度推定部41が推定したアルコール濃度の情報である。失火の兆候の判定は、失火兆候判定値Aを用いて行われる。失火兆候判定値Aは、後述する「暫定的な失火判定値」のβ(固定値)%の値に設定される。
失火兆候判定部42は、エンジンの回転変動が失火兆候判定値Aを上回った場合、失火の兆候があると判定する。回転変動は、クランク軸が所定の回転角度(例えば、30°)だけ回転するのに要する時間のばらつき(標準偏差)として定義される。回転変動は、クランク角センサ30からの回転角情報に基づいて求められる。失火兆候判定部42は、失火の兆候があると判定した場合、失火兆候フラグをONにする。
失火兆候判定部42は、また、アルコール濃度情報が入力される場合であっても、エンジンの潤滑に用いられるオイルが燃料により希釈されているときには、失火の兆候を判定する。失火の兆候の判定は、失火兆候判定値Bを用いて行われる。失火兆候判定値Bは、後述する「通常の失火判定値」のβ(固定値)%の値に設定される。失火兆候判定部42は、回転変動が失火兆候判定値Bを上回った場合、失火の兆候があると判定し、失火兆候フラグをONにする。
オイルが燃料により希釈されているか否かは、オイル希釈フラグに基づいて判定される。オイル希釈フラグは、オイル希釈度が希釈判定値γ(固定値)を上回る場合にONとされ、オイル希釈度が希釈判定値γ以下の場合にOFFとされる。オイル希釈度は、例えば、単位時間当たり燃料希釈量と、単位時間当たりの燃料蒸発量とを考慮して構築したモデルを用いて算出される。なお、このようなオイル希釈度の算出手法は公知のものが適用できる。
空気量調整部43は、失火兆候フラグがONの場合、失火判定を行う際のエンジンの空気量を、エンジンの作動状態(より正確には、エンジンおよびMGの作動状態)に応じて調整する。ハイブリッド車両が停止状態にあるときのエンジンの作動状態には、バッテリの充電のための負荷運転と、アイドル運転のための自立運転(無負荷運転)と、が含まれる。負荷運転中は、エンジンからトルクが出力されてMGによる発電が行われる。これに対し、自立運転中は、エンジンは暖房や暖機のために作動し、MGからは押し当てトルクが出力される。このMG押し当てトルクは、エンジンの脈動などで発生するプラネタリギアなどの機械的機構の歯打ち音を防止するために出力されるものである。
空気量調整部43は、負荷運転中は充電要求(PCHG要求)を出す。充電要求が出されると、充電要求に応じたエンジン出力が、現在のエンジン出力に上乗せされる。そのため、エンジン出力が増加し、空気量が増加する。空気量調整部43は、自立運転中はMG押し当てトルクの増加指令を出す。MG押し当てトルクの増加指令が出されると、空気量が増加する。
空気量調整部43が充電要求またはMG押し当てトルクの増加指令を出すと、空気量が増加する。よって、充電要求またはMG押し当てトルクの増加指令は、空気量を増やす「空気量増量指令」と総称することができる。
判定値設定部44は、失火判定値を設定する。失火判定値は、失火率の算出に用いられる回転変動の閾値である。失火率は、失火判定の最中に回転変動が失火判定値を超えた回数を、失火判定の最中にエンジンが回転した回数で除した値として定義される。なお、回転変動がクランク角センサ30からの回転角情報に基づいて求められることについては、既に述べたとおりである。
判定値設定部44は、失火判定値の設定を、燃料中のアルコール濃度と、失火判定値との対応関係を規定したテーブル(以下、「判定値テーブル」ともいう。)と、の照合を通じて行う。判定値テーブルは、ECU40のメモリに格納されている。以下、説明の便宜上、判定値テーブルの照合によって求められた失火判定値を「通常の失火判定値」ともいう。
判定値設定部44は、また、失火判定値の設定に際し、アルコール濃度情報が確定しているか否かを判定する。例えば、給油が行われた直後は燃料中のアルコール濃度が均一でなく、アルコール濃度の確定までにある程度の時間を要する。アルコール濃度情報が確定していないと判定した場合、判定値設定部44は、暫定的な失火判定値(固定値)を設定する。暫定的な失火判定値は、判定値テーブル上のアルコール濃度の最高値に対応する値、判定値テーブル上で最も小さい値などである。
判定値設定部44は、更に、失火判定値の設定に際し、目標A/Fと実A/Fの乖離量が乖離判定値α以上であるか否かを判定する。目標A/Fは空燃比の目標値であり、エンジンの運転状態(例えば、エンジンの回転速度と負荷)に基づいて別途求められる。実A/Fは、A/Fセンサ20からの空燃比情報に基づいて求められる。
判定値設定部44は、目標A/Fと実A/Fの乖離量が乖離判定値α以上の場合、通常または暫定的な失火判定値を変更する。失火判定値の補正は、乖離量に応じた補正係数(>1.0)を失火判定値に乗算することによって行われる。判定値設定部44は、乖離量と補正係数の対応関係を規定したテーブル(以下、「補正係数テーブル」ともいう。)の照合を通じて補正係数を設定する。補正係数テーブルは、判定値テーブルと同様、ECU40のメモリに格納されている。
上述した失火兆候判定部42、空気量調整部43および判定値設定部44が行う処理は、次に説明する失火判定部45が行う失火判定の条件を調整する処理ということができる。以下、失火兆候判定部42、空気量調整部43および判定値設定部44が行う一連の処理を、「条件調整処理」ともいう。
失火判定部45は、判定値設定部44が設定した失火判定値(すなわち、通常の失火判定値、暫定的な失火判定値、または、これらの補正値)を用いて、失火判定を行う。失火判定は、エンジンの所定回転毎(例えば、200回転毎)に行われる。失火判定部45は、判定値設定部44が設定した失火判定値を回転変動が超えた回数に基づいて失火率を算出する。そして、失火率が失火率判定値δ(固定値)を上回る場合、失火判定部45は、失火発生フラグをONにする。なお、失火発生フラグがONとされると、MIL(Malfunction Indicator Light)の点灯が行われる。
3.条件調整処理の説明
図2は、条件調整処理の流れを説明するフローチャートである。図2に示す条件調整処理は、所定の制御周期で繰り返し行われる。
条件調整処理では、先ず、アルコール濃度が未確定であるか否か、および、オイル希釈フラグがONであるか否かが判定される(ステップS10)。アルコール濃度が未確定であるか否かは、アルコール濃度情報の入力の有無に基づいて判定される。アルコール濃度情報の入力が無い場合、アルコール濃度が未確定であると判定される。
ステップS10の判定結果が肯定的な場合、つまり、アルコール濃度が未確定であると判定され、または、オイル希釈フラグがONであると判定された場合、失火の兆候があるか否かが判定される(ステップS12)。ステップS10の判定結果が肯定的な場合、上述した失火兆候判定値AおよびBの少なくとも一方が求められる。失火の兆候があるか否かは、失火兆候判定値AまたはBと、回転変動との比較に基づいて判定される。失火の兆候があると判定された場合、失火兆候フラグがONとされる。
ステップS12の判定結果が肯定的な場合、つまり、失火の兆候があると判定された場合、エンジンの作動状態が負荷運転に該当するか否かが判定される(ステップS14)。そして、作動状態が負荷運転に該当すると判定された場合、充電要求が出される(ステップS16)。一方、作動状態が負荷運転に該当しないと判定された場合、つまり、作動状態が自立運転に該当すると判定された場合、MG押し当てトルクの増加指令が出される(ステップS18)。
ステップS16またはS18に続いて、アルコール濃度が未確定であるか否かが判定される(ステップS20)。アルコール濃度が未確定であるか否かは、アルコール濃度情報の入力の有無に基づいて判定される。アルコール濃度情報の入力が無い場合、暫定的な失火判定値が設定される(ステップS22)。一方、アルコール濃度情報の入力が有る場合、通常の失火判定値が設定される(ステップS24)。
ステップS22またはS24に続いて、目標A/Fと実A/Fの乖離量が乖離判定値α未満か否かが判定される(ステップS26)。乖離量が乖離判定値α未満の場合は、条件調整処理が終了する。つまり、ステップS22で設定された暫定的な失火判定値、または、ステップS24で設定された通常の失火判定値がそのまま失火判定に供される。一方、乖離量が乖離判定値α以上の場合、乖離量に応じて失火判定値が補正される(ステップS28)。つまり、暫定的な失火判定値、または、通常の失火判定値に、乖離量に応じた補正係数が乗算される。
4.条件調整処理の具体例
次に、図3乃至図4を参照して、条件調整処理を詳細に説明する。なお、図3乃至図4では、アルコール濃度情報が時刻t4まで入力されない場合の例を説明する。アルコール濃度情報が入力される場合であって、エンジンの潤滑に用いられるオイルが燃料により希釈されているときの例については、時刻t4を削除して図中の全期間を「アルコール濃度確定」と読み替え、また、図中の「失火兆候判定値A」を「失火兆候判定値B」に読み替えればよい。
4.1 負荷運転中の条件調整処理
図3は、負荷運転中の条件調整処理の流れを説明するタイムチャートである。図3に示す例では、回転変動が上昇して失火兆候判定値Aを上回った時刻t1において、失火兆候フラグがOFFからONに切り替えられている。また、時刻t1以降は、空気量が増加している。この理由は、時刻t1において充電要求が出され、この充電要求の分だけエンジン出力が増加するためである。
図3に示す例では、また、目標A/Fと実A/Fの乖離量が上昇して乖離判定値α以上となった時刻t2において、失火判定値(すなわち、暫定的な失火判定値)が大きな値に変更されている。この失火判定値の変更は、乖離量が低下して乖離判定値α未満となる時刻t3まで継続される。
4.2 自立運転中の条件調整処理
図4は、自立運転中の条件調整処理の流れを説明するタイムチャートである。図4に示す例では、回転変動が上昇して失火兆候判定値Aを上回った時刻t5において、失火兆候フラグがOFFからONに切り替えられている。また、時刻t5以降は、空気量が増えている。この理由は、時刻t5においてMG押し当てトルクの増加指令が出されているためである。
図4に示す例では、また、目標A/Fと実A/Fの乖離量が上昇して乖離判定値α以上となった時刻t6において、失火判定値が大きな値に変更されている。この失火判定値の変更は、乖離量が低下して乖離判定値α未満となる時刻t7まで継続される。
5.効果
以上説明した本実施の形態によれば、条件調整処理が行われる。条件調整処理によれば、失火の兆候を判定することができる。失火の兆候の判定は、アルコール濃度情報が入力されない場合、または、アルコール濃度情報の入力はあるがエンジンの潤滑に用いられるオイルが燃料により希釈されている場合に行われる。つまり、失火の判定が困難な状況下において失火の兆候が判定される。
また、条件調整処理によれば、失火の兆候があると判定された場合、エンジンの作動状態に応じて失火判定を行う際の空気量が増やされる。すなわち、作動状態が負荷運転に該当する場合は、充電要求が出されて空気量が増加する。作動状態が自立運転に該当する場合は、MG押し当てトルクの増加指令が出されて空気量が増加する。空気量が増加すれば、失火時と燃焼時とでトルク差が大きくなる。エンジンが複数気筒を有する場合は、失火気筒と燃焼気筒のトルク差が大きくなる。このようなトルク差が大きくなれば、失火時の回転変動が顕著になる。そのため、空気量を増やせば失火判定の精度が向上する。
また、条件調整処理によれば、目標A/Fと実A/Fの乖離量が乖離判定値α以上の場合、乖離量に応じて失火判定値が大きな値に変更される。上述したアルコール濃度推定部41によるアルコール濃度の推定が空燃比フィードバック補正係数の平均値を用いて行われるところ、アルコール濃度の推定の進捗度と乖離量との間には相関があるといえる。そのため、乖離量が大きい場合は、アルコール濃度推定部41によるアルコール濃度の推定が進んでいないと推定できる。したがって、乖離量に応じて失火判定値を大きな値に変更すれば、アルコール濃度が確定していない間の失火判定の精度を担保できる。
6.実施の形態の変形例
上記実施の形態では、アルコール濃度センサ10とA/Fセンサ20を設けてアルコール濃度の情報を入手したが、何れか一方のセンサに基づいてアルコール濃度の情報を入手してもよい。アルコール濃度センサ10からアルコール濃度の情報を入手する場合は、アルコール濃度推定部41の機能を図1に示したシステムから削除すればよい。A/Fセンサ20からアルコール濃度の情報を入手する場合は、アルコール濃度センサ10を図1に示したシステムから削除すればよい。
また、上記実施の形態では、図2で説明した条件調整処理において、失火の兆候があると判定された場合にステップS14〜S18の処理が行われ、それに続く形でステップS20〜S28の処理が行われた。しかし、ステップS14〜S18の処理はステップS20〜S28の処理の後に行われてもよい。すなわち、失火の兆候があると判定された場合にステップS20〜S28の処理が行われ、それに続く形でステップS14〜S18の処理が行われてもよい。
10 アルコール濃度センサ
20 A/Fセンサ
30 クランク角センサ
40 ECU
41 アルコール濃度推定部
42 失火兆候判定部
43 空気量調整部
44 判定値設定部
45 失火判定部
50 エンジンECU
60 MGECU

Claims (1)

  1. アルコールを混合した燃料を使用可能な内燃機関と、電動機と、を駆動源とするハイブリッド車両の制御システムであって、
    燃料中のアルコール濃度を取得するアルコール濃度取得手段と、
    前記内燃機関の失火判定処理を行う電子制御ユニットと、
    を備え、
    前記電子制御ユニットが、
    前記アルコール濃度が未確定である場合、または、前記内燃機関の潤滑油が燃料により希釈されている場合、失火の兆候の有無を判定する失火兆候判定部と、
    前記兆候があると判定された場合、前記失火判定処理に使用する失火判定値を設定する判定値設定部と、
    前記兆候があると判定された場合、前記内燃機関および前記電動機の作動状態に応じて前記内燃機関の空気量を増加させる空気量増量指令を出す空気量調整部と、
    を備え、
    前記判定値設定部が、
    前記アルコール濃度が確定し、且つ、前記潤滑油が希釈されている場合、前記アルコール濃度に基づいて前記失火判定値を設定し、
    前記アルコール濃度が未確定の場合、前記失火判定値を暫定的な判定値に設定し、
    前記内燃機関の目標空燃比と実空燃比の乖離量が所定量以上の場合、前記失火判定値または前記暫定的な判定値を、前記乖離量に応じて増加させる
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
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