JP2019173623A - 自動二輪車及び自動二輪車のエンジン運転方法 - Google Patents
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Abstract
Description
暖機モードと発電運転モードとの違いは、エンジンの回転数及び負荷であり、エンジンの回転数及び負荷は、通常の自動二輪車用エンジンと同様に、スロットルバルブの開度で制御される。
本発明の目的は、発電機駆動用エンジンの回転数変化を抑えた自動二輪車及び自動二輪車のエンジン運転方法を提供することにある。
また、上記発明において、前記高効率運転時に使用される前記カム(127c)のカム山(127h)の高さより前記触媒暖機運転時に使用される前記カム(127d)のカム山(127j)の高さは低くても良い。
また、上記発明において、前記バッテリ(58)の残量が所定値以上のときに前記エンジン保温運転を行っても良い。
上記発明において、前記バッテリ(58)の残量が所定値以上になったときに、前記エンジン(41)を保温するエンジン保温工程を行っても良い。
また、上記発明において、高効率運転時に使用されるカムのカム山の高さより触媒暖機運転時に使用されるカムのカム山の高さは低いので、触媒暖機運転時には、エンジンへの吸気量を少なくして、燃料消費を抑えるとともに排ガス中の未浄化成分を減らすことができる。
また、上記発明において、バッテリの残量が所定値以上のときにエンジン保温運転を行うので、バッテリの過充電を防ぎながらエンジンを保温できる。
上記発明において、バッテリの残量が所定値以上になったときに、エンジンを保温するエンジン保温工程を行うので、バッテリの過充電を防ぎながらエンジンを保温できる。
図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車10を示す左側面図である。
自動二輪車10は、骨格となる車体フレーム11と、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して支持された前輪13と、車体フレーム11の下部にパワーユニット14を介して支持された後輪16とを備える。
自動二輪車10は、パワーユニット14及び後輪16の上方に配置されたシート17に乗員が跨って着座するスクーター型の鞍乗り型車両であり、車体フレーム11及びその周囲を覆う車体カバー20を備える。
ヘッドパイプ21は、車体フレーム11の前端部に設けられる。ダウンフレーム22は、ヘッドパイプ21から下方に延びる。左右のアンダーフレーム23は、ダウンフレーム22の下部の左右からそれぞれ後方に延びる。左右のリアフレーム24は、左右のアンダーフレーム23のそれぞれの後端から後方斜め上方に延びる。左右のステップフレーム26は、ダウンフレーム22と左右のアンダーフレーム23とにそれぞれ接続される。
フロントフォーク12は、上部にハンドル31が取付けられ、下端部に車軸32を介して前輪13が支持される。
パワーユニット14は、前部に設けられたエンジン41と、エンジン41のクランクケース42の後部に取付けられた電動モーター43と、電動モーター43に減速機構(不図示)を介して接続された出力軸44とを備える。符号43aは、電動モーター43の回転軸である。
エンジン41は、4サイクルエンジンであり、クランクケース42と、クランクケース42の前端部から前方に突出するシリンダ部46とを備える。
出力軸44には後輪16が取付けられる。後輪16は、電動モーター43によって駆動される。
発電機48は、クランクケース42に取付けられたステータ(不図示)と、クランク軸47に取付けられてステータの内側に配置されたロータ(不図示)とからなり、クランク軸47と共にロータが回転することで発電する。
左右のアンダーフレーム23の間及び左右のステップフレーム26の間には、バッテリ58が配置されている。バッテリ58には、発電機48で発電された電力が蓄えられる。バッテリ58に蓄えられた電力によって電動モーター43が作動し、電動モーター43によって駆動輪である後輪16が駆動される。バッテリ58には、蓄電電力の残量(蓄電量)を計測する残量計(不図示)が設けられる。
左右のリアフレーム24には、収納ボックス61と、収納ボックス61の後方に設けられた燃料タンク62とが取付けられている。収納ボックス61及び燃料タンク62は、シート17の下方に配置されている。
クランクケース42の下部には、スタンド64が取付けられている。
ヘッドパイプ21の後部には、エンジン41の運転を制御するECU(Engine Control Unit)65が設けられている。
フロントカバー71は、フロントフォーク12の前方を覆う。左右のレッグシールド72は、フロントカバー71の両側縁に接続されてシート17に着座した運転者の脚部を前方から覆う。左右のフロアステップ73は、左右のレッグシールド72の下端部から後方に延びて運転者の足置きとなる。左右のサイドスカート74は、左右のフロアステップ73の両側縁からそれぞれ下方に延びている。左右のボディカバー76は、シート17の両側部の下方を覆う。ハンドルカバー77は、ハンドル31の中央部を覆う。
左右のフロアステップ73の下方にはバッテリ58が配置されている。バッテリ58は、左右のフロアステップ73及び左右のサイドスカート74等を含む車体カバー20で覆われている。
前輪13は、上方からフロントフェンダー81に覆われ、後輪16は、上方からリアフェンダー82に覆われている。
パワーユニット14のクランクケース42は、エンジン41側に設けられたクランクケース本体42aと、クランクケース本体42aから後方に延びる後方延長部42bとを備える。後方延長部42bには、電動モーター43、減速機構(不図示)及び出力軸44が設けられている。
排気装置53は、シリンダヘッド51から下方そして後方に延びる排気管85と、排気管85の後端部に接続されたマフラー86と、排気管85の途中(詳しくは、シリンダヘッド51寄りの位置)に設けられた触媒装置87と、触媒装置87を加熱可能な加熱装置88とを備える。
加熱装置88は、触媒装置87を囲むように配置された電気ヒーター等からなり、触媒装置87に含まれる触媒の温度を触媒が活性する温度(触媒活性温度)まで昇温させる。なお、ここでは、触媒の温度と触媒装置87の温度とを等しいとし、触媒装置87の表面に温度センサー89を取付けて、温度センサー89により触媒装置87の温度を計測している。温度センサー89によって検知された触媒温度は、ECU65(図1参照)に入力され、ECU65は、温度センサー89の検知温度に基づいて加熱装置88への通電を制御する。
図1及び図2において、自動二輪車10は、エンジン41によって発電機48が駆動され、発電機48によって発電された電力がバッテリ58に蓄えられ、バッテリ58の電力で作動する電動モーター43により後輪16が駆動されるシリーズハイブリッド車両である。
上記したように、2つの駆動源であるエンジン41及び電動モーター43を、同一のクランクケース42に配置することで、エンジン41及び電動モーター43を別々に配置するのに比べて、部品数を減らすことができ、軽量化を図ることができる。
エンジン41のシリンダ部46は、クランクケース42(図2参照)に取付けられたシリンダブロック91と、シリンダブロック91の上部に取付けられたシリンダヘッド51と、シリンダヘッド51の上部を覆うヘッドカバー92とを備える。
シリンダブロック91は、シリンダ穴91aが形成され、シリンダ穴91aに移動可能にピストン94が挿入されている。ピストン94は、コネクティングロッド95を介してクランク軸47(図2参照)に連結されている。
シリンダヘッド51は、シリンダヘッド本体101、吸気バルブ102、排気バルブ103、バルブスプリング104,105及び動弁機構108を備える。
シリンダブロック91、シリンダヘッド51及びピストン94は、燃焼室100を形成する。
吸気バルブ102は、吸気ポート101dの燃焼室凹部101bへの開口部101gを開閉するために吸気ポート101dの前部に設けられたバルブガイド111内にスライド可能に挿入されている。吸気バルブ102の先端部に取付けられたリテーナー112と、シリンダヘッド本体101の台座部101hとの間にバルブスプリング104が設けられている。バルブスプリング104によって吸気バルブ102が閉じ側に付勢されている。
排気バルブ103は、排気ポート101fの燃焼室凹部101bへの開口部101jを開閉するために排気ポート101fの前部に設けられたバルブガイド113内にスライド可能に挿入されている。排気バルブ103の先端部に取付けられたリテーナー114と、シリンダヘッド本体101の台座部101kとの間にバルブスプリング105が設けられている。バルブスプリング105によって排気バルブ103が閉じ側に付勢されている。
シリンダヘッド本体101には、カム軸121、吸気側ロッカー軸122及び排気側ロッカー軸124が支持されている。
カム軸121は、吸気カム形成体127及び排気カム128cを備え、シリンダヘッド本体101に回転可能に支持されている。
吸気側ロッカー軸122には吸気ロッカーアーム123が揺動可能に支持されている。吸気ロッカーアーム123は、一端が吸気カム形成体127と摺動し、他端が吸気バルブ102の端部に当接可能とされている。吸気バルブ102は、吸気カム形成体127が回転するのに伴い、吸気ロッカーアーム123が揺動するときに開閉する。
排気側ロッカー軸124には排気ロッカーアーム125が揺動可能に支持されている。排気ロッカーアーム125は、一端が排気カム128cと摺動し、他端が排気バルブ103の端部に当接可能とされている。排気バルブ103は、排気カム128cが回転するのに伴い、排気ロッカーアーム125が揺動することで開閉する。
カム軸121については、断面を示している。
カム軸121は、排気カム128cが一体に形成されたシャフト本体128と、シャフト本体128に形成された雄スプライン128aにスプライン結合された吸気カム形成体127とから構成される。
シャフト本体128は、シリンダヘッド本体101(図3参照)に設けられた一対のベアリング131,132によって回転可能に支持され、一端部にカムスプロケット133が複数のボルト134にて取付けられている。カムスプロケット133とクランク軸47(図2参照)に設けられたスプロケット(不図示)とには、カムチェーン(不図示)が掛け渡され、クランク軸47の回転がカム軸121に伝達される。
排気カム128cは、所定の外径とされた基準円部128dと、基準円部128dよりも半径方向外側に突出するカム山128eとを備える。
吸気カム形成体127は、外周面に、第1吸気カム127c、第2吸気カム127d、基準円カム127e及び環状溝127fを備える。
第1吸気カム127cは、エンジン41(図2参照)の通常運転(高効率運転)で使用されるもので、所定の外径とされた基準円部127gと、基準円部127gよりも半径方向外側に突出する第1カム山127hとを備える。
第2吸気カム127dは、エンジン41の触媒暖機運転に使用されるもので、基準円部127gと、基準円部127gよりも半径方向外側に突出する第2カム山127jとを備える。第2カム山127jは、第1吸気カム127cの第1カム山127hよりも低く形成されている。
環状溝127fは、吸気カム形成体127をカム軸121の軸方向に移動可能なカムスライド装置140が接続される部分である。
上記した通常運転(高効率運転)とは、触媒暖機運転よりも高出力・高トルクとされる運転である。触媒暖機運転は、触媒装置87(図2参照)の温度を触媒活性温度まで暖機する運転であり、エンジン41(図2参照)への吸気量が制限され、燃料消費と排ガス中の未浄化成分の排出とが抑えられる。エンジン保温運転は、バッテリ58(図1参照)の過充電を防ぐためにエンジンを燃焼させずに、発電機48(図2参照)によってエンジンをモーターリングさせて、エンジン41及び触媒装置87を保温する運転である。
カムスライド装置140は、吸気カム形成体127の環状溝127fに挿入されたアーム141aを備える移動体141と、移動体141をカム軸121の軸方向に沿って矢印で示すようにスライドさせる移動体駆動部142とを備える。移動体駆動部142は、例えば、電動モーター付きねじ機構やソレノイド等のアクチュエーターであり、ECU65は、移動体駆動部142を作動させて移動体141を移動させる指令を発する。
カムスライド装置140によるカムの切換えは、エンジン41の停止時に、第1吸気カム127cの基準円部127g、第2吸気カム127dの基準円部127g及び基準円カム127eが、吸気ロッカーアーム123の先端の被摺動面123aに沿って移動するように行われる。
縦軸は吸気バルブ102及び排気バルブ103のバルブリフト量LV、横軸はクランク角CA(単位は°)を表している。
排気バルブ103は、クランク角−360°(圧縮上死点)後に開き、クランク角0°(排気上死点)直後に閉じる。
吸気バルブ102は、高効率運転では、クランク角0°(排気上死点)直前に開き、クランク角360°(圧縮上死点)直前に閉じる。また、吸気バルブ102は、触媒暖機運転では、クランク角0°(排気上死点)又はクランク角0°(排気上死点)の前後に開き、クランク角360°(圧縮上死点)前(高効率運転時に閉じるクランク角よりも前)に閉じる。
また、吸気バルブ102において、触媒暖機運転でのバルブリフト量LV=Lv1は、高効率運転でのバルブリフト量LV=Lv2よりも小さい。従って、触媒暖機運転では、高効率運転よりも燃焼室100への混合気の吸入量を少なくできる。これにより、エンジン41の冷機時の燃料消費を向上できるとともに、触媒装置87(図2参照)が活性状態に至る(即ち、触媒活性温度になる)まで排ガス中に含まれる未浄化成分の排出を抑制できる。
エンジン保温運転では、クランク軸47と共にシリンダ部46内でピストン94が摺動し、更に、動弁機構108の各部も作動するため、エンジン41の各部のフリクションによって発熱させることができる。また、吸気バルブ102が閉じることで、触媒装置87への排ガスの流れが生じないため、排ガスの流れによる触媒装置87の冷却が行われなくなり、触媒装置87の温度低下を抑えることができる。以上のことから、エンジン41及び触媒装置87を保温することができる。
この構成によれば、触媒暖機運転時には、エンジン41(図2参照)への吸気量を少なくして、燃料消費を抑えるとともにエンジン41の排ガス中の未浄化成分を減らすことができる。
縦軸はバッテリ残量RB(単位は%)及び触媒温度TC、横軸は時間Tを表している。
エンジン41を停止状態から時間T=0で始動したときに、触媒装置87の温度、即ち触媒温度TCが触媒活性温度よりも低い場合は、触媒暖機運転が開始される。
これにより、触媒温度TCは次第に上昇する。また、バッテリ残量RBは一旦減少するが、充電が開始されて次第に増加する。上記バッテリ残量RBの初期の減少は、セルモータとして使用された発電機48でエンジン41を始動する際に電力が消費されたことによるものである。
時間T=t1になると、触媒温度TC=Tc1、即ち、触媒活性温度に達したので、エンジン41を高効率運転に切り換える。高効率運転は、前述の通常運転であり、エンジン41のトルクが触媒暖機運転よりも高い(エンジン41のトルクが最高)となる運転である。このとき、発電機48の発電量も最高となる。
この時点で、エンジン41は、バッテリ58の過充電を防止するために、エンジン保温運転に切り換わる。エンジン保温運転では、エンジン41の燃料を消費させずに、エンジン41及び触媒装置87の保温が行われる。このとき、発電機48によってエンジン41を駆動させるので、バッテリ残量RBは次第に減少していく。
時間T=t3になると、触媒温度TC=Tc1未満になるため、再度、高効率運転を開始する。これにより、バッテリ残量RBは、RB=Rb3から次第に増加し、触媒温度TCは、TC=Tc1を越えて次第に上昇する。以降は、高効率運転とエンジン保温運転とを繰り返す。
この構成によれば、エンジン41内のフリクションにより発熱させることができ、また、動弁機構108が作動しないためにエンジン41へ吸気されず、吸気流による触媒装置87の触媒の冷却が行われない。以上のことから、エンジン41及び触媒装置87の保温が可能になる。
エンジン41が停止した状態(ST01)で、ECU65は、触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より低いかどうか判断する(ST02)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より高いか又は等しい(TC≧tc1)(ST02、NO)場合は、高効率運転を行う(ST05)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より低い(TC<tc1)(ST02、YES)場合は、触媒暖機運転を行う(ST03)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より低い(TC<tc1)(ST04、NO)場合は、触媒暖機運転を行う(ST03)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より高いか又は等しい(TC≧tc1)(ST04、YES)場合は、高効率運転を行う(ST05)。
このように、エンジン41の運転中に、触媒活性温度tc1に対して触媒温度TCの高低を判断することで、排ガス中の未浄化成分が排出されるのを常に抑えることができる。
エンジン41を、運転状態(ST11)から停止(ST12)させると、ECU65は、触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より低いかどうか(TC<tc1?)判断する(ST13)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より高いか又は等しい(TC≧tc1)(ST13、NO)場合は、高効率運転用の第1吸気カム127cに切替える(ST16)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より低い(TC<tc1)(ST13、YES)場合は、触媒暖機運転用の第2吸気カム127dに切替える(ST14)。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より低い(TC<tc1)(ST15、NO)場合は、触媒暖機運転用の第2吸気カム127dの使用を続ける。
触媒温度TCが、触媒活性温度tc1より高いか又は等しい(TC≧tc1)(ST15、YES)場合は、高効率運転用の第1吸気カム127cに切替える(ST16)。
高効率運転用の第1吸気カム127cを使用している状態で、ECU65は、バッテリ残量RBが、バッテリ残量(バッテリ残量閾値)Rb2よりも多いか又は等しいかどうか(RB≧Rb2?)判断する(ST17)。
バッテリ残量RBが、バッテリ残量(バッテリ残量閾値)Rb2よりも少ない(RB<Rb2)(ST17、NO)場合は、高効率運転用の第1吸気カム127cの使用を維持する。
バッテリ残量RBが、バッテリ残量(バッテリ残量閾値)Rb2よりも多いか等しい(RB≧Rb2)(ST17、YES)場合は、エンジン保温用の基準円カム127eに切替える(ST18)。
バッテリ残量RBが、バッテリ残量(バッテリ残量閾値)Rb2よりも多いか等しい(RB≧Rb2)(ST19、NO)場合は、エンジン保温用の基準円カム127eの使用を維持する。
バッテリ残量RBが、バッテリ残量(バッテリ残量閾値)Rb2よりも少ない(RB<Rb2)(ST19、YES)場合は、高効率運転用の第1吸気カム127cに切替える(ST20)。
このように、ECU65は、触媒温度TC及びバッテリ残量RBを把握することで、3種類のカム(第1吸気カム127c、第2吸気カム127d及び基準円カム127e)を切替えることができる。
発電機48は、エンジン41によって駆動される。バッテリ58は、発電機48で発電された電力を蓄える。電動モーター43は、バッテリ58の電力によって作動する。後輪16は、電動モーター43によって駆動される。触媒装置87は、エンジン41から排出される排ガスを浄化する。
エンジン41では、触媒装置87の温度が所定値未満、即ち、触媒温度Tc1未満のときは触媒暖機運転が行われ、触媒装置87の温度が所定値以上、即ち、触媒温度Tc1以上のときは高効率運転が行われる。触媒暖機運転と高効率運転とでは、エンジン41の動弁機構108に備えるカム(即ち、第1吸気カム127cと第2吸気カム127d)が異なる。
触媒暖機工程は、触媒装置87を暖機する。エンジン停止工程は、エンジン41を停止する。カム切替え工程は、エンジン停止工程中に、エンジン41における触媒暖機工程時の第2吸気カム127dをよりカム山の高い第1吸気カム127cに切替える。高効率運転工程は、カム切替え工程後にカム山の高い第1吸気カム127cにより行われる。
以上の構成によれば、カム切替えによってエンジントルクをコントロール可能になり、発電機駆動用のエンジン41の回転数変化を抑えることができ、自動二輪車10の車体の挙動変化を抑制することができる。
また、バッテリ58の残量が所定値としてのバッテリ残量Rb2以上になったときに、エンジン41を保温するエンジン保温工程(エンジン保温運転)を行う。
この構成によれば、第1吸気カム127cと第2吸気カム127dとの切替えをスムーズに行うことができ、また、カム切替えシステムであるカムスライド装置140を簡易なものにできる。
また、図2、図6及び図8に示したように、バッテリ58の残量が所定値としてのバッテリ残量Rb2以上のときにエンジン保温運転を行うので、バッテリ58の過充電を防ぎながらエンジン41を保温できる。
自動二輪車10が走行中に、自動二輪車10の車体に備えるバンク角センサーによって、車体の左右の傾斜角、即ちバンク角が計測される(ステップST21)。
ECU65は、計測されたバンク角が所定値よりも大きいかどうか判断する(ステップST22)。
バンク角が所定値よりも小さいか、又は等しい場合(ステップST22、NO)、エンジン41が停止しているときには、エンジン41の再始動を制限しない(ステップST23)。エンジン41を再始動しても、エンジン41の始動が車体の挙動に与える影響は少ない。
バンク角が所定値よりも大きい場合(ステップST22、YES)、エンジン41の再始動を制限する(ステップST24)。エンジン41を始動した場合に、車体の挙動が大きくなる可能性がある。
図10は、6サイクルエンジンの暖機運転モードの行程を示すグラフ、図11は、6サイクルエンジンの通常運転モードの行程を示すグラフである。図10及び図11において、縦軸は吸気バルブリフト量、排気バルブリフト量及びシリンダ内圧、横軸はクランク角(単位は°)を表している。
6サイクルエンジンでは、吸気バルブ及び排気バルブを開閉する動弁機構が,クランク軸に1/3の減速比で駆動されるカム軸を有する。即ち、6サイクルエンジンでは、以下に示す6つの行程の間にクランク軸が3回転する。
6サイクルエンジンは、暖機を促進する暖機運転モードと、エンジン性能を向上させる通常運転モードとを切り換えて運転される。
このようにエンジンを暖機運転モードで運転することで、シリンダ内での排ガスの滞留時間が長くなり、暖機を促進して暖機運転時間の短縮を図ることができる。
図11に示すように、通常運転モードでは、吸気行程、圧縮行程、爆発・膨張行程及び排気行程を順次行った後、再膨張行程及び再圧縮行程を順次行う。
このようにエンジンを通常運転モードで運転することで、排ガスが速やかに排出され、排ガスのシリンダ内での滞留時間が短縮されてエンジンの冷却を図ることができる。更に、排気行程後は、作動ガスが殆ど存在しない状態でのピストン運動になるので、再膨張行程及び再圧縮行程でのポンピングロスが、ピストンの下降と上昇とで相殺されて、エンジン性能の向上を図ることができる。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。また、鞍乗り型車両以外の三輪車両や四輪車両にも適用しても良い。
16 後輪(駆動輪)
41 エンジン
43 電動モーター
48 発電機
58 バッテリ
65 ECU(制御装置)
87 触媒装置
108 動弁機構
127c 第1吸気カム(カム)
127d 第2吸気カム(カム)
127e 基準円カム(カム)
127h 第1カム山(カム山)
127j 第2カム山(カム山)
Claims (7)
- エンジン(41)と、前記エンジン(41)によって駆動される発電機(48)と、前記発電機(48)で発電された電力を蓄えるバッテリ(58)と、前記バッテリ(58)の電力によって作動する電動モーター(43)と、前記電動モーター(43)によって駆動される駆動輪(16)と、前記エンジン(41)から排出される排ガスを浄化する触媒装置(87)とを備える自動二輪車において、
前記エンジン(41)では、前記触媒装置(87)の温度が所定値未満のときは触媒暖機運転が行われ、前記触媒装置(87)の温度が所定値以上のときは高効率運転が行われ、
前記触媒暖機運転と前記高効率運転とでは、前記エンジン(41)の動弁機構(108)に備えるカム(127c,127d)が異なることを特徴とする自動二輪車。 - 前記カム(127c,127d)の切替えを行う制御装置(65)を備え、前記制御装置(65)は、前記カム(127c,127d)の切替えを前記エンジン(41)の停止時に行うことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車。
- 前記高効率運転時に使用される前記カム(127c)のカム山(127h)の高さより前記触媒暖機運転時に使用される前記カム(127d)のカム山(127j)の高さは低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車。
- 前記動弁機構(108)に基準円のみからなるカム(127e)を備え、前記カム(127e)を使用して、前記発電機(48)により前記エンジン(41)を駆動させるエンジン保温運転を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動二輪車。
- 前記バッテリ(58)の残量が所定値以上のときに前記エンジン保温運転を行うことを特徴とする請求項4に記載の自動二輪車。
- エンジン(41)と、前記エンジン(41)によって駆動される発電機(48)と、前記発電機(48)で発電された電力を蓄えるバッテリ(58)と、前記バッテリ(58)の電力によって作動する電動モーター(43)と、前記電動モーター(43)によって駆動される駆動輪(16)と、前記エンジン(41)から排出される排ガスを浄化する触媒装置(87)とを備える自動二輪車のエンジン運転方法であって、
前記触媒装置(87)を暖機する触媒暖機工程と、
前記エンジン(41)を停止するエンジン停止工程と、
前記エンジン停止工程中に、前記エンジン(41)における前記触媒暖機工程時のカム(127d)をよりカム山の高いカム(127c)に切替えるカム切替え工程と、
前記カム切替え工程後に前記カム山の高いカム(127c)により行われる高効率運転工程とを実施することを特徴とする自動二輪車のエンジン運転方法。 - 前記バッテリ(58)の残量が所定値以上になったときに、前記エンジン(41)を保温するエンジン保温工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の自動二輪車のエンジン運転方法。
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