JP2019173312A - 土留壁補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工が容易であるとともに、液状化時において、土留壁に作用する側方流動圧の低減を図ることができる土留壁補強構造を提供する。【解決手段】土留壁補強構造は、背面土に埋設される鋼製壁(壁体)11を備え、鋼製壁11が土留壁10の延在方向と略平行に設けられた土圧低減壁12と、土圧低減壁12に連結されるとともに土圧低減壁12と略直交し、かつ土留壁10と逆側に延在する抵抗壁15とを備え、土圧低減壁12は土留壁10に連結されておらず、抵抗壁15の下端部は非液状化層NLLに根入れされているので、施工が容易であるとともに、液状化時において、土留壁10に作用する側方流動圧の低減を図ることができる【選択図】図1
Description
本発明は、土留壁を補強する土留壁補強構造に関する。
建設年代の古い護岸・岸壁には、地震時の影響が反映されていないものが少なくなく、これらの構造物に対しては、特に液状化対策の実施が必要である。
地震により護岸・岸壁等の土留壁の背面土が液状化すると、慣性力および重力により発生する側方流動により、土留壁に対して流動圧が作用する。これにより、護岸・岸壁等の土留壁には大きな水平変位あるいは被害が発生する。
既設護岸・岸壁等の土留壁を対象とした従来の側方流動対策としては、タイロッドにより護岸・岸壁等の土留壁の変位を抑制する構造的な対策、地盤改良・薬液注入等により液状化の発生自体を防止する方法、杭を離散的に配置し流動圧を低減する方法が挙げられる。なお、背面土が液状化しない場合でも、大地震時の土圧に対して護岸・岸壁の補強が必要な場合は、同様の対策が講じられる。
地震により護岸・岸壁等の土留壁の背面土が液状化すると、慣性力および重力により発生する側方流動により、土留壁に対して流動圧が作用する。これにより、護岸・岸壁等の土留壁には大きな水平変位あるいは被害が発生する。
既設護岸・岸壁等の土留壁を対象とした従来の側方流動対策としては、タイロッドにより護岸・岸壁等の土留壁の変位を抑制する構造的な対策、地盤改良・薬液注入等により液状化の発生自体を防止する方法、杭を離散的に配置し流動圧を低減する方法が挙げられる。なお、背面土が液状化しない場合でも、大地震時の土圧に対して護岸・岸壁の補強が必要な場合は、同様の対策が講じられる。
また、特許文献1には、下方に向って掘削領域側に傾斜するように構築された土留壁本体と、前記土留壁本体を挟んで掘削領域の反対側の地中に構築された控え壁と、前記土留壁本体と前記控え壁とを連結する連結部材とを備え、前記控え壁は、その面内横方向と前記土留壁本体の面内横方向とが直交するように鉛直に配されている土留壁構造が記載されている。
特許文献2には、土留壁本体と、前記土留壁本体の背面側に突設される控え壁と、前記控え壁から前記土留壁本体と略平行に突設される支圧壁と、前記土留壁本体、控え壁又は支圧壁のうち少なくとも何れか一つを構成する鋼矢板の回転を拘束するように敷設してある土圧対抗材とを具備する土留壁が記載されている。
また、特許文献3には、液状化層が存在する地盤に互いに離間するように構築される複数の杭と、各杭の頭部を所定の高さにわたって囲繞するように設けられた板状構造体とを有し、各杭の頭部が前記板状構造体に固定され、この板状構造体と護岸構造体とをコンクリートによって連結してなる杭式液状化対策構造体が記載されている。
特許文献2には、土留壁本体と、前記土留壁本体の背面側に突設される控え壁と、前記控え壁から前記土留壁本体と略平行に突設される支圧壁と、前記土留壁本体、控え壁又は支圧壁のうち少なくとも何れか一つを構成する鋼矢板の回転を拘束するように敷設してある土圧対抗材とを具備する土留壁が記載されている。
また、特許文献3には、液状化層が存在する地盤に互いに離間するように構築される複数の杭と、各杭の頭部を所定の高さにわたって囲繞するように設けられた板状構造体とを有し、各杭の頭部が前記板状構造体に固定され、この板状構造体と護岸構造体とをコンクリートによって連結してなる杭式液状化対策構造体が記載されている。
しかしながら、上述したような、既設護岸・岸壁等の土留壁を対象とした側方流動対策として、タイロッドにより護岸・岸壁等の土留壁の変位を抑制する構造的な対策では、既設護岸・岸壁等の土留壁へのタイロッドによる連結に係る工程が必要であり、施工に手間がかかる。
また、補強工事の大規模化に伴う工事費・工期の増大に加えて、地中には基礎構造物、上空にはクレーン構造物等があり、これら既設構造物との近接施工となる場合が多くあり、施工が困難になる場合が多い。
また、特許文献1および特許文献2に記載されている土留壁構造(土留壁)は、既設の護岸・岸壁等の土留壁を補強するものはない。
さらに、特許文献3に記載されている杭式液状化対策構造体では、板状構造体と護岸構造体とをコンクリートによって連結しているが、既設岸壁(護岸)表面はコンクリート被覆されていることが多く、コンクリートを取り除いたのち杭を打設し、再度表面をコンクリート被覆する、という多くの施工手順が必要となる。
また、補強工事の大規模化に伴う工事費・工期の増大に加えて、地中には基礎構造物、上空にはクレーン構造物等があり、これら既設構造物との近接施工となる場合が多くあり、施工が困難になる場合が多い。
また、特許文献1および特許文献2に記載されている土留壁構造(土留壁)は、既設の護岸・岸壁等の土留壁を補強するものはない。
さらに、特許文献3に記載されている杭式液状化対策構造体では、板状構造体と護岸構造体とをコンクリートによって連結しているが、既設岸壁(護岸)表面はコンクリート被覆されていることが多く、コンクリートを取り除いたのち杭を打設し、再度表面をコンクリート被覆する、という多くの施工手順が必要となる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、施工が容易であるとともに、液状化時において、土留壁に作用する側方流動圧の低減を図ることができる土留壁補強構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の土留壁補強構造は、土留壁を補強する土留壁補強構造であって、
前記土留壁の背面土に埋設される壁体を備え、
前記壁体が前記土留壁の延在方向と略平行に設けられた土圧低減壁と、
前記土圧低減壁に連結されるとともに当該土圧低減壁と略直交し、かつ前記土留壁と逆側に延在する抵抗壁とを備え、
前記土圧低減壁は前記土留壁に連結されておらず、
前記抵抗壁の下端部は非液状化層に根入れされていることを特徴とする。
前記土留壁の背面土に埋設される壁体を備え、
前記壁体が前記土留壁の延在方向と略平行に設けられた土圧低減壁と、
前記土圧低減壁に連結されるとともに当該土圧低減壁と略直交し、かつ前記土留壁と逆側に延在する抵抗壁とを備え、
前記土圧低減壁は前記土留壁に連結されておらず、
前記抵抗壁の下端部は非液状化層に根入れされていることを特徴とする。
ここで、「土圧低減壁が土留壁に連結されておらず」とは、土圧低減壁が土留壁に対して所定の間隔を隔てて設けられるとともに、連結材等によって連結されていないことは勿論のこと、土圧低減壁が土留壁に当接または近接しているとともに、当該土圧低減壁が土留壁に連結されていない場合も含む意味である。
また、前記壁体は、鋼材で形成された鋼製壁によって構成してもよいし、鉄筋コンクリート壁等の鋼材とは他の素材の壁によって構成してもよいが、引張強度に優れる鋼材によって形成するのが好ましい。
また、壁体を鋼製壁で構成する場合、当該鋼製壁は、鋼矢板や、鋼板パネル・鋼板セル等の鋼材を含むものでもよい。鋼矢板としては、ハット形鋼矢板、U形鋼矢板、直線形鋼矢板、Z形鋼矢板を使用する。
さらに、壁体を複数の壁体構成部材によって構成する場合、壁体構成部材は、互いに連結するための継手(土圧低減壁間の継手、抵抗壁間の継手、土圧低減壁と抵抗壁の接続部の継手)を有することが望ましい。
また、前記壁体は、鋼材で形成された鋼製壁によって構成してもよいし、鉄筋コンクリート壁等の鋼材とは他の素材の壁によって構成してもよいが、引張強度に優れる鋼材によって形成するのが好ましい。
また、壁体を鋼製壁で構成する場合、当該鋼製壁は、鋼矢板や、鋼板パネル・鋼板セル等の鋼材を含むものでもよい。鋼矢板としては、ハット形鋼矢板、U形鋼矢板、直線形鋼矢板、Z形鋼矢板を使用する。
さらに、壁体を複数の壁体構成部材によって構成する場合、壁体構成部材は、互いに連結するための継手(土圧低減壁間の継手、抵抗壁間の継手、土圧低減壁と抵抗壁の接続部の継手)を有することが望ましい。
また、土圧低減壁と抵抗壁は、施工機械を考慮すると同形状(型式)が望ましいが、異なる形状(型式)でもよい。例えば、異形状の場合、土圧低減壁は直線形鋼矢板、抵抗壁はハット形鋼矢板で構成し、異型式の場合、土圧低減壁はハット形鋼矢板10H、抵抗壁はハット形鋼矢板25Hで構成するのが好ましい。
本発明においては、土留壁が埋設されている背面土が液状化すると、当該液状化した背面土の慣性力および重力により発生する側方流動により、土留壁に対して側方流動圧が作用するが、この側方流動圧の少なくとも一部を土留壁の延在方向と略平行に設けられた土圧低減壁が受ける。一方、土圧低減壁は、当該土圧低減壁と略直交し、かつ前記土留壁と逆側に延在する抵抗壁に連結され、この抵抗壁の下端部は非液状化層に根入れされている。
したがって、土圧低減壁が受けた側方流動圧に非液状化層に根入れされた抵抗壁が抗することになる。つまり、前記側方流動圧に対して、土圧低減壁の水平抵抗および抵抗壁の水平せん断抵抗によって抗することができる。よって、液状化時において、土留壁に作用する側方流動圧を低減でき、耐震性の高い岸壁または護岸等の土留壁を構築できる。
また、土圧低減壁は土留壁に連結されていないので、従来要していたタイロッド等による既設の土留壁に対する連結等の工事が必要なく、また、既設の土留壁に新たに工事を施す必要がない。したがって、土留壁補強構造の施工が容易となる。
したがって、土圧低減壁が受けた側方流動圧に非液状化層に根入れされた抵抗壁が抗することになる。つまり、前記側方流動圧に対して、土圧低減壁の水平抵抗および抵抗壁の水平せん断抵抗によって抗することができる。よって、液状化時において、土留壁に作用する側方流動圧を低減でき、耐震性の高い岸壁または護岸等の土留壁を構築できる。
また、土圧低減壁は土留壁に連結されていないので、従来要していたタイロッド等による既設の土留壁に対する連結等の工事が必要なく、また、既設の土留壁に新たに工事を施す必要がない。したがって、土留壁補強構造の施工が容易となる。
また、本発明の前記構成において、前記抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成され、複数の前記鋼矢板の頭部が連結されていてもよい。
このような構成によれば、抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成されているので、抵抗壁の長さ(土圧低減壁と略直交する方向の長さ)を調整できるとともに、複数の鋼矢板の頭部が連結されているので、抵抗壁の剛性を向上させることができる。
また、本発明の前記構成において、前記土圧低減壁は、複数の鋼矢板を前記土圧低減壁の延在方向に連結することによって構成され、前記土圧低減壁を構成する複数の前記鋼矢板の頭部が連結されていてもよい。
このような構成によれば、土圧低減壁は、複数の鋼矢板を前記土圧低減壁の延在方向に連結することによって構成されているので、土圧低減壁の長さ(土留壁の延在方向における長さ)を調整できるとともに、複数の鋼矢板の頭部が連結されているので、土圧低減壁の剛性を向上させることができる。
また、本発明の前記構成において、前記抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成され、前記抵抗壁を構成する複数の前記鋼矢板のうち少なくとも1つの鋼矢板は、他の前記鋼矢板より下端部が下方に突出していてもよい。
このような構成によれば、複数の鋼矢板のうち少なくとも1つの鋼矢板は、他の鋼矢板より下端部が下方に突出しているので、下端部が下方に突出している鋼矢板の根入れ深さ(長さ)を長く(深く)できる。したがって、鋼矢板の根入れ長さを調整することによって、抵抗壁の水平せん断抵抗力を調整できる。
また、本発明の前記構成において、前記抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成され、前記抵抗壁を構成する複数の前記鋼矢板のうち少なくも1つの鋼矢板は、その下端部に閉合断面構造部を有していてもよい。
このような構成によれば、抵抗壁を構成する複数の鋼矢板のうち少なくも1つの鋼矢板は、その下端部に閉合断面構造部を有しているので、この閉合断面構造部が非液状化層に根入れされた鋼矢板は、土圧低減壁が受けた側方流動圧に対して、閉合断面構造部を有していない場合に比して大きな鉛直抵抗によって抗することができるとともに、土圧低減壁の水平抵抗および抵抗壁の水平せん断抵抗によって抗することができる。したがって、液状化時における、土留壁に作用する側方流動圧をより大きく低減できる。
また、本発明の前記構成において、前記抵抗壁の一部に、当該抵抗壁からこの抵抗壁の延在方向と交差する方向に突出する突出部が設けられていてもよい。
このような構成によれば、突出部が抵抗壁の根入れされた下端部にある場合、土圧低減壁が受けた側方流動圧に対して、突出部がない場合に比して大きな抵抗によって抗することができる。また、突出部が抵抗壁に下端部以外の根入れされていない部分にある場合、側方流動圧の一部を突出部によって受けることができる。このため、液状化時における、土留壁に作用する側方流動圧をより効果的に低減できる。
本発明によれば、土圧低減壁は土留壁に連結されていないので施工が容易であるとともに、土圧低減壁に連結された抵抗壁の下端部が非液状化層に根入れされているので、液状化時における、土留壁に作用する側方流動圧の低減を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明に係る土留壁補強構造の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図3は、第1の実施の形態を示すものであり、図1は土留壁補強構造を示す概略斜視図、図2(a)は同概略平断面図、図2(b)は鋼矢板どうしの連結部、図2(c)および図2(d)はそれぞれ土圧低減壁と抵抗壁の接合部を示す平断面図、図3は同概略側断面図である。
本実施の形態の土留壁補強構造は、既設の岸壁または護岸の土留壁を耐震補強するために設けられたものであり、図1〜図3において符号10は土留壁を示す。
(第1の実施の形態)
図1〜図3は、第1の実施の形態を示すものであり、図1は土留壁補強構造を示す概略斜視図、図2(a)は同概略平断面図、図2(b)は鋼矢板どうしの連結部、図2(c)および図2(d)はそれぞれ土圧低減壁と抵抗壁の接合部を示す平断面図、図3は同概略側断面図である。
本実施の形態の土留壁補強構造は、既設の岸壁または護岸の土留壁を耐震補強するために設けられたものであり、図1〜図3において符号10は土留壁を示す。
土留壁10は、例えば複数の鋼矢板を地中に設置するとともに土留壁10の幅方向(延在方向、図1〜図3においてY方向)に連結することによって構築してもよいし、親杭(H形鋼)をY方向に所定間隔で地中に設置し、親杭間に土留め板を挿入することによって構築してもよいし、複数の鋼管矢板をY方向並べて地中に設置するともに、隣り合う鋼管矢板の継手部をかみ合わせることによって構築してもよいし、さらに、地中連続壁によって構築してもよい。
また、土留壁10は、自立式のものであってもよいし、控え杭式または控え矢板式等であってもよい。控え杭式または控え矢板式の場合、土留壁10から陸側に離間して背面土に設けられた既設の直杭または矢板等の既設控え工5に、タイロッド等の接続部材6によって土留壁10接続される。なお、図1〜図3において、土留壁10より左側が海側、右側が陸側となっている。
土留壁10より陸側の背面土には鋼製壁(壁体)11が埋設されている。鋼製壁11は土留壁10との間に所定の間隔を隔て、かつ、土留壁10の幅方向(Y方向)に所定間隔で複数設けられている。なお、図1および図2では、2つの鋼製壁11を図示しているが、鋼製壁11の個数は土留壁10の幅(Y方向の幅)に応じて適宜設定される。
鋼製壁11は土圧低減壁12と抵抗壁15とを備えている。
土圧低減壁12は、地震等に起因する地盤(背面土)の液状化層LLの液状化に伴って土留壁10に作用する側方流動圧の少なくとも一部を受けるものであって、土留壁10の延在方向(Y方向)と略平行に設けられている。
また、図3に示すように、土圧低減壁12の下端部は非液状化層NLLに根入れされており、上端は液状化層LLの上面とほぼ面一となっている。
また、本実施の形態では、非液状化層NLLは液状化層LLの下方に存在しており、非液状化層NLLの表面(上面)は水底の底面Bとほぼ等しい高さ位置にある。
土圧低減壁12は、地震等に起因する地盤(背面土)の液状化層LLの液状化に伴って土留壁10に作用する側方流動圧の少なくとも一部を受けるものであって、土留壁10の延在方向(Y方向)と略平行に設けられている。
また、図3に示すように、土圧低減壁12の下端部は非液状化層NLLに根入れされており、上端は液状化層LLの上面とほぼ面一となっている。
また、本実施の形態では、非液状化層NLLは液状化層LLの下方に存在しており、非液状化層NLLの表面(上面)は水底の底面Bとほぼ等しい高さ位置にある。
なお、土圧低減壁12の下端部は非液状化層NLLに根入れされていなくてもよい。この場合、土圧低減壁12の下端は非液状化層NLLの表面(上面)に当接していてもよいし、非液状化層NLLの上側の液状化層LLに位置していてもよい。要は、土圧低減壁12の下端部が少なくとも液状化層LLに位置していればよい。
また、土圧低減壁12は、例えばハット形の鋼矢板13によって構成されている。ハット形の鋼矢板13は、図4に示すように、断面略コ字形のウェブ部13aと、このウェブ部13aの両端に連続して形成された一対のフランジ部13b,13bと、これら一対のフランジ部13b,13bの先端側に形成された継手部13c,13cとによって構成されている。
なお、土圧低減壁12は、図4(a)に示すようなハット形の鋼矢板13に限らず、図4(b)〜(e)にそれぞれ示すような、U形鋼矢板13A、直線形鋼矢板13B、他の形状(型式)のハット形鋼矢板13C、Z形鋼矢板13Dによって構成されていてもよい。
なお、土圧低減壁12は、図4(a)に示すようなハット形の鋼矢板13に限らず、図4(b)〜(e)にそれぞれ示すような、U形鋼矢板13A、直線形鋼矢板13B、他の形状(型式)のハット形鋼矢板13C、Z形鋼矢板13Dによって構成されていてもよい。
このようなハット形の鋼矢板13は、図1および図2に示すように、そのウェブ部13aの凹所を土留壁10と逆側に向けて、土留壁10の延在方向(Y方向)に略平行に設けられているが、凹所を土留壁10側に向けてもよい。
「略平行に設けられている。」とは、ハット形の鋼矢板13は土留壁10の延在方向と平行に設けられるのが好ましいが、ハット形の鋼矢板13の施工誤差等によってハット形の鋼矢板13が土留壁10の延在方向に対して若干傾く場合があるので、このような場合も含む意味である。
「略平行に設けられている。」とは、ハット形の鋼矢板13は土留壁10の延在方向と平行に設けられるのが好ましいが、ハット形の鋼矢板13の施工誤差等によってハット形の鋼矢板13が土留壁10の延在方向に対して若干傾く場合があるので、このような場合も含む意味である。
また、本実施の形態では、一つのハット形の鋼矢板13によって土圧低減壁12を構成したが、複数のハット形の鋼矢板13を土圧低減壁12の延在方向(Y方向)に連結することによって土圧低減壁12を構成してもよい。この場合、複数の鋼矢板13のそれぞれ頭部を連結してもよい。
複数の鋼矢板13の頭部を連結するには、当該複数の頭部をY方向に連続するコンクリート(コーピングコンクリート)によって連結してもよいし、頭部どうしを溶接によって連結してもよいし、H形鋼等の鋼材をY方向に延在するようにして設け、この鋼材に鋼矢板の頭部を溶接等によって固定することによって頭部を連結してもよい。
複数の鋼矢板13の頭部を連結するには、当該複数の頭部をY方向に連続するコンクリート(コーピングコンクリート)によって連結してもよいし、頭部どうしを溶接によって連結してもよいし、H形鋼等の鋼材をY方向に延在するようにして設け、この鋼材に鋼矢板の頭部を溶接等によって固定することによって頭部を連結してもよい。
また、土圧低減壁12は、ハット形の鋼矢板13に限らず、U形鋼矢板、直線鋼矢板等の鋼矢板によって構成してもよく、さらに、これら鋼矢板を複数連結することによって構成してもよい。
前記抵抗壁15は、土圧低減壁12に連結されるとともに当該土圧低減壁12と略直交する方向に延在し、かつ土留壁10と逆側に延在して設けられている。
「略直交する方向に延在し」とは、抵抗壁15は土圧低減壁12と直交して設けられるのが好ましいが、抵抗壁15の施工誤差等によって当該抵抗壁15が土圧低減壁12に対して直交方向から若干傾く場合があるので、このような場合も含む意味である。
「略直交する方向に延在し」とは、抵抗壁15は土圧低減壁12と直交して設けられるのが好ましいが、抵抗壁15の施工誤差等によって当該抵抗壁15が土圧低減壁12に対して直交方向から若干傾く場合があるので、このような場合も含む意味である。
また、抵抗壁15の一端部(X方向の左端部)は、土圧低減壁12に連結されている。抵抗壁15の一端部を土圧低減壁12に連結する場合、例えば、図2(c)に示すように、抵抗壁15の一端部を土圧低減壁12に溶接によって連結してもよいし、図2(d)に示すように、土圧低減壁12に継手部12cを固定し、この継手部12cに抵抗壁15の一端部(左端部)に設けられている継手部13cを結合してもよい。なお、この継手部12cは、鋼矢板を切断した形状でも、熱間押出法や切削等により成形された形状でもよい。
さらに、抵抗壁15の下端部は非液状化層NLLに根入れされ、上端は液状化層LLの上面とほぼ面一となっている。
さらに、抵抗壁15の下端部は非液状化層NLLに根入れされ、上端は液状化層LLの上面とほぼ面一となっている。
また、抵抗壁15は、複数(本実施の形態では3つ)のハット形の鋼矢板16を抵抗壁15の延在方向(X方向)に連結することによって構成されている。
ハット形の鋼矢板16は、図4に示すように、前記ハット形の鋼矢板13と等しい構成のものであり、断面略コ字形のウェブ部13aと、このウェブ部13aの両端に連続して形成された一対のフランジ部13b,13bと、これら一対のフランジ部13b,13bの先端側に形成された継手部13c,13cとによって構成されている。そして、鋼矢板16,16どうしは、図2(b)に示すように、それらの継手部13c,13cどうしを係合することによって、連結されている。
ハット形の鋼矢板16は、図4に示すように、前記ハット形の鋼矢板13と等しい構成のものであり、断面略コ字形のウェブ部13aと、このウェブ部13aの両端に連続して形成された一対のフランジ部13b,13bと、これら一対のフランジ部13b,13bの先端側に形成された継手部13c,13cとによって構成されている。そして、鋼矢板16,16どうしは、図2(b)に示すように、それらの継手部13c,13cどうしを係合することによって、連結されている。
また、3つの鋼矢板16の下端部は非液状化層NLLに根入れされており、上端は液状化層LLの上面とほぼ面一となっている。鋼矢板16の下端部の根入れ長さ(深さ)は適宜設定されるが、根入れ長さ(深さ)が長い(深い)ほど、液状化時の側方流動圧に対して強く抗することができる。したがって、鋼矢板16の根入れ長さを長くすることによって、鋼矢板16の数を減らすことができる。
なお、抵抗壁15は、ハット形の鋼矢板16に限らず、U形鋼矢板、直線形鋼矢板等の鋼矢板をそれぞれ連結することによって構成してもよい。
なお、抵抗壁15は、ハット形の鋼矢板16に限らず、U形鋼矢板、直線形鋼矢板等の鋼矢板をそれぞれ連結することによって構成してもよい。
また、図2(a)に示すように、抵抗壁15を構成する複数のハット形の鋼矢板16の頭部(上端部)を連結してもよい。複数の鋼矢板16の頭部を連結するには、当該複数の頭部をX方向に連続するコンクリート(コーピングコンクリート)17によって連結してもよいし、頭部どうしを溶接によって連結してもよいし、H形鋼等の鋼材をX方向に延在するようにして設け、この鋼材に鋼矢板の頭部を溶接等によって固定することによって頭部を連結してもよい。
このような土圧低減壁12および抵抗壁15を備えた鋼製壁11を施工する場合、例えば、まず土圧低減壁12を、土留壁10の背面土において、当該土留壁10と所定の間隔をもって打設または圧入する。土圧低減壁12はハット形の鋼矢板13によって構成されているので、この鋼矢板13を土留壁10の延在方向(Y方向)と平行に打設または圧入し、当該鋼矢板13の下端部を非液状化層NLLに根入れする。
なお、土圧低減壁12を非液状化層NLLに根入れしない場合、鋼矢板13の下端を非液状化層NLLの上面に当接させるか、当該上面より上方に位置させる。
なお、土圧低減壁12を非液状化層NLLに根入れしない場合、鋼矢板13の下端を非液状化層NLLの上面に当接させるか、当該上面より上方に位置させる。
次に、抵抗壁15を土圧低減壁12に対して直交するようにして施工する。
この場合、まず、抵抗壁15を構成する複数(実施の形態では3つ)のハット形の鋼矢板16のうち、最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16を土圧低減壁12に対して平面視において直角に配置して打設または圧入する。
鋼矢板16の端部には継手部13cが設けられているので(図4参照)、この継手部13cを土圧低減壁12(鋼矢板13)に係合する場合、鋼矢板13のウェブ部13aに予め図示しない継手部を設けておき、この継手部に鋼矢板16の継手部13cを係合させながら当該鋼矢板16を打設または圧入し、当該鋼矢板16の下端部を非液状化層NLLに根入れする。
この場合、まず、抵抗壁15を構成する複数(実施の形態では3つ)のハット形の鋼矢板16のうち、最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16を土圧低減壁12に対して平面視において直角に配置して打設または圧入する。
鋼矢板16の端部には継手部13cが設けられているので(図4参照)、この継手部13cを土圧低減壁12(鋼矢板13)に係合する場合、鋼矢板13のウェブ部13aに予め図示しない継手部を設けておき、この継手部に鋼矢板16の継手部13cを係合させながら当該鋼矢板16を打設または圧入し、当該鋼矢板16の下端部を非液状化層NLLに根入れする。
また、最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16の端部を土圧低減壁12(鋼矢板13)に溶接によって結合する場合、鋼矢板13を打設または圧入する前に、当該鋼矢板13のウェブ部13aに鋼矢板16の端部を溶接によって結合しておく。そして、結合された鋼矢板13,16を打設または圧入し、当該鋼矢板13,16の下端部を非液状化層NLLに根入れする。
次に、2つ目の鋼矢板16をその前に施工した1つ目の鋼矢板16のX方向における延長上に配置したうえで、2つ目の鋼矢板16を打設または圧入する。この場合、図2(b)に示すように、2つ目の鋼矢板16の端部の継手部13cを1つ目の鋼矢板16の端部の継手部13cに係合しながら打設または圧入し、当該2つ目の鋼矢板16の下端部を非液状化層NLLに根入れする。
最後に、3つ目の鋼矢板16をその前に施工した2つ目の鋼矢板16のX方向における延長上に配置したうえで、3つ目の鋼矢板16を打設または圧入する。この場合、3つ目の鋼矢板16の端部の継手部13cを2つ目の鋼矢板16の端部の継手部13cに係合しながら打設または圧入し、当該3つ目の鋼矢板16の下端部を非液状化層NLLに根入れする。
なお、鋼矢板16をさらに打設または圧入する必要がある場合、上記と同様にして必要な数だけ鋼矢板16を打設または圧入するとともに、1つ前に打設または圧入した鋼矢板16に継手部13cによって連結する。
また、このようにして施工した鋼製壁11のY方向の隣に、次の鋼製壁11を施工する場合も同様にして土圧低減壁12および抵抗壁15を打設または圧入することによって行う。この場合、隣り合う鋼製壁11,11は、それらの土圧低減壁12,12がY方向において所定の間隔をもつようにし、それらの間にあるタイロッド等の接続部材6が土圧低減壁12に干渉しないようにする。
なお、鋼矢板16をさらに打設または圧入する必要がある場合、上記と同様にして必要な数だけ鋼矢板16を打設または圧入するとともに、1つ前に打設または圧入した鋼矢板16に継手部13cによって連結する。
また、このようにして施工した鋼製壁11のY方向の隣に、次の鋼製壁11を施工する場合も同様にして土圧低減壁12および抵抗壁15を打設または圧入することによって行う。この場合、隣り合う鋼製壁11,11は、それらの土圧低減壁12,12がY方向において所定の間隔をもつようにし、それらの間にあるタイロッド等の接続部材6が土圧低減壁12に干渉しないようにする。
なお、土圧低減壁12および抵抗壁15を備えた鋼製壁11を施工する場合、上記とは逆の順で施工してもよい、つまり抵抗壁15を施工した後、土圧低減壁12を施工してもよい。
以上のように本実施の形態の土留壁補強構造によれば、土留壁10が埋設されている地盤(背面土)の液状化層LLが液状化すると、当該液状化した背面土の慣性力および重力により発生する側方流動により、土留壁10に対して側方流動圧が作用するが、この側方流動圧の少なくとも一部を土留壁10の延在方向と略平行に設けられた土圧低減壁12が受ける。
一方、土圧低減壁12は、当該土圧低減壁12と略直交し、かつ土留壁10と逆側に延在する抵抗壁15に連結され、この抵抗壁15の下端部は非液状化層NLLに根入れされている。
したがって、土圧低減壁12が受けた側方流動圧に、下端部が非液状化層NLLに根入れされた抵抗壁15が抗することになる。つまり、前記側方流動圧に対して、土圧低減壁12の水平抵抗および抵抗壁15の水平せん断抵抗によって抗することができる。よって、液状化時において、土留壁10に作用する側方流動圧を低減でき、耐震性の高い岸壁または護岸の土留壁10を構築できる。
また、土圧低減壁12は土留壁10に連結されていないので、従来要していたタイロッド等による既設の土留壁10に対する連結等の工事が必要なく、また、既設の土留壁10に新たに工事を施す必要がない。したがって、土留壁補強構造の施工が容易となる。
一方、土圧低減壁12は、当該土圧低減壁12と略直交し、かつ土留壁10と逆側に延在する抵抗壁15に連結され、この抵抗壁15の下端部は非液状化層NLLに根入れされている。
したがって、土圧低減壁12が受けた側方流動圧に、下端部が非液状化層NLLに根入れされた抵抗壁15が抗することになる。つまり、前記側方流動圧に対して、土圧低減壁12の水平抵抗および抵抗壁15の水平せん断抵抗によって抗することができる。よって、液状化時において、土留壁10に作用する側方流動圧を低減でき、耐震性の高い岸壁または護岸の土留壁10を構築できる。
また、土圧低減壁12は土留壁10に連結されていないので、従来要していたタイロッド等による既設の土留壁10に対する連結等の工事が必要なく、また、既設の土留壁10に新たに工事を施す必要がない。したがって、土留壁補強構造の施工が容易となる。
また、抵抗壁15は、複数の鋼矢板16を抵抗壁15の延在方向に連結することによって構成されているので、抵抗壁15の長さ(土圧低減壁12と直交する方向の長さ)を調整できる。さらに、複数の鋼矢板16の頭部をコーピングコンクリート17等によって連結することによって、抵抗壁15の剛性を向上させることができる。
また、土圧低減壁12を、複数の鋼矢板13を土圧低減壁12の延在方向に連結することによって構成することによって、土圧低減壁12の長さ(土留壁10の延在方向における長さ)を調整できるとともに、複数の鋼矢板13の頭部を連結することによって、土圧低減壁12の剛性を向上させることができる。
また、土圧低減壁12を、複数の鋼矢板13を土圧低減壁12の延在方向に連結することによって構成することによって、土圧低減壁12の長さ(土留壁10の延在方向における長さ)を調整できるとともに、複数の鋼矢板13の頭部を連結することによって、土圧低減壁12の剛性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態では、土圧低減壁12の幅方向(Y方向)において、隣り合う鋼製壁11,11が所定の間隔をもって配置されているので、これらの間にあるタイロッド等の接続部材6に鋼製壁11の土圧低減壁12が干渉することがない。
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態を示すもので、土留壁補強構造の概略側断面図である。
本実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、抵抗壁15を構成する複数の鋼矢板16のうち、少なくとも1つの鋼矢板、つまり本実施の形態では3つの鋼矢板16a〜16cが、他の鋼矢板16より下端部が下方に突出している点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図5は、第2の実施の形態を示すもので、土留壁補強構造の概略側断面図である。
本実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、抵抗壁15を構成する複数の鋼矢板16のうち、少なくとも1つの鋼矢板、つまり本実施の形態では3つの鋼矢板16a〜16cが、他の鋼矢板16より下端部が下方に突出している点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
第2の実施の形態では、抵抗壁15が4つの鋼矢板16,16a,16b,16cを抵抗壁15の延在方向(X方向)に連結することによって構成されている。
また、最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16は、第1の実施の形態における最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16と同一構成であるが、2つ目〜4つ目の鋼矢板16a〜16cは、1つ目の鋼矢板16より下端部が下方に突出しており、さらに、下端部の突出長さが鋼矢板16a〜16cの順で長くなっている。
つまり、土圧低減壁12を構成する4つの鋼矢板16,16a,16b,16cはこの順で上下方向(Z方向)の長さが長く、かつ、下端部がこの順で段階的に下方に所定長さだけ手前側(土留壁10側)の鋼矢板より下方に突出している。また、4つの鋼矢板16,16a,16b,16cのそれぞれの下端部は非液状化層NLLに根入れされている。
また、最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16は、第1の実施の形態における最も土圧低減壁12に近い側の鋼矢板16と同一構成であるが、2つ目〜4つ目の鋼矢板16a〜16cは、1つ目の鋼矢板16より下端部が下方に突出しており、さらに、下端部の突出長さが鋼矢板16a〜16cの順で長くなっている。
つまり、土圧低減壁12を構成する4つの鋼矢板16,16a,16b,16cはこの順で上下方向(Z方向)の長さが長く、かつ、下端部がこの順で段階的に下方に所定長さだけ手前側(土留壁10側)の鋼矢板より下方に突出している。また、4つの鋼矢板16,16a,16b,16cのそれぞれの下端部は非液状化層NLLに根入れされている。
本実施の形態の土留壁補強構造によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、3つの鋼矢板16a〜16cが他の鋼矢板16より下端部が下方に突出しているので、下端部が下方に突出している鋼矢板16a〜16cの根入れ長さを長くできる。したがって、鋼矢板16a〜16cの根入れ長さを調整することによって、抵抗壁15の水平せん断抵抗力を調整できる。
特に、本実施の形態では、土圧低減壁12が側方流動圧を受けた際に、当該土圧低減壁12から遠い位置にある鋼矢板ほど非液状化層NLLから引き抜かれ易くなるが、土圧低減壁12から遠い位置にある鋼矢板ほど根入れ長さ(深さ)が長く(深く)なっているので、全ての鋼矢板16、16a〜16cが非液状化層NLLから引き抜かれ難くなり、抵抗壁15の水平せん断抵抗力を確実に得ることができる。
特に、本実施の形態では、土圧低減壁12が側方流動圧を受けた際に、当該土圧低減壁12から遠い位置にある鋼矢板ほど非液状化層NLLから引き抜かれ易くなるが、土圧低減壁12から遠い位置にある鋼矢板ほど根入れ長さ(深さ)が長く(深く)なっているので、全ての鋼矢板16、16a〜16cが非液状化層NLLから引き抜かれ難くなり、抵抗壁15の水平せん断抵抗力を確実に得ることができる。
図6および図7は、それぞれ第1および第2の実施の形態の複数の変形例を示すもので、土留壁補強構造の概略平断面図である。
図6(a)に示す土留壁補強構造では、土留壁10の延在方向(Y方向)に隣り合う鋼製壁11が千鳥状に配置されている。つまり、Y方向に隣り合う鋼製壁11,11は、その土圧低減壁12,12がX方向に所定ピッチだけずれている。また、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12はY方向において所定の隙間をもって配置されている。
図6(a)に示す土留壁補強構造では、土留壁10の延在方向(Y方向)に隣り合う鋼製壁11が千鳥状に配置されている。つまり、Y方向に隣り合う鋼製壁11,11は、その土圧低減壁12,12がX方向に所定ピッチだけずれている。また、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12はY方向において所定の隙間をもって配置されている。
また、図示は省略するが、各鋼製壁11の土圧低減壁12および抵抗壁15の下端部は非液状化層に根入れされている。また、抵抗壁15を構成する各鋼矢板16の下端部の根入れ深さ(長さ)は、図3に示したように、全ての鋼矢板16において等しくてもよく、図5に示したように、鋼矢板16の下端部の根入れ深さを異なるものとしてもよい。
このような土留壁補強構造では、液状化時に背面土が土留壁10に向けて側方流動する際に、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12のうち、土留壁10から遠い側の土圧低減壁12に側方流動圧が作用し、これによって、当該側方流動圧が所定量だけ弱められる。そして、この弱められた側方流動圧が土留壁10から近い側の土圧低減壁12に作用する。このため、側方流動圧を複数の土圧低減壁12によって効率的に受けることができる、という利点がある。
図6(b)に示す土留壁補強構造では、図6(a)に示す土留壁補強構造と同様に、土留壁10の延在方向(Y方向)に隣り合う鋼製壁11が千鳥状に配置されているが、Y方向に隣り合う鋼製壁11,11の土圧低減壁12,12はY方向において所定の隙間をもって配置されているのではなく、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部はX方向において重なっている。つまり、土圧低減壁12,12の幅方向の端部がY方向においてラップしている。
また、図示は省略するが、各鋼製壁11の土圧低減壁12および抵抗壁15の下端部は非液状化層に根入れされている。また、抵抗壁15を構成する各鋼矢板16の下端部の根入れ深さ(長さ)は、図3に示したように、全ての鋼矢板16において等しくてもよく、図5に示したように、鋼矢板16の下端部の根入れ深さを異なるものとしてもよい。
このような土留壁補強構造では、図6(a)に示す土留壁補強構造と同様の効果を得ることができるとともに、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なっているので、液状化時に背面土が土留壁10に向けて側方流動する際に、当該側方流動が、土圧低減壁12の幅方向端部から回り込んで土留壁10に作用し難くなる。このため、側方流動圧を土圧低減壁12によってより効率的に受けることができるので、土留壁に作用する側方流動圧を効率的に低減できる。
図6(c)に示す土留壁補強構造では、土留壁10の延在方向(Y方向)に隣り合う鋼製壁11がX方向において所定ピッチだけずれているとともに、平面視おいて土圧低減壁12が略波をうつように配置されるとともに、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12は所定の隙間をもって配置されている。
また、図示は省略するが、各鋼製壁11の土圧低減壁12および抵抗壁15の下端部は非液状化層に根入れされている。また、抵抗壁15を構成する各鋼矢板16の下端部の根入れ深さ(長さ)は、図3に示したように、全ての鋼矢板16において等しくてもよく、図5に示したように、鋼矢板16の下端部の根入れ深さを異なるものとしてもよい。
このような土留壁補強構造では、図6(a)に示す土留壁補強構造と同様の効果を得ることができるとともに、例えば土留壁10と土圧低減壁12との間に、電柱等の障害物18が設置されている場合に、この障害物18を避けて、鋼製壁11を埋設できるという利点がある。
なお、本変形例において、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なるように鋼製壁11を埋設してもよい。
なお、本変形例において、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なるように鋼製壁11を埋設してもよい。
図7(a)に示す土留壁補強構造では、図6(a)に示す土留壁補強構造において、Y方向に隣り合う鋼製壁11,11の抵抗壁15の長さ(X方向の長さ)を異ならせることによって、各抵抗壁15の他端部(X方向の右端部)をX方向において揃えたものである。
また、図示は省略するが、各鋼製壁11の土圧低減壁12および抵抗壁15の下端部は非液状化層に根入れされている。また、抵抗壁15を構成する各鋼矢板16の下端部の根入れ深さ(長さ)は、図3に示したように、全ての鋼矢板16において等しくてもよく、図5に示したように、鋼矢板16の下端部の根入れ深さを異なるものとしてもよい。
また、Y方向に隣り合う抵抗壁15,15のうち、X方向の長さが短い方の抵抗壁15は、液状化時の側方流動圧に対する抵抗力が長い方の抵抗壁15より小さくなるため、短い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さを、長い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さより深くしてもよい。
また、Y方向に隣り合う抵抗壁15,15のうち、X方向の長さが短い方の抵抗壁15は、液状化時の側方流動圧に対する抵抗力が長い方の抵抗壁15より小さくなるため、短い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さを、長い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さより深くしてもよい。
このような土留壁補強構造では、図6(a)に示す土留壁補強構造と同様の効果を得ることができるとともに、各抵抗壁15の他端部(X方向の右端部)がX方向において揃えられているので、X方向の長さが短い抵抗壁15を有する鋼製壁11を使用でき、その分鋼製壁11の鋼材量を軽減できるとともに、抵抗壁15の他端部(右端部)側にY方向に延在する地中構造物がある場合や、新たに地中構造物を施工する際に、これら地中構造物に対して、抵抗壁15の他端部が干渉するのを容易に防ぐことができる。
なお、本変形例において、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なるように鋼製壁11を埋設してもよい。
なお、本変形例において、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なるように鋼製壁11を埋設してもよい。
図7(b)に示す土留壁補強構造では、図6(c)に示す土留壁補強構造において、Y方向に隣り合う鋼製壁11,11の抵抗壁15の長さ(X方向の長さ)を異ならせることによって、各抵抗壁15の他端部(X方向の右端部)をX方向において揃えたものである。
また、図示は省略するが、各鋼製壁11の土圧低減壁12および抵抗壁15の下端部は非液状化層に根入れされている。また、抵抗壁15を構成する各鋼矢板16の下端部の根入れ深さ(長さ)は、図3に示したように、全ての鋼矢板16において等しくてもよく、図5に示したように、鋼矢板16の下端部の根入れ深さを異なるものとしてもよい。
また、Y方向に隣り合う抵抗壁15,15のうち、X方向の長さが短い方の抵抗壁15は、液状化時の側方流動圧に対する抵抗力が長い方の抵抗壁15より小さくなるため、短い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さを、長い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さより深くしてもよい。
また、Y方向に隣り合う抵抗壁15,15のうち、X方向の長さが短い方の抵抗壁15は、液状化時の側方流動圧に対する抵抗力が長い方の抵抗壁15より小さくなるため、短い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さを、長い方の抵抗壁15の下端部の根入れ深さより深くしてもよい。
このような土留壁補強構造では、図6(c)に示す土留壁補強構造と同様の効果を得ることができるとともに、各抵抗壁15の他端部(X方向の右端部)がX方向において揃えられているので、X方向の長さが短い抵抗壁15を有する鋼製壁11を使用でき、その分鋼製壁11の鋼材量を軽減できるとともに、抵抗壁15の他端部側にY方向に延在する地中構造物がある場合や、新たに地中構造物を施工する際に、これら地中構造物に対して、抵抗壁15の他端部が干渉するのを容易に防ぐことができる。
なお、本変形例において、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なるように鋼製壁11を埋設してもよい。
なお、本変形例において、Y方向に隣り合う土圧低減壁12,12の幅方向端部がX方向において重なるように鋼製壁11を埋設してもよい。
(第3の実施の形態)
図8〜図10は、第3の実施の形態を示すもので、図8は土留壁補強構造の概略側断面図、図9は土留壁補強構造の概略平断面図、図10は閉合断面構造部の平断面図である。
本実施の形態の土留壁補強構造が、第1の実施の形態の土留壁補強構造と異なる点は、複数の鋼矢板16のうち少なくも1つの鋼矢板16は、その下端部に当該下端部以外の部分より平断面が大きい閉合断面構造部20を有する点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。なお、図8において、閉合断面構造部20にはハッチングを施してある。
図8〜図10は、第3の実施の形態を示すもので、図8は土留壁補強構造の概略側断面図、図9は土留壁補強構造の概略平断面図、図10は閉合断面構造部の平断面図である。
本実施の形態の土留壁補強構造が、第1の実施の形態の土留壁補強構造と異なる点は、複数の鋼矢板16のうち少なくも1つの鋼矢板16は、その下端部に当該下端部以外の部分より平断面が大きい閉合断面構造部20を有する点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。なお、図8において、閉合断面構造部20にはハッチングを施してある。
図8(a)および図9に示すように、抵抗壁15を構成する3つのハット形の鋼矢板16のうち、土圧低減壁12に連結されている1つ目の鋼矢板16は、非液状化層NLLに根入れされている下端部に閉合断面構造部20を有している。この閉合断面構造部20は、図10に示すように、鋼矢板16の下端部に、当該鋼矢板16と断面形状が等しく、かつ鋼矢板16より上下方向の長さが短い閉合部材21を溶接等によって結合することによって、鋼矢板16の下端部に閉塞断面を形成してなるものである。
閉合部材21は、前記鋼矢板16と断面形状が等しい鋼矢板から所定長さ部分だけ切り出すとともに、両端部の継手部を切除することによって形成されたものであり、断面略コ字形のウェブ部21aと、このウェブ部21aの両端に連続して形成された一対のフランジ部21b,21bとによって構成されている。
このような閉合部材21は、そのウェブ部21aおよびフランジ部21b,21bを、鋼矢板16の下端部のウェブ部13aおよびフランジ部13b,13bに対して対称的に配置するとともに、フランジ部21b,21bの端部をフランジ部13b,13bの端部に溶接することによって、鋼矢板16の根入れされる下端部に固定されている。
また、閉合部材21の上下方向の長さについては、閉合断面構造部20は非閉合部と比較し剛性が高いため、根入れ長さより長く(鋼矢板16(壁体)に応力が卓越して作用する液状化層LLと非液状化層NLLの層境をまたぐように)することにより、鋼矢板16(壁体)に生じる応力度を低減できる。このため、鋼矢板16(壁体)全体の必要な剛性を低減できることから、鋼材料(材料)を軽減できる。
なお、閉合部材21は、図10に二点鎖線で示すように、直線形鋼矢板の両端の継手部を切除してなる平板状部材22によって構成してもよいし、板材(平板、曲線(円弧板))や他の鋼矢板(例えば、ハット形鋼矢板に、閉合部材としてU形鋼矢板を取り付ける)や鋼管によって構成してもよい。
また、閉合部材21として鋼矢板を用いる場合、継手部は切断してもよいし、切断しなくてもよい。
このような閉合部材21は、そのウェブ部21aおよびフランジ部21b,21bを、鋼矢板16の下端部のウェブ部13aおよびフランジ部13b,13bに対して対称的に配置するとともに、フランジ部21b,21bの端部をフランジ部13b,13bの端部に溶接することによって、鋼矢板16の根入れされる下端部に固定されている。
また、閉合部材21の上下方向の長さについては、閉合断面構造部20は非閉合部と比較し剛性が高いため、根入れ長さより長く(鋼矢板16(壁体)に応力が卓越して作用する液状化層LLと非液状化層NLLの層境をまたぐように)することにより、鋼矢板16(壁体)に生じる応力度を低減できる。このため、鋼矢板16(壁体)全体の必要な剛性を低減できることから、鋼材料(材料)を軽減できる。
なお、閉合部材21は、図10に二点鎖線で示すように、直線形鋼矢板の両端の継手部を切除してなる平板状部材22によって構成してもよいし、板材(平板、曲線(円弧板))や他の鋼矢板(例えば、ハット形鋼矢板に、閉合部材としてU形鋼矢板を取り付ける)や鋼管によって構成してもよい。
また、閉合部材21として鋼矢板を用いる場合、継手部は切断してもよいし、切断しなくてもよい。
本実施の形態の土留壁補強構造によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、抵抗壁15を構成する複数の鋼矢板16のうち、土圧低減壁12に連結される1つ目の鋼矢板16は、下端部に閉合断面構造部20を有している。
したがって、液状化時における背面土(液状化層LL)の側方流動圧によって、土圧低減壁12が土留壁10側に押圧されると、これに伴って土留低減壁12に連結されている1つ目の鋼矢板16が土留壁10側に引っ張られて倒れ、非液状化層NLLに下端部がさらに貫入しようとするが、当該鋼矢板16は根入れされている下端部に閉合断面構造部20を有するので、閉合断面構造部20を有していない場合に比して、側方流動圧に対して大きな鉛直抵抗によって抗することができるとともに、土圧低減壁12の水平抵抗および抵抗壁15の水平せん断抵抗によって抗することができる。したがって、液状化時における、土留壁に作用する側方流動圧をより大きく低減できる。
また、土圧低減壁12が土留壁10側に押圧された際に最も引抜き力が作用するのは、抵抗壁15のうち土圧低減壁12から最も離れた位置の鋼矢板16(壁体)である。したがって、図8(b)に示すように、土圧低減壁12から最も離れた位置に閉合断面構造部20を設けることで、効果的に補強が可能である。
すなわち、抵抗壁15を構成する複数の鋼矢板16のうち、土圧低減壁12に連結される1つ目の鋼矢板16は、下端部に閉合断面構造部20を有している。
したがって、液状化時における背面土(液状化層LL)の側方流動圧によって、土圧低減壁12が土留壁10側に押圧されると、これに伴って土留低減壁12に連結されている1つ目の鋼矢板16が土留壁10側に引っ張られて倒れ、非液状化層NLLに下端部がさらに貫入しようとするが、当該鋼矢板16は根入れされている下端部に閉合断面構造部20を有するので、閉合断面構造部20を有していない場合に比して、側方流動圧に対して大きな鉛直抵抗によって抗することができるとともに、土圧低減壁12の水平抵抗および抵抗壁15の水平せん断抵抗によって抗することができる。したがって、液状化時における、土留壁に作用する側方流動圧をより大きく低減できる。
また、土圧低減壁12が土留壁10側に押圧された際に最も引抜き力が作用するのは、抵抗壁15のうち土圧低減壁12から最も離れた位置の鋼矢板16(壁体)である。したがって、図8(b)に示すように、土圧低減壁12から最も離れた位置に閉合断面構造部20を設けることで、効果的に補強が可能である。
(第4の実施の形態)
図11は、第4の実施の形態を示すもので、土留壁補強構造の概略側断面図である。
本実施の形態の土留壁補強構造が、第3の実施の形態の土留壁補強構造と異なる点は、
抵抗壁15を構成する複数の鋼矢板16の数を1つ増加した点、2つの鋼矢板16の根入れ深さを深くした点、当該2つの鋼矢板16が、下端部に閉合断面構造部20を有している点であるので、以下ではこれらの点について説明し、第3の実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
図11は、第4の実施の形態を示すもので、土留壁補強構造の概略側断面図である。
本実施の形態の土留壁補強構造が、第3の実施の形態の土留壁補強構造と異なる点は、
抵抗壁15を構成する複数の鋼矢板16の数を1つ増加した点、2つの鋼矢板16の根入れ深さを深くした点、当該2つの鋼矢板16が、下端部に閉合断面構造部20を有している点であるので、以下ではこれらの点について説明し、第3の実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
まず、本実施の形態では、抵抗壁15は4つの鋼矢板16をX方向に連結することによって構成されている。
これら4つの鋼矢板16のうち、土圧低減壁12に連結されている1つ目の鋼矢板16と3つ目の鋼矢板16の上下方向の長さが、2つ目および4つ目の鋼矢板16の上下の長さより長くなっている。これによって、1つ目および3つ目の鋼矢板16の非液状化層NLLへの根入れ深さが、2つ目および4つ目の鋼矢板16の根入れ深さより深くなっている。なお、2つ目および4つ目の鋼矢板16の根入れ深さは、第3の実施の形態における鋼矢板16の根入れ深さと等しくなっている。
これら4つの鋼矢板16のうち、土圧低減壁12に連結されている1つ目の鋼矢板16と3つ目の鋼矢板16の上下方向の長さが、2つ目および4つ目の鋼矢板16の上下の長さより長くなっている。これによって、1つ目および3つ目の鋼矢板16の非液状化層NLLへの根入れ深さが、2つ目および4つ目の鋼矢板16の根入れ深さより深くなっている。なお、2つ目および4つ目の鋼矢板16の根入れ深さは、第3の実施の形態における鋼矢板16の根入れ深さと等しくなっている。
また、非液状化層NLLへの根入れ深さが深い1つ目および3つ目の鋼矢板16は、その下端部に閉合断面構造部20を有している。この閉合断面構造部20は、第3の実施の形態の場合と同様に、鋼矢板16の下端部に、当該鋼矢板16と断面形状が等しい閉合部材を溶接等によって結合することによって形成されたものである。また、閉合断面構造部20は非液状化層NLLの表面から所定深さ位置より下側に設けられている。
なお、閉合断面構造部20を、非液状化層NLLの表面から鋼矢板16の下端まで延在するように設けてもよい。
なお、閉合断面構造部20を、非液状化層NLLの表面から鋼矢板16の下端まで延在するように設けてもよい。
なお、本実施の形態では、閉合断面構造部20を1つ目および3つ目の鋼矢板16の下端部に設けた、つまり1つおきに鋼矢板16の下端部に断面構造部20を設けたが、例えば1つ目と2つ目、2つ目と3つ目、3つ目と4つ目等のように連続して鋼矢板の下端部に設けてもよいし、1つおきおよび連続している鋼矢板の下端部に設けてもよい。
本実施の形態の土留壁補強構造によれば、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、抵抗壁15を構成する4つの鋼矢板16のうち、2つの鋼矢板16の根入れ深さが残り2つの鋼矢板16の根入れ深さより深く、さらに、根入れ深さが深い2つの鋼矢板16の下端部に閉合断面構造部20が設けられているので、液状化時における、土留壁に作用する側方流動圧を第3の実施の形態の土留壁補強構造より大きく低減できる。
図12は、上述した第1〜第4の実施の形態において、抵抗壁15がその一部に、当該抵抗壁15からこの抵抗壁15の延在方向(X方向)と交差する方向に突出する突出部23を有する場合を示している。
上述したように、抵抗壁15は、複数の鋼矢板16をX方向に連結してなるものであり、これら複数の鋼矢板16のうち、少なくとも1つの鋼矢板16に突出部23が突出して設けられている。この突出部23は、断面矩形状に形成されており、鋼矢板16のウェブ部13aの幅方向略中央部に突出するようにして溶接等によって固定されている。
上述したように、抵抗壁15は、複数の鋼矢板16をX方向に連結してなるものであり、これら複数の鋼矢板16のうち、少なくとも1つの鋼矢板16に突出部23が突出して設けられている。この突出部23は、断面矩形状に形成されており、鋼矢板16のウェブ部13aの幅方向略中央部に突出するようにして溶接等によって固定されている。
なお、突出部23は、図12に二点鎖線で示すように、フランジ部13b設けてもよい。
また、突出部23は断面矩形状に形成されたものに限らず、鋼矢板を使用してもよい。鋼矢板を使用する場合、例えば、抵抗壁15を構成する鋼矢板16と同様の形状または異なる形状の鋼矢板を一部切断し、この切断した鋼矢板を抵抗壁15から突出するようにして設けてもよいし、抵抗壁15を構成する鋼矢板16と同様の形状または異なる形状の鋼矢板を平面視において90度回転させて、その幅方向中央部を抵抗壁15に結合してもよい。
また、突出部23は断面矩形状に形成されたものに限らず、鋼矢板を使用してもよい。鋼矢板を使用する場合、例えば、抵抗壁15を構成する鋼矢板16と同様の形状または異なる形状の鋼矢板を一部切断し、この切断した鋼矢板を抵抗壁15から突出するようにして設けてもよいし、抵抗壁15を構成する鋼矢板16と同様の形状または異なる形状の鋼矢板を平面視において90度回転させて、その幅方向中央部を抵抗壁15に結合してもよい。
また、突出部23は、鋼矢板16の下端部、すなわち非液状化層NLLに根入れされた部分に上下に延在するようにして設けられていてもよいし、鋼矢板16の根入れされた部分より上側の部分、すなわち液状化層LLに埋設されている鋼矢板16の部分に設けられていてもよいし、さらに双方に設けられていてもよい。また、突出部23は上下方向に連続的に延在するようにして設けられていてもよいし、上下方向に離散的に設けられていてもよい。
また、第3および第4実施の形態のように、鋼矢板16の下端部に閉合断面構造部20を有する場合、この閉合断面構造部20に突出部23を設けてもよい。
また、第3および第4実施の形態のように、鋼矢板16の下端部に閉合断面構造部20を有する場合、この閉合断面構造部20に突出部23を設けてもよい。
このように、突出部23が抵抗壁15を構成する鋼矢板16の根入れされた下端部にある場合、土圧低減壁12が受けた側方流動圧に対して、突出部23がない場合に比して大きな抵抗によって抗することができる。
また、突出部23が抵抗壁15を構成する鋼矢板16の下端部以外の根入れされていない部分にある場合、側方流動圧の一部を突出部23によって受けることができる。このため、液状化時において、土留壁10に作用する側方流動圧をより効果的に低減できる。
また、突出部23は抵抗壁15を構成する鋼矢板16に、抵抗壁15の延在方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に突出していてもよいし、直交以外の交差する方向に突出していてもよい。
また、突出部23が抵抗壁15を構成する鋼矢板16の下端部以外の根入れされていない部分にある場合、側方流動圧の一部を突出部23によって受けることができる。このため、液状化時において、土留壁10に作用する側方流動圧をより効果的に低減できる。
また、突出部23は抵抗壁15を構成する鋼矢板16に、抵抗壁15の延在方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に突出していてもよいし、直交以外の交差する方向に突出していてもよい。
なお、第1〜第4の実施の形態では、本発明の土留壁補強構造を既設護岸・岸壁等の土留壁に適用した場合を例にとって説明したが、本発明はこれに限ることなく、擁壁(土留壁)にも適用可能である。
10 土留壁
11 鋼製壁(壁体)
12 土圧低減壁
13 鋼矢板
15 抵抗壁
16鋼矢板
17 コーピングコンクリート
20 閉合断面構造部
21 閉合部材
23 突出部
NLL 非液状化層
LL 液状化層
11 鋼製壁(壁体)
12 土圧低減壁
13 鋼矢板
15 抵抗壁
16鋼矢板
17 コーピングコンクリート
20 閉合断面構造部
21 閉合部材
23 突出部
NLL 非液状化層
LL 液状化層
Claims (6)
- 土留壁を補強する土留壁補強構造であって、
前記土留壁の背面土に埋設される壁体を備え、
前記壁体が前記土留壁の延在方向と略平行に設けられた土圧低減壁と、
前記土圧低減壁に連結されるとともに当該土圧低減壁と略直交し、かつ前記土留壁と逆側に延在する抵抗壁とを備え、
前記土圧低減壁は前記土留壁に連結されておらず、
前記抵抗壁の下端部は非液状化層に根入れされていることを特徴とする土留壁補強構造。 - 前記抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成され、
複数の前記鋼矢板の頭部が連結されていることを特徴とする請求項1に記載の土留壁補強構造。 - 前記土圧低減壁は、複数の鋼矢板を前記土圧低減壁の延在方向に連結することによって構成され、
前記土圧低減壁を構成する複数の前記鋼矢板の頭部が連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の土留壁補強構造。 - 前記抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成され、
前記抵抗壁を構成する複数の前記鋼矢板のうち少なくとも1つの鋼矢板は、他の前記鋼矢板より下端部が下方に突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の土留壁補強構造。 - 前記抵抗壁は、複数の鋼矢板を前記抵抗壁の延在方向に連結することによって構成され、
前記抵抗壁を構成する複数の前記鋼矢板のうち少なくも1つの鋼矢板は、その下端部に閉合断面構造部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の土留壁補強構造。 - 前記抵抗壁の一部に、当該抵抗壁からこの抵抗壁の延在方向と交差する方向に突出する突出部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の土留壁補強構造。
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JP2018060018A JP2019173312A (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 土留壁補強構造 |
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CN113373941A (zh) * | 2021-06-10 | 2021-09-10 | 浙江鹏盛建设集团有限公司 | 板桩基坑围护结构及其防水施工方法 |
-
2018
- 2018-03-27 JP JP2018060018A patent/JP2019173312A/ja active Pending
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