JP2019173238A - 衣類 - Google Patents

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Masaru Yuasa
勝 湯浅
智子 岡本
Tomoko Okamoto
智子 岡本
順子 隈井
Junko Kumai
順子 隈井
まき 角野
Maki Kakuno
まき 角野
真里 山脇
Mari Yamawaki
真里 山脇
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Abstract

【課題】着用者の皮膚に密着しつつも、動きやすさを感じることができる衣類を提供する。【解決手段】ボトム衣類1は、伸縮性を有し、着用者の皮膚に密着する本体部2と、本体部2の一部に曲線状又は直線状に延在するようにライン状に設けられ、ライン状に設けられる部分において本体部2が伸縮することを抑制するライン部3と、を備える。ライン部3は、着用者の皮膚伸展線FL1,FL2,FL3のそれぞれに対応する位置に設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、衣類に関する。
スポーツ等を行う際に着用される衣類として、皮膚に密着した状態で着用され、伸縮性に優れた生地で製造されるコンプレッションウェア等の衣類が知られている。このような衣類として、例えば、特許文献1には、着用者の上半身の表面にほぼ密着した状態で着用されるシャツであって、一方向の伸びが直交する方向に比較して相対的に高いストレッチ素材を、後ろ身頃の上部は横に伸びる方向、同下部は縦に伸びる方向、前身頃は縦に伸びる方向、上腕から肩部は横に伸びる方向、脇部と肘部は縦に伸びる方向、袖部は横に伸びる方向にそれぞれ配置したシャツが開示されている。
特開2009−299239号公報
このような衣類は、運動パフォーマンスを向上させる一方、歩行等の日常生活での動作時や、ウォーキング等の軽運動時には、「きつい」、「部分的な圧迫感がある」といった側面を有している。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、着用者の皮膚に密着しつつも、動きやすさを感じることができる衣類を提供することを目的とする。
本発明の衣類は、伸縮性を有し、着用者の皮膚に密着する本体部と、本体部の一部に曲線状又は直線状に延在するようにライン状に設けられ、ライン状に設けられる部分において本体部が伸縮することを抑制する伸縮抑制部と、を備え、伸縮抑制部は、着用者の皮膚伸展線に対応する位置に設けられている。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、生地を所定量伸長させた場合、生地の一部に、伸長方向と直交する方向に沿って伸縮を止める部分(伸縮抑制部)を形成することによって、伸縮抑制部と伸縮非抑制部との間で伸度に違いを出せることを見出した。すなわち、生地の一部に伸縮抑制部を設けることによって、伸縮抑制部がない場合に比べ伸縮非抑制部の伸度を大きくすることができることを見出した。更に、本願発明者らは、衣類を着用した際に、このような皮膚伸展線と対応する位置に上述したような伸縮抑制部を設ければ、皮膚の伸びが小さな皮膚伸展線に対応する箇所において生地の伸びを抑制し、皮膚の伸びが大きな位置に対応する箇所では、皮膚の伸びる方向に合わせて生地をより伸ばせることを見出した。これにより、着用者の皮膚伸展線に対応する位置に伸縮抑制部が設けられた衣類は、運動時の動作に追随することができる。この結果、着用者の皮膚に密着しつつも、動きやすさを感じることができる。
本発明の衣類では、伸縮抑制部の延在方向に直交する幅方向のサイズは、4mm以上25mm以下であってもよい。これにより、伸縮抑制部の幅方向サイズを、人体の皮膚伸展線のサイズに合わせることができる。この結果、伸縮抑制部が着用者の皮膚伸展線の位置からずれにくくなるので、より身体にフィットするようになる。
本発明の衣類では、本体部は、少なくともウエスト部から脛部までの皮膚に密着し、伸縮抑制部は、着用者の前面において、膝蓋骨中央部に対応する部分を上下方向から挟み込むように配置されると共に、内側脇線から外側脇線まで延在する第一ライン及び第一ラインよりも下方に配置され、内側脇線から外側脇線まで延在する第二ラインと、着用者の前面において、第一ラインにおける内側脇線側の端部と外側脇線側の端部との間から上方に向かって外側脇線まで延在する第三ラインと、を有し、第一ラインは、下方に凹となるように円弧状に配置され、第二ラインは、上方に凹となるように円弧状に配置され、本体部においてウエスト部側の端部と股部に対応する端部との距離を第一基準距離としたとき、第三ラインにおける外側脇線側の端部は、股部に対応する端部から第一基準距離の1/3〜2/3の長さ上方に配置されていてもよい。
ここで脛部とは、膝部から足首部にかけての部位を意味する。人体の下半身には、膝蓋骨中央部の上方及び下方を、左右方向に膝部の内側から膝部の外側まで延在する皮膚伸展線と、上記の皮膚伸展線のうち上方に配置された皮膚伸展線の左右方向略中央部から斜め上方に延在し、大腿部を通ってウエスト部、腸骨棘部近傍まで延在する皮膚伸展線とが存在する。この構成の衣類では、これらの皮膚伸展線に対応するように伸縮抑制部が配置される。この結果、着用者の皮膚に密着しつつも、運動時の特に下半身における動作に追随して動きやすさを感じることができる。
本発明の衣類では、第一ラインの曲率は、第二ラインの曲率よりも小さくてもよい。この構成の衣類では、着用状態において、より確実に、膝蓋骨中央部の上方及び下方を左右方向に延在する皮膚伸展線の位置に伸縮抑制部を位置させることができる。
本発明の衣類では、伸縮抑制部は、着用者の背面において、第一ラインの外側脇線側の端部から内側脇線まで延在する第四ラインを有し、股部と膝蓋骨中央部との距離を第二基準距離としたとき、第四ラインにおける内側脇線側の端部は、股部に対応する端部と、股部に対応する端部から第二基準距離の1/3の長さ下方の位置との間に配置されてもよい。第四ラインにおける内側脇線側の端部の位置が、股部に対応する端部の位置に一致してもよい。人体の下半身には、膝部背面から上方に向かって延在し、大腿部を通って臀部の臀溝部近傍にかけて延在する皮膚伸展線が更に存在する。この構成の衣類では、この皮膚伸展線に対応するように伸縮抑制部が配置される。
本発明の衣類では、伸縮抑制部は、着用者の背面において、第二ラインの内側脇線の端部と外側脇線の端部とを接続する第五ラインを有してもよい。この構成の衣類では、第二ラインと第五ラインとがつながり膝部を囲むような伸縮抑制部の輪が形成される。これにより、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明の衣類では、着用者の背面において、第三ラインにおける外側脇線の端部同士を接続する第六ラインを有してもよい。この構成の衣類では、第三ラインと第六ラインとがつながり膝部を囲むような伸縮抑制部の輪が形成される。これにより、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明の衣類では、着用者の背面において、第三ラインにおける外側脇線の端部から、ウエスト部側の端部まで延在する第七ラインを有してもよい。この構成の衣類では、ウエスト部の端部による吊り下げ効果によって、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明の衣類では、本体部は、着用者の上半身の皮膚に密着し、伸縮抑制部は、着用者の前面において、前中心から左右一対のアームホールの方向のそれぞれに向かって延在する一対の第八ラインと、着用者の背面において、後中心から左右一対のアームホールの方向のそれぞれに向かって延在する一対の第九ラインと、本体部の上端部と下端部との距離を第三基準距離としたとき、第八ラインにおける前中心側の端部は、本体部の下端部から第三基準距離の1/3〜1/2の長さ上方に配置され、第九ラインにおける後中心側の端部は、本体部の上端部から第三基準距離の1/3〜1/2の長さ下方に配置されていてもよい。
人体の上半身には、胸部の下(バージスライン)に沿って、左右方向に一方の脇線から他方の脇線にまで延在する皮膚伸展線と、背部からウエスト部にかけて延在し、左右方向に一方の脇線から他方の脇線にまで延在する皮膚伸展線とが存在する。この構成の衣類では、これらの皮膚伸展線に対応するように伸縮抑制部が配置される。この結果、着用者の皮膚に密着しつつも、運動時の特に下半身における動作に追随して動きやすさを感じることができる。
本発明の衣類では、着用者の前面において、左右一対の前記アームホールのそれぞれの縁部から本体部の下端部まで延在する一対の第十ラインを有し、前中心と脇線との距離を第四基準距離としたとき、一対の第十ラインのそれぞれは、脇線から第四基準距離の20%〜45%の距離の位置に配置されていてもよい。人体の上半身には、前面から人体を見たときの脇線よりも前中心側で上記脇線に沿って上下方向に延在する皮膚伸展線が更に存在する。この構成の衣類では、この皮膚伸展線に対応するように伸縮抑制部が配置される。
本発明の衣類では、第八ラインにおけるアームホール側の端部は、第十ラインに接続されていてもよい。この構成では、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明の衣類では、第八ラインにおけるアームホール側の端部は、アームホールを形成する縁部に接続されていてもよい。この構成の衣類では、アームホールを形成する縁部による吊り下げ効果によって、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明の衣類では、着用者の背面において、左右一対の前記アームホールのそれぞれの縁部から本体部の下端部まで延在する一対の第十一ラインを有し、後中心と脇線との距離を第五基準距離としたとき、一対の前記第十一ラインのそれぞれは、脇線から第五基準距離の20%〜45%の距離の位置に配置されていてもよい。人体の上半身には、背面から人体を見たときの脇線よりも後中心側で上記脇線に沿って上下方向に延在する皮膚伸展線が存在する。この構成の衣類では、この皮膚伸展線に対応するように伸縮抑制部が配置される。
本発明の衣類では、第九ラインにおけるアームホール側の端部は、第十一ラインに接続されていてもよい。この構成では、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明の衣類では、第九ラインにおけるアームホール側の端部は、アームホールを形成する縁部に接続されていてもよい。この構成の衣類では、アームホールを形成する縁部による吊り下げ効果によって、伸縮抑制部のフィット感を向上させることができる。
本発明によれば、着用者の皮膚に密着しつつも、動きやすさを感じることができる。
(a)は、通常の生地を縦方向及び横方向の両方向に30%伸ばしたときの状態を示した図である。(b)は、伸縮抑制部を設けた生地を縦方向及び横方向の両方向に30%伸ばしたときの状態を示した図である。 (a)〜(f)は、本願で特定された皮膚伸展線の位置を示した図である。 (a)〜(c)は、皮膚伸展線の位置を示す図である。 (a)〜(e)は、本願で特定された皮膚伸展線の位置を示した図である。 (a)〜(c)は、皮膚伸展線の位置を示す図である。 第一実施形態に係るボトム衣類の正面図である。 第一実施形態に係るボトム衣類の背面図である。 (a)〜(d)は、伸長力の測定方法を示した図である。 第一実施形態に係るボトム衣類を着用して動作したときのずれを示す図である。 第二実施形態に係るトップ衣類の正面図である。 第二実施形態に係るトップ衣類の背面図である。
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係る衣類について詳細に説明する。実施形態の説明に先立ち、まず、本発明の知見について説明する。本願発明者らは、鋭意検討の結果、生地Cを所定の伸び率(例えば30%)とした場合、生地Cの一部に、伸ばしたい方向と直交する方向に沿って伸度を止める部分(伸縮抑制部S)を形成することによって、伸縮抑制部Sと伸縮非抑制部S1との間で伸度に違いを出せることを見出した。すなわち、生地Cの一部に伸縮抑制部Sを設けることによって、伸縮抑制部Sよりも伸縮非抑制部S1の伸度を大きくすることができることを見出した。
上記知見を示したのが図1(a)及び図1(b)である。図1(a)は、5mmの升目を入れた通常の生地Cを刺繍枠に固定して、縦方向及び横方向の両方向に30%伸ばしたときの状態を示した図である。図1(b)は、伸縮抑制部Sによって部分的に伸びを止めた生地Cを刺繍枠に固定して、縦方向及び横方向の両方向に30%伸ばしたときの升目寸法の違いを示した図である。図1(a)及び図1(b)に示されるように、図1(a)の通常の生地Cでは、一律に生地Cが伸びているのに対して、図1(b)の伸縮抑制部Sが設けられた生地Cでは、伸縮抑制部Sと伸縮非抑制部S1とで、伸び量に差が現れ、伸縮抑制部Sに比べて伸縮非抑制部S1の伸び量が大きくなっている。すなわち、生地Cを30%伸ばした場合に、生地Cの一部に伸縮抑制部Sを設けることによって、伸縮抑制部Sよりも伸縮非抑制部S1の伸度を大きくできることが確認できた。
また、人間は、歩行運動、立位姿勢と座位姿勢との間における運動等、日常生活において様々な運動を行っている。本願発明者らは、これらの運動の際、人体の皮膚には、伸び易い所と伸び難い所とがあることを見出した。そして、本願発明者らは、皮膚の伸び方向を特定すると共に筋の配置方向を考慮して、人体の表面を複数の領域(皮膚伸展面)に分割してそれぞれの領域ごとに皮膚の伸び方向を特定した。そして、皮膚伸展面(すなわち、皮膚伸展方向)の境界ライン(以下、「皮膚伸展線」と称する。)を特定した。以下、上半身及び下半身における皮膚伸展線について説明する。
図2(a)〜図2(f)は、上述した方法によって特定された皮膚伸展線を示す図である。図2(a)〜図2(f)において、ハッチング部は、皮膚の伸びがほとんど発生しない箇所、矢印は、各動作時に皮膚が伸びた方向、太実線は、伸び方向が異なる方向に切り替わる皮膚伸展線(言い換えれば、皮膚の伸びが相対的に小さい箇所)を示している。これらの結果、図3(a)に示される人体の背面、図3(b)に示される人体の側面、及び図3(c)に示される人体の前面において、例えば、皮膚伸展線FL1〜FL4があることを見出した。なお、人体の下半身に存在する皮膚伸展線は、上述したものだけに限られない。
皮膚伸展線FL1は、膝蓋骨中央部P3の上方を左右方向に、膝部P3Aの内側から膝部P3Aの外側まで延在する皮膚伸展線である。皮膚伸展線FL2は、膝蓋骨中央部P3の下方を左右方向に、膝部P3Aの内側から膝部P3Aの外側まで延在する皮膚伸展線である。皮膚伸展線FL3は、皮膚伸展線FL1の左右方向略中央部から斜め上方に延在し、大腿部P7を通ってウエスト部P1、腸骨棘部近傍まで延在する皮膚伸展線である。皮膚伸展線FL4は、膝部P3A背面から上方に向かって延在し、大腿部P7を通って臀部P5の臀溝部近傍にかけて延在する皮膚伸展線である。
そして、後段にて詳述するボトム衣類1を着用した際に、このような皮膚伸展線に対応する位置に上述したような伸縮抑制部Sを設ければ、皮膚の伸びが小さな皮膚伸展線に対応する箇所において生地の伸びを抑制し、皮膚の伸びが大きな位置に対応する箇所では、皮膚の伸びる方向に合わせてより生地を伸ばせることを見出した。この知見に基づいて伸縮抑制部Sとなるライン部3を配置したボトム衣類1を、後段にて、第一実施形態として説明する。
図4(a)〜図4(e)は、皮膚伸展面を分割することによって、皮膚伸展線を特定した図である。図4(a)〜図4(e)において、ハッチング部は、皮膚の伸びがほとんど発生しない箇所、矢印は、各動作時に皮膚が伸びた方向、太実線は、伸び方向が反対方向に切り替わる境界ライン(言い換えれば、皮膚の伸びが相対的に小さい箇所)を示している。これらの結果、図5(a)に示される人体の背面、図5(b)に示される人体の側面、図5(c)に示される人体の前面において、例えば、皮膚伸展線FL9〜FL11があることを見出した。なお、人体の上半身に存在する皮膚伸展線は、上述したものだけに限られない。
皮膚伸展線FL8は、胸部P8の下(バージスライン)に沿って、左右方向に一方の脇線から他方の脇線にまで延在する皮膚伸展線である。皮膚伸展線FL9は、背部P9からウエスト部P1にかけて延在し、左右方向に一方の脇線から他方の脇線にまで延在する皮膚伸展線である。皮膚伸展線FL10は、前面から人体を見たときの脇線よりも前中心側で上記脇線に沿って上下方向に延在する皮膚伸展線である。皮膚伸展線FL11は、背面から人体を見たときの脇線よりも後中心側で上記脇線に沿って上下方向に延在する皮膚伸展線である。
そして、後段にて詳述するトップ衣類101を着用した際に、このような皮膚伸展線と対応する位置に上述したような伸縮抑制部Sを設ければ、皮膚の伸びが小さな皮膚伸展線に対応する箇所において生地の伸びを抑制し、皮膚の伸びが大きな位置に対応する箇所では、皮膚の伸びる方向に合わせて生地を伸ばせることを見出した。この知見に基づいて伸縮抑制部Sとなるライン部3を配置したトップ衣類101を、後段にて、第二実施形態として説明する。
[第一実施形態]
第一実施形態に係るボトム衣類(衣類)1について説明する。以下の説明では、便宜上、特別に説明をしない限り、ボトム衣類1を正面から見た着用状態を想定して「上」「下」「左」「右」等の用語を使用する。ボトム衣類1の例には、インナーボトム及びスポーツ用スパッツ等が含まれる。
図6及び図7に示されるように、ボトム衣類1は、本体部2と、ライン部(伸縮抑制部)3と、を備えている。本体部2は、着用者の体を覆うように設けられており、ウエスト部P1から脛部P2までの皮膚に密着する。本体部2は、伸縮性を有する生地により形成されている。本体部2を構成する素材の例には、パワーネット、ツーウェイラッセル、及びツーウェイトリコット等の経編、並びに、天竺、ベア天竺、フライス、及びスムース等の緯編等が含まれる。
本体部2は、股部P6よりも上方の股上部21と、股部P6及び股部P6よりも下方の左右一対の脚部22,22と、を有している。股上部21は、着用状態において、着用者のウエスト部P1、腹部P4、臀部P5、股部P6、及び大腿部P7の一部を覆う。股上部21には、左右の身頃を前中心CL1及び後中心CL2で互いに縫着することによって接ぎラインL1,L2が形成されている。
ウエスト部P1側の端部22cには、例えば、ゴム等によって形成された伸縮性を有するテープが設けられている。脚部22,22は、着用状態において、着用者の大腿部P7の一部、膝部P3A、及び脛部P2を覆う。脚部22,22のそれぞれには、内側脇線2aで前面F側と背面B側とを縫着することによって接ぎラインL3,L3が形成されている。
ライン部3は、本体部2の一部に直線状又は曲線状に延在するようにライン状に設けられ、ライン状に設けられる部分において本体部2が伸縮することを抑制する。ライン部3は、例えば、本体部2への縫着、接着又は溶着による当て布、本体部2の一部の編み構造の変更(組織切替)、抜蝕加工等の加工処理、樹脂プリント及び樹脂パーツの固着等によって形成されている。当て布等のように本体部2とは別の素材を用いる場合、ライン部3を構成する素材の例として、パワーネット等が含まれる。ライン部3の延在方向に直交する幅方向のサイズは、4mm以上25mm以下であり、好ましくは10mm以上20mm以下である。
ライン部3の形成方法としては、例えば、ツーウェイラッセルに当て布として共生地を当てて縫着したり、ベアスムースに帯状の樹脂プリントをしたり、ベアスムースに別生地の当て布を縫着したりして形成することができる。
ライン部3は、第一ライン31と、第二ライン32と、第三ライン33と、第四ライン34と、第五ライン35と、第六ライン36と、第七ライン37と、を有している。これらの第一ライン31〜第七ライン37は、上述した、着用者の皮膚伸展線に対応する位置に設けられている。以下、第一ライン31〜第七ライン37について詳述する。
第一ライン31は、着用者の前面Fにおいて、膝蓋骨中央部P3を上下方向から挟み込むように配置されると共に、内側脇線2aから外側脇線2bまで延在する。第一ライン31は、下方に凹となるように円弧状に配置されている。第一ライン31の曲率は、第二ライン32の曲率よりも小さい。第一ライン31は、膝蓋骨中央部P3の8cm〜13cm上方に配置されている。
第二ライン32は、着用者の前面Fにおいて、第一ライン31よりも下方に配置される内側脇線2aから外側脇線2bまで延在する。第二ライン32は、上方に凹となるように円弧状に配置されている。第二ライン32の曲率は、第一ライン31の曲率よりも大きい。第二ライン32は、膝蓋骨中央部P3の8cm〜13cm下方に配置されている。
第三ライン33は、着用者の前面Fにおいて、第一ライン31における内側脇線2a側の端部31aと外側脇線2b側の端部31bとの間から上方に向かって外側脇線2bまで延在する。第一実施形態の第三ライン33は、第一ライン31における左右方向中央部から上方に向かって外側脇線2bまで延在する。第三ライン33は、外側(外側脇線2b)に向かって凹状に延在する。本体部2におけるウエスト部P1側の端部2cと股部P6に対応する端部2dとの距離を第一基準距離D1としたとき、第三ライン33における外側脇線2b側の端部33aは、股部P6側の端部2dから第一基準距離D1の1/3〜2/3の長さ上方に配置されている。すなわち、上下方向において、股部P6に対応する端部2dと第三ライン33における外側脇線2b側の端部33aとの距離D11は、第一基準距離D1の1/3〜2/3である。
第四ライン34は、着用者の背面Bにおいて、第一ライン31の外側脇線2bの端部31bから内側脇線2aまで斜め方向に延在する。第一実施形態では、右側の脚部22に形成される第四ライン34は、背面B側から見たとき、外側脇線2bから右斜め上方に向かって内側脇線2aまで延在している。左側の脚部22に形成される第四ライン34は、背面B側から見たとき、外側脇線2bから左斜め上方に向かって内側脇線2aまで延在している。ここで、股部P6に対応する端部2dと膝蓋骨中央部P3との距離を第二基準距離D2とする。第四ライン34における内側脇線2a側の端部34aは、股部P6に対応する端部2dと、股部P6に対応する端部2dから第二基準距離の1/3の長さ下方の位置との間に配置されている、すなわち、上下方向において、股部P6に対応する端部2dと第四ライン34における内側脇線2a側の端部34aとの距離D21は、第二基準距離D2の1/3以下(0を含む)である。
第五ライン35は、着用者の背面Bにおいて、第二ライン32の内側脇線2aの端部32aと外側脇線2bの端部32bとを接続する。第五ライン35は、下方に凹となるように円弧状に配置されている。第二ライン32と第五ライン35とによって形成されるラインは、膝蓋骨中央部P3の下方において、膝部P3Aの外周面を覆うように輪状に形成されている。
第六ライン36は、着用者の背面Bにおいて、第三ライン33における外側脇線2bの端部33a,33a同士を接続する。第六ライン36は、下方に向かって凹状に延在する。第五ライン35は、下方に凹となるように円弧状に配置されている。
本体部2が、皮膚の伸縮を妨げず、きつさ感、部分的な圧迫感を着用者に感じさせないものにすると共に、ライン部3を人体の皮膚伸展線に安定して固定するためには、本体部2及びライン部3の伸長力を適切に設定する必要がある。ここでいう伸長力は、サンプルを所定の伸び率(例えば30%)伸長させるために必要な力(N)、すなわち「伸び易さ」である。したがって、伸長力の値が大きいほど伸び難い素材であることを意味する。本体部2及びライン部3の伸長力は、例えば、下記に示す引張試験機を用いて測定することができる。なお、第一実施形態では、本体部2において、製品に近い面的な生地としての伸長力を計測するため、短冊状(帯状)のサンプルの伸長力を図るJIS等の計測方法とは異なる。すなわち、下記に詳述する引張試験機に、14cm四方の生地(試験片)を対向するつかみ間隔を10cm(計測部は10cm四方)として取り付けて試験片の伸長を行い、設定された伸び率(30%)における本体部2に対応するサンプル(試験片)80及びライン部3に対応するサンプル(試験片)80Aの伸長力を測定した。
図8(a)〜図8(d)に示されるように、引張試験機は、計側部である10cm四方のサイズよりも一回り大きな14cm四方のサイズのサンプル80(80A)の四方を上下左右(上下)方向からつかみ間隔10cmで挟み込む一対のチャック95,95(96,96)を有している。引張試験機は、互いに対向する一方の辺に配置されると共に、所定の位置に固定された状態で配置されているチャック95と、互いに対向する他方の辺に配置されると共に、矢印方向に移動可能に設けられているチャック95と、を有している。このような構成の引張試験機では、チャック95がサンプル80(80A)を挟持した状態で矢印方向に移動することによって、サンプル80(80A)を引っ張ることができる。
本体部2に対応するサンプル80の伸長力を計測する場合には、10cm四方のサイズよりも一回り大きな14cm四方のサイズのサンプル80を準備する。チャック95のチャック幅L95は10cmである。サンプル80の引っ張りを開始する場合には、図8(a)及び図8(b)に示されるような状態でチャック95が配置される。そして、図8(c)に示されるように、サンプルの向き(地の目の向き)を変更して設置することによって、サンプル80のタテ方向、ヨコ方向、バイヤス方向の伸長力をそれぞれ測定する。
本体部2のタテ方向、ヨコ方向、及びバイヤス方向の伸長力は、上述したようにサンプル80を測定する要領で測定したとき、2.0N〜9.0Nであり、3.5N〜7.5Nであることが好ましい。
また、ライン部3に対応するサンプル80Aの伸長力を計測する場合には、10cm四方のサイズよりも一回り大きな14cm四方のサイズのサンプル80Aを準備する。ライン部3に相当する伸縮抑制部85は、サンプル80Aにおける引張方向に直交する向きの中心部に設けられる。図8(d)に示されるように、チャック96はサンプル80Aにおける引張方向に直交する向きの中心部に設けられ、ライン部3に相当する伸縮抑制部85を挟持する。チャック96のチャック幅L96は3cm、つかみ間距離Lは10cmである。サンプル80Aの引っ張りを開始する場合には、図8(d)に示されるような状態でチャック96が配置される。そして、伸縮抑制部85の延在方向に沿うように、チャック96を矢印方向に移動させることによって、サンプル80Aの伸長力を測定する。
ライン部3の伸長力は、上述したようにサンプル80Aを測定する要領で測定したとき、2.0N〜4.1Nである。そして、ライン部3の伸長力は、サンプル80Aの計測方法にてそれぞれ測定された本体部2の伸長力とライン部3の伸長力における「本体部2の伸長力/ライン部3の伸長力」の値が1.2〜2.4となるように選択されることが好ましい。
次に、第一実施形態のボトム衣類1を着用して所定の動作を行った後、着用したボトム衣類1のライン部3の位置と着用者の皮膚伸展線の位置とのずれを計測した。当該計測は、3名の被験者が2素材のボトム衣類をそれぞれ着用して所定の動作を行った後、ずれの計測を行った。また、被験者は、一つのボトム衣類について3〜5回実施した。このような計測の傾向を図9(a)及び図9(b)に示す。図9(a)は、上記第一実施形態のボトム衣類1を示しており、所定の動作後のライン部3(第一ライン31、第二ライン32、第三ライン33及び第四ライン34)と皮膚伸展線FL1〜FL4とのずれを示す図である。図9(b)は、ボトム衣類1と同じ形状(パターン)のボトム衣類を作成し、ライン部3に該当する位置にインクで線を描いたボトム衣類(比較例)を示しており、所定の動作後のインクで描かれた線と皮膚伸展線FL1〜FL4とのずれを示す図である。
図9(a)及び図9(b)によれば、第一実施形態のボトム衣類1のライン部3と皮膚伸展線FL1〜FL4との間では、ずれがほとんど生じないのに対して、比較例に係るボトム衣類のインクで描かれた線(すなわち、伸縮が抑制されていない部分)と皮膚伸展線FL1〜FL4との間では、ずれが生じることが確認された。すなわち、第一実施形態のボトム衣類1では、ライン部3となる各ライン31〜34が、皮膚伸展線FL1〜FL4上にフィットしていることが確認された。
第一実施形態のボトム衣類1の作用効果について説明する。第一実施形態のボトム衣類1は、本体部2の一部にライン状に設けられたライン部3を設けることによって、本体部2においてライン部3を設けた箇所とライン部3を設けなかった箇所とで伸度(伸び量)に違いを出した。そして、着用状態において、ライン部3を設けた箇所を、人体に存在する皮膚伸展線FL1〜FL4に対応する位置に設けることによって、皮膚の伸びが小さな皮膚伸展線FL1〜FL4に対応する箇所において生地の伸びを抑制し、皮膚の伸びが大きな位置に対応する箇所において、皮膚の伸びる方向に合わせて生地を伸ばせるようにした。これにより、着用者の皮膚に密着しつつも、運動時の動作に追随して動きやすさを感じることができる。
第一実施形態のボトム衣類1では、ライン部3の延在方向に直交する幅方向のサイズは、10mm以上20mm以下である。これにより、ライン部3の幅方向サイズを、人体の皮膚伸展線FL1〜FL4のサイズに合わせることができる。この結果、ライン部3が着用者の身体の曲面に合わせて接触するようになるので、より身体にフィットするようになる。
第一実施形態のボトム衣類1では、人体の下半身に存在する、膝蓋骨中央部P3の上方及び下方を、左右方向に膝部P3Aの内側から膝部P3Aの外側まで延在する皮膚伸展線FL1,FL2と、上記の皮膚伸展線のうち上方に配置された皮膚伸展線FL1の左右方向略中央部から斜め上方に延在し、大腿部P7を通ってウエスト部P1、腸骨棘部近傍まで延在する皮膚伸展線FL3とに対応するように、各ライン31〜34が配置されている。これにより、ボトム衣類1は、運動時の特に下半身における動作に追随することができる。この結果、着用者の皮膚に密着しつつも、動きやすさを感じることができる。
第一実施形態のボトム衣類1では、第一ライン31は、膝蓋骨中央部の8cm〜13cm上方に配置され、第二ライン32は、膝蓋骨中央部の8cm〜13cm下方に配置されるので、着用状態において、より確実に、皮膚伸展線FL1,FL2の位置にライン部3を位置させることができる。
第一実施形態のボトム衣類1では、第一ライン31の曲率を、第二ライン32の曲率よりも小さくしているので、着用状態において、より確実に、皮膚伸展線FL1,FL2の位置にライン部3を位置させることができる。
第一実施形態のボトム衣類1では、人体の下半身に存在する、膝部背面から上方に向かって延在し、大腿部を通って臀部の臀溝部近傍にかけて延在する皮膚伸展線FL4に対応するように、ライン部3が配置されている。この構成の衣類では、この皮膚伸展線FL4において生地の伸びを抑制することができる。
第一実施形態のボトム衣類1では、着用者の背面Bにおいて、第二ライン32の内側脇線の端部32aと外側脇線の端部32bとを接続する第五ライン35を有しているので、第二ライン32と第五ライン35とがつながり膝部P3Aを囲むようなライン部3の輪が形成される。これにより、ライン部3のフィット感を向上させることができる。
第一実施形態のボトム衣類1では、着用者の背面Bにおいて、第三ライン33における外側脇線の端部33a,33a同士を接続する第六ライン36を有しているので、第三ライン33と第六ライン36とがつながり膝部P3Aを囲むようなライン部3の輪が形成される。これにより、ライン部3のフィット感を向上させることができる。
[第二実施形態]
第二実施形態に係るトップ衣類(衣類)101について説明する。以下の説明では、便宜上、特別に説明をしない限り、トップ衣類101を正面から見た着用状態を想定して「上」「下」「左」「右」等の用語を使用する。トップ衣類101の例には、肌着、キャミソール、及びスレンダージャケット等が含まれる。
図10及び図11に示されるように、トップ衣類101は、本体部102と、ライン部(伸縮抑制部)103と、を備えている。本体部102は、着用者の体を覆うように設けられており、着用者の上半身の皮膚に密着する。本体部102は、伸縮性を有する生地により形成されている。本体部102を構成する素材の例には、パワーネット、ツーウェイラッセル、及びツーウェイトリコット等の経編、並びに、天竺、ベア天竺、フライス、及びスムース等の緯編等が含まれる。
本体部102は、着用状態において、着用者の腹部P4、ウエスト部P1、胸部P8、背部P9、及び左右一対の肩部P10を覆う。本体部102には、左右の身頃を前中心CL4及び後中心CL5で互いに縫着することによって、前面F及び背面Bにそれぞれ接ぎラインL4,L5が形成されている。
ライン部103は、本体部102の一部に一方向に延在するようにライン状に設けられ、ライン状に設けられる部分において本体部102が伸縮することを抑制する。ライン部103は、第一実施形態と同様に、例えば、本体部102への縫着又は接着による当て布、本体部102の一部の編み構造の変更(組織切替)、及び、樹脂プリント又は抜蝕加工等の加工処理によって形成されている。当て布等のように本体部102とは別の素材を用いる場合、ライン部103を構成する素材の例として、パワーネット等が含まれる。ライン部103の延在方向に直交する幅方向のサイズは、4mm以上25mm以下であり、好ましくは5mm以上13mm以下である。
ライン部103は、一対の第八ライン38と、一対の第九ライン39と、一対の第十ライン40と、一対の第十一ライン41と、を有している。これら一対の第八ライン38〜第十一ライン41は、上述した、着用者の皮膚伸展線に対応する位置に設けられている。以下、皮膚伸展線に対応する位置に設けられる第八ライン38〜第十一ライン41について詳述する。
一対の第八ライン38は、着用者の前面Fにおいて、前中心CL4から左右一対のアームホール102aの方向のそれぞれに向かって延在する。一対の第八ライン38同士は、V字状に交差する。本体部102の上端部102bと下端部102cとの距離を第三基準距離D3としたとき、一対の第八ライン38における前中心CL4側の端部38aは、本体部102の上端部102bから第三基準距離D3の1/3〜1/2の長さ下方に配置されている。すなわち、上下方向において、本体部102の下端部102cと第八ライン38の前中心CL4側の端部38aとの距離D31は、第三基準距離D3の1/3〜1/2である。
一対の第九ライン39は、着用者の背面Bにおいて、後中心CL5から左右一対のアームホール102aの方向のそれぞれに向かって延在する。一対の第九ライン39同士は、V字状に交差する。本体部102の上端部102bと下端部102cとの距離を第三基準距離D3としたとき、第九ライン39における後中心CL5側の端部39aは、本体部102の下端部102cから第三基準距離D3の1/3〜1/2の長さ上方に配置されている。すなわち、上下方向において、本体部102の上端部102bと第九ライン39の後中心CL5側の端部39aとの距離D32は、第三基準距離D3の1/3〜1/2である。一対の第八ライン38,38同士の前中心CL4側の端部38a,38aにおける交差角度α1は、一対の第九ライン39,39同士の後中心CL5側の端部39a,39aにおける交差角度α2よりも小さい(α1<α2)。
第十ライン40は、着用者の前面Fにおいて、左右一対のアームホール102aのそれぞれを形成する縁部102dから本体部102の下端部102cまで延在する一対の第十ライン40,40を有している。前中心CL4と脇線102eとの距離を第四基準距離D4としたとき、一対の第十ライン40,40のそれぞれは、脇線102eから第四基準距離D4の20%〜45%(好ましくは20%〜35%)の距離D41の位置に配置されている。すなわち、左右方向において、本体部102の脇線102eと第十ライン40との距離D41は、第四基準距離D4の20%〜45%(好ましくは20%〜35%)の長さである。第八ライン38におけるアームホール102a側の端部38bは、第十ライン40に接続されている。第八ライン38の端部38b側を延長するとアームホールが存在する。なお、第八ライン38におけるアームホール102a側の端部38bは、アームホール102aを形成する縁部102dに接続されていてもよい。
第十一ライン41は、着用者の背面Bにおいて、左右一対のアームホール102aのそれぞれを形成する縁部102dから本体部102の下端部102cまで延在する一対の第十一ライン41,41を有している。後中心CL5と脇線102eとの距離を第五基準距離D5としたとき、一対の第十一ライン41,41のそれぞれは、脇線102eから第五基準距離D5の20%〜45%(好ましくは30%〜45%)の距離D51の位置に配置されている。すなわち、左右方向において、本体部102の脇線102eと第十一ライン41との距離D51は、第五基準距離D5の20%〜45%(好ましくは30%〜45%)の長さである。第九ライン39におけるアームホール102a側の端部39bは、第十一ライン41に接続されている。第九ライン39の端部39b側を延長するとアームホールが存在する。なお、第九ライン39におけるアームホール102a側の端部39bは、アームホール102aを形成する縁部102dに接続されてもよい。
本体部102及びライン部103の伸長力の測定方法は、第一実施形態と同様であるので詳細は説明を省略する。本体部102のタテ方向、ヨコ方向、及びバイヤス方向の伸長力は、上述したようにサンプル80を測定する要領で測定したとき、0.5N〜6.0Nであり、タテ方向及びヨコ方向については、2.0N〜4.0Nであることが好ましく、バイヤス方向については、1.0N〜4.0Nであることが好ましい。ライン部103の伸長力は、上述したようにサンプル80Aを測定する要領で測定したとき、1.1N〜2.0Nである。そして、ライン部103の伸長力は、サンプル80Aの計測方法にてそれぞれ測定された本体部102の伸長力とライン部103の伸長力とにおける「本体部102の伸長力/ライン部103の伸長力」の値が1.1〜2.0となるように選択されることが好ましい。
第二実施形態のトップ衣類101の作用効果について説明する。第二実施形態のトップ衣類101は、本体部102の一部にライン状に設けられたライン部103を設けることによって、本体部102においてライン部103を設けた箇所とライン部103を設けなかった箇所とで伸度(伸び量)に違いを出した。そして、着用状態において、ライン部103を設けた箇所を、人体に存在する皮膚伸展線FL8〜FL11に対応する位置に設けることによって、皮膚の伸びが小さな皮膚伸展線FL8〜FL11に対応する箇所において生地の伸びを抑制し、皮膚の伸びが大きな位置に対応する箇所において、皮膚の伸びる方向に合わせて生地を伸ばせるようにした。これにより、運動時の特に上半身の動作に追随することができる。この結果、着用者の皮膚に密着しつつも、動きやすさを感じることができる。
第二実施形態のトップ衣類101では、ライン部103の延在方向に直交する幅方向のサイズは、5mm以上13mmである。これにより、ライン部103の幅方向サイズを、人体の皮膚伸展線FL8〜11のサイズに合わせることができる。この結果、ライン部103が着用者の身体の曲面に合わせて接触するようになるので、より身体にフィットするようになる。
第二実施形態のトップ衣類101では、人体の上半身に存在する、胸部P8の下(バージスライン)に沿って、左右方向に一方の脇線から他方の脇線にまで延在する皮膚伸展線FL8と、背部P9からウエスト部P1にかけて延在し、左右方向に一方の脇線から他方の脇線にまで延在する皮膚伸展線FL9とに対応するように、各ライン38,39が配置されている。この結果、着用者の皮膚に密着しつつも、運動時の特に上半身における動作に追随して動きやすさを感じることができる。
第二実施形態のトップ衣類101では、一対の第八ライン38,38同士の前中心CL4側の端部38a,38aにおける交差角度α1は、一対の第九ライン39,39同士の後中心CL5側の端部39a,39aにおける交差角度α2よりも小さい。これにより、着用状態において、より確実に、皮膚伸展線CL8及び皮膚伸展線CL9の位置にライン部103を位置させることができる。
第二実施形態のトップ衣類101では、人体の下半身に存在する、前面から人体を見たときの脇線よりも前中心CL4側で上記脇線に沿って上下方向に延在する皮膚伸展線FL10に対応するように、ライン部103が配置されている。この構成の衣類では、この皮膚伸展線FL10において生地の伸びを抑制することができる。
第二実施形態のトップ衣類101では、第八ライン38におけるアームホール102a側の端部38bは、第十ライン40に接続されているので、ライン部103のフィット感を向上させることができる。
第二実施形態のトップ衣類101では、人体の下半身に存在する、背面Bから人体を見たときの脇線よりも後中心CL5側で上記脇線に沿って上下方向に延在する皮膚伸展線FL11に対応するように、ライン部103が配置されている。この構成の衣類では、この皮膚伸展線FL10において生地の伸びを抑制することができる。
第二実施形態のトップ衣類101では、第九ライン39におけるアームホール102a側の端部38bは、第十一ライン41に接続されているので、ライン部103のフィット感を向上させることができる。
以上、一実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
上記第一実施形態では、第一ライン31〜第六ライン36の全てを備えるボトム衣類1を例に挙げて説明したが、第四ライン34〜第六ライン36は、必ずしも備えなくてもよい。第四ライン34〜第六ライン36は、選択的に配置されてもよい。この場合第一ライン31〜第三ライン33の両端部は、接ぎラインL3上、外側脇線2b上、又はこれらの近傍に位置する。
上記第一実施形態では、第六ライン36に代えて、又は加えて、着用者の背面Bにおいて、第三ライン33における外側脇線2bの端部33a,33aのそれぞれから、ウエスト部P1側の端部22cまで延在する第七ライン37,37を有していてもよい。この場合、ウエスト部P1の端部2cによる吊り下げ効果によって、ライン部3のフィット感を向上させることができる。
上記第二実施形態では、第八ライン38〜第十一ライン41の全てを備えるトップ衣類101を例に挙げて説明したが、第十ライン40及び第十一ライン41は、必ずしも備えなくてもよい。第十ライン40及び第十一ライン41は、選択的に配置されてもよい。
上記第二実施形態では、第八ライン38におけるアームホール102a側の端部38bは、アームホール102aを形成する縁部102dに接続されていてもよい。この構成の衣類では、アームホール102aを形成する縁部102dによる吊り下げ効果によって、ライン部103のフィット感を向上させることができる。同様に、上記第二実施形態では、第九ライン39におけるアームホール102a側の端部39bが第十ライン40に接続される代わりに、アームホール102aを形成する縁部102dに接続されていてもよい。この構成では、アームホール102aを形成する縁部102dによる吊り下げ効果によって、ライン部103のフィット感を向上させることができる。
上記第一実施形態及び第二実施形態では、ボトム衣類1及びトップ衣類101の例を挙げて説明したが、ボトム衣類1とトップ衣類101とをつなぎ合わせたボディスーツのような態様として構成してもよい。
FL1〜FL4,FL8〜FL11…皮膚伸展線、1…ボトム衣類(衣類)、2…本体部、2a…内側脇線、2b…外側脇線、2c…上端部、2d…下端部、3…ライン部、31…第一ライン、32…第二ライン、33…第三ライン、34…第四ライン、35…第五ライン、36…第六ライン、37…第七ライン、38…第八ライン、39…第九ライン、40…第十ライン、41…第十一ライン、101…トップ衣類(衣類)、102…本体部、102a…アームホール、102b…上端部、102c…下端部、102d…縁部、102e…脇線、103…ライン部。

Claims (15)

  1. 伸縮性を有し、着用者の皮膚に密着する本体部と、
    前記本体部の一部に曲線状又は直線状に延在するようにライン状に設けられ、前記ライン状に設けられる部分において前記本体部が伸縮することを抑制する伸縮抑制部と、を備え、
    前記伸縮抑制部は、着用者の皮膚伸展線に対応する位置に設けられている、衣類。
  2. 前記伸縮抑制部の延在方向に直交する幅方向のサイズは、4mm以上25mm以下である、請求項1記載の衣類。
  3. 前記本体部は、少なくともウエスト部から脛部までの皮膚に密着し、
    前記伸縮抑制部は、
    着用者の前面において、膝蓋骨中央部に対応する部分を上下方向から挟み込むように配置されると共に、内側脇線から外側脇線まで延在する第一ライン及び前記第一ラインよりも下方に配置され、前記内側脇線から前記外側脇線まで延在する第二ラインと、
    着用者の前面において、前記第一ラインにおける前記内側脇線側の端部と前記外側脇線側の端部との間から上方に向かって前記外側脇線まで延在する第三ラインと、を有し、
    前記第一ラインは、下方に凹となるように円弧状に配置され、前記第二ラインは、上方に凹となるように円弧状に配置され、
    前記本体部においてウエスト部側の端部と股部に対応する端部との距離を第一基準距離としたとき、前記第三ラインにおける前記外側脇線側の端部は、前記股部に対応する端部から前記第一基準距離の1/3〜2/3の長さ上方に配置されている、請求項1又は2記載の衣類。
  4. 前記第一ラインの曲率は、前記第二ラインの曲率よりも小さい、請求項3記載の衣類。
  5. 前記伸縮抑制部は、着用者の背面において、前記第一ラインの前記外側脇線側の端部から前記内側脇線まで延在する第四ラインを有し、
    前記股部と前記膝蓋骨中央部との距離を第二基準距離としたとき、前記第四ラインにおける前記内側脇線側の端部は、前記股部に対応する端部と、前記股部に対応する端部から前記第二基準距離の1/3の長さ下方の位置との間に配置されている、請求項3又は4記載の衣類。
  6. 前記伸縮抑制部は、着用者の背面において、前記第二ラインの前記内側脇線の端部と前記外側脇線の端部とを接続する第五ラインを有する、請求項3〜5の何れか一項記載の衣類。
  7. 着用者の背面において、前記第三ラインにおける前記外側脇線の端部同士を接続する第六ラインを有する、請求項3〜6の何れか一項記載の衣類。
  8. 着用者の背面において、前記第三ラインにおける前記外側脇線の端部から、前記ウエスト部側の端部まで延在する第七ラインを有する、請求項3〜7の何れか一項記載の衣類。
  9. 前記本体部は、着用者の上半身の皮膚に密着し、
    前記伸縮抑制部は、
    着用者の前面において、前中心から左右一対のアームホールの方向のそれぞれに向かって延在する一対の第八ラインと、
    着用者の背面において、後中心から左右一対のアームホールの方向のそれぞれに向かって延在する一対の第九ラインと、
    前記本体部の上端部と下端部との距離を第三基準距離としたとき、前記第八ラインにおける前記前中心側の端部は、前記本体部の下端部から前記第三基準距離の1/3〜1/2の長さ上方に配置され、前記第九ラインにおける前記後中心側の端部は、前記本体部の上端部から前記第三基準距離の1/3〜1/2の長さ下方に配置されている、請求項1〜8の何れか一項記載の衣類。
  10. 着用者の前面において、左右一対の前記アームホールのそれぞれの縁部から前記本体部の下端部まで延在する一対の第十ラインを有し、
    前記前中心と脇線との距離を第四基準距離としたとき、一対の前記第十ラインのそれぞれは、前記脇線から前記第四基準距離の20%〜45%の距離の位置に配置されている、請求項9記載の衣類。
  11. 前記第八ラインにおける前記アームホール側の端部は、前記第十ラインに接続されている、請求項10記載の衣類。
  12. 前記第八ラインにおける前記アームホール側の端部は、前記アームホールを形成する縁部に接続されている、請求項9又は10記載の衣類。
  13. 着用者の背面において、左右一対の前記アームホールのそれぞれの縁部から前記本体部の下端部まで延在する一対の第十一ラインを有し、
    前記後中心と脇線との距離を第五基準距離としたとき、一対の前記第十一ラインのそれぞれは、前記脇線から前記第五基準距離の20%〜45%の距離の位置に配置されている、請求項9〜12の何れか一項記載の衣類。
  14. 前記第九ラインにおける前記アームホール側の端部は、前記第十一ラインに接続されている、請求項13記載の衣類。
  15. 前記第九ラインにおける前記アームホール側の端部は、前記アームホールを形成する縁部に接続されている、請求項9〜13の何れか一項記載の衣類。
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