JP2019173036A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、カーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ第2温度にある前記第1の混合物を、第2温度で混練する低温混練工程と、を含む。第1温度は、ポリアミドの融点(Tm)より高い温度である。第2温度は、ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より25℃未満高い温度までの範囲である。この方法によれば、ポリアミド中に凝集塊のカーボンナノファイバーをほぐして、それぞれのカーボンナノファイバーが相互に分離した状態で分散させることができる。【選択図】図3

Description

本発明は、カーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
本発明者他が先に提案した炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーを用いることで、これまで困難とされていたカーボンナノファイバーの分散性を改善し、エラストマーにカーボンナノファイバーを均一に分散させることができた(例えば、特許文献1参照)。
このような炭素繊維複合材料の製造方法によれば、エラストマーとカーボンナノファイバーを混練し、剪断力によって凝集性の強いカーボンナノファイバーの分散性を向上させている。より具体的には、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合し、この状態で、分子長が適度に長く、分子運動性の高い(弾性を有する)エラストマーとカーボンナノファイバーとの混合物に強い剪断力が作用すると、エラストマーの変形に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散していた。
このように、マトリックスへのカーボンナノファイバーの分散性を向上させることで、高価なカーボンナノファイバーを効率よく複合材料のフィラーとして用いることができるようになった。
そして、熱可塑性樹脂についてもカーボンナノファイバーを複合した熱可塑性樹脂組成物を製造する試みがこれまでも行われてきた。
しかしながら、熱可塑性樹脂では、エラストマーのような弾性によってカーボンナノファイバーを分散させることは難しく、熱可塑性樹脂組成物中に多くのカーボンナノファイバーの凝集塊が残存してしまった。
そこで、カーボンナノファイバーを配合した熱可塑性樹脂組成物の製造方法として、熱可塑性樹脂にカーボンナノファイバーの分散を促進させる分散用粒子を混合することによって、カーボンナノファイバーをより分散させる方法が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、カーボンナノファイバーは全体に均一に分散するため補強効果はあるもののカーボンナノファイバーの凝集塊は残されていた。
また、エラストマーにカーボンナノファイバーをエラストマーの弾性を利用して均一に分散させて混合物を得た後、その混合物を熱可塑性樹脂にさらに混合し、低温で混練りすることによってカーボンナノファイバーを分散させる熱可塑性樹脂組成物の製造方法が提案された(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、ほとんどのカーボンナノファイバーは解繊されてエラストマー中に分散させることはできるが、カーボンナノファイバーを熱可塑性樹脂相の中にまで分散させる
ことは難しかった。
近年では、熱可塑性樹脂にカーボンナノファイバーを配合したペレットが販売されている(例えば、非特許文献1参照。)が、これらも材料中にカーボンナノファイバーの凝集塊が多数存在したままであり、その材料を用いて通常の成形加工を行っても凝集塊はほとんどそのまま製品中に残っていた。
特開2005−97525号公報 特開2005−336235号公報 特開2007−154157号公報
Nanocyl社(ベルギー国)のホームページに掲載の「PLASTICYLTMPP2001」、[2012年12月11日検索]、インターネット<http://www.nanocyl.com/en/Products-Solutions/Products/PLASTICYL-Carbon-Nanotubes-Conductive-Masterbatches>
本発明の目的は、カーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物の製造方法及び熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、
ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、
前記第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、
ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ前記第2温度にある前記第1の混合物を、前記第2温度で混練する低温混練工程と、
を含み、
前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より高い温度であり、
前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より25℃未満高い温度までの範囲であることを特徴とする。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、凝集塊のカーボンナノファイバーをほぐして相互に分離した状態でポリアミド中に分散させることができる。したがって、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物は、カーボンナノファイバーの凝集塊が存在しないので、凝集塊が原因の応力集中による破壊が起こらないため、延性を犠牲にすることなく、高い弾性率を有することができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、
前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より25℃以上高い温度であることができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、
前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であることができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm以上30nm以下であり、
前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが8質量部以上、50質量部以下であることができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm以上30nm以下であり、
前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、8質量部未満であり、
前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、
前記低温化工程は、前記混合工程に用いた混練機から前記第1の混合物を取り出して行うことができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、
ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、
前記第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、
ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ前記第2温度にある前記第1の混合物を、前記第2温度で混練する低温混練工程と、
を含み、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が30nmを超え110nm以下であり、
前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であり、
前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より高い温度であり、
前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることを特徴とする。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、
ポリアミド中にカーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物であって、
カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、
カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態で全体に分散していることを特徴とする。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物によれば、カーボンナノファイバーの凝集塊が存在しないので、凝集塊における応力集中による破壊が起こらないため、延性を犠牲にすることなく、高い弾性率を有することができる。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物において、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、
前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であることができる。
一実施の形態に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法を模式的に示す図である。 実施例3,9及び比較例1のサンプルにおけるDMA測定結果(貯蔵弾性率E’の温度依存性)を示すグラフである。 実施例2のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 実施例3のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 実施例6のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 実施例9のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 比較例2のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 二軸混練機による熱可塑性樹脂組成物の製造方法を模式的に示す図である。 実施例11及び比較例3のサンプルにおけるDMA測定結果(貯蔵弾性率E’の温度依存性)を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の一実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、前記第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ前記第2温度にある前記第1の混合物を、前記第2温度で混練する低温混練工程と、を含み、前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より高い温度であり、前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より25℃未満高い温度までの範囲であることを特徴とする。
本発明の一実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、前記第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ前記第2温度にある前記第1の混合物を、前記第2温度で混練する低温混練工程と、を含み、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が30nmを超え110nm以下であり、前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であり、前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より高い温度であり、前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることを特徴とする。
本発明の一実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド中にカーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物であって、カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態で全体に分散していることを特徴とする。
A.まず、本実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法について説明する。
図1は、一実施の形態に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法を模式的に示す図である。
まず、低温混練工程の前に、ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程について説明する。なお、この混合工程は、予めポリアミドにカーボンナノファイバーが配合された材料、例えば市販されているペレット状の材料はこの混合工程によって製造されている第1の混合物であると推測できる。この場合、第1の混合物にはカーボンナノファイバーが凝集塊のままの状態で全体に分散している。
A−1.混合工程
混合工程は、ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の
混合物を得る。
混合工程は、ポリアミドに予定した配合量のカーボンナノファイバーを投入し終わるまでの工程であり、好ましくは、作業者が目視してカーボンナノファイバーがポリアミドの全体に混合されたことを認識するまでの工程であることができる。
A−1−1.混練機
混合工程は、例えば、オープンロール、密閉式混練機、押出機、射出成形機などの混練機を用いることができる。オープンロールとしては、公知の2本ロール、3本ロール等を用いることができる。密閉式混練機は、いわゆるインターナルミキサーであり、公知のバンバリータイプ、ニーダータイプ等を用いることができる。混合工程に用いるこれらの混練機は、加工中の混合物を加熱する加熱装置を有することが望ましい。
A−1−2.第1温度
第1温度は、ポリアミドの融点(Tm)より高い温度である。第1温度は、ポリアミドの融点(Tm)より25℃以上高い温度であることができる。第1温度は、ポリアミドの融点(Tm)より25℃以上70℃以下の温度であることができ、融点(Tm)より25℃以上60℃以下の温度であることができる。第1温度は、混合工程中のポリアミドの実際の温度であり、加工装置の温度ではない。ポリアミドの成形加工温度は、一般的に、加工装置の例えば押出機や射出成形機であれば加熱筒の設定温度で表わされるが、通常、混練時のせん断発熱によって加工装置の設定温度よりも実際の樹脂の温度は高温になる。本実施の形態における第1温度は加工中の温度であるため、できるだけ実際の樹脂の表面温度を測定することが望ましいが、測定できない場合は加工装置から第1の混合物を取り出した直後の樹脂の表面温度を測定してその温度とすることができる。第1温度は、樹脂を加工装置に投入した直後の温度ではなく、カーボンナノファイバーを投入し終わって混合しているときの温度である。
第1温度は、融点以上であり、例えばポリアミドとして融点が178℃のポリアミド12を用いる場合には178℃以上であることができ、さらに203℃以上であることができ、203℃〜250℃であることができる。ポリアミド12は、ラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミドである。市販されているポリアミド12としては、例えば、EMS−GRIVORY−1社製ポリアミド12(グレード名:Grilamid L25(「Grilamid」は登録商標)、融点178℃(DSC;ISO11357))を用いることができる。また、例えば、第1温度は、ポリアミドとして融点が265℃のポリアミド66を用いる場合には265℃以上であることができ、さらに285℃以上であることができ、285℃〜300℃であることができる。ポリアミド66は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との共縮重合反応により合成されたポリアミドである。市販されているポリアミド66としては、例えば、東レ社製ポリアミド66(グレード名:アミラン(「アミラン」は登録商標)CM3006、融点265℃)を用いることができる。
第1温度は、オープンロールを用いて加工する場合には、ポリアミドの一般的な成形加工装置で実施する場合よりもロールへの巻き付き特性を考慮して若干低め、例えば20℃以上低い温度にロール温度を設定することで実施できる。
ポリアミドをオープンロールで加工することは一般的ではないが、オープンロールの場合には、他の前記加工装置に比べて、材料をロールに巻き付かせなければならないという特殊性から、ポリアミドの粘性が高くなりすぎる温度では加工が困難になる。
融点が180℃のポリアミドを用いてオープンロールで混練する場合には、例えば、巻き付け時のロール温度は190℃〜220℃に設定することができる。第1温度は、ポリ
アミドを溶融させ、カーボンナノファイバーを混合することができればよいので、密閉式混練機、押出機、射出成形機などで加工する場合には、第1温度はその加工装置の設定温度を190℃〜250℃としたときの樹脂の表面温度とすることができる。混合中の樹脂の温度を正確にモニタリングできる混練機を用いる場合には、そのモニタリングした温度で所定の第1温度の範囲内にあることを確認してもよい。
A−1−3.オープンロール
図1に示すように2本ロールのオープンロール2を用いて行う方法について説明する。オープンロール2における第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm〜1.5mmの間隔で配置され、矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。第1のロール10と第2のロール20は、例えば内部に設けられた加熱手段によって温度を調節することができ、第1温度に設定される。
図1に示すように、第1のロール10に巻き付けられた樹脂(ポリアミド)30のバンク34に、複数のカーボンナノファイバー80を投入し、混練して第1の混合物を得ることができる。混合工程では、カーボンナノファイバー80が樹脂(ポリアミド)30中に分散し、例えば目視で色むらがなくなるまで混練を行う。この混練の工程は、ポリアミドに配合剤(カーボンナノファイバーなど)を配合する一般的な混練と同じ工程を採用することができる。
しかしながら、この状態では、第1の混合物中におけるカーボンナノファイバー80は、原料と同じ凝集体のまま全体に分散して存在する。したがって、第1の混合物は、その材料中に欠陥を有することになり、例えば引張試験などを行うと、原料のポリアミド単体のときよりも切断時伸びが著しく低下する。
この第1の混合物について、動的粘弾性試験(以下、DMA試験という。)を行うと、原料のポリアミドとは異なる挙動を示すことがわかった。原料のポリアミドは、融点付近で貯蔵弾性率(E’)が急激に低下し、流動する。しかし、カーボンナノファイバー80を混合した第1の混合物は、所定量以上のカーボンナノファイバーを分散させることにより、融点を超えても貯蔵弾性率(E’)がほとんど低下しない、すなわちエラストマーのようなゴム弾性領域が発現することがわかった。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、融点付近であって流動しない温度範囲と、融点を超えた温度で発現するこのゴム弾性領域と、を利用して、凝集しているカーボンナノファイバーをほぐすように解繊して、ポリアミド中に分散させるものである。したがって、本発明を実施する上で、その配合の第1の混合物のサンプルについてあらかじめDMA試験を行い、ゴム弾性領域が発現しているかどうかを確認しておき、その温度領域を用いて、熱可塑性樹脂組成物を生産することができる。
A−1−4.二軸混練機
オープンロールの代わりに、図8に示すような二軸混練機50を用いることができる。図8は、二軸混練機50による熱可塑性樹脂組成物の製造方法を模式的に示す図である。二軸混練機50は、2本のコニカル型(円錐型)のスクリュウ51,53と、バレル60内に形成された戻り流路62と、切換え部64と、を有する。ポリアミドとカーボンナノファイバーはスクリュウ51,53の後端側(太い側)から投入され、先端側(細い側)へ押し出され、切換え部64を介して戻り流路62を通って再び後端側へ送られて、繰り返し混練が行われる。切換え部64は、戻り流路62と外部へ排出する流路とを切り換える機構を有し、図8ではスクリュウ51,53の先端から戻り流路62に流路を形成している。内部の混練されている混合物の温度は、例えば切換え部64内の流路に突出する熱電対により混合物に接することで実際の混合物の温度を測定することが望ましい。
また、二軸混練機50は、加工温度の正確性・応答性に優れたものが好ましく、加工中にせん断熱による昇温分を効率よく逃がして所望の温度範囲に維持できるものが好ましい。二軸混練機50は、例えば、ヒーターによる昇温制御だけではなく、エアブローや冷却水による強制的な降温制御もできることが好ましい。
A−2.低温化工程
低温化工程は、第1の混合物を第2温度に温度調節する。
ここで第2温度について説明する。
混合工程における一般的な加工設定温度すなわち加工装置の設定温度は、ポリアミドを短時間で十分に溶融させ、迅速に加工するために、ポリアミドの加工設定温度として推奨されている温度よりも高い温度である。したがって、ポリアミドは、その融点付近で加工は行なわない。加工時のポリアミドの表面温度は、そのような加工設定温度よりも高くなることは前述のとおりである。
特に、ポリアミドにカーボンナノファイバーのような充填剤が配合されている場合には、その加工設定温度は一般的な加工設定温度よりもさらに高い温度で加工を行うことになるのが通常である。また、カーボンナノファイバーの配合量が増えると剪断による発熱によって、混合工程における第1の混合物の温度が急激に上昇する。
したがって、上記A−1−3で説明した融点付近の温度及びゴム弾性領域を利用して下記A−3で説明する低温混練工程を実施するためには、第1の混合物の温度を下げる必要がある。混練を行うと第1の混合物の温度は上昇するので、混練を続けながら温度を下げることは通常困難である。そのため、低温化工程は、混練後、混練機を所定時間停止し、または混練機から第1混合物を取り出して、第2の温度まで放冷することができる。また、第1の混合物を扇風機、スポットクーラー、チラー等の冷却機構などを備えた冷却装置を用いて積極的に冷却することができる。積極的に冷却することで加工時間を短縮することができる。
第2温度は、この製造方法に用いるポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より25℃未満高い温度までの範囲である。さらに、第2温度は、このポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より20℃高い温度までの範囲であることができ、特に、融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることができる。
DMA試験の結果からみると、第2温度は、加工可能なポリアミドの融点(Tm)付近の温度であって流動しない温度範囲であり、第1の混合物のDMA試験におけるゴム弾性領域を示す場合にはその温度範囲を含むことが好ましいが、加工中における第1の混合物の内部温度を測定することは困難である。したがって、下記A−3において説明するように、第2温度は樹脂の表面温度である。そのため、第2温度は、ゴム弾性領域を示す温度範囲よりも若干低い温度まで含む。すなわち、加工中における第1の混合物の内部温度がゴム弾性領域を示す温度範囲となるように、樹脂の表面温度である第2温度を設定するためである。ポリアミドの場合、第2温度がゴム弾性領域よりも低い、例えば融点(Tm)よりも5℃低い範囲まで加工が可能である。なお、平均直径30nmを超える太いカーボンナノファイバーを用いた場合、第1の混合物は融点(Tm)付近で流動する場合があるが、実験の結果、その場合でも融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲を第2温度として採用できることがわかっている。
なお、ゴム弾性領域は、DMA試験結果を温度−貯蔵弾性率のグラフを作成した際の平坦領域である。平坦領域における弾性率減少割合は、0.005MPa/℃〜0.1MPa/℃であることができ、さらに0.01MPa/℃〜0.05MPa/℃であることができる。
この第2温度においては、ポリアミドの弾性による復元力を利用してカーボンナノファイバーを移動させることができる。第2温度は、ポリアミドの一般的な加工温度として採用されない温度であり、特に、第1の混合物の加工温度としてはこれまで採用されなかった低い温度範囲となる。
第2温度が融点(Tm)よりも25℃高い温度以上では、低温混練工程においてカーボンナノファイバーの凝集塊をほぐすことができないと考えられる。第2温度は、例えばポリアミドとして融点が178℃のポリアミド12を用いる場合、173℃以上、203℃未満であることができ、さらに173℃以上、198℃以下であることができ、特に173℃以上、183℃以下であることができる。また、第2温度は、例えばポリアミドとして融点が265℃のポリアミド66を用いる場合、260℃以上、290℃未満であることができ、さらに260℃以上、285℃以下であることができ、特に260℃以上、275℃以下であることができる。
本発明において「融点(Tm)」は、示差走査熱量測定(DSC)を用いてJIS K7121に準拠して測定した値をいう。
第2の温度まで温度が下がった第1の混合物は、例えば、第2温度に設定されたオーブン内に入れ、第2温度の範囲で所定温度に維持することができる。混練機から取り出された第1の混合物は降温が進行するので、加工品質の安定化のためである。
また、第1の混合物として市販のカーボンナノファイバーが入ったペレットを用いる場合には、混合工程と低温化工程との間に再加熱工程が必要となる。再加熱工程は、ポリアミドの溶融温度以上に加熱することにより行うことができる。
A−3.低温混練工程
低温混練工程は、第1の混合物を第2温度で混練する。
第1の混合物としては、前記A−1の混合工程によって得られたものを用いることができる。
低温混練工程における第1の混合物を第2温度で混練する工程は、ポリアミドを溶融して成形加工するための装置、例えば、オープンロール、密閉式混練機、押出機、射出成形機などを用いることができる。混合工程と同様に、図1に示すようなオープンロール2を用いる方法について説明する。図8に示すような二軸混練機50を用いてもよい。
この工程では、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、例えば0.5mm以下、より好ましくは0mm〜0.5mmの間隔に設定し、混合工程で得られた第1の混合物をオープンロール2に投入して混練を行なうことができる。
第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、この工程における両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることができ、さらに1.05〜1.2であることができる。このような表面速度比を用いることにより、所望の高い剪断力を得ることができる。このように狭いロール間から押し出された第1の混合物は、第2温度が適度な弾性を有し、かつ、適度な粘性を有している温度範囲
であることから、ポリアミドの弾性による復元力で大きく変形し、その際のポリアミドの変形と共にカーボンナノファイバーが大きく移動することができる。
第2温度は、低温混練工程における第1の混合物の表面温度であり、加工装置の設定温度ではない。第1温度でも説明したように、第2温度もできるだけ実際の樹脂の表面温度を測定することが望ましいが、測定できない場合は加工装置から熱可塑性樹脂組成物を取り出した直後の樹脂の表面温度を測定してその温度から加工中の第2温度とすることができる。
オープンロール2の場合は、図1に示すように、第1のロール10に巻き付いた第1の混合物に対して非接触温度計40を用いて表面温度を測定することができる。非接触温度計40の配置は、ニップを通過した直後の位置以外であればよく、好ましくは第1のロール10の上方である。ニップを通過した直後は、第1の混合物の温度が急激に変化する不安定な温度であるため、避けた方が望ましい。
また、密閉式混練機や押出機などのように、低温混練工程における第1の混合物の表面温度を測定することができない場合には、混練した後装置から取り出した直後の熱可塑性樹脂組成物の表面温度を測定し、第2温度の範囲内にあることを確認することができる。図8のような二軸混練機50の場合には、例えば切換え部64の流路に設けられた熱電対を用いた温度センサーにより実際の混合物の温度を測定することが望ましい。
低温混練工程は、第2温度において、例えば4分間〜20分間であることができ、さらに5分間〜20分間であることができる。第2温度での混練時間を十分にとることによって、カーボンナノファイバーの解繊をより確実に実施することができる。
第1の混合物は、カーボンナノファイバーが配合されたことによって加工性が低下しており、これを混練することによるせん断発熱によって、第1の混合物の温度は装置の設定温度よりもさらに高くなる。そのため、低温混練工程に適した第2温度範囲に第1の混合物の表面温度を維持するために、オープンロールであればロールの温度を調節して第1の混合物の温度が高くならないように、積極的に冷やすように温度調節しなければならない。これは密閉式混練機、押出機または射出成形機などにおいても同様であり、装置の加工設定温度を積極的に冷やすように調節することで第1の混合物の表面温度を第2温度範囲に一定時間維持することができる。例えば、押出機においては材料を供給する付近においては加熱筒の設定温度を一般的な加工温度よりも高い温度に設定し、他のゾーンを第2温度よりも低温に設定し、加工中の樹脂の表面温度が第2温度になるように調節することができる。
低温混練工程によって得られた熱可塑性樹脂組成物は、例えば、金型内に投入されてプレス加工することができ、あるいは、例えば、さらに押出機を用いてペレットに加工するなどして、公知のポリアミドの加工方法を用いて所望の形状に成形することができる。
低温混練工程において得られた剪断力により、ポリアミドに高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバーがポリアミドの分子に1本ずつ引き抜かれるように相互に分離し、解繊され、ポリアミド中に分散される。特に、ポリアミドは、第2温度範囲における弾性と、粘性と、を有するため、カーボンナノファイバーを解繊し、分散することができる。そして、カーボンナノファイバーの分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、カーボンナノファイバーの平均直径が2nm以上、110nm以下であることができ、その場合における第1の混合物は、ポリアミド
100質量部に対する、カーボンナノファイバーの配合量は0.1質量部以上、50質量部以下であることができる。平均直径が2nm以上、110nm以下のカーボンナノファイバーの場合、ポリアミド100質量部に対するカーボンナノファイバーの配合量が0.1質量部以上になるとカーボンナノファイバーによる補強などの効果を得ることができる。また、ポリアミド100質量部に対するカーボンナノファイバーの配合量が50質量部を超えると低温混練工程における加工が困難となる。
さらに、第1の混合物は、ポリアミド100質量部に対する、カーボンナノファイバーの配合量は0.5質量部以上、20質量部以下であることができる。
カーボンナノファイバーの平均直径は、9nm以上、30nm以下または30nmを超え110nm以下であることができる。カーボンナノファイバーの平均直径が9nm以上30nm以下であるとき、第1の混合物は、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが8質量部以上、50質量部以下であることができる。平均直径が9nm以上30nm以下の比較的細いカーボンナノファイバーを8質量部以上配合すると、第1の混合物のDMA試験において融点(Tm)以上でゴム弾性領域を発現することができ、比較的広い温度範囲で低温混練工程を行うことができる。その場合の第2温度の温度範囲は、ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より25℃未満高い温度までの範囲である。
また、カーボンナノファイバーの平均直径が9nm以上30nm以下であるとき、第1の混合物は、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、8質量部未満であり、第2温度は、ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることができる。平均直径が9nm以上30nm以下の比較的細いカーボンナノファイバーを0.1質量部以上、8質量部未満配合すると、第1の混合物のDMA試験において融点(Tm)以上でゴム弾性領域は発現しない。そのため、第2温度の温度範囲は、第1の混合物がDMA試験において流動する前の温度であることができ、ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることができる。
また、カーボンナノファイバーの平均直径が30nmを超え110nm以下であるとき、第1の混合物は、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であり、第2温度は、ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲であることができる。平均直径が30nmを超え110nm以下の比較的太いカーボンナノファイバーを0.1質量部以上、50質量部以下配合すると、第1の混合物のDMA試験において融点(Tm)以上でゴム弾性領域は発現しない。そのため、第2温度の温度範囲は、第1の混合物がDMA試験において流動する前の温度であることができ、ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲である。特に、平均直径が30nmを超えるカーボンナノファイバーを用いた第1の混合物は、DMA試験において融点(Tm)付近で流動してしまうが、平均直径が30nm以下のカーボンナノファイバーに比べて解繊しやすい傾向があり、第2温度が融点(Tm)の上下5℃の範囲で解繊できる。
本実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、ポリアミド中に凝集塊として存在していたカーボンナノファイバーを相互に分離した状態で分散させることができる。したがって、熱可塑性樹脂組成物の製造方法によって得られた熱可塑性樹脂組成物は、カーボンナノファイバーの凝集塊が存在しないので、凝集塊が原因の応力集中による破壊が起こらないため、延性を犠牲にすることなく、高い弾性率を有することができる。
A−4.第2の低温混練工程
熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、第1の混合物におけるポリアミドは第1のポリアミドであり、低温混練工程で得られた第2の混合物に、第2のポリアミドをさらに加えて第3温度で混練して第3の混合物を得る第2の低温混練工程をさらに含むことができる。
第2のポリアミドは、第1のポリアミドと同じ種類のポリアミドであることができる。ここで、同じ種類のポリアミドとは、第2のポリアミドと第1のポリアミドとが少なくとも主構成モノマーが同じであるということである。
第3温度は、前記A−2において説明した第2温度と同じ温度範囲とすることができる。
前記A−3で説明したように、第1の混合物中のカーボンナノファイバーの配合量が少なかったり、カーボンナノファイバーが太かったりすると、第1の混合物におけるDMA試験でのゴム弾性領域が発現しない場合がある。そのような第1の混合物では低温混練工程の第2温度を融点付近の狭い温度範囲内にするため、加工の難易度が上がってしまう。そのため、比較的少量のカーボンナノファイバーを配合した熱可塑性樹脂組成物を加工したい場合には、このように第2の低温混練工程を実施することによって、第2のポリアミドを任意の量追加することにより、熱可塑性樹脂組成物におけるカーボンナノファイバーの含有量を少なくすることができる。
B.原料
次に、本実施の形態の製造方法に用いる原料について説明する。
B−1.ポリアミド
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6(ポリカプロアミド、ポリカプロラクタム)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド12(ポリラウロラクタム)、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などを挙げることができる。
B−2.カーボンナノファイバー
カーボンナノファイバーは、平均直径(繊維径)が0.4nm以上230nm以下であることができ、さらにカーボンナノファイバーは、平均直径(繊維径)が2nm以上110nm以下であることができ、特に9nm以上30nm以下または30nmを超え110nm以下であることができる。
カーボンナノファイバーは、その平均直径が細く、比表面積が大きいため、カーボンナノファイバーを解繊し、全体に分散させることができると、ポリアミドを少量のカーボンナノファイバーによって効果的に補強することができる。平均直径(繊維径)が0.4nm以上230nm以下であるカーボンナノファイバーを用いることで、ポリアミドを補強することができる。
カーボンナノファイバーは、その表面におけるポリアミドとの反応性を向上させるために、例えば酸化処理することもできる。
なお、本発明の詳細な説明においてカーボンナノファイバーの平均直径及び平均長さは、電子顕微鏡による例えば5,000倍の撮像(カーボンナノファイバーのサイズによって適宜倍率は変更できる)から200箇所以上の直径及び長さを計測し、その算術平均値として計算して得ることができる。
熱可塑性樹脂組成物におけるカーボンナノファイバーの配合量は、所望の特性に応じて
適宜配合することができる。
特に、上記A−4で説明した第2の低温混練工程を用いることによって、ポリアミド100質量部に対してカーボンナノファイバー0.1質量部未満を配合することができる。
また、熱可塑性樹脂組成物には、カーボンナノファイバー以外に熱可塑性樹脂組成物の加工に一般に用いられている充填材などを合わせて用いることができる。
ここで、「質量部」は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of resin or rubberの省略形であって、ゴムや熱可塑性樹脂等に対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。
カーボンナノファイバーは、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有するいわゆる多層カーボンナノチューブ(MWNT:マルチウォールカーボンナノチューブ)であることができる。
平均直径が9nm以上30nm以下のカーボンナノファイバーとしては、例えばバイエルマテリアルサイエンス社のバイチューブ(Baytubes)C150P及びC70P並びにナノシル(Nanocyl)社のNC−7000などを挙げることができ、平均直径が30nmを超え110nm以下のカーボンナノファイバーとしては、例えば保土谷化学工業社のNT−7などを挙げることができる。
また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有する炭素材料も使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブ、気相成長炭素繊維といった名称で称されることもある。
カーボンナノファイバーは、気相成長法によって得ることができる。気相成長法は、触媒気相合成法(Catalytic Chemical Vapor Deposition:CCVD)とも呼ばれ、炭化水
素等のガスを金属系触媒の存在下で気相熱分解させてカーボンナノファイバーを製造する方法である。より詳細に気相成長法を説明すると、例えば、ベンゼン、トルエン等の有機化合物を原料とし、フェロセン、ニッケルセン等の有機遷移金属化合物を金属系触媒として用い、これらをキャリアーガスとともに高温例えば400℃以上1000℃以下の反応温度に設定された反応炉に導入し、浮遊状態あるいは反応炉壁にカーボンナノファイバーを生成させる浮遊流動反応法(Floating Reaction Method)や、あらかじめアルミナ、酸化マグネシウム等のセラミックス上に担持された金属含有粒子を炭素含有化合物と高温で接触させてカーボンナノファイバーを基板上に生成させる触媒担持反応法(Substrate Reaction Method)等を用いることができる。
平均直径が9nm以上30nm以下のカーボンナノファイバーは触媒担持反応法によって得ることができ、平均直径が30nmを超え110nm以下のカーボンナノファイバーは浮遊流動反応法によって得ることができる。
カーボンナノファイバーの直径は、例えば金属含有粒子の大きさや反応時間などで調節することができる。平均直径が9nm以上30nm以下のカーボンナノファイバーは、窒素吸着比表面積が10m2/g以上500m2/g以下であることができ、さらに100m2/g以上350m2/g以下であることができ、特に、150m2/g以上300m2/g以下であることができる。
C.熱可塑性樹脂組成物
最後に、本実施の形態によって得られた熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド中にカーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物であって、カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態で全体に分散していることを特徴とする。
熱可塑性樹脂組成物にカーボンナノファイバーの凝集塊がないことは、熱可塑性樹脂組成物の任意の断面を電子顕微鏡によって観察することによって確認することができる。電子顕微鏡写真には、解繊され、相互に分離したカーボンナノファイバーが割断面に分散して表れる。
なお、凝集塊とは、熱可塑性樹脂組成物中においても原料のようにカーボンナノファイバー同士が絡まりあい、特に凝集塊の中ではカーボンナノファイバーとカーボンナノファイバーとの間に樹脂が入り込んでいない中空部が多数存在している状態である。このような凝集塊がないということは、凝集していたカーボンナノファイバーがほぐれ、カーボンナノファイバーが相互に分離した状態で全体に分散しているということである。相互に分離した状態とは、熱可塑性樹脂組成物中においてカーボンナノファイバー同士の間に中空部が存在しない状態にあることをいう。
本実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物によれば、カーボンナノファイバーの凝集塊が存在しないので、凝集塊における応力集中が原因の破壊が起こらないため、延性を犠牲にすることなく、高い弾性率を有することができる。
熱可塑性樹脂組成物は、カーボンナノファイバーの平均直径が2nm以上、110nm以下であるとき、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であることができ、さらに、カーボンナノファイバーが0.5質量部以上、20質量部以下であることができる。
前記A−3の第2の低温混練工程を用いて製造された熱可塑性樹脂組成物は、すでにカーボンナノファイバーが分散した熱可塑性樹脂組成物をマスターバッチとして用いてさらにポリアミドを追加することによって熱可塑性樹脂組成物中のカーボンナノファイバーの配合割合を少なくすることができる。したがって、例えば、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが0.1質量部未満とすることができる。その場合、熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが0.01質量部以上、0.1質量部未満であることができる。
また、平均直径が9nm以上30nm以下のカーボンナノファイバーを0.01質量部以上8質量部未満配合した熱可塑性樹脂組成物であっても、第2の低温混練工程を用いることで、比較的容易にカーボンナノファイバーを解繊した状態で分散することができる。
また、平均直径が30nm以上110nm以下のカーボンナノファイバーを0.01質量部以上50質量部未満配合した熱可塑性樹脂組成物であっても、比較的容易にカーボンナノファイバーを解繊した状態で分散することができる。
熱可塑性樹脂組成物は、高い降伏応力と高い剛性を有しかつ耐熱性に優れている。また、熱可塑性樹脂組成物は、一般的な熱可塑性樹脂の射出成形や押出成形などを用いて、例えば、自動車用燃料チューブや消音ギア等を成形することができる。
前記のように、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよ
う。したがって、このような変形例はすべて、本発明の範囲に含まれるものとする。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(A1)オープンロールを用いた試験
(A1−1)実施例1〜9のサンプルの作製
混合工程:ロール径が3インチのオープンロール(ロール温度190℃=加工設定温度)に、各表に示す100質量部(phr)のポリアミドを投入して、溶融させ、ロールに巻き付かせた。このときのポリアミドの生地表面の温度は、190℃であった。オープンロールとしては、ロールを加熱することができる熱ロールを用いた。
次に、配合剤として表1〜4に示す質量部(phr)の多層カーボンナノファイバー(各表では「CNT−1」、「CNT−2」、「CNT−3」と記載した)を投入した。このとき、ロール表面速度比を1:1.1〜1:1.5、ロール間隙を1.5mmとした。十分に混練を行って多層カーボンナノファイバーを分散させ、第1の混合物をオープンロールから取り出した。混合工程における生地の表面温度(第1温度)は、190℃から210℃まで上昇していた。なお、生地温度の表面温度は、非接触型の赤外線温度計で計測した。
低温化工程:オープンロールから第1の混合物を取り出し、第1の混合物の表面温度が180℃になるまで放冷し、オーブンに第1の混合物を入れて180℃に維持した。
低温混練工程:第1の混合物をオープンロールに再び投入し、ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして混練を行った。また、必要に応じて、ロール間隔を0.3mm〜1.5mmの間で変化させながら切り返しを行った。この混練の間、第1の混合物の生地表面の温度(第2温度)を非接触型の赤外線温度計で測定して180℃付近(175℃〜185℃)に維持されるように、ロールを温度調節した。特に、実施例1,2,4〜8では第1の混合物の生地表面の温度(第2温度)が180℃を超えないようにロールを温度調節した。十分に混練した後、ロール間隙を0.3mmから1.5mmに変更して、オープンロールから熱可塑性樹脂組成物を取り出した。
プレス工程:オープンロールから取り出された熱可塑性樹脂組成物を金型に入れ、真空下で加圧成形して、サンプルを作製した。真空加圧成形は、金型を220℃〜230℃に加熱し、無負荷で2分間予熱した後、加圧(金型に対して)しながら2分間プレス成型し、金型を冷却プレスに移動して加圧(金型に対して)しながら室温まで冷却し、厚さ0.3mm〜0.5mmのシート状サンプルを得た。
なお、各表において、「CNT−1」は平均直径(走査型電子顕微鏡の撮像を用いて200か所以上の測定値を算術平均した値であり、以下同じ。)10nmの多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、グレード名:NC7000)であり、「CNT−2」は平均直径68nmの多層カーボンナノチューブ(保土谷化学工業社製、グレード名:NT−7B)であり、「CNT−3」は平均直径10nmの多層カーボンナノチューブ(SouthWest NanoTechnologies社製、グレード名:SWeNT A)であり、「PA」は、EMS−GRIVORY−1社製ポリアミド12(グレード名:Grilamid L25(「Grilamid」は登録商標)、融点178℃(DSC;ISO11357))であった。
(A1−2)比較例1,2のサンプル作製
比較例1は、ポリアミド単体であるので、金型に樹脂ペレットを投入し、プレス工程を
行って、熱可塑性樹脂組成物のサンプルを得た。
比較例2は、実施例2における低温混練工程における第2温度を210℃に調節して、その他は実施例と同様にして熱可塑性樹脂組成物のサンプルを得た。
(A2)引張試験
実施例及び比較例のサンプルについて、JIS7号のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標準線間距離10mm、引張速度50mm/minでJIS K7127に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))、降伏点引張応力(σy(MPa))及び100%モジュラス(σ100(MPa))を測定した。測定結果を表1〜表4に示した。
(A3)DMA測定
実施例及び比較例のサンプルについて、短冊形(30×10×0.3mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離10mm、測定温度20〜300℃、昇温ペース1.5℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K7244に基づいてDMA試験(動的粘弾性試験)を行った。
この試験結果から測定温度が50℃、100℃、150℃、173℃、178℃、183℃、200℃、250℃における貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)を測定し、表1〜表4に示した。表1〜表4において、貯蔵弾性率は「E’(50℃)(MPa)」、「E’(100℃)(MPa)」、「E’(150℃)(MPa)」、「E’(173℃)(MPa)」、「E’(178℃)(MPa)」、「E’(183℃)(MPa)」、「E’(200℃)(MPa)」、「E’(250℃)(MPa)」「tanδ(50℃)(MPa)」として示し、損失正接は「tanδ(100℃)」、「tanδ(150℃)」、「tanδ(200℃)」、「tanδ(250℃)」として示した。また、DMA試験における流動開始温度(各表では「流動温度」と記載した)についても各表に記載した。各表において、250℃まで流動しなかったサンプルについては「流動せず」と記載した。
さらに、測定結果を貯蔵弾性率E’の温度依存性を示すグラフとして図2に示した。
図2において、曲線E3,E9は、実施例3,実施例9にそれぞれ対応し、曲線C1は、比較例1に対応している。
表1〜表4の引張試験の結果によれば、以下のことがわかった。
1.実施例1〜3の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例1に比べて切断時伸び(Eb)は落ちるものの、降伏点引張応力(σy)が向上した。
2.また、実施例4〜6の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例1に比べて切断時伸び(Eb)が高い値を維持しながら、降伏点引張応力(σy)及び100%モジュラス(σ100)が向上した。
3.さらに、実施例7〜9の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例1に比べて切断時伸び(Eb)が高い値を保ちつつ、降伏点引張応力(σy)及び100%モジュラス(σ100)が向上した。
4.比較例2は、降伏前に破断しており、引張強さ(TS)、切断時伸び(Eb)ともに大きく減少した。カーボンナノファイバーの解繊が不十分であったため、凝集したままのカーボンナノファイバーが破壊の起点となったと考えられる。
表1〜表4及び図2のDMA試験の結果によれば、実施例1〜9の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、カーボンナノファイバーの添加量の増加に伴って貯蔵弾性率(E’)が向上
した。比較例1の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、融点より5℃高い183℃でも貯蔵弾性率(E’)が28.6MPaであった。実施例1〜9の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、50℃〜150℃の貯蔵弾性率(E’)が比較例1に比べて大きく向上した。特に、平均直径の細いカーボンナノファイバーを用いた実施例1〜3及び7〜9において著しく貯蔵弾性率(E’)が大きく向上した。実施例1〜3,7〜9の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、融点(Tm)付近である173℃〜183℃において5.0MPa以上の貯蔵弾性率を有していた。また、実施例3,9の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、測定温度の上限である250℃まで流動しなかった。実施例3,9の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、図2に示すように、融点を過ぎても貯蔵弾性率(E’)が下がらない平坦領域を示した。この平坦領域における弾性率減少割合は、0.023MPa/℃であった。
(A4)SEM観察
実施例2,3,6,9のサンプル及び比較例2のサンプルの凍結割断面について、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)で観察した。
図3は、実施例2のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。実施例2のサンプルの凍結割断面にはカーボンナノファイバーの凝集塊が確認できなかった。
図4は、実施例3のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真であり、図5は、実施例6のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。図6は、実施例9のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。実施例3,6,9のサンプルの凍結割断面にはカーボンナノファイバーの凝集塊が確認できなかった。なお、ここではSEM観察写真を示さないが、実施例1,4,5,7〜9についても実施例2,3,6,9と同様に凍結割断面にカーボンナノファイバーの凝集塊は確認できなかった。
図7は、比較例2のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。比較例2のサンプルの凍結割断面にはカーボンナノファイバーの凝集塊が多数確認され、図7において黒い丸で囲んだ中にカーボンナノファイバーの凝集塊が観察できた。図7における凝集塊の最大直径は約50μmであった。
ポリアミドとしてポリアミド66を用いた実施例10〜実施例12及び比較例3,4について以下に述べる。
(B1)二軸混練機を用いた試験
(B1−1)実施例10のサンプルの作製
混合工程:バレル設定温度295℃としたXplore社製卓上型二軸混練機MC15を用いて、100質量部(phr)のポリアミドペレット及び表5に示す質量部(phr)のカーボンナノファイバーを投入して、溶融させ、十分に混練した。このときのポリアミドの生地表面の温度は285℃、混練時間は3分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は4000N〜6000Nであった。
低温混練工程:バレル設定温度を280℃に設定し、エアブローによる冷却で280℃まで冷却した。冷却時間は3分間であった。この温度にて混練を行った。このときの第1の混合物の実際の温度は260℃、混練時間は8分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は5000N〜8000Nであった。第1の混合物の加工中の実際の温度は、バレル内の切換え部で混合物に接触する熱電対を用いて測定した。十分に混練した後、ストランドを押し出すために285℃に昇温し、ストランドを押し出して所定長さにカットして、二軸混練機から熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
射出成形工程:二軸混練機から取り出された熱可塑性樹脂組成物ペレットを射出成形機へ投入し、285℃で溶融して50mm×50mm×厚さ1mmの平板およびJIS K
7113 1号1/2ダンベルを射出成形した。
実施例11は、実施例10と同様に混合工程を行い、バレル設定温度を297℃に設定して実施例10と同様に低温混練工程を行った。その時の樹脂温度は287℃、混練時間は3分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は5000N〜7000Nであった。また低温混練工程は実施例10と同様に設定し、加工中の応力は6000N〜9000Nであった。またストランドを押し出すために287℃に昇温して二軸混練機から取り出した。
実施例12は、実施例10と同様に混合工程を行い、バレル設定温度を297℃に設定して実施例10と同様に低温混練工程を行った。その時の樹脂温度は287℃、混練時間は3分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は7000N〜9200Nであった。また低温混練工程はバレル温度を282℃に設定し、加工中の応力は8000N〜9400Nであった。またストランドを押し出すために287℃に昇温して二軸混練機から取り出した。
なお、表5,6において、「CNT−4」は平均直径(走査型電子顕微鏡の撮像を用いて200か所以上の測定値を算術平均した値であり、以下同じ。)12.5nmの多層カーボンナノチューブ(KUMHO社製、グレード名:K−Nanos−100T)であり、「PA」は、東レ社製ポリアミド66(グレード名:アミラン(「アミラン」は登録商標)CM3006、融点265℃(カタログ値))であった。
(B1−2)比較例3,4のサンプル作製
比較例3は、ポリアミド66単体であるので、上記(B1−1)における低温化工程及び低温混練工程を省いて射出成形工程を行って、熱可塑性樹脂組成物のサンプルを得た。
比較例4は、実施例11における低温混練工程における第2温度を289℃に調節して、その他は実施例11と同様にして熱可塑性樹脂組成物のサンプルを得た。
(B2)引張試験
実施例及び比較例のサンプルについて、射出成型したJIS1号1/2のダンベル試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標準線間距離25mm、引張速度50mm/minでJIS K7127に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))を測定した。測定結果を表5,6に示した。
(B3)DMA測定
実施例及び比較例のサンプルについて、短冊形(40×10×厚さ1mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度20〜380℃、昇温ペース1.5℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K7244に基づいてDMA試験(動的粘弾性試験)を行った。
この試験結果から測定温度が50℃、100℃、150℃、200℃、250℃、255℃、280℃における貯蔵弾性率(E’)及び100℃、200℃、ピークにおける損失正接(tanδ)を、表5,6に示した。表5,6において、貯蔵弾性率は「E’(50℃)(MPa)」、「E’(100℃)(MPa)」、「E’(150℃)(MPa)
」、「E’(200℃)(MPa)」、「E’(250℃)(MPa)」、「E’(255℃)(MPa)」、「E’(280℃)(MPa)」、として示し、損失正接は「tanδ(ピーク値)」「tanδ(100℃)」、「tanδ(200℃)」として示した。また、DMA試験における流動開始温度(各表では「流動温度」と記載した)についても各表に記載した。各表において、380℃まで流動しなかったサンプルについては「流動せず」と記載した。
さらに、測定結果を貯蔵弾性率E’の温度依存性を示すグラフとして図9に示した。
図9において、曲線E11は実施例11に対応し、曲線C3は比較例3に対応している。
表5,6の引張試験の結果によれば、以下のことがわかった。
1.実施例10〜12の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例3に比べて切断時伸び(Eb)は落ちるものの、引張強さ(TS)及び降伏点引張応力(σy)が向上した。
2.比較例4は、降伏前に破断しており、引張強さ(TS)、切断時伸び(Eb)ともに大きく減少した。カーボンナノファイバーの解繊が不十分であったため、凝集したままのカーボンナノファイバーが破壊の起点となったと考えられる。
表5,6のDMA試験の結果によれば、実施例10〜12の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、カーボンナノファイバーの添加量の増加に伴って貯蔵弾性率(E’)が向上した。実施例10〜12の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、50℃〜255℃の貯蔵弾性率(E’)が比較例1に比べて大きく向上した。また、実施例12の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、測定温度の上限である280℃まで流動しなかった。実施例12の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、図9に示すように、融点を過ぎても貯蔵弾性率(E’)が下がらない平坦領域を示した。この平坦領域における弾性率減少割合は、0.03MPa/℃であった。
(B4)SEM観察
実施例10〜12のサンプル及び比較例4のサンプルの凍結割断面について、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)で観察した。実施例10〜12のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察では、カーボンナノファイバーの凝集塊が確認できなかった。比較例4のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察ではカーボンナノファイバーの凝集塊が多数確認された。
2 オープンロール、10 第1のロール、20 第2のロール、30 樹脂(ポリア
ミド)、34 バンク、40 非接触温度計、50 二軸混練機、51,53 スクリュウ、60 バレル、62戻り流路、64 切換え部、80 カーボンナノファイバー、d
間隔、V1,V2 回転速度、C1,C3 比較例1,3、E3,E9,E11 実施例3,9,11
本発明は、カーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
本発明の目的は、カーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、
ポリアミド及び前記ポリアミド中に分散するカーボンナノファイバーのみからなる熱可塑性樹脂組成物であって、
前記カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、
前記カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態で全体に分散し、
前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、
前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが3.0質量部以上、50質量部以下であることを特徴とする。
一実施の形態に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法を模式的に示す図である。 実施例2,6及び比較例1のサンプルにおけるDMA測定結果(貯蔵弾性率E’の温度依存性)を示すグラフである。 実施例のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 実施例のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 実施例のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 実施例のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 比較例2のサンプルの凍結割断面の2000倍のSEM観察写真である。 二軸混練機による熱可塑性樹脂組成物の製造方法を模式的に示す図である。 実施例及び比較例3のサンプルにおけるDMA測定結果(貯蔵弾性率E’の温度依存性)を示すグラフである。
本発明の一実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド及び前記ポリアミド中に分散するカーボンナノファイバーのみからなる熱可塑性樹脂組成物であって、前記カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、前記カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態で全体に分散し、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが3.0質量部以上、50質量部以下であることを特徴とする。
本実施の形態にかかる熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド及び前記ポリアミド中に分散するカーボンナノファイバーのみからなる熱可塑性樹脂組成物であって、前記カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、前記カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態
で全体に分散し、前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが3.0質量部以上、50質量部以下であることを特徴とする。
熱可塑性樹脂組成物は、カーボンナノファイバーの平均直径が2nm以上、110nm以下であるとき、ポリアミド100質量部に対して、カーボンナノファイバーが3.0質量部以上、50質量部以下である。さらに、熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド100質量部に対して、平均直径が2nm以上、110nm以下のカーボンナノファイバーが3.0質量部以上、20質量部以下であることができる。
(A1)オープンロールを用いた試験
(A1−1)実施例1〜6及び参考例1〜3のサンプルの作製
混合工程:ロール径が3インチのオープンロール(ロール温度190℃=加工設定温度)に、各表に示す100質量部(phr)のポリアミドを投入して、溶融させ、ロールに巻き付かせた。このときのポリアミドの生地表面の温度は、190℃であった。オープンロールとしては、ロールを加熱することができる熱ロールを用いた。
低温混練工程:第1の混合物をオープンロールに再び投入し、ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして混練を行った。また、必要に応じて、ロール間隔を0.3mm〜1.5mmの間で変化させながら切り返しを行った。この混練の間、第1の混合物の生地表面の温度(第2温度)を非接触型の赤外線温度計で測定して180℃付近(175℃〜185℃)に維持されるように、ロールを温度調節した。特に、実施例1,5、参考例1〜3では第1の混合物の生地表面の温度(第2温度)が180℃を超えないようにロールを温度調節した。十分に混練した後、ロール間隙を0.3mmから1.5mmに変更して、オープンロールから熱可塑性樹脂組成物を取り出した。
比較例2は、実施例における低温混練工程における第2温度を210℃に調節して、その他は実施例と同様にして熱可塑性樹脂組成物のサンプルを得た。
(A2)引張試験
実施例、参考例及び比較例のサンプルについて、JIS7号のダンベル形状に打ち抜いた試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標準線間距離10mm、引張速度50mm/minでJIS K7127に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))、降伏点引張応力(σy(MPa))及び100%モジュラス(σ100(MPa))を測定した。測定結果を表1〜表4に示した。
(A3)DMA測定
実施例、参考例及び比較例のサンプルについて、短冊形(30×10×0.3mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離10mm、測定温度20〜300℃、昇温ペース1.5℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K7244に基づいてDMA試験(動的粘弾性試験)を行った。
図2において、曲線E3,E9は、実施例,実施例にそれぞれ対応し、曲線C1は、比較例1に対応している。
1.実施例1,2及び参考例1の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例1に比べて切断時伸び(Eb)は落ちるものの、降伏点引張応力(σy)が向上した。
2.また、実施例3,4及び参考例2の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例1に比べて切断時伸び(Eb)が高い値を維持しながら、降伏点引張応力(σy)及び100%モジュラス(σ100)が向上した。
3.さらに、実施例5,6及び参考例3の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例1に比べて切断時伸び(Eb)が高い値を保ちつつ、降伏点引張応力(σy)及び100%モジュラス(σ100)が向上した。
表1〜表4及び図2のDMA試験の結果によれば、実施例1〜6及び参考例1〜3の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、カーボンナノファイバーの添加量の増加に伴って貯蔵弾性率(E’)が向上した。比較例1の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、融点より5℃高い183℃でも貯蔵弾性率(E’)が28.6MPaであった。実施例1〜6及び参考例1〜3の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、50℃〜150℃の貯蔵弾性率(E’)が比較例1に比べて大きく向上した。特に、平均直径の細いカーボンナノファイバーを用いた実施例1,2,5,6及び参考例1,3において著しく貯蔵弾性率(E’)が大きく向上した。実施例1,2,5,6及び参考例1,3の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、融点(Tm)付近である173℃〜183℃において5.0MPa以上の貯蔵弾性率を有していた。また、実施例2,6の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、測定温度の上限である250℃まで流動しなかった。実施例2,6の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、図2に示すように、融点を過ぎても貯蔵弾性率(E’)が下がらない平坦領域を示した。この平坦領域における弾性率減少割合は、0.023MPa/℃であった。
(A4)SEM観察
実施例1,2,4,6のサンプル及び比較例2のサンプルの凍結割断面について、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)で観察した。
図3は、実施例のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。実施例のサンプルの凍結割断面にはカーボンナノファイバーの凝集塊が確認できなかった。
図4は、実施例のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真であり、図
5は、実施例のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。図6は、実施例のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察写真である。実施例2,4,6のサンプルの凍結割断面にはカーボンナノファイバーの凝集塊が確認できなかった。なお、ここではSEM観察写真を示さないが、実施例3,5及び参考例1〜3についても実施例1,2,4,6と同様に凍結割断面にカーボンナノファイバーの凝集塊は確認できなかった。
ポリアミドとしてポリアミド66を用いた実施例7,8、参考例4及び比較例3,4について以下に述べる。
(B1)二軸混練機を用いた試験
(B1−1)参考例4のサンプルの作製
混合工程:バレル設定温度295℃としたXplore社製卓上型二軸混練機MC15を用いて、100質量部(phr)のポリアミドペレット及び表5に示す質量部(phr)のカーボンナノファイバーを投入して、溶融させ、十分に混練した。このときのポリアミドの生地表面の温度は285℃、混練時間は3分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は4000N〜6000Nであった。
実施例は、参考例4と同様に混合工程を行い、バレル設定温度を297℃に設定して参考例4と同様に低温混練工程を行った。その時の樹脂温度は287℃、混練時間は3分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は5000N〜7000Nであった。また低温混練工程は参考例4と同様に設定し、加工中の応力は6000N〜9000Nであった。またストランドを押し出すために287℃に昇温して二軸混練機から取り出した。
実施例は、参考例4と同様に混合工程を行い、バレル設定温度を297℃に設定して参考例4と同様に低温混練工程を行った。その時の樹脂温度は287℃、混練時間は3分間、スクリュウの回転数は90rpm、加工中の応力は7000N〜9200Nであった。また低温混練工程はバレル温度を282℃に設定し、加工中の応力は8000N〜9400Nであった。またストランドを押し出すために287℃に昇温して二軸混練機から取
り出した。
比較例4は、実施例における低温混練工程における第2温度を289℃に調節して、その他は実施例と同様にして熱可塑性樹脂組成物のサンプルを得た。
(B2)引張試験
実施例、参考例及び比較例のサンプルについて、射出成型したJIS1号1/2のダンベル試験片について、島津製作所社製オートグラフAG−Xの引張試験機を用いて、23±2℃、標準線間距離25mm、引張速度50mm/minでJIS K7127に基づいて引張試験を行い、引張強さ(TS(MPa))、切断時伸び(Eb(%))及び降伏点引張応力(σy(MPa))を測定した。測定結果を表5,6に示した。
(B3)DMA測定
実施例、参考例及び比較例のサンプルについて、短冊形(40×10×厚さ1mm)に切り出した試験片について、SII社製の動的粘弾性試験機DMS6100を用いて、チャック間距離20mm、測定温度20〜380℃、昇温ペース1.5℃、動的ひずみ±0.05%、周波数1HzでJIS K7244に基づいてDMA試験(動的粘弾性試験)を行った。
図9において、曲線E11は実施例に対応し、曲線C3は比較例3に対応している。
1.実施例7,8及び参考例4の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、比較例3に比べて切断時伸び(Eb)は落ちるものの、引張強さ(TS)及び降伏点引張応力(σy)が向上した。
表5,6のDMA試験の結果によれば、実施例7,8及び参考例4の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、カーボンナノファイバーの添加量の増加に伴って貯蔵弾性率(E’)が向上した。実施例7,8及び参考例4の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、50℃〜255℃の貯蔵弾性率(E’)が比較例1に比べて大きく向上した。また、実施例の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、測定温度の上限である280℃まで流動しなかった。実施例の熱可塑性樹脂組成物サンプルは、図9に示すように、融点を過ぎても貯蔵弾性率(E’)が下がらない平坦領域を示した。この平坦領域における弾性率減少割合は、0.03MPa/℃であった。
(B4)SEM観察
実施例7,8及び参考例4のサンプル及び比較例4のサンプルの凍結割断面について、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という。)で観察した。実施例7,8及び参考例4のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察では、カーボンナノファイバーの凝集塊が確認できなかった。比較例4のサンプルの凍結割断面(2000倍)のSEM観察ではカーボンナノファイバーの凝集塊が多数確認された。
2 オープンロール、10 第1のロール、20 第2のロール、30 樹脂(ポリアミド)、34 バンク、40 非接触温度計、50 二軸混練機、51,53 スクリュウ、60 バレル、62戻り流路、64 切換え部、80 カーボンナノファイバー、d
間隔、V1,V2 回転速度、C1,C3 比較例1,3、E3,E9,E11 実施例2,6,7

Claims (9)

  1. ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、
    前記第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、
    ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ前記第2温度にある前記第1の混合物を、前記第2温度で混練する低温混練工程と、
    を含み、
    前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より高い温度であり、
    前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より25℃未満高い温度までの範囲である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より25℃以上高い温度である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、
    前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm以上30nm以下であり、
    前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが8質量部以上、50質量部以下である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が9nm以上30nm以下であり、
    前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、8質量部未満であり、
    前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    前記低温化工程は、前記混合工程に用いた混練機から前記第1の混合物を取り出して行う、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. ポリアミドと、カーボンナノファイバーと、を第1温度で混練して第1の混合物を得る混合工程と、
    前記第1の混合物を第2温度に温度調節する低温化工程と、
    ポリアミド中に複数のカーボンナノファイバーの凝集塊を含みかつ前記第2温度にある前記第1の混合物を、前記第2温度で混練する低温混練工程と、
    を含み、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が30nmを超え110nm以下であり、
    前記第1の混合物は、前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下であり、
    前記第1温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より高い温度であり、
    前記第2温度は、前記ポリアミドの融点(Tm)より5℃低い温度から融点(Tm)より5℃高い温度までの範囲である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. ポリアミド中にカーボンナノファイバーが分散している熱可塑性樹脂組成物であって、
    カーボンナノファイバーの凝集塊が存在せず、
    カーボンナノファイバーは、相互に分離した状態で全体に分散している、熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項8において、
    前記カーボンナノファイバーは、平均直径が2nm以上、110nm以下であり、
    前記ポリアミド100質量部に対して、前記カーボンナノファイバーが0.1質量部以上、50質量部以下である、熱可塑性樹脂組成物。
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