JP2019172816A - ブロック共重合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】効率的かつ簡便に疎水性(基材の)表面を親水化することが可能なブロック共重合体を提供する。【解決手段】本発明のブロック共重合体は、親水性を有するポリマーセグメントと、光反応性が高い官能基を有するポリマーセグメントがブロック構造で構成されるポリマーである。【選択図】 なし

Description

本発明は、疎水性基材の表面を親水化するブロック共重合体に関する。
表面へ防曇性又は防汚性、帯電防止性、生体適合性といった機能を付与するために、疎水性基材の表面親水化が広く用いられている。その手法として、プラズマ処理、グロー放電処理、イオンエッチング等のような、疎水性ポリマー基材の表面に親水性の官能基を発生させる方法や、基材表面への界面活性剤の塗布もしくは基材への直接混練といった方法が用いられてきた(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、それらの方法は、厳しい条件で処理を行うため基材へダメージを与える点や、恒久的に親水性表面を保持することが難しい点といった問題点があった。
一方、光反応性ポリマーを用いて疎水性ポリマー基材表面を親水化する方法も提案されている(特許文献1、2、3参照。)。これらの方法は効率的かつ簡便であるが、用いている光反応性基の反応性が低く、高強度かつ比較的長時間紫外線を照射しないと均一な親水化が達成できないため、基材が紫外線に弱い場合、紫外線照射により基材がダメージを受けるといった問題点を有していた。さらに、ランダム共重合体のポリマーを用いているため、ポリマー分子内、ポリマー分子間で架橋してしまい、基材への固定化が十分でない問題があった。
特表平3−505979号公報 特開2010−59346号公報 特開2017−186536号公報
越智 光一、表面解析・改質の化学(日本接着学会編)、日刊工業新聞社、2003年、97〜145頁
本発明の目的は、効率的かつ簡便に疎水性(基材の)表面を親水化することが可能なブロック共重合体およびこれを含む表面改質剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、親水性を有する官能基と、光反応性が高い官能基とを側鎖に有する、ブロック共重合体を見出し、また該ブロック共重合体を用いることで、疎水性ポリマー基材の表面を親水化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で示される構造を有し、数平均分子量が1,000〜1,000,000であるブロック共重合体。
Figure 2019172816
(式中、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表し、Zは−O−又は−N(R)−で示される基を表し、Aは−O−又は−CH−で示される基を表し、R、R及びRは互いに独立して水素原子又はC〜Cの炭化水素基を表し、RはC〜Cの2価の炭化水素基を表し、Rはフッ素原子を表し、pは0〜4の整数を表す。)
[2]前記一般式(1)において、Z及びAが−O−で示される基である[1]に記載のブロック共重合体。
[3]m/(m+n)の値が0.02〜0.7である[1]又は[2]に記載のブロック共重合体。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記一般式(1)中、R、R及びRで表されるC〜Cの炭化水素基としては特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が例示される。
で表されるC〜Cの2価の炭化水素基としては特に限定されないが、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、フェニレン基等が例示される。Rで示される2価の炭化水素基の炭素数が2以下であると、ブロック共重合体のガラス転移温度が上昇し側鎖の分子運動性が低下するためか、アジド基から生成するニトレンが基材との反応よりブロック共重合体間の架橋反応に消費され、基材表面へのブロック共重合体固定化率が低下してしまうため好ましくない。一方、Rで示される2価の炭化水素基の炭素数が6を超えると、ブロック共重合体中のアジド基濃度が低下し、架橋点が減少して基材表面へのブロック共重合体固定化率が低下してしまうため好ましくない。
上記一般式(1)で示される構造を有するブロック共重合体において、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表す。ここで、m/(m+n)の値は、0.02〜0.7であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.5である。この範囲であれば、基材への接着性とタンパク質の吸着抑制効果の両立という点で優れる。
一般式(1)中に含まれる、下記一般式(2)
Figure 2019172816
で表される2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが好ましい。
一般式(1)中に含まれる、下記一般式(3)
Figure 2019172816
(式中、R、R、R、A、Z、m及びpは前記と同じ意味を表す。)で表される構造単位としては、特に限定されないが、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート、4−(4−アジドフェノキシ)ブチルメタクリレート、5−(4−アジドフェノキシ)ペンチルメタクリレート、6−(4−アジドフェノキシ)ヘキシルメタクリレート、3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリレート、4−(4−アジドフェニル)ブチルメタクリレート、4−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ブチルメタクリレート、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルアクリレート、4−(4−アジドフェニル)ブチルアクリレート、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリルアミド、3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリルアミド、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルアクリルアミド、4−(4−アジドフェニル)ブチルメタクリルアミド、4−(4−アジドフェニル)ブチルアクリルアミド等のモノマーに由来する構造単位が例示され、アジドの光分解速度の点から、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレートに由来する構造単位が好ましい。
一般式(2)で表される構造単位と一般式(3)で表される構造単位との配列はブロック構造である。ブロック構造を有することにより、ポリマー中に親水性セグメントと疎水性セグメントが導入されて界面活性が発現し、疎水性基材表面には疎水性構造単位が選択的に吸着および固定化する。ランダム構造では、ポリマー分子間およびポリマー分子内での架橋反応が進行するため、基材表面への固定化量が低下する。また、基材への固定化後は一部の疎水性構造単位が最表面に露出するため好ましくない。
一般式(1)で示される構造を有するブロック共重合体の数平均分子量は1,000〜1,000,000の範囲で選択できるが、コーティング時の粘度や溶解性、ポリマー層の機械的強度の観点から10,000〜500,000の範囲が好ましい。また、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される多分散度(Mw/Mn)は、特に限定されるものではないが、例えば疎水性基材への接着性や塗膜の安定性の観点から1〜5程度が好ましい。
上記一般式(1)で示される構造を有するブロック共重合体は、本発明の効果を逸脱しない範囲において、他のモノマー由来の構造単位を有してもかまわない。他のモノマー由来の構造単位としては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリビニルベンジルクロライド、ポリビニルアニリン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニル安息香酸、ポリビニルリン酸、ポリビニルピリジン、ポリジメチルアミノメチルスチレン、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のポリ(ハロゲン化オレフィン);ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニル等のポリビニルエステルやそのケン化物であるポリビニルアルコール;ポリアクリロニトリル等のニトリル系ポリマー;ポリメタクリル酸、ポリパーフルオロアルキルメタクリレート、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸、ポリジメチルアミノエチルアクリレート等の(メタ)アクリル系ポリマー;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、等の(メタ)アクリルアミド系ポリマー等が例示される。
本発明のブロック共重合体は、例えば、Z及びAが−O−で示される基である、下記一般式(4)で示される構造を有するブロック共重合体であるものが挙げられる。
Figure 2019172816
(式中、m、n及びRは前記と同じ意味を表す。)
上記一般式(1)で示される構造を有するブロック共重合体は、モノマー化合物の調製及びそれらの重合を含め、基本的には当業者の技術水準に基づき、常法により製造することができる。例えば、使用するモノマーとしては特に限定されないが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート、4−(4−アジドフェノキシ)ブチルメタクリレート、5−(4−アジドフェノキシ)ペンチルメタクリレート、6−(4−アジドフェノキシ)ヘキシルメタクリレート、3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリレート、4−(4−アジドフェニル)ブチルメタクリレート、4−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ブチルメタクリレート、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルアクリレート、4−(4−アジドフェニル)ブチルアクリレート、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリルアミド、3−(4−アジド−2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)プロピルメタクリルアミド、3−(4−アジドフェノキシ)プロピルアクリルアミド、4−(4−アジドフェニル)ブチルメタクリルアミド、4−(4−アジドフェニル)ブチルアクリルアミド等のモノマーを用いる。
重合については特に制約はなく、リビング重合法であれば、ラジカル重合、イオン重合、配位重合のいずれを用いても良いが、操作の簡便性の点から、リビングラジカル重合が好ましく用いられる。リビングラジカル重合法としてはATRP法(原子団移動リビングラジカル重合)や、RAFT(可逆的付加開裂連鎖移動)重合が挙げられる。ATRP法は金属銅又は銅化合物及び配位子から成る銅錯体が触媒として用いられる、有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするラジカル重合法であり、重合中のポリマー成長末端が、ラジカルを有する「活性種」とラジカルがハロゲン原子にキャップされた「ドーマント種」の間で平衡にあり、この平衡がドーマント種の側に大きく偏っていて反応系中のラジカル濃度が低く保たれるため、ラジカル同士が反応してしまう二分子停止反応が抑えられ、ポリマー鎖の揃った重合が可能な方法である。RAFT重合は適切な連鎖移動剤の存在下で、可逆的な連鎖移動反応によって重合反応が進行し、高い鎖末端官能基率のポリマーを合成することができる。これらのリビングラジカル重合法はブロック共重合体を合成するのに有用であるが、ポリマー分子末端が嵩高くないハロゲン原子であるATRP法が好ましい。
ATRP法の重合開始剤としては、有機ハロゲン化物であれば特に限定されないが、エチル2-ブロモイソブチレート、メチル2-ブロモプロピオネート、2-ヒドロキシエチル2-ブロモイソブチレート、α?ブロモプロピオニトリル、エチル2-クロロイソブチレート、メチル2-クロロプロピオネート、2-ヒドロキシエチル2-クロロイソブチレート、α-クロロプロピオニトリル及び2-ブロモイソブチル酸等が挙げられる。これらのハロゲン化物は単独で用いてもよく、または組合せて用いてもよい。
ATRP法の触媒のうち、金属銅は粉末銅、銅箔等の銅単体である。銅化合物については塩化物、臭素化物、ヨウ素化物、シアン化物、酸化物、水酸化物、酢酸化物、硫酸化物、硝酸化物等が例として挙げられるが、それらに限定されたものではない。銅原子は電子状態によって0価、1価、2価の価数をとりうるが、価数は限定されるものではない。配位子として使用される多座アミンを以下に例示するが、これらに限られるものではない。配位子は、2,2’−ビピリジン、4,4’−ジ−(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、N−(n−プロピル)ピリジルメタンイミン、N−(n−オクチル)ピリジルメタンイミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−プロピル−N,N−ジ(2−ピリジルメチル)アミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−ジメチルアミノエチル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2,5,9,12−テトラメチル−2,5,9,12−テトラアザテトラデカン、2,6,9,13−テトラメチル−2,6,9,13−テトラアザテトラデカン、4,11−ジメチル−1,4,8,11−テトラアザビシクロヘキサデカン、N’,N’’−ジメチル−N’,N’’−ビス((ピリジン−2−イル)メチル)エタン−1,2−ジアミン、トリス[(2−ピリジル)メチル]アミン、2,5,8,12−テトラメチル−2,5,8,12−テトラアザテトラデカン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’’,N’’’’−ヘプタメチルテトラエチレンテトラミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン、ポリエチレンイミンなどが挙がられるが、これらに限られるものではない。
重合溶媒としては、例えば、水、THF、ジオキサン、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ベンゼン、トルエン、DMF、DMSO、メタノール、エタノール、イソプロパノールやその混合物等の公知のラジカル重合溶媒を使用すればよく、例えば、モノマー濃度が0.01〜5mol/L、重合開始剤濃度が1〜100mmol/Lになるように希釈し、0〜80℃で1〜72時間反応を行うことにより製造できる。また、重合形態としては特に制約はなく、例えば、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、沈殿重合が例示され、操作の簡便性から溶液重合が好ましく用いられる。
本発明のブロック共重合体は、表面親水化およびタンパク質吸着抑制等の各種表面改質に使用することができる。本発明のブロック共重合体の使用方法の詳細については後述する。
本発明によれば、効率的且つ簡便であり、耐久性に優れた、疎水性基材表面の親水化およびタンパク質吸着抑制できるブロック共重合体を提供することができる。本発明のブロック共重合体を用いることにより、各種疎水性ポリマー基材の表面を効率的且つ簡便に親水化することができる。
以下に、本発明を更に詳細に実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、各物性の測定及び評価は次の方法で行った。
(1)ブロック共重合体組成比
核磁気共鳴測定装置(日本電子製、JNM−ECZ400S)を用いたプロトン核磁気共鳴分光(H−NMR)スペクトル分析により求めた。重溶媒として重水を用いて測定した。
(2)ブロック共重合体の物性
ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)と多分散度(Mw/Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー製 HLC−8320GPCを用い、カラムとしては、東ソー製 TSKgel GMHHR−Lを用い、カラム温度を40℃に設定し、溶離液としてテトラフルオロエタノールを用いて測定した。標準サンプルとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて、PMMA換算にて分子量換算を行った。
(3)親水性
ブロック共重合体を固定化することによる、基材の親水性に及ぼす影響を、水中接触角測定により評価した。この接触角測定は、水中でフィルム表面に気泡を接触させるcaptive bubble法を用いて測定した接触角θから求めた対水接触角(180−θ)にて評価した。実際の測定は、測定サンプルを一晩純水中に浸漬したのち、触角計を用い、室温、常圧のもとで気泡を水中で表面に接触させ、接触角を測定した。
実施例1 [ブロック共重合体の合成]
ガラス製の200mL2口フラスコに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(2.0g,6.7mmol)、エタノール14mL、臭化銅(II)(3.0mg,0.014mmol)、2,2’−ビピリジン(25.4mg,0.16mmol)、臭化銅(I)(9.6mg,0.07mmol)を加え撹拌した。窒素バブリングを30分行った後にエチル2?ブロモイソブチレート(9.96μL,0.07mmol)を添加し、40℃で4時間重合した。この段階でのポリマーはMn=24,000、Mw/Mn=1.3であった。その後、エタノール6mLに3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート(0.39g,1.47mmol)を溶解させた溶液を加え、50℃で10時間重合を続けた。重合反応液を200mLのTHF中に滴下し、再沈殿を行い、析出したポリマーをTHF/メタノール10/1(容量比)の溶液で洗浄した。その後、メタノールに溶解させシリカゲルで銅触媒の吸着除去を行い、減圧乾燥により黄茶色紛体のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は、Mn=27,000、Mw/Mn=1.4であった。組成比は、H−NMRの積分比から決定し、下記構造式(7)において、m/(m+n)の値が0.07であった。
ブロック共重合体の構造式(5)
Figure 2019172816
実施例2 [疎水性ポリマーフィルム表面への固定化]
4cm×4cmに切り出したポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルム(GLサイエンス製、スマートバッグ2F)に、実施例1で合成したブロック共重合体の2質量%含有溶液(溶媒:メタノール)を調製することにより作製した表面改質剤を、2000rpmで一分間スピンコートした後、高圧水銀灯(東芝ライテック製H400P)により、2秒間UV照射(21mJ/cm)を行った。その後、メタノールおよび水を用いて掛け洗いし、表面が改質されたフィルム基材を得た。
実施例3 [水中接触角測定による表面の親水性(ぬれ性)評価]
実施例2で調製したブロック共重合体が固定化されたフィルム基材の接触角は5.4°であり、親水性が高かった。
実施例4 [PVDF製多孔質膜への固定化]
PVDF製多孔質膜(マイクロダイン・ナディア社製MV020)を実施例1で合成したブロック共重合体の2質量%含有溶液(溶媒:メタノール)に5分間浸漬させた後、室温下、窒素雰囲気下で2時間放置し乾燥させた。次いで、高圧水銀灯(東芝ライテック製H400P)により、2秒間UV照射(21mJ/cm)を行った。その後、室温下、超純水、メタノール中で各2秒間超音波を照射することにより洗浄した。これにより、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例5 [タンパク質吸着量抑制効果の確認]
インスリン(和光純薬製)をサンプルタンパク質として使用した。実施例4で調製した表面改質した多孔質膜を1cm×1cmに切り出した。インスリン溶液(0.1mg/mL、PBSで希釈、5mL)中、室温下で2時間振とう(80rpm)させた後、PBSで洗浄した。φ12×105の試験管に試料を入れ、Thermo scientific製のBCA試薬を1mL、ドデシル硫酸ナトリウムの4重量%PBS溶液を1mL加え、1時間60℃で加熱した。その後、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、UH5300)を用いて波長562nmにおける抽出液の吸光度を測定することにより、膜へ吸着したインスリンの量を定量したところ、0.1μg/cmだった。表面改質した多孔質膜表面では、PEGMAユニットのタンパク質吸着抑制能が効果的に機能していることが示された。
実施例6 [ブロック共重合体の合成]
ガラス製の50mL2口フラスコに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(1.1g,3.8mmol)、エタノール8mL、臭化銅(II)(1.7mg,0.008mmol)、2,2’−ビピリジン(14.4mg,0.09mmol)、臭化銅(I)(5.5mg,0.04mmol)を加え撹拌した。窒素バブリングを30分行った後にエチル2−ブロモイソブチレート(5.68μL,0.04mmol)を添加し、40℃℃で4時間重合した。この段階でのポリマーはMn=22,700、Mw/Mn=1.3であった。その後、エタノール6mLに3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート(0.66g,2.53mmol)、2,2’−ビピリジン(464mg,2.97mmol)、臭化銅(I)(181mg,1.26mmol)を溶解させた溶液を加え、50℃で7.5時間重合を続けた。重合反応液を200mLのTHF中に滴下し、再沈殿を行い、析出したポリマーをTHF/メタノール10/1(容量比)の溶液で洗浄した。その後、メタノールに溶解させシリカゲルで銅触媒の吸着除去を行い、減圧乾燥により黄茶色紛体のブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は、Mn=28,700、Mw/Mn=1.2であった。組成比は、H−NMRの積分比から決定し、下記構造式(6)において、m/(m+n)の値が0.15であった。
ブロック共重合体の構造式(6)
Figure 2019172816
実施例7 [疎水性ポリマーフィルム表面への固定化]
実施例6で合成したブロック共重合体を用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行った。
実施例8 [水中接触角測定による表面の親水性(ぬれ性)評価]
実施例7で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は7.1°であった。
実施例9 [多孔質膜への固定化]
実施例6で合成したブロック共重合体を用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
実施例10 [タンパク質吸着量抑制効果の確認]
実施例9で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.16μg/cmだった。
比較例1 [ランダム共重合体の合成]
ガラス製の50mL2口フラスコに2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(2.0g,6.8mmol)および3−(4−アジドフェノキシ)プロピルメタクリレート(0.18g,0.68mmol)、重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(5.5mg)を秤量した。メタノール12.6mLを加え溶解させたのち、十分に溶液中の酸素を窒素で除去後、反応はウォーターバスを用いて60度で5時間行った。反応終了後、メタノール10mLを加え希釈し、THF240mL中に添加し、再沈殿法により未反応のモノマーを除去した。減圧乾燥により、淡黄白色紛体として1.58gのランダム共重合体を得た。得られたポリマーは、Mn=207,400、Mw/Mn=2.3であった。組成比は、H−NMRの積分比から決定し、下記構造式(7)において、m/(m+n)の値が0.09であった。
ランダム共重合体の構造式(7)
Figure 2019172816
比較例2 [疎水性ポリマーフィルム表面への固定化]
比較例1で合成したランダム共重合体を用いた以外は、実施例2と同様にしてフィルムへの表面改質を行った。
比較例3 [水中接触角測定による表面の親水性(ぬれ性)評価]
比較例2で表面を改質したフィルムを用いた以外は実施例3と同様にして接触角の測定を行ったところ、対水接触角は12.0°であった。
比較例4 [多孔質膜への固定化]
比較例1で合成したランダム共重合体を用いた以外は、実施例4と同様の操作により、表面が改質されたPVDF製多孔質膜を得た。
比較例5 [タンパク質吸着量抑制効果の確認]
比較例4で調製したPVDF製多孔質膜を用いた以外は実施例5と同様の操作によりインスリン吸着量を測定したところ、0.7μg/cmだった。
疎水性フィルムの表面を効率的かつ簡便に親水性へと改質することができ、フィルムに様々な機能、例えば、電解質溶液に対するぬれ性の付与、タンパク質の吸着抑制、バイオファウリングの発生防止、薬効成分の吸着防止、抗血栓性、生体親和性、帯電防止等を付与することができる。このような特性は、長期間高い機能性を維持する耐久性が要求される農業用途、土木建築用途、水処理用途、光学用途において特に有用であり、本用途分野において幅広く用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で示される構造を有し、数平均分子量が1,000〜1,000,000であるブロック共重合体。
    Figure 2019172816
    (式中、m及びnは互いに独立して1以上の整数を表し、Zは−O−又は−N(R)−で示される基を表し、Aは−O−又は−CH−で示される基を表し、R、R及びRは互いに独立して水素原子又はC〜Cの炭化水素基を表し、RはC〜Cの2価の炭化水素基を表し、Rはフッ素原子を表し、pは0〜4の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)において、Z及びAが−O−で示される基である請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. m/(m+n)の値が0.02〜0.7である請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
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JP2017186536A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 東ソー株式会社 光反応性ポリマー

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