JP2019172796A - ポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、透明性、初期色相、耐候試験時の黄変抑制に優れたポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を10モル%以上含むジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを、重合触媒としてカルボン酸金属化合物および含窒素化合物の存在下で反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法。(式(1)中、R1、R2、R3、R4は夫々独立に、水素原子、または酸素含んでも良い有機基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐熱性、高い透明性、良好な初期色相、長期使用時の黄変を抑制したポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂(以下、PCと称する)は、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性に優れていることから、エンジニアリングプラスチックとして電気・電子用途、自動車用途、建材、家具、楽器、雑貨類などの幅広い分野で使用されている。また、無機ガラスと比較して、加工形状の自由度が高く、複数部品の一体化が可能なことから特に車体の軽量化、生産性の向上が期待されている。
しかしながら、従来のPCは長時間屋外に暴露されると太陽光線によって色相や透明性、機械的強度が低下するため、屋外で使用される用途において制限があった。
このような問題を解決するために、紫外線吸収剤をPCに添加する方法が知られている。紫外線吸収剤を添加した場合、紫外線照射時の色相などの改善は認められるものの、樹脂自体の色相や耐熱性、透明性の低下を招き、且つ成形時に紫外線吸収剤が揮発して金型を汚染し、成形品の外観不良となる等の課題があった。
そこで、分子骨格中にベンゼン環構造を持たない2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールに代表される脂環式ジヒドロキシ化合物を原料としたポリカーボネート樹脂が検討されている(例えば、特許文献1〜4)。これらのポリカーボネート樹脂は通常、エステル交換法または溶融重合法と呼ばれる方法で製造されるため、上記ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルとを触媒の存在下、200℃以上の高温でエステル交換させ、副生するフェノール等を系外に取り除くことにより重合を進行させ、ポリカーボネート樹脂を得る。重合触媒として金属化合物が有用であることが記載されているが、重合後の着色や耐候試験における黄変が生じることから、実用化・用途展開を加味した上ではさらなる改善が求められている。
したがって、優れた耐熱性、高い透明性、良好な初期色相、耐候試験時の黄変を抑制できるポリカーボネート樹脂は未だ存在しない。
特開平2−86618号公報 特公昭38−26798号公報 特公昭39−1546号公報 特開2015−78257号公報
本発明の目的は、優れた耐熱性、高い透明性、良好な初期色相、耐候試験時の黄変を抑制できるポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(以下、TMCBと称する)に代表されるシクロブタン環を有するジヒドロキシ化合物を用い、特定の金属化合物及び含窒素化合物を重合触媒として得られたポリカーボネート樹脂が耐熱性、透明性、初期色相、耐候試験時の黄変抑制に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、発明の課題は、下記(構成1)〜(構成18)により達成される。
(構成1)
下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を10モル%以上含むジヒドロキシ化合物成分と、下記式(3)で表される炭酸ジエステルとを、重合触媒として下記式(2)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物および含窒素化合物の存在下で反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法であって、重合に使用される全ジヒドロキシ化合物に対して該金属化合物を1×10−7〜3×10−4モル当量、含窒素化合物を1×10−6〜1×10−3モル当量用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
Figure 2019172796
(式(1)中、R、R、R、Rは夫々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)
Figure 2019172796
(式(2)中、Rは炭素原子数1〜22の直鎖状でも分岐状でも良いアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基である。)
Figure 2019172796
(式(3)中、R、Rは夫々独立に、置換若しくは無置換の芳香族基である。)
(構成2)
前記式(2)中のRは、炭素数1〜22の直鎖状のアルキル基であることを特徴とする構成1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成3)
金属からなる陽イオンは、長周期型周期表1族および2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする構成1〜2のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成4)
金属からなる陽イオンは、リチウムおよび長周期型周期表2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする構成1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成5)
含窒素化合物が第四級アンモニウム塩であることを特徴とする構成1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成6)
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を30モル%以上含むことを特徴とする構成1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成7)
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物がシス・トランス異性体混合物からなり、シス異性体比率が30〜90%であることを特徴とする構成1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成8)
さらに下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、全ジヒドロキシ化合物成分中、前記式(1)と下記式(4)との合計が40モル%以上であることを特徴とする構成1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
Figure 2019172796
(式(4)中、mは2〜12の整数を示す)
(構成9)
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする構成1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成10)
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする構成1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成11)
ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする構成1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成12)
ポリカーボネート樹脂が前記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする構成1〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成13)
繰り返し単位が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を10モル%以上含み、リチウムおよび長周期型周期表第2族の金属の合計量が金属量として0.1〜100ppmの範囲であり、全窒素量が0.1〜7ppmの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
Figure 2019172796
(式(1)中、R、R、R、Rは夫々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)
(構成14)
リチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムの合計量が金属量として0.1〜100ppmであることを特徴とする構成13に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成15)
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする構成13〜14のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成16)
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする構成13〜15のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成17)
ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする構成13〜16のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成18)
ポリカーボネート樹脂が下記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする構成13〜17のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
Figure 2019172796
(式(3)中、R、Rは夫々独立に、置換若しくは無置換の芳香族基である。)
本発明のポリカーボネート樹脂は、優れた耐熱性、高い透明性、初期色相を有し、耐候試験時の黄変抑制に優れたものであり、その奏する工業的効果は格別である。
以下、本発明の詳細について説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
<ジヒドロキシ化合物>
本発明において、原料として下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を使用する。下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は全ジヒドロキシ化合物成分の10モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が最も好ましい。
Figure 2019172796
(式(1)中、R、R、R、Rは夫々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)
、R、R、Rは夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的に2−メチル−1,3−シクロブタジオール、2,4−ジメチル−1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、2−エチル−1,3−シクロブタンジオール、2,4−ジエチル−1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラエチル−1,3−シクロブタンジオール、2−ブチル−1,3−シクロブタンジオール、2,4−ジブチル−1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラブチル−1,3−シクロブタンジオール等が挙げられる。最も好適なジヒドロキシ化合物は、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールである。これらのジヒドロキシ化合物は2種類以上併用して用いてもよい。
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、通常シス・トランス異性体混合物である。その比率は限定されるものではないが、シス異性体比率は30%以上が好ましく、45%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。また、シス異性体比率は90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。特開昭39−1546号公報によれば、シス異性体が30%未満の場合、重合したポリマーの融点が高くなるため、成形加工温度を高くする必要があり、樹脂分解を生じ成形品の機械的強度が低下することが記載されている。シス・トランス異性体比率は、日本電子社製JNM−AL400を用いてH−NMRスペクトルを測定することで算出することができる。
<その他のジヒドロキシ化合物>
本発明のポリカーボネート樹脂は前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外の構造単位を含むジヒドロキシ化合物成分を原料とした共重合体とすることができる。その他の共重合構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物成分は、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジヒドロキシ化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類を有するジヒドロキシ化合物類が挙げられる。
上述した脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種のジヒドロキシ化合物を含む場合、全ジヒドロキシ化合物成分中、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種のジヒドロキシ化合物との合計が40モル%以上であることが好ましく、50モル%以上がより好ましく、60モル%以上がさらに好ましく、70モル%以上が特に好ましく、80モル%以上が最も好ましい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、好ましくは下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物を使用することができる。
Figure 2019172796
(式(4)中、mは2〜12の整数を示す)
脂肪族ジヒドロキシ化合物の具体例としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1.9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサングリコール、1,2−オクチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,3−ジイソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジイソアミル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物は2種類以上併用して用いてもよい。
前記脂環式ジヒドロキシ化合物としては、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、イソソルビドなどが挙げられ、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールが好ましい。これらのジヒドロキシ化合物は2種類以上併用して用いてもよい。
前記オキシアルキレングリコール類としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物を使用することができる。
Figure 2019172796
(式(5)中、Wは下記式(6)〜(9)からなる群より選択される少なくとも1種の二価の有機残基、単結合、または下記式(10)のいずれかの結合を表し、XおよびYはそれぞれ独立して0または1〜4の整数であり、RおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、および炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基からなる群より選択される有機残基を表す。)
Figure 2019172796
(式(6)中、R10、R11、R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 2019172796
(式(7)中、R14およびR15はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
Figure 2019172796
(式(8)中、Uは4〜11の整数を表し、かかる複数のR16およびR17はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、および炭素数1〜3のアルキル基から選択される基を表す。)
Figure 2019172796
(式(9)中、R18およびR19はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、および炭素数1〜10の炭化水素基から選択される基を表す。)
Figure 2019172796
前記式(5)におけるWが単結合である構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例としては、4,4’−ビフェノールおよび4,4’−ビス(2,6−ジメチル)ジフェノール等が挙げられる。
Wが式(6)である構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例としては、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(通常“ビスフェノールM”と称される)、およびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
Wが式(7)である構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例としては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
Wが式(8)である構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、および1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
Wが式(9)である構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールA”と称される)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(通常“ビスフェノールC”と称される)、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)デカン、および1,1−ビス(2,3−ジメチルー4−ヒドロキシフェニル)デカン等が例示される。
上記ジヒドロキシ化合物の中でも、式(6)ではビスフェノールM、式(7)では9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、式(8)では1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、式(9)では3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、並びに式(10)ではビスフェノールA、ビスフェノールCが好ましい。
Wが式(10)のいずれかである構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物の具体例としては、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィドおよびビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
さらに式(5)以外の構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物として、好適には2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、炭素数1〜3のアルキル基で置換されたレゾルシノール、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチルインダン−5−オール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン−5−オール、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロインダン、1−メチル−1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−イソプロピルシクロヘキサン、1−メチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]シクロヘキサン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、およびエチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、スピロビクロマン等が例示される。
かかるポリカーボネートのその他詳細については、例えばWO03/080728号パンフレット、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報、および特開2002−117580号公報等に記載されている。
なお、例示した化合物は、本発明でポリカーボネート共重合体の構成単位として使用し得るジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。
<製造方法>
本発明において、前記式(1)の化合物を含むジヒドロキシ化合物成分を用い、エステル交換触媒である特定の陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物および含窒素化合物の存在下、炭酸ジエステルと反応させてポリカーボネート樹脂を製造する。
次にこれらの製造方法について基本的な手段を説明する。
本発明において、原料であるジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅くなったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合する温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物成分の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られる樹脂の色相が悪化する可能性がある。
本発明において、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルと混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001vol%〜10vol%、中でも0.0001vol%〜5vol%、特には0.0001vol%〜1vol%の雰囲気下で行うことが、色相悪化を防止する観点から好ましい。
本発明において、炭酸ジエステルとしては、前記式(3)で表される化合物であり、置換されてもよい炭素数6〜12のアリール基、アラルキル基等のエステルが挙げられる。具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネートおよびm−クレジルカーボネート等が例示される。なかでもジフェニルカーボネートが特に好ましい。ジフェニルカーボネートの使用量は、全ジヒドロキシ化合物成分1モルに対して、好ましくは0.90〜1.10モル、より好ましくは0.95〜1.05モルである。このモル比率が0.90より少なくなったり、1.10より大きくなったりすると、エステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂を得ることが困難となる場合がある。また、エステル交換反応における速度低下は、重合反応時の熱履歴を増大させるため、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相を悪化させる可能性がある。
本発明において、ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルとを重縮合させる方法は、触媒存在下、通常、複数の反応器を用いて多段階で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
重合初期においては、相対的に低温、低真空または常圧でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物成分と炭酸ジエステルのモル比率を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂が得られなかったりして、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相を悪化させる可能性がある。
さらには、留出するジヒドロキシ化合物成分の量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応のジヒドロキシ化合物成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するジヒドロキシ化合物成分に応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45〜180℃であり、好ましくは、80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、逆に低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、ジヒドロキシ化合物成分の留出を抑制しながら、最終的な樹脂の色相や熱安定性を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
本発明のポリカーボネート樹脂は触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明の方法で使用される反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。
本発明において、反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
本発明において、重合触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、140〜270℃、好ましくは180〜240℃、更に好ましくは200〜230℃であり、重合反応器の内圧は110〜90kPa、好ましくは105〜95kPa、更に好ましくは101〜98kPa(絶対圧力)の圧力下であり、初期重合の反応時間は0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間である。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を200Pa以下にして、内温の最高温度210〜280℃、好ましくは220〜260℃で、通常0.1〜10時間、好ましくは、1〜6時間、特に好ましくは0.5〜3時間行う。
特に樹脂の着色や熱劣化を抑制し、色相の良好な樹脂を得るには、全反応段階における内温の最高温度が280℃未満、特に220〜260℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階で界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
所定の分子量の樹脂を得るために、重合温度を高く、重合時間を長くし過ぎると、初期色相は悪化する傾向にある。
本発明の樹脂は、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化されることが好ましい。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
本発明の樹脂を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
本発明の樹脂の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJISB 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出された樹脂を冷却する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10〜0.45μmであることが好ましい。
<重合触媒>
本発明の製造方法において、重合時は重合速度を速めるために、重合触媒を使用する。重合触媒の1つは下記式(2)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物である。
Figure 2019172796
(式(2)中、Rは炭素数1〜22の直鎖状でも分岐状でも良いアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基である。)
前記式(2)中、Rは炭素数1〜22の直鎖状のアルキル基が好ましい。具体的には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸トリコシル酸、リグノセリン酸等からなる陰イオンが好ましく、酢酸、ステアリン酸が特に好ましい。これらは単独もしくは組み合わせで用いることができる。炭素数が22を超えると入手が困難になる。
また、上記金属化合物における金属からなる陽イオンは、長周期型周期表1族および2族の金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることが好ましく、リチウムおよび長周期型周期表2族の金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることがより好ましい。具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、亜鉛等が好ましく、リチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムがより好ましく、リチウム、カルシウムおよびバリウムが特に好ましい。これらは単独もしくは組み合わせで用いることができる。
これらの金属化合物の使用量は、全ジヒドロキシ化合物に対し1×10−7〜3×10−4モル当量の範囲で使用される。好ましくは1×10−6〜2×10−4モル当量、より好ましくは1×10−5〜1×10−4モル当量の範囲で使用される。重合触媒の使用量が上記下限値未満では反応時間が長く、重合度も低くなるため好ましくなく、上記上限値を超えると重合時にポリマーの着色が顕著となるため好ましくない。
本発明では、前記式(3)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物に含窒素化合物を組み合わせることで重合時に反応速度を向上させ、且つ金属化合物の量を大幅に低減することで重合後のポリマーの初期色相が良好で、且つ耐候試験後の黄変が少ないポリカーボネート樹脂を得ることができる。
本発明において重合触媒の1つとして用いられる含窒素化合物としては、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
これらは単独もしくは組み合わせで用いることができる。含窒素化合物としては、第四級アンモニウム塩が好ましく、特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
これらの含窒素化合物の使用量は、全ジヒドロキシ化合物に対し1×10−6〜1×10−3モル当量の範囲で使用される。好ましくは3×10−6〜5×10−4モル当量、より好ましくは5×10−6〜3×10−4モル当量、さらに好ましくは1×10−5〜1×10−4モル当量の範囲で使用される。重合触媒の使用量が上記下限値未満では反応時間が長くなり所望の重合度が得られなくなる可能性があり、上記上限値を超えると重合後のポリマーの着色が顕著となるため好ましくない。
また、反応後期に触媒失活剤を添加することもできる。使用する触媒失活剤としては、公知の触媒失活剤が有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニウム塩、ホスホニウム塩が好ましい。更にドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸の塩類、パラトルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等のパラトルエンスルホン酸の塩類が好ましい。
またスルホン酸のエステルとして、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスルホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラトルエンスルホン酸フェニル等が好ましく用いられる。なかでも、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が最も好ましく使用される。
これらの触媒失活剤の使用量は、重合触媒1モル当たり好ましくは0.5〜50モルの割合で、より好ましくは0.5〜10モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合で使用することができる。
<ポリカーボネート樹脂>
本発明においては、繰り返し単位が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を10モル%以上含み、リチウムおよび長周期型周期表第2族の金属の合計量が金属量として0.1〜100ppmの範囲であり、全窒素量が0.1〜7ppmの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂が提供される。
Figure 2019172796
(式(1)中、R、R、R、Rは夫々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)
かかるポリカーボネート樹脂は、上述したような重合方法で得ることが好ましい。すなわち、前記式(3)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物に含窒素化合物を組み合わせた重合触媒を用いることにより、重合時に反応速度を向上させ、且つ触媒として使用する金属化合物の量を大幅に低減できることから、重合後の初期色相が良好で、且つ耐候試験後の黄変が少ないポリカーボネート樹脂を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂中のリチウムおよび長周期型周期表第2族の金属、好ましくはリチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムを含む化合物は、本ポリカーボネート樹脂の重合に用いる触媒に由来するものであり、ポリカーボネート樹脂中のこれらの合計量は、全金属量として0.1〜100ppmであり、好ましくは0.2〜70ppm以下、より好ましくは0.3〜50ppm以下である。金属量が上限値を超えると重合後の色相が悪化するため好ましくない。ポリカーボネート樹脂中の金属量はICP発光分析法により測定することができる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂中の全窒素量が0.1〜7ppmであり、好ましくは0.2〜5ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全窒素量が上限値を超えると重合後の色相が悪化するため好ましくない。
本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(以下、Mvと略す)で表すことができる。そのMvが、好ましくは10,000〜50,000であり、より好ましくは12,000〜45,000であり、さらに好ましくは15,000〜40,000である。Mvが上記下限値未満では、実用上十分な靭性や耐衝撃性が得られないことがある。一方、Mvが上記上限値を超える場合は、高い成形加工温度を必要とするか、または特殊な成形方法を必要とすることから汎用性に劣り、更に溶融粘度の増加により、射出速度依存性も高くなりやすく、外観不良等により歩留まりが低下することがある。
本発明におけるポリカーボネート樹脂のMvは、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
本発明のポリカーボネート樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)を行ったとき、単一のガラス転移温度(以下、Tgと略す)を示すことが好ましい。Tgの下限は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、Tgの上限は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下である。Tgが、上記下限値以上であると耐熱性が十分となり、また、上記上限値以下であると成形加工性が良好となり好ましい。
Tgはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、成形板(厚さ3mm)の波長320nmにおける光線透過率(以下、%T1と略す)が好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは45%以上であり、最も好ましくは50%以上である。%T1が上記下限より下回ると、耐候試験時に黄変が顕著となることがある。
本発明のポリカーボネート樹脂は、成形板(厚さ3mm)の波長350nmにおける光線透過率(以下、%T2と略す)が好ましくは55%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは65%以上であり、特に好ましくは70%以上である。%T2が上記下限より下回ると、耐候試験時に黄変が顕著となることがある。
本発明のポリカーボネート樹脂は、成形体(厚さ3mm)を63℃、相対湿度50%の環境下にてキセノンランプを用い、波長300nm〜400nmの放射照度180W/mで1000時間照射処理した後に、透過光で測定したJIS K7373に準拠したイエローインデックス(YI)値が好ましくは10以下であり、より好ましくは9以下であり、最も好ましくは8以下である。
本発明のポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは800ppm以下であり、さらに好ましくは700ppm以下である。上記範囲内であるとポリカーボネート共重合体の色調や流動性が良好であり好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、前記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が好ましくは30μeq/g以上であり、より好ましくは40μeq/g以上であり、特に好ましくは50μeq/g以上であり、上限は好ましくは160μeq/g以下であり、より好ましくは140μeq/g以下であり、さらに好ましくは100μeq/g以下である。末端フェニル基の濃度が、高すぎると重合直後や成型時の色相が良くても、耐候試験後の色相悪化を生じることがある。また、低すぎると熱安定性が低下する。末端フェニル基の濃度を制御するには、原料であるジヒドロキシ成分と炭酸ジエステルのモル比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合時の圧力や温度を制御する方法等が挙げられる。
<ポリカーボネート樹脂以外の成分>
本発明のポリカーボネー樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、流動改質剤および帯電防止剤などのそれ自体公知の機能剤を含有できる。
(i)離型剤
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤を併用しても良い。離型剤としては、例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体などであり、酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも入手の容易さ、離型性および透明性の点から脂肪酸エステルが好ましい。離型剤を含有させる割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.007〜0.5重量部、特に好ましくは0.01〜0.3重量部である。含有量が上記下限以上では、離型性の改良効果が明確に発揮され、上記上限を超える場合、成形時の金型汚染などの悪影響が低減され好ましい。
上記の中でも好ましい離型剤として用いられる脂肪酸エステルについて、さらに詳述する。かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、好適には3〜32の範囲、より好適には5〜30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール〜ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3〜32であることが好ましく、特に炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、イコサン酸、およびドコサン酸(ベヘン酸)などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14〜20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸が好ましい。かかる脂肪族カルボン酸は通常、動物性油脂(牛脂および豚脂など)や植物性油脂(パーム油など)などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって脂肪族カルボン酸の製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる。脂肪酸エステルにおける酸価は、20以下(実質的に0を取り得る)であることが好ましい。しかしながら全エステル(フルエステル)の場合には、離型性を向上させるため、少なくからず遊離の脂肪酸を含有することが好ましく、この点においてフルエステルにおける酸価は3〜15の範囲が好ましい。また脂肪酸エステルのヨウ素価は、10以下(実質的に0を取り得る)が好ましい。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
前述の脂肪酸エステルは、部分エステルおよびフルエステルのいずれであってもよいが、より良好な離型性および耐久性の点で部分エステルが好ましく、特にグリセリンモノエステルが好ましい。グリセリンモノエステルは、グリセリンと脂肪酸のモノエステルが主成分であり、好適な脂肪酸としてはステアリン酸、パルチミン酸、ベヘン酸、アラキン酸、モンタン酸、およびラウリン酸等の飽和脂肪酸やオレイン酸、リノール酸、およびソルビン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられ、特にステアリン酸、ベヘン酸、およびパルチミン酸のグリセリンモノエステルを主成分としたものが好ましい。尚、かかる脂肪酸は、天然の脂肪酸から合成されたものであり、上述のとおり混合物となる。そのような場合でも、脂肪酸エステル中のグリセリンモノエステルの割合は60重量%以上であることが好ましい。
なお、部分エステルは、熱安定性の点ではフルエステルに対して劣る場合が多い。かかる部分エステルの熱安定性を向上するため、部分エステルは、好ましくは20ppm未満、より好ましくは5ppm未満、更に好ましくは1ppm未満のナトリウム金属含有量とすることが好ましい。ナトリウム金属含有量が1ppm未満の脂肪酸部分エステルは、脂肪酸部分エステルを通常の方法で製造した後、分子蒸留などにより精製して製造することができる。
具体的には、スプレーノズル式脱ガス装置によりガス分および低沸点物質を除去した後に流下膜式蒸留装置を用い蒸留温度120〜150℃、真空度0.01〜0.03kPaの条件にてグリセリン等の多価アルコール分を除去し、更に遠心式分子蒸留装置を用いて、蒸留温度160〜230℃、真空度0.01〜0.2Torrの条件にて高純度の脂肪酸部分エステルを留出分として得る方法などがあり、ナトリウム金属は蒸留残渣として除去できる。得られた留出分に対し、繰り返し分子蒸留を行うことにより、更に純度を上げ、ナトリウム金属含有量の更に少ない脂肪酸部分エステルを得ることもできる。また前もって適切な方法にて分子蒸留装置内を十分に洗浄し、また気密性を高めるなどにより外部環境からのナトリウム金属成分の混入を防ぐことも肝要である。かかる脂肪酸エステルは、専門業者(例えば理研ビタミン(株))から入手可能である。
(ii)リン系安定剤
本発明のポリカーボネート樹脂には、その成形加工時の熱安定性を向上させることを主たる目的として各種のリン系安定剤が更に配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが例示される。更にかかるリン系安定剤は第3級ホスフィンを含む。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でも、ホスファイト化合物またはホスホナイト化合物が好ましい。殊にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトおよびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましい。またこれらとホスフェート化合物との併用も好ましい態様である。
(iii)ヒンダードフェノール系安定剤(酸化防止剤)
本発明のポリカーボネート樹脂には、その成形加工時の熱安定性、および耐熱老化性を向上させることを主たる目的としてヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかるヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(ii)リン系安定剤および/または(iii)ヒンダードフェノール系酸化防止剤の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.1重量部である。安定剤が上記範囲以上の場合には良好な安定化効果を得ることができ、上記範囲以下の場合は、材料の物性低下や、成形時の金型汚染を起こし難く好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂には、適宜上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の酸化防止剤を使用することもできる。かかる他の酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどが挙げられる。これら他の酸化防止剤の使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜0.05重量部が好ましい。
(iv)紫外線吸収剤
本発明のポリカーボネート樹脂は紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’−ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。
紫外線吸収剤としては、具体的に環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−(2,6−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/またはヒンダードアミン構造を有する光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。上記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。
上記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。上記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.03〜2重量部、さらに好ましくは0.04〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(v)流動改質剤
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、流動改質剤を含むことができる。かかる流動改質剤としては、スチレン系オリゴマー、ポリカーボネートオリゴマー(高度分岐型、ハイパーブランチ型および環状オリゴマー型を含む)、ポリアルキレンテレフタレートオリゴマー(高度分岐型、ハイパーブランチ型および環状オリゴマー型を含む)高度分岐型およびハイパーブランチ型の脂肪族ポリエステルオリゴマー、テルペン樹脂、並びにポリカプロラクトン等が好適に例示される。かかる流動改質剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜15重量部である。特にポリカプロラクトンが好適であり、組成割合はポリカーボネート樹脂100重量部あたり、特に好ましくは2〜7重量部である。ポリカプロラクトンの分子量は数平均分子量で表して1,000〜70,000であり、1,500〜40,000が好ましく、2,000〜30,000がより好ましく、2,500〜15,000が更に好ましい。
(vi)帯電防止剤
本発明のポリカーボネート樹脂は、帯電防止性を向上させることを主たる目的として帯電防止剤を配合することができる。帯電防止剤としては、スルホン酸ホスホニウム塩、亜リン酸エステル、カプロラクトン系重合体等を使用することができ、スルホン酸ホスホニウム塩が好ましく使用される。かかるスルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。帯電防止剤の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.2〜3.0重量部、さらに好ましくは0.3〜2.0重量部、特に好ましくは0.5〜1.8重量部配合される。0.1重量部以上では、帯電防止の効果が得られ、5.0重量部以下であると透明性や機械的強度に優れ、成形品表面にシルバーや剥離が生じず外観不良を引き起こし難い。
本発明のポリカーボネート樹脂は、他にも、ブルーイング剤、蛍光染料、難燃剤、および染顔料などの各種の添加剤を含有することができる。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択して含有することができる。
ブルーイング剤は、ポリカーボネート樹脂中0.05〜3.0ppm(重量割合)含んでなることが好ましい。ブルーイング剤としては代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットB及びマクロレックスブルーRR、並びにクラリアント社のポリシンスレンブルーRLSなどが挙げられる。
蛍光染料(蛍光増白剤を含む)としては、例えば、クマリン系蛍光染料、ベンゾピラン系蛍光染料、ペリレン系蛍光染料、アンスラキノン系蛍光染料、チオインジゴ系蛍光染料、キサンテン系蛍光染料、キサントン系蛍光染料、チオキサンテン系蛍光染料、チオキサントン系蛍光染料、チアジン系蛍光染料、およびジアミノスチルベン系蛍光染料などを挙げることができる。蛍光染料(蛍光増白剤を含む)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001〜0.1重量部が好ましい。
難燃剤としては、例えば、スルホン酸金属塩系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、燐含有化合物系難燃剤、および珪素含有化合物系難燃剤などを挙げることができる。これらの中でも、スルホン酸金属塩系難燃剤が好ましい。難燃剤の配合量は、通常、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜1重量部が好ましく、0.05〜1重量部の範囲がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、適宜、上述したもの以外にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂が挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、環状シクロオレフィン樹脂(COP樹脂)、環状シクロオレフィン共重合体(COP)樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂(PA樹脂);ポリイミド樹脂(PI樹脂);ポリエーテルイミド樹脂(PEI樹脂);ポリウレタン樹脂(PU樹脂);ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂);ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂);ポリスルホン樹脂(PSU樹脂);ポリメタクリレート樹脂(PMMA樹脂);等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂に添加剤等を配合させる方法は、特に限定されるものではなく公知の方法が利用できる。最も汎用される方法として、ポリカーボネート樹脂および添加剤を予備混合した後、押出機に投入して溶融混練を行い、押出されたスレッドを冷却し、ペレタイザーにより切断して、ペレット状の成形材料を製造する方法が挙げられる。
上記方法における押出機は単軸押出機、および二軸押出機のいずれもが利用できるが、生産性や混練性の観点からは二軸押出機が好ましい。かかる二軸押出機の代表的な例としては、ZSK(Werner & Pfleiderer社製、商品名)を挙げることができる。同様のタイプの具体例としてはTEX((株)日本製鋼所製、商品名)、TEM(東芝機械(株)製、商品名)、KTX((株)神戸製鋼所製、商品名)などを挙げることができる。押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部手前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
更に添加剤は、独立して押出機に供給することもできるが、前述のとおり樹脂原料と予備混合することが好ましい。かかる予備混合の手段には、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、および押出混合機などが例示される。より好適な方法は、例えば原料樹脂の一部と添加剤とをヘンシェルミキサーの如き高速攪拌機で混合してマスター剤を作成した後、かかるマスター剤物を残る全量の樹脂原料とナウターミキサーの如き高速でない攪拌機で混合する方法である。
押出機より押出されたポリカーボネート樹脂組成物は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。更にかかるペレットの製造においては、光学ディスク用ポリカーボネート樹脂において既に提案されている様々な方法を用いて、ペレットの形状分布の狭小化、ミスカット物の更なる低減、運送または輸送時に発生する微小粉の更なる低減、並びにストランドやペレット内部に発生する気泡(真空気泡)の低減を行うことが好ましい。ミスカットの低減には、ペレタイザーでの切断時のスレッドの温度管理、切断時のイオン風の吹き付け、ペレタイザーのすくい角の適正化、および離型剤の適切な配合などの手段、並びに切断されたペレットと水との混合物を濾過してペレットと水およびミスカットとを分離する方法などが挙げられる。その測定方法の一例は例えば特開2003−200421号公報に開示されている。これらの処方により成形のハイサイクル化、およびシルバーの如き不良発生割合の低減を行うことができる。
成形材料(ペレット)におけるミスカット量は、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。ここで、ミスカットとは、目開き1.0mmのJIS標準篩を通過する所望の大きさのペレットより細かい粉粒体を意味する。ペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱(楕円柱を含む)であり、かかる円柱の直径は好ましくは1.5〜4mm、より好ましくは2〜3.5mmである。楕円柱において長径に対する短径の割合は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上である。一方、円柱の長さは好ましくは2〜4mm、より好ましくは2.5〜3.5mmである。
<ポリカーボネート樹脂成形品>
本発明のポリカーボネート樹脂からなる成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
また、本発明のポリカーボネート樹脂は、溶融押出法、溶液キャスティング法(流延法)等などの方法によりシート状、フィルム状の成形品を得ることもできる。溶融押出法の具体的な方法は、例えば、ポリカーボネート樹脂を押出機に定量供給して、加熱溶融し、Tダイの先端部から溶融樹脂をシート状に鏡面ロール上に押出し、複数のロールにて冷却しながら引き取り、固化した時点で適当な大きさにカットするか巻き取る方式が用いられる。溶液キャスティング法の具体的な方法は、例えば、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解した溶液(濃度5%〜40%)を鏡面研磨されたステンレス板上にTダイから流延し、段階的に温度制御されたオーブンを通過させながらシートを剥離し、溶媒を除去した後、冷却して巻き取る方式が用いられる。
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂は、成形して積層体とすることもできる。積層体の製法としては、任意の方法を用いればよく、特に熱圧着法または共押出法で行うことが好ましい。熱圧着法としては任意の方法が採用されるが、例えばポリカーボネート樹脂または樹脂組成物のシートをラミネート機やプレス機で熱圧着する方法、押出し直後に熱圧着する方法が好ましく、特に押出し直後のシートに連続して熱圧着する方法が工業的に有利である。
以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の実施例、および比較例において、各特性の測定法は次のとおりである。
(1)シス・トランス比率
日本電子社製JNM−AL400を用いて常温でのH−NMRスペクトルを測定し、シス・トランス異性体比率をシグナル強度比より算出した。
試料 50mg
溶媒 重DMSO 0.6mL
積算回数:512回
(2)ポリマー組成比及び末端フェニル基濃度
日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温でのH−NMRスペクトルを測定し、各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比よりポリマー中の各構造単位の組成比を算出した。また、末端フェニル基濃度は1,1,2,2−テトラブロモエタンを内標として、H−NMRを測定し、内標と末端フェニル基に基づくシグナル強度比より求めた。
ポリマー量 40mg
溶媒 重クロロホルム0.6mL
積算回数:256回
(3)粘度平均分子量(Mv)
ポリカーボネート樹脂のMvを、以下の方法で測定した。ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定した。そして、下記式により算出されるMvを粘度平均分子量とした。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ηsp:比粘度
η:極限粘度
c:定数(=0.7)
Mv:粘度平均分子量
(4)ガラス転移温度(Tg)
ポリカーボネート樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JIS K7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下でTgを測定した。
(5)初期色相(YI
ポリカーボネート樹脂ペレットを100℃で12時間乾燥し、射出成形機(東芝機械株式会社製EC100NII−2Y)に供給し、樹脂温度260℃、金型温度80℃にて成形板(幅100mm×横100mm×厚さ3mm)を成形した。成形板の初期色相をJIS K6735に準拠して、日本電飾工業(株)製NDH−2000(C光源、視野角2°)により測定した。
(6)分光光線透過率(320nm、350nm)
上記成形板(厚さ3mm)の光線透過率を、紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U4100)を用いて測定した。
(7)耐候性試験
スガ試験機株式会社製スーパーキセノンウェザーメーターを用いて、63℃、相対湿度50%の条件下、上記成形板を1000時間静置し、成形板の色相(YI)をJIS K7373に準拠して、日本電飾工業(株)製SE−2000(C光源、視野角2°)により測定し、色差(ΔYI=YI−YI)を算出した。
(8)モノヒドロキシ化合物含有量
樹脂組成物1.25gを塩化メチレン7mLに溶解後、総量が25mlとなるようにアセトンを添加して再沈澱処理を行った。次いで、該処理液を0.2μmディスポーザブルフィルターでろ過し、液体クロマトグラフィーにて定量を行った。
(9)全窒素量
三菱化学社製TN−10型微量窒素分析装置(化学発光法)を用いて、ポリカーボネート樹脂中の全窒素量を測定した。なお、表中のN.Dは0.1ppm未満であることを示す。
(10)全金属量
ポリカーボネート樹脂に濃硫酸と硫酸水素カリウムを加えて650℃で灰化した後、加熱溶融処理した。これを希硝酸に溶解させ純粋で定容した後、ICP(高周波プラズマ発光分分析)法により金属成分の定量分析を行った。測定装置は島津製作所ICPS−8000を使用した。各金属量の合計量を全金属量とした。なお、表中のN.Dは0.1ppm未満であることを示す。
また、実施例で用いた化合物の略号は以下のとおりである。
TMCB−1:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シス異性体比率は60%(和光純薬工業製)
TMCB−2:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シス異性体比率は45%(東京化成工業製)
DPC:ジフェニルカーボネート
TMC:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクヘキサン(本州化学工業製、商品名BP−TMC)
SBI:6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロビインダン
BPA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学製、商品名ビスフェノールA)
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(東京化成工業製)
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール(東京化成工業製)
HD:1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業製)
ND:1,9−ノナンジオール(東京化成工業製)
DDD:1,12−ドデカンジオール(東京化成工業製)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業製)
[実施例1]
攪拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CHCOOLi(和光純薬工業製)/TMAH=0.80/0.20/1.01/5.0×10−6/5.0×10−4(モル比)になるように仕込み、酸素濃度0.001vol%以下となるように十分に窒素置換した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃となった時点で攪拌を開始し、内温が150℃となるように制御しながら内容物を均一に溶融させた。その後、さらに昇温し120分で内温を240℃とした。その間、反応装置の内圧が常圧(絶対圧力=101kPa、以下同様)となるように制御した。その後、60分間かけて減圧しながら13.3kPaにし、その後30分間内圧を保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
このようにしてオリゴマー化させた反応物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼および上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温および減圧を開始して、60分で内温240℃、圧力200Paにした。その後、30分かけて内温260℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、重合反応装置出口より溶融状態のポリカーボネート樹脂をペレタイザーによりペレット化を行い、ポリカーボネート樹脂ペレットを得た。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例2]
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CHCOOLi/TMAH=0.80/0.20/1.01/7.5×10−5/1.5×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例3]
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CHCOOLi/TMAH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4/3.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例4]
CHCOOLiをCHCOONa(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例5]
CHCOOLiをCa[CHCOO](和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例6]
CHCOOLiをBa[CHCOO](和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例7]
CHCOOLiをMg[CHCOO](和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例8]
CHCOOLiをCa[CH(CH16COO](和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例9]
CHCOOLiをBa[CH(CH16COO](和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[実施例10]
原料としてTMCB−2/BPA/CHDM=0.70/0.20/0.10(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/BPA/CHDM=0.70/0.20/0.10(モル比)であった。
[実施例11]
原料としてTMCB−2/TCDDM/=0.90/0.10(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/TCDDM/=0.90/0.10(モル比)であった。
[実施例12]
原料としてTMCB−2/SBI/HD=0.50/0.40/0.10(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/SBI/HD=0.50/0.40/0.10(モル比)であった。
[実施例13]
原料としてTMCB−2/SBI/ND=0.42/0.50/0.08(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/SBI/ND=0.42/0.50/0.08(モル比)であった。
[実施例14]
原料としてTMCB−1/SBI/CHDM=0.30/0.50/0.20(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/SBI/CHDM=0.30/0.50/0.20(モル比)であった。
[実施例15]
原料としてTMCB−1/TMC/DDD=0.50/0.43/0.07(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC/DDD=0.50/0.43/0.07(モル比)であった。
[実施例16]
原料としてTMCB−1=1.00(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1=1.00(モル比)であった。
[比較例1]
原料としてTMCB−1/TMC=0.05/0.95(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作したが、成形不可であった。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.05/0.95(モル比)であった。
[比較例2]
原料としてTMAHを使用せずCHCOOLi=5.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが重合後のポリマーの着色が顕著であった。結果を表3に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[比較例3]
原料としてTMAHを使用せずCHCOOLi=1.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが成形可能なポリマーを得ることができなかった。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[比較例4]
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/NaOH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作し、各種評価を行ったが重合後のポリマーの着色が顕著であった。結果を表3に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[比較例5]
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/NaHCO/TMAH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4/3.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが、成形可能なポリマーを得ることができなかった。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
[比較例6]
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CHCOOLi/TMAH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4/2.0×10−3(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが重合後のポリマーの着色が顕著であった。結果を表3に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
Figure 2019172796
Figure 2019172796
Figure 2019172796
本発明のポリカーボネート樹脂は、優れた耐熱性、高い透明性、初期色相を有し、耐候試験時の黄変を抑制したものであり、種々の成形品の材料として有用である。

Claims (18)

  1. 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を10モル%以上含むジヒドロキシ化合物成分と、下記式(3)で表される炭酸ジエステルとを、重合触媒として下記式(2)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物および含窒素化合物の存在下で反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法であって、重合に使用される全ジヒドロキシ化合物に対して該金属化合物を1×10−7〜3×10−4モル当量、含窒素化合物を1×10−6〜1×10−3モル当量用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2019172796
    (式(1)中、R、R、R、Rは夫々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)
    Figure 2019172796
    (式(2)中、Rは炭素原子数1〜22の直鎖状でも分岐状でも良いアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基である。)
    Figure 2019172796
    (式(3)中、R、Rは夫々独立に、置換若しくは無置換の芳香族基である。)
  2. 前記式(2)中のRは、炭素数1〜22の直鎖状のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 金属からなる陽イオンは、長周期型周期表1族および2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 金属からなる陽イオンは、リチウムおよび長周期型周期表2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. 含窒素化合物が第四級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  6. 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を30モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  7. 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物がシス・トランス異性体混合物からなり、シス異性体比率が30〜90%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  8. さらに下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、全ジヒドロキシ化合物成分中、前記式(1)と下記式(4)との合計が40モル%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2019172796
    (式(4)中、mは2〜12の整数を示す)
  9. ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  10. ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  11. ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  12. ポリカーボネート樹脂が前記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  13. 繰り返し単位が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を10モル%以上含み、リチウムおよび長周期型周期表第2族の金属の合計量が金属量として0.1〜100ppmの範囲であり、全窒素量が0.1〜7ppmの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
    Figure 2019172796
    (式(1)中、R、R、R、Rは夫々独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルコキシ基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基またはハロゲン原子を示す。シクロブタン環はシス・トランス異性体混合物、シス異性体単独またはトランス異性体単独を示す。)
  14. リチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムの合計量が金属量として0.1〜100ppmであることを特徴とする請求項13に記載のポリカーボネート樹脂。
  15. ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする請求項13〜14のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  16. ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  17. ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
  18. ポリカーボネート樹脂が下記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする請求項13〜17のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2019172796
    (式(3)中、R、Rは夫々独立に、置換若しくは無置換の芳香族基である。)
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