JP2019172796A - ポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(構成1)
下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を10モル%以上含むジヒドロキシ化合物成分と、下記式(3)で表される炭酸ジエステルとを、重合触媒として下記式(2)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物および含窒素化合物の存在下で反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法であって、重合に使用される全ジヒドロキシ化合物に対して該金属化合物を1×10−7〜3×10−4モル当量、含窒素化合物を1×10−6〜1×10−3モル当量用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
前記式(2)中のR5は、炭素数1〜22の直鎖状のアルキル基であることを特徴とする構成1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成3)
金属からなる陽イオンは、長周期型周期表1族および2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする構成1〜2のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成4)
金属からなる陽イオンは、リチウムおよび長周期型周期表2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする構成1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成5)
含窒素化合物が第四級アンモニウム塩であることを特徴とする構成1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成6)
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を30モル%以上含むことを特徴とする構成1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成7)
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物がシス・トランス異性体混合物からなり、シス異性体比率が30〜90%であることを特徴とする構成1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成8)
さらに下記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物を含み、全ジヒドロキシ化合物成分中、前記式(1)と下記式(4)との合計が40モル%以上であることを特徴とする構成1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする構成1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成10)
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする構成1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成11)
ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする構成1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成12)
ポリカーボネート樹脂が前記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする構成1〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
(構成13)
繰り返し単位が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を10モル%以上含み、リチウムおよび長周期型周期表第2族の金属の合計量が金属量として0.1〜100ppmの範囲であり、全窒素量が0.1〜7ppmの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
リチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムの合計量が金属量として0.1〜100ppmであることを特徴とする構成13に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成15)
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする構成13〜14のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成16)
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする構成13〜15のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成17)
ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする構成13〜16のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
(構成18)
ポリカーボネート樹脂が下記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする構成13〜17のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明において、原料として下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を使用する。下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は全ジヒドロキシ化合物成分の10モル%以上であり、30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、60モル%以上が特に好ましく、70モル%以上が最も好ましい。
R1、R2、R3、R4は夫々独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数3〜6のシクロアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外の構造単位を含むジヒドロキシ化合物成分を原料とした共重合体とすることができる。その他の共重合構成単位を誘導するジヒドロキシ化合物成分は、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、芳香族ジヒドロキシ化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジヒドロキシ化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類を有するジヒドロキシ化合物類が挙げられる。
本発明において、前記式(1)の化合物を含むジヒドロキシ化合物成分を用い、エステル交換触媒である特定の陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物および含窒素化合物の存在下、炭酸ジエステルと反応させてポリカーボネート樹脂を製造する。
次にこれらの製造方法について基本的な手段を説明する。
本発明の製造方法において、重合時は重合速度を速めるために、重合触媒を使用する。重合触媒の1つは下記式(2)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物である。
本発明においては、繰り返し単位が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を10モル%以上含み、リチウムおよび長周期型周期表第2族の金属の合計量が金属量として0.1〜100ppmの範囲であり、全窒素量が0.1〜7ppmの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂が提供される。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
c=0.7
Tgはティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定することができる。
本発明のポリカーボネー樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、流動改質剤および帯電防止剤などのそれ自体公知の機能剤を含有できる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤を併用しても良い。離型剤としては、例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体などであり、酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。これらの中でも入手の容易さ、離型性および透明性の点から脂肪酸エステルが好ましい。離型剤を含有させる割合は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜2重量部、より好ましくは0.005〜1重量部、さらに好ましくは0.007〜0.5重量部、特に好ましくは0.01〜0.3重量部である。含有量が上記下限以上では、離型性の改良効果が明確に発揮され、上記上限を超える場合、成形時の金型汚染などの悪影響が低減され好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂には、その成形加工時の熱安定性を向上させることを主たる目的として各種のリン系安定剤が更に配合されることが好ましい。かかるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが例示される。更にかかるリン系安定剤は第3級ホスフィンを含む。
本発明のポリカーボネート樹脂には、その成形加工時の熱安定性、および耐熱老化性を向上させることを主たる目的としてヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかるヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂は紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、流動改質剤を含むことができる。かかる流動改質剤としては、スチレン系オリゴマー、ポリカーボネートオリゴマー(高度分岐型、ハイパーブランチ型および環状オリゴマー型を含む)、ポリアルキレンテレフタレートオリゴマー(高度分岐型、ハイパーブランチ型および環状オリゴマー型を含む)高度分岐型およびハイパーブランチ型の脂肪族ポリエステルオリゴマー、テルペン樹脂、並びにポリカプロラクトン等が好適に例示される。かかる流動改質剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部当たり、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜15重量部である。特にポリカプロラクトンが好適であり、組成割合はポリカーボネート樹脂100重量部あたり、特に好ましくは2〜7重量部である。ポリカプロラクトンの分子量は数平均分子量で表して1,000〜70,000であり、1,500〜40,000が好ましく、2,000〜30,000がより好ましく、2,500〜15,000が更に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂は、帯電防止性を向上させることを主たる目的として帯電防止剤を配合することができる。帯電防止剤としては、スルホン酸ホスホニウム塩、亜リン酸エステル、カプロラクトン系重合体等を使用することができ、スルホン酸ホスホニウム塩が好ましく使用される。かかるスルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルオクチルホスホニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、ジブチルベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム、ジブチルナフチルスルホン酸トリフェニルホスホニウム、ジイソプロピルナフチルスルホン酸トリオクチルメチルホスホニウム等が挙げられる。中でも、ポリカーボネートとの相溶性及び入手が容易な点で、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムが好ましい。帯電防止剤の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜5.0重量部、より好ましくは0.2〜3.0重量部、さらに好ましくは0.3〜2.0重量部、特に好ましくは0.5〜1.8重量部配合される。0.1重量部以上では、帯電防止の効果が得られ、5.0重量部以下であると透明性や機械的強度に優れ、成形品表面にシルバーや剥離が生じず外観不良を引き起こし難い。
本発明のポリカーボネート樹脂からなる成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
(1)シス・トランス比率
日本電子社製JNM−AL400を用いて常温での1H−NMRスペクトルを測定し、シス・トランス異性体比率をシグナル強度比より算出した。
試料 50mg
溶媒 重DMSO 0.6mL
積算回数:512回
(2)ポリマー組成比及び末端フェニル基濃度
日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温での1H−NMRスペクトルを測定し、各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比よりポリマー中の各構造単位の組成比を算出した。また、末端フェニル基濃度は1,1,2,2−テトラブロモエタンを内標として、1H−NMRを測定し、内標と末端フェニル基に基づくシグナル強度比より求めた。
ポリマー量 40mg
溶媒 重クロロホルム0.6mL
積算回数:256回
(3)粘度平均分子量(Mv)
ポリカーボネート樹脂のMvを、以下の方法で測定した。ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定した。そして、下記式により算出されるMvを粘度平均分子量とした。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10−4Mv0.83
ηsp:比粘度
η:極限粘度
c:定数(=0.7)
Mv:粘度平均分子量
(4)ガラス転移温度(Tg)
ポリカーボネート樹脂8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JIS K7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下でTgを測定した。
(5)初期色相(YI0)
ポリカーボネート樹脂ペレットを100℃で12時間乾燥し、射出成形機(東芝機械株式会社製EC100NII−2Y)に供給し、樹脂温度260℃、金型温度80℃にて成形板(幅100mm×横100mm×厚さ3mm)を成形した。成形板の初期色相をJIS K6735に準拠して、日本電飾工業(株)製NDH−2000(C光源、視野角2°)により測定した。
(6)分光光線透過率(320nm、350nm)
上記成形板(厚さ3mm)の光線透過率を、紫外可視分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U4100)を用いて測定した。
(7)耐候性試験
スガ試験機株式会社製スーパーキセノンウェザーメーターを用いて、63℃、相対湿度50%の条件下、上記成形板を1000時間静置し、成形板の色相(YI1)をJIS K7373に準拠して、日本電飾工業(株)製SE−2000(C光源、視野角2°)により測定し、色差(ΔYI=YI1−YI0)を算出した。
(8)モノヒドロキシ化合物含有量
樹脂組成物1.25gを塩化メチレン7mLに溶解後、総量が25mlとなるようにアセトンを添加して再沈澱処理を行った。次いで、該処理液を0.2μmディスポーザブルフィルターでろ過し、液体クロマトグラフィーにて定量を行った。
(9)全窒素量
三菱化学社製TN−10型微量窒素分析装置(化学発光法)を用いて、ポリカーボネート樹脂中の全窒素量を測定した。なお、表中のN.Dは0.1ppm未満であることを示す。
(10)全金属量
ポリカーボネート樹脂に濃硫酸と硫酸水素カリウムを加えて650℃で灰化した後、加熱溶融処理した。これを希硝酸に溶解させ純粋で定容した後、ICP(高周波プラズマ発光分分析)法により金属成分の定量分析を行った。測定装置は島津製作所ICPS−8000を使用した。各金属量の合計量を全金属量とした。なお、表中のN.Dは0.1ppm未満であることを示す。
TMCB−1:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シス異性体比率は60%(和光純薬工業製)
TMCB−2:2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、シス異性体比率は45%(東京化成工業製)
DPC:ジフェニルカーボネート
TMC:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクヘキサン(本州化学工業製、商品名BP−TMC)
SBI:6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロビインダン
BPA:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学製、商品名ビスフェノールA)
CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(東京化成工業製)
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール(東京化成工業製)
HD:1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業製)
ND:1,9−ノナンジオール(東京化成工業製)
DDD:1,12−ドデカンジオール(東京化成工業製)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業製)
攪拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CH3COOLi(和光純薬工業製)/TMAH=0.80/0.20/1.01/5.0×10−6/5.0×10−4(モル比)になるように仕込み、酸素濃度0.001vol%以下となるように十分に窒素置換した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃となった時点で攪拌を開始し、内温が150℃となるように制御しながら内容物を均一に溶融させた。その後、さらに昇温し120分で内温を240℃とした。その間、反応装置の内圧が常圧(絶対圧力=101kPa、以下同様)となるように制御した。その後、60分間かけて減圧しながら13.3kPaにし、その後30分間内圧を保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CH3COOLi/TMAH=0.80/0.20/1.01/7.5×10−5/1.5×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CH3COOLi/TMAH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4/3.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
CH3COOLiをCH3COONa(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
CH3COOLiをCa[CH3COO]2(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
CH3COOLiをBa[CH3COO]2(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
CH3COOLiをMg[CH3COO]2(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
CH3COOLiをCa[CH3(CH2)16COO]2(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
CH3COOLiをBa[CH3(CH2)16COO]2(和光純薬工業製)に変更した以外は実施例2と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表1に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
原料としてTMCB−2/BPA/CHDM=0.70/0.20/0.10(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/BPA/CHDM=0.70/0.20/0.10(モル比)であった。
原料としてTMCB−2/TCDDM/=0.90/0.10(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/TCDDM/=0.90/0.10(モル比)であった。
原料としてTMCB−2/SBI/HD=0.50/0.40/0.10(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/SBI/HD=0.50/0.40/0.10(モル比)であった。
原料としてTMCB−2/SBI/ND=0.42/0.50/0.08(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−2/SBI/ND=0.42/0.50/0.08(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/SBI/CHDM=0.30/0.50/0.20(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/SBI/CHDM=0.30/0.50/0.20(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/TMC/DDD=0.50/0.43/0.07(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC/DDD=0.50/0.43/0.07(モル比)であった。
原料としてTMCB−1=1.00(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作し、各種評価を行った。結果を表2に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1=1.00(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/TMC=0.05/0.95(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例3と同様に操作したが、成形不可であった。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.05/0.95(モル比)であった。
原料としてTMAHを使用せずCH3COOLi=5.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが重合後のポリマーの着色が顕著であった。結果を表3に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
原料としてTMAHを使用せずCH3COOLi=1.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが成形可能なポリマーを得ることができなかった。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/NaOH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作し、各種評価を行ったが重合後のポリマーの着色が顕著であった。結果を表3に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/NaHCO3/TMAH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4/3.0×10−4(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが、成形可能なポリマーを得ることができなかった。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
原料としてTMCB−1/TMC/DPC/CH3COOLi/TMAH=0.80/0.20/1.01/1.0×10−4/2.0×10−3(モル比)になるように仕込みを変更した以外は実施例1と同様に操作したが重合後のポリマーの着色が顕著であった。結果を表3に記載した。得られたポリカーボネート樹脂の組成比はTMCB−1/TMC=0.80/0.20(モル比)であった。
Claims (18)
- 下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を10モル%以上含むジヒドロキシ化合物成分と、下記式(3)で表される炭酸ジエステルとを、重合触媒として下記式(2)で表される陰イオンと金属からなる陽イオンとで構成される金属化合物および含窒素化合物の存在下で反応させるポリカーボネート樹脂の製造方法であって、重合に使用される全ジヒドロキシ化合物に対して該金属化合物を1×10−7〜3×10−4モル当量、含窒素化合物を1×10−6〜1×10−3モル当量用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(2)中のR5は、炭素数1〜22の直鎖状のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 金属からなる陽イオンは、長周期型周期表1族および2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 金属からなる陽イオンは、リチウムおよび長周期型周期表2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の陽イオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 含窒素化合物が第四級アンモニウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を30モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物がシス・トランス異性体混合物からなり、シス異性体比率が30〜90%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂が前記式(3)で表される炭酸ジエステルに由来する末端フェニル基を有し、該末端フェニル基濃度が30μeq/g以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 繰り返し単位が下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を10モル%以上含み、リチウムおよび長周期型周期表第2族の金属の合計量が金属量として0.1〜100ppmの範囲であり、全窒素量が0.1〜7ppmの範囲であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
- リチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムの合計量が金属量として0.1〜100ppmであることを特徴とする請求項13に記載のポリカーボネート樹脂。
- ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が10,000〜50,000であることを特徴とする請求項13〜14のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
- ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が100〜200℃であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
- ポリカーボネート樹脂が芳香族モノヒドロキシ化合物を1000ppm以下含有することを特徴とする請求項13〜16のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂。
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