JP2019172792A - 熱伝導性発泡体及び粘着テープ - Google Patents

熱伝導性発泡体及び粘着テープ Download PDF

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麻美 永井
梨絵 松井
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一平 藤本
Ippei Fujimoto
一平 藤本
典男 神保
Norio Jimbo
典男 神保
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Abstract

【課題】良好な柔軟性と高い熱伝導性を有する熱伝導性発泡体及び粘着テープを提供する。【解決手段】樹脂を含むマトリックス成分と、熱伝導性フィラーと、熱膨張性微粒子とを含む発泡性樹脂組成物を発泡してなる熱伝導性発泡体であって、前記熱伝導性発泡体における平均気泡径が180μm以下である熱伝導性発泡体、及び当該熱伝導性発泡体からなるシートの片面又は両面に粘着材を備える粘着テープである。【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性発泡体及び粘着テープに関する。
スマートフォン等の小型電子機器内の部品の高性能化及び集積化、並びに機器の小型化により部品及び機器から発生する熱の増大が著しくなっている。熱対策を行わない場合、部材の機能及び性能の低下や寿命の低下を招くだけでなく、機器自体が熱を持ち、低温火傷や発火の原因となるおそれもある。特に、CPU、PA(パワーアンプ)、LEDといった熱を発する部材の放熱対策は不可欠となっている。これらの部材の熱対策として、機器内部に搭載された発熱部材と機器内部の板金やシールド材といったヒートシンクを兼ねた金属部材とを放熱材料で接触させて熱パスをつくり、発熱部材の温度の低下を図っているのが一般的である。従来の放熱材料として、熱伝導性フィラーを配合したシリコーン樹脂発泡シートが挙げられる。また、エラストマー樹脂と酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムなどの熱伝導体とを含む電子機器用熱伝導性発泡体シートも知られている(特許文献1)。
国際公開第2014/083890号
しかしながら、小型電子機器及びその部品から発生する熱による不具合を防止するためには、放熱材料の熱伝導性を更に向上させることが求められている。
これに対し、放熱材料を構成する樹脂組成物に熱伝導性フィラーをより多く配合することで熱伝導性の向上が期待できるものの、熱伝動性フィラーのほとんどは無機材料や金属材料であり、樹脂組成物中の熱伝動性フィラーの含有割合が多過ぎると放熱材料の柔軟性が低下するおそれがある。また、放熱材料は、小型電子機器の内部に用いられるため、凹凸追従性が求められており柔軟性が必要である。このように、放熱材料の柔軟性を維持したまま熱伝導性を向上させることは困難であり、熱伝導性と柔軟性との両立が要望される。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、良好な柔軟性と高い熱伝導性を有する熱伝導性発泡体及び粘着テープを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂を含むマトリックス成分と熱伝導性フィラーと熱膨張性微粒子とを含む発泡性樹脂組成物の熱伝導性発泡体が、特定の平均気泡径を有することによれば当該課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 樹脂を含むマトリックス成分と、熱伝導性フィラーと、熱膨張性微粒子とを含む発泡性樹脂組成物を発泡してなる熱伝導性発泡体であって、
前記熱伝導性発泡体における平均気泡径が180μm以下である熱伝導性発泡体。
[2] 50%圧縮強度が900kPa以下である[1]に記載の熱伝導性発泡体。
[3] 前記発泡性樹脂組成物における前記熱伝導性フィラーの含有量が33体積%以上である[1]又は[2]に記載の熱伝導性発泡体。
[4] 発泡倍率が2.0倍以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の熱伝導性発泡体。
[5] 前記発泡性樹脂組成物が熱分解型発泡剤を更に含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱伝導性発泡体。
[6] 前記熱伝導性発泡体における、前記熱分解型発泡剤に由来する平均気泡径が85μm以下である[5]に記載の熱伝導性発泡体。
[7] 前記熱伝導性発泡体における、前記熱膨張性微粒子に由来する平均気泡径が200μm以下である[5]又は[6]に記載の熱伝導性発泡体。
[8] 前記樹脂がエラストマー樹脂である[1]〜[7]のいずれかに記載の熱伝導性発泡体。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の熱伝導性発泡体からなるシートの片面又は両面に粘着材を備える粘着テープ。
本発明によれば、良好な柔軟性と高い熱伝導性を有する熱伝導性発泡体及び粘着テープを提供することができる。
<熱伝導性発泡体>
本発明の熱伝導性発泡体は、樹脂を含むマトリックス成分と、熱伝導性フィラーと、熱膨張性微粒子とを含む発泡性樹脂組成物を発泡してなる熱伝導性発泡体であって、熱伝導性発泡体における平均気泡径が180μm以下である。
熱伝導性フィラーを有し、平均気泡径を180μm以下と小さくすることにより、熱伝導パスが形成されやすくなって熱伝導性を向上させることができる。
ところで、平均気泡径が小さくなると発泡倍率が小さくなりやすい。発泡倍率が小さくなると良好な柔軟性が得られにくくなる。そこで本発明では、熱膨張性微粒子を発泡性樹脂組成物に含有させてこれを発泡させることで、良好な柔軟性が得られる程度にまで発泡倍率を向上させている。その結果、平均気泡径を180μm以下と小さくしながらも、高い発泡倍率を実現し、良好な柔軟性と高い熱伝導性を有する熱伝導性発泡体とすることができると考えられる。
以下、本発明の実施形態に係る熱伝導性発泡体について、詳細に説明する。
[平均気泡径]
本発明の熱伝導性発泡体における平均気泡径は180μm以下であることを要する。本発明の熱伝導性発泡体は多数の気泡を有しており、熱伝導性発泡体の平均気泡径が180μmを超えると熱伝導パスを好適に形成することができなくなり、熱伝導性の向上効果が得られない。
熱伝導性発泡体における平均気泡径は、熱伝導性を更に向上させる観点から、170μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましい。また、熱伝導性発泡体の平均気泡径の下限は、熱伝導性発泡体の柔軟性及び製造の容易性の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、40μm以上が更に好ましい。
なお、上記熱伝導性発泡体の平均気泡径は、発泡性樹脂組成物が分解型発泡剤を含有しない場合、熱膨張性微粒子に由来する気泡径に基づいて求められる値である。一方、発泡性樹脂組成物が熱分解型発泡剤を更に含む場合、上記平均気泡径は熱膨張性微粒子に由来する気泡径及び熱分解型発泡剤に由来する気泡径を含む全ての気泡径に基づいて求められる値である。
発泡性樹脂組成物が熱分解型発泡剤を更に含む場合、熱伝導性発泡体における熱膨張性微粒子に由来する平均気泡径の上限は、熱伝導性の向上の観点から200μm以下が好ましく、190μm以下がより好ましく、180μm以下が更に好ましい。柔軟性及び製造の容易性の観点から10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、40μm以上が更に好ましい。
また、発泡性樹脂組成物が熱分解型発泡剤を更に含む場合、熱分解型発泡剤に由来する平均気泡径は、熱伝導性の向上の観点から85μm以下が好ましく、83μm以下がより好ましく、80μm以下が更に好ましく、柔軟性及び製造の容易性の観点から10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、40μm以上が更に好ましい。
熱伝導性発泡体の平均気泡径は、次のようにして求めることができる。まず、熱伝導性発泡体がシート状である場合、発泡体シートをMD方向、及びTD方向に沿って厚み方向に切断し、MD方向の断面、TD方向の断面を作製する。次いで、その断面に存在する各気泡の気泡径をデジタルマイクロスコープにより観察して、MD方向の平均気泡径、TD方向の平均気泡径をそれぞれ求める。そして、該MD方向の平均気泡径とTD方向の平均気泡径の平均値を求め、これを発泡体シートの平均気泡径とする。
ここで、本発明において「MD」はMachine Directionを意味し、発泡体シートの押出方向と一致する方向を意味する。また、「TD」はTransverse Directionを意味し、MDに直交しかつ発泡体シートに平行な方向を意味する。また、本発明において、各断面に存在する各気泡の気泡径は、気泡の断面形状における最も長い径を意味し、例えば、断面形状が真円状であれ直径を表し、断面形状が楕円状であれば長径を表す。
また、発泡体シートが、例えば、後述する発泡性樹脂組成物を、単に熱プレス等することのみにより製造されている場合、すなわち、製造上において特にMD方向、TD方向が定まらない場合は、次のようにして、発泡体シートの平均気泡径を求めることができる。まず、発泡体シートの厚み方向の任意の断面と、該断面と直交する方向のもう一つの厚み方向の断面を作製する。そして、両者のうちいずれか一方をMD方向の断面、他方をTD方向の断面として、上記と同様にして発泡体シートの平均気泡径を求めることができる。
なお、熱膨張性微粒子は発泡後、その外壁に由来して独立型の気泡が形成される。一方で、熱分解型発泡剤に由来する気泡は外壁を持たないため、樹脂量が少ないと気泡同士が連結し、連続型気泡を形成する。そのため、気泡径状の違いにより、熱膨張性微粒子に由来する気泡と熱分解型発泡剤に由来する気泡とを見分けることが可能となる。特に、熱分解型発泡剤が連続気泡となるのは、樹脂量が少なく(フィラー含有量が例えば33体積%以上)、熱膨張型微粒子と併用した場合に見られる傾向がある。
熱伝導性発泡体における平均気泡径、熱膨張性微粒子及び熱分解型発泡剤それぞれに由来する平均気泡径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[マトリックス成分]
本発明のマトリックス成分は、樹脂を含むものである。上記樹脂としてはエラストマー樹脂が挙げられ、さらに当該エラストマー樹脂以外の樹脂及びプロセスオイルからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。例えば、発泡性樹脂組成物が、エラストマー樹脂、ポリオレフィン及びプロセスオイルを含む場合、エラストマー樹脂、ポリオレフィン及びプロセスオイルがマトリックス成分となる。
本発明においては、良好な柔軟性を得る観点から、マトリックス成分は、エラストマー樹脂及びポリオレフィンを含むことが好ましい。
(エラストマー樹脂)
エラストマー樹脂としては、特に限定されないが、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導性フィラーを多く配合しても発泡性を良好とする観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムが好ましく、エチレンプロピレンジエンゴムがより好ましい。
エラストマー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エラストマー樹脂は、室温(23℃)、常圧(1気圧)で液状となる液状エラストマー樹脂であってもよいし、固体状エラストマー樹脂であってもよい。また、液状エラストマー樹脂と固体状エラストマー樹脂との混合物であってもよい。熱伝導性発泡体における平均気泡径を所望する範囲とする観点から、混合物を使用する場合は、液状エラストマー樹脂の配合量(L)と固体状エラストマー樹脂の配合量(S)との質量比(L/S)は、30/70〜70/30が好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。
固体状エラストマー樹脂のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、10〜100が好ましく、15〜70がより好ましく、20〜50が更に好ましい。
固体状エラストマー樹脂のムーニー粘度が上記範囲であると、発泡性を良好にすることが可能になる。ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JISK6300−1に準拠して測定することができる。
液状エラストマー樹脂の23℃動粘度は、5〜1000Pa・sが好ましく、5〜850Pa・sがより好ましく、5〜600Pa・sが更に好ましく、5〜300Pa・sが特に好ましい。
液状エラストマー樹脂の23℃動粘度が上記範囲であると、混練性に優れ、良好な発泡性を得ることが可能になる。
マトリックス成分中におけるエラストマー樹脂の含有量は、75質量%以上が好ましく、85〜95質量%がより好ましい。
マトリックス成分中におけるエラストマー樹脂の含有量が、上記範囲であると、熱伝導性発泡体における平均気泡径を所望する範囲にしやすくなると共に、発泡倍率を高くすることが可能になる。
(ポリオレフィン)
マトリックス成分は、ポリオレフィンを含むことが好ましい。マトリックス成分がポリオレフィンを含むことで、発泡性樹脂組成物を発泡処理して熱伝導性発泡体とした際の発泡倍率が従来に比較して向上し、その結果良好な柔軟性を発現することができる。また、熱伝導性フィラーによる高い熱伝導率も維持した状態で熱伝導性発泡体とすることができる。さらに、熱伝導性発泡体をシートにする場合、原反での抗張力が向上することにより、シートが破断しにくくなり、生産性を向上させることができる。
ポリオレフィンは、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。なお、ポリオレフィンは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
エチレン系樹脂を構成するモノマーは、エチレン以外のモノマーを含んでいてもよく、酢酸ビニル及びアクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上の共重合成分を含むことが好ましい。モノマーとして上記共重合成分を含むことで、エチレンプロピレンジエンゴム等のエラストマー樹脂との架橋性が良好となる。
エチレン系樹脂を構成する全モノマー中における、上記共重合成分の含有量は、2〜45質量%が好ましく、3〜35質量%がより好ましく、5〜25質量%が更に好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。
含有量が2〜45質量%であることで原反での抗張力を向上させたり、発泡倍率を向上させたりすることができる。
酢酸ビニル及びアクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上をモノマーとして含むエチレン系樹脂としては、エチレンを主成分とするエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)、エチレンを主成分とするエチレン−アルキルアクリレート共重合体等が挙げられる。これらエチレン系樹脂の中でも、発泡剤が発泡する際にシートが破断しにくくなる観点から、エチレンを主成分とするエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA樹脂)が好ましい。
これらの共重合体は、交互共重合体であっても、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
なお、「エチレンを主成分とする」とは、エチレン含有量が好ましくは55質量%以上をいう。
EVA樹脂としては、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物のようなエチレン−酢酸ビニルの変性体樹脂等が挙げられる。
エチレンを主成分とするエチレン−アルキルアクリレート共重合体におけるアルキルアクリレートの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等の炭素数1〜4のアルキルのアクリレートが挙げられる。これらのアルキルアクリレートは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。好ましいエチレン−アルキルアクリレート共重合体としては、エチレンアクリル酸メチルコポリマー(EMA)、エチレンアクリル酸エチルコポリマー(EEA)等が挙げられる。
プロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ブチレン−プロピレン共重合体などを挙げられる。上記プロピレン系樹脂は単独で用いてもよく、複数の種類のプロピレン系樹脂を組み合わせて用いてもよい。
ポリオレフィンのメルトフローレートは、1.5〜45g/10min.が好ましく、1.7〜35g/10min.がより好ましく、2〜10g/10min.が更に好ましい。
ポリオレフィンのメルトフローレートが上記範囲であると、破泡を容易に防ぐことができ、また高い発泡倍率を得ることが可能になる。
(プロセスオイル)
マトリックス成分は、プロセスオイルを含有することができる。プロセスオイルを配合することにより、エラストマー樹脂との親和性を高め、発泡性が良好となる。
プロセスオイルとしては、特に制限されないが、植物油、動物油、鉱物油、合成油等が挙げられる。これらの中でも、鉱物油及び合成油からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、鉱物油がより好ましい。
プロセスオイルは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
鉱物油としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられ、これらの中でも、エラストマー樹脂との親和性を高める観点から、パラフィン系プロセスオイルが好ましい。
パラフィン系プロセスオイルとして市販されている製品としては、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPW−32、PW−90、PW−380、JXエネルギー(株)製のスーパーオイルM−10、M−12、M−22、M−32、M−46、M−68、M−100、M−150、M−460、日本サン石油(株)製のサンパー107、110、115、150、2100、2280、エッソ石油(株)製のスタノールLP40などが挙げられる。
プロセスオイルである合成油としては、特に制限されないが、炭化水素系オリゴマーが好ましい。炭化水素系オリゴマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のαオレフィンから選択される1種のモノマーを単独で重合した単独重合系オリゴマー、又は2種以上のモノマーを共重合した共重合系オリゴマーのいずれでもよいが、エラストマー樹脂との親和性を高める観点から、共重合系オリゴマーが好ましい。
プロセスオイルの重量平均分子量は、6500以下が好ましく、300〜5000がより好ましく、450〜4000が更に好ましく、500〜2000が特に好ましい。
プロセスオイルの重量平均分子量が上記上限値以下であると、熱伝導性発泡体の発泡性を良好にすることが可能になる。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
プロセスオイルの40℃動粘度は、30000mm/s以下が好ましく、20〜10000mm/sがより好ましく、70〜3000mm/sが更に好ましく、80〜500mm/sが特に好ましい。
プロセスオイルの40℃動粘度が上記上限値以下であると、熱伝導性発泡体の発泡性を良好にすることが可能になる。
プロセスオイルの40℃動粘度は、JIS K 2283に準拠して測定することができる。
プロセスオイルと固体状エラストマー樹脂とを併用する場合、プロセスオイルの配合量(P)と固体状エラストマー樹脂の配合量(S)との質量比(P/S)は、30/70〜70/30が好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。なお、プロセスオイルと液状エラストマー樹脂と固体状エラストマー樹脂とを併用する場合、プロセスオイルの配合量(P)と液状エラストマー樹脂の配合量(L)との合計配合量(PL)と固体状エラストマー樹脂の配合量(S)との質量比(PL/S)が上記範囲となることが好ましい。
[熱伝導性フィラー]
熱伝導性フィラーとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、タルク、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化チタン、炭素繊維等が挙げられ、これら以外にも銅粉、ニッケルフィラー等が挙げられる。これらの中では、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素が好ましく、窒化ホウ素、酸化マグネシウムがより好ましい。
窒化ホウ素は、熱伝導性発泡体の熱伝導性をより向上させやすい観点から、窒化ホウ素の一次粒子を凝集させた二次粒子である凝集粒子、例えば、麟片状凝集粒子であることが特に好ましい。
熱伝導性フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの熱伝導性フィラーは、樹脂への密着性、及び加工性向上のために、表面処理がされていてもよい。
発泡性樹脂組成物に熱伝導性フィラーを加えることにより、熱伝導性発泡体の熱伝導性が向上するが、加えてサンプル間の熱伝導性の高低のバラつきを小さくすることができ、物性が安定することにより製品の信頼性が向上する。
熱伝導率を向上させる観点から、発泡性樹脂組成物中の熱伝導性フィラーの含有量は、33体積%以上が好ましい。含有量が33体積%以上であれば、熱伝導性を向上させることができ、また熱伝導性及び柔軟性を両立させる上で好適である。熱伝導性フィラーの含有量は、33〜60体積%がより好ましく、40〜60体積%が更に好ましい。
なお、熱伝導性フィラーの体積%は、発泡性樹脂組成物の全体積基準で算出されるものであるが、熱伝導性発泡体の全体積基準で算出されるものであるが、熱伝導性発泡体の体積は、例えば、発泡性樹脂組成物の全体積から発泡時に分解して、消失される発泡剤の体積を差し引いて算出することが可能である。また、上記した熱伝導性フィラーの体積は、配合される各成分の質量から算出可能なものであり、例えば、各成分の質量に各成分の23℃における密度を乗じることによって算出可能である。
発泡性樹脂組成物における熱伝導性フィラーの含有量は、マトリックス成分100質量部に対して、20〜600質量部が好ましく、100〜550質量部がより好ましく、150〜500質量部が更に好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が上記範囲内であることで、熱伝導性発泡体における平均気泡径を所望する範囲に調整することが容易になり、また熱伝導性発泡体の熱伝導性をより向上させやすくなる。
熱伝導性フィラーの密度は、2.0〜8.0g/cmが好ましく、2.0〜6.0g/cmがより好ましく、2.0〜5.0g/cmが更に好ましい。
熱伝導性フィラーの平均粒径は、0.1〜200μmが好ましく、5〜150μmがより好ましく、10〜100μmが更に好ましい。
平均粒径の測定方法については、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HELOS/BFM,Sympatec GmbH社製)を用いる。本装置により、常法により粒度分布を測定して平均粒径を求め、5回測定値した際の平均値を平均粒径とする。
熱伝導性フィラーの熱伝導率は、下限が5W/m・K以上が好ましく、20W/m・K以上がより好ましく、上限は特に制限されないが、通常2000W/m・K以下である。 熱伝導性フィラーの形状は特に限定されず、球状、中空状、板状、麟片状、針状等いずれの形状でもよく、異なる形状を混在させてもよい。一次粒子を凝集させた二次粒子である凝集粒子であってもよい。
[熱膨張性微粒子]
熱膨張性微粒子は、既述のとおり、熱伝導性発泡体中にセル壁を有する気泡を発生させるものであり、最終的な発泡倍率の向上に寄与する。
熱膨張性微粒子としては、特に限定はされないが、熱膨張性マイクロカプセルを用いることが好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、合成樹脂カプセルの中に、加熱することにより膨張する液体や気体を内包させたものを用いることが好ましい。特に、押出成形や射出成形の際のスクリューやカレンダなどによる混練溶融熱で内包された液体や気体が膨張することにより外殻となるマイクロカプセルを膨張させるが、成形時の温度条件によっては溶融し、破裂することなく成形が完了するものを用いることが好ましい。
マイクロカプセルの素材としては、アクリルニトリルをモノマー成分の1つとした共重合体が用いられ、アクリルニトリルと共重合する他のモノマー成分として、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、及び塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
マイクロカプセルに内包する液体または気体としては、マイクロカプセルの軟化点以下の温度でガスになって膨張するもので、例えば、プロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、塩化メチルやメチレンクロリドなどのメタンのハロゲン化物、CClFやCClなどのクロロフルオロカーボン、及びテトラメチルシランやトリメチルエチルシランなどのテトラアルキルシランなどの低沸点液体のほか、加熱により熱分解してガス状になるAIBNなどの化合物を挙げることができる。
市販の熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、エクスパンセル980DU120、エクスパンセル920DU40、エクスパンセル920DU80、エクスパンセル009DU80、エクスパンセル920DU20(以上、日本フィライト(株)製)、マツモトマイクロスフェアーF−105D(松本油脂製薬(株)製)、アドバンセルEMH204、アドバンセルEM501、アドバンセルEM403(以上、積水化学工業(株)製)などを使用することができる。
また、高い発泡倍率を得る観点から、熱膨張性微粒子の膨張開始温度は、120℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましい。実用上の観点から熱膨張性微粒子の膨張開始温度は、270℃以下であることが好ましい。
熱膨張性微粒子の膨張開始温度は、例えば熱機械分析装置(TMA)を用いて行うことができる。すなわち、所定の試料をアルミ製容器に入れ、その上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱する。この状態での測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を膨張開始温度とする。
発泡性樹脂組成物における熱膨張性微粒子の含有量は、マトリックス成分100質量部に対し、0.3〜14質量部が好ましく、0.4〜10質量部がより好ましい。熱膨張性微粒子の含有量が上記範囲内であることで、より良好な発泡倍率とすることができ、熱伝導性と柔軟性を両立する上で好適である。なお、熱膨張性微粒子の粒径は、膨張後の粒径を考慮して選択することが好ましい。
[熱分解型発泡剤]
本発明において発泡性樹脂組成物は、熱分解型発泡剤を更に含有することが好ましい。
熱分解型発泡剤は、熱膨張性微粒子とともに気泡の形成により発泡倍率の向上に寄与するものであり、熱膨張性微粒子と熱分解型発泡剤を併用することで、熱伝導性発泡体における平均気泡径を所望する大きさに調整しやすくなる。また、上記併用により、たとえ上述の熱伝導性フィラーの含有量が高い配合であったとしても、更なる発泡倍率の向上が期待できる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
上記の中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが更に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
なお、アゾジカルボンアミドの分解開始温度はその粒径などにもよるが、200℃前後である。この分解開始温度については、アゾジカルボンアミドに発泡助剤を混合したりすることで低くすることができる。
当該発泡助剤としては、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸亜鉛、硼砂、尿素、エタノールアミン、ビウレア、二塩基性亜リン酸鉛、水酸化カルシウム、グリセリン、ジエチレングリコール、ジブチルチンジマレート、アルカリ性化合物、チオウレア系、チアゾール系、スルフェアミド系、チウラム系、ジオカルバミン酸系などの加硫促進剤等の公知の助剤と加硫促進剤が挙げられる。
発泡性樹脂組成物における熱分解型発泡剤の含有量は、マトリックス成分100質量部に対し、5〜30質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。熱分解型発泡剤の含有量が上記範囲内であることで、より良好な発泡倍率とすることができる。
熱分解型発泡剤の発泡開始温度は、実際上の観点から140〜270℃程度であり、有機系又は無機系といった種々の熱分解型発泡剤を用いることができる。
また、熱分解型発泡剤の分解開始温度が熱膨張性微粒子の膨張開始温度以上であり、その差が95℃以内であること好ましい。これらの差が95℃以内であることで、熱分解型発泡剤の分解と熱膨張性微粒子の膨張とが均一に生じやすくなる。当該差は、60℃以内であることがより好ましい。
なお、熱分解型発泡剤の分解開始温度は、TG(熱重量測定)/DTA(示差熱分析)での減量開始温度とする。なお、昇温速度は2℃/min.程度とする。
熱膨張性微粒子と熱分解型発泡剤との質量比(熱膨張性微粒子/熱分解型発泡剤)は、0.5/19.5〜14/6質量部とすることが好ましく、1/19〜12/8質量部とすることがより好ましい。0.5/19.5〜14/6質量部とすることで熱伝導性発泡体における平均気泡径を所望する大きさに調整しやすくなり、特に、柔軟性を損なわず、当該平均気泡径をより小さくすることができる。
[任意成分]
本発明において発泡性樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、上記以外にも必要に応じて各種の添加成分を含有させることができる。
この添加成分の種類は特に限定されず、発泡成形に通常使用される各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、内滑剤、収縮防止剤、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、上記を除いた充填剤、補強剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、表面処理剤等が挙げられる。添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の樹脂の発泡、成形に用いられる添加量を採用できる。これらの添加剤は、各々について、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の樹脂の発泡、成形に用いられる添加量を採用できる。これらの添加剤を添加する場合、その添加量は、マトリックス成分100質量部に対して、通常は50質量部以下であり、20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下が更に好ましい。
また、エステル構造及びアミド構造の少なくともいずれかを含む高級脂肪酸誘導体をマトリックス成分中に含むことができる。当該高級脂肪酸誘導体を添加することにより、熱伝導性フィラーの含有量が高い配合でも外観を良好に保つことができる。
[熱伝導性発泡体の物性]
熱伝導性発泡体の50%圧縮強度は、900kPa以下が好ましく、800kPa以下がより好ましい。上記圧縮強度が900kPa以下であれば、電気機器内部に用いられる熱伝導性シートに求められる凹凸追従性に十分な柔軟性が得られる。
また、熱伝導性発泡体の50%圧縮時の熱伝導率は、上限は無いが、柔軟性及び製造の容易性の観点から、1.0〜2.5W/m・Kが好ましく、1.3〜2.5W/m・Kがより好ましい。上記熱伝導率が上記範囲内であれば、熱伝導性発泡体は熱伝導性に優れる。
熱伝導性発泡体の発泡倍率は、2.0倍以上が好まく、2.0〜5.0倍がより好ましく、2.0〜4.0倍が更に好ましい。発泡倍率が2.0倍以上であると発泡体の柔軟性を維持しつつ熱伝導性の向上を実現することができる。
熱伝導性発泡体をシートとする場合、シートの厚さは、使用用途によって適宜選択され、特に限定されないが、0.05〜2mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましく、0.2〜1mmが更に好ましい。
本発明の熱伝導性発泡体は、電子機器の内部に好適に使用され、例えば、スマートフォンにおいて放熱シートとして使用されるものである。より詳細には、例えば、発熱源と放熱部材との間で適度に圧縮され、隙間なく配置されるものとなる。また、落下した場合には、電子部品等に付与される衝撃を吸収することも可能になる。
[熱伝導性発泡体の製造方法]
本発明の熱伝導性発泡体の製造方法は特に限定されないが、熱伝導性発泡体の一態様としての熱伝導性発泡体シートの製造方法について説明する。
まず、上記した樹脂を含むマトリックス成分、熱伝導性フィラー、及び熱膨張性微粒子、並びに、必要に応じて配合される熱分解型発泡剤、その他添加剤を配合し、混練することにより得られた発泡性樹脂組成物を、シート状に成形することにより発泡性樹脂シートを準備する。次いで発泡性樹脂シートを電離放射線等により架橋した後、加熱炉、オーブン等の加熱装置内にて加熱して発泡させる方法により製造することが好ましい。
(発泡性樹脂シートの製造方法)
発泡性樹脂シートの製造方法としては、例えば、発泡性樹脂組成物をバンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティング等により連続的に押し出すことにより発泡性樹脂シートを製造する方法が挙げられる。
(発泡性樹脂シートの架橋方法)
次に、発泡性樹脂シートの架橋方法としては、電離性放射線による架橋、有機過酸化物による架橋等が挙げられるが、電離性放射線による架橋が好ましい。
電離性放射線により架橋する場合、電離性放射線としては、例えば、光、γ線、電子線等が挙げられる。電離性放射線の照射量は、0.5〜10Mradが好ましく、0.7〜5.0Mradがより好ましい。
電離性放射線により架橋を行った場合、径が小さく均一な気泡を有する熱伝導性発泡体シートを得ることができる。このような径が小さく均一な気泡を有する熱伝導性発泡体シートは、その表面が平滑であって被着面に対する接触面積が大きくなり密着性が向上する。
有機過酸化物により架橋する場合、有機過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。これら有機化酸化物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物の配合量は、マトリックス成分100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜7質量部がより好ましい。
(発泡性樹脂シートの発泡方法)
発泡性樹脂シートを発泡させる方法としては、オーブンのようなバッチ方式や、発泡性樹脂シートを長尺のシート状とし、連続的に加熱炉内を通す連続発泡方式を挙げることができる。加熱温度は、200〜320℃が好ましく、230〜300℃がより好ましい。
<粘着テープ>
本発明は、前述の本発明の熱伝導性発泡体からなるシートの片面又は両面に粘着材を備える、粘着テープを提供する。
粘着材は、少なくとも粘着剤層を備え、その粘着剤層により、熱伝導性発泡体シートを他の部材に接着させる。粘着材は、より具体的には、熱伝導性発泡体シートの表面に直接積層された粘着剤層単体であってもよいし、熱伝導性発泡体シートの表面に貼付された両面粘着テープであってもよい。
両面粘着テープは、基材と、基材の両面に設けられた粘着剤層とを備えるものである。両面粘着テープは、一方の粘着剤層を熱伝導性発泡体シートに接着させるとともに、他方の粘着剤層を他の部材に接着させる。
粘着剤層は粘着剤により構成される。粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられるが、これらの中では、アクリル系粘着剤が好ましい。また、両面粘着テープの基材としては、例えば樹脂フィルムが使用される。粘着剤は両面異なる仕様になっていてもよく、発泡体に接さない面にはシリコーン系粘着剤の使用も可能である。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した材料は以下のとおりである。
<マトリックス成分>
・エチレンプロピレンジエンゴム(固体状EPDM)
三井化学(株)製、商品名「EMB−EPT 4021」
エチレン含量:51質量%、ジエン含量:8.1質量%
ムーニー粘度:24(ML1+4、100℃)
・エチレンプロピレンジエンゴム(液状EPDM)
三井化学(株)製、商品名「PX−068」
動粘度(23℃):10Pa・s
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)
宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「VF215C」
酢酸ビニル含量:15質量%
メルトフローレート:2.3g/10min.
<熱伝導性フィラー>
・酸化マグネシウム
(i)酸化マグネシウム(1)(MgO(1))
宇部マテリアル(株)製、商品名「RF−50−SC」
平均粒径:50μm
密度:3.65g/cm
熱伝導率(λ):42〜60W/m・K
形状:球状
(ii)酸化マグネシウム(2)(MgO(2))
協和化学工業(株)製、商品名「パイロキスマ(登録商標)3320」
平均粒径:20μm
密度:3.65g/cm
熱伝導率(λ):42〜60W/m・K
形状:球状
・窒化ホウ素(BN)
窒化ホウ素
モメンティブ製(株)製、商品名「PTX60S」
凝集体平均粒径:60μm
密度:2.2g/cm
熱伝導率(λ):30〜150W/m・K
形状:麟片状凝集体
<発泡剤>
・熱膨張性微粒子
(i)熱膨張性微粒子(1)
日本フィライト(株)製、商品名「エクスパンセル980DU120」
粒径25〜40μm(発泡後120μm)
膨張開始温度158〜173℃
(ii)熱膨張性微粒子(2)
積水化学工業(株)製、商品名「アドバンセルEM501」
粒径22〜28μm
膨張開始温度160℃
・熱分解型発泡剤
アゾジカルボンアミド(ADCA)
大塚化学(株)製、商品名「SO−L」、分解開始温度:199℃、粒径3.2μm
(8)酸化防止剤
フェノール系酸化防止剤・・・BASFジャパン(株)製、商品名「イルガノックス1010」
実施例1
固体状EPDM45質量部、液状EPDM45質量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体10質量部、酸化マグネシウム(1)300質量部、窒化ホウ素150質量部、熱膨張性微粒子(1)8質量部、熱分解型発泡剤12質量部、酸化防止剤0.1質量部を溶融混練した。その後、プレスすることにより厚さが0.5mmの発泡性樹脂シート(原反)を得た。
得られた発泡性樹脂シート(原反)の両面に加速電圧500keVにて電子線を1.2Mrad照射して発泡性樹脂シートを架橋させた。次にシートを250℃に加熱することによって発泡性樹脂シートを発泡させて、熱伝導性発泡体シート(熱伝導性発泡体)を得た。
上記熱伝導性発泡体シートについて、(1)平均気泡径(熱伝導性発泡体における平均気泡径、熱膨張性微粒子に由来する平均気泡径、熱分解型発泡剤に由来する平均気泡径)、(2)発泡倍率、(3)50%圧縮強度、(4)熱伝導率を、後述の方法に従い測定し評価した。
実施例2〜5、比較例1〜4
配合を表1とおり変更したこと以外は、実施例1と同様に熱伝導性発泡体シートを製造し、下記評価を行った。結果を表1に示す。
<物性評価>
得られた熱伝導性発泡体シートの物性は以下のように測定した。各測定結果は表1に示す。
(1)平均気泡径(μm)
(1−1)熱伝導性発泡体における平均気泡径
実施例及び比較例で得られた熱伝導性発泡体シートを50mm四方にカットしたものを測定用のサンプルとして用意した。これを液体窒素に1分間浸した後にカミソリ刃でMD方向、TD方向に沿ってそれぞれ厚さ方向に切断した。この断面をデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製「VHX−900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD方向及びTD方向のそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡について気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡の平均値をMD方向、TD方向の平均気泡径とし、該MD方向の平均気泡径及びTD方向の平均気泡径の平均値[(MD方向の平均気泡径+TD方向の平均気泡径)/2]を本発明における平均気泡径とした。
(1−2)熱膨張性微粒子に由来する平均気泡径
(1−1)で測定した全ての気泡のうち、完全な気泡壁が観察され独立気泡とみなされる気泡について、MD方向の平均気泡径及びTD方向の平均気泡径の平均値[(MD方向の平均気泡径+TD方向の平均気泡径)/2]を熱膨張性微粒子に由来する平均気泡径とした。
(1−3)熱分解型発泡剤に由来する平均気泡径
(1−1)で測定した全ての気泡のうち、気泡の連結が観察され連続気泡とみなされる気泡について、MD方向の平均気泡径及びTD方向の平均気泡径の平均値[(MD方向の平均気泡径+TD方向の平均気泡径)/2]を熱分解型発泡剤に由来する平均気泡径とした。
(2)発泡倍率
熱伝導性発泡体シートの発泡倍率は、発泡前の発泡性樹脂シートと熱伝導性発泡体シートの比容積(単位:cm/g)を測定し、熱伝導性発泡体シートの比容積/発泡前の発泡性樹脂シートの比容積によって算出した。
(3)50%圧縮強度(kPa)
熱伝導性発泡体シートの厚さ方向の50%圧縮強度は、JIS K6767−7.2.3(JIS2009)に準拠し、50%ひずみ時の圧縮応力を測定した。
なお、比較例1及び2では、十分な発泡倍率が得られなかったため、シートを50%圧縮することができず、本測定は行えなかった。
(4)熱伝導率λ(50%圧縮時)(cm/g)
熱伝導性発泡体シートの熱伝導率は、ホットディスク熱物性測定装置(京都電子工業(株)製、型名「TPS1500」)を用い、25mm×25mmの熱伝導性発泡体シートを厚さ10mm以上になるように重ねて、50%圧縮して試験片とし、二つの試験片でセンサーを挟み、センサーを発熱させ、温度上昇から熱伝導率を測定した。
なお、比較例1及び2では、十分な発泡倍率が得られなかったため、シートを50%圧縮することができず、本測定は行えなかった。
実施例1〜5の熱伝導性発泡シートは、優れた熱伝導性と良好な柔軟性を両立していることが分かった。
一方、比較例1,2は熱膨張性微粒子を含有していないため、熱伝導性発泡体の平均気泡径が小さいものの十分な柔軟性を得ることができなかった。また比較例3,4は熱伝導性発泡体の平均気泡径が大きくなり、熱伝導性発泡シートは熱伝導性に劣るものとなった。

Claims (9)

  1. 樹脂を含むマトリックス成分と、熱伝導性フィラーと、熱膨張性微粒子とを含む発泡性樹脂組成物を発泡してなる熱伝導性発泡体であって、
    前記熱伝導性発泡体における平均気泡径が180μm以下である熱伝導性発泡体。
  2. 50%圧縮強度が900kPa以下である請求項1に記載の熱伝導性発泡体。
  3. 前記発泡性樹脂組成物における前記熱伝導性フィラーの含有量が33体積%以上である請求項1又は2に記載の熱伝導性発泡体。
  4. 発泡倍率が2.0倍以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性発泡体。
  5. 前記発泡性樹脂組成物が熱分解型発泡剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱伝導性発泡体。
  6. 前記熱伝導性発泡体における、前記熱分解型発泡剤に由来する平均気泡径が85μm以下である請求項5に記載の熱伝導性発泡体。
  7. 前記熱伝導性発泡体における、前記熱膨張性微粒子に由来する平均気泡径が200μm以下である請求項5又は6に記載の熱伝導性発泡体。
  8. 前記樹脂がエラストマー樹脂である請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性発泡体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱伝導性発泡体からなるシートの片面又は両面に粘着材を備える粘着テープ。
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