JP2019172721A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、製膜、巻き取りする際の巻姿が良好なフィルムを得ることを課題としている。【解決手段】少なくとも片面が、長手方向、幅方向のいずれにおいても以下の方法で測定されるリム付き陥没構造を有するポリエステルフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は剥離機能が優れ、搬送特性や耐傷つき特性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、機械特性や熱特性、コシの強さやコストの観点から、工業材料用途として多様な用途にて用いられている。特に最近では、電子部材関連の工程紙として、液晶偏光板のセパレータや保護フィルム、層間絶縁樹脂離型用基材、製品保護部材などに用いられている。
昨今のスマートデバイス、電気自動車、自動運転、コネクテッドカーの普及、モノのインターネット化により、ポスト・スマートフォン時代においても、電子部材関連の需要は旺盛になることが予想される。この需要の拡大に伴い、使用後の離型用フィルムを廃棄する量が増大している。離型用フィルムは、成形後や保護を行った後に剥離され、廃棄され、同じ用途で再利用されることは殆ど無い。廃棄された離型用フィルムは、一部は粉砕、溶解後に綿材として再利用されるものもあるが、焼却されるものも多く、環境負荷の元となっている。再利用が進まない理由の一つとしては、離型用フィルムに残留した成形後の部材や、離型層として設けられるシリコーン層が、加熱後変成することが挙げられる。一方、離型層を形成する際には、溶媒に離型剤を混ぜ、ポリエステルフィルム上に塗布する方法がとられる(特許文献1)ものの、廃液処理の問題や、溶媒を乾燥させるためにオーブンで高温処理を行うことにともない、加熱に要するエネルギー負荷も高い。
これら環境負荷の低減策の一つとして、離型層の機能をポリエステルフィルムの製造時に付与する検討がなされてきた。フィルムの製造時に溶融、共押出される材料としての検討がなされた経緯のなかで、ポリエステルフィルムにシリコーンを含有したポリエステルを共押出により積層させる技術は、特許文献2や、特許文献3に挙げられている。これらは離型フィルムに適した剥離力が得られていることが公知となっている。
しかしながら離型層を設けたポリエステルフィルムは表面の滑り性が高く平滑性も向上することから、巻取り時の空気抜けや巻き状態の保持が行いづらいため、巻き取ったフィルムロールがずれるなどの、巻姿不良を発生させることがある。
特開2017−170793号公報 特開2012−35635号公報 特開平4−152137号公報
離型層の機能をポリエステルフィルムの製造時に付与し、製膜、巻き取りする際の巻姿が良好なフィルムを得ることを課題とする。

本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、原料組成や製膜条件を最適化することで、製膜、巻き取りする際の巻姿が良好なポリエステルフィルムを得られることを見いだし、本発明に至った。すなわち、本発明は、少なくとも片面が、長手方向、幅方向のいずれにおいても以下の方法で測定されるリム付き陥没構造を有するポリエステルフィルムを特徴とする。
[陥没構造測定方法]
(1)ポリエステルフィルムを、形状解析レーザー顕微鏡(KEYENCE社製 VK−X250)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積288μm×216μmにて、測定位置を任意に変えて6視野測定を行う。各視野の中心線は1視野あたりの全測定画素数1024×768pixelsで算出する。
(2)各測定視野において、フィルム長手方向、幅方向それぞれ5ラインについてフィルム表面の高さ解析を以下の条件にて行う。
(3)連続して750nm以上の長さにかけて中心線からの深さが100nm以上である凹部と、当該凹部の中心線からの深さが50nm未満になるところから長さ5μm以内の両端に中心線からの高さが50nm以上の凸部を有する場合、リム付き陥没構造を有するとする。
<高さ解析方法>
(4)測定した5ラインのいずれにもリム付き陥没構造が観測される場合、リム付き陥没構造を有するとする。
(5)高さ解析にはソフトウェア(KEYENCE社製 VK−Xseries)を用いる。取得した画像は画像処理モードにて、画像全体で基準面を設定し、うねり除去の面形状補正を行う。
本発明によれば、製膜、巻き取りする際の巻姿が良好な離型用ポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明におけるリム付き陥没構造を模式的に表す図
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、リム付き陥没構造を有するポリエステルフィルムである。ここでいう陥没構造とは、フィルム表面に存在するクレーター状の凹み形状を指す。
本発明のポリエステルフィルムにおけるポリエステルとは、二塩基酸とグリコールを構成成分とするポリエステルであり、芳香族二塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸、ジブロモテレフタル酸などを用いることができる。脂環族二塩基酸としては、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸などを用いることができる。グリコールとしては、脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどを用いることができ、芳香族ジオールとして、ナフタレンジオール、2,2ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ハイドロキノンなどを用いることができ、脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどを用いることができる。
上記ポリエステルは公知の方法で製造することができ、固有粘度は下限0.5、上限0.8のものを用いることが好ましい。さらに好ましくは下限0.55、上限0.70である。なお、固有粘度の測定は、オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いる。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー質量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。単位は[dl/g]で示す。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも2層以上のポリエステル樹脂で構成されていることが好ましい。陥没構造は、陥没構造を形成するきっかけとなるポリエチレンテレフタレート樹脂中に微細に分散した非相溶樹脂を起点として、延伸工程にて形成するが、層の厚みを、層厚みに対する一定の比率に設定することで陥没構造を安定して発現させることを見いだした。3層の場合は、ポリエステルA層およびポリエステルB層およびポリエステルC層あるいは、ポリエステルA層およびポリエステルB層およびポリエステルA層の3層からなる積層フィルムとなる。この際、表層を構成する層(積層部)に含有せしめる粒子量を制御することで、内層部にフィルム表面の特性に悪影響を与えない範囲で、製膜工程で発生するエッジ部分の回収原料、あるいは他の製膜工程のリサイクル原料などを適時混合して使用でき、石油資源の消費を減らすことが可能となるとともに、コストメリットを得ることが可能であるため、3層以上の層構成を有することが最も好ましい実施形態である。
また、本発明のポリエステルフィルムは、回収原料をB層に含有することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、12μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上である。また、188μm以下であることが好ましく、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは140μm以下である。厚みが12μmより薄くなると、剥離時のコシが足りなくなりフィルムが破断することがあり、厚みが188μmを超えると剥離対象に損傷を与えることがある。
本発明のポリエステルフィルムは、粒子を含有していてもよい。このとき含有する粒子の体積平均粒径は、1.3μm以下であることが好ましい。粒子の体積平均粒径が1.3μmを超えると、陥没構造の形成に支障をきたすことがある。
本発明に用いる粒子は、球状シリカ、凝集シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化チタン等の無機粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等の有機粒子を用いることができる。これら粒子は、フィルム表面に突起を形成する役割のほかに、ボイドを形成する核材にもなり、かつ、陥没構造を形成する核剤となりうるため、粒子径とともに、その種類も選定することが望ましい。好ましくは粒子の弾性が高い有機粒子を用いる。有機粒子は、前述の有機粒子の内、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子より選ばれる有機粒子が特に好ましい。無機粒子においては、球状シリカ、酸化アルミニウムが特に好ましい。
以下に順を追って説明する。
本発明のポリエステルフィルムは、陥没構造を有する。陥没構造とは凹み形状とその周囲が盛り上がった凸構造、すなわちリムで形成される。シリコーンポリマーはポリエチレンテレフタレートと比較して融点が低く、流動性がある。シリコーンポリマーはポリエチレンテレフタレートと非相溶なため、混練によって分散する。分散したシリコーンポリマーは球状に分散しているが、押し出し、延伸することで球状から形態が変化する。球状シリコーンポリマードメインは延伸時、ポリエチレンテレフタレートとの流動性の違いにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂よりも先行して広がりやすい。この球状シリコーンポリマードメインがフィルム表面に存在していた場合、球状シリコーンポリマードメインの伸びに追従できず、表面側のポリエチレンテレフタレート樹脂が裂け、そのまま延伸されると凹み形状を形成し、その周囲は裂けたポリエチレンテレフタレート樹脂で盛り上がっている。これをリムと呼ぶ。陥没構造ならびにリムを形成すると、接触面積が小さくなり、表面剥離力が下がる。
一般的にフィルムをロール状に巻き取る際にフィルム表面の滑り性が良すぎると、フィルム間の接触が強くなり、シワが発生する可能性がある。また、ロール状で長期間保管する際、フィルム間でブロッキングが発生する可能性がある。しかし、フィルム表面のキズ付きを防止するためには滑り性は重要な要素である。本発明のポリエステルフィルムは、フィルムをロール状に巻き取るにあたって、シリコーン添加による滑り性を維持しつつ、陥没構造ならびにリムを持った表面形態によって巻き取り時のシワ発生を抑制し良好な巻姿を得ることが可能である。前記達成するための手段として、ポリエチレンテレフタレートと非相溶なシリコーンポリマーを練り込むことで陥没構造ならびにリムを形成することが必要である。
次に本発明のポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の2軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の製造に有効である。
このようにして準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明のポリエステルフィルムの製造における押出機は、1軸、2軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、最も押出量が多くなるB層には、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば3μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いてスリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。たとえば3層積層の場合は、3台の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて3層に積層し、口金からシートを押し出す。口金から押し出したシートは、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。
キャスティングロールに密着し冷却したフィルムは、引き離しロールを用いて、キャスティングロールからフィルムを剥離させ、次の延伸工程に導く。 延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。
本発明のポリエステルフィルムを逐次延伸を用いて製造する際において、最初の長手方向の延伸は、傷の発生を抑制する上および、長手方向の厚みむらを抑制する上で重要であり、延伸温度は90℃以上130℃以下、好ましくは100℃以上120℃以下である。延伸温度が90℃よりも低くなるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃よりも高くなるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなる。また、延伸ムラ、及びキズを防止する観点からは延伸は2段階以上に分けて行うことが好ましく、トータル倍率は長さ方向に2.8倍以上5.0倍以下、好ましくは3.3倍以上4.0倍以下であり、幅方向に3.5倍以上5倍以下、好ましくは4.0倍以上4.5倍以下である。縦延伸倍率を先述の数値に設定する際には、延伸区間を複数設定して、延伸ロールとフィルムとの滑りが起こりにくい状態にすることが、滑りによる延伸張力の変動を抑制できるために望ましい。この際、1つの延伸区間での延伸倍率は3.0倍以下とするのが、適切な延伸張力を担保できるので好ましい。かかる温度、倍率範囲を外れると延伸ムラあるいはフィルム破断などの問題を引き起こし、本発明の特徴とするフィルムが得られにくい。
逐次延伸において、長手方向の延伸過程は、フィルムとロールの接触において、ロールの周速とフィルムの速度差により、フィルムが滑った際に傷が発生しやすく、また、長手方向の厚みむらの要因ともなるため、ロール周速がロール毎に個別に設定できる駆動方式が好ましい。長手方向の延伸過程において、搬送ロールの材質は、延伸前に未延伸フィルムをガラス転移点以上に加熱するか、ガラス転移点未満の温度に保った状態で延伸ゾーンまで搬送し、延伸時に一挙に加熱するか、いずれかにより選択される。延伸前に未延伸フィルムをガラス転移点以上まで加熱する際は、加熱による粘着が延伸むらを誘発するため、これを防止するうえでは、非粘着性シリコーンロール、セラミックス、テフロン(登録商標)から選択することが好ましい。また、延伸ロールは最もフィルムに負荷がかかり、該プロセスで傷や長手方向の厚みむらの原因となる延伸むらが発生しやすい工程であるため、延伸ロールの表面粗さRaは、0.005μm以上1.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上0.6μm以下である。Raが1.0μmよりも大きいと延伸時ロール表面の凸凹がフィルム表面に転写しやすくなり、一方0.005μmよりも小さいとロールとフィルム地肌が粘着し、フィルムが熱ダメージを受けやすくなる。表面粗さを制御するためには研磨剤の粒度、研磨回数などを適宜調整することが有効である。
逐次延伸において、縦延伸倍率を横延伸倍率より低く設定することが、長手方向の厚みむらを低減させるうえで、好ましい延伸条件である。
次いで、未延伸フィルムをガラス転移点未満の温度に保った状態で延伸ゾーンまで搬送するが、延伸時に一挙に加熱する際、予熱ゾーンの搬送ロールは、ハードクロムやタングステンカーバイドで表面処理を行った、表面粗さRaが0.2μm以上0.6μm以下の金属ロールを使用するのが、熱しわの原因となる粘着を抑制するうえで好ましい。
次に、かかる長手方向に延伸された一軸延伸フィルムを、横延伸機にて90℃以上120℃未満に加熱した後、3倍以上6倍未満で幅方向に延伸し、二軸延伸(二軸配向)フィルムとする。この横延伸機はオーブンの部屋ごとに自己循環を実施し温風をフィルムに吹き付けることで、フィルムを昇温させ、延伸や熱固定を実施する。その際、オーブン内で熱処理したフィルムより析出したオリゴマーや揮発成分が、冷却されオーブンに付着することを防止するため、オーブン内で給気・排気を実施し、空気を置換するとよい。このとき、オーブン内に給気した空気が循環エアーと合流する際に、空気の温度が外気に近いままであると合流後の空気に温度むらが発生し、長手方向および、幅方向の厚みむらを悪くすることがあるため、給気エアーは循環エアーと同じか、循環エアーを加熱する熱交換器の能力に見合った温度で加熱することが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行なってもよいし、同時2軸にて再延伸してもよい。長手方向の厚みむらを抑制する方法としては、長手方向の再延伸工程にて、前の横延伸工程で発生したボーイングの緩和を行うことが挙げられる。この際、長手方向の再縦延伸前の搬送ロールにて80℃〜100℃の温度にて加熱してもよいし、加熱していないロールを用い搬送してもよい。更には、延伸倍率をかけずに再縦延伸工程を通過させてもよい。再縦延伸後には更に横延伸を実施し、延伸の後にフィルムの熱処理を行なうが、この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は通常150℃以上245℃未満の任意の温度とすることができ、熱処理時間は、通常1秒間以上60秒間以下行なうことが好ましい。熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行なってもよい。また、熱処理後は熱処理温度より0℃以上150℃以下の低い温度で幅方向に0%以上10%以下で弛緩させるとよい。
熱処理後のフィルムは、例えば中間冷却ゾーンや除冷ゾーンを設け、寸法変化率や平面性を調整することができる。また特に、特定の熱収縮性を付与するために、熱処理時あるいはその後の中間冷却ゾーンや除冷ゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に弛緩してもよい。
二軸延伸後のフィルムは、搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後巻取り、中間製品を得る。この搬送工程にて、幅方向のフィルム厚みを測定し、該データをフィードバックして用いてダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みの調整を行い、また、欠点検出器による異物検知を行うことができる。
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットしてコアに巻き取り、ポリエステルフィルムのロールが得られる。この切断工程にて、中間製品の幅方向に対して3か所から10か所を同時に切断する。この切断に用いる方式は、下刃と上刃の剪断にて切断する方式や、パスライン間の空中で切断する切断の方式から選定できる。
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
本発明に関する測定方法、評価方法は次の通りである。
(1)陥没構造測定
<陥没構造の観測>
[I]ポリエステルフィルムを、形状解析レーザー顕微鏡(KEYENCE社製 VK−X250)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積288μm×216μmにて、測定位置を任意に変えて6視野測定を行う。各視野の中心線は1視野あたりの全測定画素数1024×768pixelsで算出する。
[II]各測定視野において、フィルム長手方向、幅方向それぞれ5ラインについてフィルム表面の高さ解析を以下の条件にて行う。
[III]連続して750nm以上の長さにかけて中心線からの深さが100nm以上である凹部と、当該凹部の中心線からの深さが50nm未満になるところから長さ5μm以内の両端に中心線からの高さが50nm以上の凸部を有する場合、リム付き陥没構造を有するとする。
<陥没構造高さ解析方法>
[IV]測定した5ラインのいずれにもリム付き陥没構造が観測される場合、リム付き陥没構造を有するとする。
[V]高さ解析にはソフトウェア(KEYENCE社製 VK−Xseries)を用いる。取得した画像は画像処理モードにて、画像全体で基準面を設定し、うねり除去の面形状補正を行う。
(2)常温剥離力
<離型フィルムの評価>
作成した離型フィルムについて、次に示す性能評価を実施し、得られた結果を表1に示す。特に断らない場合を除き、測定は各実施例・比較例において、1つのサンプルにつき場所を変えて3回測定を行い、その平均値を用いた。
<剥離力(常温)>
離型フィルムの離型層形成面に粘着テープ(日東電工(株)製、ポリエステルテープ商品名31B)を、5kgfのゴムローラーを1往復させて圧着し、20℃65%RH20時間放置後、引張り試験機を用いて300mm/分の速度で180°でテープを剥離した時の荷重を測定し、剥離した時の応力を測定した。この応力を離型層形成面の常温剥離力とした。
(3)非相溶樹脂の分布状態
[I]ポリエステルフィルムをエポキシ樹脂で包埋、切断することでフィルム断面を露出させる。電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 Regulus 8100)を用い、倍率2000倍 測定面積64μm×48μmの倍率、加速電圧5kVにて任意に10視野、高分解能での形態観察をする。
[II]取得した画像から非相溶な樹脂をマーキングし、ソフトウェア(三谷商事社製 Win ROOF)を用いて2値化を行いフィルム断面における分布面積率を確認する。
(4)滑り係数
ASTM−D−1894にのっとり、スリップテスターで、すべり速度150mm/min、荷重200gの条件で、すべり始めた後に電気抵抗歪み計で検出された応力(抵抗値)を基に、抵抗値を荷重で除した値を滑り係数とした。
(実施例1)
(1)ポリエステルペレットの作成
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5質量部とエチレングリコール37.1質量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02質量部、酢酸マグネシウム0.06質量部、酢酸リチウム0.01質量部、三酸化アンチモン0.0085質量部を添加し、引き続いて、減圧下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのホモポリエステルペレットAを得た。
(ポリエステルBの作成)
ポリエステルAを製造するにあたりエステル交換後、炭酸ガス法にて作成した(体積平均粒径体積平均粒子径1.1μm)の炭酸カルシウム10質量部とエチレングリコール90質量部を湿式粉砕し、炭酸カルシウム/エチレングリコール分散スラリーを得た。この炭酸カルシウムの体積平均粒子径は1.1μmであった。他方、ジメチルテレフタレート100質量部、エチレングリコール64質量部に触媒として酢酸マンガン0.04質量部、三酸化アンチモン0.03質量部を加えエステル交換反応を行い、その後反応生成物に、リン化合物としてトリメチルホスフェート0.04質量部を加え、さらにその後、先に調整したスラリー1質量部を加えて重縮合反応を行い、ポリエステルに対し1質量%の炭酸カルシウムを含有するマスターペレット(ポリエステルB)を得た。
(ポリエステルCの作成)
さらに別に、シード法によるジビニルベンゼン80質量%、エチルビニルベンゼン15質量%、スチレン5質量%からなるモノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒径0.3μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度3のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子(架橋度80%)の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し1質量%含有するマスターペレットをそれぞれ得た(ポリエステルC)。
(ポリエステルDの作成)
さらに、超高分子量シリコーンポリマー及びIV(固有粘度):0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートをL/D(スクリューの長さ/径比):32.5、混練温度280℃、スクリュー回転数200rpmの条件で二軸押出機を用いて混合・混練して押出し、ポリエチレンテレフタレート非相溶樹脂含有マスターペレット(ポリエステルD)を製造した。ペレット中のシリコーンポリマーの濃度を50質量%に調整した。
(2)ポリエステルペレットの調合
A層、B層それぞれの層の押出機に供給するポリエステルペレットは、以下の比率にて調合した。なお以下に記載する比率は、おのおのの層を構成するポリエステルペレットに対する質量比(単位:質量%)である。
A層
ポリエステルA:15.0
ポリエステルB:50.0
ポリエステルC:5.0
ポリエステルD:30.0
B層
ポリエステルA:100.0
(3)ポリエステルフィルムの製造
先述の、各層について調合した原料を、ブレンダー内で攪拌した後、A層の原料は、攪拌後の原料を、A層用のベント付き二軸押出機に供給し、B層の原料は160℃で8時間減圧乾燥し、B層用の一軸押出機に供給した。275℃で溶融押出し、3μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の異種3層用合流ブロックで合流積層し、層A、層B、層Aからなる3層積層とした。その後、285℃に保ったスリットダイを介し未延伸フィルムの全幅に対して静電印加を行う静電印加キャスト法を用いて、表面温度25℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
この未延伸積層フィルムに逐次延伸(長手方向、幅方向)を実施した。まず長手方向の延伸を実施し、105℃で搬送した後に、長手方向に120℃で3.8倍延伸して一軸延伸フィルムとした。
この一軸延伸フィルムをステンター内で横方向に115℃で4.0倍延伸し、続いて230℃で熱固定し、その際幅方向に5%弛緩し搬送工程にて冷却させた後、エッジを切断後に巻き取り、厚さ31μmの二軸延伸フィルムの中間製品を得た。
(4)巻き姿
フィルムをスリットし、張力280N/m、面圧280N/m、速度400m/分の条件にて、幅1,100mm、長さ15,000mのサイズのロールに巻いた時に、下記ロール表面および端面のズレ量により判定する。
◎:1mm未満
○:1mm以上3mm未満
△:3mm以上10mm未満
×:10mm以上。
(5)キズ付き性評価
[I]フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたものを、テープ走行性試験機(横浜システム研究所社製 SFT−700)を使用し、20℃、60%RH雰囲気で10cm走行させ、10往復させた。
[II]ポリエステルフィルムを、形状解析レーザー顕微鏡(KEYENCE社製 VK−X250)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積288μm×216μmにて、測定位置を任意に変えて2視野測定を行い、視野あたりのキズ本数をカウントする。
○:0〜2個
×:3個以上
(実施例2、3、比較例1、2)実施例1において、A層のポリエステルペレットに対する質量比を変えた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2、3、比較例1、2のフィルムを得た。フィルムA層の組成と併せて評価結果についても表1に示す。
Figure 2019172721
実施例1〜3では6視野中に、MD:5ライン、TD:5ラインすべてで陥没構造を確認したが、比較例1ではMD:1〜4ライン、TD:1〜3ライン、比較例2ではMD:2〜4ライン、TD:2〜4ラインしか陥没構造が確認されなかった。
実施例1〜3ではフィルム特性を満足し、かつ良好な巻き姿、キズ付き性であったのに対し、比較例1、2では巻き姿、キズ付き性ともに劣る結果となった。
本発明のポリエステルフィルムは、剥離特性や耐傷つき特性に優れるため、離型用途に好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも片面が、長手方向、幅方向のいずれにおいても以下の方法で測定されるリム付き陥没構造を有するポリエステルフィルム。
    [陥没構造測定方法]
    (1)ポリエステルフィルムを、形状解析レーザー顕微鏡(KEYENCE社製 VK−X250)を用い、50倍対物レンズを使用して測定面積288μm×216μmにて、測定位置を任意に変えて6視野測定を行う。各視野の中心線は1視野あたりの全測定画素数1024×768pixelsで算出する。
    (2)各測定視野において、フィルム長手方向、幅方向それぞれ5ラインについてフィルム表面の高さ解析を以下の条件にて行う。
    (3)連続して750nm以上の長さにかけて中心線からの深さが100nm以上である凹部と、当該凹部の中心線からの深さが50nm未満になるところから長さ5μm以内の両端に中心線からの高さが50nm以上の凸部を有する場合、リム付き陥没構造を有するとする。
    <高さ解析方法>
    (4)測定した5ラインのいずれにもリム付き陥没構造が観測される場合、リム付き陥没構造を有するとする。
    (5)高さ解析にはソフトウェア(KEYENCE社製 VK−Xseries)を用いる。取得した画像は画像処理モードにて、画像全体で基準面を設定し、うねり除去の面形状補正を行う。
  2. 前記リム付陥没構造を有する表面の常温剥離力が0.1N/50mm以上14N/50mm以下である請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記リム付陥没構造が、長手方向、幅方向のいずれにおいても200〜100000個/cmで有する請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記リム付陥没構造の凹部の両端に存在する凸部のピーク間の距離が1.0〜50.0μmである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記リム付陥没構造を有する表面を有する層が、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする層であり、ポリエチレンテレフタレートと非相溶な樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
    [フィルム断面元素分布評価方法]
    (1)ポリエステルフィルムをエポキシ樹脂で包埋、切断することでフィルム断面を露出させる。電界放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 Regulus 8100)を用い、倍率1000倍 測定面積128μm×96μm 、倍率2000倍 測定面積64μm×48μmの2つの倍率、加速電圧5kVにて高分解能での形態観察を行う。
    (2)倍率2000倍の同視野にて、加速電圧15kVとし、エネルギー分散型X線分析装置(堀場製作所社製 EMAX Evolution)を用いて元素分析と元素マッピングを行う。ポリエチレンテレフタレートと非相溶な樹脂特有のSi元素分布を確認する。
  6. 前記ポリエチレンテレフタレートと非相溶な樹脂がSi元素を含む請求項5に記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記リム付陥没構造の連続して750nm以上の長さにかけて中心線からの深さが100nm以上である凹部にSi元素を含む請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. 少なくとも2層を有する請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  9. 共押出法にて得られる請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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