JP2019172478A - 活性炭、活性炭の製造方法、濾過カートリッジ、及び、浄水器 - Google Patents

活性炭、活性炭の製造方法、濾過カートリッジ、及び、浄水器 Download PDF

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秀哉 上川
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Abstract

【課題】除去対象物質の吸着速度を向上させた新規の活性炭、その製造方法、及び、前記活性炭を活用した技術を提供する。【解決手段】新規の活性炭は、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比a2/a1が0.02以上である。この活性炭の製造方法は、液状分散媒101に分散しているセルロースナノファイバー102を含む懸濁液100を100℃未満で乾燥させて乾燥材料110を得る第一工程(工夫乾燥工程S3)と、前記乾燥材料110を加熱して賦活することにより活性炭120を得る第二工程(賦活工程S4)と、を含む。【選択図】図9

Description

本発明は、活性炭、その製造方法、及び、活性炭を活用した技術に関する。
特許文献1には、活性炭とイオン除去部材と中空糸膜とを別々の位置に格納した浄水カートリッジが示されている。活性炭は、細孔を含む表面に吸着質(adsorbate)を吸着させる吸着材(adsorbent)であり、水道水に含まれる遊離残留塩素や有機物等の微量成分を吸着質として除去する。イオン除去部材は、水道水に含まれる金属イオンを除去する。中空糸膜は、水道水に含まれる鉄さびといった濁り成分等を除去する。
活性炭には、ヤシ殻活性炭や合成樹脂系活性炭等が用いられている。
特開2008−194596号公報
水道水中の微量成分を効率良く除去するためには、微量成分の吸着が速い活性炭を用いることが望まれる。このような活性炭を浄水カートリッジに使用すると、浄水カートリッジを小型化することも可能となる。
尚、吸着性能の高い活性炭は、空気清浄機用の濾過カートリッジ等、浄水カートリッジ以外の濾過カートリッジ等に使用すると流体から微量成分を除去する高い性能を発揮し、濾過カートリッジの小型化に繋がる。
本発明は、上述した微量成分といった除去対象物質の吸着速度を向上させた新規の活性炭、その製造方法、及び、前記活性炭を活用した技術を開示するものである。
本発明の活性炭は、全比表面積に対する外部比表面積の比が0.02以上である態様を有する。
また、本発明の活性炭の製造方法は、液状分散媒に分散しているセルロースナノファイバーを含む懸濁液を100℃未満で乾燥させて乾燥材料を得る第一工程と、
前記乾燥材料を加熱して賦活することにより活性炭を得る第二工程と、を含む、態様を有する。
さらに、本発明の濾過カートリッジは、前記活性炭が収容された収容部と、
該収容部に流体を流入させる流入部と、
前記収容部から前記流体を流出させる流出部と、を含む、態様を有する。
さらに、本発明の浄水器は、前記活性炭が収容された浄水カートリッジと、
水入口及び水出口を有し、前記浄水カートリッジを収容する浄水器本体と、を備える、態様を有する。
本発明によれば、除去対象物質の吸着速度を向上させた新規の活性炭、その製造方法、及び、前記活性炭を活用した技術を提供することができる。
浄水機能付き水栓を組み込んだシステムキッチンの例を模式的に示す図。 (a)は浄水カートリッジを取り付けた吐水ヘッドの例を一部断面視して示す図、(b)は浄水カートリッジを取り付けた吐水部の例を示す斜視図。 浄水カートリッジの例を示す縦断面図。 浄水カートリッジの例を示す分解斜視図。 粒状活性炭の製造方法を含む濾過カートリッジの製造方法の例を模式的に示す流れ図。 接触時間に対するクロロホルムの平衡吸着達成率を示すグラフ。 t-plotの例を模式的に示す図。 自然乾燥を行った実施例1の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEM(走査電子顕微鏡)により撮影した写真。 40℃において真空乾燥を行った実施例2の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。 エタノール置換後に自然乾燥を行った実施例3の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。 t−ブチルアルコール置換後に凍結乾燥を行った実施例4の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。 臨界点乾燥を行った実施例5の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。 100℃以上の乾燥を行った比較例1の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。 比較例2のヤシ殻活性炭の表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。 比較例3の繊維状活性炭の表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1〜15に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min〜Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。化学式で表される組成比は化学量論比を示し、化学式で表される物質には化学量論比から外れたものも含まれる。
[態様1]
本技術の一態様に係る活性炭は、全比表面積(a1とする。)に対する外部比表面積(a2とする。)の比a2/a1が0.02以上である、態様を有する。試験を行ったところ、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比a2/a1が0.02以上である活性炭は、除去対象物質の吸着速度が向上することが判った。従って、本態様は、除去対象物質の吸着速度を向上させた新規の活性炭を提供することができる。
以上より、例えば、本態様の活性炭を濾過カートリッジに使用すると、吸着が速い分、濾過カートリッジを小型化することができる。
ここで、活性炭の全比表面積a1及び外部比表面積a2は、吸着質にN2(窒素)ガスを用いて得られる吸着等温線にt法解析を行って得られる。全比表面積a1と外部比表面積a2の単位は、同じであればよく、例えばm2/gで表される。
t法解析では、窒素ガス層といった吸着層の厚みtに対して体積比吸着量Vaをプロットし、得られるt-plotから比表面積を求める。厚みtの単位は例えばnmで表され、体積比吸着量Vaの単位は例えばcm3(STP)/gで表される。STPは、標準状態の温度(0℃)及び圧力(101.325kPa)を表す。体積比吸着量Va[cm3(STP)/g]は、標準状態における吸着材1g当たりの吸着量を表す。
例えば、図7に例示するように、窒素ガスの吸着により、原点から比較的大きな傾きs1で体積比吸着量Vaが直線的に増加し、途中から比較的小さな傾きs2で体積比吸着量Vaが直線的に増加するt-plotが得られたとする。吸着の初期段階である傾きs1の段階は、活性炭のミクロ孔にも窒素ガスが吸着することにより窒素ガスの吸着量が大きく増加するため、窒素ガス層の厚みtの増加が抑えられ、厚みtの増加と比べて体積比吸着量Vaの増加が比較的大きい。尚、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry、国際純正・応用化学連合)では、径2nm(D=2)よりも小さい細孔をミクロ孔と定義し、径2nm以上50nm以下である細孔をメソ孔と定義し、径50nm(D=50)よりも大きい細孔をマクロ孔と定義している。窒素単分子層の厚みは、0.354nmである。
ミクロ孔への窒素ガスの吸着が完了した傾きs2の段階は、窒素ガスの吸着が活性炭の外部表面のみとなるので、厚みtの増加と比べて体積比吸着量Vaの増加が比較的小さい。
そこで、原点を通る直線L1の傾きs1から全比表面積a1を求めることができ、途中からの直線L2の傾きs2から外部比表面積a2を求めることができる。尚、全比表面積a1から外部比表面積a2を差し引くことによりミクロ孔比表面積(a1−a2)を求めることができる。
[態様2]
図8〜12に例示するように、走査電子顕微鏡(scanning electron microscope)による5000倍の写真において観察される直径0.5μm以下の繊維の集合物を有してもよい。試験を行ったところ、走査電子顕微鏡による5000倍の写真において観察される直径0.5μm以下の繊維の集合物を有する活性炭は、除去対象物質の吸着速度が向上することが判った。従って、本態様は、除去対象物質の吸着速度を向上させた好適な活性炭を提供することができる。
ここで、上記集合物の中には、直径0.5μmよりも大きい繊維が部分的に含まれていてもよい。
[態様3]
また、図5に例示するように、本技術の一態様に係る活性炭の製造方法は、液状分散媒101に分散しているセルロースナノファイバー102を含む懸濁液100を100℃未満で乾燥させて乾燥材料110を得る第一工程(例えば工夫乾燥工程S3)と、前記乾燥材料110を加熱して賦活することにより活性炭120を得る第二工程(例えば賦活工程S4)と、を含む、態様を有する。試験を行ったところ、得られた活性炭は、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比が0.02以上であり、除去対象物質の吸着速度を向上させることが判った。従って、本態様は、除去対象物質の吸着速度を向上させる活性炭の製造方法を提供することができる。
ここで、懸濁液(suspension)は、分散質(dispersoid)としての固体粒子が液状分散媒中に分散した分散系(disperse system)を意味し、ウェットパウダー状でもよい。懸濁液の媒質すなわち分散媒(disperse medium)が液体である場合、この媒質は液状分散媒である。態様3の懸濁液には、本技術の効果を損なわない範囲において、バインダーといった添加剤の一種類以上が含まれてもよい。
乾燥は、水や有機溶媒などの液体を含む湿り材料から液体を蒸発させて除去することを意味する。従って、液状分散媒は、水に限定されず、アルコールといった水以外の液体でもよい。むろん、液状分散媒は、水とアルコールとの混合液といった、複数の液体の組合せでもよい。いずれの場合も、態様3の液状分散媒に含まれる。尚、蒸発は、液体の表面だけで起こる気化の現象をいい、液体では沸点未満の温度でも起こる。
上記第二工程では、懸濁液を加熱して炭化させる不融化処理を行い、得られる炭化物を加熱して賦活する賦活処理を行うことにより活性炭を得てもよい。この場合も、態様3の第二工程に含まれる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
[態様4]
ところで、図3等に例示するように、本技術の一態様に係る濾過カートリッジ(例えば浄水カートリッジ20)は、前記活性炭が収容された収容部(例えば外側不織布の内側33)と、該収容部に流体(例えば水W)を流入させる流入部(例えば外側不織布の外側面32)と、前記収容部から前記流体を流出させる流出部75と、を含む、態様を有する。この態様は、活性炭を使用する濾過カートリッジを小型化することができ、小型化された濾過カートリッジを提供することができる。
ここで、収容部には、活性炭とともに活性炭以外の材料が収容されてもよい。
[態様5]
また、図1等に例示するように、本技術の一態様に係る浄水器(例えば水栓1)は、前記活性炭が収容された浄水カートリッジ20と、水入口(例えばホース19)及び水出口13を有し、前記浄水カートリッジ20を収容する浄水器本体(例えば吐水ヘッド10)と、を備える、態様を有する。この態様は、活性炭を使用する浄水器を小型化することができ、小型化された浄水器を提供することができる。
ここで、浄水カートリッジには、活性炭とともに活性炭以外の材料が収容されてもよい。
(2)a2/a1≧0.02である活性炭を使用している浄水器の具体例:
まず、図1〜4に示す例を参照して、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比が0.02以上である活性炭が収容された濾過カートリッジを有する浄水器の例を説明する。
図1は、浄水機能付き水栓1(浄水器の例)を組み込んだシステムキッチンSY1を模式的に例示している。この例の浄水器は、いわゆるスパウトイン浄水器であり、本具体例の活性炭が収容された浄水カートリッジ20(濾過カートリッジの例)により浄水機能を発揮する。本具体例の活性炭、及び、その製造方法の詳細は、後述する。尚、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右方向を上下方向又は前後方向に変更したり、上下方向を左右方向や前後方向に変更したり、前後方向を左右方向や上下方向に変更したり、回転方向を逆方向に変更したり等することも、本技術に含まれる。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。
図1に示すシステムキッチンSY1には、水平に延びるカウンター801にキャビネット802、凹状のシンク803、水栓1、等が組み込まれている。水栓1は、カウンター801の下面に配置されたシンク803を上下に貫通して取付けられた水栓本体2、この水栓本体2に対して着脱可能な吐水ヘッド(浄水器本体の例)10、水栓本体2に対して傾動可能な開栓レバー3、等を備えている。尚、本具体例の浄水器本体は、浄水カートリッジ20を除いた吐水ヘッド10を意味する。吐水ヘッド10には、水栓本体2に通されているホース19(水入口の例)が接続されている。ホース19は、開栓レバー3が開いている時に図示しない給水管からの水道水を吐水ヘッド10に供給する。水栓本体2から吐水ヘッド10が取り外されると、水栓本体2からホース19が引き出される。水栓本体2に吐水ヘッド10を取り付ける時には、水栓本体2にホース19が引き込まれる。開栓レバー3は、開位置(例えば傾動範囲の上側の位置)にある時にホース19を介して吐水ヘッド10へ水道水が供給されるようにし、閉位置(例えば傾動範囲の下側の位置)にある時に吐水ヘッド10への水道水の供給を停止させる。
図2(a)は、浄水カートリッジ20を取り付けた吐水ヘッド10を一部断面視して例示している。図2(b)は、浄水カートリッジ20を取り付けた吐水部を例示している。図2に示す吐水ヘッド10は、先端側、すなわち、水の流下方向D1の下流側にある吐水部11、及び、水栓本体2に対して着脱される把持部18を有し、交換部品である浄水カートリッジ20が組み込まれている。吐水ヘッド10の内側において浄水カートリッジ20の外側は、水道水が流れる水道水通路10aとされている。吐水部11には、浄水カートリッジ20との接続口12、及び、接続口12からの浄水を出すか水道水通路10aからの水道水を出すかの切替操作可能な切替レバー15が設けられている。切替レバー15は、浄水側(例えば回転範囲の一端側)にある時に水道水を止めて浄水を吐水部11の水出口13から吐出させ、水道水側(例えば回転範囲の他端側)にある時浄水を止めて水道水を吐水部11の水出口13から吐出させる。
図2に示すように、吐水部11の上流側における端部の外周に雄ねじ11aが形成され、把持部18の下流側における端部の内周に雌ねじ18aが形成されている。両ねじ11a,18aを螺合することにより把持部18を吐水部11に取り付けることができ、雄ねじ11aから雌ねじ18aを外すことにより吐水部11から把持部18を取り外すことができる。
むろん、浄水カートリッジを取付可能な吐水ヘッドは、図1,2に示す吐水ヘッド10に限定されず、様々な構成が可能である。
図3は、交換可能な浄水カートリッジ20の中心軸AX1を通る縦断面を例示している。図4は、浄水カートリッジ20を分解して例示している。浄水カートリッジ20は、活性炭を含む吸着剤AH1が収容された吸着剤部30、及び、中空糸膜H1を複数束ねた中空糸膜束BH1の収容部71を有する中空糸膜ケース70を備えている。吸着剤部30は流下方向D1の上流側に配置され、中空糸膜ケース70は流下方向D1の下流側に配置されている。浄水カートリッジ20に流入した水道水W(流体の例)は、吸着剤部30、中空糸膜ケース70の中空糸膜束収容部71、の順に入り、浄化される。
中空糸膜束収容部71は、吐水部11に対して流下方向D1へ挿入されて取り付けられる。この時、中空糸膜束収容部71の流出部75が吐水部11の接続口12に挿入される。浄水カートリッジ20は、吸着剤部30、及び、中空糸膜ケース70の外嵌部80が吐水部11から出た状態で吐水部11に固定される。浄水カートリッジ20は、吐水部11から流下方向D1とは反対の方向(延出方向D2)へ引き出すことにより取り外される。従って、浄水カートリッジ20は、吐水ヘッド10に対して着脱可能である。
吸着剤部30は、筒状の外側不織布31、外キャップ38、筒状の内側不織布41、内キャップ48、及び、内嵌部材50を有し、活性炭を含む吸着剤AH1が収容されている。活性炭は、細孔を有し、原水に含まれる遊離残留塩素や有機物等の微量成分を除去する。詳細は後述するが、活性炭は、セルロースナノファイバー(以下、CNFとも記載)に由来している。
吸着剤AH1には、本技術の効果を損なわない範囲において、イオン交換体等が含まれてもよい。イオン交換体には、ゼオライト(沸石)といった無機系のイオン交換体、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂といったイオン交換樹脂、キレート樹脂といったキレート化合物、これらの組合せ、等を用いることができる。ゼオライトや陽イオン交換樹脂は、陽イオン交換機能により金属イオンを吸着する。キレート化合物は、キレート結合で特定の金属イオンを選択的に吸着する。すなわち、ゼオライトや陽イオン交換樹脂やキレート化合物は、金属処理剤として機能する。また、イオン交換体には、粒状、繊維状、粉末状、等の形状のイオン交換体を用いることができる。
外側不織布31は、円筒状に成形され、水が内外方向へ、すなわち、浄水カートリッジ20の中心を通る仮想の軸AX1を中心とする径方向へ流通可能である。むろん、外側不織布31は、円筒状に限定されない。外側不織布31の下流側の端部31bは、中空糸膜ケース70の外嵌部80に挿入されて固定される。外嵌部80に挿入された外側不織布31の内側33(収容部の例)には、吸着剤AH1が収容される。外側不織布31の上流側の端部31aは、外キャップ38が挿入され、内側へ折り曲げられて外キャップ38の外面38aに溶着される。これにより、外側不織布31の端部31aの開口31oが閉塞される。尚、溶着の代わりに接着剤等で外側不織布31の端部31aと外キャップ38とを接合してもよい。
内側不織布41は、外側不織布31よりも細い円筒状に形成され、水が内外方向へ流通可能である。内側不織布41の下流側の端部41bは、中空糸膜ケース70の連絡口74に挿入されて固定される。内側不織布41の上流側の端部41aは、内キャップ48が嵌め込まれる。これにより、内側不織布41の端部41aの開口41oが閉塞される。内側不織布41の外側には、吸着剤AH1が存在する。内側不織布41の内側43は、連絡口74を介して中空糸膜束収容部71の中に繋がり、吸着対象の物質が除去された水の通路となる。
尚、不織布31,41には、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、これらの組合せ、といった熱可塑性樹脂(合成樹脂)の繊維等を用いることができる。
内嵌部材50は、環状に成形されたシール部材であり、可撓性を有する。内嵌部材50は、図3に示すように、外側不織布31の内側33に挿入され、中空糸膜ケース70の外嵌部80とで外側不織布31の下流側の端部31bを挟んで保持する。これにより、吸着剤部30の下流側の端部30bが中空糸膜ケース70の外嵌部80に保持される。内嵌部材50の材料には、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、これらの組合せ、等を用いることができる。
尚、外嵌部80と吸着剤部30との固定手段は、シール部材に限定されず、接着剤等でもよい。
中空糸膜ケース70は、内部空間70cに中空糸膜束BH1が収容された中空糸膜束収容部71、及び、吸着剤部30の端部30bの外嵌部80が形成されている。中空糸膜束BH1は、処理対象の水から0.1μm程度以上の細かい濁りや鉄サビや一般細菌を取り除く。例えば、U字状に曲げた中空糸膜H1を複数束ねた中空糸膜束BH1を閉塞端部BH1aから中空糸膜ケース70の内部空間70cに挿入して開口端部BH1bをポッティング剤で固定すると、中空糸膜束BH1が収容された中空糸膜ケース70が形成される。中空糸膜束収容部71には、中空糸膜束BH1の閉塞端部BH1aに対向する連絡口74が形成されている。中空糸膜束BH1において収容部71に固定された開口端部BH1bは、水の流出部75とされている。外嵌部80は、中空糸膜束収容部71から吸着剤部30側(延出方向D2)へ延出し、外側不織布31の下流側の端部31bが挿入される。
尚、中空糸膜ケース70及びキャップ38,48には、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオレフィン、これらの組合せ、といった熱可塑性樹脂(合成樹脂)等を用いることができる。
次に、図1〜3を参照して、浄水カートリッジ20が取り付けられた吐水ヘッド10の水W(流体の例)の流れを説明する。
切替レバー15が浄水側にある時、図1に示すホース19からの水道水Wは、図3に示す矢印のように、外側不織布31の外側面32(流入部の例)から内側33へ入り、吸着剤AH1により吸着対象の物質(例えば遊離残留塩素や有機物等の微量成分)が除去される。外側不織布内側33の水は、内側不織布41の内側43へ入り、連絡口74から中空糸膜束収容部71の内部空間70cに入る。内部空間70cの水は、中空糸膜束BH1において閉塞端部BH1aから開口端部BH1bへ移動し、0.1μm程度以上の細かい濁りや鉄サビや一般細菌が取り除かれる。開口端部BH1b、すなわち、流出部75からの浄水は、吐水部11から吐出される。切替レバー15が水道水側にある時、ホース19からの水道水は、吐水ヘッド10の中で浄水カートリッジ20の外側を流下方向D1へ流れ、吐水部11から吐出される。
吐水ヘッド10から使用済みの浄水カートリッジ20を取り外す場合、まず、ねじ11a,18aの螺合を解除する向きに把持部18を回し、吐水部11から把持部18を取り外す。このとき、図2(b)に示すように、吐水部11から浄水カートリッジ20における吸着剤部30及び外嵌部80が出た状態となる。次に、外嵌部80を掴み、吐水部11から浄水カートリッジ20を流下方向D1とは反対の方向(延出方向D2)へ引き出せばよい。吐水ヘッド10に新しい浄水カートリッジ20を取り付ける場合、外嵌部80を掴み、吐水部11に流出部75から浄水カートリッジ20を流下方向D1へ押し込めばよい。図2(a)に示すように流出部75が吐水部11の接続口12に挿入されると、浄水カートリッジ20が吐水部11に取り付けられる。
(3)a2/a1≧0.02である活性炭を使用する濾過カートリッジの製造方法例:
図5は、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比を0.02以上にする活性炭の製造方法を含む濾過カートリッジの製造方法の具体例を模式的に示している。図5に示す活性炭の製造方法は、懸濁液用意工程S1、成形工程S2、工夫乾燥工程S3(第一工程の例)、及び、賦活工程S4(第二工程の例)を含んでいる。図5に示す浄水カートリッジ20(濾過カートリッジの例)の製造方法は、前述の工程S1〜S4、及び、収容工程S5を含んでいる。懸濁液用意工程S1では、液状分散媒101に分散しているCNF102を含む懸濁液100を用意する。成形工程S2では、懸濁液100を粒状に成形する。尚、以下の説明において、成形工程S2において得られる粒状懸濁液105は、懸濁液100に含まれる概念とする。工夫乾燥工程S3では、懸濁液100を100℃未満で乾燥させて乾燥材料110を得る。賦活工程S4では、乾燥材料110を加熱して賦活することにより、a2/a1≧0.02である活性炭120を得る。収容工程S5では、活性炭120を外側不織布31の内側33(収容部の例)に収容する。
尚、CNF懸濁液100が用意されている場合には、懸濁液用意工程S1を省略してもよい。成形されていない懸濁液100を100℃未満で乾燥させる場合には、成形工程S2を省略してもよい。賦活工程S4は、不融化工程S41と主賦活工程S42を含んでいてもよい。
(3−1)懸濁液用意工程S1の例:
液状分散媒101には、水、メタノールやエタノールといったアルコール、アルコール水溶液、極性を有する有機溶媒、等の100℃未満で蒸発可能な液体を用いることができる。CNFは、極性の高い官能基である水酸基を表面に多数有する多糖のセルロースで構成され、極めて高い親水性を示す。従って、極性の大きい水は、CNFを分散させ易いので、液状分散媒として特に好ましい。
CNF102には、パルプといった植物繊維を解繊して得られるナノファイバー、バクテリアに由来するミクロフィブリル化セルロース、等を用いることができる。むろん、CNFに市販品を用いてもよい。また、CNFは、カルボキシメチルセルロースナノファイバーといった、化学修飾されたセルロースナノファイバーでもよい。CNFには、例えば、繊維径(直径)が3〜400nmであって、繊維長が50nm〜50μmであるセルロース繊維を用いることができる。
CNF102は、例えば、セルロースを含有する材料であるセルロース原料を湿式粉砕することにより製造することができる。湿式粉砕は、液状分散媒(好ましくは水)の存在下で行う粉砕を意味する。セルロース原料には、木質系材料、草本系材料、海藻系材料、バクテリア系材料、動物系材料、等を用いることができる。木質系材料には、針葉樹系材料や広葉樹系材料が含まれ、木片、木粉、木材の破砕物、木材の粉砕物、木質系パルプ、これらの組合せ、等が含まれる。木質系材料に竹等が含まれてもよい。草本系材料には、麻、バガス、モミガラ、稲わら、麦わら、綿、草本系パルプ、これらの組合せ、等が含まれる。セルロース原料は、家具工場や建築現場等で発生する木材の切り屑、廃材の粉砕物、家具や建築用材といった廃棄物の粉砕物、等も用いることができ、パルプ化していてもよいし、パルプ化していなくてもよい。
セルロース原料を湿式粉砕する装置には、例えば特開2015-86377号公報に開示されるように、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、ディスクミル、リングミル、高圧ホモジナイザー、せん断型ミキサー、ニーダー、遊星回転型ミキサー、ジェットミル、アトリションミル、及び、高速ミキサーから選ばれる一種以上を用いることができる。これらの機械は、セルロース原料にせん断力を与えてセルロース原料をフィブリル化することができる。ボールミルやビーズミルやロッドミルやディスクミル等は、処理媒体を用いるミルである。処理媒体からの強い機械的エネルギーは、水により膨潤しているセルロース原料を解繊(叩解)して十分にフィブリル化させる。
CNF102が分散質として液状分散媒101に分散した分散系である懸濁液100は、液状分散媒の存在により流動性を有するが、CNFの細い繊維により高い粘性を示す。懸濁液100を粒状に成形する場合、懸濁液100において液状分散媒101に対するCNF102の重量比は、液状分散媒100重量部に対してCNFを11〜43重量部とすることが好ましく、14〜30重量部とすることがさらに好ましい。CNFを11重量部以上にしているのは、懸濁液100の粘性を成形可能な程度に高くして粒状懸濁液105の形状を保持させるためである。CNFを14重量部以上にすると、懸濁液100の粘性がさらに高くなって粒状懸濁液105の形状保持性がさらに向上する。CNFを43重量部以下にしているのは、懸濁液100の流動性を成形可能な程度に上げて懸濁液100を粒状に成形するためである。CNFを30重量部以下にすると、懸濁液100の流動性がさらに上がって懸濁液100の成形性がさらに向上する。
同じ理由により、添加剤103が含まれていない懸濁液100の含水率は、懸濁液100を粒状に成形する場合、70〜90重量%が好ましく、77〜87重量%がさらに好ましい。懸濁液100におけるCNF102の配合割合は、10〜30重量%が好ましく、13〜23重量%がさらに好ましい。
尚、懸濁液100を粒状に成形する場合において、セルロース原料の湿式粉砕のために液状分散媒100重量部に対するCNFの配合割合が11重量部未満となっている場合、元の懸濁液から一部の液状分散媒を除去する処理を行って液状分散媒100重量部に対するCNFの配合割合を11〜43重量部にすればよい。元の懸濁液から液状分散媒を除去する処理には、元の懸濁液の液状分散媒の一部を吸収性材料に吸収させる処理、元の懸濁液の液状分散媒を一部蒸発させる処理、元の懸濁液を一部濾過して濾液を除去する処理、元の懸濁液に対して遠心分離を行って液状分散媒の一部を除去する処理、等を採用することができる。吸収性材料には、吸水紙といった吸水シート、吸水ポリマー、等を用いることができる。
むろん、懸濁液100を粒状に成形しない場合、液状分散媒100重量部に対してCNFを11重量部未満にしたり43重量部よりも多くしたりすることは容易である。すなわち、懸濁液100を粒状に成形しない場合、添加剤103が含まれていない懸濁液100の含水率を70重量%未満にしたり90重量%よりも多くしたりすることは容易である。
懸濁液100には、本技術の効果を損なわない範囲において、液状分散媒101とCNF102に含まれない一種以上の添加剤103が含まれてもよい。添加剤103には、熱可塑性バインダーや熱硬化性バインダーや無機バインダーや水溶性バインダーや天然有機系バインダーといったバインダー、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、着色剤、充填材、等を用いることができる。添加剤103は、親水性(水溶性を含む。)に限定されず、疎水性でもよい。
熱可塑性バインダーには、ポリエチレン(PE)樹脂やポリプロピレン(PP)樹脂といったポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂といったポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー、これらの樹脂を親水化した樹脂、これらの樹脂に改質剤といった添加剤を添加した樹脂、これらの樹脂の混合物、等を用いることができる。親水性の熱可塑性バインダーの具体例として、三井化学株式会社製ポリオレフィン水性ディスパージョン(ケミパール(登録商標))等を挙げることができる。疎水性の熱可塑性バインダーの具体例として、三井化学株式会社社製ポリエチレンパウダー(ミペロン(登録商標)、旭化成ケミカルズ株式会社製ポリエチレンパウダー(サンファイン(登録商標))、等を挙げることができる。
無機バインダーには、p−アルミナ(Al23・nH2O)、リン酸系バインダー、ケイ素系バインダー、チタン系バインダー、等を用いることができる。また、ベントナイト(主成分がモンモリロナイト)といった層状ケイ酸塩鉱物などの粘土状鉱物も無機バインダーとして用いることができる。
水溶性バインダーには、上述したp−アルミナの他、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリアクリルアミド(PAM)樹脂、リン酸アルミニウム系バインダー、等が含まれる。
天然有機系バインダーには、サトウキビ糖蜜やてん菜糖蜜や精製糖廃糖蜜といった廃糖蜜、リグニンスルホン酸カルシウムやリグニンスルホン酸カルシウム・ナトリウム混合塩といったリグニンスルホン酸塩 、コーンでん粉やタピオカでん粉といったαでん粉、コンニャク飛粉、アルギン酸ナトリウム、等が含まれる。
添加剤103の配合量は、例えば、液状分散媒100重量部に対して0.1〜60重量部程度とすることができる。
以上が液状分散媒101に分散しているCNF102を含む懸濁液100を用意する懸濁液用意工程S1である。
(3−2)成形工程S2の具体例:
成形工程S2では、高粘性の懸濁液100を粒状に成形する。懸濁液100を粒状に成形する方法には、押出造粒、ペレタイザーによる造粒、圧縮造粒、懸濁液100を板状に成形して縦横に切断する方法、等を採用することができる。
押出造粒には、回転ダイの複数の貫通孔から懸濁液100を略円柱状に押し出してカッターや送風といった切断手段により略等間隔に切断する方法等を用いることができる。得られる粒状懸濁液105は、ほぼ、所定の大きさの粒状に揃えられる。
ペレタイザーは、例えば、円筒状のバレルの先端に取り付けたダイの複数の貫通孔からバレル内の懸濁液100をスクリューの回転により略円柱状に押し出し、ダイの前面で回転するカッターといった切断手段により線状の懸濁液100を切断する。スクリューが等速度で回転し、カッターが等速度で回転すれば、ダイの貫通孔から押し出された線状の懸濁液100は等間隔に切断され、所定の大きさの粒状に揃えられた粒状懸濁液105が得られる。
圧縮造粒には、シリンダーの中のキャビティに供給された懸濁液100をピストンの移動により圧縮するタブレッティング式造粒、互いに反対方向へ回転する一対のロールにより材料を一定形状に圧縮するブリケッティング式造粒、等を用いることができる。
また、上述した造粒方法で高粘性の懸濁液100を予備成形し、転動造粒装置といった丸める手段により予備成形された粒状懸濁液105を丸めてもよい。
以上が懸濁液100を粒状に成形する成形工程S2である。
(3−3)工夫乾燥工程S3の具体例:
工夫乾燥工程S3では、懸濁液100(粒状懸濁液105を含む。)を100℃未満で乾燥させて乾燥材料110を得る。むろん、懸濁液100の乾燥は、懸濁液100に含まれる液状分散媒101が蒸発することにより懸濁液100に含まれる液状分散媒101の割合が少なくなることを意味する。懸濁液100を100℃以上で乾燥させると、処理時間は短くなるものの、外部比表面積a2が15m2/g未満となり、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比が0.02未満となり、a2≧15であってa2/a1≧0.02である活性炭と比べて除去対象物質の吸着が遅くなる。この理由は、判明していないが、乾燥時に100℃以上になるとCNFの構造が変化して賦活後の活性炭の表面に直径0.5μm以下の繊維の集合物が現れなくなることが考えられ、これにより外部比表面積a2が少なくなることが考えられる。CNFの構造が変化するのは、よく解っていないが、沸点に達した水の急激な体積膨張によりCNFの繊維が細かく裁断され、その後、細かくなった繊維同士が水素結合により結び付いてバルク状になることが考えられる。尚、「バルク状」とは、3次元的な拡がりをもち、かさばった状態を意味する。一方、乾燥時に100℃未満であると、CNFの構造の変化が少なくて賦活後の活性炭の表面に直径0.5μm以下の繊維の集合物が現れると考えられ、これにより外部比表面積a2が多くなると考えられる。賦活後の活性炭120の表面に現れる直径0.2〜0.5μm程度の繊維は、CNF同士が水素結合により束となったものに由来すると推測される。
尚、賦活後の活性炭120のミクロ孔比表面積(a1−a2)、及び、全比表面積a1は、懸濁液100を100℃以上で乾燥させた場合と比べて同等以上となる。
懸濁液100の100℃未満の乾燥には、自然乾燥、真空乾燥(凍結乾燥を除く。)、凍結乾燥、アルコール置換乾燥、臨界点乾燥、等を適用することができる。
自然乾燥は、懸濁液100を室温下で乾燥させることを意味する。例えば、トレイに懸濁液100を所定の厚さ以下となるように入れて室温下に所定期間以上放置すると、乾燥材料110が得られる。トレイに入れる懸濁液100の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜10mm程度とすることができる。トレイに入れた懸濁液100の乾燥時間は、特に限定されないが、例えば6〜60時間程度とすることができる。また、トレイに入れた懸濁液100に送風して乾燥時間を短縮してもよい。
真空乾燥は、懸濁液100を減圧下で乾燥させることを意味する。例えば、トレイに懸濁液100を所定の厚さ以下となるように入れて100℃未満で真空装置により減圧環境を所定期間以上継続すると、乾燥材料110が得られる。トレイに入れる懸濁液100の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜10mm程度とすることができる。減圧された気圧は、特に限定されないが、例えば95kPa以下とすることができる。減圧環境の継続時間は、特に限定されないが、例えば3〜30時間とすることができる。
凍結乾燥は、冷凍乾燥とも呼ばれ、懸濁液100を凍結させて真空装置で液状分散媒101を直接昇華させて乾燥させることを意味する。真空装置は、冷凍室を備えていてもよい。例えば、トレイに懸濁液100を所定の厚さ以下となるように入れて凍結させて真空装置により減圧環境を所定期間以上継続させると、乾燥材料110が得られる。トレイに入れる懸濁液100の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜10mm程度とすることができる。減圧された気圧は、特に限定されないが、例えば95kPa以下とすることができる。減圧環境の継続時間は、特に限定されないが、例えば6〜60時間とすることができる。
アルコール置換乾燥は、懸濁液100に含まれる液状分散媒101を液体アルコールに置換してから懸濁液100を乾燥させることを意味する。アルコール置換は、例えば、懸濁液100に液体アルコールを加えて混合し、得られる混合液を遠心分離といった分離処理により上澄みを除去することにより、液状分散媒101がアルコールに置換される。さらに、上澄みを除去した残渣に液体アルコールを加えて混合し、得られる混合液を遠心分離といった分離処理により上澄みを除去してもよい。置換用のアルコールには、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール(2−メチル−2−プロパノール)といったブチルアルコール、等を用いることができる。
アルコール置換乾燥は、自然乾燥、真空乾燥、及び、凍結乾燥のいずれにも適用可能である。例えば、液状分散媒101をアルコールに置換し、得られた懸濁液をトレイに所定の厚さ以下となるように入れて室温下に所定期間以上放置すると、乾燥材料110が得られる。トレイに入れた懸濁液100の乾燥時間は、特に限定されないが、例えば3〜30時間程度とすることができる。また、t−ブチルアルコールの融点は25〜26℃であるので、液状分散媒101をt−ブチルアルコールに置換し、得られた懸濁液をトレイに所定の厚さ以下となるように入れて凍結させて真空装置により減圧環境を所定期間以上継続させてもよい。
臨界点乾燥は、懸濁液100に含まれている液状分散媒101を耐圧容器中で液化炭酸ガスに置換した後、加温して臨界状態を維持しながら徐々に圧力を下げることで表面張力の影響を排除して懸濁液100を乾燥させることを意味する。例えば、まず、液状分散媒101をエタノールに置換するため、懸濁液100にエタノールを加えて混合し、得られる混合液を遠心分離といった分離処理により上澄みを除去する。次に、上澄みを除去した残渣を酢酸イソアミルに浸して圧力容器に入れ、臨界点乾燥装置に従って圧力容器に液化炭酸ガスを導入して加温する。状態が液化炭酸ガスの臨界圧力及び臨界温度を超えると、液化炭酸ガスがガス化し、炭酸ガスと一緒に酢酸イソアミルが徐々に排出され、乾燥材料110が得られる。
(3−4)賦活工程S4の具体例:
賦活工程S4では、乾燥材料110を加熱して賦活することにより、a2/a1≧0.02である活性炭120を得る。賦活とは、活性炭となる材料の微細孔を発達させ多孔質に変える反応である。本具体例では、水蒸気や二酸化炭素や空気といったガスの存在下で高温処理するガス賦活を行うことにしている。賦活工程S4は、乾燥材料110を加熱して炭化させる不融化処理を行う不融化工程S41、及び、不融化処理により得られる炭化物を加熱して賦活する賦活処理を行うことにより活性炭120を得る主賦活工程S42を含んでいてもよい。
不融化処理は、例えば、窒素やアルゴンといった不活性ガスの雰囲気下、200〜700℃で乾燥材料110を炭化する処理とすることができる。温度条件は、様々に設定することができる。例えば、所定の昇降温速度(ΔTiとする。)で室温から所定の炭化終了温度(Tceとする。)まで単純に上昇させ所定時間保持して所定の不融化処理終了温度(Tieとする。)まで降下させてもよい。また、所定の昇降温速度ΔTiで室温から所定の炭化開始温度(Tcsとする。)まで上昇させ所定時間保持してから炭化終了温度Tceまで上昇させ所定時間保持して所定の不融化処理終了温度Tieまで降下させてもよい。昇降温速度ΔTiは、例えば、1〜20℃/分(より好ましくは2〜10℃/分)とすることができる。炭化開始温度Tcsは、例えば、200〜350℃(より好ましくは220〜300℃)とすることができる。炭化開始温度Tcsを保持する時間は、例えば、0.1〜10時間(より好ましくは1〜7時間)とすることができる。炭化終了温度Tceは、例えば、500〜700℃(より好ましくは550〜650℃)とすることができる。炭化終了温度Tceを保持する時間は、例えば、0.1〜5時間(より好ましくは1〜3時間)とすることができる。不融化処理終了温度Tieは、例えば、40〜90℃とすることができる。
不融化処理後の賦活処理は、例えば、水蒸気や二酸化炭素といった酸化性ガスの雰囲気下、700〜1050℃、より好ましくは800〜1000℃で炭化物を活性化して活性炭120を得る処理とすることができる。また、加熱中に酸化性ガスの雰囲気下から窒素やアルゴンといった不活性ガスの雰囲気下に切り替えてもよい。温度条件は、様々に設定することができる。例えば、所定の昇降温速度(ΔTaとする。)で室温から所定の賦活終了温度(Taeとする。)まで上昇させ所定時間保持して所定の賦活処理終了温度(Tcoeとする。)まで降下させてもよい。昇降温速度ΔTaは、例えば、1〜20℃/分(より好ましくは2〜10℃/分)とすることができる。賦活終了温度Taeは、例えば、700〜1050℃(より好ましくは800〜1000℃)とすることができる。賦活終了温度Taeを保持する時間は、例えば、0.1〜5時間(より好ましくは1〜3時間)とすることができる。賦活処理終了温度Tcoeは、例えば、40〜90℃とすることができる。
尚、不融化処理があると活性炭としての活性が高まるので好ましいものの、不融化処理を省略して賦活処理を行うこともできる。
懸濁液100を100℃未満で乾燥させてから賦活工程S4により得られる活性炭120は、外部比表面積a2が15m2/g以上であり、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比a2/a1が0.02以上である新規の活性炭である。外部比表面積a2は、除去対象物質の吸着速度を向上させる点から、20m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がより好ましく、70m2/g以上がさらに好ましく、100m2/g以上が特に好ましい。比表面積比a2/a1は、除去対象物質の吸着速度を向上させる点から、0.03以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.07以上がさらに好ましく、0.10以上が特に好ましい。
活性炭120のミクロ孔比表面積(a1−a2)は、通常700m2/g以上であり、800m2/g以上、900m2/g以上、さらには1000m2/g以上となることもある。例えば、水道水中ごく僅かに存在するトリハロメタンの代表例であるクロロホルム(トリクロロメタン)は、マクロ孔やメソ孔ではなく、ミクロ孔に吸着され易い。従って、活性炭120は、クロロホルムに代表される微量物質を除去する性能が高い。また、活性炭120の全比表面積a1は、通常、715m2/g以上であり、815m2/g以上、915m2/g以上、さらには1015m2/g以上となることもある。全比表面積a1の上限は特に限定されず、例えば、2000〜3000m2/gである活性炭も考えられる。ミクロ孔比表面積(a1−a2)の上限は、全比表面積a1よりも低く、且つ、a2/a1≧0.02を満たす範囲となる。
比a2/a1の上限は、活性炭にミクロ孔があることから1.00よりも小さくなるが、活性炭にミクロ孔があれば特に限定されない。例えば、a2/a1=0.20〜0.30である活性炭も考えられる。a2/a1≧0.02である活性炭120の性質の詳細は、後述する。
上述した活性炭120は、水や空気といった流体から微量成分を迅速に吸着して除去する優れた性質を有する。活性炭120を浄水カートリッジに使用する場合、原水に含まれる遊離残留塩素や有機物等の微量成分を迅速に除去することができる。活性炭120を空気清浄機用の濾過カートリッジに使用する場合、空気(流体の例)に含まれる臭い成分等の微量成分を迅速に除去することができる。
(3−5)収容工程S5の具体例:
上述した工程S1〜S4により製造される活性炭120は、図1〜4で示した浄水カートリッジ20の製造に使用することができる。浄水カートリッジ20の製造方法に含まれる収容工程S5では、活性炭120を外側不織布31の内側33に収容する。以下、収容工程S5を含めて浄水カートリッジ20の製造方法の例を説明する。
まず、中空糸膜ケース70の連絡口74に内側不織布41の端部41bを挿入し、内側不織布41の上流側の端部41aに内キャップ48を取り付ける。これにより、内側不織布41の端部41aの開口41oが閉塞され、内側不織布41の内側43が吸着剤AH1により浄化した水の通路となる。次いで、中空糸膜ケース70の外嵌部80の内側に外側不織布31の端部31bを挿入する。次いで、内嵌部材50を外側不織布31の内側33に入れ、外側不織布31の端部31bを外嵌部80と内嵌部材50とで挟んで保持する。このため、接着剤を使用しなくても外側不織布31と中空糸膜ケース70とが接続されるが、少量の接着剤を併用することも可能である。
ここで、活性炭120を含む吸着剤AH1を内側不織布41の外側であって外側不織布31の内側33に収容する。その後、外側不織布31の上流側の端部31aに外キャップ38を挿入し、外側不織布31の端部31aを内側へ曲げて外キャップ38の外面38aに溶着する。これにより、外側不織布31の端部31aの開口31oが閉塞され、内側不織布41の外側であって外側不織布31の内側33が吸着剤AH1の収容空間となり、浄水カートリッジ20の製造が完了する。
吸着剤AH1は、全て活性炭120でもよいが、本技術の効果を損なわない範囲において、図5に示すように一種以上の添加剤130が含まれてもよい。添加剤130には、上述したイオン交換体等を用いることができる。添加剤130の配合量は、例えば、100重量部の活性炭120に対して0.1〜60重量部程度とすることができる。
(4)a2≧15m2/gでありa2/a1≧0.02である活性炭の性質:
外部比表面積a2が15m2/g以上であり全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比a2/a1が0.02以上である新規の活性炭120は、外部比表面積a2が15m2/g未満であり比a2/a1が0.02未満である活性炭と比べて、除去対象物質の吸着が速いという優れた性質を有する。この理由を調べるため、発明者らは、SEM(走査電子顕微鏡)により活性炭の表面の写真を撮影した。図8〜12は、a2/a1≧0.02である活性炭120の表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真を示している。図13〜15は、a2/a1<0.02である活性炭の表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真を示している。
図8〜12に示すように、a2/a1≧0.02である活性炭120の表面には、概ね直径0.2〜0.5μm程度と直径0.5μm以下の繊維の集合物が見られる。ここで、繊維の集合物は、写真上で複数の繊維が一部重なっている状態で集まっている物を意味する。活性炭120の表面にある直径0.2〜0.5μm程度の繊維は、その直径から、CNF同士が水素結合により束となったものが炭化して賦活されたものと推測される。このような繊維の集合物が活性炭120の表面にあることにより、外部比表面積a2が多くなっており、クロロホルム等のようなミクロ孔に入る大きさの除去対象物質がミクロ孔に入り易くなっていると考えられる。
一方、図13〜15に示すように、a2/a1<0.02である活性炭の表面には、直径0.5μm以下の繊維の集合物が見られない。これは、上述したように、乾燥時に100℃以上になるとCNFの構造が変化して賦活後の活性炭の表面に直径0.5μm以下の繊維の集合物が現れなくなることが考えられる。活性炭の表面に直径0.5μm以下の繊維の集合物が無いことにより、外部比表面積a2が少なくなっており、a2/a1≧0.02である活性炭120と比べてミクロ孔に入る大きさの除去対象物質がミクロ孔に入る速度が低下すると考えられる。
以上より、a2≧15m2/gでありa2/a1≧0.02である活性炭120を濾過カートリッジに使用すると、流体中の除去対象物質の吸着が速い分、濾過カートリッジを小型化することができる。a2≧15m2/gでありa2/a1≧0.02である活性炭120を浄水器に使用する場合には、水中の微量成分の吸着が速い分、浄水器を小型化することができる。a2≧15m2/gでありa2/a1≧0.02である活性炭120を空気清浄機に使用する場合には、空気中の微量成分の吸着が速い分、空気清浄機を小型化することができる。
(5)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、流下方向へ並べられる吸着剤及び中空糸膜束は、吸着剤が上流側で中空糸膜束が下流側であることが好ましいものの、中空糸膜束が上流側で吸着剤が下流側でもよい。また、流出部を有する部材は、中空糸膜ケース70以外にも、中空糸膜束を収容せずに流出部を有する部材等でもよい。浄水カートリッジを設けた水栓は、洗面化粧台や浴室等、システムキッチン以外の場所に設けられてもよい。吐水装置は、浄水と水道水を切替可能な吐水ヘッド以外にも、浄水のみを吐出する吐水ヘッド等でもよい。むろん、濾過カートリッジは、空気から除去対象の物質を除去する空気清浄機用の濾過カートリッジ等でもよい。
(6)実施例:
以下、実施例を示して具体的に本発明を説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
[実施例1]
本実施例は、CNF懸濁液を自然乾燥により乾燥させてから賦活処理により活性炭サンプルを得ている。
CNF懸濁液には、株式会社スギノマシン製BiNFi−s(登録商標)セルロースWMa-10010(標準工業材料用10wt%)を用いた。10wt%のCNF懸濁液は、含水率90重量%であり、水100重量部に対して11.1重量部のCNFを含む。
上記CNF懸濁液を厚さ1〜2mmとなるようにトレイに入れ、室温(40℃未満)の大気雰囲気下で1日以上放置して、乾燥材料を得た。この乾燥材料に不融化処理を行い、得られた炭化物に賦活処理を行い、活性炭サンプルを得た。不融化処理は、窒素ガスの雰囲気下、昇降温速度ΔTi=3〜4℃/分、炭化開始温度Tcs=280℃(5時間保持)、炭化終了温度Tce=600℃(1時間保持)、及び、不融化処理終了温度Tie=50℃の温度条件において行った。賦活処理は、水蒸気ガスの雰囲気下、昇降温速度ΔTa=3〜4℃/分、賦活終了温度Tme=800℃(2時間保持)、及び、賦活処理終了温度Tae=50℃の温度条件において行った。
[実施例2]
本実施例は、CNF懸濁液を真空乾燥により乾燥させてから賦活処理により活性炭サンプルを得ている。
CNF懸濁液は、実施例1に使用したCNF懸濁液と同じである。また、真空乾燥用にアドバンテック東洋株式会社製真空定温乾燥器DRR320DAを用いた。
上記CNF懸濁液を厚さ1〜2mmとなるようにトレイに入れ、このトレイを真空定温乾燥器に入れて、40℃で95kPa未満に減圧し、この減圧環境を6時間以上継続させて、乾燥材料を得た。この乾燥材料に不融化処理を行い、得られた炭化物に賦活処理を行い、活性炭サンプルを得た。不融化処理と賦活処理の条件は、実施例1の条件と同じである。
[実施例3]
本実施例は、CNF懸濁液にエタノール置換を行ってから自然乾燥により乾燥させて賦活処理により活性炭サンプルを得ている。
CNF懸濁液は、実施例1に使用したCNF懸濁液と同じである。
上記CNF懸濁液にエタノールを加えて混合し、得られる混合液から遠心分離により上澄みを除去し、残渣を厚さ1〜2mmとなるようにトレイに入れ、室温(40℃未満)の大気雰囲気下で1日以上放置して、乾燥材料を得た。この乾燥材料に不融化処理を行い、得られた炭化物に賦活処理を行い、活性炭サンプルを得た。不融化処理と賦活処理の条件は、実施例1の条件と同じである。
[実施例4]
本実施例は、CNF懸濁液にt−ブチルアルコール置換を行ってからCNF懸濁液を凍結乾燥により乾燥させて賦活処理により活性炭サンプルを得ている。
CNF懸濁液は、実施例1に使用したCNF懸濁液と同じである。凍結乾燥には、東京理化器械株式会社製凍結乾燥機FDU-1200を用いた。
上記CNF懸濁液にt−ブチルアルコールを加えて混合し、得られる混合液から遠心分離により上澄みを除去し、残渣にt−ブチルアルコールを加え、得られる懸濁液を厚さ1〜2mmとなるようにトレイに入れて冷蔵庫で凍結させ、トレイを凍結乾燥機に入れて減圧環境を2日間継続させて、乾燥材料を得た。この乾燥材料に不融化処理を行い、得られた炭化物に賦活処理を行い、活性炭サンプルを得た。不融化処理と賦活処理の条件は、実施例1の条件と同じである。
[実施例5]
本実施例は、CNF懸濁液を臨界点乾燥により乾燥させて賦活処理により活性炭サンプルを得ている。
CNF懸濁液は、実施例1に使用したCNF懸濁液と同じである。臨界点乾燥には、株式会社日立製作所製臨界点乾燥装置HCP-2を用いた。
上記CNF懸濁液にエタノールを加えて混合し、得られる混合液から遠心分離により上澄みを除去し、残渣を酢酸イソアミルに浸して圧力容器に入れ、40℃、圧力80〜130kg/cm2、及び、LEAKバルブ2L/minの条件で臨界点乾燥装置により液化炭酸ガスを圧力容器に導入して加温し、炭酸ガスと一緒に酢酸イソアミルを徐々に排出させて、乾燥材料を得た。この乾燥材料に不融化処理を行い、得られた炭化物に賦活処理を行い、活性炭サンプルを得た。不融化処理と賦活処理の条件は、実施例1の条件と同じである。
[比較例1]
本比較例は、CNF懸濁液を100℃以上の加熱により乾燥させて賦活処理により活性炭サンプルを得ている。
CNF懸濁液は、実施例1に使用したCNF懸濁液と同じである。加熱乾燥には、アズワン株式会社製乾燥パン型造粒機DPZ-01Rを用いた。
上記CNF懸濁液を上記乾燥パン型造粒機の回転パンに入れ、表面温度を100℃以上にして回転パンを3〜4時間回転させ、乾燥材料を得た。この乾燥材料に不融化処理を行い、得られた炭化物に賦活処理を行い、活性炭サンプルを得た。不融化処理と賦活処理の条件は、実施例1の条件と同じである。
[比較例2]
活性炭サンプルとして、クラレケミカル株式会社製ヤシ殻系活性炭GW48/100を用いた。
[比較例3]
活性炭サンプルとして、樹脂繊維を炭化させて賦活した繊維状活性炭を用いた。
[SEMによる活性炭サンプル表面の写真撮影]
実施例1〜5と比較例1〜3の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより写真を撮影した。これらの写真を図8〜15に示している。ここで、図8は、自然乾燥を行った実施例1の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図9は、40℃において真空乾燥を行った実施例2の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図10は、エタノール置換後に自然乾燥を行った実施例3の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図11は、t−ブチルアルコール置換後に凍結乾燥を行った実施例4の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図12は、臨界点乾燥を行った実施例5の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図13は、100℃以上の乾燥を行った比較例1の活性炭サンプルの表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図14は、比較例2のヤシ殻活性炭の表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。図15は、比較例3の繊維状活性炭の表面を5000倍に拡大してSEMにより撮影した写真である。
図8〜12に示すように、実施例1〜5の活性炭サンプルの表面には、概ね直径0.2〜0.5μm程度と直径0.5μm以下の繊維の集合物が見られた。
一方、図13〜15に示すように、比較例1〜3の活性炭サンプルの表面には、直径0.5μm以下の繊維の集合物が見られなかった。図15には、樹脂繊維に由来する直径10〜20μmの円柱状構造が見られるものの、これは直径0.2〜0.5μmよりも遥かに大きい構造である。
[比表面積a1,a2の測定]
比表面積a1,a2を測定する装置には、マイクロトラック・ベル株式会社製比表面積/細孔分布測定装置BELSORP-maxを用いた。
実施例1,2,5と比較例1,2の活性炭サンプルについて、上記比表面積/細孔分布測定装置により窒素ガスを吸着質に用いて吸着等温線を求め、t-plot(図7参照)から、傾きs1,s2、傾きs2の直線L2のVa切片、全比表面積a1、外部比表面積a2、ミクロ孔比表面積(a1−a2)、及び、比表面積比a2/a1を求めた。
試験結果を表1に示す。

表1に示すように、CNF懸濁液を100℃以上で乾燥させてから賦活処理を行った比較例1、及び、ヤシ殻活性炭を用いた比較例2では、外部比表面積a2が8.1〜11.6m2/gと小さかった。一方、CNF懸濁液を100℃未満で乾燥させてから賦活処理を行った実施例1,2,5では、外部比表面積a2が20.1〜153.6m2/gと大きかった。
その結果、全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比a2/a1は、比較例1,2が0.009と小さいのに対し、実施例1,2,5が0.021〜0.106と大きい。実施例1,2,5において外部比表面積a2が大きく比表面積比a2/a1が大きいのは、図8〜12で示した写真から、活性炭サンプルの表面に直径0.5μm以下の繊維の集合物があるためと考えられる。一方、比較例1,2における比表面積比a2/a1が小さいのは、図13〜15で示した写真から、活性炭サンプルの表面に直径0.5μm以下の繊維の集合物が無いためと考えられる。
[活性炭サンプルの吸着速度の評価]
原水サンプルとして、60±15ppbのクロロホルム水溶液を用いた。クロロホルムは、水に含まれる微量成分の指標物質である。
比表面積比a2/a1が0.02以上である実施例1,2の活性炭サンプル、及び、比表面積比a2/a1が0.02未満である比較例1,2の活性炭サンプルをそれぞれ9本の採水瓶に0.1g入れ、各採水瓶に原水サンプルを100g注入した。各採水瓶の中身を回転装置により1000rpmで撹拌し、指定の接触時間(10秒、20秒、30秒、60秒、2分、5分、10分、30分、60分)において原水サンプルを注射器で吸い取って0.8μmのフィルターで濾過し、濾液をバイアル瓶に入れて、蓋で密閉した。各バイアル瓶に注入した濾液のクロロホルム濃度をガスクロマトグラフィーにより測定した。
試験結果を図6に示す。図6は、実施例1,2及び比較例1,2において、接触時間(単位:秒)に対するクロロホルムの平衡吸着達成率を示している。尚、平衡吸着達成率が0.00である場合は原水サンプルからクロロホルムが全く除去されていないことを示し、平衡吸着達成率が1.00である場合は原水サンプルからクロロホルムが最も高い割合で除去されたことを示す。図6では、分かり易く示すため、0.40〜1.00の範囲で平衡吸着達成率を示している。
図6に示すように、CNF懸濁液を100℃以上の加熱により乾燥させた比較例1の平衡吸着達成率は、接触時間10秒〜60分のいずれにおいても、ヤシ殻系活性炭を用いた比較例2の平衡吸着達成率よりも低かった。一方、CNF懸濁液を100℃未満で乾燥させた実施例1,2の平衡吸着達成率は、接触時間10秒〜30分において、ヤシ殻系活性炭を用いた比較例2の平衡吸着達成率よりも高かった。ここで、実施例1,2は比較例2よりもミクロ孔比表面積(a1−a2)が少ないので、平衡吸着達成率の結果は実施例1,2に顕著な効果があることを示している。
また、CNF懸濁液を真空乾燥により乾燥させた実施例2の平衡吸着達成率は、接触時間10秒〜30分において、CNF懸濁液を自然乾燥により乾燥させた実施例1の平衡吸着達成率よりも高かった。
以上より、CNF懸濁液を100℃未満で乾燥させてから賦活処理を行ったa2≧15m2/gでa2/a1≧0.02の活性炭は除去対象物質の吸着が速いという顕著な効果を奏することが確認された。また、実施例2のようにCNF懸濁液を100℃未満の真空乾燥により乾燥させてから賦活処理を行った活性炭は、外部比表面積a2が100m2/g以上で比表面積比a2/a1が0.10以上と、実施例1のようにCNF懸濁液を自然乾燥により乾燥させてから賦活処理を行った活性炭の比表面積比a2/a1よりも高く、除去対象物質の吸着もさらに速い。実施例5のようにCNF懸濁液を臨界点乾燥により乾燥させて賦活処理を行った活性炭も、外部比表面積a2が100m2/g以上で比表面積比a2/a1が0.10以上と、実施例1のようにCNF懸濁液を自然乾燥により乾燥させてから賦活処理を行った活性炭の比表面積比a2/a1よりも高いので、除去対象物質の吸着もさらに速いと推測される。
以上説明したように、外部比表面積a2が15m2/g以上であって全比表面積a1に対する外部比表面積a2の比a2/a1が0.02以上である活性炭は、除去対象物質の吸着が速く、活性炭としての高い浄化性能を有していることが確認された。また、除去対象物質の吸着が速いことから、活性炭を使用する濾過カートリッジや浄水器を小型化することができる。
(7)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、除去対象物質の吸着速度を向上させた新規の活性炭、その製造方法、及び、前記活性炭を活用した技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…水栓(浄水器の例)、2…水栓本体、
10…吐水ヘッド(浄水器本体の例)、10a…水道水通路、
11…吐水部、12…接続口、13…水出口、15…切替レバー、
18…把持部、19…ホース(水入口の例)、
20…浄水カートリッジ(濾過カートリッジの例)、
30…吸着剤部、30b…端部、
31…外側不織布、31a,31b…端部、31o…開口、
32…外側面(流入部の例)、33…内側(収容部の例)、
38…外キャップ、38a…外面、
41…内側不織布、41a,41b…端部、41o…開口、43…内側、
48…内キャップ、
50…内嵌部材、
70…中空糸膜ケース、70c…内部空間、71…中空糸膜束収容部、74…連絡口、
75…流出部、80…外嵌部、
100…懸濁液、
101…液状分散媒、102…セルロースナノファイバー、103…添加剤、
105…粒状懸濁液、
110…乾燥材料、
120…活性炭、130…添加剤、
AH1…吸着剤、AX1…軸、
BH1…中空糸膜束、BH1a…閉塞端部、BH1b…開口端部、
D1…流下方向、D2…延出方向、
H1…中空糸膜、
S1…懸濁液用意工程、S2…成形工程、S3…工夫乾燥工程(第一工程の例)、S4…賦活工程(第二工程の例)、S5…収容工程、
S41…不融化工程、S42…主賦活工程、
SY1…システムキッチン、W…水(流体の例)。

Claims (5)

  1. 全比表面積に対する外部比表面積の比が0.02以上である活性炭。
  2. 走査電子顕微鏡による5000倍の写真において観察される直径0.5μm以下の繊維の集合物を有する、請求項1に記載の活性炭。
  3. 液状分散媒に分散しているセルロースナノファイバーを含む懸濁液を100℃未満で乾燥させて乾燥材料を得る第一工程と、
    前記乾燥材料を加熱して賦活することにより活性炭を得る第二工程と、を含む、活性炭の製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の活性炭が収容された収容部と、
    該収容部に流体を流入させる流入部と、
    前記収容部から前記流体を流出させる流出部と、を含む、濾過カートリッジ。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の活性炭が収容された浄水カートリッジと、
    水入口及び水出口を有し、前記浄水カートリッジを収容する浄水器本体と、を備える、浄水器。
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