JP2019168482A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエステル樹脂を含有し、THF可溶分の重量平均分子量Mwが10,000以上60,000以下、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnが5以上10以下、且つ、特定のIRスペクトルを有するトナーであっても、機械的接触によりトナーを移送する補給装置を使用する場合と比較して、トナー補給量の変動を抑制できる画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置は、潜像保持体に供給する現像剤を収容する現像装置と、トナーを収容する収容手段、及び、吸引圧力を用いて収容手段からトナーを移送して現像装置に補給する移送手段を有する補給装置とを備える。収容手段は、少なくとも一部が柔軟な材料で構成され、内部の気圧によって変形する袋体を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置において、現像剤を収容する現像装置に対してトナー又は現像剤を補給するための補給装置を設けることが知られている。
特許文献1には、供給口から下方に供給される現像剤を該現像剤が供給される方向と交差する方向に搬送するための搬送路と、前記搬送路内の現像剤を搬送する現像剤搬送手段と、前記供給口から落下し、前記現像剤搬送手段を通過する位置の現像剤を検知するための現像剤検知手段と、を有することを特徴とする現像剤搬送装置が開示されている。
特許文献2には、電子写真プロセスに用いるトナーまたはキャリア、もしくはトナーとキャリアからなる現像剤が収納される剤収納容器において、当該剤が収納される柔軟性のある容器本体と、該容器本体を着脱可能に支持する底板部材とを有し、当該容器本体に形成されたトナー排出口を覆うシャッタ手段が設けられている剤収納容器、並びに、当該剤収納容器を用いる画像形成装置が開示されている。
特開2018−10226号公報 特開2006−258927号公報
ところで、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定による重量平均分子量Mwが10,000以上60,000以下、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが5以上10以下であり、且つ、赤外吸収分光法で得られる吸収スペクトルにおいて波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P1)が0.4以下であり、且つ、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)の比(P3/P1)が0.6以下である、トナーが知られている。当該トナーは、定着性において優れるものの、吸湿性が高く、凝集し易い性質を有する。そのため、トナーと機械的に接触する装置を用いてトナーを移送する従来の補給装置では、トナーを移送する際に加わる圧力によって内部で凝集及び滞留が起こり、トナーの排出量が大きく変動するという課題があり、特に凝集が起きやすい高温高湿環境下において、顕著であった。
本発明の課題は、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定による重量平均分子量Mwが10,000以上60,000以下、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが5以上10以下であり、且つ、赤外吸収分光法で得られる吸収スペクトルにおいて波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P1)が0.4以下であり、且つ、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)の比(P3/P1)が0.6以下であるトナーであっても、トナーと機械的に接触する装置によりトナーを移送する補給装置を使用する場合と比較して、現像装置へのトナーの補給量の変動を抑制することができる補給装置を備える画像形成装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、潜像保持体に供給する現像剤を収容する現像装置と、トナーを収容する収容手段、及び、吸引圧力を用いて前記収容手段から前記トナーを移送して前記現像装置に補給する移送手段を有する補給装置と、を備え、前記収容手段は、少なくとも一部が柔軟な材料で構成され、内部の気圧によって変形する袋体を有し、前記トナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定によって得られる重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mwが10,000以上60,000以下であって、Mw/Mnが5以上10以下であり、赤外吸収分光法により得られた前記トナーの吸収スペクトルにおいて、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P1)が0.4以下であり、且つ、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)の比(P3/P1)が0.6以下である、画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記比(P2/P1)が0.3以下であり、且つ、前記比(P3/P1)が0.5以下である、請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記比(P2/P1)が0.05以上であり、且つ、前記比(P3/P1)が0.2以上である、請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、赤外吸収分光法により得られた前記トナーの吸収スペクトルにおいて、波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P3)が0.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記比(P2/P3)が0.4以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記袋体が高分子材料からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記袋体がポリオレフィンからなる、請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記袋体の膜厚が0.03mm以上1.0mm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記袋体から前記トナーが排出される排出口における気圧が0.1mPa以上0.5mPa以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
請求項1又は2に記載の発明によれば、トナーと機械的に接触する装置によりトナーを移送する補給装置を使用する場合と比較して、現像装置へのトナーの補給量の変動が抑制される画像形成装置が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、前記比(P2/P1)が0.05未満、又は、前記比(P3/P1)が0.2未満である場合と比較して、トナーの補給量の変動がより抑制される画像形成装置が提供される。
請求項4又は5に記載の発明によれば、前記比(P2/P3)が0.4未満である場合と比較して、トナーの補給量の変動がより抑制される画像形成装置が提供される。
請求項6又は7に記載の発明によれば、前記袋体が高分子材料以外の材料からなる場合と比較して、トナーの補給量の変動がより抑制される画像形成装置が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、前記袋体の膜厚が0.03mm未満、又は、1.0mmを超える場合と比較して、柔軟性と強度とのバランスに優れた前記袋体を有する画像形成装置が提供される。
請求項9に記載の発明によれば、当該気圧が0.1mPa未満、又は、0.5mPaを超える場合と比較して、現像装置へのトナーの補給量の変動が抑制される画像形成装置が提供される。
実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。 実施形態に係る補給装置の一例を示す概略構成図である。 トナーのIRスペクトルのチャートの一例である。 従来の補給装置の一例を示す概略構成図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の一例について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
(画像形成装置)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100を示す概略構成図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、例えば、矢印aで示す時計回り方向に回転する潜像保持体10と、潜像保持体10の上方に潜像保持体10に相対して設けられ、潜像保持体10の表面を帯電させる帯電装置20と、帯電装置20により帯電した潜像保持体10の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置30と、露光装置30により形成された静電潜像に、接触現像方式により現像剤に含まれるトナーを付着させて潜像保持体10の表面にトナー像を形成する現像装置40と、潜像保持体10に接触しつつ矢印bで示す方向に走行するとともに、潜像保持体10の表面に形成されたトナー像を転写するベルト状の中間転写体50と、潜像保持体10の表面をクリーニングするクリーニング装置70と、を備える。
帯電装置20、露光装置30、現像装置40、中間転写体50、及びクリーニング装置70は、潜像保持体10を囲む円周上に、時計回り方向にこの順序で配置されている。
中間転写体50は、支持ローラ50A、50B、背面ローラ50C、及び駆動ローラ50Dによって、内側から張力を付与されつつ保持されるとともに、駆動ローラ50Dの回転に伴い矢印bの方向に駆動される。中間転写体50の内側における潜像保持体10に相対する位置には、中間転写体50をトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて中間転写体50の外側の面に潜像保持体10上のトナーを吸着させる一次転写装置51が設けられている。中間転写体50の下方における外側には、記録媒体としての記録紙Pをトナーの帯電極性とは異なる極性に帯電させて、中間転写体50に形成されたトナー像を記録紙P上に転写する二次転写装置52が背面ローラ50Cに対向して設けられている。
中間転写体50の下方には、さらに、二次転写装置52に記録紙Pを供給する記録紙供給装置53と、二次転写装置52においてトナー像が形成された記録紙Pを搬送しつつ、トナー像を定着させる定着装置80と、が設けられている。
記録紙供給装置53は、1対の搬送ローラ53Aと、搬送ローラ53Aで搬送される記録紙Pを二次転写装置52に向かって誘導する誘導板53Bと、を備える。一方、定着装置80は、二次転写装置52によってトナー像が転写された記録紙Pを加熱・押圧することにより、トナー像の定着を行う1対の熱ローラである定着ローラ81と、定着ローラ81に向かって記録紙Pを搬送する搬送体82とを有する。
記録紙Pは、記録紙供給装置53と二次転写装置52と定着装置80とにより、矢印cで示す方向に搬送される。
中間転写体50には、さらに、二次転写装置52において記録紙Pにトナー像を転写した後に中間転写体50に残ったトナーを除去するクリーニングブレード55を有する中間転写体クリーニング装置54が設けられている。
潜像保持体10としては、例えば、導電性基体上に設けられる感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが挙げられる。有機感光体としては、導電性基体上に、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層とを積層する機能分離型の感光体が挙げられる。また、導電性基体上に、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能とを同一の層が果たす単層型感光層を設けた感光体が挙げられる。さらに、無機感光体としては、導電性基体上に、アモルファスシリコンにより構成された感光層を設けた感光体が挙げられる。なお、本実施形態に係る潜像保持体10の形状は円筒状とされているが、これに限られず、例えば、シート状、プレート状等他の形状を採用してもよい。
帯電装置20としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、帯電装置20としては、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等の他の例も挙げられる。本実施形態では、一例として、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器を用いている。なお、帯電装置20による潜像保持体10表面上の帯電の極性に制限はないが、本実施形態では負極性とされている。
露光装置30としては、例えば、潜像保持体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は潜像保持体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザを採用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザ光源を採用してもよい。
現像装置40は、例えば、現像領域で潜像保持体10に対向して配置されており、トナー及びキャリアを含む現像剤(二成分現像剤)を収容する現像容器41を有する。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。なお、本明細書において、現像領域とは、潜像保持体10上に形成された静電潜像について現像装置40により現像する領域をいう。
現像容器本体41Aは、例えば、その内側に、現像ロール42を収容する現像ロール室42Aを有しており、現像ロール室42Aに隣接して、第1攪拌室43Aと第1攪拌室43Aに隣接する第2攪拌室44Aとを有している。また、現像ロール室42A内には、例えば、現像容器カバー41Bが現像容器本体41Aに装着された時に現像ロール42表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材45が設けられている。
第1攪拌室43Aと第2攪拌室44Aとの間は例えば仕切り壁41Cにより仕切られている。図示しないが、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aは仕切り壁41Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部に開口部が設けられて通じており、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aによって循環攪拌室が構成されている。
そして、現像ロール室42Aには、潜像保持体10と対向するように現像ロール42が配置されている。現像ロール42は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1攪拌室43Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール42の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール42はそのロール軸が現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール42と潜像保持体10とは、逆方向に回転し、対向部において、現像ロール42の表面上に吸着された現像剤は、潜像保持体10の進行方向と同方向から現像領域に搬送されるようになっている。
また、現像ロール42のスリーブには、図示しないバイアス電源が接続され、現像領域に現像バイアスが印加されるようになっている。本実施形態に係る現像バイアスは、交番電界が印加されるように、直流電源による直流成分(AC)に交流電源による交流成分(DC)が重畳されたバイアスとされている。なお、現像ロール42に印加される直流バイアス電圧の極性はトナーの帯電極性とは逆極性とされるが、本実施形態では正極性とされている。
第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aには現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44が各々配置されている。第1攪拌部材43は、現像ロール42の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第2攪拌部材44も、同様に、第2回転軸及び攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44は、現像容器本体41Aに回転自由に支持されている。また、第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44は、その回転によって、第1攪拌室43A及び第2攪拌室44Aの中の現像剤が互いに逆方向に搬送されるように配設されている。そして、本実施形態では、現像容器41内の現像剤は、第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44によって攪拌・搬送されるとともに帯電される。現像剤の帯電極性に制限はないが、本実施形態では負極性とされている。
そして、第2攪拌室44Aの長手方向一端側には、補給用トナーを第2攪拌室44Aへ供給するための補給搬送路46の一端が連結されており、補給搬送路46の他端には、補給用トナーを収容し、補給する補給装置60が連結されている。これにより、本実施形態に係る画像形成装置100は、補給用トナーが、補給装置60から補給搬送路46を経て現像装置40(第2攪拌室44A)に供給される構成となっている。補給装置60の詳しい構成については後述する。
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。潜像保持体10に付着したトナーを中間転写体50に移動させるために、一次転写装置51に転写バイアスが印加される。また、中間転写体50に付着したトナーを記録紙Pに移動させるために、図示しない電源から二次転写装置52に転写バイアスが印加される。
中間転写体50としては、導電剤を含んだポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外に円筒状のものも用いられる。
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72と、を含んで構成されている。なお、クリーニングブレード72は、筐体71の端部で支持された形態であってもよいし、別途、支持部材(ホルダー)により支持される形態であってもよいが、本実施形態では、筐体71の端部で支持された形態を採用している。
図2に、現像装置40に補給用トナーを補給する補給装置60を示す。補給装置60は、トナーを収容するトナーカートリッジ(収容手段)61と、吸引ポンプ(移送手段)62と、トナー搬送路63と、フィルタ64と、通気管65とを備える。トナーカートリッジ61は、少なくとも一部が柔軟な材料からなり、内部の気圧によって変形する袋体61Aと、袋体61A内に収容されたトナーカートリッジ61が排出されるトナー排出口61Bとを有する。
補給装置60によるトナー補給について説明する。吸引ポンプ62を作動すると、トナー搬送路63及びトナーカートリッジ61の内部の気体がフィルタ64及び通気管65を介して排出される。これにより図2において矢印dで示す気体の流れが発生する。この流れに沿って、トナーカートリッジ61内部のトナーは、図2において矢印e1で示すように右方に移動する。このとき、トナーカートリッジ61内部の減圧により、袋体61Aが変形して減容することで、袋体61A内に収容されたトナーのトナー排出口61Bへの移送を支援する。やがて、気体の流れに沿って移動したトナーがフィルタ64に到達すると、フィルタ64は気体を通過させる一方、トナーは通過させないため、トナーはフィルタ64において留まる。すると、図2において矢印e2で示すように、フィルタ64に滞留したトナーが重力により落下し、トナーが補給搬送路46を通って現像装置40の第2攪拌室44Aに供給される。本実施形態では、このようにして、吸引ポンプ62の吸引圧力を用いてトナーカートリッジ61からトナーを移送する。
補給装置60を用いたトナー補給における吸引ポンプ62の作動は、例えば、トナーカートリッジ61のトナー排出口61Bにおける気圧に基づいて制御すればよい。より具体的には、図2に示すようにトナー搬送路63のトナー排出口61B側の端部に圧力センサ66を設け、当該圧力センサ66によりトナー搬送路63内の気圧を測定する。圧力センサ66は、測定された気圧に応じた検知信号を図示しない制御装置に送信し、制御装置は、圧力センサ66が送信した検知信号と予め記憶装置等に保存されたマップ等とに基づいて、吸引ポンプ62のオン/オフ等の作動を制御する。
補給装置60によりトナー補給を行う際のトナー排出口61B及びトナー搬送路63の内部における気圧は、トナーの補給量によって異なるが、例えば0.1mPa以上0.5mPa以下であればよく、0.2mPa以上0.4mPa以下が好ましい。当該気圧が高過ぎると、トナーを搬送させる気体の流れが弱く、トナーの搬送に時間がかかり過ぎるおそれがあり、当該気圧が低過ぎると、トナーを搬送させる気体の流れが強く、トナー搬送量の制御が困難になるおそれがある。本実施形態に係る補給装置60において、圧力センサ66を設置する位置は図2に示す位置に限定されず、例えば、トナー搬送路63におけるトナー排出口61Bから離れた位置や、通気管65の内部、補給搬送路46の内部等であってもよい。また、吸引ポンプ62の作動の制御は、公知の方法で検出した現像装置40へのトナーの供給量に基づいて行ってもよい。
トナーカートリッジ61の袋体61Aは、少なくとも一部が柔軟な材料で構成される。当該柔軟な材料としては、例えば高分子材料が使用可能であり、具体的にはポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム、及び、これらの2種以上の組合せが挙げられる。袋体61Aは、柔軟性及び強度の観点から、ポリオレフィンで構成されることが好ましい。また、袋体61Aの膜厚は、材料によって適宜調整すればよいが、柔軟性及び強度の観点から、例えば0.03mm以上1.0mm以下であればよく、0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。なお、トナーカートリッジ61は、袋体61Aの保護や運搬及び保管の容易性等の観点から、袋体61Aを収容するケースを有していてもよい。
吸引ポンプ62は、従来公知のポンプであればいずれも使用でき、例えば、ロータリポンプ、ダイアフラム式ポンプ、水流式ポンプ、ドライポンプ等が挙げられる。トナー搬送路63は、図2に示すように分岐構造を有し、当該分岐構造から見て、側方に延びてトナーカートリッジ61に接続する区間と、上方に延びてフィルタ64及び通気管65に接続する区間と、下方に延びて補給搬送路46と接続する区間とを含む。図2に示す補給装置60では、フィルタ64から補給搬送路46に至るトナー搬送路63が鉛直方向に沿って延びることで、フィルタ64に滞留したトナーが補給搬送路46を介して現像装置40へと供給される。このフィルタ64から補給搬送路46に至るトナー搬送路63の形状は、重力によってトナーが下方に配置された現像装置40へと移動するものであれば特に制限されず、例えば、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
フィルタ64は、トナーを通過させない一方で、気体を通過させることにより、トナーと気体とを分離する機能を有する。フィルタ64は、そのような機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、細孔が多数形成された多孔性樹脂フィルムを用いることができる。多孔性樹脂フィルムの細孔の大きさは、例えば2μm以下であればよく、通気性の観点から0.1μm以上2μm以下が好ましい。このような多孔性樹脂フィルムを構成する材料としては、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。フィルタ64は、例えば、通気管65の内周面に接着剤を介して隙間無く貼り付けられる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100の画像形成プロセス(画像形成方法)について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置100では、まず、潜像保持体10が矢印aで示される方向に沿って回転すると、帯電装置20による帯電が開始される。帯電装置20によって表面が帯電した潜像保持体10は、露光装置30により露光され、表面に静電潜像が形成される。潜像保持体10における静電潜像の形成された部分が現像装置40に近づくと、現像装置40において、現像ロール42の表面に形成された現像剤による磁気ブラシが潜像保持体10に接触することで、静電潜像にトナーが付着し、トナー像が形成される。トナー像が形成された潜像保持体10が矢印aに方向にさらに回転すると、トナー像は中間転写体50の外側の面に転写される。トナー像が中間転写体50に転写された後、記録紙供給装置53から二次転写装置52に記録紙Pが供給され、中間転写体50に転写されたトナー像が、二次転写装置52によって記録紙P上に転写される。これにより、記録紙Pにトナー像が形成される。記録紙Pに形成されたトナー像は、定着装置80で定着される。
潜像保持体10上のトナー像が中間転写体50に転写された後、潜像保持体10の表面に残ったトナーや放電生成物が、クリーニング装置70のクリーニングブレード72により除去される。そして、クリーニング装置70において転写残のトナーや放電生成物が除去された潜像保持体10は、帯電装置20により再び帯電が施され、露光装置30において露光されて静電潜像が形成される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記構成に限られない。例えば、潜像保持体10の周囲であって、一次転写装置51よりも潜像保持体10の回転方向下流側でクリーニング装置70よりも潜像保持体10の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシ等で除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよい。また、クリーニング装置70よりも潜像保持体10の回転方向下流側で帯電装置20よりも潜像保持体10の回転方向上流側に、潜像保持体10の表面を除電する第2除電装置をさらに設けた形態であってもよい。
また、例えば、潜像保持体10に形成したトナー像を直接、記録紙Pに転写する方式を採用してもよいし、タンデム方式の画像形成装置を採用してもよい。
(トナー組成)
以下、本実施形態に係る画像形成装置100において静電潜像の現像に使用するトナーについて、説明する。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、トナーのテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定(GPC測定)によって得られる重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mwが10,000以上60,000以下であって、Mw/Mnが5以上10以下であり、なお且つ、赤外吸収分光法により得られるトナーの吸収スペクトルにおいて、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P1)が0.4以下であり、且つ、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)の比(P3/P1)が0.6以下であることを特徴とする。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有する。ポリエステル樹脂としては、公知のポリエステル樹脂が使用でき、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。また、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ポリエステル樹脂の原料となる多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましい。
多価カルボン酸として、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。本実施形態では、上述の特定の吸収スペクトルを有するトナーを製造する観点から、ポリエステル樹脂の原料となる多価アルコールとして、芳香族ジオールを使用せず、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールを使用することが好ましく、脂肪族ジオールを使用することが特に好ましい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求めることができ、例えばJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法により求めることができる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上500,000以下がより好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2,000以上100,000以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー株式会社製GPC・HLC−8120を用い、東ソー株式会社製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
ポリエステル樹脂は、公知の方法に従い、多価カルボン酸と多価アルコールとを重縮合反応させ、合成すればよい。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら、上記多価カルボン酸と上記多価アルコールとを反応させる方法が挙げられる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン類(スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
また、結着樹脂としては、ポリエステル樹脂及びビニル系樹脂の他、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を使用してもよい。
本実施形態において、結晶性樹脂の含有量は、トナーの全量に対して3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。結晶性樹脂を上記範囲の量で含有するトナーは、吸湿性が低く、高温高湿環境下におけるトナーカートリッジ内でのトナーの凝集や滞留が起こり難いためである。
本実施形態において、結晶性樹脂の「結晶性」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、吸熱ピークを有することを意味する。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所株式会社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−50型)を用いた示差走査熱量測定において、10℃/分の昇温速度で昇温した後、液体窒素で冷却し、再度10℃/分で昇温した際のオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに吸熱ピークであるとする。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の点及びベースラインからの立ち下がり部の平坦部の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点がオンセット点として自動接線処理システムにより求められる。一方、吸熱ピークではなく、階段状の吸熱量変化が認められる場合、その樹脂が「非晶性」であることを意味する。非晶性樹脂は、常温(20℃)では固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化する。また、非晶性樹脂は、示差走査熱量測定において、ガラス転移に対応した階段状の吸熱点の他に、結晶融点に対応した吸熱ピークを示さない。
本実施形態に係るトナーが含有する結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられる。なお、樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率により調整することができる。結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の原料となる多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。また、多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の原料となる多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、 多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、例えば50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば6,000以上35,000以下が好ましい。結晶性ポリエステル樹脂は、例えば非晶性ポリエステルと同様に、周知の製造方法により得られる。
結着樹脂の含有量は、例えば、トナー全体に対して、40質量%以上95質量%以下であればよく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るトナーは、必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤、シリカ粉末、金属酸化物等の他の添加剤を含有してもよい。これら添加剤は、結着樹脂に混練するなどして内添してもよいし、粒子としてトナーを得たのち混合処理を施すなどして外添してもよい。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の顔料が用いられ、必要に応じて、公知の染料を含んでもよい。具体的には、イエロー、マゼンタ、シアン、黒(ブラック)等の各顔料が用いられる。イエロー顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物等に代表される化合物が用いられる。マゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。シアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。ブラック顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が用いられる。着色剤の含有量は、例えばトナー全体に対して5質量%以上20質量%以下の範囲である。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」として求める。離型剤の含有量は、例えば、トナー全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナーに含まれる。
(トナーの製造方法)
本実施形態で用いるトナーを製造する方法は、特に制限はなく、例えば、粉砕トナー、液中乳化乾燥トナー、もしくは重合トナー等の公知の製造方法で製造したトナーを使用することができる。
例えば、結着樹脂、着色剤、他の添加剤等をヘンシェルミキサー等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー等で溶融混練した後、ドラムフレーカー等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナーが得られる。
また、結着樹脂、着色剤、他の添加剤を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウム等の分散安定剤が添加された水中に乳化、懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過、乾燥することによって液中乳化乾燥トナーが得られる。
また、結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)及び他の添加剤等を含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過、乾燥することによって重合トナーが得られる。
なお、トナーの製造に使用する各材料(結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等)の配合割合は、要求される特性、低温定着性、色等を考慮して設定すればよい。得られたトナーは、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で粉砕することにより本実施形態の液体現像剤用のトナーが得られる。
(トナーの特性)
本実施形態に係るトナーは、上述の通り、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に対して溶解させて得られる可溶分(以下「THF可溶分」とも記載する)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって得られる重量平均分子量をMwとし、数平均分子量をMnとしたとき、Mwが10,000以上60,000以下であって、且つ、MwのMnに対する比Mw/Mnが5以上10以下である。
THF可溶分のMwが10,000以上60,000以下にあるトナーは、THF可溶分のMwが10,000未満又は60,000を超えるトナーに比較して、定着性に優れる。THF可溶分のMwが10,000未満であると、ゲル分があってもトナー定着の際にホットオフセットが生じる可能性が高くなり、THF可溶分のMwが60,000を超えると、クリース最低定着温度(MFT)、即ちトナー画像が形成された基材を折り曲げたときにトナー画像が分離しなくなる温度が、高くなるためである。上記の観点から、THF可溶分のMwは25,000以上50,000以下であることが好ましい。
また、THF可溶分の比Mw/Mnが5以上10以下であるトナーは、THF可溶分の比Mw/Mnが5未満であるトナーに比較して、結着樹脂の製造における技術的難易度が低く、安価に製造できるという利点を有し、また、THF可溶分の比Mw/Mnが10を超えるトナーに比較して、定着温度に対する溶融性の差異が少なく、定着画像においてムラが生じ難く、定着画像の品質に優れる。上記の観点から、THF可溶分の比Mw/Mnは6以上8以下であることが好ましい。
トナー粒子のTHF可溶分の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC測定により次の通り測定する。まず、測定対象となるトナー粒子(又はトナー)0.5mgをTHF(テトラヒドロフラン)1gに溶解させ、超音波分散をかけた後に、濃度が0.5質量%となるように調整し、この溶解成分をGPCにより測定する。GPC装置として「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー株式会社製)」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHFを用いる。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI(RefrP3/P1tive Index)検出器を用いて実験を行う。また、検量線は東ソー株式会社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製する。
本実施形態に係るトナーは、上述の通り、赤外吸収分光法により得られるトナーの吸収スペクトル(以下「IRスペクトル」とも記載する)において、波数720cm−1付近のピーク吸収(P1)に対する波数820cm−1付近のピーク吸収(P2)の比(P2/P1)が0.4以下であり、0.3以下であることが好ましい。比(P2/P1)は、0.05以上であることが好ましく、0.08以上であることがより好ましい。また、本実施形態に係るトナーは、IRスペクトルにおいて、波数720cm−1付近のピーク吸収(P1)に対する波数1500cm−1付近のピーク吸収(P3)の比(P3/P1)が0.6以下であり、0.5以下であることが好ましい。比(P3/P1)は、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。IRスペクトルにおける比(P2/P1)及び比(P3/P1)が上記の範囲にあるトナーは、定着性がより一層優れるためである。さらに、IRスペクトルにおいて、比(P2/P1)が0.05以上であって、且つ、比(P3/P1)が0.2以上である場合、トナー粒子の保存性に優れたトナーが得られるため、より好ましい。
また、トナーのIRスペクトルにおいて、波数1500cm−1付近のピーク吸収(P3)に対する波数820cm−1付近のピーク吸収(P2)の比(P2/P3)が0.5以下であることが好ましく、当該比(P2/P3)が0.4以下であることがより好ましい。また、当該比(P2/P3)は、0.1以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましい。この比(P2/P3)が0.5を超えるとトナー粒子の強度が低下することがあり、0.1未満であると、トナー粒子の保存性が低下することがある。
赤外吸収分光法によるトナーの吸収スペクトルは、KBr粉末40mgに測定試料であるトナー0.2mg(0.5%濃度)を乳鉢で十分に粉砕混合した後に、加圧成型を行った試料を、フーリエ変換赤外分光装置(FTIR−410、日本分光株式会社製)を用いて測定することにより得られる。得られたトナーの吸収スペクトルにつき、下記の通り、各波数に現れた吸収ピークのピーク吸収(ピーク強度)を求める。
ここで、赤外吸収スペクトル分析による各波長の吸光度の測定は、次に示す方法により測定される。まず、測定対象となるトナー粒子(又はトナー)を、KBr錠剤法により測定試料を作製する。そして、測定試料に対して、赤外分光光度計(日本分光株式会社製:FT−IR−410)により、積算回数300回、分解能4cm−1の条件で、波数500cm−1以上4000cm−1以下の範囲を測定する。そして、吸収光の無いオフセット部分等でベースライン補正を実施して、各波長の吸光度を求める。なお、「720cm−1付近」、「820cm−1付近」、「1500cm−1付近」とは、それぞれ波数「720±20cm−1」、「820±20cm−1」、「1500±20cm−1」を指す。
ここで、720cm−1付近のピークは、脂肪鎖の炭素−水素結合(C−H結合)に基づく変角振動であり、ポリエステル樹脂が有する脂肪鎖に由来するピークである。820cm−1付近のピークは、芳香環の炭素−水素結合(C−H結合)に基づく面外変角振動であり、構成成分としてビスフェノールA等のビスフェノール誘導体を含有する場合に、ビスフェノールのベンゼン環の隣接水素に由来するピークである。1500cm−1付近のピークは、芳香環の炭素−炭素二重結合(C=C結合)に基づく伸縮振動であり、構成成分としてビスフェノールA等のビスフェノール誘導体を含有する場合に、ビスフェノールのベンゼン環に由来するピークである。赤外吸収スペクトルにおけるピークが上記条件を満たすトナーは、例えば、構成成分としてビスフェノールA等のビスフェノール誘導体を含有しない、またはビスフェノール誘導体の含有量がアルコール構成成分全体の5モル%以下であるものである。
図3に、トナーのIRスペクトルのチャートの一例を示す。図3において、本実施形態に係るトナーのIRスペクトルを下側に、本実施形態に含まれないトナーのIRスペクトルを上側に示す。図3中、波数720cm−1付近、820cm−1付近及び1500cm−1付近の各ピーク吸収が矢印により示されている。
トナーのIRスペクトルにおける各ピーク付近(P1、P2、P3)、ひいてはピーク吸収の比(P2/P1、P3/P1、P2/P3)の調整は、例えば、トナー中の結着樹脂として使用するポリエステル樹脂の合成において、芳香環を有する芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールの使用量を調整する方法が挙げられる。特に、上記の特定のピーク吸収の比を有する本実施形態のトナーを製造する方法としては、定着画像のわれ性の観点から、結着樹脂として含有するポリエステル樹脂が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の芳香族ジオールに由来する構成単位を含有しないことが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、トナーをトルエンに対して溶解させたときに溶け残る不溶分(以下「トルエン不溶分」とも記載する)が28%以上38%以下であることが好ましく、30%以上35%以下であることがより好ましい。トルエン不溶分が上記の範囲にあるトナーは、吸湿性が低く、高温高湿環境下におけるトナーカートリッジ内でのトナーの凝集や滞留が起こり難いためである。
ここで、トナー粒子のトルエン不溶分とは、トルエンに不溶なトナー粒子の構成成分である。つまり、トルエン不溶分は、トルエンに不溶な結着樹脂の成分(特に結着樹脂の高分子量成分)を主成分(例えば全体の50質量%以上)とした不溶分である。このトルエン不溶分は、トナー中に含まれる架橋樹脂の含有量の指標と言える。
トルエン不溶分は、次の方法により測定された値とする。秤量したガラス繊維製の円筒ろ紙に秤量したトナー粒子(又はトナー)を1g投入し、加熱式ソックスレー抽出装置の抽出管に装着する。そして、フラスコにトルエンを注入して、マントルヒーターを用いて110℃に加熱する。また、抽出管に装着した加熱ヒーターを用いて抽出管の周部を125℃に加熱する。抽出サイクルが4分以上5分以下の範囲で1回となるような還流速度で抽出を行う。10時間抽出した後、円筒ろ紙とトナー残渣を取り出して乾燥し、秤量する。
そして、式:トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)=[(円筒ろ紙量+トナー残渣量)(g)−円筒ろ紙量(g)]÷トナー粒子(又はトナー)質量(g)×100に基づいて、トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)を算出し、このトナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)をトルエン不溶分(質量%)とする。なお、トナー粒子(又はトナー)残渣は、着色剤、外添剤等の無機物、及び結着樹脂の高分子量成分等からなる。また、トナー粒子に離型剤を含む場合、加熱による抽出を行うことから、離型剤はトルエン可溶分となっている。
トナー粒子のトルエン不溶分は、例えば、結着樹脂において、(1)末端に反応性官能基を有する高分子成分に架橋剤を添加して架橋構造、または分岐構造を形成する方法、(2)末端にイオン性官能基を有する高分子成分に多価金属イオンにより架橋構造または分岐構造を形成する方法、(3)イソシアネートなどの処理による樹脂鎖長の延長、分岐を形成する方法等により調整される。
本実施形態に係るトナーの体積平均粒子径D50vは、例えば、1μm以上30μm以下であればよく、3μm以上20μm以下であることが好ましい。上記範囲内であることで、付着力が高くなり、現像性が向上し、また、画像の解像性も向上するためである。トナーの体積平均粒子径D50vとは、マルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒子径と定義される。
(現像剤)
本実施形態に係る現像剤は、上記のトナーを少なくとも含む。現像剤は、トナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電材料等、その他添加剤を含ませてもよい。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリアで1:100以上30:100以下の範囲であることが好ましく、3:100以上20:100以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置100の作用について説明する。画像形成装置100において静電潜像の現像に使用するトナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、THF可溶分の重量平均分子量Mwが25,000以上60,000以下であって、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが5以上10以下であり、且つ、特定のピーク高さの比を有するIRスペクトルを有する。このようなトナーは、定着性において優れる利点を有するものの、吸湿性が高く、凝集し易い性質を有する。図4に、従来使用されている、トナーを収容及び補給する装置の一例を示す。図4に示す補給装置90では、アジテータ91の回転によりトナーを排出口92にまで押し出して移送している。従来の補給装置90では、このようにアジテータ91がトナーと機械的に接触することでトナーが圧力を受け、圧縮されることにより、補給装置90の内部において上記トナーの凝集や滞留が起こり、時間毎のトナー補給量が大きく変動し(ばらつき)、排出安定性が低下するという課題があり、特に高温高湿環境下においてこのような排出安定性の低下が顕著であった。
それに対して、本実施形態に係る画像形成装置100では、上述の通り、少なくとも一部が柔軟な材料からなり、内部の気圧によって変形する袋体61Aを有するトナーカートリッジ61と、トナー搬送路63、フィルタ64及び通気管65を介してトナーカートリッジ61に連通している吸引ポンプ62とで構成された補給装置60を備える。本実施形態に係る補給装置60は、吸引ポンプ62の吸引圧力を用いてトナーカートリッジ61からトナーを移送することが可能になる。また、袋体61Aの内部の減圧に伴い、袋体61Aを構成する柔軟な材料が変形し、袋体61Aの内部が減容する。これにより、袋体61A内に収容されたトナーのトナー排出口61Bへの移送を支援することができる。これにより、本実施形態に係る画像形成装置100は、吸湿性が高く、凝集し易い性質を有する上記の特定のトナーを使用する場合であっても、アジテータ91等のトナーと機械的に接触する装置によりトナーを移送する従来の補給装置に比較して、トナーカートリッジ61内部でのトナーの滞留を抑制し、現像装置40へのトナーの補給量の変動を抑制し、トナーの排出安定性を向上させることができる。また、袋体61A内に収容されたトナーのトナー排出口61Bへの移送を支援してトナーの滞留を抑制することで、トナーカートリッジ61の交換時に残留する未使用トナーの量が低下する分、トナーカートリッジ61を出荷する際に袋体61Aが収容するトナー量を低減することができる。
なお、上記の説明では、補給装置60が現像装置40に補給用トナーを補給する態様を示したが、本実施形態に係る補給装置は、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤を現像装置に補給するものであってもよい。
以下、本実施形態の画像形成装置を実施例によって具体的に説明するが、これらの実施例によって限定されるものではない。また、以下において特に指定のない場合「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
<測定方法>
各樹脂及びトナーのTHF可溶分の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。トナーのTHF可溶分は、得られたトナー0.5mgをTHF1gに溶解させ、超音波分散をかけた後に、濃度が0.5%となるように調整し、得られた溶解成分をGPCにより測定した。測定装置として東ソー株式会社製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー株式会社製カラム・TSKgel SuperHM−M(6.0mmID×15cm)を使用し、溶離液としてTHFを用いた。重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出した。
トナーのIRスペクトルは、次の方法により測定した。KBr粉末40mgと、作製されたトナー0.2mg(0.5%濃度)とを乳鉢で十分に粉砕混合した後、加圧成型を行った。得られた試料につき、フーリエ変換赤外分光装置(FTIR−410、日本分光株式会社製)を用いて分析を行った。得られたIRスペクトルのチャートから、上述の方法により、波数720cm−1付近のピーク吸収(P1)、波数820cm−1付近のピーク吸収(P2)、波数1500cm−1付近のピーク吸収(P3)をそれぞれ算出した。
トナーのトルエン不溶分を、トナーをトルエンに入れて溶解せずに残った不溶分の重量を測定し、トルエンに入れる前のトナーに対する質量比として算出した。また、トナーの体積平均粒子径D50vを、マルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。
<非晶性ポリエステル樹脂(A1)の作製>
内部を乾燥させた三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル60部、フマル酸ジメチル74部、ドデセニルコハク酸無水物30部、トリメリット酸22部、プロピレングリコール138部、ジブチルスズオキサイド0.3部を加えた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、反応により生成された水を系外へ除去しながら、185℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら240℃まで温度を上げて、さらに4時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量Mwが39,000の非晶性ポリエステル樹脂(A1)を作製した。
<非晶性ポリエステル樹脂(A2)の作製>
190℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度を上げて、さらに2.5時間反応させた以外は非晶性ポリエステル樹脂(A1)と同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(A2)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂(A2)の重量平均分子量Mwは26,000であった。
<非晶性ポリエステル樹脂(A3)の作製>
プロピレングリコール138部の代わりに、プロピレングリコール128部、ブチレングリコール19部とし、195℃で4時間反応させた後、徐々に減圧しながら240℃まで温度を上げて、さらに6時間反応させた以外は非晶性ポリエステル樹脂(A1)と同様の方法で非晶性ポリエステル樹脂(A3)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂(A3)の重量平均分子量Mwは56,000であった。
<結晶性ポリエステル樹脂(B1)の作製>
内部を乾燥させた三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100部と、ヘキサンジオール67.8部と、ジブチルスズオキサイド0.10部とを加えた。窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、反応中に生成された水を系外へ除去しながら、185℃で5時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度を上げて、6時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が33,700の結晶性ポリエステル樹脂(B1)を作製した。
なお、この結晶性ポリエステル樹脂(B1)の融解温度を、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求めたところ、71℃であった。
<非晶性ポリエステル樹脂(A4)の作製>
テレフタル酸ジメチル60部、フマル酸ジメチル74部、ドデセニルコハク酸無水物30部、トリメリット酸22部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物137部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物191部、ジブチルスズオキサイド0.3部にした以外は非晶性ポリエステル樹脂(A1)と同様にして非晶性ポリエステル樹脂(A4)を作製した。非晶性ポリエステル樹脂(A4)の重量平均分子量Mwは27,000であった。
<トナー(1)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂(A1)73部と、結晶性ポリエステル樹脂(B1)6部と、着色剤(C.I.Pigment Red 122)7部と、離型剤として、パラフィンワックス(融解温度73℃、日本精鑞株式会社製)5部と、エステルワックス(ベヘン酸ベヘニル、ユニスターM−2222SL、日油社製)2部とを、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、周速15m/秒で5分間撹拌混合した後、得られた撹拌混合物をエクストルーダー型連続混練機で溶融混練した。ここで、エクストルーダー型連続混練機の設定条件は、供給側温度が160℃、排出側温度が130℃、冷却ロールの供給側温度が40℃、排出側温度が25℃であった。なお、冷却ベルトの温度を10℃に設定した。
得られた溶融混練物を冷却した後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を用いて体積平均粒子径が6.5μmになるように微粉砕し、さらにエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ−LABO)を用いて分級して、微粉、粗粉を除去し、トナー(1)を得た。トナー(1)の体積平均粒径は7.0μmであった。
トナー(1)のテトラヒドロフラン可溶分をGPCにより測定した結果、重量平均分子量Mwは37,000であり、数平均分子量Mnは5,000であった。これより、Mw/Mnは、7.4と算出された。トナー(1)のIRスペクトルより、720cm−1付近のピーク吸収(P1)に対する1500cm−1付近のピーク吸収(P3)の比(P3/P1)、720cm−1付近のピーク吸収(P1)に対する820cm−1付近のピーク吸収(P2)の比(P2/P1)、1500cm−1付近のピーク吸収(P3)に対する820cm−1付近のピーク吸収(P2)の比(P2/P3)を算出し、比(P3/P1)は0.5、比(P2/P1)は0.1、比(P2/P3)は0.3であった。また、トナー(1)のトルエン不溶分は34質量%であった。
<トナー(2)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂(A1)を非晶性ポリエステル樹脂(A2)に変更した以外はトナー(1)の作製と同様にしてトナー(2)を作製した。トナー(2)の体積平均粒径は6.8μmであった。トナー(2)の重量平均分子量Mwは25,000、数平均分子量Mnは3,000、Mw/Mnは8.3であった。トナー(2)の比(P3/P1)は0.6、比(P2/P1)は0.2、比(P2/P3)は0.3であった。また、トナー(2)のトルエン不溶分は28質量%であった。
<トナー(3)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂(A1)を非晶性ポリエステル樹脂(A3)に変更した以外はトナー(1)の作製と同様にしてトナー(3)を作製した。トナー(3)の体積平均粒径は7.5μmであった。トナー(3)の重量平均分子量Mwは60,000、数平均分子量Mnは8,500、ピーク分子量は11,000、Mw/Mnは7.1であった。トナー(3)の比(P3/P1)は0.5、比(P2/P1)は0.2、比(P2/P3)は0.4であった。また、トナー(3)のトルエン不溶分は38質量%であった。
<トナー(4)の作製>
トナー(4)の作製において結晶性樹脂を用いず、非晶性ポリエステル樹脂(A1)を79部に変更した以外はトナー(1)の作製と同様にしてトナー(4)を作製した。トナー(4)の体積平均粒径は7.1μmであった。トナー(4)の重量平均分子量Mwは39,000、数平均分子量Mnは4,500、ピーク分子量は9,800、Mw/Mnは8.7であった。トナー(4)の比(P3/P1)は0.6、比(P2/P1)は0.1、比(P2/P3)は0.3であった。また、トナー(4)のトルエン不溶分は33質量%であった。
<トナー(5)の作製>
非晶性ポリエステル樹脂(A1)を非晶性ポリエステル樹脂(A4)に変更した以外はトナー(4)の作製と同様にしてトナー(5)を作製した。トナー(5)の体積平均粒径は7.7μmであった。トナー(5)の重量平均分子量Mwは27,000、数平均分子量Mnは5,000、ピーク分子量は7,500、Mw/Mnは5.4であった。トナー(5)の比(P3/P1)は3.0、比(P2/P1)は1.7、比(P2/P3)は0.6であった。また、トナー(5)のトルエン不溶分は31質量%であった。
<キャリアの作製>
キャリアは、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100部と、トルエン14部と、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000)2部とを、まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダー(井上製作所製)に入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させ、その後105μmで篩分して得たものである。
<現像剤の作製>
上記で得られたトナー(1)〜(5)につき、各トナー8部とキャリア100部とを、2リットルのVブレンダーに入れて20分間撹拌した後、212μmの篩で篩分して、現像剤(1)〜(5)をそれぞれ作製した。
(実施例1)
<トナー補給試験>
本実施形態に係る補給装置60として、図2に示した、トナーカートリッジ61及び吸引ポンプ62を有する補給装置60を用いて、トナー補給試験を行った。トナーカートリッジ61は、ポリオレフィン樹脂製の袋体61Aを有しており、その膜厚は200μmであり、容積は1500mLであった。このような袋体61Aに500gのトナー(1)を仕込み、トナー排出口61Bを介してトナー搬送路63に接続した。吸引ポンプ62を使用し、吸引口を補給装置60の通気管65と接続した。トナー搬送路63と通気管65とを隔てるフィルタ64としては、グラスマイクロファイバーフィルター(Whatman社製「1821−025」)を用いた。
温度28℃、湿度85RH%の高温高湿環境下、上記の補給装置60を作動させ、トナー補給量を毎秒640mgに設定したときの、補給装置60からのトナー(1)の排出量を測定した。また、トナー補給量のばらつきを見るため、トナー(1)を100g、200g、300g及び400g排出したときの排出量に基づいて標準偏差σを求め、トナーの排出安定性を評価した。その結果、トナー補給量は662mg/秒であり、標準偏差σは48mg/秒であった。また、圧力センサ66を用いてトナー補給する際のトナー排出口61B及びトナー搬送路63の気圧を測定した結果、0.31mPaであった。
<定着性試験>
本実施形態に係る画像形成装置として、トナー補給試験に用いた補給装置60を搭載した富士ゼロックス株式会社製のDocuPrint700の改造機を用いて、試験画像を形成し、その定着性を評価した。画像形成装置の現像器には現像剤(1)を入れ、補給装置60のトナーカートリッジ61にはトナー(1)を入れた。温度28℃、湿度85RH%の高温高湿環境下、定着温度を180℃に、プロセススピードを220mm/秒に設定し、10枚の記録紙に対して、100%ベタのパッチの画像を形成した。10枚目の出力画像を目視により観察し、下記の評価基準に基づいて、トナー(1)の用紙への定着性を評価した。
[定着性評価基準]
○ : パッチ部のトナー剥がれなし、及び白紙部への再定着なし
△ : パッチ部のトナー剥がれなし、白紙部への軽微な再定着あり
× : パッチ部のトナー剥がれあり、白紙部への再定着あり
(実施例2〜4)
トナー(1)に換えてトナー(2)〜(4)のそれぞれを使用したこと以外は実施例1の方法に従い、トナー補給試験を行った。また、トナー(1)に換えてトナー(2)〜(4)のそれぞれを使用し、現像剤(1)に換えて現像剤(2)〜(4)のそれぞれを使用したこと以外は実施例1の方法に従い、定着性試験を行った。実施例2〜4のトナー補給試験及び定着性試験の結果を、表1に示す。
(実施例5)
トナー補給量を毎秒320mgに設定したこと以外は、実施例1の方法に従い、トナー補給試験及び定着性試験を行った。その結果、トナー補給量は320mg/秒であり、標準偏差σは21mg/秒であった。また、トナー排出口61B及びトナー搬送路63の気圧は0.21mPaと測定された。実施例5のトナー補給試験及び定着性試験の結果を、表1に示す。
(参考例1)
トナー(1)に換えてトナー(5)を使用したこと以外は実施例1の方法に従い、トナー補給試験を行った。また、トナー(1)に換えてトナー(5)を使用し、現像剤(1)に換えて現像剤(5)を使用したこと以外は実施例1の方法に従い、定着性試験を行った。トナー補給試験の結果、トナー補給量は658mg/秒であり、標準偏差σは51mg/秒であり、トナー排出口61B及びトナー搬送路63の気圧は0.29mPaと測定された。また、定着性試験の結果、評価は×であった。
(比較例1)
本実施形態に係る補給装置60に換えて、図4に示す補給装置90を使用すること以外は実施例1の方法に従い、トナー補給試験及び定着性評価試験を行った。比較例1で使用した補給装置90では、アジテータ91の回転によりトナーが排出口92まで移送され、排出口92から重力により現像装置40に搬送される。アジテータ91は、直径25mmの円筒部の外周面に1条の羽根部材を設けてなり、羽根部材の幅は5mmであり、羽根部材の回転軸方向のピッチ幅は20mmであった。比較例1のトナー補給試験では、補給装置90の内部に500gのトナー(1)を仕込み、温度28℃、湿度85RH%の高温高湿環境下、トナー補給量を毎秒640mgに設定して、トナー(1)の排出量を測定した。その結果、トナー補給量は648mg/秒であり、標準偏差σは122mg/秒であった。また、画像形成装置として、補給装置90を搭載した富士ゼロックス株式会社製のDocuPrint700の改造機を用いて、試験画像を形成し、実施例1の方法に従って定着性試験を行った。その結果、トナー(1)の用紙への定着性評価は○であった。
各実施例、参考例1、比較例1の結果を表1に示す。
Figure 2019168482
表1に示すように、本実施形態に係るトナーカートリッジ61及び吸引ポンプ62を有する補給装置60を使用することにより、高温高湿環境下において、吸湿性が高く、凝集し易い性質を有するトナーを使用する場合であっても、アジテータ91等のトナーと機械的に接触する装置によりトナーを移送する補給装置90に比較して、トナー補給量の変動が格段に抑えられ、トナーの排出安定性が向上していることが認められる。
10 潜像保持体、20 帯電装置、30 露光装置、40 現像装置、41 現像容器、41A 現像容器本体、41B 現像容器カバー、41C 仕切り壁、42 現像ロール、42A 現像ロール室、43 第1攪拌部材、43A 第1攪拌室、44 第2攪拌部材、44A 第2攪拌室、45 層厚規制部材、46 補給搬送路、50 中間転写体、50A,50B 支持ローラ、50C 背面ローラ、50D 駆動ローラ、51 一次転写装置、52 二次転写装置、53 記録紙供給装置、53A 搬送ローラ、53B 誘導板、54 中間転写体クリーニング装置、60,90 補給装置、61 トナーカートリッジ、61A 袋体、61B トナー排出口、62 吸引ポンプ、63 トナー搬送路、64 フィルタ、65 通気管、66 圧力センサ、70 クリーニング装置、71 筐体、72 クリーニングブレード、80 定着装置、81 定着ローラ、82 搬送体、91 アジテータ、92 排出口、100 画像形成装置、P 記録紙。

Claims (9)

  1. 潜像保持体に供給する現像剤を収容する現像装置と、
    トナーを収容する収容手段、及び、吸引圧力を用いて前記収容手段から前記トナーを移送して前記現像装置に補給する移送手段を有する補給装置と、を備え、
    前記収容手段は、少なくとも一部が柔軟な材料で構成され、内部の気圧によって変形する袋体を有し、
    前記トナーは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、
    前記トナーのテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定によって得られる重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとしたとき、Mwが25,000以上60,000以下であって、Mw/Mnが5以上10以下であり、
    赤外吸収分光法により得られた前記トナーの吸収スペクトルにおいて、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P1)が0.4以下であり、且つ、波数720cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P1)に対する波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)の比(P3/P1)が0.6以下である、
    画像形成装置。
  2. 前記比(P2/P1)が0.3以下であり、且つ、前記比(P3/P1)が0.5以下である、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記比(P2/P1)が0.05以上であり、且つ、前記比(P3/P1)が0.2以上である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 赤外吸収分光法により得られた前記トナーの吸収スペクトルにおいて、波数1500cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P3)に対する波数820cm−1にある吸収ピークのピーク高さ(P2)の比(P2/P3)が0.5以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記比(P2/P3)が0.4以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 前記袋体が高分子材料からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記袋体がポリオレフィンからなる、請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記袋体の膜厚が0.03mm以上1.0mm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記袋体から前記トナーが排出される排出口における気圧が0.1mPa以上0.5mPa以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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