JP2019167573A - Cu−Sn−Si系超弾性合金及びその製造方法 - Google Patents

Cu−Sn−Si系超弾性合金及びその製造方法 Download PDF

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【課題】安価な原料で製造可能であり、外力による変形に対して高い形状回復性を示す、高強度の超弾性合金を提供する。【解決手段】Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である、β相単相からなる、Cu−Sn−Si系超弾性合金。【選択図】図2

Description

本発明は、Cu−Sn−Si系超弾性合金及びその製造方法に関する。
従来から、形状記憶特性を有する合金として、Ni−Ti系合金、Cu−Sn系合金、Cu−Zn−Al系合金、Cu−Zn−Sn系合金、Cu−Al−Ni系合金、Cu−Al−Mn系合金等の様々な合金が知られている(例えば非特許文献1及び2を参照)。中でも、Ni−Ti系合金は、優れた形状記憶効果(SME)及び超弾性効果を示し、繰り返し寿命の点でも優れており、実用化が進んでいる。しかし、Ni−Ti系合金はTiを多量に含むため高価であるという問題がある。
一方、Cu−Sn系合金、Cu−Zn−Al系合金、Cu−Zn−Sn系合金、Cu−Al−Ni系合金、Cu−Al−Mn系合金等の銅合金は、Tiを含まないことから安価な原料で製造可能である。これらの銅系の形状記憶合金は、高温で安定なβ相(bccに関連する結晶構造を有する相)と呼ばれる母相を有し、この母相は合金元素が規則的な配列を有している。このβ相を急冷して準安定な状態で常温近辺とし更に冷却するとマルテンサイト変態を生じ、結晶構造が瞬時に変化する。合金は該マルテンサイト変態に起因して形状記憶効果ないし超弾性効果を呈する。しかしながら、上述したような銅合金は原料が安価であるがNi−Ti系合金ほど形状回復率が高くない。例えば、Cu−Sn系合金は外力による変形に対する回復率が小さく、強度も低い上、常温付近の比較的低温で放置すると変態温度が大幅に変わる等、特性の経時変化が大きいため、基礎的な研究以外に実用化への取り組みはされていない。
ところで、約500〜700℃の高温度域で逆変態する、応力誘起マルテンサイト変態を示す銅合金も提案されている。例えば、特許文献1(国際公開第2017/164395号)には、基本合金組成がCu100−(x+y)SnMn(式中、8≦x≦16及び2≦y≦10である)であり、Mnが固溶したβCuSn相を主相とし、該βCuSn相が熱処理あるいは加工によりマルテンサイト変態する、銅合金が開示されている。また、特許文献2(国際公開第2017/164396号)には、基本合金組成がCu100−(x+y)SnAl(式中、8≦x≦12及び8≦y≦9である)であり、Alが固溶したβCuSn相を主相とし、該βCuSn相が熱処理あるいは加工によりマルテンサイト変態する、銅合金が開示されている。これらの銅合金は、外力による変形に対して500〜800℃といった高温度域で高い回復率を示す。
国際公開第2017/164395号 国際公開第2017/164396号
田部井和彦著、「銅系形状記憶合金の材料特性と応用」、繊維機械学会誌、Vol.42, No.11 (1989), pp.587-593 C. M. Wayman著、唯木次男訳、「形状記憶合金の応用(Some Applications of Shape Memory Alloys)」、金属学会会報, 19 (1980), pp.323-332
しかしながら、特許文献1及び2に開示される銅合金は、常温での形状回復性の向上を狙ったものではなく、メガネフレーム、巻爪矯正クリップ、外反母指矯正器具等の常温で用いられる形状記憶製品には適したものではない。そこで、安価な原料で製造可能であり、外力による変形に対して常温で高い形状回復性を示す、高強度の超弾性合金が望まれる。
本発明者らは、今般、安価な原料であるCu、Sn及びSiを所定の組成で合金化してβ相単相とすることにより、外力による変形に対して常温で高い形状回復性を示す、高強度の超弾性合金を提供できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、安価な原料で製造可能であり、外力による変形に対して常温で高い形状回復性を示す、高強度の超弾性合金を提供することにある。
本発明の一態様によれば、Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である、β相単相からなる、Cu−Sn−Si系超弾性合金が提供される。
本発明の他の一態様によれば、前記Cu−Sn−Si系超弾性合金の製造方法であって、
Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である原料を溶解鋳造して、鋳造材を得る工程と、
前記鋳造材を均質化処理してβ相単相を形成させる工程と、
を含む、Cu−Sn−Si系超弾性合金の製造方法が提供される。
統合型熱力学計算システム(Thermo−Calc)により得られたCu−Sn−Si合金の3元系相平衡状態図である。 均質化処理後に水冷したCu−12.6Sn−2.1Si合金(例1)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に油冷したCu−12.6Sn−2.1Si合金(例2)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に水冷したCu−9.8Sn−4.5Si合金(例3)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に油冷したCu−9.8Sn−4.5Si合金(例4)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に水冷したCu−8.8Sn−5.7Si合金(例5)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に油冷したCu−8.8Sn−5.7Si合金(例6)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に水冷したCu−14.3Sn合金(例7)の応力−歪み曲線を示す図である。 均質化処理後に水冷した、Cu−12.6Sn−2.1Si合金(例1)、Cu−9.8Sn−4.5Si合金(例3)及びCu−8.8Sn−5.7Si合金(例5)のXRDプロファイルを示す図である。 均質化処理後に水冷したCu−12.6Sn−2.1Si合金(例1)及び均質化処理後に油冷したCu−12.6Sn−2.1Si合金(例2)のXRDプロファイルを示す図である。
Cu−Sn−Si系超弾性合金
本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は、β相単相からなる。そして、このβ相単相は、Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である。別の表現をすれば、この合金ないしβ相は、不可避不純物を除いた基本合金組成が原子数比でCu100−(x+y)SnSi(式中、9.0≦x≦15.0及び0.1≦y≦5.1である)である。このように安価な原料であるCu、Sn及びSiを所定の組成で合金化してβ相単相とすることにより、外力による変形に対して常温で高い形状回復性を示す、高強度の超弾性合金を提供することができる。
Siは、本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金において、塑性変形を抑制する機能をもたらす。本発明の超弾性合金におけるSi含有量は0.1〜5.1at%であり、好ましくは0.1〜4.1at%であり、さらに好ましくは1.1〜3.1at%、特に好ましくは1.6〜2.6at%、例えば2.1at%である。このようなSi含有量であると、β相単相が形成しやすく、その結果、常温での高い形状回復性を実現しやすくなる。また、残部としてのCu量が多くなるので、十分な導電率も確保することができる。
Snは、Cuとともに母相であるβCuSn相を形成することで形状記憶効果に寄与する。本発明の超弾性合金におけるSn含有量は9.0〜15.0at%であり、好ましくは10.6〜14.6at%であり、さらに好ましくは11.6〜13.6at%、特に好ましくは12.1〜13.1at%、例えば12.6at%である。このようなSn含有量であると、β相単相が形成しやすく、その結果、常温での高い形状回復性を実現しやすくなる。また、残部としてのCu量が多くなるので、十分な導電率も確保することができる。
したがって、本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は、Sn含有量が12.6at%であり、かつ、Si含有量が2.1at%であるのが特に好ましい。すなわち、不可避不純物を除いた基本合金組成が原子数比でCu85.3Sn12.6Si2.1であるのが特に好ましい。
本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は残部としてCu及び不可避不純物を含む。すなわち、本発明の超弾性合金はTiを含まない銅合金であり、それ故、高価なTiを多量に含むNi−Ti系合金よりも格段に安価な原料で製造することができる。不可避不純物の例としては、Fe、Pb、Bi、Cd、Sb、S、As、Se及びTeが挙げられる。不可避不純物の量は合計で0.5at%以下であることが好ましく、0.2at%以下がより好ましく、0.1at%以下がさらに好ましい。
本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は、β相単相からなる。この場合、β相単相は、Siが固溶したCu−Sn合金のβ相単相であるといえる。したがって、本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は、α相、δ相、ε相等の異相、又は他の成分を含まないことが望まれる。これらの異相の有無は、後述する実施例で述べるようなX線回折においてα相、δ相、ε相等の異相に由来するピークが検出されるか否かで決定することができる。もっとも、本発明によるCu−Sn−Si系超弾性合金のβ相由来の特性を劣化させない程度において、微量の異相又は他の成分を含んでいてもよい。
本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は、常温(室温ともいう、例えば25℃)で超弾性効果を呈することが可能である。例えば、後述する実施例で述べる3点曲げ試験において残留歪みが好ましくは2.0%以下、より好ましくは0.5%以下になるレベルの形状回復性を示す場合、超弾性効果を呈するとみなすことができる。
製造方法
本発明のCu−Sn−Si系超弾性合金は、以下に説明するように、溶解鋳造工程及び均質化工程を順次行うことにより製造することができる。
(1)溶解鋳造工程
まず、上述したCu−Sn−Si系超弾性合金の組成を与える原料を溶解鋳造して鋳造材を得る。すなわち、原料として、Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である原料、別の表現をすれば、不可避不純物を除いた基本合金組成が原子数比でCu100−(x+y)SnSi(式中、9.0≦x≦15.0及び0.1≦y≦5.1である)である原料を調合して用いればよい。Cu、Sn及びSiを含む原料は、Cu、Sn、Siの少なくともいずれかの金属単体を含むものであってもよいし、これらのうちの2種以上の合金を含むものであってもよい。原料の配合比は所望の合金組成に合わせて調整すればよい。溶解方法は特に限定されないが、高周波溶解法が高効率な点から好ましい。また、溶解方法は、工業的利用が可能な方法で酸化抑制がなされるのが好ましい。例えば、鋳造工程は、鋳造材の酸化を抑制すべく、窒素、Ar、真空等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
溶解鋳造においては、800〜1300℃の温度で原料を溶解させた後、該原料を800℃から400℃までの間を50〜500℃/秒の冷却速度で冷却するのが好ましい。冷却速度は、上記範囲内で可能な限り速い方が安定的なβ相を得る上で好ましい。冷却方法の例としては、空冷、油冷、水冷等が挙げられ、好ましくは水冷である。
(2)均質化工程
次に、鋳造材を均質化処理してβ相単相を形成させる。均質化処理は、鋳造材をβ相単相を形成可能な均質化温度で保持して均質化材を得ることにより行えばよい。均質化温度は、β相単相が安定的に析出する温度であれば特に限定されないが、典型的には650〜750℃であり、より典型的には680〜720℃である。加熱方法は特に限定されない。均質化時間は、好ましくは20分〜48時間であり、より好ましくは30分〜24時間である。均質化工程は、均質化材の酸化を抑制すべく、窒素、Ar、真空等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
均質化工程においては、鋳造材を上記均質化温度に保持した後、該鋳造材を水冷により急冷するのが好ましく、より好ましくは氷水で急冷される。したがって、冷却速度は、(油冷や空冷ではなく)水冷で実現できる程度に速いことが望まれ、好ましくは10〜1000℃/秒、より好ましくは100〜1000℃/秒である。このように急冷することで、母相βCuSn単相にSiが固溶されたβ相単相の組織を生成することができる。上記のように水冷又はそれに準ずる冷却速度で急冷することで、均質化材におけるα相、δ相ないしε相の析出を回避してβ相単相を生成しやすくなるととともに、均質化材が脆くなりにくくなり加工性が向上する。また、工業的利用が可能な大きさのインゴットを鋳造する際に、インゴット内部と外部との冷却速度差が生じて不均質な組織となることも回避できる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。なお、以下の説明において、Cu−xSn−ySi(式中、x及びyは任意の数である)なる組成表記は、Sn及びSiの各係数が各元素のat%を意味し、Cuが残部であることを意味する、すなわち原子比でCu100−x−ySnSiなる組成を意味するものとする。
例1
Cu−Sn−Si系合金を以下の手順により作製し、評価した。
(1)目標組成の決定
統合型熱力学計算システム(Thermo−Calc)を使用して、図1に示されるCu−Sn−Si合金の3元系相平衡状態図を計算的に作成した。Thermo−Calcは、CALPHAD法に基づく計算により相平衡状態図を作成するソフトであり、データベース上の実験パラメータを最小限使用して正則溶体近似を行うことで、ギブスエネルギー、組成及び温度の関係を導き、相平衡状態図を描くものである。得られた相平衡状態図を参照し、Cu−Sn−Si試料の700℃(973K)での構成相がβ相単相となる、Cu−12.6Sn−2.1Siを目標組成とした。
(2)試料作製
純Cu、純Sn及びCu−Si母合金を目標組成となるように秤量し、大気用高周波溶解炉でArガスを噴射しながら溶解鋳造した。溶解鋳造においては、1000〜1300℃の温度で原料を溶解させた後、該原料を800℃から400℃までの間を50〜500℃/秒の冷却速度で冷却した。こうして得られた試料を石英管に真空封入し、マッフル炉を用いて700℃(973K)で30分間保持することで、均質化処理(凝固による試料の鋳造組織を除去して試料を均質化する処理)を行った後、試料を氷水で急冷(水冷)した。水冷の冷却速度は500℃/秒程度と推定された。
(3)各種評価
得られた合金試料に対して以下の評価を行った。
<X線回折(XRD)>
合金試料の構成相を同定するため、X線回折装置(株式会社リガク製、SmartLab)にて、管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:50mA、測定範囲:10−90°、サンプリング幅:0.01°、測定速度:40°/分、入射スリット角度:1/3°、受光スリット1:20.0mm、及び受光スリット2:20.1mmの測定条件で試料をXRD解析して、図9及び10に示されるXRDプロファイルを得た。得られたXRDプロファイルにおいて、2θ=42°、61°及び77°の位置にβ相に由来する計3つのピークが検出される一方、上記3つのピーク以外のピーク(例えばα相、δ相、ε相等の異相に由来するピーク)は検出されなかった。このことから、本例の合金試料は表1に記されるとおりβ相単相であると同定された。
<3点曲げ試験>
合金試料の常温での形状回復性(超弾性)を評価するため、3点曲げ試験を常温で行った。まず、合金試料から、長さ30mm×幅5mm×厚さ0.3mmの試験片を切り出した。試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)内に設置された2つの支点(支点間距離20mm)上に試験片を載置した。試験片の中央(すなわち支点間の中心)に圧子を当てて負荷速度0.6mm/分で下向きに変位を与え、途中で上向きに方向を変更した。この間、応力−歪み曲線を連続的に記録して、図2に示される応力−歪み曲線を得た。得られた結果を、以下の基準で格付け評価したところ、表1に記されるとおり評価Aと判定された。
‐評価A:優れた形状回復を示し、残留歪みが1.0%未満であるもの
‐評価B:形状回復が劣り、残留歪みが1.0%以上であるもの
‐評価C:試験途中に試料が破断したもの
例2(比較)
均質化処理後、水冷の代わりに、シリコンオイルでの油冷を行ったこと以外、例1と同様にして試料の作製及び評価を行った。油冷の冷却速度は2℃/秒と推定された。結果は表1、図3及び10に示されるとおりであった。
例3(比較)
目標組成をCu−9.8Sn−4.5Siとしたこと以外、例1(水冷)と同様にして試料の作製及び評価を行った。結果は表1、図4及び9に示されるとおりであった。
例4(比較)
目標組成をCu−9.8Sn−4.5Siとしたこと以外、例2(油冷)と同様にして試料の作製及び評価を行った。結果は表1及び図5に示されるとおりであった。
例5(比較)
目標組成をCu−8.8Sn−5.7Siとしたこと以外、例1(水冷)と同様にして試料の作製及び評価を行った。結果は表1、図6及び9に示されるとおりであった。
例6(比較)
目標組成をCu−8.8Sn−5.7Siとしたこと以外、例2(油冷)と同様にして試料の作製及び評価を行った。結果は表1及び図7に示されるとおりであった。
例7(比較)
目標組成をCu−14.3Snとしたこと以外、例1(水冷)と同様にして試料の作製及び評価を行った。結果は表1及び図8に示されるとおりであった。
表1に示される結果から分かるように、Cu−12.6Sn−2.1Siの水冷品である例1の合金試料はβ相単相からなり、常温における優れた形状回復性(超弾性効果)を示した。一方、例3〜6のように例1の組成よりSi含有量が増えると、XRDプロファイルに不純物として示されるように、α相、δ相、ε相等の異相が析出し、β相単相でなくなり、結果的に優れた形状回復性(超弾性効果)を示さなかった。また、例1と同じ組成であっても、例2のように均質化処理後の冷却速度が油冷のように遅いと、β相主相の合金にα相、δ相、ε相等の異相が析出してβ相単相でなくなり、合金は脆く、優れた形状回復性(超弾性)を示さなかった。そのため、均質化処理後の冷却において、水冷(望ましくは氷水での水冷)程度の速い冷却速度が好ましいといえる。
また、図2に示される例1の合金試料(Cu−12.6Sn−2.1Siの水冷品)の応力−歪み曲線における応力最大値(約800MPa)は、図8に示される例7の合金試料(Cu−14.3Sn合金の水冷品)の応力−歪み曲線における応力最大値(約300MPa)よりもかなり高いことから、Cu−12.6Sn−2.1Siの水冷品である例1の合金試料は、従来のCu−Sn系合金よりも、格段に強度が高いことが分かる。また、図2及び図8の比較から、例1の合金試料は、例7の合金試料よりも形状回復性(超弾性)に優れることも分かる。

Claims (8)

  1. Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である、β相単相からなる、Cu−Sn−Si系超弾性合金。
  2. Sn含有量が10.6〜14.6at%であり、かつ、Si含有量が0.1〜4.1at%である、請求項1に記載のCu−Sn−Si系超弾性合金。
  3. Sn含有量が12.6at%であり、かつ、Si含有量が2.1at%である、請求項1又は2に記載のCu−Sn−Si系超弾性合金。
  4. 常温で超弾性効果を呈することが可能な、請求項1〜3のいずれか一項に記載のCu−Sn−Si系超弾性合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のCu−Sn−Si系超弾性合金の製造方法であって、
    Sn:9.0〜15.0at%及びSi:0.1〜5.1at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物である原料を溶解鋳造して、鋳造材を得る工程と、
    前記鋳造材を均質化処理してβ相単相を形成させる工程と、
    を含む、Cu−Sn−Si系超弾性合金の製造方法。
  6. 前記溶解鋳造が、800〜1300℃の温度で前記原料を溶解させた後、該原料を800℃から400℃までの間を50〜500℃/秒の冷却速度で冷却することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記均質化処理が、前記鋳造材を650〜750℃の温度に保持した後、該鋳造材を水冷により急冷することを含む、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記急冷が氷水を用いて行われる、請求項7に記載の方法。
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