JP2019167420A - 共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物、及びタイヤ - Google Patents

共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物、及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性と加工性のバランスに優れ、低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性のバランスにも優れている共役ジエン系重合体を得る。【解決手段】ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる分子量分布曲線において、共役ジエン系重合体由来のピークを少なくとも2つ有し、分子量曲線の前記ピークの中で、ピーク面積の大きい順で2つのピークにおいて、高分子量側のピークをピーク(A)、低分子量側のピークをピーク(B)とした場合に、ピーク(B)のピークトップ分子量が15万〜65万であり、ピーク(B)のピーク面積が、共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%とした場合に30%以上80%未満であり、ピーク(A)のピークトップにおける収縮因子g’(A)が0.97未満であり、ピーク(B)のピークトップにおける収縮因子g’(B)が0.86未満であり、g’(A)>g’(B)である、共役ジエン系重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物、及びタイヤに関する。
近年、二酸化炭素排出量の抑制等、環境に対する配慮が社会的要請となっている。具体的には自動車に対する低燃費化への要求が高まってきている。
このような現状から、自動車用タイヤ、特に地面と接するタイヤ卜レッドの材料として、転がり抵抗が小さい(低ヒステリシスロス)材料の開発が求められてきている。
一方、安全性の観点からは、ウェットスキッド抵抗に優れ、実用上十分な耐摩耗性を有する材料の開発が求められている。
これらの特性を実現するべく、従来から種々の共役ジエン系重合体が提案されている。例えば、自動車タイヤ用ゴムとして、共役ジエン系重合体の末端を、アミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物を用いて変性した共役ジエン系重合体が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
従来、タイヤ卜レッドの材料における補強性充填剤としては、カーボンブラック、シリカ等が使用されている。
シリカを用いると、低ヒステリシスロス性及びウェットスキッド抵抗性の向上を図ることができるという利点を有している。しかしながら、カーボンブラックの表面が疎水性であるのに対し、シリカの表面は親水性であるため、シリカと共役ジエン系重合体との親和性が低く、カーボンブラックに比較して分散性が悪いという欠点を有している。かかる観点から、シリカの分散性を改良させたり、シリカ−共役ジエン系ゴム間の結合付与を行ったりする目的で、別途シランカップリング剤等を含有させる必要がある。
近年、ゴム状重合体の活性末端に、シリカとの親和性や反応性を有する官能基を導入することによって、ゴム状重合体中におけるシリカの分散性を改良し、さらには、変性された重合末端部をシリカ粒子との結合で封じることによって、ヒステリシスロスを低減化する試みがなされている。
一方で、ゴム状重合体の重合開始末端に、カーボンブラックと親和性を有するアミノ基を導入することによって、運動性の高い重合開始末端をカーボンブラック上に捕捉し、これにより、ヒステリシスロスを低減化する技術が知られている。
また、ゴム状重合体の重合開始末端に、カーボンブラックと親和性を有するアミノ基を導入し、終了末端にアミノ基を含有するアルコキシシラン類を導入することによって、ゴム状重合体の末端がシリカとカーボンブラックの両方に捕捉される変性ゴム状重合体を得、当該変性ゴム状重合体を用いて製造した変性ゴム状重合体組成物において、より一層のヒステリシスロスを低減化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
さらに、自動車タイヤの用途に用いた場合に、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、実用上十分な耐摩耗性を有し、加工性にも優れている変性共役ジエン系重合体とその製造方法に関する技術として、特定の構造を有し、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物及び有機リチウム化合物を含む重合開始剤を用い、まず共役ジエン化合物、又は共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る重合工程を実施し、次に前記共役ジエン系重合体に、特定構造の化合物を反応させる変性工程を実施することにより変性共役ジエン系重合体を得る、変性共役ジエン系重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−131230号公報 国際公開第2013/035589号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載されている変性ゴム状重合体組成物は、重合体の両末端に官能基を導入することによりヒステリシスロスの低減効果が見られるものの、混練り中に変性した重合体の分子鎖の末端の変性基とシリカ等の無機充填剤との反応が進行して粘度が上昇し、混練りが困難になったり、混練り後にシートに加工する際の肌荒れやシートの切れが生じやすくなったりする等、加工性が悪化する傾向にあるという問題を有している。
また、特許文献2に記載されている変性共役ジエン系重合体の製造方法においては、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れた変性共役ジエン系重合体を安定的に得るためには、未だ改善すべき余地があるという問題を有している。
すなわち、従来から、省燃費性能の向上を目指して、共役ジエン系重合体に種々の変性基を導入する技術が提案されており、省燃費性能については一定の効果は得られているものの、他方で加工性の悪化等の問題が生じている。
タイヤを製造する際に、変性共役ジエン系重合体にシリカ等の充填剤を配合する場合、変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度が高いと、混練り時に均一に応力がかからず、うまく混練りできず、シリカ等の充填剤の分散性が悪化し、加工性が悪化する。これに対し、低分子量成分を増やせば、加工性を改善する効果が得られるが、耐摩耗性の低下や、変性基濃度が下がるため省燃費性能の低下を招来するという問題を生じる。
したがって、変性剤の変更や単純な分子量の設定という従来提案されている方法では、省燃費性能に優れ、かつ耐摩耗性と加工性が両立している変性共役ジエン系重合体が得られていないという問題を有している。
そこで本発明においては、上記従来技術の問題点に鑑み、自動車タイヤの用途に用いた場合に、耐摩耗性と加工性のバランスに優れ、かつ低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性のバランスにも優れている共役ジエン系重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記従来技術の課題を解決するために鋭意研究検討した結果、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる分子量分布曲線において、共役ジエン系重合体由来のピークを少なくとも2つ有し、これらのピークが所定のピーク分子量、ピーク面積を有し、かつ各ピークのピークトップにおける収縮因子を所定の値に特定した共役ジエン系重合体が、上記従来技術の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる分子量分布曲線において、共役ジエン系重合体由来のピークを少なくとも2つ有し、
前記分子量曲線の前記ピークの中で、ピーク面積の大きい順で2つのピークにおいて、
高分子量側のピークをピーク(A)、
低分子量側のピークをピーク(B)とした場合に、
前記ピーク(B)のピークトップ分子量が15万〜65万であり、
前記ピーク(B)のピーク面積が、共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%とした場合に30%以上80%未満であり、
前記ピーク(A)のピークトップにおける収縮因子g’(A)が0.97未満であり、
前記ピーク(B)のピークトップにおける収縮因子g’(B)が0.86未満であり、
g’(A)>g’(B)である、共役ジエン系重合体。
〔2〕
前記ピーク(B)のピーク面積が、共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%とした場合に40%以上80%未満である、前記〔1〕に記載の共役ジエン系重合体。
〔3〕
前記ピーク(B)のピーク面積>前記ピーク(A)のピーク面積である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の共役ジエン系重合体。
〔4〕
前記ピーク(A)のピークトップ分子量が、前記ピーク(B)のピークトップ分子量の1.1倍〜5倍である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体。
〔5〕
前記分子量分布曲線において、低分子量側から面積が5%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率が60%〜99%である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体。
〔6〕
前記分子量分布曲線において、低分子量側から面積が40%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率が90%〜99%である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体。
〔7〕
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の共役ジエン系重合体を含むゴム組成物100質量部と、
補強充填剤1質量部〜150質量部と、
加硫剤及び加硫促進剤を合計0.1質量部〜20質量部と、
を、含む、共役ジエン系重合体組成物。
〔8〕
前記〔7〕に記載の共役ジエン系重合体組成物を含むタイヤ。
本発明によれば、耐摩耗性と加工性のバランスに優れ、さらには低ヒステリシスロス性とウェットグリップ性のバランスにも優れている共役ジエン系重合体が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
〔共役ジエン系重合体〕
本実施形態の共役ジエン系重合体は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる分子量分布曲線において、共役ジエン系重合体由来のピークを少なくとも2つ有し、
前記分子量曲線の前記ピークの中で、ピーク面積の大きい順で2つのピークにおいて、
高分子量側のピークをピーク(A)、
低分子量側のピークをピーク(B)とした場合に、
前記ピーク(B)のピークトップ分子量が15万〜65万であり、
前記ピーク(B)のピーク面積が、共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%とした場合に30%以上80%未満であり、
前記ピーク(A)のピークトップにおける収縮因子g’(A)が0.97未満であり、
前記ピーク(B)のピークトップにおける収縮因子g’(B)が0.86未満であり、
g’(A)>g’(B)である。
本実施形態の共役ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる分子量分布曲線において、共役ジエン系重合体由来のピークを少なくとも2つ有する。
本実施形態における、分子量分布曲線のピークとは、GPC測定によって得られる分子量分布曲線の全面積を100%とした際に、1.0%以上の面積を有し、ピークトップを有するものを指す。
なお、各ピークのピーク面積を算出する際に、ピークが重なっている場合には、ピーク間に存在する極小値をとる点から下方に垂線を引いて、ピークを分割し、各ピークの面積を計算することとする。
ピークトップとは、ベースラインもしくは極小値に挟まれた極大値をとる点である。
本実施形態の共役ジエン系重合体におけるピークの数は、2つ以上であることでコールドフロー(成型したゴムが室温で流れ出し、変形する現象)を抑制し、かつ加工性と耐摩耗性のバランスに優れる。
また、重合の再現性の観点から4つ以下であることが好ましく、3つ以下であることがより好ましい。重合の再現性とは、重合を同条件にて複数回行った際に得られる共役ジエン系重合体の再現性を指す。ピーク数が多いほど、カップリング剤添加回数等の手順が増え、重合作業が煩雑になり、生産性が低くなる。
また、共役ジエン系重合体のピークの中で面積の大きい順で、2つのピークを選定し、高分子量側のピークをピーク(A)、低分子量側のピークをピーク(B)とした場合に、ピーク(B)のピークトップ分子量は、充填剤の分散性や耐摩耗性の観点から15万〜65万である。下限は17万以上であることが好ましく、20万以上であることがより好ましく、上限は63万以下であることが好ましく、60万以下であることがより好ましい。
さらには、加工性と耐摩耗性のバランスの観点から、ピーク(A)のピークトップ分子量がピーク(B)のピークトップ分子量の1.1倍〜5倍であることが好ましく、1.3倍〜4倍であることがより好ましく、1.5倍〜3倍であることがさらに好ましい。
前記分子量分布曲線の共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%としたとき、加工性と耐摩耗性のバランスの観点から、前記ピーク(B)のピーク面積は30%以上80%未満であり、35%以上80%未満であることが好ましく、40%以上80%未満であることがさらに好ましい。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、耐摩耗性や製造工程における乾燥性の観点から25万以上200万未満であることが好ましく、30万以上150万未満であることがより好ましく、35万以上120万未満であることがさらに好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体由来のピークの数や、各ピークのピークトップ分子量、重量平均分子量、及び各ピークの面積は、GPC測定装置を使用して、RI検出器を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体由来のピーク数や、各ピークのピークトップ分子量、及び各ピークのピーク面積は、以下に限定されないが、例えば、重合開始剤の添加量やカップリング剤の種類、添加量等を調整する方法や、又は異なるピーク分子量を有する重合体2種以上を混合する方法により制御できる。
本実施形態の共役ジエン系重合体においては、前記ピーク(B)のピーク面積と、前記ピーク(A)のピーク面積とが、前記ピーク(B)のピーク面積>前記ピーク(A)のピーク面積であることが加工性と低ヒステリシスロス性の観点から好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体においては、低ヒステリシスロス性の観点から、前記分子量分布曲線において、低分子量側から面積が5%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率が60%〜99%であることが好ましい。より好ましくは63〜99%であり、さらに好ましくは65〜99%である。
また、低分子量側から面積が5%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率は、重合開始剤の種類、カップリング剤の種類やカップリング剤の添加量により上記数値範囲に制御することができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体においては、耐摩耗性と低ヒステリシスロス性の観点から、前記分子量分布曲線において、低分子量側から面積が40%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率が90%〜99%であることが好ましい。より好ましくは92〜99%であり、さらに好ましくは93〜99%である。
また、低分子量側から面積が40%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率は、重合開始剤の種類、カップリング剤の種類やカップリング剤の添加量により上記数値範囲に制御することができる。
(共役ジエン系重合体鎖と分岐構造)
本実施形態の共役ジエン系重合体の前記ピーク(A)及びピーク(B)に含まれている共役ジエン系重合体は、3分子以上の共役ジエン系重合体鎖が変性剤残基に結合する3分岐以上の分岐構造を有していることが好ましい。
3分岐以上の分岐構造を有することで、加硫物とした際に特に優れた低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス及び耐摩耗性と実用上十分な破壊特性とを得ることができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体が、3分岐以上分岐構造を有する場合、当該共役ジエン系重合体は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定により求められる収縮因子(g’)が0.97以下となる傾向にある。
収縮因子が低い場合は、より分岐が多い傾向にある。
収縮因子は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体におけるピーク(A)のピークトップにおける収縮因子g’(A)は、耐摩耗性と加工性のバランスの観点から0.97未満であり、好ましくは0.95未満であり、より好ましくは0.91未満である。下限値は、引張強度の観点から0.60以上が好ましい。
本実施形態の共役ジエン系重合体におけるピーク(B)のピークトップにおける収縮因子g’(B)は、低ヒステリシスロスの観点から0.86未満であり、好ましくは0.84未満であり、より好ましくは0.82未満である。下限値は、耐摩耗性と引張強度の観点から0.50以上が好ましい。
3分岐以上の共役ジエン系重合体を得るには、カップリング剤の種類や添加量を調整することにより制御することができる。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体は、加工性の観点からg’(A)>g’(B)である。
ピーク(A)に比べピーク(B)の方が、共役ジエン系重合体の分岐が多いものとすることにより、加工性がより優れたものとなる。
各ピークの収縮因子は、カップリング剤の添加タイミングや添加量、もしくは高分岐の低分子量成分と低分岐の高分子量成分の混合等により上記数値範囲に制御することができる。
〔共役ジエン系重合体の製造方法〕
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法は、共役ジエン化合物単量体を用いて重合反応を実施する工程と、カップリング剤を用いてカップリング反応を実施する工程を有する。
(重合単量体)
重合工程で用いる重合単量体としては、共役ジエン化合物、及びこれと重合可能な単量体化合物が挙げられる。例えば芳香族ビニル化合物が挙げられる。
<共役ジエン化合物>
共役ジエン化合物としては、特に限定されず、重合可能な単量体であればよく、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<芳香族ビニル化合物>
芳香族ビニル化合物としては、特に限定されず、共役ジエン化合物と共重合可能な単量体であればよく、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体は、単量体として単一の共役ジエン化合物を用いた重合体であってもよく、異なる種類の共役ジエン化合物を用いた共重合体であってもよく、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いた共重合体であってもよい。
(重合開始剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法では、重合反応を実施する工程において、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物及び有機リチウム化合物を含む、所定の重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤は、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を含んでいるものが好ましく、窒素を有さない有機リチウム化合物を含んでいてもよい。
分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物としては、例えば下記式(1)又は(2)で表されるものが挙げられ、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は予め所定の反応器で調製してもおいてもよく、後述する共重合と同時、もしくはその前に、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物と有機リチウムを反応させて調製してもよい。
<分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物>
分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物としては、下記式(1)、(2)で表される化合物を用いることができる。
前記式(1)中、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び、炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選択されるいずれかである。
1及びR2は、結合して、隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR1及びR2は、合計の炭素数が4〜12の炭化水素基であって、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
前記式(2)中、R1及びR2は、前記式(1)におけるR1及びR2と同様であり、R3は、炭素数1〜20のアルキレン基、又は、下記式(3)〜(5)のいずれかである。
なお、前記R3が炭素数1〜20のアルキレン基の場合は、Xは、Cl、Br、Iのいずれかであり、前記R3が下記式(3)〜(5)のいずれかの場合は、Xは水素原子である。
重合工程で得られる共役ジエン系重合体は、単一の共役ジエン化合物の重合体又は異なる種類の共役ジエン化合物の共重合体であってもよく、また、共役ジエン化合物と当該共役ジエン化合物に共重合可能な化合物との共重合体であってもよい。
例えば、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体が挙げられる。
重合工程においては、前記式(1)又は(2)で表される、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物及び有機リチウム化合物を含む重合開始剤を用いることが好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる。
重合開始剤は、前記式(1)、(2)に示す分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物と有機リチウム化合物とを反応することによって得られる、下記式(7)又は(8)で表される、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を含んでいることが好ましく、窒素を有さない有機リチウム化合物を含んでいてもよい。
下記式(7)又は(8)で表される、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は予め所定の反応器で調製しておいてもよいし、重合又は共重合を行うための反応器中に分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物と有機リチウムを供給し、単量体の重合又は共重合と同時、もしくはその前に、反応させてもよい。
共役ジエン系重合体の形態としては、前記式(1)又は(2)で表される化合物由来の構造を分子末端に有する重合鎖の比率が60質量%〜99質量%となるようにすることが好ましい。
このような形態の共役ジエン系重合体を得るためには、有機リチウム化合物と分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物との比率を、有機リチウム化合物に対して分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物が等モルとなるように添加することが好ましい。
有機リチウム化合物は、通常、溶媒に溶解した溶液として使用され、かかる溶媒中の不純物や原料であるモノマー中の不純物の影響で実際に添加された有機リチウム化合物の一部は活性がない。そのため、活性有機リチウムに対して、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物が等モルとなるように、実際に添加される有機リチウム化合物1モルあたり、式(1)又は(2)で表される分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する化合物を0.6〜1.0モル添加することが好ましい。
<式(1)又は式(2)で表される化合物>
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法においては、上述したように、重合開始剤として、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物であり、前記式(1)、(2)の化合物と有機リチウム化合物とを反応させた、下記の式(7)及び式(8)で表される化合物を用いることが、ヒステリシスロス低減の観点で好ましい。
前記式(1)及び(2)中、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選択されるいずれかである。
前記式(1)におけるR1及びR2基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、3−フェニル−1−プロピル、イソブチル、デシル、へプチル、フェニル等が挙げられる。
前記式(1)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘプチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルベンジルアミン、メチルフェネチルアミン等が挙げられ、前記式(1)の条件を満たせば、これらの類似物を含む。
前記式(1)で表される化合物は、後述する共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減や、不快臭の低減の観点から、ジブチルアミン、ジヘキシルアミンが好ましく、ジブチルアミンがより好ましい。
また、前記式(1)中、R1及びR2は、結合して、隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR1及びR2は、合計で炭素数4〜12の炭化水素基であって、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
1及びR2が、結合している場合に、前記式(1)で表される化合物としては、例えば、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、アザシクロオクタン、1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、3,5−ジメチルピペリジン等が挙げられ、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
前記式(1)で表される化合物は、後述する共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減や、後述する共役ジエン系重合体の不快臭の低減の観点から、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、アザシクロオクタン、1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、3,5−ジメチルピペリジンが好ましく、ピペリジン、ヘキサメチレンイミン、3,5−ジメチルピペリジンがより好ましい。
前記式(2)中、R1及びR2の定義は、前記式(1)におけるR1及びR2と同じである。
3は、炭素数1〜20のアルキレン基、又は、前記式(3)〜(5)のいずれかである。
ただし、前記R3が炭素数1〜20のアルキレン基の場合は、Xは、Cl、Br、Iのいずれかであり、前記R3が式(3)〜(5)のいずれかの場合は、Xは水素原子である。
前記式(2)で表される化合物は、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、R3の炭素数は2〜16であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。
3が炭素数1〜20のアルキレン基の場合、前記式(2)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3−クロロ−ジメチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−ジエチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−ジブチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−ジプロピルプロパン−1−アミン、3−クロロ−ジヘプチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−ジヘキシルプロパン−1−アミン、3−クロロプロピル−エチルヘキサン−1−アミン、3−クロロ−ジデシルプロパン−1−アミン、3−クロロ−エチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−エチルブタン−1−アミン、3−クロロ−エチルプロパン−1−アミン、ベンジル−3−クロロ−エチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−エチルフェネチルプロパン−1−アミン、3−クロロ−メチルフェネチルプロパン−1−アミン、1−(3−クロロプロピル)ピペリジン、1−(3−クロロプロピル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロプロピル)アザシクロオクタン、6−(3−クロロプロピル)−1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−(3−クロロプロピル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1−(3−ブロモプロピル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−ヨードプロピル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロブチル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロペンチル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロヘキシル)ヘキサメチレンイミン、1−(3−クロロデシル)ヘキサメチレンイミン等が挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、前記式(2)で表される化合物としては、3−クロロ−ジブチルプロパン−1−アミン、1−(3−クロロプロピル)ヘキサメチレンイミンが好ましく、より好ましくは1−(3−クロロプロピル)ピペリジン、1−(3−クロロプロピル)ヘキサメチレンイミンである。
3が前記式(3)〜(5)のいずれかの場合、前記式(2)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジエチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジブチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジプロピル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへプチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジヘキシル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジオクチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−(ジ−2−エチルヘキシル)−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジデシル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−エチルプロピル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−エチルフチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−エチルベンジル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−メチルフェネチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジメチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジエチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジブチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジプロピル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへプチル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジヘキシル−2−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジメチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジエチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジブチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジプロピル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジへプチル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、N,N−ジヘキシル−3−メチル−2−ブテニル−1−アミン、1−(2−ブテニル)ピペリジン、1−(2−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、1−(2−ブテニル)アザシクロオクタン、6−(2−ブテニル)−1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−(2−ブテニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、(2−メチル−2−ブテニル)ヘキサメチレンイミン、(3−メチル−2−ブテニル)ヘキサメチレンイミン等が挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
後述する共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、前記式(2)で表される化合物は、N,N−ジブチル−2−ブテニル−1−アミン、1−(2−ブテニル)ヘキサメチレンイミンが好ましく、より好ましくは1−(2−ブテニル)ピペリジン、1−(2−ブテニル)ヘキサメチレンイミンである。
<有機リチウム化合物>
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法において、重合開始剤に含まれる有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム等が挙げられる。
<分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物>
重合開始剤としては、前記式(1)又は(2)で表される化合物と有機リチウム化合物とを反応させて得られる、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物を用いることが好ましい。
この化合物、は、式(1)又は(2)で表される化合物の存在下、所定の有機リチウム化合物を添加し、反応させることにより製造できる。
前記分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物が、重合単量体と反応することにより重合が開始する。
前記分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物としては、アニオン重合可能なものであれば特に制限されず、下記式(7)、式(8)で表される化合物を用いることができる。
上記式(7)中、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選択されるいずれかである。
1及びR2には、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、シクロプロピル、シクロヘキシル、3−フェニル−1−フロピル、イソブチル、デシル、ヘフチル、フェニル等の各基が含まれる。
前記式(7)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム、ジブチルアミノリチウム、ジフロピルアミノリチウム、ジヘフチルアミノリチウム、ジヘキシルアミノリチウム、ジオクチルアミノリチウム、ジ−2−エチルヘキシルアミノリチウム、ジデシルアミノリチウム、エチルプロピルアミノリチウム、エチルブチルアミノリチウム、エチルベンジルアミノリチウム、メチルフェネチルアミノリチウムが挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
溶媒への可溶性や、後述する共役ジエン系重合体組成物のヒステリシスロス低減の観点から、式(7)で表される化合物としては、ジブチルアミノリチウム、ジヘキシルアミノリチウムが好ましい。より好ましくはジブチルアミンである。
前記式(7)中、R1及びR2は、結合して、隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合のR1とR2は、合計で炭素数4〜12の炭化水素基であって、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
1及びR2が結合している場合に、前記式(7)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピペリジノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウム、リチウムアザシクロオクタン、リチウム−1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジノリチウム、3,5−ジメチルピペリジノリチウム等が挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
重合開始剤の溶媒への可溶性や、後述する共役ジエン系重合体の不快臭の低減の観点から、前記式(7)で表される化合物としては、ピペリジノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウム、リチウムアザシクロオクタン、リチウム−1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、3,5−ジメチルピペリジノリチウムが好ましく、ピペリジノリチウム、ヘキサメチレンイミノリチウム、3,5−ジメチルピペリジノリチウムがより好ましい。
前記式(8)中、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよく、炭素数2〜12のアルキル基、炭素数8〜14のシクロアルキル基、及び炭素数6〜20のアラルキル基からなる群より選択されるいずれかである。R3は炭素数1〜20のアルキレン基、又は下記式(3)〜(5)のいずれかで表される。
前記式(8)中、R3が、炭素数1〜20のアルキレン基の場合、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、R3の炭素数は2〜16が好ましく、より好ましくは3〜10である。
3が、炭素数1〜20のアルキレン基の場合、前記式(8)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(3−(ジメチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジエチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジプロピルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジペンチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジヘキシルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジオクチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(エチルヘキシルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(ジデシルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(エチルプロピルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(エチルブチルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(エチルベンジルアミノ)−プロピル)リチウム、(3−(メチルフェネチルアミノ)−プロピル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−ブチル)リチウム、(5−(ジブチルアミノ)−ペンチル)リチウム、(6−(ジブチルアミノ)−ヘキシル)リチウム、(10−(ジブチルアミノ)−デシル)リチウムが挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
前記式(8)で表される化合物の中でも、カーボン、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、(3−(ジブチルアミノ)−プロピル)リチウムがより好ましい。
3が、前記式(3)〜(5)で表されるいずれかの場合、前記式(8)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(4−(ジメチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジプロピルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへプチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジヘキシルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジオクチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジ−2−エチルヘキシルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジデシルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(エチルプロピルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(エチルブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(エチルベンジルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(メチルフェネチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジメチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジプロピルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへプチルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジヘキシルアミノ)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジメチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジプロピルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジへプチルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジヘキシルアミノ)−3−メチル−2−ブテニル)リチウムが挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
重合開始剤としての反応性の観点から、(4−(ジメチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジエチルアミノ)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ジブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウムが好ましく、(4−(ジブチルアミノ)−2−ブテニル)リチウムがより好ましい。
前記式(8)において、R1及びR2は、結合して隣接した窒素原子とともに環状構造を形成していてもよく、その場合はR1とR2の合計で炭素数4〜12の炭化水素基であって、不飽和結合を有していても、分岐構造を有していてもよい。
1及びR2が結合している場合、前記式(8)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(3−(ピペリジニル)プロピル)リチウム、(3−(ヘキサメチンレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(へプタメチレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(オクタメチレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)プロピル)リチウム、(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)プロピル)リチウム、(2−(ヘキサメチンレンイミニル)エチル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)ブチル)リチウム、(5−(ヘキサメチンレンイミニル)ペンチル)リチウム、(6−(ヘキサメチンレンイミニル)ヘキシル)リチウム、(10−(ヘキサメチンレンイミニル)デシル)リチウム、(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘプタメチレンイミニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(オクタメチレンイミニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(1,3,3−卜リメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−メチル−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−3−メチル−2−ブテニル)リチウムが挙げられ、上記条件を満たせば、これらの類似物を含む。
カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点から、前記式(8)で表される化合物としては、(3−(ピペリジニル)プロピル)リチウム、(3−(ヘキサメチンレンイミニル)プロピル)リチウム、(3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル)プロピル)リチウム、(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−ブテニル)リチウムが好ましく、(3−(ピペリジニル)プロピル)リチウム、(4−(ピペリジニル)−2−ブテニル)リチウム、(3−(ヘキサメチンレンイミニル)プロピル)リチウム、(4−(ヘキサメチンレンイミニル)−2−ブテニル)リチウムがより好ましい。
前記式(7)又は式(8)で表される、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は、上述した重合工程の前に予め調製しておいてもよく、調製方法は、従来公知の方法を適用できる。
前記式(8)で表される有機リチウム化合物は、R3が、炭素数1〜20のアルキレン基である場合、例えば、前記式(1)で表される化合物と有機リチウム化合物とを炭化水素溶媒中で反応させ、リチウムアミド化合物を調製し、これに下記式(9)で表されるジハロゲン化アルキルを反応させ、更に有機リチウム化合物を反応させることにより得られる。
前記式(9)中、X1、X2は、I,Br,Clのいずれかのハロゲン原子であり、互いに異なる。
1、X2が、互いに異なるハロゲン原子であることにより、反応性に差をもたせることができ、当該反応性の差を利用して、先ず反応性が高い方のハロゲンとリチウムアミド化合物とを反応させ、次に、残った方のハロゲンと有機リチウム化合物とを反応させることにより、前記式(8)のような化合物が得られる。
前記式(9)中、R3aは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、好ましくは炭素数2〜16のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数3〜10のアルキレン基である。
前記式(9)で表される化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1−ブロモ−10−クロロデカン、1−ブロモ−3−ヨードプロパン、1−ブロモ−4−ヨードブタン、1−ブロモ−5−ヨードペンタン、1−ブロモ−6−ヨードヘキサン、1−ブロモ−10−ヨードデカン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1−クロロ−4−ヨードブタン、1−クロロ−5−ヨードペンタン、1−クロロ−6−ヨードヘキサン、1−クロロ−10−ヨードデカンが挙げられる。
前記式(9)で表される化合物の中でも、反応性や安全性の観点から、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1−ブロモ−10−クロロデカンが好ましく、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサンがより好ましい。
前記式(1)で表される化合物と有機リチウム化合物と炭化水素溶媒を用いて、リチウムアミド化合物を調製する際の反応温度は0〜80℃が好ましく、生産性の観点から10〜70℃が好ましい。
リチウムアミド化合物に前記式(9)で表される化合物を反応させる際の反応温度は好ましくは−78〜70℃であり、より好ましくは−50〜50℃である。
その後得られた化合物に有機リチウム化合物を反応させる際の反応温度は、好ましくは−78〜70℃であり、より好ましくは−50〜50℃である。
前記式(8)で表される、分子内に少なくとも1つ窒素原子を有する有機リチウム化合物は、R3が、前記式(3)〜(5)のいずれかで表される場合、当該式(8)の化合物は、以下の工程(I)〜(IV)により合成することができる。
工程(I):前記式(1)で表される化合物と有機リチウム化合物とを炭化水素溶媒中で反応させ、リチウムアミド化合物を合成する。
工程(II):炭化水素溶媒中、得られたリチウムアミド化合物とブタジエン、あるいはイソプレンを反応させる。
工程(III):アルコールを加えてリチウムを失活させ、得られた生成物を減圧蒸留する。
工程(IV):蒸留して得られた生成物と有機リチウム化合物を炭化水素溶媒中で反応させる。
前記式(1)で表される化合物と、有機リチウム化合物と、炭化水素溶媒を用いてリチウムアミド化合物を調製する工程(I)の反応温度は、0〜80℃が好ましく、生産性の観点から10〜70℃が好ましい。
アルコールは、公知の材料を使用できるが、低分子量のものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が好ましく、エタノールがより好ましい。
工程(IV)の反応温度は0〜80℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃である。
(極性化合物)
前記式(7)又は(8)で表される有機リチウム化合物の調製の際には、系内に極性化合物を添加してもよい。これにより、前記式(7)又は(8)で表される有機リチウム化合物の生成の促進や炭化水素溶媒への可溶化効果が得られる。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体の製造方法における、共役ジエン系重合体を重合する重合工程においては、重合開始剤を添加する前や添加した後に、極性化合物を添加してもよい。
アニオン重合においては、重合体の共役ジエン部分のミクロ構造の調節(ビニル結合量の調節)の目的、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合においては結合のランダム性を向上させる目的、又は、重合速度を速める目的で、極性化合物が用いられることがある。かかる目的で用いられる極性化合物としては、例えば、エーテル化合物や第3級アミン化合物、アルカリ金属アルコキシド化合物等が挙げられる。
極性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)フロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、卜リメチルアミン、卜リエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラー卜、カリウム−t−ブチラー卜、ナトリウム−t−ブチラー卜、ナトリウムアミラー卜等のアルカリ金属アルコキシド化合物;卜リフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられる。
これらの極性化合物は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テトラヒドロフランとその他の極性化合物の2種以上とするほうが、よりシャープな分子量分布を達成でき好ましい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができる。
通常、上述した重合開始剤1モルに対して0.01〜100モルであることが好ましい。
極性化合物(ビニル化剤)は、重合体の共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。
多くの極性化合物は、同時に共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体との共重合において有効なランダム化効果を有し、ビニル芳香族単量体の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる。
共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法を用いてもよい。
(重合工程)
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造工程においては、上述した重合開始剤を用いて、アニオン重合反応による成長反応によって得られる活性末端を有する共役ジエン系重合体を重合することが好ましい。特に、リビングアニオン重合による成長反応によって、活性末端を有する共役ジエン系重合体を重合することがより好ましい。これにより、高変性率の共役ジエン系重合体を得ることができる。
重合方式としては、特に限定されないが、回分重合方式(「バッチ重合方式」ともいう。)、連続重合方式等の重合方式が挙げられる。連続重合方式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。重合をバッチ重合方式で実施した場合、連続重合方式と比較して、より安定して、同等のGPC形状を有する共役ジエン系重合体を安定的に生産でき、加硫物とする際の加工性を十分なものとする上で好ましい。
重合モノマーとして用いる共役ジエン化合物中に、アレン類、アセチレン類等が不純物として含有されていると、重合工程後に実施する後述するカップリング工程における反応を阻害するおそれがある。そのため、これらの不純物の含有量濃度(質量)の合計は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。アレン類としては、例えば、プロパジエン、1,2−ブタジエン等が挙げられる。アセチレン類としては、例えば、エチルアセチレン、ビニルアセチレン等が挙げられる。
共役ジエン系重合体の重合工程は、溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;それらの混合物からなる炭化水素等が挙げられる。
重合工程を実施する前に、不純物であるアレン類やアセチレン類を有機金属化合物で処理することは、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率が達成される傾向にあるため好ましい。
重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であれば特に限定されないが、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を充分に確保する観点から、120℃以下であることが好ましい。また、共役ジエン系重合体のコールドフローを防止する観点から、分岐をコントロールするためのジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル化合物を用いてもよい。
(共役ジエン系重合体の形態)
本実施形態の共役ジエン系重合体を共重合体とする場合は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体としては、例えば、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。
共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、特に限定されず、例えば、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、組成がテーパー状に分布しているテーパー(勾配)ランダム共重合体等が挙げられる。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合や1,2−結合等の組成は、均一であってもよいし、分布があってもよい。
ブロック共重合体としては、例えば、ブロックが2個からなるジブロック共重合体、3個からなるトリブロック共重合体、4個からなるテトラブロック共重合体等が挙げられる。例えば、スチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックを「S」で表し、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックを「B」で表すと、S−Bジブロック共重合体、S−B−Sトリブロック共重合体、S−B−S−Bテトラブロック共重合体等で表される。
本実施形態の共役ジエン系重合体を、タイヤトレッド用ゴム組成物として用いる場合には、より低ヒステリシスロス性に優れるゴム組成物を得る観点から、共役ジエン系重合体は、ランダム共重合体であることが好ましい。共役ジエン系重合体が共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合には、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が、少ないか又は無いものであることが好ましい。具体的には、共重合体がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、重合体の総量に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。
本実施形態の共役ジエン系重合体中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。
結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスに優れ、耐摩耗性や破壊強度も満足する加硫物を得ることができる。
ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に従った方法により測定することができる。
また、本実施形態の共役ジエン系重合体においては、共役ジエン結合単位中のビニル結合量が、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、25モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスが更に優れ、耐摩耗性や破壊強度も満足する加硫物を得ることができる。
ここで、共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。
共役ジエン系重合体のミクロ構造については、上記共役ジエン系重合体中の各結合量が上記範囲にあり、さらに、重合体のガラス転移温度が−45℃以上−15℃以下の範囲にあるときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスにより一層優れた加硫物を得ることができる。ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
(カップリング剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体を得るために、共役ジエン系重合体の活性末端に対して3個以上結合し得る官能基を有するカップリング剤を反応させるカップリング工程を実施することが好ましい。
カップリング剤としては、共役ジエン系重合体を加硫物としたときの低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスの観点から、窒素原子を有するカップリング剤が好ましく、アミノ基を有しているカップリング剤がより好ましい。
前記カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロピルトリエトキシシラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−(トリメチルシリル)ピペラジン、1−[3−(トリブトキシシリル)プロピル]−4−(トリメチルシリル)ピペラジン、2−(トリメトキシシラニル)−1,3−ジメチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(トリメチルシリル)イミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−3−(トリメチルシリル)ヘキサヒドロピリミジン、1−[4−(トリエトキシシリル)プロピル]−4−(トリメチルシリル)ピペラジン等が挙げられる。
また、以下に限定されるものではないが、例えば、2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3−(ビストリメチルシリル)イミダゾリジン、2−(トリエトキシシリル)−1,4−ジエチルピペラジン、5−(トリエトキシシリル)−1,3−ジプロピルヘキサヒドロピリミジン、5−(トリメトキシシリル)−1,3−ビス−(2−メトキシエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、5−(エチルジメトキシシリル)−1,3−ビス−(2−トリメチルシリルエチル)−ヘキサヒドロピリミジンル−1,3−ジメチルイミダゾリジン、2−(3−トリエトキシシリル−プロピル)−1,4−ジエチルピペラジン、5−(3−トリエトキシシリル−プロピル)−1,3−ジプロピルヘキサヒドロピリミジン、{2−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−2−(3−エチルジメトキシシリル−プロピル)−イミダゾリジン−1−イル]−エチル}−ジメチルアミン、5−(3−トリメトキシシリル−プロピル)−1,3−ビス−(2−メトキシエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、5−(3−エチルジメトキシシリル−プロピル)−1,3−ビス−(2−トリメチルシリルエチル)−ヘキサヒドロピリミジン、2−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1,3−ビス(トリメチルシリル)イミダゾリジン、2−(トリエトキシシリル)−1,4−ビス(トリメチルシリル)ピペラジン、5−(トリエトキシシリル)−1,3−ビス(トリプロピルシリル)ヘキサヒドロピリミジン等が挙げられる。
さらに、以下に限定されるものではないが、例えば、[3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル]トリエトキシシラン、[2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル]トリメトキシシラン、[3−(1−ピロリジニル)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(1−ピロリジニル)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル]トリエトキシシラン、[3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル]トリエトキシシラン、N−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−N,N'−ジエチル−N'−トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン、N−[2−(トリメトキシシラニル)−エチル]−N,N',N'−トリメチルエタン−1,2−ジアミン、等が挙げられる。
さらにまた、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
またさらに、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3,5−ベンゼントリイソシアネート等のイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−卜リエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−卜リメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−卜リメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−エチル−1−(3−卜リエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ−2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−卜リエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン等が挙げられる。
<その他の変性基を有するカップリング剤>
本実施形態の共役ジエン系重合体の製造工程においては、上述したようなカップリング剤以外にも、その他の変性基を有するカップリング剤を用いて変性する工程を実施してもよい。
前記のその他の変性基とは、以下に限定されるものではないが、例えば、エポキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基、エピチオ基、チオカルボニル基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イミノ基、エチレンイミノ基、ハロゲン基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、共役ジエン基、アリールビニル基等であり、上記から選択される1種以上の官能基を有するカップリング剤が挙げられる。
その他のカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、モノメチルトリクロロケイ素、モノエチルトリクロロケイ素、モノブチルトリクロロケイ素、モノヘキシルトリクロロケイ素、モノメチルトリブロモケイ素、ビストリクロロシリルエタン等のハロゲン化シラン化合物、モノクロロトリメトキシシラン、モノブロモトリメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジブロモジメトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリブロモメトキシシラン等のアルコキシハロゲン化シラン化合物等が挙げられる。
また、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、アルキルトリフェノキシシラン等のアルコキシシラン化合物;トリストリメトキシシリルプロピルアミン、トリエトキシシリルプロピルアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリブトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等のイミノ基とアルコキシシリル基を有する化合物等が挙げられる。
〔共役ジエン系重合体組成物〕
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、上述した本実施形態の共役ジエン系重合体と所定のゴム成分とを含むゴム組成物に、補強充填剤、加硫剤及び加硫促進剤を含有する。
補強充填剤としては、例えばシリカ系無機充填剤等が挙げられる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、例えば、本実施形態の共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部と、補強充填剤1質量部〜150質量部と、加硫剤及び加硫促進剤を合計0.1質量部〜20質量部とを、含有する。
(ゴム成分)
前記ゴム成分としては、本実施形態の共役ジエン系重合体の他、当該共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体を、併せて使用できる。
本実施形態の共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物、非ジエン系重合体、天然ゴム等が挙げられる。
具体的には、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物等が挙げられる。
前記非ジエン系重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン−フロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α,β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム等が挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基やアミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。
また、上述した各種ゴム状重合体は、重量平均分子量が、性能と加工特性のバランスの観点から、2,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜1,500,000であることがより好ましい。
また、低分子量のいわゆる液状ゴムを用いることもできる。
上記ゴム状重合体は、1種のみを単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物を構成するゴム組成物中に、本実施形態の共役ジエン系重合体と、上述したゴム状重合体と、を含む場合、これらの配合比率(質量比)は、共役ジエン系重合体/ゴム状重合体として、20/80〜100/0が好ましく、30/70〜90/10がより好ましく、50/50〜80/20がさらに好ましい。
共役ジエン系重合体/ゴム状重合体の配合比率が上記範囲であると、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスに優れ、耐摩耗性もより一層満足する加硫物を得ることができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、例えば、各種履物用の組成物として好適である。
また、反発弾性とウェットスキッド性のバランスに一層優れた組成物を得る場合には、ビニル芳香族化合物のブロック率は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
かかる共役ジエン系重合体組成物は、例えば、タイヤ用組成物としてとりわけ好適である。
(補強充填剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体に、補強充填剤としてシリカ系無機充填剤を分散させることで、加硫物としたときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れ、かつ実用上十分な耐摩耗性を有し、優れた加工性を付与できる。
シリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、SiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分とする固体粒子がより好ましい。
ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有される成分をいう。
シリカ系無機充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も用いることができる。
これらの中でも、強度や耐摩耗性等の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。
シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、破壊特性の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカが好ましく、共役ジエン系重合体組成物において、実用上良好な耐摩耗性や破壊特性を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100〜300m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。
また必要に応じて、比較的比表面積が小さい(例えば比表面積が200m2/g以下の)シリカ系無機充填剤と、比較的比表面積の大きい(例えば200m2/g以上の)シリカ系無機充填剤とを組み合わせて用いることができる。これにより、良好な耐摩耗性や破壊特性と低ヒステリシスロス性を高度にバランスさせることができる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物において、補強充填剤としてシリカ系無機充填剤を用いた場合の、シリカ系無機充填剤の含有量は、本実施形態の共役ジエン系重合体を含むゴム組成物100質量部に対し、1〜150質量部とすることが好ましく、5〜150質量部が好ましく、20〜100質量部がより好ましい。
シリカ系無機充填剤の含有量は、当該シリカ系無機充填剤の添加効果を発現する観点から1質量部以上とすることが好ましく、一方、シリカ系無機充填剤を十分に分散させ、組成物の加工性や耐摩耗性を実用的に十分なものとする観点から150質量部以下とすることが好ましい。
(カーボンブラック)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、カーボンブラックを含有させてもよい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80ml/100gのカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの含有量は、本実施形態の共役ジエン系重合体を含むゴム組成物100質量部に対し、0.5〜100質量部が好ましく、3〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部がさらに好ましい。
カーボンブラックの含有量は、ドライグリップ性能や導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、0.5質量部以上とすることが好ましく、分散性の観点から100質量部以下とすることが好ましい。
(金属酸化物・金属水酸化物)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、上述したシリカ系無機充填剤やカーボンブラックの他、金属酸化物や金属水酸化物を含有させてもよい。
金属酸化物とは、化学式Mxy(Mは金属原子を表し、x及びyは各々1〜6の整数を表す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいい、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができる。また金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物も用いることができる。
金属水酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
(シランカップリング剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、シランカップリング剤を含有させてもよい。
シランカップリング剤は、ゴム成分とシリカ系無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム組成物及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、一般的には、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビス−[3−(卜リエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(卜リエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(卜リエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、上述したシリカ系無機充填剤100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の配合量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる。
(ゴム用軟化剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、加工性の改良を図るために、ゴム用軟化剤を含有させてもよい。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。
鉱物油系ゴム用軟化剤は、ゴムの軟化、増容、加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれるオイルを含み、これらのうち、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものがアロマ系と呼ばれている。
共役ジエン系重合体組成物に用いられるゴム用軟化剤としては、環境安全上の観点や、オイルブリード防止、及びウェットスキッド特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。
ゴム用軟化剤の含有量は、本実施形態の共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、10〜90質量部がより好ましく、30〜90質量部がさらに好ましい。
ゴム用軟化剤の含有量がゴム組成物100質量部に対して100質量部を超えると、ブリードアウトを生じやすく、本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の表面にベタツキを生ずるおそれがある。
(その他の添加剤)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物には、上述した以外のその他の軟化剤や充填剤、さらに、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。
その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。
その他の充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
(共役ジエン系重合体組成物の製造方法)
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物の製造方法については、特に限定されるものではない。
例えば、上述したゴム組成物と、補強充填剤、加硫剤及び加硫促進剤、その他必要に応じて上述した各種材料を、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練する方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
また、共役ジエン系重合体と各種材料とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、加硫物として好適に用いられる。
加硫物は、共役ジエン系重合体を、補強充填剤や、必要に応じてカーボンブラック等の無機充填剤、変性共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫促進剤・助剤等と混合し、加熱して加硫することにより得ることができる。
加硫剤としては、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が使用できる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。
加硫剤の含有量は、通常は、本実施形態の共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して0.01〜20質量部であり、0.1〜15質量部が好ましい。加硫方法としては、公知の方法を適用でき、加硫温度は、通常120〜200℃、であり、好ましくは140〜180℃である。
加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメー卜系等の加硫促進剤・助剤が挙げられる。
加硫促進剤の含有量は、通常、本実施形態の共役ジエン系重合体を含有するゴム成分100質量部に対して、0.01〜20質量部であり0.1〜15質量部がより好ましい。
加硫剤及び加硫促進剤の含有量は、本実施形態の共役ジエン系重合体を含むゴム組成物100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.1〜18質量部がより好ましく、0.1〜15質量部がさらに好ましい。
また、加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等を使用できる。
本実施形態の共役ジエン系重合体組成物は、加硫剤、加硫促進剤、各種添加剤等を加えて架橋し、ゴム組成物として所望のゴム製品の製造に用いることができる。
共役ジエン系重合体組成物を架橋処理したゴム組成物は、タイヤ、防振ゴム、各種工業用品に用いることができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
なお、試料の分析は下記に示す方法により行った。
(1)結合スチレン量
共役ジエン系重合体を測定用試料とし、試料100mgをクロロホルムで100mLにメスアップ、溶解して測定サンプルとした。
スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により、共役ジエン系重合体100質量%に対する結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製、分光光度計「UV−2450」)。
(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
共役ジエン系重合体を測定用試料とし、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合量(モル%)を求めた(日本分光社製、フーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
(3)GPC分子量分布
共役ジエン系重合体を測定用試料とし、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製HLC−8320GPC)を使用して、RI検出器を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、ピーク数、共役ジエン系重合体由来のピーク面積、及び各ピーク(A)、(B)の面積、各ピーク(A)、(B)のピークトップにおける分子量、未変性重合体(ベースポリマー)の重量平均分子量、及び変性後(カップリング後)の重量平均分子量、カップリング率を求めた。
溶離液はテトラヒドロフラン(THF)を使用した。カラムは、東ソー社製 TSKgel SuperMultiporeHZ−Hを3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製 TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−Hを接続して使用した。
測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
(4)ピーク(A)及びピーク(B)のピークトップにおける収縮因子g’(A)及びg’(B)
共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとし、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出し、ピーク(A)及びピーク(B)のピークトップにおける収縮因子を求めた。
上記式中、Mは、絶対分子量である。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(5)低分子量側から面積が5%、40%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率
共役ジエン系重合体を検体として、ポリスチレン系ゲルカラム(カラム:PLgelMiniMix−C×3本、カラムオーブン温度35℃:日本分光製865−CO、THF流量0.35mL、試料濃度0.1質量%、注入量50μL、RI検出器:Waters製2414)のGPC(Waters製2695)のクロマトグラフを測定した。
分子量100を起点として、面積が5%もしくは40%となる点の分子量を求めた。前記分子量をMp5、Mp40とする。
次に前記共役ジエン系重合体中の変性された重合体鎖の比率と同様の測定を行った。
低分子量側から面積が5%、40%となる点までに含まれる変性された重合体鎖の比率は下式から算出した。
a:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した所定のピークの面積のうち分子量Mp5以下の面積(%)
b:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した低分子量内部標準ポリスチレン(PS)の面積(%)
c:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した所定のピークの面積のうち分子量Mp5以下の面積(%)
d:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した低分子量内部標準ポリスチレン(PS)の面積(%)
e:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した所定のピークの面積のうち分子量Mp40以下の面積(%)
f:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した低分子量内部標準ポリスチレン(PS)の面積(%)
g:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した所定のピークの面積のうち分子量Mp40以下の面積(%)
h:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した低分子量内部標準ポリスチレン(PS)の面積(%)
〔製造例1〕
内容積40Lで、攪拌機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3−ブタジエンを2,220g、スチレンを780g、シクロヘキサンを21,000g、極性物質としてテトラヒドロフラン(THF)を2gと2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン(BOP)を4.73g、反応器へ入れ、反応器内温を43℃に保持した。
さらに、重合開始剤として、n−ブチルリチウムを20.1mmol、前記反応器に供給した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は74℃に達した。
この反応温度ピーク到達後から2分後に反応器にテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(Cup1)を2.2mmol添加し、10分間、カップリング反応を実施した。
この重合体溶液に、酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロオキシフェニル)−プロピオネートを11gと、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを4.5g添加し、共役ジエン系重合体(試料a)を得た。
試料aを分析した結果、結合スチレン量は26質量%、結合ブタジエン量は74質量%であった。
赤外分光光度計を用いた測定結果よりハンプトン法に準じて計算して求めたブタジエン部分のミクロ構造のビニル結合量(1,2−ビニル結合量)は55%であった。その他の分析値を表1に示す。
〔製造例2〕
ヘキサメチレンイミン(HMI)を重合開始剤添加前に19.1mmol添加した。また、カップリング剤は2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(Cup2)を4.4mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料b)を得た。試料bの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例3〕
重合開始剤の添加量を18.3mmolとした。また、カップリング剤は2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(Cup2)を4.0mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料c)を得た。試料cの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例4〕
ヘキサメチレンイミン(HMI)を重合開始剤添加前に15.6mmol添加した。重合開始剤の添加量を16.4mmolとした。また、カップリング剤は2−メトキシ−2−メチル−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(Cup3)を4.8mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料d)を得た。試料dの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例5〕
重合開始剤の添加量を16.4mmolとした。また、カップリング剤は2−メトキシ−2−メチル−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(Cup3)を4.8mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料e)を得た。試料eの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例6〕
ピペリジン(Pip)を重合開始剤添加前に38.0mmol添加した。重合開始剤の添加量を40.0mmolとした。また、カップリング剤はテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(Cup1)を4.4mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料f)を得た。試料fの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例7〕
ピペリジン(Pip)を重合開始剤添加前に38.0mmol添加した。重合開始剤の添加量を40.0mmolとした。また、カップリング剤は2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(Cup2)を8.8mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料g)を得た。試料gの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例8〕
ピペリジン(Pip)を重合開始剤添加前に48.7mmol添加した。重合開始剤の添加量を63.2mmolとした。また、カップリング剤は2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(Cup2)を13.9mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料h)を得た。試料hの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例9〕
ピペリジン(Pip)を重合開始剤添加前に38.0mmol添加した。重合開始剤の添加量を40.0mmolとした。また、カップリング剤はテトラクロロシラン(Cup4)を8.8mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料i)を得た。試料iの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例10〕
ピペリジン(Pip)を重合開始剤添加前に16.9mmol添加した。重合開始剤の添加量を17.8mmolとした。また、カップリング剤は添加せず、メタノール18mmolを添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料j)を得た。試料jの物性の分析値を表1に示す。
〔製造例11〕
ピペリジン(Pip)を重合開始剤添加前に26.2mmol添加した。重合開始剤の添加量を27.6mmolとした。また、カップリング剤はジクロロジメチルシラン(Cup5)を7.8mmol添加した。
その他の条件は、前記〔実施例1〕と同様にして、共役ジエン系重合体(試料k)を得た。試料kの物性の分析値を表1に示す。
なお、表1中のアミン化合物について、下記のように示す。
HMI:ヘキサメチレンイミン
Pip:ピペリジン
また、表1中のカップリング剤について、下記のように示す。
Cup1:テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン
Cup2:2,2−ジメトキシ−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン
Cup3:2−メトキシ−2−メチル−1−(3−卜リメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン
Cup4:テトラクロロシラン
Cup5:ジクロロジメチルシラン
次に、上述した〔製造例1〕〜〔製造例11〕の共役ジエン系重合体を、適宜組み合わせて、ブレンド試料を調製した。
〔実施例1〕
試料aを含む重合体溶液と試料fを含む重合体溶液を、試料aと試料fの質量比が試料a:試料f=40:60になるようにブレンドし、均一になるまで撹拌混合した。
その後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施し、ブレンド試料を得た。
ブレンドした重合体成分の質量比率やブレンド試料の分析値を表2に示す。
〔実施例2〜9〕、〔比較例1〜3〕
前記実施例1と同様に、表1に記載の試料を表2に記載の質量比にて溶液状態でブレンドし、均一になるまで撹拌混合した。
その後、スチームス卜リッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施し、各ブレンド試料を得た。
各実施例、比較例のブレンドした重合体成分の質量比、及び各ブレンド試料の分析値を表2に示す。
次に、上述した〔実施例1〜9〕、〔比較例1〜3〕で得られた共役ジエン系重合体を原料ゴムとして使用し、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有する共役ジエン系重合体組成物を得た。
原料ゴム(実施例1〜9、比較例1〜3で得られた共役ジエン系重合体):100.0質量部
シリカ(エボニックデグサ社製、Ultrasil7000GR):75.0質量部
カーボンブラック(東海カ−ボン社製、シ−ストKH(N339)):5.0質量部
シランカップリング剤(エボニックデグサ社製、Si75):6.0質量部
S−RAEオイル(ジャパンエナジー社製、JOMOプロセスNC140):30.0質量部
ワックス(大内新興化学社製、サンノックN):1.5質量部
亜鉛華:2.5質量部
ステアリン酸:2.0質量部
老化防止剤(N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
硫黄:1.8質量部
加硫促進剤(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
加硫促進剤(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
合計:229.5質量部
上記の材料を以下の方法により混練して共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を具備する密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、原料ゴム、充填剤(シリカ、カーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル(S−RAEオイル、ワックス)、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度(組成物)は155〜160℃で、共役ジエン系重合体組成物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た組成物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(組成物)を155〜160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオーブンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫後、共役ジエン系重合体組成物の物性を測定した。
物性測定結果を表3に示す。
前記のように加硫を行った後の、加硫物である共役ジエン系重合体組成物の特性を、下記の方法により測定した。
(1)組成物ムーニー粘度(共役ジエン系重合体組成物ML)
ムーニー粘度計を使用し、JISK6300−1に準じて、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定し、比較例1の共役ジエン系重合体組成物の結果を100として指数化した。
値が大きいほど加工性に優れることを示す。
(2)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所製)を使用し、JISK6264−2に準じて、荷重44.1N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例1の共役ジエン系重合体組成物の結果を100として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が優れることを示す。
(3)粘弾性パラメータ
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで、粘弾性パラメータを測定した。
各々の測定値は比較例1の結果を100として指数化した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットスキッド性能の指標とした。値が大きいほどウェットスキッド性能が良好であることを示す。
また、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費特性の指標とした。値が大きいほど、低ヒステリシスロスであり、省燃費性能が良好であることを示す。
なお、表3中、ウェットスキッド性能を「Wet」と表し、省燃費特性を「RR」と表した。
表3に示すように、実施例1〜9の共役ジエン系重合体を用いた共役ジエン系重合体組成物は、組成物ムーニー粘度が低いため加工性に優れ、かつ耐摩耗性にも優れており、低ヒステリシスロス性、ウェットスキッド抵抗性のバランスに優れているのに対し、比較例1〜3の共役ジエン系重合体を用いた共役ジエン系重合体組成物は、いずれかの性能が劣る結果となった。
本発明の共役ジエン系重合体の製造方法によって得られる共役ジエン系重合体は、加硫組成物としたときに、タイヤトレッド、防振ゴム、ベルト、工業用品、履物、各種発泡体等の材料として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (8)

  1. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって得られる分子量分布曲線において、共役ジエン系重合体由来のピークを少なくとも2つ有し、
    前記分子量曲線の前記ピークの中で、ピーク面積の大きい順で2つのピークにおいて、
    高分子量側のピークをピーク(A)、
    低分子量側のピークをピーク(B)とした場合に、
    前記ピーク(B)のピークトップ分子量が15万〜65万であり、
    前記ピーク(B)のピーク面積が、共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%とした場合に30%以上80%未満であり、
    前記ピーク(A)のピークトップにおける収縮因子g’(A)が0.97未満であり、
    前記ピーク(B)のピークトップにおける収縮因子g’(B)が0.86未満であり、
    g’(A)>g’(B)である、
    共役ジエン系重合体。
  2. 前記ピーク(B)のピーク面積が、共役ジエン系重合体由来のピーク面積を100%とした場合に40%以上80%未満である、
    請求項1に記載の共役ジエン系重合体。
  3. 前記ピーク(B)のピーク面積>前記ピーク(A)のピーク面積である、
    請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体。
  4. 前記ピーク(A)のピークトップ分子量が、
    前記ピーク(B)のピークトップ分子量の1.1倍〜5倍である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体。
  5. 前記分子量分布曲線において、低分子量側から面積が5%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率が60%〜99%である、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体。
  6. 前記分子量分布曲線において、低分子量側から面積が40%となる部分までに含まれる変性された重合体鎖の比率が90%〜99%である、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の共役ジエン系重合体を含むゴム組成物100質量部と、
    補強充填剤1質量部〜150質量部と、
    加硫剤及び加硫促進剤を合計0.1質量部〜20質量部と、
    を、含む、共役ジエン系重合体組成物。
  8. 請求項7に記載の共役ジエン系重合体組成物を含むタイヤ。
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