JP2019167415A - 光硬化性樹脂組成物及び接着剤 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物及び接着剤 Download PDF

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守雄 中谷
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Abstract

【課題】反応性制御剤を遅延硬化剤として使用することなく、十分な可使時間を確保できる光硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】光で硬化する光硬化性樹脂組成物に関する。(B)多官能エポキシ化合物を10質量部以上95質量部以下、(F)単官能オキセタン化合物を5質量部以上90質量部以下で含有する。さらに(H)多官能オキセタン化合物を含有することが好ましい。(B)多官能エポキシ化合物と(H)多官能オキセタン化合物の各含有量の合計が10質量部以上95質量部以下であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物及び接着剤に関する。詳しくは、光で硬化する光硬化性樹脂組成物及びこの光硬化性樹脂組成物を含有する接着剤に関する。
近年、透明接着剤として、熱エネルギーによらず紫外線(UV)で硬化するUV硬化性樹脂組成物が広く用いられている。このようなUV硬化性樹脂組成物は、光ピックアップ部品やカメラモジュール部品等の光学部品の接着剤や、PDP(Plasma Display Panel),LCD(Liquid Crystal Display)等に用いられるディスプレイ封止材として好ましく用いられうる。
ところが、UV硬化性を有する一般的なエポキシ樹脂組成物では、光(UV)を照射してから硬化するまでの時間、すなわち可使時間が短いという問題があった。このような可使時間の短い硬化性樹脂組成物を電子部品等の接着を行う場合、電子部品等の被着体と硬化性樹脂組成物とをあわせてから光を照射する必要があるが、強い光によって電子部品等が劣化してしまう場合がある。
これに対し、硬化性樹脂組成物の可使時間を延長する方法としては、ポリエーテル系やポリオール系の硬化遅延剤を用いる方法が報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これは、添加された硬化遅延剤が光照射時に開始剤から発生される酸をトラップし、カチオン重合反応の開始を遅らせる技術である。
特開2009−298888号公報 特開2010−21183号公報
しかしながら、特許文献1又は2に記載されているような一般的な硬化遅延剤をUV硬化性樹脂組成物に配合すると、白濁して組成物全体の透明性が低下して、光学用途にもちいることができなくなるものもある。また、電子部品等のアライメント調整などの必要性から可使時間を長くするために硬化制御剤の使用量を増やすと、樹脂硬化物の物性に悪影響を及ぼし、好ましくないという問題もある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、反応性制御剤を遅延硬化剤として使用することなく、十分な可使時間を確保できる光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記光硬化性樹脂組成物を用いた接着剤を提供することを目的とする。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物は、光で硬化する光硬化性樹脂組成物であって、(B)多官能エポキシ化合物を10質量部以上95質量部以下、(F)単官能オキセタン化合物を5質量部以上90質量部以下で含有するものである。
本発明に係る接着剤は、前記光硬化性樹脂組成物を含有するものである。
本発明では、(F)単官能オキセタン化合物を含有するため、反応性制御剤を遅延硬化剤として使用しなくても、光照射後から硬化までの可使時間を充分に確保することができる。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る接着剤の一例に活性エネルギー線を照射した直後の貯蔵弾性率及び損失弾性率の測定結果を示すグラフである。図1Bは、同上の接着剤の一例に活性エネルギー線を照射した後の貯蔵弾性率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
1.光硬化性樹脂組成物
本実施形態の光硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、光が照射されることにより硬化する光硬化性樹脂組成物である。ここで、光とは紫外線を含み、可視光線を含んでいてもよい。
本明細書において、組成物(X)に対する光の照射中に進行する硬化反応を一次硬化という。また一次硬化から所定時間を経過後に開始され、且つ急峻に進行する硬化反応を二次硬化という。また一次硬化によって組成物(X)の貯蔵弾性率が損失弾性率より大きくなってから、二次硬化反応が開始されるまでの状態を一次硬化状態という。また二次硬化によって組成物(X)の接着力が1N/cm以上になった状態を二次硬化状態という。また二次硬化が終わり、組成物(X)が完全に硬化することを完全硬化という。また二次硬化の開始から完全硬化するまでの時間を硬化完了時間という。また組成物(X)の貯蔵弾性率が飽和した状態を完全硬化状態という。
組成物(X)は、(A)単官能エポキシ化合物(以下、(A)成分ともいう)、(B)多官能エポキシ化合物(以下、(B)成分ともいう)、(C)光カチオン発生剤(以下、(C)成分ともいう)、(D)アクリル系化合物(以下、(D)成分ともいう)、(E)光ラジカル発生剤(以下、(E)成分ともいう)、(F)単官能オキセタン化合物(以下、(F)成分ともいう)、(G)エラストマー(以下、(G)成分ともいう)、及び(H)多官能オキセタン化合物(以下、(H)成分ともいう)を含有している。組成物(X)は、(B)成分と(F)成分とを必須とし、その他の成分は任意成分である。
以下、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分、(H)成分について説明する。
1−1.(A)成分
(A)成分は、一分子あたり一つのエポキシ基を有する化合物である。換言すると(A)成分は、一分子内に一官能基のエポキシ基を有する化合物である。(A)成分は、組成物(X)に遅延硬化性を発揮させる。遅延硬化性とは、組成物(X)に光を照射した後、完全硬化するまでの時間が光の照射時間よりも長くなる性質のことを意味する。組成物(X)では、(B)成分及び(H)成分よりも(A)成分の重合が優先して進行し、(B)成分及び(H)成分の架橋によるゲル化が遅延するため、遅延硬化性を有することになる。
(A)成分は、一分子内にポリエーテル骨格を有する単官能エポキシ化合物(A1)(以下、(A1)成分ともいう)を含むことが好ましい。もちろん(A)成分は、一分子内にポリエーテル骨格を有さない単官能エポキシ化合物(A2)(以下、(A2)成分ともいう)を含んでいてもよい。尚、ポリエーテル骨格とは、下記式(1)に示す化学構造式を意味する。
Figure 2019167415
(式(1)において、Rは炭素数1〜30の炭化水素基であり、mは2〜60の整数である)。
式(1)において、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましい。この場合、組成物(X)に光を照射してから完全に硬化するまでの時間を増加させることができる。
(A1)成分に含まれる化合物の例には、ポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールモノグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールモノグリシジルエーテルが含まれる。(A)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含むことが好ましい。
(A2)成分に含まれる化合物の例には、アルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、パラターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、グリコールグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、及び脂肪酸グリシジルエステルが含まれる。(A)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含んでもよい。
また、(A)成分は、炭素−炭素二重結合を含まない、もしくはほとんど含まない化合物であることがより望ましい。炭素−炭素二重結合を有する化合物は、そのβ結合が熱及び光などで切断されやすく、この切断により、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなるためである。ここで、炭素−炭素二重結合をほとんど含まない化合物とは、構造内の二重結合が水素添加反応により処理され、その水添率が70%以上である化合物を指す。水添率が70%未満である化合物は、炭素−炭素二重結合が熱及び光などで切断され、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなるため、望ましくない。このような炭素−炭素二重結合をほとんど含まない化合物を用いることにより、組成物(X)及びその硬化物の変色を抑制することができる。炭素−炭素二重結合をほとんど含まない単官能エポキシ化合物としては、水素添加反応により処理された単官能エポキシ化合物が使用可能である。
1−2.(B)成分
(B)成分は、一分子あたり二つ以上のエポキシ基を有する化合物である。換言すると(B)成分は、一分子内に二官能基以上のエポキシ基を有する化合物である。
(B)成分は、一分子内にポリエーテル骨格を有する多官能エポキシ化合物(B1)(以下、(B1)成分ともいう)を含むことが好ましい。もちろん(B)成分は、一分子内にポリエーテル骨格を有さない多官能エポキシ化合物(B2)(以下、(B2)成分ともいう)を含んでもよい。特に(A)成分及び(B)成分がいずれもポリエーテル骨格を有する場合には、組成物(X)の硬化後に、ポリエーテル骨格部分のブリードアウト(組成物(X)の硬化物の表面へのポリエーテル骨格部分の染み出し及び浮き出し)を抑制できる。
(B1)成分に含まれる化合物の例には、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが含まれる。(B)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含むことが好ましい。
(B2)成分に含まれる化合物の例には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ブロム含有エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、脂肪族ポリエーテル系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートが含まれる。(B)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含んでもよい。
(B)成分は、水素添加反応で処理された多官能エポキシ化合物(B3)(以下、(B3)成分ともいう)を含有することが好ましい。二重結合を有する多官能エポキシ化合物は、そのβ結合が熱及び光などで切断されやすく、この切断により、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなる。水素添加反応(「水添」という場合がある)とは、化合物の構造内に元来含まれる二重結合に対し、水素を付加させる還元反応であり、水添処理前の化合物の構造を残したまま、化合物の二重結合の数を低減させることができる。このため、水素添加反応により処理した化合物は、水添処理をしていない化合物と比較してβ結合が熱及び光などで切断されにくくなる。そこで、組成物(X)は、(B)成分として、水素添加反応(水添)で処理された、ほとんど二重結合を有さない(B3)成分を含有することが好ましく、これにより、組成物(X)及びその硬化物の変色を低減することができる。ここで、炭素−炭素二重結合をほとんど含まない化合物とは、構造内の二重結合が水素添加反応により処理され、その水添率が70%以上である化合物を指す。水添率が70%未満である化合物は、炭素−炭素二重結合が熱及び光などで切断され、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなるため、望ましくない。(B3)成分としては、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ポリブタジエン型エポキシ樹脂などの水素添加反応(水添)で処理された多官能エポキシ化合物を使用することが可能である。水添された原材料を用いることにより、水添前の組成物の物性を保持しつつ二重結合の含有量を少なくすることで二重結合の切断を生じにくくし、熱酸化劣化の発生を抑制し、黄変を少なくすることができる。
1−3.(C)成分
(C)成分は、紫外線、可視光等の光が照射されることによって、強酸性の化学種であるカチオン種を発生する化合物である。この化学種は、エポキシ基又はオキセタン環を開環自己重合させることができる。このため(C)成分は、エポキシ基又はオキセタン環を開環自己重合させるための開始剤である。(C)成分は、イオン性光酸発生剤を含んでもよく、非イオン性光酸発生剤を含んでもよく、これらの両方を含んでいてもよい。
イオン性光酸発生剤に含まれる化合物の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩類、鉄―アレン錯体、チタノセン錯体、ヨウドニウム塩類、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類が含まれる。(C)成分はこれらのうち一種以上の化合物を含むことができる。(C)成分は、市販のイオン性酸発生剤を含んでもよい。市販のイオン性酸発生剤の例には、旭電化工業社製の商品名「アデカオプトマーSP150」、「アデカオプトマーSP170」等の「アデカオプトマー」シリーズ、サンアプロ製の商品名「CPI−210S」、「CPI−310B」、ゼネラルエレクトロニクス社製の商品名「UVE−1014」、サートマー社製の商品名「CD−1012」等が含まれる。(C)成分は、これらのうち一種以上のイオン性光酸発生剤を含むことができる。
非イオン性光酸発生剤に含まれる化合物の例には、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドホスホナートが含まれる。(C)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含むことができる。
1−4.(D)成分
(D)成分は、アクリル樹脂の原料となるモノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれかである。換言すると(D)成分は、一分子内に一官能基以上の反応性アクリル基またはメタクリル基を有する化合物である。(D)成分に含まれる化合物の例には、単官能アクリレート、多官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能メタクリレート、及び分子内に反応性のアクリル基またはメタクリル基を含むポリマーが含まれる。これらの硬化物であるアクリル樹脂、メタクリル樹脂は一般的に耐候性が高く、変色を起こしにくいことが知られている。このような変色を起こしにくい成分の割合を増やすことで、組成物(X)の変色防止に寄与できる。
単官能アクリレート又は単官能メタクリレートに含まれる化合物の例には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルプロピルアクリレート、ノルマルプロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びメチオールアクリルアミドが含まれる。多官能アクリレート又は多官能メタクリレートに含まれる化合物の例には、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、デンドリマーアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが含まれる。分子内に反応性のアクリル基またはメタクリル基を含むポリマーの例には、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、アクリル変性シリコーン、エポキシメタクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルメタクリレート、及びメタクリル変性シリコーンが含まれる。(D)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含んでもよい。
1−5.(E)成分
(E)成分は、紫外線、可視光等の光が照射されることによってラジカルを発生する化合物である。このラジカルは、アクリル系化合物をラジカル重合させることができる。換言すると(E)成分は、光ラジカル重合開始剤である。(E)成分は、特に限定されず、公知の光ラジカル重合開始剤を含むことができる。これら光ラジカル発生剤による硬化では一般的に腐食性が低いことが知られている。このような成分の割合を増やすことで、腐食性の少ない硬化物を得ることが可能となる。
(E)成分に含まれる化合物の例には、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、アルキルフェノン系、及びアシルフォスフィンオキサイド系の光ラジカル重合開始剤が含まれる。(E)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含んでもよい。
1−6.(F)成分
(F)成分は、一分子あたり一つのオキセタン環を有する化合物である。(F)成分は、組成物(X)に遅延硬化性を発揮させる。遅延硬化性とは、組成物(X)に光を照射した後、完全硬化するまでの時間が長くなる性質のことを意味する。組成物(X)では、(B)成分及び(H)成分よりも(F)成分の重合が優先して進行し、(B)成分及び(H)成分の架橋によるゲル化が遅延するため、遅延硬化性を有することになる。
(F)成分に含まれる化合物の例には、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、などが含まれる。(F)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含むことができる。
1−7.(G)成分
(G)成分は、エラストマーである。エラストマーを含む組成物(X)は、エラストマーを含まない組成物(X)よりも、粘度を高くすることができる。またエラストマーを含まない組成物(X)の硬化物よりも、組成物(X)の硬化物の強度、弾性率、及び伸び率を制御することができる。これにより、組成物(X)の粘度を、塗布プロセスに適した範囲に調整することができる。また、組成物(X)の弾性率を、貼り合わせる部材に応じた範囲に調整することができる。
エラストマーに含まれる化合物の例には、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、シリコーン系、アクリル重合物の高分子物質が含まれる。(G)成分は、これらのうち一種以上の高分子物質を含んでもよい。組成物(X)がエラストマーを含む場合、エラストマーの形態は、粒子状であってもよく、溶液状であってもよく、粒子状のエラストマーと溶液状のエラストマーとが併存していてもよい。
(G)成分は、水素添加反応で処理されたエラストマー(G2)(以下、(G2)成分ともいう)を含有することがより好ましい。二重結合を有するエラストマーは、そのβ結合が熱及び光などで切断されやすく、この切断により、組成物(X)及びその硬化物が変色(黄変)しやすくなる。そこで、組成物(X)は、(G)成分として、水素添加反応で処理された、二重結合をほとんど有さない(G2)成分を含有することが好ましく、これにより、組成物(X)及びその硬化物の変色を低減することができる。ここで、炭素−炭素二重結合をほとんど含まない化合物とは、構造内の二重結合が水素添加反応により処理され、その水添率が70%以上である化合物を指す。水添率が70%未満である化合物は、炭素−炭素二重結合が熱及び光などで切断され、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなるため、望ましくない。(G2)成分としては、水添ポリスチレン系エラストマー、水添ポリブタジエン系エラストマーなどの水素添加反応(水添)で処理されたエラストマーを使用することが可能である。水添された原材料を用いることにより、水添前の組成物の物性を保持しつつ二重結合の含有量を少なくすることで二重結合の切断を生じにくくし、熱酸化劣化の発生を抑制し、黄変を少なくすることができる。
1−8.(H)成分
(H)成分は、一分子あたり二つ以上のオキセタン環を有する化合物である。(H)成分は、組成物(X)の硬化急峻性を向上させる。硬化急峻性とは、組成物(X)の硬化速度(単位時間あたりの粘度上昇)が短時間で急激に上昇して、組成物(X)が完全硬化するまでの時間が速くなる性質のことを意味する。
(H)成分に含まれる化合物の例には、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシリケートなどが含まれる。(H)成分は、これらのうち一種以上の化合物を含むことができる。
また、(H)成分は、炭素−炭素二重結合を含まない、もしくはほとんどほとんど含まない化合物であることがより望ましい。炭素−炭素二重結合を有する化合物は、そのβ結合が熱及び光などで切断されやすく、この切断により、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなるためである。ここで、炭素−炭素二重結合をほとんど含まない化合物とは、構造内の二重結合が水素添加反応により処理され、その水添率が70%以上である化合物を指す。水添率が70%未満である化合物は、炭素−炭素二重結合が熱及び光などで切断され、組成物(X)及びその硬化物が変色(特に、熱酸化劣化による黄変)しやすくなるため、望ましくない。炭素−炭素二重結合をほとんど含まない多官能オキセタン化合物としては、水素添加反応により処理された多官能オキセタン化合物が使用可能である。
1−9.その他の成分
組成物(X)は、必要に応じて、各種の樹脂、添加剤等を含んでもよい。
1−10.組成物(X)の調製
組成物(X)は、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分、(H)成分及び必要に応じてその他の成分を所定の質量比で配合し、20℃以上100℃以下に調温した後、ホモディスパー等により均一になるまで攪拌することで得られる。この組成物(X)は、ほぼ透明であり、詳細には淡黄色である。
組成物(X)は、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分、(H)成分を以下の割合で含有することができる。
(A)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、0質量部以上40質量部以下、好ましくは1質量部以上30質量部以下である。
(B)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、10質量部以上95質量部以下、好ましくは15質量部以上70質量部以下である。
(C)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。
(D)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、0質量部以上70質量部以下、好ましくは5質量部以上30質量部以下である。
(E)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、0質量部以上5質量部以下、好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。
(F)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、0質量部以上90質量部以下、好ましくは2質量部以上30質量部以下である。(F)成分の含有割合は5質量部以上であることが好ましく、5質量部以上90質量部以下であってもよい。
(G)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、0質量部以上80質量部以下、好ましくは1質量部以上50質量部以下である。
(H)成分の含有割合は組成物(X)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下、好ましくは2質量部以上15質量部以下である。
(A)成分及び(B)成分の合計と、(D)成分との質量比は、好ましくは5:95〜90:10の範囲内である。この場合、組成物(X)の塗膜に光が照射された際に、塗膜の形状を保持しつつ、粘着性を有し接着性を有さない一次硬化状態にすることができる。ここで、粘着性とは基材との空間を無くすことで基材と付着することができ、所定の力にて引きはがすことが可能であり、また再度付着することができ、初期と同様の付着力を有する機能を指す。また、接着性とは、基材と物理的かつ、もしくは化学的に密着し、一度引きはがすと密着性を失い、接着力が著しく低下(具体的には50%以下)する特性を指す。一次硬化により、塗膜の形状が保持されるため塗膜を形成した部材の搬送時に部材上の塗膜が変形することを抑制することができ、また塗膜を介して複数の部材同士を貼り合わせる際に組成物(X)が接着部材からはみ出すことを抑制することができる。また、液体時に部材に塗布するため部材が曲面を有していても均一な塗膜を形成し、一次硬化により塗膜の形状を保持できるため、曲率の異なる部材どうしを一定膜厚で貼り合せることができる。
(A)成分と(B)成分と質量比は、好ましくは10:90〜70:30の範囲内であり、より好ましくは15:85〜60:40の範囲内であり、より更に好ましくは20:80〜50:50である。
一次硬化から二次硬化開始時までの時間、すなわち組成物(X)が一次硬化状態である時間は、各成分の配合量や種類等によって異なるが、組成物(X)に含まれる(B)成分及び(H)成分が少ないほど短くなり、(A)成分及び(F)成分が多いほど長くなる。一次硬化状態の時間が長い場合、組成物(X)により複数の部材(被接着物)同士を余裕をもって貼り合わせることができる。形状保持性と適度な粘着性を有することから、組成物(X)が他の部材に流れ出たり、容易に位置ずれが生じず、製造上非常に使いやすくなる。また複数の部材同士を貼り付けた後に組成物(X)の塗膜が硬化するため、部材の光透過率に影響されることなく複数の部材を接着することができる。また部材の光透過率に影響されないため、組成物(X)がより効率よく硬化し易い波長域の光によって組成物(X)を硬化させることができる。また組成物(X)の硬化状態、硬化時間等を均一に制御することができる。これにより二次硬化用の光源が不要となり、製造過程を単純化することができ、製造過程で部材変更が生じても、光の調整、確認等を行う必要がない。さらに遮光性の部材の接着にも適用することができ、部材の選択肢を増やすことが可能となる。また複数の部材同士を貼り合わせた後に、一次硬化状態で不具合が発見された場合には、複数の部材のそれぞれを分離して、一次硬化状態での不具合を修正してから再度貼り合わせる、いわゆるリワークが行いやすい。
(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対する、1分子中にポリエーテル骨格を有するエポキシ化合物の合計量(すなわち、単官能エポキシ化合物(A1)と多官能エポキシ化合物(B1)の合計量)は、好ましくは0.01質量部以上90質量部以下の範囲内であり、より好ましくは0.1質量部以上30質量部以下の範囲である。
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対する、(C)成分の配合量は、0.01質量部以上であることが好ましい。この場合、カチオン重合反応が十分に行われず、組成物(X)の未硬化が生じることを抑制することができる。また(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対する、(C)成分の配合量は10質量部以下であることが好ましい。この場合、カチオン重合反応の反応速度が速過ぎて、可使時間を確保できなくなること、及び組成物(X)の深部硬化性が低下することを抑制することができる。
(D)成分の合計100質量部に対する、(E)成分の配合量は、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下の範囲内である。(E)成分の配合量が0.01質量部未満であると、(D)成分の未硬化が生じて、硬化不良による樹脂漏れが生じることがある。また(E)成分の配合量が10質量部より多いと、組成物(X)が過剰硬化することにより、硬化物が脆くなることがある。
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対する、(F)成分の配合量は、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下の範囲内である。この場合、組成物(X)の硬化時の粘度の上昇挙動をより急峻にすることができる。これにより、複数の部材を貼り合わせた後の完全硬化までの養生時間を短縮することができる。また複数の部材を貼り合わせた後の位置ずれをより抑制することができる。
また、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方がポリエーテル骨格を有することにより、カチオン重合反応の反応速度をより効果的に遅くすることができる。これにより、光の照射中に生じるラジカル重合反応と、照射後に所定時間経過してから進行するカチオン重合反応と、を時間的に分けることができる。
さらに(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方がポリエーテル骨格を有し、且つ(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対する(H)成分の配合量が0.1質量部以上30質量部以下の範囲内である場合、光の照射中に生じるラジカル重合反応と、照射後に所定時間経過してから進行する光カチオン反応と、を時間的に分けられると共に、所定時間経過後のカチオン重合反応の進行を急峻にすることができ、硬化完了時間を短くすることができる。
つまり、(A)成分及び(B)成分によって、組成物(X)への光の照射中にはラジカル重合反応によって組成物(X)が一次硬化状態となり、そして光の照射終了後の所定時間は、複数の部材同士を貼り合わせることが可能となる。この所定時間によって張り合わせ時間を十分に確保することができる。さらに貼り合わせ後には、(F)成分によって、カチオン重合反応が急峻に進行して組成物(X)が完全硬化に至る。硬化完了時間が短くなることにより、短時間での製品出荷が可能となる。その結果、工場工程内における仕掛かり在庫を特に少なく保つことができ、製造コストを低減することができる。
組成物(X)がエラストマー((G)成分)を含有する場合には、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対する、(G)成分の配合量は、好ましくは0.1質量部以上90質量部以下の範囲内である。この場合、組成物(X)、及び組成物(X)の硬化物に、種々の機能を付与することができる。例えば組成物(X)の粘度を工場の生産設備の機能に合わせて調整できる。また組成物(X)の硬化物の弾性率を調整することができるため、貼り合わせる部材の間に熱膨張差がある場合に必要となる組成物(X)の弾性率制御を行うことができる。
組成物(X)は、水素添加反応で処理されないで二重結合を有しない化合物の含有量が組成物(X)の100質量部に対して50質量部(50質量%)以上であることが好ましい。上述のように、二重結合を有する化合物は、組成物(X)及びその硬化物を変色させやすい。特に、熱酸化劣化による熱黄変が生じやすい。そして、二重結合を有しない化合物の含有量が多いほど、組成物(X)及びその硬化物が変色しにくいため、水素添加反応で処理されないで二重結合を有しない化合物が組成物(X)の100質量部に占める割合を50質量部以上であることが好ましい。さらに、組成物(X)は、水素添加反応(水添)で処理された化合物の含有量が組成物(X)の100質量部に対して20質量部(20質量%)以上であることがより好ましい。これにより、組成物(X)及びその硬化物が熱及び光などで変色するのを低減することができる。
2.組成物(X)の硬化特性
組成物(X)は、光の照射前は液状である。部材上に組成物(X)の塗膜を配置する際には、組成物(X)が部材の形状に追随するため、部材と塗膜との間に気泡が侵入することが抑制される。また組成物(X)は、光を照射しない限り、液状に保たれやすいため、保存安定性に優れ、熱硬化性樹脂のように冷所に保存することなく、常温で保存できる。
組成物(X)は、光の照射中に貯蔵弾性率が損失弾性率よりも高くなり、一次硬化状態となる。これにより、組成物(X)の流動性が低下するため、組成物(X)の塗膜の形状を保持することができる。このため、組成物(X)の塗膜が配置された部材を搬送する際には、塗膜の形状が保持されて、変形が抑制され、膜厚も保たれる。また塗膜を介して複数の部材同士を貼り合わせる際には、組成物(X)のはみ出しが抑制される。そして一次硬化状態の組成物(X)は粘着性を有するため、部材同士を最適な位置で固定して動きづらい状態に保つことができる。また任意の形状を有する塗膜を形成することもできる。例えば、型枠内に組成物(X)を配置してから組成物(X)に光を照射することによって、一次硬化状態の塗膜をシート状に形成してもよい。例えば、線状の塗膜を形成することによって、複雑な形状を有する部材の接着に適用してもよい。つまり組成物(X)は塗膜形成時は液体であるため、部材の形状に応じて、任意の形状で塗布することが可能であり、また光の照射によって任意の形状のまま硬化させて、接着させることが可能となる。
組成物(X)が一次硬化状態になる現象は、アクリル系化合物及び光ラジカル発生剤に由来する。本実施形態の組成物(X)が一次硬化状態になるメカニズムは以下の通りである。組成物(X)が光を吸収すると、瞬時に光ラジカル発生剤由来のラジカルが生成される。このラジカルと、アクリル系化合物とが反応することによって、アクリル系化合物のラジカル重合反応が生じる。このラジカル重合反応は急速に進行する。またラジカル重合反応は、光の照射中にのみ進行し、照射終了後にはラジカルが失活してラジカル重合反応が終了する。このため組成物(X)は、急速に粘度が上昇して、一次硬化状態となり、流動性が低下する。また組成物(X)中のアクリル系化合物の配合量が多過ぎると組成物(X)が完全硬化してしまう。このため組成物(X)に含まれるアクリル系化合物の量は、ラジカル重合反応によって、組成物(X)が完全硬化しない程度に含まれることが好ましい。また光の照射直後は、後述のエポキシ化合物が反応して光カチオン発生剤由来のカチオンが生成されるが、カチオン重合反応は(A)成分の単官能エポキシ化合物と、(B)成分の多官能エポキシ化合物によって、進行しにくい。
図1Aに、本実施形態の一例である組成物(X)に、光を照射した直後の組成物(X)の貯蔵弾性率(G‘Pa)及び損失弾性率(G“Pa)を、レオメーター(AntonPaar製のMCR−102)で測定した結果を示す。なお、「貯蔵」とは弾性体の性質を示し、「損失」とは粘性体の性質を示す。これによると、光の照射直後には、貯蔵弾性率(G‘Pa)が損失弾性率(G“Pa)よりも大きくなっている。すなわち、光照射直後の組成物(X)は、弾性体の性質の方が、粘性体の性質よりも大きくなっている。このような状態の組成物(X)は形状が保持されやすく、組成物(X)の塗膜の変形、貼り合わせ時の組成物(X)のはみ出し等を抑制できる。
組成物(X)は、光を照射してから所定時間は、形状保持可能な一次硬化状態に保たれ、粘着性を有しているが、接着性は有していない。また組成物(X)が完全硬化することによって固着された状態となる。すなわち組成物(X)は、遅延硬化性を有する。このため、組成物(X)は、光照射後に複数の部材同士を貼り合せる時間的な猶予があり、複数の部材同士を貼り合わせ可能な時間(可使時間)がある。このため、複数の部材同士を貼り合わせた後に、分離しやすく、リワークが行いやすい。一方でこの可使時間が長過ぎると、接着プロセスに多くの時間を要するため、生産性が低下する。生産プロセスに適した時間に硬化特性を設計できることがメリットとなる。更に、複数の部材同士を貼り合わせた後に、組成物(X)に熱等のエネルギーを追加で付与しなくても、部材を貼り合わせる前の光照射のみで組成物(X)の硬化反応が自発的に進行して、硬化を完了させることができる。例えば、遮光性の部材、光透過率が低い部材等を貼り合わせる場合であっても、組成物(X)の未硬化を抑制することができる。組成物(X)の遅延硬化性は、単官能エポキシ化合物((A)成分)及び単官能オキセタン化合物((F)成分)の少なくとも一方、多官能エポキシ化合物((B)成分)、及び光カチオン発生剤((C)成分)、に由来する。
図1Bに、本実施形態の一例である組成物(X)の、光照射後の経過時間に対する貯蔵弾性率(G‘Pa)の変化を、レオメーター(Anton Paar製のMCR−102)で測定した結果を示す。これによると、光の照射前は貯蔵弾性率が低く、組成物(X)は液状である。また光の照射直後から照射終了まで、一次硬化によって貯蔵弾性率が急激に上昇して、組成物(X)は一次硬化状態となり、粘着性が生じる。また光の照射終了時から一定時間は、貯蔵弾性率は一定に保たれる。すなわち、組成物(X)は一次硬化状態のまま維持される。その後、二次硬化によって貯蔵弾性率が急激に上昇し始める。貯蔵弾性率が急激に上昇する時期が二次硬化の硬化開始時間である。また貯蔵弾性率が急激に上昇して、組成物(X)の接着力が1N/cm以上になった状態が二次硬化状態である。すなわち、二次硬化によって組成物(X)の接着力が発現する。その後、貯蔵弾性率が飽和することによって、貯蔵弾性率の上昇が穏やかになり、組成物(X)が完全硬化がする。二次硬化の開始時間から完全硬化までの時間が硬化完了時間である。
組成物(X)が一次硬化状態である時間は、組成物(X)の組成、光の照射強度、及び組成物(X)の温度等によって変化する。すなわち、組成物(X)に光が照射されてから二次硬化が開始するまでの時間を、制御することができる。実際に組成物(X)で複数の部材を貼り合わせることを想定すると、温度25℃における雰囲気下で、50mJ/cm以上の照射量で波長365nmの光が照射された直後、5秒以上60分以内は一次硬化状態であり、その後、12時間以内に硬化することが好ましい。このような性状となるように、組成物(X)の組成などを調整することが好ましい。
組成物(X)が一次硬化状態である時間は、5秒未満であると複数の部材を貼り合せる猶予が少なく現実的でないが、60分を超えると、周辺の温度変化や人為的な要因も含め、複数の部材の位置ずれが生じる可能性が高くなり、また組成物(X)が完全硬化するまでに要する時間が長くなってしまう。また、硬化完了時間は、生産性の観点から、12時間以内が妥当と考えられるが、この時間が短いほどより好ましい。また、光の照射量は、50mJ/cm以上が妥当であるが、これ未満であると光の照射で発生するカチオン種の量が少なく、カチオン重合反応の停止、硬化不良等が生じる恐れがある。また、光の照射量が多いほど、カチオン重合反応が速くなり、組成物(X)が一次硬化状態である時間、及び硬化完了時間が短くなる。カチオン重合反応において、カチオン種の発生量と、光の照射量とは、正の相関関係がある。一方で、カチオン重合反応に光は関与せず、温度によって影響を受ける。このため、低温下ではカチオン重合反応が遅くなり、高温下ではカチオン重合反応が速くなる。この現象を応用し、低温で光照射することにより、組成物(X)が一次硬化状態である時間を長くすることができる。また、貼り合せ後に加熱することで養生時間を短縮できる。本実施形態の組成物(X)が遅延硬化性を示すメカニズムは以下のように推測される。
組成物(X)が光を吸収すると、光カチオン発生剤((C)成分)由来のカチオン種が生成される。このカチオン種が単官能エポキシ化合物((A)成分)及び単官能オキセタン化合物((F)成分)と反応することより、カチオン重合反応が開始される。(A)成分は、分子中に一つのエポキシ基を有することから、カチオン重合反応によって、三次元架橋することはない。(F)成分は、分子中に一つのオキセタン環を有することから、カチオン重合反応によって、三次元架橋することはない。このため、組成物(X)に光を照射してから一定時間の間は、(A)成分及び(F)成分のみが反応して、架橋反応は生じない。つまり、組成物(X)は完全硬化しない。このため、アクリル系化合物のカチオン重合反応によって一次硬化状態になった組成物(X)から、殆ど弾性率が上昇しない。このため、組成物(X)が一次硬化状態のまま維持されているように見える。その後、多官能エポキシ化合物((B)成分)及び多官能オキセタン化合物((H)成分)のカチオン重合反応が進行して、架橋反応が進行することによって、組成物(X)の弾性率が上昇していく。また、カチオン種が(B)成分及び(H)成分と反応することによっても、カチオン重合反応が生じる。(B)成分は、分子中に二つ以上のエポキシ基を有するため、カチオン重合反応によって、三次元架橋構造を形成する。また(H)成分は、分子中に二つ以上のオキセタン環を有するため、カチオン重合反応によって、三次元架橋構造を形成する。このため、組成物(X)に光を照射してから一定時間経過後に、組成物(X)が完全硬化する。
尚、遅延硬化性の挙動を示す組成物は、従来から存在している。しかしながら、従来の遅延硬化性組成物は、ポリエーテル系、チオエーテル系等の遅延硬化剤によって、光カチオン発生剤由来のカチオン種をトラップし、カチオン重合反応の開始時期を遅らせるものである。組成物(X)は、カチオン重合反応の開始時期ではなく、重合反応自体、すなわち成長反応を制御している点で、従来の遅延硬化性組成物とは異なっている。
また組成物(X)は、光が一度照射されると、上記のラジカル重合反応とカチオン重合反応とが開始されると共に、このカチオン重合反応が自発的に進行する。このため、組成物(X)に対する光の照射時間は一度でよく、短くてよく、組成物(X)が硬化するまで光を照射し続けなくてもよい。このため、組成物(X)を硬化させるにあたり、紫外線及び熱、または紫外線及び湿気のような複数の処理を施す必要がない。カチオン重合反応が自発的に進行するメカニズムは以下のように推測される。
組成物(X)に含まれる(A1)成分及び(B1)成分は、分子中にポリエーテル骨格を有する。このため、ポリエーテル骨格とカチオン種とが存在する場合には、ルシャトリエの原理に従い、遊離のカチオン種の濃度の応じて、ポリエーテル骨格とカチオン種との会合・遊離が起きる。すなわち、組成物(X)中にカチオン種が多く存在している場合には、平衡が会合側に傾き、遊離のカチオン種が減少する。一方、遊離のカチオン種が減少した場合には、平衡が遊離側に傾き、遊離のカチオン種が供給される。
一般的に、(C)成分が光を吸収すると、カチオン種が発生される。このカチオン種が(A)成分及び(F)成分と反応することで、カチオン重合反応が生じる。この際、カチオン種の量が多いとカチオン重合反応が早くなり、カチオン種の量が少ないと、カチオン重合反応が遅くなる。
組成物(X)に光を照射した直後には、(C)成分から多量のカチオン種が発生される。これらのカチオン種の一部は、(A)成分及び(F)成分)のカチオン重合反応によって消費されるが、残りのカチオン種はポリエーテル骨格と会合する。カチオン重合反応が停止すると、組成物(X)中のカチオン種の量が低下するため、ポリエーテル骨格とカチオン種の遊離・会合の平衡は遊離側に傾き、組成物(X)中に新たなカチオン種が供給される。この新たなカチオン種によって、カチオン重合反応が継続される。その結果、組成物(X)に対する光の照射終了後も、カチオン重合反応が自発的に進行する。
またポリエーテル骨格とカチオン種の遊離・会合は、光の照射とは関係なく進行する。このため、光の照射終了後も、失活によるカチオン濃度低下に伴いカチオンが供給されるため、カチオン重合反応が進行する。その結果、組成物(X)は、光を照射後一定時間は一次硬化状態に保たれ、その後、光の照射や加熱を行わなずとも、硬化が完了する。組成物(X)は、光の照射直後に急激に粘度が上昇して一次硬化状態になるが、その後の粘度上昇はなだらかになり、組成物(X)が一次硬化状態である時間が長くなる。その結果、部材を接着するための時間(可使時間)を長く取ることができ、取り扱い性に優れる。
また組成物(X)は、(A1)成分及び(B1)成分を含むため、組成物(X)の硬化後もポリエーテル骨格部分がブリードアウト(組成物(X)の硬化物表面への染み出し及び浮き出し)を抑制することができる。仮に、ポリエーテル骨格を有するエポキシ化合物以外の化合物を採用した場合には、組成物(X)の硬化物にポリエーテル骨格を有する化合物が組み込まれにくくなり、硬化物の3次元網目構造からポリエーテル骨格を有する化合物が離脱しやすくなる。これにより、ポリエーテル骨格を有する化合物のブリードアウトが生じやすくなる。
また組成物(X)は、多官能オキセタン化合物((H)成分)を含有することによって、組成物(X)の二次硬化の硬化開始時の粘度上昇を急峻にすることができる。そのメカニズムは以下のように推測される。
エポキシ化合物のカチオン重合反応においては、カチオン種の連鎖移動によって、カチオン種が分子内部に移動して、反応が停止することがある。カチオン種の連鎖移動は、エポキシ化合物で起きやすいが、(H)成分では起きにくい。このため組成物(X)が(H)成分を含むことにより、連鎖移動によるカチオン重合反応の停止を抑制することができる。これにより、組成物(X)の粘度上昇を急峻にできる。つまり、組成物(X)が(A1)成分及び(B1)成分と(F)成分とを含むことによって、初期の粘度上昇をゆるやかにし、所定時間を一次硬化状態に保った後に、(H)成分によって急峻な粘度上昇を生じさせる。これにより可使時間を確保しつつ、その後の工程で作業可能な十分な接着強度を得られるまでの時間(硬化完了時間)をより短くすることができる。
上記のような組成物(X)は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(G)成分、及び(H)成分の配合割合、種類等を変更することによって、所望の硬化特性(組成物(X)が一次硬化状態である時間及び硬化完了時間)を有するように制御することができる。
組成物(X)が一次硬化状態である時間は、組成物(X)の組成、光の照射強度、組成物(X)の温度等によって変化する。例えば光の照射量を多くする、または光照射時の温度を高くすることにより、カチオン重合反応の反応速度を速くすることができる。また光の照射量を少なくする、または光照射時の温度を低くすることにより、カチオン重合反応の反応速度を遅くすることができる。このため、光照射時の照射量、または光照射時の温度を調整することにより、組成物(X)が一次硬化状態である時間及び硬化完了時間を任意に調整することができる。また組成物(X)の粘弾性を測定することによって、組成物(X)が一次硬化状態である時間を所定範囲になるように設計することもできる。
また、組成物(X)が(D)成分および(E)成分からなるラジカル硬化性成分と(A)成分、(B)成分、(C)成分、(F)成分および(H)成分からなるカチオン硬化性成分を含む場合、ラジカル硬化性成分が多すぎるとカチオン硬化で必要となるカチオン種の反応が阻害され、十分な硬化が行われない問題が生じる。このため、ラジカル硬化性成分に対しカチオン硬化性成分の配合量を適宜調整する必要があり、カチオン硬化性成分の方が多くなるようにすることが好ましい。具体的には、カチオン硬化性成分とラジカル硬化性成分の質量比は55:45〜90:10であることが好ましい。また、(E)成分は光照射中のラジカル硬化性成分のラジカル重合でのみ機能するため、必要以上に添加することは好ましくない。(E)成分は(D)成分に対し0.5質量%以上5質量%以下を含むことが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であれば一次硬化にてラジカル重合反応によりラジカル硬化性成分を十分に反応せしめ、かつラジカル硬化性成分の反応を阻害することなく、二次硬化を所定の時間内に行うことが可能となる。
本実施形態では、(A)成分を全く含まない場合にも(F)単官能オキセタン化合物を含有させることにより、効果的に遅延硬化性を付与することが可能である。これは、単官能エポキシ化合物に比べて、単官能オキセタン化合物の初期の反応速度が遅いことに起因する。これにより、光照射後の組成物(X)の粘度上昇を著しく抑えることが可能となり、光照射後も液体で貼り合わせることができる可使時間を長く保つことが可能となる。また、(A)成分や(B)成分のエポキシ成分がエーテル結合を含む場合には(F)単官能オキセタン化合物と合わせて一次硬化状態を非常に長く保つことが可能となる。さらに(H)多官能オキセタン化合物を併用することで、所定時間後に急激な粘度上昇を発生させ、完全硬化までの時間を短くすることが可能となる。つまり、(F)単官能オキセタン化合物と(H)多官能オキセタン化合物を組み合わせることで、効果的な遅延硬化性を付与することが可能となる。
また、(E)光ラジカル発生剤と(D)アクリル系化合物を含有しない場合には、一次硬化状態は形状保持性を有しないが、液体状を保ち、塗布部材に塗布樹脂の形状を保護するスペーサなどを付加することで、貼り合わせ時に一定の厚みを持たせて貼り合わせ、(H)多官能オキセタン化合物による急激な粘度上昇にてより短時間で完全硬化に至る遅延硬化性光硬化性樹脂組成物を得ることも可能である。しかし、この場合には貼り合わせ時には全くの液体状態であるため、貼り合わせ状態を保持するための治具や接着力が発現するまでの時間を要することになる。
しかしながら、(E)光ラジカル発生剤と(D)アクリル系化合物を含有する場合は、前述のように一次硬化状態を形成できるため、貼り合わせ時に形状保持と粘着性を有することが可能となり、完全硬化(二次硬化)までに一定以上の力が加わらなければ貼り合わせを維持することが可能であり、光ラジカル発生剤とアクリル系化合物にて一次硬化状態をつくり、粘着状態を保持したまま(F)単官能オキセタン化合物もしくは(A)単官能エポキシ化合物で二次硬化時間を遅延させ、(H)多官能オキセタン化合物にて急激な二次硬化を起こさせることにより完全硬化までの時間を制御することが可能となる。よって、(E)光ラジカル発生剤と(D)アクリル系化合物を含み、(F)単官能オキセタン化合物と(H)多官能オキセタン化合物を含む組成物(X)は貼合しやすく、リワークも可能で完全硬化までの時間を制御できるため、生産性の高いものである。
3.接着剤
組成物(X)は接着剤として使用することができる。特に、スマートフォンや携帯電話などに使用される光学系部材を接着する際の接着剤として使用することができる。組成物(X)は適宜の溶媒で希釈して接着剤を調製してもよい。また光学系部材ではないものを接着するときには組成物(X)の着色についてはそれほど考慮する必要はない。(E)光ラジカル発生剤と(D)アクリル系化合物を含み、(F)単官能オキセタン化合物と(H)多官能オキセタン化合物を含む接着剤においては、一度の光照射にて形状保持が可能で粘着性が発現し、その後、そのまま硬化するため、暗部や対候性処理を施して硬化のための光が届かない場所の接着などに非常に有用である。また光で硬化するため、温度をかけることができない部材への適応は特に有効である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
1.組成物(X)の調製
プライミクス社製のディスパーを使用して、表1に示す質量割合で配合した各成分を均一に混合して、組成物(X)を調整した。尚、表1に示す各成分の詳細は以下の通りである。
・(A2−1):グリシジルエーテル
・(A2−2):クレジルグリシジルエーテル
・(B1):ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル
・(B2):ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂
・(B3):水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・(C−1):トリアリールスルホニウム塩
・(C−2):トリアリールスルホニウムボレート塩
・(D−1):ラウリルアクリレート
・(D−2):1,9−ノナンジオールジアクリレート
・(E):1−ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン
・(F):2−エチルヘキシルオキセタン
・(G1):液状イソプレンゴム(水添なし)
・(G2):水添ポリブタジエンゴム
・(H−1):3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン
2.評価
「遅延時間」
遅延硬化性の指標として、室温25℃雰囲気下で紫外線照射後の粘度変化を用いて遅延時間を測定した。UV照射型レオメータ(株式会社アントンパール・ジャパン製、MCR−100)を用いて表1に記載した各実施例および比較例の組成物の紫外線照射前の粘度と照射後の粘度変化を測定した。紫外線の光源としてはUV−LED光源(浜松ホトニクス株式会社製、LC−L2、中心波長365nm)を使用し、紫外線を100mW/cmの照度で5秒間照射し、合計500mJ/cmの照射量とした。
遅延時間は、液状の光カチオン重合組成物への紫外線照射直後から光カチオン重合組成物の粘度が50000Pa・sに達するまでの時間とした。これは流動性がほとんど失われ、貼り合せが不可能になる粘度が50000Pa・s程度であるためである。この遅延時間が15秒以下では貼り合せるための猶予が少なく、60分以上であれば、部材の位置ずれが起こる可能性が高くなる。
また、光ラジカル発生剤とアクリル系化合物を含む場合は、光照射において一次硬化状態となり、粘着性が生じる。その後、光カチオン重合組成成分の硬化が生じ、粘度が50000Pa・sの二次硬化状態となる。この場合、一次硬化は光照射中のみで生じ、一定の弾性を持ち、粘着生を持ち、粘度が50000Pa・sとなるまでを遅延時間として示した。光ラジカル発生剤を含む場合の遅延時間は60分以上に長くなる場合があるが、一次硬化状態を持つことから、その状態での貼り合わせと粘着性による取り回しが可能であるため可使用時間は長く、治具などで保持するいわゆる養生時間は比較的短くなる。
「変色」
2枚のガラス板とスペーサーを用い、樹脂部分の厚みが1mmになるようにガラス板の間に組成物(X)を挟み込んだ。これに活性エネルギー線を3000mJ/cm照射し、その後室温で1日養生することで試験片を作成した。
上記方法で作成した試験片を95℃の恒温槽に投入し、所定時間放置後、変色の測定を行った。
以上の操作で変色を測定し、以下の評価をした。
A:変色がないもの
B:変色は軽度であるが、実用上問題があるもの
C:変色が生じるもの
D:変色が大きいもの
3.結果
光ラジカル発生剤とアクリル系化合物を含まない実施例1〜4においては光照射後は液体状を示し、硬化までに遅延時間を生じた。
(A)成分を含まない実施例1においては、エーテル骨格含有の(B)多官能エポキシ化合物と(F)単官能オキセタン化合物を含むことで、硬化に2時間以上を要した。エーテル骨格を有さない(B)多官能エポキシ化合物を含有する実施例2では、硬化までに2時間を要した。
次に、(F)単官能オキセタン化合物の配分を調整し、エポキシ含有量を増加させたところ、実施例3,4のように60分以内の硬化が可能となった。またエーテル骨格を少量含むことで硬化までの時間を長くすることができた。
一方、(E)光ラジカル発生剤と(D)アクリル系化合物を含む実施例5においては、光照射後に1次硬化状態で粘着体となり、硬化までの60分間は粘着性を有した。
実施例6,7では、水添のエポキシ、エラストマーを含有することで変色を押さえつつ60分以内の硬化が可能となった。
Figure 2019167415

Claims (7)

  1. 光で硬化する光硬化性樹脂組成物であって、
    (B)多官能エポキシ化合物を10質量部以上95質量部以下、
    (F)単官能オキセタン化合物を5質量部以上90質量部以下
    で含有する光硬化性樹脂組成物。
  2. さらに(H)多官能オキセタン化合物を含有し、
    前記(B)多官能エポキシ化合物と前記(H)多官能オキセタン化合物の各含有量の合計が10質量部以上95質量部以下である
    請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(H)多官能オキセタン化合物の含有量が1質量部以上30質量部以下である
    請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)多官能エポキシ化合物が2官能エポキシ樹脂を含有する
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. さらに(D)アクリル系化合物を含有する
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. さらに(A)単官能エポキシ化合物を含有し、
    前記(A)単官能エポキシ化合物と前記(B)多官能エポキシ化合物の各含有量の合計と、前記(D)アクリル系化合物の含有量との質量比が、5:95〜90:10である
    請求項5に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光硬化性樹脂組成物を含有する
    接着剤。
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