JP2019164020A - 液膜厚さ測定装置 - Google Patents

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Kiyonobu Sugae
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Abstract

【課題】繰り返し液膜厚さを測定しても自然な大気腐食環境を維持できる液膜厚さ測定装置を提供する。【解決手段】液膜厚さ測定装置1は、導電性部材2と、プローブ3と、抵抗測定部4とを含む。プローブ3は、導線6と、撥水層7とを含む。導線6は、導電性部材2に対向し導電性部材2と電気的に接続される。撥水層7は、導線6先端の側部に定着して設けられる。プローブ3は、導電性部材2に対して近接離間方向に往復移動可能である。抵抗測定部4は、導線6と導電性部材2との間の電気抵抗を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、液膜厚さ測定装置に関する。
金属は、様々な機械製品、構造部品等に使用される。金属は大気にさらされると、腐食することが知られている(以下、大気腐食ともいう)。金属が腐食すると強度等の様々な機械特性が劣化する。金属の機械特性が劣化すると製品等の性能も劣化する。ここで、金属の腐食速度は、金属表面に付着した液膜の厚さ等の影響を受けることが知られている。したがって、金属の腐食環境を把握するために、金属表面に付着した液膜厚さを知ることは重要である。
液膜厚さを測定する方法は、(1)観察法、(2)赤外線反射吸収法、(3)反射光法等がある。(1)観察法は、試料面上に形成した液膜を水平方向からCCDカメラ等で観察し、液膜厚さを測定する。(2)赤外線反射吸収法は、赤外光が水分子に吸収されやすいという特性を利用する。赤外光を液膜に照射し、試料面から反射した赤外光を受光し、液膜に吸収された赤外光の量から液膜厚さを測定する。(3)反射光法は、レーザ、X線等の直線性を有する光を液膜に照射し、試料面からの反射光を受光する。照射した光と受光した反射光との光度変化から液膜厚さを測定する。
しかしながら、観察法では、測定精度がCCDカメラの解像度に依存し、たとえば50μm以下の薄い液膜厚さを測定することは困難である。赤外線反射吸収法及び反射光法では、観察法等による液膜厚さ測定結果を検量線として用いなければ、精度の高い液膜厚さの測定は困難である。また、赤外線反射吸収法及び反射光法(光学式測定法)では、赤外線やレーザ等が試料に向けて照射されるため、試料や液膜が赤外線やレーザ等と光電気化学反応を起こし、試料の特性が変化することがある。金属の大気腐食の進行を調査するためには、測定対象の金属(試料)の特性は変化しない方が望ましい。
これに対し、その他の液膜厚さを測定する方法として、接触法がある。接触法は、導電性を有する試料面上に液膜を形成し、プローブを上方から降下させ液膜に接触させる。プローブが液膜に接触すると試料とプローブとの間の電気抵抗が変化する。この電気抵抗の変化を検出し、プローブの移動距離と電気抵抗値の変化から液膜厚さを測定する。このような接触法によれば、上述の観察法及び光学式測定法での問題は生じない。
接触法による液膜厚さの測定装置はたとえば、特開2006−317323号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1に記載されている液膜厚さ測定では、固定電極上に水膜を形成する。固定電極と対向する移動電極を降下させ、水膜を経て固定電極と接触させる。移動電極が固定電極に接触した位置をメモリが記憶する。その後、移動電極を一度上昇させる。そして、再度、移動電極を降下させ、移動電極が固定電極上の水膜と接触すると、移動電極と固定電極との間の電気抵抗が変化する。この電気抵抗が変化したときの移動電極の位置をメモリが記憶し、先に記憶した移動電極と固定電極とが接触した位置との関係から水膜の厚さを測定する。
特開2006−317323号公報
特許文献1の測定装置では、水膜の厚さを測定するために、一度移動電極を固定電極と接触させる必要がある。そのため、移動電極を上昇させたとき、移動電極が水膜から液を奪い、一部の液が移動電極に付着する。すなわち、水膜の量(膜厚)が変化する。特許文献1では、測定対象とする地面上や道路上等の水膜の厚さが1mm以上と大きいため、移動電極に付着する液量が測定に大きく影響することはない。
しかしながら、金属の大気腐食は金属表面の液膜の厚さが数十μmであるときに顕著に進行するため、金属の大気腐食を調査する際には、数十μmの薄い液膜厚さを測定することが求められる。このような数十μmの厚さの液膜の体積は、地面上や道路上の水膜よりもはるかに小さい。そのため薄い液膜では、移動電極に奪われる液量が膜厚測定に及ぼす影響は大きい。
また、金属の大気腐食の進行は時間に依存する。そのため、大気腐食を調査する際には、液膜の厚さの変化を長時間にわたって把握する必要がある。すなわち、大気腐食を調査するには、液膜の厚さを、時間をおいて複数回測定する必要がある。特許文献1の測定装置では、測定の度に移動電極により測定対象の液膜から液が奪われるため、測定毎に液膜の体積が変化する。現実の金属の大気腐食環境では、液の蒸発により液膜の体積が変化し、急激に液膜の体積が変化することはない。すなわち、特許文献1の測定装置では、自然な大気腐食環境を維持することが困難である。
本発明の目的は、繰り返し液膜厚さを測定しても、膜厚に大きな変化を加えることがなく、自然な大気腐食環境を維持できる液膜厚さ測定装置を提供することである。
本発明の液膜厚さ測定装置は、導電性部材と、プローブと、抵抗測定部とを含む。プローブは、導線と、撥水層とを含む。導線は、導電性部材に対向し導電性部材と電気的に接続される。撥水層は、導線先端の側部に定着して設けられる。プローブは、導電性部材に対して近接離間方向に往復移動可能である。抵抗測定部は、導線と導電性部材との間の電気抵抗を測定する。
本発明による液膜厚さ測定装置は、繰り返し液膜厚さを測定しても自然な大気腐食環境を維持できる。
図1は、液膜厚さ測定装置を示す図である。 図2は、プローブの一部を示す断面図である。 図3は、他の実施形態のプローブの一部を示す断面図である。 図4は、撥水層を含まないプローブを液膜に接触させた場合の模式図である。 図5は、撥水層を含まないプローブを液膜から離した場合の模式図である。 図6は、撥水層を含むプローブを液膜に接触させた場合の模式図である。 図7は、撥水層を含むプローブを液膜から離した場合の模式図である。
接触法による液膜厚さの測定では、導電性部材上に形成された液膜とプローブ先端(先端面を含む)とが接触することで液膜厚さが測定される。導電性部材は腐食環境を調査する対象となる金属である。金属の大気腐食は時間とともに進行するため、液膜厚さを測定した後、プローブを一度液膜から離し、放置する必要がある。プローブ先端を液膜に接触させるとプローブに液膜が濡れ上がる(浸漬濡れ性)。この状態でプローブを液膜から離すと、液膜から一部の液がプローブに付着して奪われる。そのため、測定毎に導電性部材上に形成された液膜の体積(厚さ)が変化し、自然な大気腐食環境が維持されにくい。
本実施形態の液膜厚さ測定装置は、導電性部材と、プローブと、抵抗測定部とを含む。プローブは、導線と、撥水層とを含む。導線は、導電性部材に対向し導電性部材と電気的に接続される。撥水層は、導線先端の側部に定着して設けられ、導線の外周面の少なくとも一部を覆う。プローブは、導電性部材に対して近接離間方向に往復移動可能である。抵抗測定部は、導線と導電性部材との間の電気抵抗を測定する。
プローブの液膜との接触部が撥水コーティングされていることにより、プローブ先端を液膜に接触させた後に離しても、プローブに液膜の液が付着しにくく、測定毎に液膜の厚さが大きく変化しない。したがって、本実施形態の液膜厚さ測定装置を用いて腐食環境を調査する期間を通じて自然な大気腐食環境を維持することができる。
導線の延在方向に垂直な断面形状は円であり、導線の半径に対する撥水層の厚さの比は、0.2以上、0.5以下であるのが好ましい。
撥水層の厚さが大きすぎれば、撥水層の形成に長時間を費やすことになる。また、撥水層の厚さが小さすぎれば、撥水層が剥がれたり、十分な撥水効果を発揮しにくくなる。以上のことから、本実施形態での撥水層の厚さを規定している。
撥水層はたとえば、フッ素樹脂によるコーティング層である。また、導線はたとえば、白金線である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、液膜厚さ測定装置を示す図である。液膜厚さ測定装置1は、導電性部材2と、プローブ3と、抵抗測定部4と、移動装置11とを含む。
[導電性部材]
導電性部材2は、腐食環境を測定する部材である。この導電性部材2の表面に液膜10を形成し、液膜10によって引き起こされる導電性部材2の大気腐食を調査する。導電性部材2の寸法は、測定対象に応じて適宜設定される。具体的には、測定対象となる液膜10の液径よりも小さい寸法となるように設定される。導電性部材2はたとえば、鋼等の金属である。後述するように、液膜厚さ測定装置1は、導電性部材2とプローブ3の導線との間の電気抵抗を測定することで液膜厚さを測定する。
導電性部材2は、非導電性の樹脂部材5に埋め込まれる。導電性部材2の表面(上面)は、樹脂部材5から表出する。導電性部材2の上面及び樹脂部材5の上面は、境界部分において滑らかにつながる。導電性部材2の表面及び樹脂部材5の表面に液膜10を形成するためである。たとえば、導電性部材2の表面及び樹脂部材5の表面は800番のやすりで湿式研磨されることで、これらの境界が滑らかになり、同一平面を形成する。導電性部材2及び樹脂部材5は、図示せぬ土台等に固定される。
[プローブ]
プローブ3は、導電性部材2の鉛直上方に配置される。プローブ3は、導電性部材2に対して鉛直方向に移動可能であり、導電性部材2に対して近接離間方向に往復移動可能である。液膜厚さを測定する際、プローブ3を導電性部材2に対して降下させ、プローブ3が導電性部材2の表面上に形成された液膜10と接触するとプローブ3と導電性部材2との間の電気抵抗が変化する。このときのプローブ3の降下量に基づいて、液膜厚さを測定する。
図2は、プローブの一部を示す断面図である。図2は、プローブの延在方向に沿った断面を示す。プローブ3は、導線6と、撥水層7とを含む。導線6はたとえば、白金線である。撥水層7はたとえば、フッ素樹脂コーティング層であり、導線6の一部又は全部をコーティングする。
導線6は、先端面8と、側面9とを含む。たとえば、導線6の断面が円形である場合、先端面8は導線6の一方の端面(下端面)であり、側面9は円柱形状の導線の外周面である。先端面8は、導電性部材2の表面と対向する。導線6は、導電性部材2と電気的に接続されている(図1の一点鎖線参照)。導線6と導電性部材2との接続は周知の方法で接続すればよい。さらに、導線6と導電性部材2とは後述する抵抗測定部4に電気的に接続される。
撥水層7は、撥水性を有する材料からなる。撥水層7は、少なくとも導線6の先端側部に定着して設けられ、外周面(側面9)を覆う。導線6の先端側部とは、導線6の先端面8から導線6の延在方向に所定の距離までの側面9の領域を意味する。撥水層7は、プローブ3を液膜10に接触させた際、液膜10の一部の液がプローブ3に付着し、奪うことを抑制する。したがって、撥水層7は、少なくともプローブ3の先端から液膜10の液が付着する(濡れ上がる)領域まで設けられる。液が濡れ上がる領域は、液膜10の組成、量、プローブ3の大きさ等の測定条件により様々である。したがって、撥水層7が設けられる領域は、導線6の先端面8から測定条件に対応した所定の距離まで設けられる。なお、プローブ3の浸漬濡れ性を低くするため、撥水層7は導線6の周方向全域にわたって覆うのが好ましい。
たとえば、液膜が水であり、液膜厚さが1mm以下、プローブ3(撥水層7)の直径が0.1mmとすれば、撥水層7を設けるべき所定の距離は約5mmである。すなわち、撥水層7は導線6の先端面8から5mmまでの側面9に設けられる。ただし、撥水層7が設けられる所定の距離は、撥水層7が設けられる必要がある最低限の距離である。したがって、先端面8から所定の距離を超えて側面9に撥水層7が設けられてもよい。
導線6の断面が円形の場合、導線6の直径に対する撥水層7の厚さの比は、特に限定されない。撥水層7の厚さが小さすぎれば、撥水層7が剥がれたり、十分な撥水効果を発揮しにくくなる。後述する実施例で示すように、導線6の半径に対する撥水層7の厚さの比が、0.2以上であれば、複数回液膜厚さを測定できる。一方、撥水層7の厚さが大きすぎれば、撥水層7の形成に時間を要し、好ましくない。したがって、導線6の半径に対する撥水層7の厚さの比は、0.5以下であるのが好ましい。なお、撥水層7の厚さとは円形断面の導線6の側面9に設けられた中空円形断面の撥水層7の外径から導線6の直径を差し引いた値を2で割った値を意味する。
撥水層7はたとえば、液化した撥水性材料(たとえばフッ素樹脂)に導線6を浸漬させることで設けられる。導線6を撥水性材料に浸漬させた後、乾燥させれば、導線6に撥水性材料が定着し、撥水層7が形成される。このように浸漬により撥水層7を形成することで、導線6の側面9に一様な厚さの撥水層7が形成されやすくなる。導線6の先端に撥水層7を形成した後、先端をやすりで削る、または切断することで導線6の先端を露出して導電性を担保した接触面とする加工を施す。このようにして、導線6の先端側部に撥水層7が設けられる。
導線6の先端面8と撥水層7の先端面は同一平面であるのが望ましい。しかしながら、本実施形態の液膜厚さ測定装置1は、導線6の先端面8と撥水層7の先端面とが同一平面でない場合を排除するものではない。上述のような導線6の先端の加工の際、導線6の先端面8と撥水層7の先端面を完全に同一平面に仕上げることは困難であるからである。したがって、導線6の先端面8は撥水層7の先端面から加工精度の分、僅かに突出していてもよい。
図3は、他の実施形態のプローブの一部を示す断面図である。導線6の先端面8は、導電性部材2の表面と平行でなくてもよい。たとえば導線6の先端面8を加工する際に、斜めに切削してもよいし、尖端状に切削してもよい。また、傾斜面として形成する場合は、導線6の先端面8の一部(上方側)に撥水層7を残存させてもよい。
続いて、撥水層7が導線6の側面9を覆うことの効果を説明する。
図4は、撥水層を含まないプローブを液膜に接触させた場合の模式図である。プローブ103が撥水層を含まない、すなわち導線106のみを含むプローブ103を液膜110に接触させる。撥水層を含まないプローブ103は、浸漬濡れ性が高いため、液膜110の液が導線106の側面に濡れ上がる。
図5は、撥水層を含まないプローブを液膜から離した場合の模式図である。液膜110に接触させた撥水層を含まないプローブ103を引き上げると、このプローブ103は浸漬濡れ性が高いため、液膜110の一部の液滴が導線106に付着する。そのため、導電性部材102の表面上に形成された液膜110の体積が、プローブ103に奪われた液の分、減少する(破線参照)。すなわち、導電性部材102の表面上に形成された液膜110の厚さが急激に変化する。金属の大気腐食は、液膜厚さが数十μmである薄い場合に顕著に進行する。薄い液膜において液の一部が奪われる場合、厚い液膜において同量の液が奪われる場合と比べて液膜厚さの変化割合が大きい。そして、現実に外気に曝された金属が大気腐食する場合、その金属表面の薄い液膜の液膜厚さが急激に変化することはない。現実には、蒸発等によって液膜の厚さは徐々に変化するからである。すなわち、液膜厚さ測定の際、プローブに液膜の一部の液が奪われると、自然な大気腐食の進行が妨げられ、正確な大気腐食に関する情報が得られにくくなる。
図6は、撥水層を含むプローブを液膜に接触させた場合の模式図である。導線6を覆う撥水層7を含むプローブ3を液膜10に接触させる。撥水層7を含むプローブ3は、浸漬濡れ性が低いため、液膜10の液が導線の側面に濡れ上がりにくい。
図7は、撥水層を含むプローブを液膜から離した場合の模式図である。液膜10に接触させたプローブ3を引き上げる際、このプローブ3は浸漬濡れ性が低いことから、液滴が付着しにくい。そのため、導電性部材2の表面上に形成された液膜10の体積が維持される。すなわち、プローブ3を用いて液膜厚さを測定した前後で大気腐食を把握する対象の導電性部材2の表面上に形成された液膜10の厚さが変化しにくい。したがって、測定毎に自然な大気腐食環境を維持することができる。特に、液膜厚さを繰り返し測定する際に、本実施形態の液膜厚さ測定装置1は顕著な効果を奏する。
なお、図示はしないが、導線6、導電性部材2及び抵抗測定部4を含む電気回路上には、この回路に電気を流す電源が設けられる。
[抵抗測定部]
抵抗測定部4は導線6と導電性部材2との間の電気抵抗を測定する。抵抗測定部4はたとえば、電流計及び電圧計を含む。導電性部材2とプローブ3の導線6とを電気的に接続し、電気回路を形成する。この電気回路に抵抗測定部4を設けることで、導電性部材2とプローブ3(導線6)との間の電気抵抗を測定できる。プローブ3の先端が液膜に接触していない場合、プローブ3と導電性部材2との間は空気であるため、電気抵抗が高い。一方、プローブ3の先端が液膜に接触した場合、プローブ3と導電性部材2との間は液膜であるため、電気抵抗が低い。したがって、プローブ3と導電性部材2との間の電気抵抗を測定すれば、プローブ3の先端が液膜に接触したことを把握することができる。
[移動装置]
液膜厚さ測定装置1は、移動装置11を含む。移動装置11は、プローブ3を鉛直方向に移動させて、プローブ3を導電性部材2に対して近接方向または離間方向に往復移動させ、これらの間隔を制御する。すなわち、移動装置11は、プローブ3を導電性部材2に対して相対的に移動させることが可能である。これにより、プローブ3を導電性部材2の表面上に形成された液膜10に接触させたり、離したりすることができる。
移動装置11はまた、プローブ3の移動距離を測定することで、プローブ3と導電性部材2との距離を計測する。これにより、プローブ3の先端が液膜10に接触した際、プローブ3の先端と導電性部材2との距離を測定すれば、その距離が液膜厚さとなる。具体的には、プローブ3の先端が液膜10に接触し、抵抗測定部4により測定された電気抵抗値が小さくなったときの、プローブ3の移動距離を移動装置11で測定することで、液膜10の鉛直方向の距離(液膜厚さ)を計測することができる。
移動装置11はたとえば、マイクロメータである。マイクロメータ11にプローブ3を固定すれば、マイクロメータ11を操作することでプローブ3を移動させることができる。また、後述するように導電性部材2の位置を基準設定しておけば、導電性部材2とプローブ3の先端との距離をマイクロメータ11で測定することができる。
液膜厚さ測定装置1は、液膜厚さを算出する算出装置12を含む。算出装置12は、抵抗測定部4及び移動装置11と電気的に接続され、抵抗測定部4によって得られた電気抵抗値と移動装置11によって得られたプローブ3の移動量とにより、液膜10の厚さを算出する。なお、算出装置12によらず、抵抗測定部(抵抗器)4及び移動装置(マイクロメータ)11の測定結果を目視で確認し、人手によって液膜10の厚さを算出してもよい。
続いて、本実施形態の液膜厚さ測定装置を用いた液膜厚さ測定方法を説明する。
[液膜厚さ測定方法]
導電性部材2を樹脂部材5に埋め込み、導電性部材2の表面及びその周囲の樹脂部材5を湿式研磨する。これにより、液膜10が形成される導電性部材2の表面及びその周囲の樹脂部材5の表面が滑らかになり、境界部分が滑らかに接続される。湿式研磨はたとえば、800番のやすりで行えば足りる。
湿式研磨後、上述した液膜厚さ測定装置1を設置する。プローブ3を降下させ、プローブ3の先端と導電性部材2とを接触させる。この位置で移動装置(マイクロメータ)11の基準を設定する(0点設定)。そして、プローブ3を上昇させる。
プローブ3を上昇させた後、導電性部材2の表面に液膜10を形成する。液膜10の形成はたとえば、スポイトで液を滴下すればよい。液膜10の組成は、把握する腐食環境に合わせて適宜設定すればよい。たとえば、大気腐食環境を把握する際には、液膜10は水、又は塩水である。
液膜10を形成した後、移動装置11を操作し、プローブ3を降下させる。その際、抵抗測定部4はプローブ3(導線6)と導電性部材2との間の電気抵抗を測定する。プローブ3の先端(導線6の先端面8)が液膜10に接触すると、プローブ3と導電性部材2との間の電気抵抗が大きく低下する。この時点で移動装置11の操作を終了し、プローブ3の降下を停止する。そして、移動装置11に表示された値を読み、基準設定された導電性部材2の表面からプローブ3の先端までの距離を計測する。計測された値が液膜10の厚さとなる。
本実施形態の液膜厚さ測定装置の効果を確認するため、液膜厚さ測定試験を実施した。本発明例として、上述した液膜厚さ測定装置、すなわち撥水層を含むプローブを用いて液膜厚さを測定した。比較例として、撥水層を含まないプローブを用いて液膜厚さを測定した。比較例では、プローブのみ本発明例と異なり、その他の試験条件は本発明例と同じであった。
[試験条件]
導電性部材は、鋼であった。導電性部材を樹脂部材に埋め込み、導電性部材の表面及びその周囲の樹脂部材を800番のやすりで湿式研磨した。本発明例及び比較例ともに、導線は直径100μmの白金線であった。本発明例では撥水層は厚さ20μmのフッ素樹脂であった。導電性部材の表面に直径6mmの液膜を形成した。液膜の組成は、濃度0.1モル/リットルの硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液であった。本発明例及び比較例ともに、プローブ先端が液膜に接触する前、導電性部材とプローブの導線との間の電気抵抗は14000Ωであり、導電性部材とプローブの導線との間の電気抵抗が0Ωとなったとき、プローブ先端が液膜に接触したと判断した。
本発明例及び比較例ともに、様々な厚さの液膜を測定した。測定は、液膜形成後に第1回目の測定を行い、第1回目測定後、一度プローブを液膜から離した。その後、第2回目の測定を行った。第1回目測定で測定された液膜厚さと第2回目測定で測定された液膜厚さとを比較し、プローブの接触による液膜厚さ(液膜の体積)の変化を調べた。
[試験結果]
試験結果を表1に示す。
Figure 2019164020
表1中、「目視液膜厚さ」は形成した液膜の厚さをスケールで目視により計測した結果を示し、「第1回目測定」は第1回目の測定での液膜厚さ測定結果を示し、「第2回目測定」は第2回目の測定での液膜厚さ測定結果を示し、「液膜厚さの差」は第1回目測定結果と第2回目測定結果との差を示す。表1中の数字の単位は全てμmである。
本発明例では、第1回目測定結果と第2回目測定結果との差が比較例と比べて小さかった。すなわち、本発明例では、複数回液膜厚さを測定しても液膜厚さを大きく減少させることはなく、自然な大気腐食環境を維持できたといえる。また、液膜厚さが薄い場合(たとえば液膜厚さ10μm)、特に本発明例の効果が発揮された。すなわち、本実施形態の液膜厚さ測定装置は、薄い液膜を対象とする金属の大気腐食の調査に適する。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
上述の説明では、導線が白金線の場合について説明した。しかしながら、本実施形態の液膜厚さ測定装置はこれに限定されない。導線はたとえば、銅、鋼等の導電性の線であってもよい。
上述の説明では、撥水層がフッ素樹脂である場合について説明した。しかしながら、本実施形態の液膜厚さ測定装置はこれに限定されない。撥水層はたとえば、蝋等の油脂状の物質であってもよい。要するに、撥水層は撥水性があればよい。
本実施形態の液膜厚さ測定装置はたとえば、金属の大気腐食調査試験において金属材料の腐食環境の測定に用いることができる。
1:液膜厚さ測定装置
2:導電性部材
3:プローブ
4:抵抗測定部
5:樹脂部材
6:導線
7:撥水層
8:先端面
9:側面
10:液膜
11:移動装置

Claims (4)

  1. 導電性部材と、
    前記導電性部材に対向し前記導電性部材と電気的に接続された導線と、前記導線先端の側部に定着して設けられた撥水層と、を含み、前記導電性部材に対して近接離間方向に往復移動可能なプローブと、
    前記導線と前記導電性部材との間の電気抵抗を測定する抵抗測定部と、を備える液膜厚さ測定装置。
  2. 請求項1に記載の液膜厚さ測定装置であって、
    前記導線の延在方向に垂直な断面形状は円であり、
    前記導線の半径に対する前記撥水層の厚さの比は、0.2以上、0.5以下である、液膜厚さ測定装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の液膜厚さ測定装置であって、
    前記撥水層はフッ素樹脂によるコーティング層である、液膜厚さ測定装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液膜厚さ測定装置であって、
    前記導線は白金線である、液膜厚さ測定装置。
JP2018051923A 2018-03-20 2018-03-20 液膜厚さ測定装置 Pending JP2019164020A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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