JP2019162401A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌効果の持続性に優れる吸収性物品を提供すること。【解決手段】表面シート2、裏面シート3及びこれら両シート間に配されている吸収体4を備え、縦方向X及び横方向Yを有する吸収性物品1であり、吸収体4は、繊維材料を含む吸収性シート401,402を構成部材として含む。吸収体4は、吸収体4の横方向Yの少なくとも中央部に、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート41、非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート42及びこれら両シート間に位置する中央吸収部43を含む積層構造を有し、中央吸収部43は、その厚み方向に、第1領域E及び繊維材料の密度が第1領域Eよりも高い第2領域Fを有しており、第2領域Fに抗菌剤8が配されている。【選択図】図4

Description

本発明は、吸収性物品に関する。
生理用ナプキン等の吸収性物品では、経血等の体液を吸収後に、不快な悪臭が発生したり、着用者の肌と体液とが接触することで痒み等のトラブルが生じることがある。このような不都合を解消する目的で、吸収性物品における抗菌機能について種々の検討がされている。例えば特許文献1には、吸収性物品の中央部分に、少なくとも抗菌機能などの付加機能を提供する機能性材料を含む機能性吸収体と、該機能性吸収体よりも着用者側に設けられ、該機能性吸収体よりも体液の拡散性が小さい着用者側吸収体とを備える、吸収性物品が記載されている。また、特許文献2には、周囲に比べて繊維量が50質量%未満の低密度部が形成された抗菌剤を含む抗菌活性シートを含む、吸収性物品が記載されている。また、特許文献3には、体液を吸収する吸収材料を含む吸収層と表面シートとの間に、抗菌剤と香料とを含む機能性材料が配置された機能性材料領域が設けられ、該機能性材料領域及び機能性材料領域と厚み方向において隣接する隣接層を厚み方向に圧縮した圧搾部が形成された吸収性物品が記載されている。
特開2010−110443号公報 特開2014−158509号公報 特開2016−067749号公報
特許文献1〜3に記載の吸収性物品は、抗菌機能が付与されているものの、体液が多量に排泄された場合や、該吸収性物品を長時間使用する場合に、菌の増殖を抑制し続けることが難しく、悪臭の発生や痒み等の肌トラブルを引き起こす虞がある。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及び、これら両シート間に、繊維材料を含む吸収性シートを構成部材として含む吸収体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、該吸収体の前記横方向の少なくとも中央部に、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート、非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート及びこれら両シート間に位置する中央吸収部を含む積層構造を有しており、前記中央吸収部は、その厚み方向に、第1領域、及び繊維材料の密度が第1領域よりも高い第2領域を有しており、前記第2領域に抗菌剤が配されている吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品によれば、抗菌効果の持続性に優れている。
図1は、本発明の吸収性物品の好ましい一実施形態である生理用ナプキンの平面図である。 図2は、図1に示す生理用ナプキンの有する吸収体の肌対向面側(表面シート側)を示す平面図である。 図3は、図1のIII−III線断面を模式的に示す断面図である。 図4(a)は、図1に示す生理用ナプキンが備える吸収体の中央吸収部の断面図であり、図4(b)は、同吸収体における中央吸収部の第2領域積層部を黒色に塗り潰した部分として示す同断面図である。図4(a)及び図4(b)を纏めて図4ともいう。 図5は、図4に示す吸収体を構成する吸収性シートの厚み方向の断面構造を示す拡大断面図である。 図6(a)〜(d)は、中央吸収部における中央吸収性シートの積層態様の他の例を示す吸収性物品の横方向及び厚み方向に沿う断面図である。
以下、本発明の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の一実施形態である生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう。)は、図1及び図3に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配されている液保持性の吸収体4を備えている。表面シート2、吸収体4及び裏面シート3は、一体化されて吸収性本体5を構成している。吸収性本体5の長手方向両側部の表面シート2側には、サイド防漏シート6が配されている。
サイド防漏シート6は、表面シート2に接合されていない自由端6aと、表面シート2に接合された接合線61の内側端部である固定端6bとを有しており、使用時には、固定端6bと自由端6aとの間が表面シート2から離間し、側方への横漏れを防止する防漏ポケットPを形成する。吸収性本体5の非肌対向面側の面にはショーツのクロッチ部への固定に用いられる本体粘着部(図示せず)が設けられている。また、ナプキン1は、縦方向Xにおける両側部に、吸収性本体5の側縁から横方向の外方に延出した一対のウイング部7を有している。一対のウイング部7の裏面シート3側の面には、ショーツのクロッチ部の非肌対向面への固定に用いられるウイング部粘着部(図示せず)が設けられている。
表面シート2、裏面シート3、サイド防漏シート6としては、生理用ナプキン等の吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。表面シート2は、肌対向面側に凹凸を有するものであっても良く、また構成繊維の表面に親水性を制御する目的の油剤等が付着しているものであっても良い。表面シート2が多層構造のものである場合、該表面シート2として、着用者の肌に近い側に位置する第1繊維層と、着用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層とを有し、両繊維層が、部分的に形成された多数の接合部によって厚さ方向に一体化されており、第1繊維層における、複数の該接合部どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、前記凹凸形状の凸部を形成している凹凸シートを用いることができる。凸部が中実構造である凹凸シートとしては、例えば特開2007−182662号公報や特開2002−187228号公報に記載のものを用いることができる。裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。裏面シート3は、液不透過性(液難透過性も含む)又は撥水性のものが用いられ、透湿性の樹脂フィルム等を用いることも好ましい。サイド防漏シート6としては、耐水圧の高い積層不織布、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
ナプキン1は、図1に示すように、着用時に着用者の液排泄部に対向配置される排泄スポット部を含む排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)に配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)に配される後方部Cとを有している。
ナプキン1及び吸収性本体5は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有する。即ち、ナプキン1及び吸収性本体5は、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cにこの順番に区分される。以下の説明において、特に説明しない場合、縦方向Xは、吸収性物品の縦方向X又はその構成部材における吸収性物品の縦方向Xに沿う方向であり、横方向Yは、吸収性物品の横方向Y又はその構成部材における吸収性物品の横方向Yに沿う方向である。吸収性物品の構成部材には、吸収性本体や後述する中央吸収部等、複数の構成部材からなる吸収性物品の部分も含まれる。
本発明の吸収性物品において、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(通常着衣側)に向けられる面である。本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態のナプキン1のように、ウイング部7を有する場合には、吸収性物品の縦方向Xにおいてウイング部を有する領域(一方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)である。また、吸収性物品が、ウイング部を有しない場合には、通常、吸収性物品を、その縦方向Xの全長を三等分して3領域に区分したときの中央の領域が排泄部対向部Bとなる。
ナプキン1においては、表面シート2は、吸収体4の肌対向面側の全域を被覆し、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面側の全域を被覆している。表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の縦方向Xの両端縁からの延出部分が互いに接合されている。また裏面シート3及びサイド防漏シート6は、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出した部分が互いに接合されている。このようにして、吸収体4が表面シート2と裏面シート3とで挟持され、表面シート2又はサイド防漏シート6と裏面シート3とがナプキン1の外縁部全周で接合されている。ナプキン1を構成するシート間の接合には、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の任意の接合手段が用いられる。なお、図1に示す例では、一対のサイド防漏シート6,6は、それぞれ、排泄部対向部Bに位置する湾曲線状の第1接合線61と、第1接合線61の縦方向Xの前後に位置するジグザグ線状の第2接合線62とで表面シート2に接合されているが、吸収体4の全長に亘って連続する直線状の接合線で、サイド防漏シート6と表面シート2とが接合されていても良い。
ナプキン1においては、図3に示すように、表面シート2と吸収体4との間に、不織布によって構成されたセカンドシート21が配されている。セカンドシート21は、その幅(横方向Yの長さ)が、吸収体4の幅(横方向Yの長さ)よりも短いことが好ましく、縦方向Xの長さは、吸収体4の縦方向Xの長さよりも長く、ナプキンの縦方向Xの全長に亘って配されていることが好ましい。セカンドシート21は、表面シート2及び吸収体4とは別体の、当該技術分野においてサブレイヤーシートとも呼ばれるシートであり、表面シート2及び/又は吸収体4とはストライプ状又はスパイラル状に設けられた接着剤等によって部分的に接合されている。セカンドシート21は、表面シート2から吸収体4への液の透過性を向上させたり、吸収体4に吸収された液の表面シート2への液戻りを低減させたりする役割を担うシートである。
なお、本発明の経血吸収用の吸収性物品は、前述のセカンドシートを具備しないものであってもよい。
吸収体4は、図3に示すように、繊維材料を含む吸収性シート401,402を構成部材として含んでおり、本実施形態では、吸収性シートが複数層積層された積層構造を有している。より具体的には、排泄部対向部Bにおいて、吸収体4の横方向Yの少なくとも中央部に、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート41、非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート42及びこれら両シート間に位置する中央吸収部43を含む積層構造を有している。
ナプキン1における中央吸収部43は、図2に示すように、排泄部対向部Bにおいて、吸収体4の横方向Yの中央部のみに配されているが、本発明における中央吸収部43は、吸収体4の厚み方向Zにおいて、表面側吸収性シート41と裏面側吸収性シート42との間に配されていれば良く、吸収体4の全幅に亘る幅を有していても良い。また、ナプキン1における中央吸収部43は、図2に示すように、吸収体4の長手方向の一部のみに配されているが、本発明における中央吸収部43は、吸収体4の長手方向の全長に亘る長さを有していても良い。なお、図2中、符号43s、43sは、中央吸収部43の幅方向の両端縁の位置を示している。
本実施形態における中央吸収部43は、図3及び図4(a)に示すように、中央吸収性シート402が複数層に積層された構造を有している。中央吸収部43は中央吸収性シート402が積層されていない単層構造を有していてもよい。
ナプキン1における中央吸収部43は、図3及び図4(a)に示すように、一枚の中央吸収性シート402が折り畳まれていることによって、中央吸収性シート402が複数層に積層された構造を有している。中央吸収部43における中央吸収性シート402は、吸収体4の横方向Yに離間した2か所の折り曲げ部b1,b2において折り曲げられて折り畳まれていることによって3層の積層構造を形成している。より詳細には、中央吸収性シート402は、中央吸収性シート402の縦方向Xに沿う一端縁e1から数えて1つ目の折り曲げ部b1において、裏面シート3側に折り曲げられ、前記一端縁e1から数えて2個目の折り曲げ部b2において、前記一端縁e1とは反対側の他端縁e2が3層の積層構造の内部に配されるように表面シート2側に折り曲げられており、全体として渦巻き状に折り畳まれている。
中央吸収性シート402は、このように折り畳まれていることによって、中央吸収性シート402の積層構造における肌対向面側、即ち表面シート2側に位置する上側シート43aと、積層構造における非肌対向面側、即ち裏面シート3側に位置する下側シート43bと、これら両シート43a,43b間に位置する中間シート43cとを形成している。図4に示す中央吸収部43は、図中、上側の面S1が、肌対向面側、即ち表面シート2側に向けられる面であり、下側の面S2が、非肌対向面側、即ち裏面シート3側に向けられる面である。
他方、表面側吸収性シート41は、中央吸収部43の肌対向面側に配され、該中央吸収部43の肌対向面側の全域を被覆しており、裏面側吸収性シート42は、中央吸収部43の非肌対向面側に配され、該中央吸収部43の非肌対向面側の全域を被覆している。表面側吸収性シート41と裏面側吸収性シート42とは別体のシートであっても良いが、本実施形態においては、一枚の幅広の本体吸収性シート401における幅方向の中央部分が、表面側吸収性シート41を構成し、本体吸収性シート401における吸収体4の非肌対向面側に位置する部分が、裏面側吸収性シート42を構成している。図3に示す例においては、本体吸収性シート401は、吸収体4の横方向の両端部において、非肌対向面側に折り曲げられており、その折り曲げ部より吸収体4の横方向の内方に延在する部分の先端部どうしが積層されている。
中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402は、図5に示すように、シートの厚み方向に、第1領域E及び繊維材料48の密度が第1領域Eよりも高い第2領域Fを有している。第1領域E及び第2領域Fは、中央吸収性シート402の面と平行な方向の全域に亘っている。第1領域E及び第2領域Fは、第1領域Eと第2領域Fとの境界が明確なように層状に積層されていても良いし、両者の境界部において、一方の繊維材料48が他方の繊維材料48の繊維間空隙に入り込む等によって、両者の界面が不明瞭となっていても良い。
本実施形態のナプキン1における本体吸収性シート401は、第1領域E及び第2領域Fのいずれにも抗菌剤を含まない以外は、中央吸収性シート402と同様の構成を有している。
中央吸収性シート402及び本体吸収性シート401が含む繊維材料48としては、疎水性の繊維を親水化処理したもの、それ自体が親水性である親水性繊維が挙げられる。特に、それ自体が親水性でかつ保水性を有するものが好ましい。親水性繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられる。保水性を有する親水性繊維としては、特に木材パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース繊維等のセルロース系繊維が挙げられる。セルロース系繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。セルロース系繊維の原料パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の非木材パルプが挙げられる。セルロース系繊維としては、セルロースの分子内又は分子間を適当な架橋剤によって架橋させた架橋セルロース繊維(パルプ繊維)、或いはセルロースの結晶化度を向上させたレーヨン繊維等の再生セルロース繊維等を用いることもできる。
中央吸収性シート402及び本体吸収性シート401は、セルロース系繊維とともに又はセルロース系繊維に代えて、合成繊維、例えば熱可塑性繊維を含んでいても良い。熱可塑性繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の単一の合成樹脂を用いて形成された単一繊維、或いは、これら2種以上の複合体等の合成樹脂を用いて形成された複合繊維、例えば、2種以上の合成樹脂を用いて形成した芯鞘型、サイドバイサイド型等の複合繊維を用いることもできる。
図1に示すように、ナプキン1では、中央吸収性シート402は、縦方向に関して、排泄部対向部Bから後方部Cの一部にかけて配されている。このため、中央吸収性シート402が配された部分はその周辺と比較して吸収体4の厚みが大きい肉厚部47となっている。したがって、中央吸収性シート402が配された部分では、吸収体4は、着用時に着用者の肌側と密着し易くなる。
中央吸収性シート402及び本体吸収性シート401のそれぞれに関し、第1領域Eよりも高密度な第2領域Fとする構成としては、例えば、第1領域Eと厚み方向に重なる全域に亘って第2領域Fを設ける構成や、第1領域Eと厚み方向に一部だけ重なるように部分的に第2領域Fを設ける構成等が挙げられる。本実施形態のナプキン1では、中央吸収性シート402及び本体吸収性シート401の双方ともに、第1領域Eの厚み方向に重なる全域に亘って第2領域Fが設けられている。
吸収性シートが、繊維材料の密度が相互に異なる第1領域E及び第2領域Fを有するか否かは、例えば、以下の手法により判断することができる。
[繊維材料の密度の測定方法]
マイクロスコープ(例えばKEYENCE社製「VHX−1000」)や走査型電子顕微鏡(例えば日本電子株式会社製のJCM−5100)を用いて、吸収性シート(不織布)または吸収体の厚み方向に沿う切断面を拡大観察し、該切断面の画像データを取得する。観察時の倍率は、繊維断面が10〜70本程度観察できる程度の倍率であって、通常20〜200倍の倍率である。前記切断面の観察視野において、一定視野面積(0.02mm)当たりの繊維の占める面積を画像解析によって測定する。具体的には、得られた画像をImageJなどの画像処理ソフトウェアを用いて、繊維と繊維が存在しない部分との明度境界に閾値を設定し、明度を二値化する。一般的に、白色と黒色とで二値化した場合、繊維は白色となり、繊維が存在しない部分は黒色となるため、吸収性シートの厚み方向において、白色部分が多い領域を第2領域F、黒色部分が多い領域を第1領域Eと識別することができる。次いで、前記一定視野面積(0.02mm)における白色を有する面積及び黒色を有する面積それぞれを計算して、単位面積当たり(1mm)の繊維の面積に換算し、これを繊維材料の密度(mm/mm)とする。なお、この繊維材料の密度の測定は、吸収性シートの第1領域E及び第2領域Fそれぞれの任意の3ケ所で行い、その平均値をサンプルの繊維密度とする。
中央吸収性シート402は、前述する方法により測定した第2領域Fの繊維材料の密度が、同様の方法により測定した第1領域Eの繊維材料の密度に対して、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは2倍以上であり、また好ましくは10倍以下、より好ましくは7倍以下であり、また好ましくは1.2倍以上10倍以下、より好ましくは2倍以上7倍以下である。
吸収性シートとは、シート状に成型されている吸収体のことであり、一般的に吸収性材料を積もらせた構造の吸収体とは区別される。吸収性シートの代表的なものとしては、特許2963647号記載のものや、特許2955223号記載のものなどが挙げられる。吸収性シートとしては、湿潤状態の高吸収性ポリマーに生じる粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを介して、構成繊維どうしの間や高吸収性ポリマーと構成繊維との間を結合させてシート状としたもの等を好ましく用いることができる。また、吸収性シートとしては、特開平8−246395号公報記載の方法にて製造されたパルプを含む吸収性シート、気流に乗せて供給した粉砕パルプ及び高吸収性ポリマーを堆積させた後、接着剤(例えば酢酸ビニル系の接着剤、PVA等)で固めた乾式シート、パルプを含む紙や不織布の間にホットメルト接着剤等を塗布した後高吸収性ポリマーを散布して得られた吸収性シート、スパンボンド又はメルトブロー不織布製造工程中に高吸収性ポリマーを配合して得られた吸収性シート等を用いることができる。これらの吸収性シートは、一枚を所定形状に裁断してシート状吸収体として用いることができる。
ナプキン1における吸収体4の中央吸収部43は、前述したとおり、中央吸収性シート402が3層に積層された構造を有しており、それによって、繊維材料の密度が相対的に低い第1領域Eと繊維材料の密度が相対的に高い第2領域Fとが、中央吸収部43の厚み方向Zにおける肌対向面側から非肌対向面側に向かって、第1領域E、第2領域F、第1領域E、第2領域F、第2領域F、第1領域Eの順で生じている。そして、図4(b)の黒色に塗り潰した部分が、繊維材料の密度が相対的に高い第2領域Fどうしが第1領域Eを介さずに直接積層された第2領域積層部44となっている。図4(a)及び図4(b)に示す中央吸収部43における第2領域積層部44は、中間シート43cの第2領域Fと下側シート43bの第2領域Fとから構成されている。
ナプキン1における吸収体4においては、中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402の第2領域Fに抗菌剤8が配されている。より具体的には、中央吸収性シート402におけるシートの面と平行な方向の全域における第2領域Fに抗菌剤8が配されている。したがって、上側シート43aの第2領域F、中間シート43cの第2領域F及び下側シート43bの第2領域Fの全てに抗菌剤8が配されており、第2領域積層部44を構成する2つの第2領域Fの双方、即ち中間シート43cの第2領域F及び下側シート43bの第2領域Fの双方に抗菌剤8が配されている。
本実施形態のナプキン1は、通常の生理用ナプキンと同様に、ショーツのクロッチ部等に固定して使用される。
本実施形態のナプキン1によれば、排泄部対向部Bにおいて、吸収体4の横方向Yの少なくとも中央部に中央吸収部43を有するため、着用者の排泄部に対して吸収体4が密着し、ナプキン1の着用中に、肌対向面側から供給された体液は、速やかに中央吸収部43に吸収される。その中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402は、排泄部対向部Bに位置しており、更に繊維材料の密度が相対的に低い第1領域Eと高い第2領域Fを有し、その第2領域Fに体液が導かれ、保持されやすい。また、中央吸収部はその肌対向面側に表面側吸収性シートを有しているので、中央吸収部に引き込まれた体液は着用者の肌へと戻り難い。そして、その第2領域Fには抗菌剤8が配されているため、中央吸収部43に吸収された体液は、中央吸収性シート402の第2領域F内において、排出された直後から抗菌剤8と長時間安定して接触することが可能になる。そのため、効率的に抗菌剤の抗菌効果を活用することができる。
中央吸収部43に抗菌剤を配することで上述した高い抗菌効果を得られるので、例えば、吸収体4全体に万遍なく抗菌剤を配さなくても良い。したがって、比較的少量の抗菌剤でも優れた抗菌効果が得られ、菌による悪臭の発生や菌による他のトラブルの発生を効率よく長時間抑制することができる。特に、表面側吸収性シート41に抗菌剤を塗工せずに吸収体4を製造すれば、着用者の肌へ抗菌剤が移行し難いので、抗菌剤が着用者の肌に存在する常在菌に対して接触し難くなるので、使用感が良好となる。
また本実施形態のナプキン1においては、前述のとおり、中央吸収部43が第2領域積層部44を有し、その第2領域積層部44を構成する第2領域Fに抗菌剤8が配されている。第2領域積層部44は、繊維材料の密度が高い第2領域Fが重なって存在する部分であるため、第2領域積層部44の抗菌剤8の単位面積当たりの量が第2領域積層部44以外の部分と比べて多く、体液は排泄された直後から抗菌剤と接触する確率が高くなる。また、繊維材料が高密度である液保持性の高い領域に囲まれた部位に抗菌剤があるため、体液を吸収した後であってもその体液及び抗菌剤8は第2領域積層部44からの移動が生じにくい。そのため、第2領域積層部44内の体液と抗菌剤8の接触頻度が高く維持されやすく、抗菌効果の持続性に優れる。そのため、例えば、(1)少量の抗菌剤であっても抗菌効果を長時間発現させることができる、(2)抗菌効果が得られる対象菌種の減少が生じにくい、(3)不快な臭いの発生抑制効果が長時間持続するといった効果が得られる。
斯かる効果は、第2領域積層部44を構成する2つの第2領域Fのうちの一方のみに抗菌剤が配されている場合も奏されるが、本実施形態のナプキン1におけるように、第2領域積層部44を構成する2つの第2領域Fの双方に抗菌剤8が配されていることがより好ましい。また、第2領域積層部44を構成する2つの第2領域Fのうち、少なくとも肌対向面側の第2領域Fに抗菌剤が配されていることが、抗菌効果の持続性の点から好ましい。
また本実施形態のナプキン1においては、吸収体4の平面視における第2領域積層部44の全域に抗菌剤8が配されている。
吸収体4の平面視における第2領域積層部44の全域に抗菌剤8が配されていると、体液が繰り返し排出された後、ナプキン1において体液が拡散した後でも、抗菌剤8と接触させる面積が増加し、体液と抗菌剤8をより広い範囲で接触させることができる。より広い範囲で体液と抗菌剤を接触させることで、より多くの体液に対して抗菌効果を得られるといった優れた効果を得ることができる。
体液との接触面積を増やし、抗菌効果を向上させる観点から、抗菌剤8は、中央吸収性シート402の面と平行な方向における第2領域Fの全域に分布していることが好ましい。抗菌剤8の坪量は、抗菌剤の種類等に応じて適宜に決定することができるが、一例を挙げると、好ましくは0.005g/m以上、より好ましくは0.03g/m以上であり、また好ましくは5.0g/m以下、より好ましくは3.0g/m以下であり、また好ましくは0.005g/m以上5.0g/m以下、より好ましくは0.03g/m以上3.0g/m以下である。
本発明で用いられる抗菌剤8としては、生理用ナプキンなどの吸収性物品において抗菌用途に用いられるものを特に制限なく用いることができる。例えば、抗菌性の金属、抗菌性金属担持物、有機系抗菌剤等が挙げられる。
抗菌性を有する金属としては、銅、銀、金、鉛、ニッケル、錫、亜鉛、鉄、ジルコニウム等が挙げられる。
抗菌性金属担持物としては、銀ゼオライト、ジビニルベンゼン−2−ビニルピリジン−2−ビニルピリジン銀共重合体(例えば特開2006−307404号公報記載のもの)、アルミニウム・銀・ナトリウム硝酸ケイ酸塩(例えば特開2005−232654号公報記載のもの)、銀又は亜鉛を担持した二酸化ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物(具体的には、抗菌性金属を担持した金属置換カンクリナイト様鉱物)、リン酸銀ジルコニウム、銀・亜鉛ゼオライトの混合物、等の水難溶性乃至水不溶性の抗菌剤が挙げられる。
有機系抗菌剤としては、第4級アンモニウム塩が好ましく、その中でも水難溶性のベンザルコニウムクロライド、セチルリン酸化ベンザルコニウム等が好適に挙げられる。
ナプキン1は、抗菌剤として水不溶性又は水難溶性の抗菌剤を含むことが好ましい。抗菌剤として、後述する水難溶性又は水不溶性の抗菌剤を用いると、抗菌剤が他の部位に移動することが抑制されるため、第2領域Fや第2領域積層部44における抗菌剤の濃度が維持されること等により、抗菌効果の持続性が一層向上する。水難溶性又は水不溶性の抗菌剤の例としては、上述した抗菌性金属担持物が好ましい。なお、抗菌性金属担持物が水難溶性又は水不溶性である、とは、担持された金属は水溶性であっても、抗菌性金属を担持する担体(好ましくは、多孔性粒子)が水難溶性又は水不溶性であることを意味する。
なお、本発明においては、中央吸収性シート402における繊維材料の密度が相対的に高い第2領域Fに抗菌剤8が配合されていることによって、体液が第2領域Fに保持され易い。そのため、抗菌剤8の第2領域Fから他の部材への移動が抑制されることから、水溶性抗菌剤も用いることができる。特に第2領域積層部44を構成する第2領域Fに抗菌剤8を配合した場合は、より効果的に、抗菌剤が第2領域Fから他の部材へ移動することを抑制できる。
ここで、抗菌剤が水難溶性であるとは、25℃のイオン交換水100g当たりに対する溶解度が20g未満であることを言い、水難溶性の抗菌剤の25℃のイオン交換水に対する溶解度は、好ましくは10g以下、更に好ましくは1g以下である。なお、本明細書では、上述した溶解度が0.1g以下である場合には、水不溶性とする。また、本明細書では、水難溶性と水不溶性をまとめて、上位概念の水難溶性とも言うことがある。他方、抗菌剤が水溶性であるとは、25℃のイオン交換水に対する溶解度が20g以上であること言い、水溶性抗菌剤の25℃のイオン交換水に対する溶解度は、好ましくは40g以上、更に好ましくは50g以上である。
前記溶解度は、次の方法によって測定することができる。200mLビーカーに入れた25℃のイオン交換水100gに対して、十分乾燥させた測定対象(抗菌剤)を投入し、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、マグネチックスターラーで600rpmで撹拌し、1時間撹拌しても溶解できない直前の投入量を、当該抗菌剤の25℃の水に対する溶解度とする。なお、マグネチックスターラーとしてはアズワン株式会社製HPS−100等を使用できる。
また抗菌剤8の含有量は、吸収体4の中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402の全質量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また好ましくは12質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、また好ましくは0.001質量%以上12質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下である。
本発明の吸収性物品は、吸収体4は消臭剤を含んでいることが好ましく、特に中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402が消臭剤を含んでいることが好ましい。吸収体4や中央吸収性シート402に消臭剤を配合することで、抗菌剤との組み合わせにより、菌による不快な臭いの発生を一層効果的に抑制することができる。
中央吸収性シート402が消臭剤を含む場合、その消臭剤は、第1領域Eのみが含んでいても良く、第2領域Fのみが含んでいても良く、第1及び第2領域E,Fの両方が含んでいても良いが、少なくとも第2領域Fが消臭剤を含んでいることが好ましい。抗菌剤は菌による臭い発生等を抑制する効果があるが、消臭剤は菌に拠らない臭いや、抗菌剤が作用する前に発生した臭いを抑制するのに有望である。中央吸収部43、特に第2領域Fに消臭剤が存在することによって、吸収性物品の肌対向面側及び非肌対向面側からの臭いの飛散を有効に抑制可能となる。
消臭剤としては、それ自体が臭気(臭気物質)に直接作用して、即ち臭気(臭気物質)を吸着、中和、分解等して、消臭効果を発現し得る物質であり、当該技術分野においても消臭用途に汎用されているものを用いることができる。本発明に用いられる消臭剤としては、例えば、多孔性粒子や、水溶性のpH緩衝剤が挙げられる。
消臭剤としての多孔性粒子とは、少なくとも粒子表面に多数の細孔を有する粒子であって、揮発する臭い成分をその孔に捕集、吸着及び/又は包摂できるものを指す。多孔性粒子の材質としては、有機化合物、無機化合物若しくはそれらの重合体、又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。その具体例としては、例えば多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔ピリジン共重合体等の芳香族系ポリマー、及びそれらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン及びキトサン等の天然の多孔質ポリマー;酸化亜鉛、活性炭、シリカ、二酸化ケイ素(シリカゲル)、ケイ酸カルシウム、アルミノ珪酸塩化合物、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、ゼオライト、及び水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質などの金属担持多孔質などが挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。消臭の対象となる尿や経血等の排泄液由来の臭い成分は、アンモニア、アミン類、脂肪酸類、硫化水素やメルカプタン類等の成分が複数混合されたものである。一般的に、これらの臭い成分の分子サイズは1nm以上であるので、平均細孔径が2nm以上である多孔性粒子を消臭剤として用いることで、複数の臭い成分を効果的に吸着することができる。
本発明で用いられる多孔性粒子の平均細孔径は、細孔径分布における細孔径のピークを意味する。多孔性粒子の細孔径のピークは、臭気の吸着効果と、後述する香料から揮散される香気成分を吸着しにくく、香りが変質、低減しにくくする観点から、香気成分の大きさよりも小さいことが好ましく、好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下、そして、好ましくは0.005μm以上である。多孔性粒子の細孔径のピークは下記方法により測定される。
<多孔性粒子の細孔径のピークの測定方法>
多孔性粒子の細孔径のピークは、細孔分布測定装置(日本ベル株式会社、商品名:BELSORP mini II)を用いて、液体窒素を用いた多点法により測定することができる。細孔分布におけるピークトップを細孔径のピークとする。測定試料は110℃で1時間加熱する前処理を施す。
また、水溶性のpH緩衝剤は排泄液などの液相中に発生した酸性やアルカリ性の臭い成分を中和し、pHの変化を小さくする剤である。すなわち、平衡作用による中和消臭剤である。このような剤としては、特に制限されるものでないが、例えば弱酸やその共役塩基、あるいはそれらの混合物又はその塩、弱塩基やその共役酸、あるいはそれらの混合物又はその塩などが挙げられる。水溶性のpH緩衝剤の具体例としては、弱酸としてはクエン酸等が挙げられ、その塩としてはNa、K、Ca等の金属塩が挙げられる。また弱塩基としては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンといったポリヒドロキシアミン化合物等が挙げられる。
特に本実施形態のナプキン1では、pH緩衝剤として、クエン酸とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとを含有するものが好ましい。これらのように、弱酸と弱塩基成分との組合せによって、酸性及びアルカリ性の臭い成分由来の臭いだけでなく、pH緩衝性を有する消臭剤だけでは抑制できなかった中性付近の臭いも含めて、臭いの産生を強力に抑制することができる。その結果、これらのpH緩衝剤を含む吸収体4を使用した吸収性物品1は、その着用が長時間に及んだ場合でも、排泄液に由来した臭いが着用者の周囲でほぼ気づかれることがない程度の高い消臭効果を実現することができる。
なお、上述した消臭剤のうち、多孔性粒子は抗菌性又は殺菌性の金属を担持することができる。その場合には、当該多孔性粒子は、消臭剤と抗菌剤の双方の性質を併せ持つものである。ナプキン1においては、吸収性物品に抗菌性金属を担持した多孔性粒子を含むことが好ましい。
本発明の吸収性物品は、吸収体4は香料を含んでいても良い。吸収体4は、中央吸収部43、即ち中央吸収性シート402に香料を含むことが好ましく、中央吸収部43における厚み方向の内部に位置する第2領域Fに香料を含むことがより好ましい。吸収体の製造工程において中央吸収性シート402の第2領域F側から香料を供給することが好ましい。その場合、第2領域どうしが対向するように中央吸収性シート402が積層された状態とすると、香料の他の部位への過度の揮散が抑制され、香料が中央吸収性シートに高い濃度で存在する状態が、使用開始時まで維持され易くなるため好ましい。
厚み方向の内部に位置する中央吸収性シート402に香料を配することで、香料が過剰に揮発することを抑制され、臭いのマスキング効果の持続性をさらに高めることができる。同様の観点から、中央吸収性シート402の第2領域Fに、第1領域Eよりも多い量の香料を配合することが好ましい。
香料としては、例えば、特開2007−244764号公報に記載されているグリーンハーバル様香気を有する香料、植物の抽出エキス、柑橘類の抽出エキスなどが挙げられる。
香料の含有量は特に制限されず、香料の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、展開状態の中央吸収性シート402における香料の含有量は、好ましくは0.1g/m以上1g/m以下、より好ましくは0.2g/m以上0.6g/m以下である。
中央吸収性シート402及び本体吸収性シート401は、それぞれ、高吸収性ポリマー46を含んでいることが好ましく、中央吸収性シート402並びに第1及び第2領域を有する場合の本体吸収性シート401は、それぞれ、第1領域Eに第2領域Fに比して多い量の高吸収性ポリマー46を含んでいることが好ましい。特に、第1領域に配される高吸収性ポリマーの吸水速度は20mL/0.3g・30秒以下、更には15mL/0.3g・30秒以下、殊更には10mL/0.3g・30秒以下であると、排泄された体液の大部分又は全てが第1領域Eで吸収・保持される前に、第2領域において抗菌剤と接触した後に第1領域Eの高吸収性ポリマー46で吸収・保持され易くなるので好ましい。なお、吸水速度の下限値については、0mL/0.3g・30秒以超であればよいが、2mL/0.3g・30秒以上、更には4mL/0.3g・30秒以上であると、抗菌剤と接触した後の体液が適度に第1領域Eで吸収・保持され易くなり、液漏れの抑制の点で好ましい。
高吸収性ポリマーの吸水速度は以下の方法によって測定される。
<吸水速度の測定方法>
DW法による吸水速度(単位:mL/0.3g・30秒)は、DW法を実施する装置として一般的に知られている装置(Demand Wettability Tester)を用いて測定される。具体的には、該装置において生理食塩水の液面をポリマー散布台〔70mmφ、No.2濾紙をガラスフィルターNo.1上に置いた台〕の表面と等水位にセットし、該ポリマー散布台の表面上に測定対象の高吸収性ポリマーを0.3g散布する。高吸収性ポリマーを散布した時点の吸水量を0とし、30秒後の吸水量を測定する。この吸水量は、生理食塩水の水位の低下量を示すビュレットの目盛りで測定される。得られた吸水量の値をDW法による吸水速度とする。DW法による吸水速度は高吸収性ポリマーの形状、粒径、かさ比重、架橋度等によって設計することができる。尚、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
高吸収性ポリマー46としては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。高吸収性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸又はメタクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合物も用いることができる。
吸収性シート1枚あたりの厚みとしては、好ましくは0.1mm以上、特に0.3mm以上であり、また、好ましくは2mm以下、特に1.5mm以下であることが好ましい。より具体的には、0.1mm以上2mm以下、特に0.3mm以上1.5mm以下であることが、液拡散性、液保持性を十分に備えてかつ装着感の良好な吸収性物品を得る点から好ましい。
本実施形態のナプキン1に用いた第1及び第2領域を有する吸収性シートは、例えば、第1領域とする第1繊維シートと、第2領域とする第2繊維シートとを、それぞれ湿式抄造法や乾式抄造法等の任意の方法により個別に製造した後、それらを、接着剤やバインダー繊維、膨潤状態の高吸収性ポリマーの粘着力等により結合一体化させることにより製造することができる。吸収性シートの製造方法の好ましい一例としては、湿式抄造法により湿潤状態の繊維シートを形成し、該繊維シート上に高吸収性ポリマーを散布し、これを湿潤状態の第1繊維シートとする。次いで、湿潤状態の第1繊維シートの高吸収性ポリマーを散布した面側に乾燥状態の第2繊維シートを重ねて、積層シートを得る。次いで、積層シートを、ヤンキードライヤー等を用いたドライパートで乾燥し、目的とする吸収性シートを得る。第1繊維シートと第2繊維シートとで繊維材料に密度差を設ける方法は、特に制限されないが、例えば、第2繊維シートの製造工程における抄紙後のプレスパートにおける加圧力を第1繊維シートよりも高める方法、各繊維シートの構成繊維の材質や太さを異ならせて、第1繊維シートを第2繊維シートよりも低密度に形成する方法、第1及び第2繊維シートの一方又は双方が湿潤状態である積層シートのドライパートにおいて第2シートをヤンキードライヤー側に配して乾燥する方法、又はこれら2以上を組み合わせた方法等が挙げられる。本実施形態のナプキン1に用いた中央吸収性シート402は、第2領域とする第2繊維シートの製造工程において抗菌剤を適用した後、第1領域とする第1繊維シートと結合一体化することにより製造することができる。第2繊維シート側に抗菌剤を適用する方法としては、結合前の第2繊維シートに抗菌剤を含む溶液や分散液を塗工する方法や、複合シートの第2繊維シート側の面に、抗菌剤を含む溶液や分散液を塗工した後、加熱又は自然乾燥させる方法や、複合シートに対し第2繊維シート側から粒子を散布したり吹き付けたりする方法が挙げられる。抗菌剤を含む溶液や分散液を塗工する方法としては、スプレー法、転写法、ダイ塗工、グラビア塗工、インクジェット法、スクリーン印刷等の公知の液体塗工装置を用いる方法等が挙げられる。
また本実施形態のナプキン1の吸収体4は、中央吸収性シート402から構成された中央吸収部43を表面側吸収性シート41及び裏面側吸収性シート42で挟んで形成された合計5層の吸収性シートからなる肉厚部47を有している。肉厚部47は、吸収体4の横方向Yの中央部に形成されており、また吸収体4の縦方向Xにおいては、主として排泄部対向部Bに形成されている。主として排泄部対向部Bに形成されているとは、肉厚部47の縦方向の全長の50%以上が排泄部対向部Bに存在することを意味する。吸収体4の幅方向の中央部に吸収体4の全幅に満たない幅の肉厚部47を有することで、幅方向の中央部に多く排泄される体液を、効率的に中央吸収部43に吸収させ、中央吸収部43内の第2領域Fにおいて抗菌剤に効率よく接触させることができるので、菌による不快な臭いの発生を一層効果的に抑制することができる。斯かる観点から、中央吸収部43の幅は、縦方向Xにおける中央吸収部43が存在する部分における吸収体4の全幅の、好ましくは25%以上、より好ましくは40%以上であり、また好ましくは75%以下、より好ましくは60%以下であり、また好ましくは25%以上75%以下、より好ましくは40%以上60%以下である。同様の観点から、中央吸収部43の縦方向Xの長さは、縦方向Xにおける吸収体4の全長の、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上であり、また好ましくは65%以下、より好ましくは55%以下であり、また好ましくは5%以上65%以下、より好ましくは15%以上55%以下である。
吸収体4は、肉厚部47における厚みが、好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.7mm以上5mm以下、更に好ましくは1mm以上4mm以下である。肉厚部47の厚みをこのような範囲とすることで、排泄部対向部Bにおける良好な装着感と高い吸収性能と高い抗菌効果を両立することが容易となる。また、本実施形態のナプキン1のように吸収性物品がウイング部を備えている場合には、装着時に排泄部対向部での吸収体のヨレを抑制しやすくなる。また、吸収体は、肉厚部47以外の部分における厚みが、好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.3mm以上3mm以下、更に好ましくは0.5mm以上2.5mm以下である。この範囲であることが、高い吸収性能と着用者の動きへの追従性を高める観点から好ましい。なお、吸収体及び吸収性シートの厚みは下記方法により測定される。
<吸収性シート及び吸収体の厚みの測定方法>
測定対象物である吸収性シート又は吸収体を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、5cN/cmの荷重下での厚みを測定する。本発明における厚みの測定には、厚み計 PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5−C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いた。このとき、厚み計の先端部と測定対象物における測定部分との間に、平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、荷重が5cN/cmとなるようにプレートの大きさを調整する。
上述した本実施形態のナプキン1では、吸収体4は、図2及び図3に示すように、吸収体4の排泄部対向部Bに、縦方向Xに平行に延びるスリット45が設けられている。したがって、本実施形態のナプキン1では、スリット45の長手方向は縦方向Xと平行になっている。スリット45によって、吸収体4に到達した経血が縦方向Xに拡散され易くなっているとともに、吸収体4の厚み方向にも浸透し易くなっている。ナプキン1では、図2に示すように、縦方向Xに延びるスリット45が、縦方向X及び横方向Yの両方向に分散した状態に形成されたスリット領域45Sを有している。複数のスリット45が配されたスリット領域45Sは、排泄部対向部Bのみならず、前方部Aの一部及び後方部Cの一部に亘っている。
スリット45は、吸収性シートに切り込みを入れることによって形成されたものである。
スリット45、特にスリット45が分散配置されたスリット領域45Sを、吸収体4における、表面側吸収性シート41、中央吸収部43及び裏面側吸収性シート42の全てが積層されている領域と重ねた状態に配すると、着用者の体の動きに追従してスリット45が開口して、体液が素早く抗菌剤が付与された中央吸収部43に誘導されるともに、吸収性シートの平面視における一部を切り取って形成した開口とは異なり、中央吸収部43内の抗菌剤や中央吸収部43内に移動した体液が、ナプキン1の表面に液戻りしにくい。これにより、抗菌効果及び吸収性能に共に優れたものとなる。
スリット45は、表面側吸収性シート41から裏面側吸収性シート42までの全吸収性シートを貫通する貫通孔であっても良いが、全吸収性シートを貫通しない非貫通孔であっても良い。スリット45は、表面側吸収性シート41を貫通し中央吸収部43の厚み方向の内部に達するものが好ましい。その例としては、前述の全吸収性シートを貫通するスリット45の他、中央吸収部の上側シート43aの第2領域Fに達し、中間シート43cの第1領域Eに達しないスリットや、中央吸収部の中間シート43cの第2領域に達し、下側シート43bの第1領域Eに達しないスリット等が挙げられる。
スリット45は、表面シート2側の開口幅W45が、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下である。また、開口幅W45の下限値は、スリット45が切り込みで形成されていれば実質的に0mmであるが、0.01mm程度であっても良い。また、横方向Yにおけるスリット45,45どうしの間隔D45は、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、また、好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.2mm以下であり、より具体的には、好ましくは0.1mm以上1.5mm以下、更に好ましくは0.2mm以上1.2mm以下である。前述した吸収体4のスリット45の開口幅W45は下記方法により測定される。
<スリット45の開口幅の測定方法>
スリット45の開口幅は、ナプキン1から吸収体4を取り出し、取り出された吸収体4を水平に置き、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000により測定倍率を調整して拡大することで、開口幅を測定する。
吸収体4を平面視したときのスリット45の長さ(長手方向長さ)L45(図2参照)は、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上であり、また、好ましくは35mm以下、更に好ましくは25mm以下であり、また、好ましくは10mm以上35mm以下、更に好ましくは15mm以上25mm以下である。
ナプキン1では、表面シート2と吸収体4との間、及び吸収体4と裏面シート3との間は、接着剤を塗布して固定されていることが好ましい。また、吸収体4を構成する積層された吸収性シートの層間は、接着されていても接着されていなくても良いが、使用時において吸収体のヨレや、ズレなどの観点から接着剤により接合されていることが好ましい。
接着剤は、公知の手段、例えば、スロットコートガン、スパイラルスプレーガン、スプレーガン、或いはドットガンを用いて塗布することができ、ナプキン1では、スパイラルスプレーガンを用いてスパイラル状に塗布することが好ましい。塗布する接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト接着剤の塗布量は、1.5g/m以上10g/m以下であることが好ましい。
また、ナプキン1のように、吸収体4にスリット45を形成するには、吸収性シートの積層体を、公知の切断手段により部分的に切断すればよく、例えば、ロールの周面に、周方向に延びる切断刃が、ロールの周方向及び軸長方向に分散させて多数形成されたカッターロールと、該カッターロールの刃を受けるアンビルロールとを備えた切断装置を用いることができる。
本実施形態のナプキン1は、図1及び図3に示すように、吸収性本体5の肌対向面に、表面シート2及び吸収体4が裏面シート3側に向かって一体的に凹陥されている線状の圧搾溝9を備えている。圧搾溝9は、表面シート2及び吸収体4が共に窪んでおり、表面シート2及び吸収体4に関して、構成部材である各々の繊維の密度が、溝の周辺部よりも高い溝となっている。圧搾溝は、連続線でも破線等のような不連続線でもよく、例えば、不連続な多数の点エンボスのなす列から構成されていてもよい。ナプキン1は、排泄部対向部Bの両側部それぞれに縦方向Xに延びる縦圧搾溝92を有し、前方部A及び後方部Cのそれぞれに横方向Yに延びる横圧搾溝91を有している。吸収体4の平面視において、抗菌剤を含む中央吸収部43の横方向Yの両側それぞれに、縦圧搾溝92を有することは、横方向Yへの体液の拡がりを抑えて漏れを防止すると共に、抗菌剤を含む中央吸収部43に体液を集める点で好ましい。また吸収体4の平面視において、抗菌剤を含む中央吸収部43の縦方向Xの前後それぞれに横圧搾溝91を有することは、前後方向への体液の拡散を抑制して漏れを防止すると共に、ナプキンのヨレを防止する観点から好ましい。本発明の吸収性物品は、縦圧搾溝92及び横圧搾溝91の何れか一方若しくは双方又は全ての圧搾溝9を有しないものであっても良い。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の生理用吸収性物品は前記実施形態のナプキン1に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、表面側吸収性シート41及び裏面側吸収性シート42は、いずれか一方又は双方が、繊維材料の密度が相対的に低い第1領域と繊維材料の密度が相対的に高い第2領域とを有しないものであって良い。
また、中央吸収部における中央吸収性シートの積層態様は、図4に示すものに制限されず、多様な積層態様を取り得る。
中央吸収性シートの積層態様は、例えば、図6(a)〜図6(d)に示す態様であっても良い。図6(a)に示す中央吸収部43は、第1領域E及び抗菌剤を含む第2領域Fを有する中央吸収性シート402を、吸収性物品の縦方向に沿う折り曲げ部b1に沿って2つ折りして形成されている。図6(b)に示す中央吸収部43は、第1領域E及び抗菌剤を含む第2領域Fを有する中央吸収性シート402を、吸収性物品の縦方向に沿う2か所の折り曲げ部b1,b2に沿って折り曲げ三つ折り状態に折り畳んで形成されている。図6(c)に示す中央吸収部43は、第1領域E及び抗菌剤を含む第2領域Fを有する2枚の中央吸収性シート402を、第2領域Fを面接させた状態に重ねて形成されている。図6(a)〜図6(c)に示す中央吸収部43には、第2領域Fどうしが第1領域Eを介さずに直接積層された第2領域積層部44が形成されている。
図6(d)に示す中央吸収部43は、第1領域E及び抗菌剤を含む第2領域Fを有する2枚の中央吸収性シート402を、それぞれ、第2領域Fが非肌対向面側を向くように積層されて形成されている。図6(a)〜図6(d)に示す中央吸収部43及びそれを構成する中央吸収性シート402については、特に矛盾しない範囲において、前述した実施形態のナプキン1の中央吸収部43及び中央吸収性シート402の説明が適宜適用される。例えば、図6(a)〜図6(d)に示す中央吸収部43においても、中央吸収部43の厚み方向Zの内部に位置する第2領域Fに抗菌剤を配することが抗菌剤の抗菌効果の持続性を高める観点から好ましく、図6(a)〜図6(c)に示す中央吸収部43においては、第2領域積層部44を構成する2つの第2領域Fのうちの何れか一方又は双方に抗菌剤を配することが、抗菌剤や体液が他の部位へ移動しにくくなり、抗菌剤の濃度や抗菌効果の持続性が向上するため好ましい。図6(a)〜図6(d)にいては、図4と同様に、図中上側が肌対向面側、図中下側が非肌対向面である。
中央吸収部43は、中央吸収性シート402の積層数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また好ましくは7以下、より好ましくは5以下であり、また好ましくは2以上7以下、より好ましくは3以上5以下である。
また、吸収体4は、表面側吸収性シート41、裏面側吸収性シート42、中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402の積層数の合計の積層数が、体液排出時の吸収容量や吸収速度、また装着時の違和感のなさの観点から、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、また好ましくは10以下、より好ましくは7以下であり、また好ましくは3以上10以下、より好ましくは5以上7以下である。
また、前記実施形態のナプキン1では、中央吸収部43を構成する中央吸収性シート402の第2領域Fに抗菌剤が配されていたが、第1領域Eは、抗菌剤を含有していても、含有していなくても良い。第1領域Eが抗菌剤を含有する場合、抗菌剤としては第2領域Fの抗菌剤と同種のものが含まれていてもよい。更に、第1領域Eに配する抗菌剤としては、水難溶性のものが好ましく、その中でも、水不溶性又は水難溶性の4級アンモニウム塩の抗菌剤が好ましい。第1領域においては、繊維密度が第2領域に比して低いことから、水不溶性又は水難溶性でありながらもイオン性である4級アンモニウム塩の抗菌剤は体液中に分散して、相対的に繊維密度の高い第2領域Fへ体液とともに移動し易くなっている。体液とともに抗菌剤が移動することで、第2領域Fの抗菌剤濃度が高まり、高い抗菌性能を発揮することが可能となる。この際、ナプキン1のように、第1領域Eが最も肌対向面側に位置してそれより非肌対向面側に第2領域Fがある場合には、体液の一部は高吸収性ポリマーを含む第1領域Eに保持されつつ、高吸収性ポリマーに吸収されにくいタンパク質等の有機物を含む体液が繊維密度の相対的に密な第2領域Fへと導かれ易い。したがって、高濃度な抗菌剤が存在する環境である第2領域Fで有機物由来の臭い発生が効果的に抑制され得る。なお、このとき、第1領域Eの抗菌剤が水不溶性又は水難溶性であることで、抗菌剤全てが第2領域Fへと移動せずに残存し易いので、第1領域Eに保持される体液中に存在する有機物に由来する臭い発生も抑制できる。
本発明の経血吸収用の吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティーライナー(おりものシート)等であってもよい。
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収性物品を開示する。
<1> 肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及び、これら両シート間に、繊維材料を含む吸収性シートを構成部材として含む吸収体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、前記吸収体は、排泄部対向部において、該吸収体の前記横方向の少なくとも中央部に、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート、非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート及びこれら両シート間に位置する中央吸収部を含む積層構造を有しており、前記中央吸収部は、その厚み方向に、第1領域、及び繊維材料の密度が第1領域よりも高い第2領域を有しており、前記第2領域に抗菌剤が配されている、吸収性物品。
<2> 前記中央吸収部は、中央吸収性シートが複数層に積層された構造を有し、前記中央吸収部における厚み方向の非肌対向面側に、複数の前記第2領域どうしが前記第1領域を介さずに直接積層された第2領域積層部を有している、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3> 前記吸収体の平面視における前記第2領域積層部の全域に該抗菌剤が配されている、前記<2>に記載の吸収性物品。
<4> 前記抗菌剤として水不溶性又は水難溶性の抗菌剤を含む、前記<1>〜<3>の何れか1に記載の吸収性物品。
<5> 前記水不溶性又は水難溶性の抗菌剤が抗菌金属担持物である、前記<4>に記載の吸収性物品。
<6> 前記抗菌金属担持物の担体が疎水性の多孔性粒子である、前記<5>に記載の吸収性物品。
<7> 前記抗菌剤として有機系抗菌剤を含む、前記<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8> 前記有機系抗菌剤が水不溶性又は水難溶性の第4級アンモニウム塩である、前記<7>に記載の吸収性物品。
<9> 前記抗菌剤として、前記水不溶性又は水難溶性の抗菌剤と共に、水溶性抗菌剤を含む、前記<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10> 前記抗菌剤の含有量が、前記中央吸収性シートの全質量に対して0.001質量%以上12質量%以下、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下である、前記<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
<11> 前記中央吸収部は消臭剤を含んでいる、前記<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12> 少なくとも前記第2領域が前記消臭剤を含んでいる、前記<11>に記載の吸収性物品。
<13> 前記消臭剤として多孔性粒子を含む、前記<11>又は<12>に記載の吸収性物品。
<14> 前記消臭剤としてpH緩衝剤を含む、前記<11>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15> 前記pH緩衝剤として、クエン酸とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含有する、前記<14>に記載の吸収性物品。
<16> 前記中央吸収部が香料を含んでいる、前記<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17> 前記吸収体は、前記表面側吸収性シートと、前記中央吸収部を構成する中央吸収性シートと、前記裏面側吸収性シートとが重なる領域に、前記表面側吸収性シートを貫通し前記中央吸収部の厚み方向の内部に達するスリットを有している、前記<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18> 前記スリットの長手方向が前記縦方向と平行に延びている、前記<17>に記載の吸収性物品。
<19> 前記スリットの長手方向長さが10mm以上35mm以下、好ましくは15mm以上25mm以下である、前記<17>又は<18>に記載の吸収性物品。
<20> 前記スリットの開口幅は1.2mm以下、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下である、前記<17>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
<21> 複数の前記スリットが前記縦方向及び前記横方向の両方に分散配置されている、前記<17>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22> 前記第1領域は高吸収性ポリマーを含む、前記<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23> 前記高吸収性ポリマーは前記第2領域よりも前記第1領域に多く含まれている、前記<22>に記載の吸収性物品。
<24> 前記高吸収性ポリマーの吸水速度は20mL/0.3g・30秒以下であり、好ましくは2mL/0.3g・30秒以上15mL/0.3g・30秒以下、更に好ましくは4mL/0.3g・30秒以上10mL/0.3g・30秒以下である、前記<22>又は<23>に記載の吸収性物品。
<25> 前記吸収体は、排泄部対向部において肉厚部を有している、前記<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26> 前記中央吸収部の幅は吸収体の全幅未満である、前記<25>に記載の吸収性物品。
<27> 前記中央吸収部の幅は、該中央吸収部が存在する部分における吸収体の全幅の25%以上75%以下、好ましくは40%以上60%以下である、前記<26>に記載の吸収性物品。
<28> 前記肉厚部の縦方向の全長の50%以上が排泄部対向部に存在する、前記<25>〜<27>の何れか1に記載の吸収性物品。
<29> 前記中央吸収部の前記縦方向の長さは、前記縦方向における吸収体の全長の5%以上65%以下、好ましくは15%以上55%以下である、前記<28>に記載の吸収性物品。
<30> 前記第1領域にも抗菌剤を含有する、前記<1>〜<29>の何れか1に記載の吸収性物品。
<31> 前記第1領域に含まれる抗菌剤が水不溶性又は水難溶性である、前記<30>に記載の吸収性物品。
<32> 前記第1領域に含まれる抗菌剤が水不溶性又は水難溶性の第4級アンモニウム塩である、前記<31>に記載の吸収性物品。
<33> 前記吸収性物品が生理用ナプキンである、前記<1>〜<32>の何れか1に記載の吸収性物品。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
41 表面側吸収性シート
42 裏面側吸収性シート
43 中央吸収部
43a 上側シート
43b 下側シート
43c 中間シート
44 第2領域積層部
45 スリット
46 高吸収性ポリマー
47 肉厚部
401 本体吸収性シート
402 中央吸収性シート
5 吸収性本体
6 サイド防漏シート
7 ウイング部
8 抗菌剤
9 圧搾溝

Claims (7)

  1. 肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及び、これら両シート間に、繊維材料を含む吸収性シートを構成部材として含む吸収体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向を有する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、該吸収体の前記横方向の少なくとも中央部に、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート、非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート及びこれら両シート間に位置する中央吸収部を含む積層構造を有しており、
    前記中央吸収部は、その厚み方向に、第1領域、及び繊維材料の密度が第1領域よりも高い第2領域を有しており、前記第2領域に抗菌剤が配されている吸収性物品。
  2. 前記中央吸収部は、中央吸収性シートが複数層に積層された構造を有し、前記中央吸収部における厚み方向の非肌対向面側に、複数の前記第2領域どうしが前記第1領域を介さずに直接積層された第2領域積層部を有している、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収体の平面視における前記第2領域積層部の全域に前記抗菌剤が配されている、請求項2に記載の吸収性物品。
  4. 前記抗菌剤として水不溶性又は水難溶性の抗菌剤を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記中央吸収部は消臭剤を含んでいる、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記中央吸収部が香料を含んでいる、請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収体は、前記表面側吸収性シートと、前記中央吸収部を構成する中央吸収性シートと、前記裏面側吸収性シートとが重なる領域に、前記表面側吸収性シートを貫通し前記中央吸収部の厚み方向の内部に達するスリットを有している、請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
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