JP2023092394A - 吸収性物品 - Google Patents

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【課題】荷重下において排泄液が表面シートまで戻り難くして、抗菌・消臭機能剤と排泄液との接触機会を高めることができる吸収性物品を提供する。【手段】表面シート1、裏面シート2及び吸収体3を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、表面シート1と吸収体3との間に、パルプエアレイド不織布からなる液保持透過シート4を備え、液保持透過シート4は、その少なくとも一部に、抗菌・消臭機能剤が配された機能剤配合部Eを有し、表面シート1の液透過性をP1、機能剤配合部Eの液透過性をP2、吸収体3の液透過性をP3としたときにP1>P2>P3であり、20g/cm2の荷重下における、表面シート1の荷重時液保持率をB1、機能剤配合部Eの荷重時液保持率をB2としたときに、B2>B1である、吸収性物品。【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキンや失禁パッド、おむつなどの吸収性物品に関する。
経血や尿等の排泄液(以下、単に排泄液という)は排泄された直後は無臭であり、菌の作用によって経時的に分解が進み、悪臭原因物質を発生する。これに対して、従来、生理用ナプキン等の吸収性物品において抗菌剤や消臭剤を含有させる技術が知られている(例えば、特許文献1~6)。これら特許文献記載の吸収性物品では、抗菌剤や消臭剤は、吸収体や、表面シートと吸収体との間の中間層に配されることが記載されている。
特開2016-67749号公報 特開2010-533051号公報 特開2010-110443号公報 特開2019-162401号公報 特開2019-97610号公報 特開2013-180171号公報
前述のように表面シートと吸収体との間の中間層に抗菌剤や消臭剤を配する構成は、表面シートよりも非肌面側の層で抗菌剤や消臭剤と排泄液とを素早く接触させることができる点で利点がある。一方で、前記中間層は吸収体よりも表面シートに近いため、着用者が着座するなどして吸収性物品に荷重がかかった際には、その排泄量が多い場合などに排泄液が肌面側へ移行する、いわゆる液戻りが生じることがある。液戻りした後には、荷重のタイミングによっては抗菌剤や消臭剤と排泄液との接触機会が低減してしまいかねない。
本発明は、上記の点に鑑み、荷重下において排泄液が表面シートまで戻り難く、抗菌・消臭機能剤と排泄液との接触機会を高めることができる吸収性物品に関する。
本発明は、肌対向面側に配される液透過性の表面シート、非肌対向面側に配される裏面シート、及び、これらの両シート間に配される吸収体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記表面シートと前記吸収体との間に、パルプエアレイド不織布からなる液保持透過シートを備え、前記液保持透過シートは、その少なくとも一部に、抗菌・消臭機能剤が配された機能剤配合部を有し、前記表面シートの液透過性をP1、前記機能剤配合部の液透過性をP2、前記吸収体の液透過性をP3としたときにP1>P2>P3であり、20g/cmの荷重下における、前記表面シートの荷重時液保持率をB1、前記機能剤配合部の荷重時液保持率をB2としたときに、B2>B1である、吸収性物品を提供する。
本発明に係る吸収性物品は、荷重下において排泄液が表面シートまで戻り難く、抗菌・消臭機能剤と排泄液との接触機会を高めることができる。
本発明における吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキンを伸長した状態で肌当接面側から模式的に示す一部切欠斜視図である。 図1に示す生理用ナプキンのII-II線断面を模式的に示す断面図である。 本発明における吸収性物品における、排泄液の移行の態様を示す模式図である。図3(A)は排泄後の排泄液の移行過程を示し、図3(B)は荷重下での液保持透過シートの機能剤配合部と吸収体との間の液交換における、機能剤配合部による吸収体からの排泄液の受け渡し過程を示す。 表面シートに形成されるエンボス模様の好ましい形態の一例を示す部分平面図である。
以下、本発明に係る吸収性物品の好ましい一実施形態としての生理用ナプキン(以下、ナプキンとも言う)10について、図面を参照しながら説明する。
本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌対向面側といい、これと反対側を非肌対向面側という。これらは、人体に接触する面を有さない部材に関しても、吸収性物品の部材構成における相対的な位置関係を示す用語として用いる。また、着用時に人体の前側に位置する方向を前方といい、後側に位置する方向を後方という。吸収性物品の表面又は裏面の法線方向を厚み方向という。
ナプキン10は、図1及び2に示すように、肌対向面側10Aに配される液透過性の表面シート1、非肌対向面側10Bに配される裏面シート2、及び、これらの両シート1、2間に、液保持性の吸収体3を備える。表面シート1は排泄液を吸収体3へと送り込む液透過性を備え、裏面シート2は排泄液に対する防漏性を備える。表面シート1及び裏面シート2は吸収体3の両面を覆いつつ、吸収体3の外縁外方へと延出する大きさを有する。なお、上記の肌対向面側10A及び非肌対向面側10Bは、ナプキン10のみならず、ナプキン10の構成部材の厚み方向における相対的な配置位置を示す用語として用いる。
本実施形態においては、表面シート1と吸収体3との間に、排泄液を一時的に保持可能な液保持透過シート4を有する。また、表面シート1の肌当接面側の両側にサイド防漏シート5が積層されている。サイド防漏シート5と裏面シート2とが吸収体3の横方向Xの外方に延出して、着衣等への固定手段であるウイング部6を形成している。ウイング部6及び裏面シート2の非肌当接面側には、ナプキン10を着衣に固定するための粘着部(図示せず)を有している。このシートの積層構造において、ナプキン10の外周縁は、吸収体3を介在させずに接合された外周シール部9となっている。
ナプキン10は、他の構成部材を含んでいてもよく、また、ウイング部6、サイド防漏シート5を有さない形態であってもよい。さらに表面シート1から吸収体3にかけて圧搾した防漏溝、表面シート1上の複数のエンボスなどを有していてもよい。また、サイド防漏シート5は、表面シート1と接合されながら、表面シート1の両側よりも内方側に自由端部を残すようにしてもよく、前記自由端部に弾性部材等を配して防漏カフを構成してもよい。
ナプキン10は、平面視において、着用者の前後方向に対応する縦方向Yと、該縦方向と直交すると横方向Xとを有する、縦長形状である。また表面シート1、裏面シート2及び吸収体3は、ナプキン10と同様に、縦長形状である。縦方向Yは、ナプキン10の装着時における、着用者の腹側、股下及び背側を繋ぐ方向に対応する。横方向Xは、着用者の股下における左右の足を繋ぐ方向に対応する。本明細書において、縦方向Y及び横方向Xは、ナプキン10の平面視における方向を示すと同時に、表面シート1、裏面シート2及び吸収体3の平面視における方向を示す。
ナプキン10は、縦方向Yに関して、着用者の排泄ポイントに対向する部位を含む中間部Cを有する。さらに縦方向Yに関して、中間部Cよりも前方の下腹部側に配置される前方部F、後方の臀部側に配置される後方部Rを有する。また、中間部Cには、横方向Xの中央部に、前記排泄ポイントに対向し、排泄液を直接受け止める排泄部対向領域(受液領域ともいう)C1がある。排泄部対向領域C1がある、横方向Xの「中央部」とは、図1に示すように、横方向Xの中心線Lから左右に広がる所定幅の範囲をいい、吸収体3の横方向Xの両端縁よりも内側の範囲の部分を言う。具体的には、ナプキン10の横方向Xの中心線Lから左右に広がる領域であって、吸収体3の幅に対して40%以上60%以下の範囲の部分をいう。なお、中間部C、排泄部対向領域C1、前方部F及び後方部Rは、ナプキン10における区分を示すと同時に、これに対応する表面シート1、吸収体3及び裏面シート2における区分をも示す。
中間部C、前方部F及び後方部Rの区分位置は、使用目的等によって設定される吸収性物品の長さに応じて適宜設定され得る。ショーツの股下部に折り曲げて固定するウイング部を備える場合は、該ウイング部の存在する縦方向に沿った領域が中間部Cとなる。本実施形態のナプキン10は、昼用などとして設定される形状の例を示しており、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定されており、ウイング部を備えない昼用のナプキンの場合には、中間部はこの設定に従う。ナプキン10がどのような形状であっても一般的には、中間部Cは、前方部Fからの一定の距離の位置にある部位として設定され得る。さらに大人用若しくは幼児用のおむつなど、また、尿取りパッドなどについては、縦方向の長さを3等分して、前方部F、中間部C及び後方部Rが設定される。
液保持透過シート4について、説明する。
液保持透過シート4は、パルプエアレイド不織布からなる(パルプエアレイド層)。
液保持透過シート4は、少なくとも幅方向Xの中央部にある排泄部対向領域C1の全面を覆っている。液保持透過シート4は、図2では、平面視で吸収体3よりも幅狭にされているが、吸収体3の幅方向全面を覆っていてもよい。液保持透過シート4は、吸収体3の平面視全面を覆うように配されていてもよい。
液保持透過シート4は、表面シート1からの排泄液の引き込みを促進し吸収体3への排泄液の透過性を向上させ、吸収体3に吸収された排泄液の表面シート1への液戻りを低減させるなどの役割をするシートである。すなわち、液保持透過シート4は、表面シート1から吸収体3へと向かう厚み方向の一方向への液の引き渡し(流通)の駆動力となる機能を備える。同時に、液保持透過シート4は、パルプが持つ吸水性を有し、吸収体3への移行過程にて排泄液を一時的に保持する機能を有する。このように、液保持透過シート4は液保持性を有し、液保持可能となっている。
液保持透過シート4の吸水性の程度は下記方法により測定される水分率の値によっても判定でき、斯かる水分率が6%以上であることが好ましく、さらに10%以上が好ましい。
〔水分率の測定方法〕
水分率は、JIS P8203の水分率試験方法を準用して算出する。即ち、試料を温度40℃、相対湿度80%RHの試験室に24時間静置後、その室内にて絶乾処理前の試料の質量W(g)を測定する。その後、温度105±2℃の電気乾燥機(例えば、株式会社いすゞ製作所製)内にて1時間静置し、試料の絶乾処理を行う。絶乾処理後、温度20±2℃、相対温度65±2%の標準状態の試験室にて、旭化成(株)製サランラップ(登録商標)で試料を包括した状態で、Siシリカゲル(例えば、豊田化工(株)製)をガラスデシゲータ内(例えば、(株)テックジャム製)に入れて、繊維試料が温度20±2℃になるまで静置する。その後、試料の恒量W'(g)を秤量して、次式により試料の水分率を求める。
水分率(%)=(W-W'/W')×100
液保持透過シート4を構成するパルプエアレイド不織布は、パルプを少なくとも一部に含んだエアレイド不織布であればよい。エアレイド不織布とは、ばらばらにほぐした繊維を、水を使用せずに、空気の流れに乗せて均一に分散させて作成される不織布をいう。パルプエアレイド不織布は、上記のような乾式で作成される点で、吸収体3の表面のコアラップシートなどに用いられることがある、湿式で作製される一般的なクレープ紙とは異なる。パルプエアレイド不織布は、湿式で作成されるクレープ紙に比較して繊維間距離が大きいため液を保持及び透過する空間も相対的に大きい。また、パルプエアレイド不織布は、パルプの吸水性により、親水化した合成繊維のみからなる不織布に比して高い液保持性を有する。加えて、パルプエアレイド不織布は、表面シートと吸収体との間に介在する中間層として用いられる、一般的なエアスルー不織布よりも繊維密度が低く、荷重をかけた際にも繊維間空間が維持されやすい。そのため、パルプエアレイド不織布は繊維層内に排泄液を留めておきやすい。
コアラップシートは、吸収体3を構成するパルプ、高吸収性ポリマー材(SAP)等の飛散を抑制する部材で、一般的にパルプ(例えば、針葉樹クラフトパルプ(NBKP))を主成分とすることが多く、通常は、湿式で作成されるクレープ紙である。
このようなパルプエアレイド不織布からなる液保持透過シート4は、親水化処理した合成繊維を用いた不織布やクレープ紙よりも液を保持でき、吸収体3よりも液保持性が低く、吸収体3より液透過性が高いという性質を有する。
液保持透過シート4は、少なくとも一部に、抗菌・消臭機能剤(以下、単に抗菌剤等とということもある)が配された機能剤配合部Eを有する。液保持透過シート4は、吸収体3よりも肌面側に配置されていることで、肌面に近い位置で排泄液を一時的に保持し、機能剤配合部Eにおいて抗菌剤等と接触させてから、排泄液を吸収体3側へと移行させる作用を有する。
機能剤配合部Eは、液保持透過シート4の平面視において、一部に形成されていてもよく、全体に形成されていてもよい。機能剤配合部Eは、液保持透過シート4と、後述する吸収体3の高坪量部(中央吸収部33)とが重なる位置を含むように配されていることが好ましい。すなわち、機能剤配合部Eは、少なくとも幅方向Xの中央部にある排泄部対向領域Cにあることが好ましい。
機能剤配合部Eにおける、抗菌剤等の含有坪量は、抗菌作用を保持する観点から、0.005g/m以上が好ましく、0.03g/m以上がより好ましい。また、肌への刺激性を抑制する観点から、5.0g/m以下が好ましく、3.0g/m以下がより好ましい。上記上限値とすると、機能剤配合部Eに想定外の荷重がかかった際の表面シート1を介した着用者の肌への抗菌剤等の移行による刺激を抑制することができる点で好ましい。
このようなナプキン10において、表面シート1の液透過性をP1、液保持透過シート4の機能剤配合部Eの液透過性をP2、吸収体3の液透過性をP3としたときに、P1>P2>P3である。
同時に、ナプキン10において、20g/cmの荷重下における、表面シート1の荷重時液保持率をB1、液保持透過シート4の機能剤配合部Eの荷重時液保持率をB2としたときにB2>B1である。この関係において、後述する実施例におけるティッシュペーパーの荷重時液保持率(表面シートの肌側表面への液戻り率)をB3としたときに、B2>B3であることが好ましい。
表面シート1の液透過性P1、機能剤配合部Eの液透過性P2、吸収体3の液透過性P3は、後述する実施例に記載の方法によって測定される「液透過時間」を指標として示される。すなわち、前記透過時間が短い程、液透過性が高いことを示す。機能剤配合部Eの液透過性P2は、通常の含有量の範囲であれば、抗菌剤等の塗布の有無により影響されないため、抗菌剤等を配していない液保持透過シート4の液透過性と同一視することができる。
20g/cmの荷重下における、表面シート1の荷重時液保持率B1、機能剤配合部Eの荷重時液保持率B2、及び吸収体3の荷重時液保持率B3は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。機能剤配合部Eの荷重時液保持率は、通常の含有量の範囲であれば、抗菌剤等の塗布の有無により影響されないため、抗菌剤等を配していない液保持透過シート4の荷重時液保持率と同一視することができる。
各部材の液透過性及び荷重時液保持率は、前述の液保持透過シートを構成するパルプエアレイド不織布の特性により、またこれに加えて各部材に用いる材料、厚み、坪量、繊維密度、繊維間距離、構造(エンボスの有無、折り畳み構造の有無等)等により制御することができる。中でも、用いる材料自体の親水性(吸水性)の影響が一番大きい。複数の材料を用いる場合には、それらの混合比率(例えば、パルプと合成繊維を用いる場合にはその混合比率)を制御して、各部材の親水性(吸水性)を設定することが好ましく、さらに繊維間距離を設定することがより好ましい。
液保持透過シート4に用いるパルプエアレイド不織布としては、坪量が30g/m以上70g/m以下であることが、ナプキン10の薄型化と、十分な液保持性能の発揮の観点から好ましい。
液保持透過シート4の機能剤配合部Eの繊維密度D1は、吸収体3の繊維密度D3に対して小さいことが好ましい。ここで、吸収体3が積層構造を有する場合には、吸収体3の繊維密度D3とは、吸収体3の中央吸収部33が配された位置と重なる位置における、吸収体3を構成する積層構造全体の繊維密度を意味する。
機能剤配合部Eの繊維密度D1が、吸収体3の繊維密度D3に対して小さくされていると、機能剤配合部Eから吸収体3への排泄液の引き込み力が強まる。この引き込み力の作用により、排泄液は液保持透過シート4に一時的に保持されるものの、長く留まることなく吸収体3へ移行する。このため、液保持透過シート4の、次に排泄される液を取り込む能力が低下しにくく、継続して排泄液を抗菌剤等に効果的に接触させることができる。
各部材の繊維密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
液保持透過シート4に用いるパルプエアレイド不織布としては、繊維密度が0.5×10-2g/cm以上7.0×10-2g/cm以下であることが、十分な液保持性能の発揮の観点から好ましい。
ナプキン10は、上記のように、表面シート1の非肌面側に配置される液保持透過シート4がパルプエアレイド不織布からなり、上記のように部材間の液透過性及び荷重時液保持率の関係を有する。そのため、表面シート1から液保持透過シート4の機能剤配合部Eへ排泄液を迅速に効率よく移行させることができる。さらに機能剤配合部Eには、液保持透過シート4をなすパルプエアレイド不織布の吸水性があるため、排泄液を一時保持して抗菌剤等と十分に接触させてから吸収体3へ移行させることができる。
加えて、上記の部材間の液透過性の関係により、表面シート1や液保持透過シート4に排泄液が長時間留まらずに吸収体3への排泄液が移行しやすい。すなわち、液保持透過シート4が表面シート1と吸収体3との中継役として厚み方向の一方向への液の引き渡し(流通)の駆動力を発揮する。これにより、表面シート1と液保持透過シート4での液残りが抑制され、更に排泄が生じた場合にも機能剤配合部Eの排泄液を取り込む能力が保持されやすく、継続して排泄液と抗菌剤等とを効果的に接触させることができる。
その上、上記の部材間の液透過性及び荷重時液保持率の関係により、特に機能剤配合部Eにおけるパルプエアレイド不織布の吸水性が作用して、荷重(座圧荷重など。例えば20g/cmの荷重。)がかかった際にも、透過した排泄液は表面シート1まで戻り難い。このようにして表面シート1への排泄液の液戻り量を低減でき、吸収体3から肌側に戻る排泄液を機能剤配合部Eに一時留まらせて、排泄液と抗菌剤等とを再度接触させることができる。そして、再接触後の排泄液を吸収体3が再度引き込み、吸収保持することができる。このような液保持透過シート4の機能剤配合部Eと吸収体3との間の液交換(液の抗菌・消臭循環)は、ナプキン10の装着の間における繰り返しの荷重印加の度に行われる。これにより、ナプキン10は、機能剤配合部Eでの排泄液と抗菌剤等との接触機会を増やし、継時変化とともに吸収体3で発生又は増殖する菌に対しても高い抗菌・消臭効果を発揮しやすい。
図3を参照して、上記の機能剤配合部Eと吸収体3との間の液交換について以下に述べる。図3において、排泄液の透過方向を白矢印で、各部材の位置における排泄液の量の関係を薄い網掛け部の面積の相違として示す。薄い網掛け部の面積が広いほど、排泄液の量が多いことを示す。図3(B)における黒矢印は、座圧等の荷重の方向を示す。図3(B)においては荷重に相当するものとして板Pにて示す。なお、図3においては、理解を容易にするため、各部材の厚みを薄くし、また、各部材間に空間を設けて図示している。
まず、図3(A)の白矢印で示すように、排泄液は、表面シート1及び液保持透過シート4を通過して吸収体3へ移行する。その際、前述のように液保持透過シート4において排泄液を一時的に保持して抗菌剤等と接触機会を増やし、排泄液を長期滞留しないよう迅速に吸収体3に移行させる。
図3(B)の黒矢印で示すような加圧荷重があると、白矢印で示すように吸収体3側から肌面側に向かって排泄液の液戻りが生じる。その際、液保持透過シート4が戻る排泄液を一時保持する。これにより、表面シート1への液戻りは抑制され、かつ、表面シート1下の液保持透過シート4と吸収体3との間の液交換が行われる。
これにより、ナプキン10は、荷重下において排泄液が表面シート1まで戻り難く、抗菌・消臭機能剤と排泄液との接触機会を高めることができる。その結果、ナプキン10は、抗菌・消臭効果の高いものとなる。また、着用者は、表面シート1への液戻り抑制によるさらさらの肌触りからナプキン10の清潔さを体感し、嗅覚だけでなく肌感覚として実際の抗菌・消臭効果を実感することができる。
ナプキン10において、上記の作用をより高める観点から、表面シート1及び液保持透過シート4は、平面視で吸収体3の全面を覆うように配されていることが好ましい。これにより、吸収体3と重なる部分の全面で表面シート1から液保持透過シート4への液移行が更に良好となり、前述の液交換が更に良好となる。その結果、ナプキン10は、吸収性、ドライ感、抗菌消臭効果の点で更に優れたものとなる。
ナプキン10における表面シート1と機能剤配合部Eとの間の液透過性の関係P1>P2において、機能剤配合部Eの前述の透過時間は、表面シート1から機能剤配合部Eへ排泄液を素早く移行させる観点、機能剤配合部Eでの排泄液の一時保持時間をより長くする観点から、表面シート1の前記液透過時間の1.5倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、5倍以上が更に好ましい。また、機能剤配合部Eの前記透過時間は、排泄液の長期保持を防止する観点から、20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下が更に好ましい。
また、機能剤配合部Eと吸収体3との間の液透過性の関係P2>P3において、吸収体3の前記透過時間は、機能剤配合部Eから吸収体3へ排泄液を素早く移行させる観点、機能剤配合部Eでの排泄液の一時保持時間をより長くする観点から、機能剤配合部Eの前記液透過時間の10倍以上が好ましい。吸収体3には、後述するように高吸収性ポリマーを含ませることによって、排泄液が固定化されて実質的に液透過しなくすることが可能である。この場合は透過時間は無限大となるため、P3/P2の値の上限値はない。
また、ナプキン10における表面シート1と機能剤配合部Eとの間の荷重時液保持率の関係B2>B1において、表面シート1の荷重時液保持率B1と機能剤配合部Eの前述の荷重時液保持率B2との差(B2-B1)は、表面シート1への液戻りをより抑制する観点、前述の液交換をより効果的にする観点から、0.1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。
また、表面シート1と機能剤配合部Eとの間の荷重時液保持率の関係のB2>B1において、表面シート1の荷重時液保持率B1と機能剤配合部Eの前述の荷重時液保持率B2との差(B2-B1)は、液保持層から肌側へ蒸散する液量を減らす観点から、10%以下が好ましい。
機能剤配合部Eの前述の荷重時液保持率B2は、5%以上が望ましく、7%以上がより好ましい。機能剤配合部Eの荷重時液保持率B2の上限は特に限定されないが、15%以下がより好ましい。
また、表面シート1に係る荷重時液保持率の合計(B3+B1)は、10%未満であることが望ましく、8%以下であることがより好ましい。
なお、液保持透過シート4における吸水性の程度は、上述の水分率に加えて、JIS P 8141:2004の「紙及び板紙-吸水度試験方法」に記載されているクレム法によるクレム吸水高さによっても評価できる。液保持透過シート4のクレム吸水高さが、表面シート1のクレム吸水高さよりも1mm以上高いことが、液の引き込み性の観点から好ましく、5mm以上高いことがより好ましい。表面シート1のクレム吸水高さは1mm以上20mm以下であることが好ましい。液保持透過シート4のクレム吸水高さは、5mm以上40mm以下であることが好ましい。
更にナプキン10において、パルプエアレイド不織布は、液保持透過シート4における前述の液保持性と液透過性表面シートから吸収体への液引き渡し性とをより高める観点から、パルプのみからなってもよく、パルプに加えて合成繊維等を含有していてもよい。該合成繊維は親水化処理された親水性繊維であることが好ましい。前記合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレン樹脂(PE)等の合成繊維が挙げられる。合繊繊維は、1種類を用いてもよく2種類以上を用いてもよい。
パルプと合成繊維とを有するパルプエアレイド不織布において、パルプの含有質量割合は特に限定されないが、上記の液保持性を高める観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
ナプキン10においては更に、表面シート1の無荷重時液保持量をR1、機能剤配合部Eの無荷重時液保持量をR2、吸収体3の無荷重時液保持量をR3としたときに、R1<R2<R3であることが好ましい。無荷重時液保持量は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記の関係は、表面シート1よりも液保持透過シート4の液保持容量が大きいことを示し、液保持透過シート4よりも吸収体3の液保持容量が大きいことを示す。これにより、より多くの排泄液を抗菌剤等と接触させてから吸収体3へ移行させることができ、液保持透過シート4を透過した排出液を吸収体3がしっかりと吸収保持して液戻りや液漏れをより効果的に抑止することができる。
次に、吸収体3の好ましい態様について説明する。
図2に示す吸収体3は、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート31及び非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート32を有する。表面側吸収性シート31及び裏面側吸収性シート32は、中間部Cから前方部F及び後方部Rに及ぶ長さを有し、吸収体3の外形をなしている。
表面側吸収性シート31及び裏面側吸収性シート32は、図2に示すように1枚の吸収性シート3Aを折り畳んで形成してもよく、別々の吸収性シートによって形成してもよい。図2に示す態様においては、吸収性シート3Aは、吸収体3の肌対向面側10Aに配置される部分が表面側吸収性シート31となり、吸収体3の非肌対向面側10Bに配置される部分が裏面側吸収性シート32となる。また、吸収性シート3Aは、種々の折り畳みの態様をとり得る。図2に示す態様においては、1枚の吸収性シート3Aを肌対向面側10Aから横方向Xに延出させて非肌対向面側10Bに巻き回し、該吸収性シート3Aの横方向Xの両端部を非肌対向面側10Bで重ね合わせて接合している。ただし、折り畳みの態様はこれに限定されない。例えば、1枚の吸収性シート3Aの横方向Xの両端部を吸収体3の横方向Xの側部で重ねて接合してもよく、肌対向面側10Aで重ねて接合してもよい。排泄液の吸収性を高める観点、後述の抗菌剤等の肌への接触機会を低減する観点から、図2に示すように1枚の吸収性シート3Aの横方向Xの両端部を非肌対向面側10Bで重ね合わせて接合した態様が好ましい。
吸収体3は、横方向Xの少なくとも中央部に、肌対向面側10Aに位置する表面側吸収性シート31、非肌対向面側10Bに位置する裏面側吸収性シート32、及びこれら両シート間に位置する中央吸収部33を含む積層構造を有している。中央吸収部33は、前述の排泄部対向領域C1を含む領域にある。中央吸収部33の好ましい態様については後述する。
吸収体3において、表面側吸収性シート31、裏面側吸収性シート32及び中央吸収部33は高吸収性ポリマー材を含む。上記積層構造において、高吸収性ポリマー材の単位面積当たりの含有質量が、表面側吸収性シート31よりも中央吸収部33において多いことが好ましい。このような形態とすることにより、吸収体3の幅方向Xの中央部に液吸収性の高い高坪量部を形成することができる。これにより、前述の液保持透過シート4と吸収体3の液交換の作用を、より多くの排泄液に対してより効果的に発現させることができる。
高吸収性ポリマー材としては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。高吸収性ポリマー材としては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸又はメタクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマー材の性能を低下させない範囲で共重合させた共重合物も用いることができる。
吸収性シートは、繊維材料からなる2つの繊維層間に高吸収性ポリマー材を挟持して固定したシートであってもよい。
ここでいう高吸収性ポリマー材はいわゆるSAP(Super Absorbent Polymer)と呼ばれる表面架橋された高分子材料である(以下、同様)。高吸収性ポリマー材を含む吸収性シートの形成にあたっては、高吸収性ポリマー材が湿潤によって発現する粘着力や別に添加した接着剤や接着性繊維等のバインダーを利用して一体化することができる。例えば、特許第2963647号公報の段落[0019]~[0127]に記載のもの、特許第2955223号公報の段落[0020]~[0075]に記載のものなどが挙げられる。その作製は通常用いられる種々の方法によって行うことができ、湿式、乾式いずれの方式によってもよい。吸収性シートは厚みを3.0mm以下に抑えながら、高吸収性ポリマー材をシートの平面方向に分散配置させているためゲルブロキングを起こし難く、高い吸収力を有する。例えば、特開平8-246395号公報の段落[0019]~[0131]に記載のものなどが挙げられる。
前記繊維材料は、排泄液を吸収し得る親水性を有し、疎水性の繊維を親水化処理したもの、それ自体が親水性である親水性繊維が挙げられる。特に、それ自体が親水性でかつ保水性を有するものが好ましい。親水性繊維としては、天然系の繊維、セルロース系の再生繊維又は半合成繊維が好ましい例として挙げられる。保水性を有する親水性繊維としては、特に木材パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維、酢酸セルロース繊維等のセルロース系繊維が挙げられる。セルロース系繊維は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。セルロース系繊維の原料パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ或いは広葉樹クラフトパルプのような木材パルプ、木綿パルプ或いはワラパルプ等の非木材パルプが挙げられる。セルロース系繊維としては、セルロースの分子内又は分子間を適当な架橋剤によって架橋させた架橋セルロース繊維(パルプ繊維)、或いはセルロースの結晶化度を向上させたレーヨン繊維等の再生セルロース繊維等を用いることもできる。
前記繊維材料を含む吸収性シートとしては、セルロース系繊維とともに又はセルロース系繊維に代えて、合成繊維、例えば熱可塑性繊維を含んでいてもよい。熱可塑性繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の単一の合成樹脂を用いて形成された単一繊維、或いは、これら2種以上の複合体等の合成樹脂を用いて形成された複合繊維、例えば、2種以上の合成樹脂を用いて形成した芯鞘型、サイドバイサイド型等の複合繊維を用いることもできる。これらの合成繊維は前述の通り親水化処理されたものであることが好ましい。
次に、中央吸収部33の好ましい態様について説明する。
図2に示す中央吸収部33は、吸収性シート3Aと同様に吸収性シート3Bを折り畳まれて積層されたものである。中央吸収部33は折り畳まれた状態で、横方向Xの中央部に配されており、排泄部対向領域C1を含む。中央吸収性部33は、折り畳み構造を有さなくてもよい。図2においては、中央吸収部33は横方向Xについて排泄部対向領域C1に対応する範囲にある。ただし図2に示す態様に限らず、中央吸収部33は横方向Xについて、表面側吸収性シート31及び裏面側吸収性シート32と厚み方向に積層される範囲で排泄部対向領域C1よりも広い領域に配されていてもよい。
表面側吸収性シート31及び裏面側吸収性シート32の横方向Xの幅W1に対する中央吸収部33の横方向Xの幅W2の比(W2/W1×100)は、前述の3種の成分の排泄液との接触機会をより多くして長時間の安定的な抗菌・消臭作用を発現させる観点から、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。また、前記比(W2/W1×100)は、前述の3種の成分の吸収体3から外部への移行抑制を高める観点から、65%以下が好ましく、55%以下がより好ましく、45%以下が更に好ましい。
中央吸収部33における吸収性シートの積層構造は、図2に示すように1枚の吸収性シート3Bを折り畳んで形成してもよく、複数枚の吸収性シートを積層して形成してもよい。中央吸収部33の積層構造を1枚の吸収性シート3Bを折り畳んで形成する場合、種々の折り畳みの態様をとり得る。図2に示す態様においては、中央吸収部33は、横方向Xの2箇所の折り曲げ部A1、A2にて1枚の吸収性シート3Bを三つ折りした積層構造を有する。
前記三つ折りにより、吸収性シート3Bは、横方向Xの両端部E1、E2と上記の折り曲げ部A1、A2とで、第1折り部33A、第2折り部33B、第3折り部33Cに区分される。第1折り部33Aは、端部E1側から折り曲げ部A1までの部分であり、中央吸収部33における肌対向面側10Aに位置する。第2折り部33Bは、折り曲げ部A1、A2間の部分であり、中央吸収部33における非肌対向面側10Bに位置する。第3折り部33Cは、折り曲げ部A2から端部E2までの部分であり、第1折り部33Aと第2折り部33Bとによって厚み方向に挟持されて、中央吸収部33の積層構造の内部に配されている。加えて、第3折り部33Cが有する端部E2が、折り曲げ部A1の位置で、第1折り部33A及び第2折り部33Bによって包皮され中央吸収部33の積層構造の内部に入り込んでいる。
中央吸収部33の積層構造は、図2に示す態様に限定されず、種々の折り畳みの態様を取り得る。例えば、上記積層構造は、2枚の吸収性シートBを重ねたうえで横方向Xの2箇所で下方に折り畳み、横方向Xの端部を横方向Xの中央で突き合わせて接合した、4層構造としてもよい。
ナプキン10を構成する部材の形成材料は、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
液保持透過シート4に配される抗菌・消臭機能剤としては、吸収性物品等に通常用いられる種々の剤を用いることができる。抗菌・消臭機能剤は、抗菌機能又は消臭機能のいずれかを有していればよく、抗菌及び消臭機能を有していてもよい。
その中でも抗菌・消臭機能剤は、水難溶性のものを用いることが好ましい。このような抗菌・消臭機能剤は排泄液中に溶出しないため、排泄液と接しても機能剤配合部Eに留まる。このため、機能剤配合部Eにおいて抗菌効果を持続的に発揮することができる。
抗菌・消臭機能剤が「水難溶性」であるとは、25℃のイオン交換水100gに対する溶解度が10g未満であることを言う。水難溶性の抗菌剤の25℃のイオン交換水に対する溶解度は、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。なお、本明細書では、上述した溶解度が0.1g以下である場合には、「水不溶性」とする。また、本明細書では、水難溶性と水不溶性をまとめて、上位概念の「水難溶性」とも言うことがある。他方、抗菌剤が「水溶性」であるとは、25℃のイオン交換水100gに対する溶解度が10g以上であること言い、水溶性抗菌剤の25℃のイオン交換水に対する溶解度は、好ましくは40g以上、更に好ましくは50g以上である。
前記溶解度は、次の方法によって測定することができる。200mLビーカーに入れた25℃のイオン交換水100gに対して、十分乾燥させた測定対象(抗菌剤)を投入し、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、マグネチックスターラーを用いて600rpmで撹拌し、1時間撹拌しても溶解できない直前の投入量を、当該抗菌剤の25℃の水に対する溶解度とする。なお、マグネチックスターラーとしてはアズワン株式会社製HPS-100等を使用できる。
抗菌・消臭機能剤としては、抗菌性の金属、抗菌性金属担持物、有機系抗菌剤等を含むことが好ましい。これらには水溶解性のものも含まれるが、上述の通り本発明においては水難溶性のものを用いることが好ましい。水溶性の抗菌性金属を使用する場合には、多孔性材料に担持させて水難溶性とすることが好ましい。
また、抗菌・消臭機能剤は、抗菌性金属を担持した多孔質材料を含むことが好ましい。このような抗菌・消臭機能剤を用いると、排泄液と接触した初期には抗菌性金属により菌の増殖を抑制でき、また、排泄液吸収後にも、菌が排泄液の成分に作用して発生させる臭い原因物質を多孔質材料により物理的に吸着して消臭することができる。
以下に、上記抗菌剤等の例についてより具体的に説明する。抗菌剤等としては、下記に挙げる抗菌剤等の内、少なくとも1種を含有することが好ましい。
抗菌性の金属(抗菌性金属)としては、銀、銅、亜鉛(特に、酸化亜鉛)、ジルコニウム等が挙げられる。抗菌性金属は、そのまま使用してもよく、担体に担持させて使用してもよい。
抗菌性金属を担持する担体としては特に限定されないが多孔質材料が好ましい。多孔質材料としては、少なくとも表面に多数の細孔を有する材料であって、揮発する臭い原因物質をその孔に捕集、吸着及び/又は包摂できる材料を指す。多孔質材料の材質としては、有機化合物、無機化合物若しくはそれらの重合体、又はそれらの組み合わせ等が挙げられる。その具体例としては、例えば多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等の多孔アクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔ピリジン共重合体等の多孔芳香族系ポリマー、及びそれらの共重合体等の合成の多孔質ポリマー;キチン及びキトサン等の天然の多孔質ポリマー; 酸化亜鉛、活性炭、シリカ、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸塩化合物(ゼオライト等)、ハイシリカゼオライト(疎水性ゼオライト)、セピオライト、カンクリナイト、及び水和酸化ジルコニウム等の無機多孔質物質などが挙げられる。
抗菌性金属担持物としては、上記の抗菌性金属を上記多孔質材料に担持させたものが好ましく、具体的には、銀ゼオライト、銀担持ジビニルベンゼン/2-ビニルピリジン共重合体(特開2008-63711号公報の実施例2記載のもの)アルミニウム・銀・ナトリウム硝酸ケイ酸塩(特開2006-307404号公報記載、特に実施例1に記載のものや、特開2005-232654号公報記載、特に実施例1記載のもの)、銀又は亜鉛を担持した二酸化ケイ素・酸化亜鉛・酸化アルミニウムの複合物(抗菌性金属を担持した金属置換カンクリナイト様鉱物)(例えばミズカナイト(商品名、水澤化学工業社製))、リン酸銀ジルコニウム、銀・亜鉛ゼオライトの混合物等が挙げられる。なお、上記例において抗菌性金属を別の抗菌性金属に代えた担持物、例えば、抗菌性金属として銀を挙げた担持物については、銀以外にも、銅、亜鉛(特に、酸化亜鉛)、ジルコニウムを保持する担持物であってもよい。
上に挙げた抗菌性金属担持物の担体、例えば、ゼオライト、アルミノケイ酸塩化合物等は、消臭対象成分に合わせて孔の大きさをコントロール(賦活方法等で制御)したものとしてもよい。
消臭の対象となる尿や経血等の排泄液由来の臭い成分は、アンモニア、アミン類、脂肪酸類、硫化水素やメルカプタン類等の成分が複数混合されたものである。一般的に、これらの臭い成分の分子サイズは1nm以上であるので、平均細孔径が2nm以上である多孔性粒子を消臭剤として用いることで、複数の臭い成分を効果的に吸着することができる。
多孔性粒子の平均細孔径は、細孔径分布における細孔径のピークを意味する。多孔性粒子の細孔径のピークは、臭気の吸着効果と、後述する香料から揮散される香気成分を吸着しにくく、香りが変質、低減しにくくする観点から、香気成分の大きさよりも小さいことが好ましく、好ましくは0.1μm以下、さらに好ましくは0.04μm以下、そして、好ましくは0.005μm以上である。多孔性粒子の細孔径のピークは下記方法により測定される。
<多孔性粒子の細孔径のピークの測定方法>
多孔性粒子の細孔径のピークは、細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製、商品名:BELSORP mini II)を用いて、液体窒素を用いた多点法により測定することができる。細孔分布におけるピークトップを細孔径のピークとする。測定試料は110℃で1時間加熱する前処理を施す。
また、有機系抗菌剤としては、例えば水難溶性第4級アンモニウム塩が好ましく、その中でも水難溶性のベンザルコニウムクロライド、セチルリン酸化ベンザルコニウム等が好適に挙げられる。
抗菌剤等の配合量は、用途や機能に応じて適宜に設定することができる。
表面シート1としては、液透過性を有する種々のシートを用いることができる。例えば、単層又は複数層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。肌触りの良さを考慮すると、親水性の不織布が好ましく、サーマルボンド不織布がより好ましく、エアスルー不織布が特に好ましい。表面シート1の不織布を構成する繊維は、親水化処理された熱可塑性樹脂繊維であり、かつ、該繊維が2次クリンプ又は3次クリンプのような立体捲縮がなされた繊維であることが好ましい。具体的には、表面シート1の不織布を構成する繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ナイロン、及びこれらの複合繊維を作成し、所定の長さにカットしてステープルを形成する前の段階で、各種親水化剤を塗工することで親水化する。複合繊維は、いわゆる熱伸長繊維とすることができる。親水化剤としては、αオレフィンスルホン酸塩に代表される各種アルキルスルホン酸塩、アクリル酸塩、アクリル酸塩/アクリルアミド共重合体、エステルアミド、エステルアミドの塩、ポリエチレングリコール及びその誘導物、水溶性ポリエステル樹脂、各種シリコーン誘導物、各種糖類誘導物、及びこれらの混合物など、通常用いられる親水化剤による親水化処理を用いることができる。
また、表面シート1は、肌対向面側に凹凸を有するものであってもよい。表面シート1が複数層構造のものである場合、着用者の肌に近い側に位置する第1繊維層と、着用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層とを有するものであってもよい。第1繊維層と第2繊維層とが部分的に形成された多数の接合部によって厚さ方向に一体化され、第1繊維層における、複数の該接合部どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、前記凹凸形状の凸部を形成している凹凸シートを用いることができる。凸部が中実構造である凹凸シートとしては、例えば特開2007-182662号公報や特開2002-187228号公報に記載のものを用いることができる。
表面シート1としては、図4に示すような格子模様のエンボス線を有するものが好ましい。エンボス線の格子模様は、互いに交差するように配置された複数本のエンボス線7A及び7Bにより形成される。エンボス線7A及びエンボス線7Bは互いが交差する位置において非エンボス部となり離間している。図4においては、エンボス線7A及び7Bは、それぞれ延在方向が平行で2つの異なる間隔で配置されているが、延在方向が平行であれば、一定の間隔で配置されていてもよく、2つ以上の異なる間隔で配置されていてもよい。エンボス線7A同士及びエンボス線7B同士は平行に周期的に配置されていることが好ましい。エンボス線7Aとエンボス線7Bとの交差する角度は特に限定されず、鋭角でも、90度でもよい。各エンボス線の離間の距離は、目的及び用途に応じて適宜設定することができる。このようなエンボス線を有する表面シートとしては、特開2021-094313号公報の段落[0045]~[0053]に記載の表面シートを用いることができる。格子模様は、特開2021-094313号公報の図3及び図4に示された模様とすることができる。格子模様は、竪型のひし形形状であることが好ましい。
このような格子模様を有する表面シート1においては、エンボス線7A及び7Bそれぞれの位置に応じて、繊維密度の異なる部位が少なくとも3つ形成される。具体的には、エンボス線7A及び7Bそれぞれの線上でエンボス部分を複数に分断したエンボス線部71及びエンボス線部71、71間のエンボス線離間部72(エンボス線の延伸方向の断絶部の端部と端部の間)、エンボス線に囲まれた領域のエンボス線囲繞部73(肌面側への凸部)である。エンボス線離間部72は、より具体的には、エンボス線7A及び7Bの延伸方向の断絶部の4つの端部によって囲まれた領域であり、これら4つの端部に接する最大径の円によって確定される範囲である。
エンボス線部71の繊維密度をD11、エンボス線離間部72の繊維密度をD12、エンボス線囲繞部73の繊維密度をD13とした場合に、D11>D12>D13の関係となる。図4におけるように、平面視において面積の異なるエンボス線囲繞部73を有する場合であっても、それぞれのエンボス線囲繞部73における繊維密度はおおよそ同じである。
このような繊維密度の関係を有することにより、繊維密度の高いエンボス部に沿って排泄液が移行し、中くらいの繊維密度を有するエンボス線離間部72において排泄液が吸収され、表面シート1上での横方向での排泄液の拡散が塞ぎとめられる。これにより、液保持透過シート4の機能剤配合部Eに排泄液を集約して透過させやすくなり、前述の作用をより効果的に発現させやすくなる。
各領域の繊維密度は、実施例に記載の方法により算出することができる。
裏面シート2としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。裏面シート2は、液不透過性(液難透過性も含む)又は撥水性のものが用いられ、透湿性の樹脂フィルム等を用いることも好ましい。
サイド防漏シート5としては、耐水圧の高い積層不織布、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
本発明の吸収性物品は、上記の実施形態の生理用ナプキンに制限されるものではなく、例えばパンティライナー、失禁パッド、尿とりパッド、使い捨ておむつ等に適応することができる。また、経血に限らずその他、尿、オリモノ、軟便等に対しても効果的である。また、上記構成部材の他、用途や機能に合わせ適宜部材を組み込んでもよい。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。
〔試験例1:液透過性及び繊維密度〕
測定サンプルを以下のように準備し、各測定サンプルの液透過性及び繊維密度を下記方法により評価した。測定結果を表1に示す。
(測定サンプル)
測定サンプルとしては以下を使用した。
花王株式会社製の生理用ナプキン(商品名「ロリエスリムガード」、2020年式)から以下の構成部材を取り出した。
「表面シート用エアスルー不織布」:合成繊維(芯部ポリプロピレン樹脂(PP)または芯部ポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘部ポリエチレン(PE))のエアスルー不織布。表面に、図4に示すような、エンボス線によって形成される縦型のひし形形状を有した。
「中間層用エアスルー不織布」:芯部ポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘部ポリエチレン(PE)とからなる芯鞘構造の合成繊維をエアスルー方式で不織布としたもの。
「吸収体」:表1に示す坪量の異なる2枚のシート(表中では、各シートを(1)及び(2)とし、それぞれの坪量、厚さを示す)の積層体((2)を折り畳んで形成した2層構造の中央吸収部を、(1)を折り畳んで形成した表面側吸収性シートと裏面側吸収性シートとの間に配した4層構造)であり、図2で示す構造を有する。各シートは、高吸収性ポリマー(SAP)とパルプとからなる。
別途、花王株式会社製の生理用ナプキン(商品名「ロリエしあわせ素肌」、2020年式)から、コアラップシートとして用いられている以下のクレープ紙を取り出した。
「コアラップシート用クレープ紙」:パルプからなるクレープ紙
さらに、本発明で用いる液保持透過シートの一例として、以下のパルプエアレイド不織布を用いた。
「パルプエアレイド不織布」: パルプ85質量%、芯PET/鞘PEの合成繊維15質量%とからなる繊維組成物をエアエアレイド方式で不織布としたもの。
(繊維密度)
各測定サンプルの坪量と厚さとを測定し、繊維密度を測定した坪量と厚さより算出した。

繊維密度(g/cm)=坪量(g/m)÷(厚さ(mm)×1000)

なお、表面シートについては、エンボス部を除いた部分において坪量及び厚さを測定した。
また、上記吸収体の繊維密度(中央吸収部が配された位置と重なる位置における、吸収体を構成する積層構造全体の繊維密度)は、以下のようにして求めた。
吸収体の坪量(g/m)=75×2+120×2=150+240=390
吸収体の厚み(mm)=0.45×2+0.55×2=0.9+1.1=2.0
吸収体の繊維密度(g/cm)=390÷(2.0×1000)≒2.0×10-1
(液透過性)
液透過性の指標として、各測定サンプルの液透過時間を測定した。液透過時間が短いほど液透過性が高いと判断することができる。
上下端が開口している内径35mmの2本の円筒を、両円筒の軸を一致させて上下に配し、8~10cm四方の測定サンプルを上下の円筒間にたるまないように挟み込み、その状態で、上側の円筒内に85%グリセリン水溶液を10g供給した。供給された85%グリセリン水溶液は、測定サンプルを透過する。85%グリセリン水溶液の供給開始時から、7gの85%グリセリン水溶液が測定サンプルを透過して落下するまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とした。
なお、吸収体については、6分経過しても7gの85%グリセリン水溶液が落下しなかったため、表1中に液透過時間を「∞」として表示した。なお、上記吸収体において、中央吸収部を構成するシートを表1中のシート(2)に代えてシート(3)(坪量:80g/m、厚さ:0.50mmである以外はシート(2)と同じシート)とした場合でも、上記と同様に、吸収体の液透過時間は「∞」となった。
Figure 2023092394000002
〔試験例2:無荷重時液保持量及び荷重時液保持率〕
測定サンプルを以下のように準備し、各測定サンプルの無荷重時液保持量、荷重時液保持量及び荷重時液保持率を下記方法により評価した。得られた結果を表2及び表3に示す。
(実施例1)
花王株式会社製の生理用ナプキン(商品名「ロリエスリムガード」、2020年式)が具備する構成部材を用意し、中間層として、前述の「パルプエアレイド不織布」(パルプ85質量%、芯部ポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘部ポリエチレン(PE)の合成繊維15質量%とからなる繊維組成物をエアレイド方式で不織布としたもの)からなる液保持透過シートを用意した。これらの構成部材を用いた以外は、通常の生理用ナプキンと同様の手順で組み立て、図1に示す、実施例1の吸収性物品サンプルとした。
(比較例1)
実施例1において、中間層を前述の「中間層用エアスルー不織布」(芯部ポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘部ポリエチレン(PE)の合成繊維をエアスルー方式で不織布としたもの)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の吸収性物品を作製した。
(比較例2)
実施例1において、中間層を前述の「コアラップシート用クレープ紙」(花王株式会社製の生理用ナプキン(商品名「ロリエしあわせ素肌」、2020年式)が具備する構成部材。クレープ紙。)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の吸収性物品を作製した。
(無荷重時液保持量)
吸収性物品に、8cpに調整した脱繊維馬血(日本バイオテスト(株)製)3gを、50mm×23mmの楕円プレートを用いて注入し2分間放置した後の、表面シート、中間層、吸収体の質量をそれぞれ測定した。馬血3g液注入後の各部材の質量から乾燥時(馬血注入前)の各部材の質量を差し引き、この値を無荷重時液保持量とした。
(荷重時液保持率及び荷重時液保持率)
吸収性物品に、8cpに調整した馬血3gを、50mm×23mmの楕円形の開口部を有するプレートを用いて該開口部から注入し2分間放置した後、ティッシュペーパー(縦18.5cm、横25cm、坪量23g/mの吸収紙(市販のティッシュペーパー、1枚)を液注入部分にあて、その上から30mm×50mmの板を厚み方向Zに沿って、5秒間、20g/cm加圧となるように押し付けた後の、ティッシュペーパー、表面シート、中間層、吸収体の質量をそれぞれ測定した。馬血3g液注入・荷重負荷後の各部材の質量から乾燥時(馬血注入前)の各部材の質量を差し引き、この値を荷重時液保持量とした。
液保持量の値が大きいほど、液保持性が高いと判断することができる。
上記荷重(20g/cm)は、着用者が着席した場合に吸収性物品に付加される荷重(座圧)を想定したものである。
さらに、得られた各部材の荷重時液保持量を、液注入量で除し、100分率とすることで、荷重時液保持率を求めた(下記式)。

荷重時液保持率(%)=荷重時液保持量(g)÷液注入量(3g)×100

ティッシュペーパー及び表面シートへの荷重時液保持率は小さいことが好ましい。ティッシュペーパー及び表面シートへの液戻りは、肌面への液戻りに相当するためである。
Figure 2023092394000003
Figure 2023092394000004
表2及び3に示されるように、中間層にとしてエアスルー不織布を用いた比較例1のサンプル、及びクレープ紙を用いた比較例2のサンプルは、ティッシュペーパー及び表面シートの荷重時液保持率の合計が10%以上であった。
これに対し、中間層にパルプエアレイド不織布からなる液保持透過シートを配した実施例1のサンプルは、ティッシュペーパー及び表面シートの荷重時液保持率の合計が10%未満であった。荷重時液保持量でみると、実施例1のサンプルは、ティッシュペーパーの荷重時液保持量(表面シート表面への液戻り量の主な部分)が、比較例1及び2に対して70%程度に低減できていた。実施例1のナプキンによれば、着座などにより荷重を加えた際においても、肌面への液戻り量が大きく低減されることがわかる。
さらに、無荷重時液保持量に着目すると、実施例1のサンプルの表面シートの無荷重時液保持量は、比較例1及び比較例2と比較して少ない。このことから、パルプエアレイド不織布からなる液保持透過シートを介在させることで、表面シートから液保持透過シート及び吸収体へ排泄液を効率よく移行できることがわかる。一方で、パルプエアレイド不織布からなる液保持透過シートは荷重下において相対的に排泄液を多く保持できていた。このことは、荷重下における吸収体からの液戻りは、パルプエアレイド不織布からなる液保持透過シートで一時的に吸収されること、すなわち、荷重下において吸収体から液保持透過シートへ液戻りで前述の液交換が生じていたことが分かる。このように実施例1のサンプルは、液保持透過シートに抗菌・消臭機能剤を配した場合に、排泄液と抗菌・消臭機能剤との接触機会を多くして抗菌消臭効果を高め得る構造を有することが分かった。
またこの点について次のことが分かった。すなわち、パルプエアレイド不織布は一般的に中間層に用いられるエアスルー不織布よりも繊維密度が低いため荷重をかけた際にも繊維間空隙が維持されやすい。そのため、実施例1のサンプルは比較例1のサンプルに比べて、排泄液を液保持透過シートのパルプエアレイド層内に留めることができる。この点からも、実施例1のサンプルは、荷重をかけた際にパルプエアレイド層から表面シートへの液移行が抑制され、継続して排泄液を抗菌剤に効果的に接触させることができる構造を有するものであると言える。
1 表面シート
2 裏面シート
3 吸収体
31 表面側吸収性シート
32 裏面側吸収性シート
33 中央吸収部
3A、3B 吸収性シート
4 液保持透過シート
10 生理用ナプキン
10A 肌対向面側
10B 非肌対向面側

Claims (5)

  1. 肌対向面側に配される液透過性の表面シート、非肌対向面側に配される裏面シート、及び、これらの両シート間に配される吸収体を備え、着用者の前後方向に対応する縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
    前記表面シートと前記吸収体との間に、パルプエアレイド不織布からなる液保持透過シートを備え、
    前記液保持透過シートは、その少なくとも一部に、抗菌・消臭機能剤が配された機能剤配合部を有し、
    前記表面シートの液透過性をP1、前記機能剤配合部の液透過性をP2、前記吸収体の液透過性をP3としたときにP1>P2>P3であり、
    20g/cmの荷重下における、前記表面シートの荷重時液保持率をB1、前記機能剤配合部の荷重時液保持率をB2としたときに、B2>B1である、
    吸収性物品。
  2. 前記表面シートの無荷重時液保持量をR1、前記機能剤配合部の無荷重時液保持量をR2、前記吸収体の無荷重時液保持量をR3としたときに、R1<R2<R3である、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収体は、該吸収体の前記横方向の少なくとも中央部に、肌対向面側に位置する表面側吸収性シート、非肌対向面側に位置する裏面側吸収性シート及びこれら両シート間に位置する中央吸収部を含む積層構造を有しており、
    前記積層構造において、高吸収性ポリマー材の単位面積当たりの含有質量が、前記表面側吸収性シートよりも前記中央吸収部において多い、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記抗菌・消臭機能剤が、水難溶性である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記抗菌・消臭機能剤が、金属性の抗菌剤を担持した多孔質材料を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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