JP2019160964A - 多層膜の成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

多層膜の成膜方法及び成膜装置 Download PDF

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宏樹 小林
Hiroki Kobayashi
宏樹 小林
達朗 露木
Tatsuro Tsuyuki
達朗 露木
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勲 木村
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Taketo Jinbo
武人 神保
新之介 間嶋
Shinnosuke Majima
新之介 間嶋
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Abstract

【課題】本来の成膜温度よりも低い成膜温度で成膜しても膜質の低下を抑制することができる多層膜の成膜方法を提供する。【解決手段】本発明に係る多層膜の成膜方法は、基板の一主面側に、絶縁層と導電層が順に重ねて配された基体を用い、基体上に誘電体膜を形成する多層膜の成膜方法であって、基板の一主面側に導電層を形成し、基体を載置する支持体の接地電位に対するインピーダンスを100〜300[Ω]に調整しながら導電層を覆うように誘電体膜を形成し、誘電体膜を形成する際の基板温度をTd(dielectric)と定義したとき、465≦Td≦520[℃]を満たす。【選択図】図4

Description

本発明は、多層膜の成膜方法及び成膜装置に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)等の強誘電体を用いた圧電素子は、インクジェットヘッドや加速度センサ等のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術に応用されている。中でも、PZT膜は注目されており、各機関において盛んに研究されている。
チタン酸ジルコン酸鉛等からなる強誘電体膜を形成する成膜方法として、基板に導電層を形成し、導電層を覆うようにシード層を形成し、シード層を覆うように誘電体層を形成し、誘電体層を成膜した後の冷却過程において、誘電体層に圧縮応力が加わるように温度制御する多層膜の製造方法が知られている(特許文献1)。
このような多層膜の製造方法では、基板の一主面側に絶縁層と導電層が順に重ねて配された基体上に誘電体膜を形成する際に、本来の処理温度よりも低い成膜温度で成膜した場合、多層膜の膜質の低下が発生することがあった。
国際公開第2015/194452号
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、本来の成膜温度よりも低い成膜温度で成膜しても膜質の低下を抑制することができる多層膜の成膜方法及び成膜装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の多層膜の成膜方法は、基板の一主面側に、絶縁層と導電層が順に重ねて配された基体を用い、前記基体上に誘電体膜を形成する多層膜の製造方法であって、前記基板の一主面側に導電層を形成し、前記基体を載置する支持体の接地電位に対するインピーダンスを100〜300[Ω]に調整しながら前記導電層を覆うように誘電体膜を形成し、前記誘電体膜を形成する際の基板温度をTd(dielectric)と定義したとき、465≦Td≦520[℃]を満たす、ことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の多層膜の成膜方法において、前記インピーダンスは、コンデンサの静電容量を可変にすることにより調整する、ことを特徴とする。
前記課題を解決するために、請求項3に記載の成膜装置は、基板の一主面側に絶縁層と導電層が順に重ねて配された基体を用い、前記基体上に誘電体膜を形成する成膜装置であって、真空槽内に配置された、前記基体を載置する支持体に対して、電気的に接続されたインピーダンス調整機構を備えた、ことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の成膜装置において、前記インピーダンス調整機構は、静電容量が可変の可変コンデンサを含む回路である、ことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項3又は4に記載の成膜装置において、前記インピーダンス調整機構は、一方が直接接地電位に設定され、他方が前記支持体に接続されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、本来の成膜温度よりも低い成膜温度で成膜しても膜質の低下を抑制することができる。
本実施形態に係る成膜装置の内部構成の全体を概略的に示す断面模式図。 図1における付近Aを示す要部断面模式図。 図1に示す成膜装置のインピーダンス調整機構の概略回路図。 本実施形態に係る多層膜の成膜方法の工程の一例を示すフローチャート。 第一の支持部のインピーダンス値とPZT膜中のPbの組成比の一例を示す図。 成膜温度とPb量の正規化値との関係を示す図である。 (a)は各実験例における基板温度及び第一の支持部のインピーダンス調整値と得られたサンプルとの対応を示す図、(b)は各実験例におけるPZT膜の膜質及び内部応力の評価結果を示す図。 (a)はサンプル1,7,8のX線チャート、(b)サンプル1,7,8の内部応力、配向面、疲労特性を示す一覧表。 本実施形態に係る多層膜の一構成例を示す断面模式図。 成膜から冷却過程におけるPZTの結晶構造の変化を模式的に示す図。
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
(1)多層膜
図9は本実施形態に係る多層膜の成膜方法によって成膜される多層膜の一構成例を示す断面模式図、図10は成膜から冷却過程におけるPZTの結晶構造の変化を模式的に示す図である。
本実施形態に係る多層膜の成膜方法によって成膜される多層膜は、基板1の一主面側に、導電層3と、誘電体層4とが順に重ねて配されている。
具体的には、図9に模式的に示すように、最表面に熱酸化膜としてのSiO層2が形成されたシリコン(Si)からなる基板1の一主面側に、白金(Pt)からなる導電層3、誘電体層4が順に配されている。
誘電体層4は、特に限定されるものではないが、例えばチタン酸ジルコン酸鉛[Pb(ZrTi1−x)O:PZT]、PbTiO、BaTiO、PMM−PZT、PNN−PZT、PMN−PZT、PNN−PT、PLZT、PZTN、NBT、KNN等の強誘電体からなる。
その中でも特に、誘電体層4としては、例えば鉛(Pb)、ジルコニア(Zr)、チタン(Ti)、酸素(O)を含む、チタン酸ジルコン酸鉛[Pb(ZrTi1−x)O:PZT]であることが好ましい。
PZTは、図10に示すように、その結晶構造が立方晶(Cubic)であるが(図2(a) 参照)、高温(たとえばキュリー点以上の温度)で成膜した後、冷却過程において、正方晶(Tetra)へと変化する。このとき、通常の場合、PZT膜はa軸に配向するが(図2(b)参照)、冷却過程においてPZTに圧縮応力がかかっていると、PZTがc軸に配向する(図2(c)参照)。
本実施形態に係る多層膜の成膜方法によれば、基板1を載置する支持体の接地電位に対するインピーダンスを100〜300[Ω]に調整しながら、基板温度(Td)を465≦Td≦520[℃]を満たすように温度制御して、導電層3を覆うように誘電体層4を形成することで、c軸に優先配向したPZT膜を成膜することが可能である。これは、PZT膜のドメインがc軸に結晶化しているものが多くなるためと推察される。
(2)成膜装置
(2.1)成膜装置の全体構成
図1は成膜装置10の内部構成の全体を概略的に示す断面模式図、図2は図1における付近A1を示す要部断面模式図、図3は図1に示す成膜装置10のインピーダンス調整機構120の概略回路図である。
成膜装置10は、真空槽11と、ターゲット21と、第一の支持部101と、温度制御部105、106と、スパッタ電源13と、スパッタガス導入部14と、第一の防着板34と、第二の防着板35と、インピーダンス調整機構120とを備えている。
真空槽11の内部には、基体の一例としての処理基板100の表面に成膜しようする膜の組成に応じて所定形状に作製されたターゲット21が配置されている。
第一の支持部101は、ターゲット21と対面する位置に配置され、処理基板100が載置される。
また、第一の支持部101には処理基板100を静電吸着する手段が内在されている(不図示)。第一の支持部101の表面101a(図2においては上面)に処理基板100を載置し静電吸着させることにより、処理基板100の裏面は第一の支持部101の表面に密着し、処理基板100は第一の支持部101と熱的に接続される。
処理基板100が載置される第一の支持部101は、その外周域の底面が第二の支持部102によって保持され、第二の支持部102は支柱103を介して真空槽11の底面に固定されている。
第一の支持部101の外周は処理基板100の外周とほぼ同じ大きさで、第一の支持部101の表面101aはターゲット21の表面と対向するように配されている。これにより、第一の支持部101に載置された処理基板100の被成膜面100aも、ターゲット21の表面21aと対向配置される。
第一の支持部101は、外周域の底面101bが第二の支持部102によって保持され、第一の支持部101の裏面101c(図2においては下面)は、離間して配置された温度制御部105、106と対向している。
第一の支持部101には、インピーダンス調整機構120が接続され、第一の支持部101の基板側インピーダンスを調整する。
温度制御部105、106は、第一の支持部101に載置された処理基板100を加熱/冷却して基体温度を調整する。スパッタ電源13は、ターゲット21に電圧を印加する。スパッタガス導入部14は、真空槽11内にスパッタガスを導入する。
第一の防着板34および第二の防着板35は、真空槽11内で、ターゲット21から放出された粒子が付着する位置に配置されている。
真空槽11の上部壁面には、カソード電極22が絶縁部材28を介して配置されており、カソード電極22と真空槽11とは電気的に絶縁され、真空槽11は接地電位とされている。カソード電極22の一面側は局部的に真空槽11内に露出されている。ターゲット21はカソード電極22の一面側のうち露出された領域の中央部に密着して固定され、ターゲット21とカソード電極22とは電気的に接続されている。
スパッタ電源13は真空槽11の外側に配置されている。スパッタ電源13は、カソード電極22と電気的に接続され、カソード電極22を介してターゲット21に交流電圧を印加可能となっている。
カソード電極22のターゲット21とは反対側、すなわちカソード電極22の他面側には磁石装置29が配置されている。磁石装置29はターゲット21の表面に磁力線を形成するように構成されている。
温度制御部105、106は、内蔵された発熱部材(不図示)と加熱用電源17とを有している。
発熱部材としては例えばSiCが用いられる。発熱部材は、第一の支持部101を挟んで処理基板100とは反対側の位置に配されている。
加熱用電源17は発熱部材と電気的に接続されている。加熱用電源17から発熱部材に直流電流が供給されると、発熱部材が発する熱が、第一の支持部101を通して、第一の支持部101に載置された処理基板100と第二の防着板35とへ伝わる。これにより、処理基板100と第二の防着板35が同時に温度制御される。
本実施形態においては、特に465〜520[℃]の範囲で温度制御することで、Pb抜けが安定的に抑制されたPZT膜を得ることができる。
また、温度制御部105、106に内蔵された発熱部材(不図示)を挟んで第一の支持部101とは反対側に、すなわち温度制御部105、106の下方に、冷却部(不図示)を配置してもよい。たとえば、冷却部の内部に温度管理された冷却媒体を循環させるように構成することにより、発熱部材が発熱しても真空槽11の壁面の加熱を防止することができる。
スパッタガス導入部14は真空槽11内に接続され、真空槽11内にスパッタガスを導入できるように構成されている。
(2.2)インピーダンス調整機構
図2に示すように、第一の支持部101は、第二の支持部102及び支柱103を介して電気的に接続されたインピーダンス調整機構120を備えている。
インピーダンス調整機構120は、真空槽11の外部に設けられ、一方が直接接地電位に設定され、他方が第一の支持部101に接続されている。
インピーダンス調整機構120は、図3に示すように、静電容量が可変の可変コンデンサVC1、VC2を含む回路であり、可変コンデンサ回路の静電容量が調整されることにより、第一の支持部101のインピーダンスが調整され、第一の支持部101に載置された処理基板100の電位が調整される。
インピーダンス調整機構120は、図3に示すように、互いに並列に接続される第1可変コンデンサVC1および第2可変コンデンサVC2と、第2可変コンデンサVC2と直列に接続されるコイルLとを有する。
第1可変コンデンサVC1及び第2可変コンデンサVC2には、調整つまみ(不図示)がそれぞれ取り付けられ、調整つまみによって第1可変コンデンサVC1及び第2可変コンデンサVC2のそれぞれの静電容量が変えられ、その結果、インピーダンス調整機構120のインピーダンスが変えられるようになっている。
このようなインピーダンス調整機構120によって、所定組成の誘電体膜を成膜する場合の好適なインピーダンス値、またはその範囲を、誘電体膜組成や膜種に応じて予め求めておき、インピーダンス値(又は処理基板100の基板電位)をモニタしながら、第1可変コンデンサVC1及び第2可変コンデンサVC2の少なくとも一方の静電容量を変化させて調整し、インピーダンス調整機構120のインピーダンスを調整し、第一の支持部101の及びこれに載置される処理基板100のインピーダンスを変化させて調整して、処理基板100の基板電位を所定範囲内に入れることが行われる。
(3)多層膜の成膜方法
図4は本実施形態に係る多層膜の成膜方法の工程の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS101で、図1〜図3に示す成膜装置10において、真空槽11内に設けられたカソード電極22にスパッタリング用のターゲット21を装着して保持させるとともに、真空槽11内において、カソード電極22と対向する位置に離間して配置された第一の支持部101に多層膜を成膜する処理基板100を載置して保持させる。
次いで、ステップS102において、第一の支持部101にインピーダンス調整機構120を接続し、第一の支持部101のインピーダンスが調整でき、第一の支持部101に保持された処理基板100の電位を測定できる状態にする。
この後、ステップS103において、真空槽11の内部空間を、真空排気装置15により減圧し、以後、真空排気を継続して真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
そして、スパッタガス導入部14から真空槽11内にスパッタガスとしてArガスを導入すると同時に、ステップS104において、スパッタ電源13からカソード電極22に高周波(負の高周波電力)を印加して、カソード電極22を放電させて、真空槽11内に導入されたArガスをプラズマ化し、Arイオン等のプラスイオンを生成させ、プラズマ空間が形成される。
次いで、ステップS105においては、ステップS104で形成されたプラズマ空間内のプラスイオンは、カソード電極22に保持されたターゲット21をスパッタし、スパッタされたターゲット21の構成元素は、ターゲット21から放出され、中性あるいはイオン化された状態で、第一の支持部101に保持された処理基板100の一主面側にPt導電層3が形成される。
次に、Pt導電層3を覆うように誘電体層4を形成する。誘電体層4として、PZT膜をスパッタ法により形成する。ターゲット21として、PZTターゲットが設置された真空槽11の内部空間を、真空排気装置15により減圧して、成膜時の圧力雰囲気よりも高真空排気された真空雰囲気の状態を維持しながら、Pt導電層3が予め設けてある基板のPt導電層3が、PZTターゲット21のスパッタ面と対向するように、第一の支持部101に基板を保持させる(ステップS106)。
続いて、加熱用電源17に接続された温度制御部105、106を温度制御しながら、第一の支持部101に保持された基板の基板温度を465〜520[℃]の範囲に保持しながら、スパッタガス導入部14から真空槽11内に、スパッタガスとしてArガスと酸素ガスとを導入し、スパッタ電源13からカソード電極22に交流電圧を印加することにより、PZTターゲットのスパッタを開始する(ステップS107)。
続いて、ステップS108では、成膜中において、インピーダンス調整機構120を介して第一の支持部101のインピーダンス値(又は基板の基板電位)を測定しながら、インピーダンス調整機構120の第1可変コンデンサVC1及び第2可変コンデンサVC2の少なくとも一方の静電容量を可変しながら、真空槽11内の第一の支持部101のインピーダンス値を予め定められている所定範囲内(一例として100〜300[Ω])に調整する。こうして、成膜中の基板の基板電位を適切な基板電位とし、その結果、成膜中のプラズマ空間のプラズマの電位を多層膜の成膜に適したものとすることができ、基板の一主面側にあるPt導電層3の上に、ペロブスカイト構造を有するPZT膜からなる誘電体層4が形成される(ステップS109)。
そして、基板上に所定の膜厚のPZT膜を成膜した後、スパッタ電源13からカソード電極22への電圧印加を停止し、スパッタガス導入部14から真空槽11内へのスパッタガスの導入を停止する。
また、加熱用電源17から温度制御部105、106への電流の供給を停止して、温度制御部105、106を冷却し、基板を成膜温度よりも低い温度に降温させ、その温度を保持させる。
以上の成膜プロセスを実行することにより、本来の成膜温度である600〜700[℃]よりも低い成膜温度である465〜520[℃]で成膜しても、成膜中において第一の支持部101のインピーダンス値を所定範囲内(100〜300[Ω])に調整することで膜質の低下を抑制することができる。また、誘電体層4は、c軸に優先配向され、例えば高い疲労特性と高い圧電特性との両方を兼ね備えた、優れた特性を有する多層膜を成膜することができる。
[実験例]
図5は第一の支持部101のインピーダンス値と成膜したPZT膜中のPbの組成比の一例を示す図、図6は成膜温度とPb量の正規化値との関係を示す図、図7(a)は各実験例における基板温度及び第一の支持部101のインピーダンス調整値と得られたサンプルとの対応を示す図、図7(b)は各実験例におけるPZT膜の膜質及び内部応力の評価結果を示す図、図8(a)はサンプル1とサンプル7とサンプル8のPZT膜の結晶構造を示す回折ピークを示す図、(b)はサンプル1とサンプル7とサンプル8のPZT膜の内部応力と疲労特性を示す図である。
以上説明した成膜装置10を用いて多層膜の成膜実験を行った結果を説明する。
[多層膜]
実験例において製膜実験を行った多層膜は、図9に示すように、基板1の一主面側に、導電層3と、誘電体層4とが順に重ねて配された多層膜である。
具体的には、最表面に熱酸化膜としてのSiO層2が形成されたシリコン(Si)からなる基板1の一主面側に、白金(Pt)からなる導電層3、チタン酸ジルコン酸鉛[Pb(ZrTi1−x)O:PZT]からなる誘電体層4が順に配されている。
このような多層膜の製膜において、従来は、図5に示すように、第一の支持部101のインピーダンス値を一定値以上の高いインピーダンス値にしてPb抜けを抑制するようにしていた。一方、図6に示すように、PZT膜中のPb量は成膜温度に依存し、膜中にPbをより多く取り込むには、より低い処理温度で成膜する必要があった。
本実験例においては、基板1として直径が200mm(8インチ)のSiウェハに、Pt膜からなる導電層3を予め積層した基板を用いて、Pt導電層3を覆うように、PZT膜からなる誘電体層4を、それぞれ基板温度を465−520[℃]、520−600[℃]、600−800[℃]の3水準、それぞれ第一の支持部101側のインピーダンス値を80−100[Ω]、100−300[Ω]、300[Ω]より高抵抗の3水準で成膜して、得られた各サンプルについて、PZT膜の膜質及び内部応力(引張り応力か圧縮応力か)の評価を行った。
[実験例1]
本例では、基板温度の条件を600−800[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を300[Ω]より高くして形成し、その試料をサンプル1と呼ぶ。
[実験例2]
本例では、基板温度の条件を600−800[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を100−300[Ω]に調整して形成し、その試料をサンプル2と呼ぶ。
[実験例3]
本例では、基板温度の条件を600−800[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を80−100[Ω]に調整して形成し、その試料をサンプル3と呼ぶ。
[実験例4]
本例では、基板温度の条件を520−600[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を300[Ω]より高くして形成し、その試料をサンプル4と呼ぶ。
[実験例5]
本例では、基板温度の条件を520−600[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を100−300[Ω]に調整して形成し、その試料をサンプル5と呼ぶ。
[実験例6]
本例では、基板温度の条件を520−600[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を80−100[Ω]に調整して形成し、その試料をサンプル6と呼ぶ。
[実験例7]
本例では、基板温度の条件を465−520[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を300[Ω]より高くして形成し、その試料をサンプル7と呼ぶ。
[実験例8]
本例では、基板温度の条件を465−520[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を100−300[Ω]に調整して形成し、その試料をサンプル8と呼ぶ。
[実験例9]
本例では、基板温度の条件を465−520[℃]、第一の支持部101側のインピーダンス値を80−100[Ω]に調整して形成し、その試料をサンプル9と呼ぶ。
これらの各実験例のサンプル1〜9について、膜質と内部応力について評価した結果を図7に示す。これらの実験例においては、インピーダンス調整値が300[Ω]より高い条件においては、基板温度の条件600−800[℃]、520−600[℃]、465−520[℃]のいずれにおいても、良好な膜質(G)は得られたが、内部応力が引張り応力であった(サンプル1、4、7)。
インピーダンス調整値が80−100[Ω]に調整された条件においては、基板温度の条件600−800[℃]、520−600[℃]、465−520[℃]のいずれにおいても、良好な膜質(G)が得られず、内部応力も引張り応力であった(サンプル3、6、9)。
インピーダンス調整値が100−300[Ω]に調整された条件において、基板温度の条件600−800[℃]では、良好な膜質(G)が得られず、内部応力も引張り応力であった(サンプル2)。
インピーダンス調整値が100−300[Ω]に調整された条件において、基板温度の条件600−800[℃]では、膜質は一部不良(Y)であったが、内部応力は圧縮応力であった(サンプル5)。
インピーダンス調整値が100−300[Ω]に調整された条件において、基板温度の条件465−520[℃]では、良好な膜質(G)が得られ、内部応力は圧縮応力であった(サンプル8)。
これら各サンプルのなかで、サンプル1、サンプル7、サンプル8については、図8(a)に示すように、サンプル8(インピーダンス調整値100−300[Ω]、基板温度の条件465−520[℃])では、サンプル7(インピーダンス調整値300[Ω]より高い条件、基板温度の条件465−520[℃])、サンプル1(インピーダンス調整値が300[Ω]より高い条件、基板温度の条件600−800[℃])に比べて、よりc軸(004)方向に優先配向しているのがわかる。
また、図8(b)に示すように、サンプル8では、PZT膜の内部応力は−80〜−150Mpaで圧縮応力となり、疲労特性も1E10サイクル以上となり、サンプル7、サンプル1に比べて、長寿命の疲労特性を有することがわかった。
このように、本来の成膜温度である600〜700[℃]よりも低い成膜温度である465〜520[℃]で成膜しても、成膜中において第一の支持部101のインピーダンス値を所定範囲内(100〜300[Ω])に調整することで膜質の低下を抑制し、内部応力が圧縮応力のPZT膜を成膜することができる。
以上、本来の成膜温度よりも低い成膜温度で成膜しても膜質の低下を抑制することができる成膜装置10と、成膜装置10を用いた成膜方法について説明したが、成膜装置10及び成膜装置10を用いた成膜方法は、基板の一主面側に、導電層と、誘電体層とが順に重ねて配された多層膜に限らず、最表面に絶縁層を有する基板に絶縁膜が配された多層膜の製膜にも好適に用いることができる。
1 基板、2 SiO層(絶縁層)、3 第一導電層(導電層)、4 誘電体層(誘電体膜)、5 第二導電層、10 成膜装置、11 真空槽、13 スパッタ電源、14 スパッタガス導入部、21 ターゲット、100 基体(W:処理基板)、101 第一の支持部(S1:支持体)、102 第二の支持部(S2)、34 第一の防着板、35 第二の防着板、120 インピーダンス調整機構、VC1、VC2 可変コンデンサ。

Claims (5)

  1. 基板の一主面側に、絶縁層と導電層が順に重ねて配された基体を用い、前記基体上に誘電体膜を形成する多層膜の成膜方法であって、
    前記基板の一主面側に導電層を形成し、
    前記基体を載置する支持体の接地電位に対するインピーダンスを100〜300[Ω]に調整しながら前記導電層を覆うように誘電体膜を形成し、前記誘電体膜を形成する際の基板温度をTd(dielectric)と定義したとき、465≦Td≦520[℃]を満たす、
    ことを特徴とする多層膜の成膜方法。
  2. 前記インピーダンスは、コンデンサの静電容量を可変にすることにより調整する、
    ことを特徴とする請求項1記載の多層膜の成膜方法。
  3. 基板の一主面側に絶縁層と導電層が順に重ねて配された基体を用い、前記基体上に誘電体膜を形成する成膜装置であって、
    真空槽内に配置された、前記基体を載置する支持体に対して、電気的に接続されたインピーダンス調整機構を備えた、
    ことを特徴とする成膜装置。
  4. 前記インピーダンス調整機構は、静電容量が可変の可変コンデンサを含む回路である、
    ことを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
  5. 前記インピーダンス調整機構は、一方が直接接地電位に設定され、他方が前記支持体に接続されている、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の成膜装置。
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