JP2019160628A - 電気化学素子用電極及び電気化学素子 - Google Patents

電気化学素子用電極及び電気化学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】初期容量の優れた電気化学素子及びこれに適した電気化学素子用負極を提供することを目的とする。【解決手段】電気化学素子用電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置する活物質層と、前記活物質層の前記集電体と反対側に位置する多孔質層と、を備え、前記活物質層及び前記多孔質層は、前記多孔質層の最外面である第1面から前記多孔質層と前記活物質層との主の界面である第2面よりも深い位置まで至る空隙を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学素子用電極及び電気化学素子に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等と比べ、軽量、高容量であるため、携帯電子機器用電源として広く応用されている。また、ハイブリッド自動車や、電気自動車用に搭載される電源として有力な候補ともなっている。そして、近年の携帯電子機器の小型化、高機能化に伴い、これらの電源となるリチウムイオン二次電池への更なる高容量化が期待されている。
リチウムイオン二次電池の容量を高めるためには、正極、負極及びセパレータを含む電気化学素体を、均一に電解液に含浸する必要がある。しかし、電気化学素体を組み上げた後に電解液を注入する場合、電極の中央部分の含浸が不十分になり易いという課題がある。電気化学素体が電解液で均一に含浸されないと、設計された放電容量が得られず、十分なサイクル寿命も得られない。
このような課題に対処するために、特許文献1は、電極に溝を形成することを開示している。また、引用文献2、3は、セパレータの一面上に多孔質層を形成することを開示している。
国際公開第98/48466号 特表2014−509777号公報 特開2013−137984号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されているような方法では、電気化学素体が十分に電解液で含浸されないという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、初期容量の優れた電気化学素子及びこれに適した電気化学素子用電極を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。
本発明者は、活物質層上に多孔質層を設け、更に活物質層の最外表面から活物質層内部へと至る空隙を設けることにより、電気化学素体を電解液で十分に含浸できることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる電気化学素子用電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に位置する活物質層と、前記活物質層の前記集電体と反対側に位置する多孔質層と、を備え、前記活物質層及び前記多孔質層は、前記多孔質層の最外面である第1面から前記多孔質層と前記活物質層との主の界面である第2面よりも深い位置まで至る空隙を有する。
(2)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記多孔質層は無機粒子を含有してもよい。
(3)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記多孔質層の平均厚みTは、1.0μm<T<10μmを満たしてもよい。
(4)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記多孔質層の最大厚みT1に対する最少厚みT2の比T1/T2は、2.0≦T1/T2≦5.0を満たしてもよい。
(5)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記空隙の側面及び/又は底面に前記多孔質層を有してもよい。
(6)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記空隙の平均孔径Dは、5μm≦D≦200μmでもよい。
(7)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記多孔質層の前記第1面の中心を基準に、前記中心から前記多孔質層の前記第1面の端部までの最短距離の1/3までの領域A1における前記空隙の平均孔径D1と、前記多孔質層の前記第1面の前記領域A1以外の領域A2における前記空隙の平均孔径D2とが、1.1≦D1/D2≦20の関係を満たしてもよい。
(8)上記態様にかかる電気化学素子用電極において、前記多孔質層の前記第1面における前記空隙の面積の割合Rが、2%≦R≦30%を満たしてもよい。
(9)第2の態様にかかる電気化学素子は、正極と、前記正極に対向する負極と、これらに含浸された非水電解液と、を含み、前記正極または前記負極が上記態様にかかる電気化学素子用電極である。
(10)上記態様にかかる電気化学素子において、前記非水電解液はイオン液体を含んでもよい。
(11)上記態様にかかる電気化学素子において、前記イオン液体はアミドアニオンを含んでもよい。
(12)上記態様にかかる電気化学素子において、前記アミドアニオンは、(CFSO、(SOF)、(CFSO)(CFCO)N、及び(CSOからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミドアニオンを含んでもよい。
上記態様にかかる電気化学素子用電極は、空隙によって電解液が誘導される結果、電極全体を均一に電解液で含浸することができる。また、上記態様にかかる電気化学素子は高い初期容量を実現することができる。
本実施形態にかかる電気化学素子用電極Eの断面模式図である。 本実施形態にかかる電気化学素子用電極Eの断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。 空隙Gの側面及び/又は底面に多孔質層6が存在する例示的な実施形態にかかる電気化学素子用電極の断面模式図である。 本実施形態にかかる電気化学素子用電極の模式的な平面図である。 本実施形態にかかる電気化学素子の断面模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[電気化学素子用電極]
図1は、本実施形態にかかる電気化学素子用電極Eの断面模式図を示す。図1に示す電気化学素子用電極Eは、電気化学素子の正極として用いられてもよく、負極として用いられてもよく、正極及び負極の両方として用いられてもよい。図1の電気化学素子用電極Eは、集電体2と、活物質層4と、多孔質層6とを有する。
「集電体」
(正極集電体)
集電体2が正極集電体である場合、正極集電体は導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(負極集電体)
集電体2が負極集電体である場合、負極集電体は導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。負極集電体は、リチウムと合金化しないことが好ましく、銅が特に好ましい。
「活物質層」
(正極活物質層)
活物質層4が正極活物質層である場合、正極活物質層は、正極活物質を含み、必要に応じて、導電材、バインダーを含んでよい。正極活物質層に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
(正極導電材)
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層は導電材を含んでいなくてもよい。
(正極バインダー)
バインダーは、公知のものを用いることができる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、が挙げられる。
上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
正極活物質層における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上96%以下であることが好ましく、93%以上96%以下であることがより好ましい。また正極活物質層における導電材の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層におけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
(負極活物質層)
活物質層4が負極活物質層である場合、負極活物質層は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて導電材を有する。
負極活物質は、公知の非水電解液二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属、イオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウム等の金属と化合することのできる金属、SiO(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。
(負極導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物等を用いることができる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。活物質材料のみで十分な導電性を確保できる場合は、導電助剤を含んでいなくてもよい。
(負極バインダー)
負極に用いるバインダーは正極と同様のものを使用できる。また、負極バインダーとして水系バインダーを使用してもよい。水系バインダーは、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)を使用することができる。
負極活物質層中の負極活物質、導電材及びバインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層における負極活物質の構成比率は、質量比で70%以上99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがより好ましい。また負極活物質層における導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層におけるバインダーの構成比率は、質量比で1%以上30%以下であることが好ましい。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
「多孔質層」
本実施形態にかかる電気化学素子用電極Eは、活物質層4の集電体2と反対側に位置する多孔質層6を有する。多孔質層6は、活物質層4に接して設けられている。
活物質層4の上に設けられた多孔質層6は、多孔質層6の最外面である第1面S1から、多孔質層6と活物質層4との主の界面である第2面S2よりも深い位置まで至る空隙Gを有する。即ち、空隙Gは多孔質層6を貫通して活物質層4の一部まで至る。このような空隙Gを有することによって、多孔質層6中に電解液が保持されることが促進され、活物質層4全体を電解液で含浸することができる。その結果、高エネルギー密度を有する電気化学素子を得ることができる。
多孔質層6の最外面である第1面S1は、多孔質層6が面内方向に広がる主面であり、多孔質層6の表面状態によらずxy平面として表記できる面である。多孔質層6と活物質層4との主の界面である第2面S2は、多孔質層6と活物質層4との界面が面内方向に広がる主面であり、界面の状態によらずxy平面として表記できる面である。
多孔質層6は、バインダーと、微粒子とを含む。バインダーとしては正極バインダー又は負極バインダーと同じものを使用することができる。微粒子として、無機粒子も有機粒子も使用することができる。安定性等の観点から、微粒子として無機粒子を用いることが好ましい。また、微粒子は電気化学素子の充放電時にリチウムイオンと反応しないことが好ましい。
無機粒子としては、例えば金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等を用いることができ、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、Al)、酸化マグネシウム(マグネシア、MgO)、酸化チタン(チタニア、TiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア、ZrO)、酸化イットリウム(イットリア、Y)、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化硼素(BN)、窒化チタン(TiN)、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、硫酸バリウム(BaSO)等を用いることができる。有機粒子としては、電気絶縁性の多様な材料を用いることができ、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有樹脂や、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂や、ポリビニルアルコール(PVA)等のゴム類や、メチルセルロース等のセルロース誘導体等を用いることができる。
多孔質層6の平均厚みTは、1.0μm〜10μmであることが好ましく、例えば2.0μm〜8.0μm、例えば3.0μm〜6.0μmでよい。このような平均厚みTを採用することによって、多孔質層6が十分量の電解液を均一に保持することができる。また、このような平均厚みTを採用することによって、充放電時にイオンの移動を容易にすることができる。
多孔質層6の平均厚みTは、電極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することによって測定することができる。具体的には、電極の断面の任意の10点をSEM観察し、10点の厚さを平均することによって、多孔質層6の平均厚みTを算出することができる。
多孔質層6の平均厚みTは、多孔質層6形成用のスラリーの塗布量を変えることによって調節することができる。
図2に、本実施形態にかかる電気化学素子用電極Eの断面SEM像を示す。図2には、活物質層4と、活物質層4に含まれた活物質4Aと、多孔質層6とが示されている。図2に示されるように、活物質層4の表面は、活物質4Aの影響等によって凹凸を有する場合がある。凹凸を有する活物質層4上に、平滑な表面を有する多孔質層6を形成すると、多孔質層6は、相対的に厚い部分と相対的に薄い部分とを有することになる。
多孔質層6の最大厚みT1と多孔質層6の最小厚みT2は、2.0≦T1/T2≦5.0を満たすことが好ましい。このようなT1/T2を採用することによって、活物質層4上で電解液が比較的均一に保持されるので、高エネルギー密度な電気化学素子を得ることができる。T1及びT2は、多孔質層6の平均厚みTと同様に、電極の断面の任意の10点をSEMで測定することによって得ることができる。
多孔質層6の最大厚みT1と多孔質層6の最小厚みT2は、例えば、活物質層4に含まれる活物質の粒径や密度を変えることによって制御することができる。例えば、活物質の粒径を大きくし、活物質の密度を高めることによって、活物質層4の表面の凹凸を大きくすることができる。大きな凹凸を有する活物質層4上に、平滑な表面を有する多孔質層6を形成すると、平均厚みTが同じであっても、多孔質層6の最大厚みT1を大きく、多孔質層6の最小厚みT2を小さくすることができる。
多孔質層6に含まれる微粒子の平均粒径は0.1μm〜3.0μm、例えば0.1μmから1.0μmでよい。このような大きさの微粒子を用いることによって、多孔質層6の塗工性が優れ、更に多孔質層6が十分量の電解液を保持することができる。ここで、多孔質層6に含まれる微粒子の平均粒径は、レーザ回折・散乱法(マイクロトラック法)を用いた粒度分布測定装置により測定した値である。
多孔質層6におけるバインダーに対する微粒子の比率は、50重量%〜99重量%でよく、75重量%〜98重量%が好ましく、90〜97重量%が更に好ましい。このような比率で多孔質層6を形成することによって、多孔質層6の強度を保ちつつ、多孔質層6が十分量の電解液を保持することができる。
(空隙)
図1に模式的に示されているように、空隙Gは樹脂等が充填されておらず、電気化学素子用電極Eを電解液で含浸させた際に、空隙Gの内部に電解液が侵入することができるものである。空隙Gは多孔質層6を貫通して活物質層4の途中まで至る。しかし、空隙Gは活物質層4を貫通しない。空隙Gの平均孔径Dは、5μm≦D≦200μmであることが好ましく、10μm≦D≦100μmであることが更に好ましい。このような平均孔径Dを採用することによって、多孔質層6が十分量の電解液を保持することができる。
空隙Gの平均孔径Dは、多孔質層6の外表面をSEMで観察し、任意の10個の空隙Gの孔径を測定して、その測定値を平均することによって得ることができる。空隙Gが円形でない場合、空隙Gの円相当径を空隙Gの孔径とすることができる。多孔質層において空隙Gはコントラストが異なるので、多孔質層6の表面をSEMで観察した際に、空隙Gを明瞭に区別することができる。
図3に示すように、空隙Gの側面及び/又は底面に多孔質層6が存在していることが好ましい。例えば、図3(a)は空隙Gの側面に多孔質層6を有する。図3(b)は空隙Gの底面に多孔質層6を有する。図3(c)は空隙Gの側面及び底面に多孔質層6を有する。空隙Gの側面及び/又は底面に多孔質層6が存在することによって、多孔質層6に保持された電解液と正極活物質層24との接触面積が増加する結果、高エネルギー密度な電気化学素子を得ることができる。
このように空隙Gの側面及び/又は底面に多孔質層6が存在する場合であっても、多孔質層6と活物質層4との主の界面である第2面S2は、空隙G中の多孔質層6によって影響を受けないことに注意されたい。例えば図3(a)では、空隙Gの側面において多孔質層6と活物質層4との界面が存在するが、このような界面は第2面S2を形成しない。即ち、第2面S2は、活物質層4が延在する平面や多孔質層6が延在する平面と平行な平面であると理解することができる。
多孔質層6は、多孔質層6の中央部に比較的大きな平均孔径を有する空隙Gを有し、多孔質層6の周辺部に比較的小さな平均孔径を有する空隙Gを有することが好ましい。以下、図4を参照しながら、空隙Gの好ましい態様を説明する。
図4は、本実施形態にかかる電気化学素子用電極を平面視したものである。当該電極は多孔質層6で覆われており、電極からはリード62が延在している。空隙Gは、多孔質層6の最外面である第1面S1の中心Cを基準に、中心Cから第1面S1の端部までの最短距離の1/3までの領域A1における空隙Gの平均孔径D1と、多孔質層6の第1面S1の領域A1以外の領域A2における空隙Gの平均孔径D2とが、1.1≦D1/D2≦20の関係を満たすことが好ましい。また、D1及びD2は、2≦D1/D2≦10の関係を満たすことが更に好ましい。
多孔質層6の中央部の空隙Gが比較的大きな平均孔径D1を有し、多孔質層6の周辺部の空隙Gが比較的小さな平均孔径D2を有することによって、多孔質層6の中央部に電解液が引き込まれる。その結果、電解液で十分に含浸するのが比較的難しい活物質層4の中央部を電解液で十分に含浸することができるので、高エネルギー密度を有する電気化学素子を得ることができる。
多孔質層6の第1面S1の中心Cは、集電体2の重心を通るz方向(積層方向)の直線と多孔質層6の第1面S1との交点である。即ち、多孔質層6の第1面S1の中心は、集電体2の重心と平面視で一致する。多孔質層6の第1面の中心Cから端部までの最短距離は、集電体2の重心を中心とする集電体2の内接円C1の半径として求めることができる。
多孔質層6の第1面S1における空隙Gの面積の割合Rは、2%≦R≦30%を満たすことが好ましい。このような範囲のRを採用することによって電解液が均等に多孔質層6に保持されるため、高エネルギー密度を有する電気化学素子を得ることができる。多孔質層6の第1面S1における空隙Gの面積の割合Rは、多孔質層6を平面視した場合における、多孔質層6全体の面積に対する空隙Gの面積の割合である。
空隙Gの深さは5μm〜200μm、例えば、10μm〜100μm、例えば20μm〜50μmでよい。空隙Gの深さは、電極の断面をSEMで観察することによって測定することができる。具体的には、任意の10点で空隙Gの深さを測定し、その測定値の平均値を空隙Gの深さとしてよい。
このような空隙Gは多様な方法で作製することができる。例えば、まず活物質層4上に多孔質層6を形成する。併せて、空隙Gを形成するための突起を有する金属ロール(金属金型)を用意する。その後、突起を有する金属ロールを多孔質層6に押圧する。そうすると、金属ロールの幾何学的形状が活物質層4及び多孔質層6に転写され、所望の空隙Gを形成することができる。
[電気化学素子(リチウムイオン二次電池)]
図5は、本実施形態にかかる電気化学素子100の断面模式図である。図5に示す電気化学素子(リチウムイオン二次電池)100は、主として積層体(電気化学素体)40、積層体40を密閉した状態で収容する外装体50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、外装体50内に収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22と、正極集電体22の上の正極活物質層24と、正極活物質層24の上の正極多孔質層26とを有する。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32と、負極集電体32の上の負極活物質層34と、負極活物質層34の上の負極多孔質層36とを有する。
以下では、正極20及び負極30の両方が多孔質層6を有する実施形態を説明するが、正極20及び負極30の片方の電極のみが多孔質層6を有してもよい。
本実施形態にかかる電気化学素子100では、多孔質層26、36がセパレータ10に接触する。一方、活物質層26、36上に多孔質層が存在しない場合、活物質層24、34がセパレータ10に接触する。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部は外装体50の外部にまで延びている。図5では、外装体50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24と、正極活物質層24の上に設けられた正極多孔質層26とを有する。本実施形態にかかる具体的な正極集電体22、正極活物質層24、及び正極多孔質層26は、上述した通りである。
「負極」
負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34と、負極活物質層34の上に設けられた負極多孔質層36とを有する。本実施形態にかかる具体的な負極集電体32、負極活物質層34、及び負極多孔質層36は、上述した通りである。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「電解液」
電解液には、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として、イオン液体、環状カーボネート、鎖状カーボネート等を用いることができる。
(イオン液体)
イオン液体は、カチオンとアニオンの組み合わせによって得られる100℃未満でも液体状の塩である。イオン液体は、イオンのみからなる液体であるため、静電的な相互作用が強く、不揮発性、不燃性と言う特徴を有する。また、イオン液体を用いた電解液は水との反応性が低いため、水とリチウム塩との反応に起因したフッ化水素(HF)を発生しにくい。そのため、電解液としてイオン液体を用いた電気化学素子100は、安全性に優れる。
イオン液体は、カチオンとアニオンの組み合わせによって様々な種類がある。例えば、イミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩等の窒素系のイオン液体、ホスホニウム塩等のリン系のイオン液体、スルホニウム塩等の硫黄系のイオン液体等が挙げられる。窒素系のイオン液体は、環状の第四級アンモニウム塩と鎖状の第四級アンモニウム塩とに分けることができる。
イオン液体のカチオンとしては、窒素系、リン系、硫黄系等のものが報告されている。イオン液体のカチオンは、第四級アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。これらのカチオンは、還元側の電位窓が広い。そのため、これらのカチオンは負極表面で還元分解されにくい。
第四級アンモニウムカチオンは、窒素系のカチオンであり、環状と鎖状のものがある。環状のカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオンがあり、鎖状のカチオンとしてはアンモニウムカチオンがある。
イミダゾリウムカチオンの具体例としては、例えば、1エチル3メチルイミダゾリウム、1ブチル3メチルイミダゾリウム、1オクシル3メチルイミダゾリウム、1ブチル3ドデシルイミダゾリウム等が挙げられる。
ピロリジニウムカチオンの具体例としては、例えば、1エチル1プロピルピロリジニウム、1ブチル1メチルピロリジニウム、1メチル1ペンチルピロリジニウム、等が挙げられる。
ピペリジニウムカチオンの具体例としては、例えば、プロピルメチルピペリジニウム、ブチルメチルピペリジニウム等が挙げられる。
ピリジニウムカチオンの具体例としては、例えば、1ヘキサ4メチルピリジニウム、1オクシル4メチルピリジニウム等が挙げられる。
鎖状のアンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム等が挙げられる。
またスルホニウムカチオンは、硫黄系のカチオンであり、トリエチルスルホニウム等が挙げられる。またホスホニウムカチオンは、リン系のカチオンであり、トリエチルスルホニウムが挙げられる。
また原料の入手性、多様性、安全性、操作性、価格等の面においては、窒素系カチオンが優れている。窒素系カチオンの中でも、イミダゾリウム系、アンモニウム系及びピリジニウム系のカチオンは、原料が比較的安価で入手が容易である。
イオン液体のアニオンとしては、AlCl 、NO 、NO 、I、BF 、PF 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF)2.3 、p−CHPhSO 、CHCO 、CFCO 、CHSO 、CFSO 、(CFSO、CCO、CSO 、(CFSO、(CSO、(CFSO)(CFCO)N、(CN)、(SOF)、等が挙げられる。
好ましくは、イオン液体は、アミドアニオンを含む。アミドアニオンは、「−N−」結合を分子内に有するものであり、イミドアニオンを含む。なお、イミドアニオンは、「−N−」の両端にカルボニル基が接続されたものが一般的な呼称であるが、当該分野でもカルボニル基の炭素が硫黄等で置換されたものも含む。
イオン液体のアニオンは、フッ素原子を有し得る。好ましくは、アミドアニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(組成式:(CFSO)、ビス(フルオロスルホニル)イミド(組成式:(SOF))、(CFSO)(CFCO)N、及び(CSOからなる群から選択された1種以上である。フッ素系のアニオンを上述のカチオンと組み合わせると、フッ素原子が電子を求引するため、カチオンが還元分解され難くなる。
(環状カーボネート、鎖状カーボネート)
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒として環状カーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒を使用してもよい。この場合、非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
(電解質)
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「外装体」
外装体50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部から電気化学素子100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、外装体50として、図5に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。して、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20と負極30との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共に外装体50内に挿入し、外装体50の入り口をシールする。
[電気化学素子の製造方法]
以下、電気化学素子100の製造方法を具体的に説明する。
負極活物質、バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。負極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で70wt%〜90wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜30wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。正極についても、同様に正極集電体22上に塗料を塗布する。
続いて、正極集電体22及び負極集電体32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22及び負極集電体32を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
次いで、バインダーと微粒子と溶媒とを混合して、多孔質層形成用の塗料を作製する。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。バインダーに対する微粒子の構成比率は、質量比で50〜99重量%でよく、例えば75〜95重量%でよい。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記多孔質形成用の塗料を、正極活物質層24及び/又は負極活物質層34に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
続いて、正極活物質層24及び/又は負極活物質層34上に塗布された多孔質層形成用の塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、多孔質層形成用の塗料が塗布された正極活物質層24及び/又は負極活物質層34を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
続いて、形成された多孔質層に対して、所定の突起を有する金属ロール(金属金型)を押圧して、所望の空隙を形成する。突起の大きさ及び密度を制御することによって、所望の大きさ及び密度を有する空隙を得ることができる。
そして、このようにして多孔質層が形成された電極を、必要に応じて、ロールプレス装置等によりプレス処理を行う。
次いで、正極活物質層24を有する正極20と、負極活物質層34を有する負極30と、正極と負極との間に介在するセパレータ10と、電解液と、を外装体50内に封入する。
例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、予め作製した袋状の外装体50に、積層体40を入れる。
最後に電解液を外装体50内に注入することにより、リチウムイオン二次電池が作製される。なお、外装体に電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
(負極の作製)
94重量%のリチウムイオン電池グレードの黒鉛(負極活物質)と、2重量%のアセチレンブラック(導電助剤)と、4重量%のPVDF(バインダー)と、N−メチル−2−ピロリドン(溶媒)とを混合分散させて、ペースト状の負極スラリーを作製した。負極スラリーを厚さ10μmの電界銅箔の一面に、塗布量が6.1mg/cmとなるように塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させて溶媒を除去し、負極活物質層を形成した。その後、積層体をロールプレスにより加圧成形し、実施例1にかかる負極を作製した。即ち、本実施例では負極活物質層上には多孔質層を形成しなかった。
(正極の作製)
正極活物質として用意したLiCoOと、導電材として用意したアセチレンブラックと、バインダーとして用意したポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混合し、正極合剤とした。正極活物質と、導電材と、バインダーは質量比で90:5:5とした。この正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤塗料を作製した。そして、厚さ20μmのアルミニウム箔の一面に、算出した正極の単位面積当たりの重量となるように塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して正極活物質層を形成した。
次に、95重量%のアルミナ(微粒子、平均粒径0.4μm)と、5重量%のPVDF(バインダー)と、N−メチル−2−ピロリドン(溶媒)とを混合分散させて、ペースト状の多孔質層用スラリーを作製した。多孔質層の平均厚みが1μmとなるように多孔質層用スラリーを正極活物質層上に塗布し、塗布後に、100℃で乾燥させて溶媒を除去し、多孔質層を形成した。
次に、表面に30μmの高さの円柱状の突起を有する金属ロールを多孔質層に押圧して空隙を形成した。金属ロールに形成された突起の面積密度は均一であり、金属ロール表面に占める突起部分の面積は約20%とした。従って、多孔質層の第1面に形成された空隙の面積の割合Rを20%程度とした。その後、積層体をロールプレスにより加圧成形し、実施例1にかかる正極を作製した。
作製した正極の断面の任意の10点についてSEM測定を行い、多孔質層の最大厚みT1と多孔質層の最小厚みT2を求めた。また、10点の測定結果の平均を平均厚みTとした。また多孔質層の表面のSEM測定を行い、空隙の平均孔径D1及びD2を求めた。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製 フルセル)
作製した負極と正極とを、厚さ16μmのポリプロピレン製のセパレータを介して交互に積層し、負極3枚と正極2枚とを積層することで積層体を作製した。さらに、積層体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付けた。また積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。
そしてこの積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。外装体内には、ECとEMCとDECとが体積比3:5:2の割合で配合された溶媒と、リチウム塩として1.5M(mol/L)のLiPFが添加された非水電解液と、を注入した。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、リチウムイオン二次電池(フルセル)を作製した。
(実施例2〜5)
金属ロールの突起の大きさを変更し、Rが20%程度となるように突起の密度を変更したことを除いて、実施例1と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例6〜25)
多孔質層の平均厚さTを変化させるとともに、活物質の粒径を変えて多孔質層の最大厚みT1と多孔質層の最小厚みT2とを変化させたことを除いて、実施例1〜6と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例26)
多孔質層の微粒子としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用したことを除いて、実施例12と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例27)
多孔質層の微粒子としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用したことを除いて、実施例13と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例28〜31)
多孔質層の平均厚さと活物質の粒径とを変えて、多孔質層の最大厚みT1と多孔質層の最小厚みT2とを変化させたことを除いて、実施例7と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例32、33)
金属ロールの突起の大きさを変更してD1/D2を変化させ、Rが20%程度となるように突起の密度を変更したことを除いて、実施例17と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
多孔質層を形成せず、空隙も形成しなかったことを除いて、実施例1と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例2)
多孔質層に微粒子を含ませなかったことを除いて、実施例28と同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
上記の実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池の初期容量を測定した。測定結果を表1に示す。
作製したリチウムイオン二次電池の初期容量は、以下の方法によって評価した。
(初期容量測定試験)
実施例及び比較例で作製したリチウムイオン二次電池について、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、25℃の環境下で初期容量の測定を行った。金属Li基準で充電終止電圧0.01Vまで0.05Cの定電流で充電を行った後、放電終止電圧1.6Vまで0.05Cの定電流で放電を行い、合わせて2サイクル行った。その後、充電終止電圧0.01Vまで0.2Cの定電流で充電を行った後、放電終止電圧1.6Vまで0.2Cの定電流で放電を行った。0.2Cでの最初の放電容量を初期容量とした。
C 多孔質層の中心
E 電気化学素子用電極
G 空隙
2 集電体
4 活物質層
4A 活物質
6 多孔質層
10 セパレータ
20 正極
22 正極集電体
24 正極活物質層
26 正極多孔質層
30 負極
32 負極集電体
34 負極活物質層
36 負極多孔質層
40 積層体
50 外装体
52、54 高分子膜
60、62 リード
100 リチウムイオン二次電池

Claims (12)

  1. 集電体と、
    前記集電体の少なくとも一面に位置する活物質層と、
    前記活物質層の前記集電体と反対側に位置する多孔質層と、を備え、
    前記活物質層及び前記多孔質層は、前記多孔質層の最外面である第1面から前記多孔質層と前記活物質層との主の界面である第2面よりも深い位置まで至る空隙を有する、電気化学素子用電極。
  2. 前記多孔質層は無機粒子を含有する、請求項1に記載の電気化学素子用電極。
  3. 前記多孔質層の平均厚みTは、1.0μm<T<10μmを満たす、請求項1又は2に記載の電気化学素子用電極。
  4. 前記多孔質層の最大厚みT1に対する最少厚みT2の比T1/T2が、2.0≦T1/T2≦5.0を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気化学素子用電極。
  5. 前記空隙の側面及び/又は底面に前記多孔質層を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気化学素子用電極。
  6. 前記空隙の平均孔径Dは、5μm≦D≦200μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気化学素子用電極。
  7. 前記多孔質層の前記第1面の中心を基準に、前記中心から前記多孔質層の前記第1面の端部までの最短距離の1/3までの領域A1における前記空隙の平均孔径D1と、前記多孔質層の前記第1面の前記領域A1以外の領域A2における前記空隙の平均孔径D2とが、1.1≦D1/D2≦20の関係を満たす、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気化学素子用電極。
  8. 前記多孔質層の前記第1面における前記空隙の面積の割合Rが、2%≦R≦30%を満たす、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気化学素子用電極。
  9. 正極と、前記正極に対向する負極と、これらに含浸された非水電解液と、を含む電気化学素子であって、
    前記正極または前記負極が、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気化学素子用電極である、電気化学素子。
  10. 前記非水電解液がイオン液体を含む、請求項9に記載の電気化学素子。
  11. 前記イオン液体が、アミドアニオンを含む請求項10に記載の電気化学素子。
  12. 前記アミドアニオンが、(CFSO、(SOF)、(CFSO)(CFCO)N、及び(CSOからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミドアニオンを含む、請求項11に記載の電気化学素子。
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