JP2019160562A - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘電体バリア放電方式によるプラズマ放電を行う印加電極の劣化を抑制するプラズマ処理装置を提供する。【解決手段】電圧が印加される印加電極部1と、接地されたワーク4と前記印加電極部1との間に配置される誘電体2と、を備え、前記印加電極部1は、処理ガスが流れるガス導通部1Aを内部に有し、前記ガス導通部1Aは、前記誘電体2と前記ワーク4との間の隙間に連通する、プラズマ処理装置。【選択図】図1
Description
本発明は、プラズマ処理装置に関する。
従来、密閉容器の内部を減圧してプラズマを発生し、当該密閉容器内に配置されたワークをプラズマ処理する技術が多く利用された。しかしながら、近年では、大気圧下で安定的にプラズマ放電させる技術が確立されてきており、開放空間でのプラズマ処理が実用化されている。これにより、減圧に耐える強固な密閉容器が不要となり、安価なプラズマ処理装置が実現されている。
大気圧下で安定的にプラズマ放電させる代表的なプラズマ処理方法として、金属電極間に誘電体を挟んで、高周波数の高電圧を金属電極に印加させる誘電体バリア放電方式がある。本方式では、概ね1mm以下程度の狭い空間ギャップにて大気圧下での安定放電が実現でき、Heなどの希ガスの他、空気または窒素などの比較的低コストのガスでの放電も可能である。誘電体バリア放電方式を用いたプラズマ処理装置の一例は、特許文献1に開示される。
しかしながら、上記の誘電体バリア放電方式においても大気圧下で安定的にプラズマ放電させるには、高電圧を電極間に印加させる必要があり、高電圧印加でのON/OFFとなるため、電極の劣化が進みやすい課題があった。
上記状況に鑑み、本発明は、誘電体バリア放電方式でのプラズマ放電を行うに当たり、電極の劣化を抑制することが可能となるプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
本発明の例示的なプラズマ処理装置は、所定の電圧が印加される印加電極部と、接地されたワークと前記印加電極部との間に配置される誘電体と、を備え、前記印加電極部は、処理ガスが流れるガス導通部を内部に有し、前記ガス導通部は、前記誘電体と前記ワークとの間の隙間に連通する構成としている。
本発明の例示的なプラズマ処理装置によれば、誘電体バリア放電方式でのプラズマ放電を行うに当たり、電極の劣化を抑制することが可能となる。
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下において、中心軸C1,C2の延びる方向を「軸方向」と称し、軸方向のX1側を「上側」、軸方向のX2側を「下側」とする。また、中心軸周りの方向を「周方向」、中心軸の径方向を「径方向」と称する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理装置5の構成を示す縦断面図である。プラズマ処理装置5は、大気圧下でプラズマを発生させ、被処理物である金属製のワーク4に対してプラズマ処理を行う。
図1は、第1実施形態に係るプラズマ処理装置5の構成を示す縦断面図である。プラズマ処理装置5は、大気圧下でプラズマを発生させ、被処理物である金属製のワーク4に対してプラズマ処理を行う。
プラズマ処理装置5は、印加電極部1と、誘電体2と、高電圧電源部3と、を有する。印加電極部1は、中心軸C1を中心として軸方向に延びる円筒形状を有する。印加電極部1は、金属電極であり、例えばSUS材から形成される。
印加電極部1は、円筒形状の中空部に相当するガス導通部1Aを有する。ガス導通部1Aは、印加電極部1を上端から下端まで貫通して軸方向に延びる。ガス導通部1Aには上端から処理ガスが送り込まれ、送り込まれた処理ガスはガス導通部1A内部を下方へ流れる。すなわち、印加電極部1は、処理ガスが流れるガス導通部1Aを内部に有する。なお、図1には、処理ガスの流れをガス流F1として示す。
誘電体2は、印加電極部1の下端に接して配置され、円環状を有する。誘電体2の下方にワーク4が配置される。すなわち、誘電体2は、ワーク4と印加電極部1との間に配置される。誘電体2の材料には、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック材料、または快削性セラミックなどが好適に使用される。誘電体2は、円環状の中空部に相当するガス流路2Aを有する。ガス流路2Aは、ガス導通部1Aと連通する。
誘電体2とワーク4とは、隙間S1を介して上下方向に対向する。隙間S1は、円環状の空間であり、ガス流路2Aと連通する。すなわち、ガス導通部1Aは、ガス流路2Aを介して誘電体2とワーク4との間の隙間S1に連通する。
ワーク4は、例えば円柱状を有する。金属製のワーク4は、接地される。ワーク4は、直接的にグランド電位が印加されてもよいし、グランド電位が印加された金属製のワークホルダに保持されることでグランド電位が印加されてもよい。
高電圧電源部3は、高周波である高電圧を印加電極部1に印加する。すなわち、印加電極部1には、交流電圧が印加される。高電圧電源部3が印加する電圧の周波数は、例えば、1kHZ〜100kHzである。高電圧電源部3が印加する電圧の波形は、パルス波形が望ましいが、その他も正弦波、矩形波等でもよく、大気圧プラズマ放電で用いられる公知の波形を用いればよい。また、高電圧電源部3が印加する電圧は、本実施形態では、後述するように低く抑えることが可能となっている。
高電圧電源部3によって高周波である高電圧が印加される印加電極部1の内部において、ガス導通部1Aに上方から処理ガスが送り込まれると、送り込まれた処理ガスは、ガス導通部1A内部を下方へ流れ、ガス流路2Aへ流れ込む。ガス流路2A内部を下方へ流れる処理ガスは、隙間S1へ径方向内側から流れ込み、隙間S1内部を径方向外側へ流れる。処理ガスは、例えば窒素、または窒素に空気を混合したガスなど、特に種類を限定されない。
このとき、隙間S1および誘電体2は、高電圧が印加される印加電極部1と接地されるワーク4とによって上下方向に挟まれるので、誘電体バリア放電方式によって隙間S1においてプラズマ放電が発生する。これにより、隙間S1にプラズマP1が生成され、生成されたプラズマP1の活性種によりワーク4の上面を処理することが可能となる。
ここで、図2は、放電ギャップGと放電開始電圧Vsとの関係を、処理ガスのガス流が無い場合(実線)と、ガス流が有る場合(破線)とで示したグラフである。放電ギャップGは、誘電体2とワーク4との間の上下方向の距離、すなわち隙間S1の軸方向距離である。放電開始電圧Vsは、隙間S1において放電が開始される電圧である。
ガス流の有無に依らず、放電ギャップGが大きいほど、放電開始電圧Vsは高くなる。そして、ガス流が有る場合のほうが、ガス流が無い場合に比べ、全体的に放電開始電圧Vsが下がっている。これは、処理ガスが隙間S1に流れ込む前に、処理ガスが高電圧を印加される印加電極部1のガス導通部1A内部を通過するので、ガス導通部1A内においてプラズマ生成に寄与する偶発電子が発生するためと考えられる。
図2において、例えば、放電ギャップGが0.5mm〜1mmの範囲で、ガス流が無い場合では、放電開始電圧Vsが8kV以上12kV以下だったが、ガス流が有る場合、放電開始電圧Vsは7kV以上10kV以下の値となる。このように、放電開始電圧Vsが低下することで、印加電極部1に印加させる電圧を低下させることができるので、印加電極部1の劣化を抑制することが可能となる。
換言すれば、第1実施形態に係るプラズマ処理装置5は、所定の電圧が印加される印加電極部1と、接地されたワーク4と印加電極部1との間に配置される誘電体2と、を備え、印加電極部1は、処理ガスが流れるガス導通部1Aを内部に有し、ガス導通部1Aは、誘電体2とワーク4との間の隙間S1に連通する。
これにより、ガス導通部1Aを流れる処理ガスは誘電体2とワーク4との間の隙間S1に導入され、当該隙間S1において誘電体バリア放電によってプラズマP1が生成される。生成されたプラズマP1の活性種によってワーク4表面が処理される。このとき、処理ガスが予め印加電極部1内部のガス導通部1Aを流れるので、処理ガス内に偶発電子が発生し、放電に要する印加電極部1に印加する電圧が低下すると推察される。これにより、印加電極部1の劣化を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、印加電極部1は、軸方向に延び、誘電体2は、印加電極部1の軸方向一方側に配置され、軸方向に延びるガス導通部1Aと連通するガス流路2Aを有する。
これにより、ガス導通部1Aおよびガス流路2Aを軸方向に流れた処理ガスを径方向に隙間S1に導入することができる。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置25の全体構成を概略的に示す図である。
図3は、第2実施形態に係るプラズマ処理装置25の全体構成を概略的に示す図である。
図3に示すプラズマ処理装置25は、大気圧下でプラズマを発生させ、被処理物である金属製のワーク11に対してプラズマ処理を行う装置である。より具体的には、ワーク11に設けられた貫通孔(図3で不図示)に対してプラズマ処理を行う。プラズマ処理装置25は、保持部12と、印加電極部13と、高電圧電源部14と、タイマー15と、イジェクタ16と、空気供給部17と、流量計18と、を備える。
保持部12は、ワーク11を保持する。後述するように、保持部12は、ワーク11とともに半密閉空間を形成する。印加電極部13は、保持部12に対して位置決めされており、ワーク11を保持部12に保持させた状態で、ワーク11の貫通孔内部に印加電極部13が挿入された状態となる。
高電圧電源部14は、高周波である高電圧を印加電極部13に印加する。すなわち、電極部13には、交流電圧が印加される。一方、金属製の保持部12にグランド電位が印加されることで、金属製のワーク11には保持部12を介してグランド電位が印加される。貫通孔には処理ガスが導かれるので、貫通孔内部において放電が発生して、プラズマが発生する。高電圧電源部14により印加する電圧についての具体的な構成は、先述した第1実施形態と同様である。
タイマー15は、高電圧電源部14より印加電極部13に電圧を印加する時間を計測する。すなわち、タイマー15によって、ワーク11に対してプラズマ処理を行う処理時間を制御できる。
イジェクタ16は、保持部12の排気口に接続される負圧発生器である。イジェクタ16は、空気供給部17から供給される空気の高速なガス流を生成することで、ベンチュリー効果により、当該ガス流と直交する方向に負圧を生成する。イジェクタ16により負圧が生成されることで、保持部12の内部空間におけるガスが排気される。すなわち、イジェクタ16は、排気部として機能する。なお、イジェクタ16の代わりに例えば真空ポンプを採用してもよい。
流量計18は、保持部12の排気口とイジェクタ16との間の流路中に配置される。流量計18は、上記流路を流れるガス流の流量を計測する。
図4は、第2実施形態に係る保持部12と印加電極部13に関する構成を示す縦断面図である。図4に示すように、保持部12は、ワークホルダ121と、ハウジング122と、を有する。ワークホルダ121は、略円柱状であり、開口部121Aを有する。開口部121Aは、中心軸C2を中心として軸方向に貫通して形成される。ワークホルダ121は、金属製であり、グランド電位を印加される。
ハウジング122は、上方が開口した円筒形状であり、ワークホルダ121を下側から支持する。ワークホルダ121とハウジング122とに囲まれて内部空間12Aが形成される。すなわち、保持部12は、内部空間12Aを有する。また、ハウジング122の側面には、排気口122Aが形成される。
印加電極部13は、中心軸C2を中心として軸方向に延びる。ここで、図6Aは、印加電極部13の一実施例を軸方向に視た平面図である。この場合、印加電極部13は、軸方向に延びる円筒形状を有する。すなわち、印加電極部13は、金属製パイプとして形成される。なお、上記円筒形状は、周方向に連続した形状である。
印加電極部13は、円筒の中空部に相当するガス導通部13Aを有する。ガス導通部13Aは、軸方向に延び、印加電極部13を下端から上端まで貫通する。印加電極部13の下端部には、パイプ状のガス送りパイプ20が嵌合される。これにより、ガス送りパイプ20を通して下方からガス導通部13A内部へ処理ガスが送り込まれ、送り込まれた処理ガスは、ガス導通部13A内部を上方へ流れる。なお、図4には、処理ガスの流れをガス流F2として示す。処理ガスの種類については、第1実施形態と同様、特に限定はされない。
また、図4には、誘電体19が示される。すなわち、本実施形態に係るプラズマ処理装置25は、誘電体19を有する。誘電体19は、中心軸C2を中心として軸方向に延びる。誘電体19は、軸方向に延びる中空部19Aを内部に有する。すなわち、誘電体19は、軸方向に延びる円筒形状を有する。中空部19Aは、誘電体19を下端から上端まで貫通する。
印加電極部13は、中空部19A内に配置される。これにより、図6Aに示すように、印加電極部13の径方向外側に誘電体19が配置される。なお、誘電体19の材料については、第1実施形態と同様である。
また、図4は、保持部12に対してワーク11をセットした状態を示す図である。この状態で、ワーク11と保持部12により半密閉空間が形成される。図5は、ワーク11の斜視図である。ワーク11は、略円柱状の基体111と、基体111の下方に位置する円柱状の突部112と、基体111の外周面上端部から径方向外側に突出して環状に形成される鍔部113と、を有する。
また、ワーク11は、凹部11A、凹部11B、および軸方向に貫通する貫通孔11Cを有する。円柱状の凹部11Aの上端位置は、鍔部113の上端位置と一致する。円柱状の凹部11Bは、凹部11Aの下方に凹部11Aと連続して配置される。円柱状の貫通孔11Cは、凹部11Bの下方に凹部11Bと連続して配置される。すなわち、凹部11A、凹部11B、および貫通孔11Cは、互いに連通する。
基部111は、下端において円環状の面である円環面111Aを有する。突部112は、円環面111Aの径方向内側から下方へ突出する。円環面111Aがワークホルダ121の上端面の上に載置されることにより、ワーク11は保持部12に保持される。このとき、突部112は、開口部121Aに嵌合する。
開口部121Aの軸方向に延びる内壁面である接触内壁面121A1は、突部112の外周面である接触外周面112Aと接触可能に配置され、軸方向に垂直な平面上におけるワーク1の移動を阻止する。
印加電極部13と誘電体19はともに、貫通孔11Cの下側から貫通孔11Cの上側まで貫通孔11Cを貫通する。すなわち、印加電極部13と誘電体19はともに、貫通孔11Cの内壁面の軸方向全体および周方向全体に対して径方向に対向する。誘電体19と貫通孔11Cとの間には、円筒形状の隙間S2が形成される。隙間S2は、開口部121Aを介して内部空間12Aと連通する。
排気口122Aに接続されたイジェクタ16(図3)により内部空間12Aにおけるガスが排気口122Aから外部へ排気されると、内部空間12A内部は負圧となる。印加電極部13のガス導通部13A内部を流れた処理ガスは、ガス導通部13Aの上端より外部へ噴出される。上記負圧の発生により、上記噴出された処理ガスが隙間S2に流れ込むガス流が生成される。
金属製のワークホルダ121にグランド電位が印加され、ワーク11はワークホルダ121に接触するので、金属製のワーク11にはグランド電位が印加される。一方、印加電極部13には、高電圧電源部14により高周波の高電圧が印加される。隙間S2のギャップは狭く、大気圧下で隙間S2において放電が発生する。誘電体バリア放電によって放電は安定的に行われる。従って、隙間S2においてプラズマP2が発生する。プラズマP2は、隙間S2の軸方向全体および周方向全体において発生する。
このように、貫通孔11C内部で発生したプラズマP2の活性種により直接的に貫通孔11Cの内壁面を処理することができるので、リモート方式の装置による処理に比べて、プラズマ処理を高速に行うことができる。
例えば、ワーク11に対して貫通孔11Cを形成した場合に、貫通孔11Cの内壁面に残留した切削油をプラズマ処理により除去することができる。これにより、貫通孔11Cの濡れ性を向上させ、貫通孔11Cに対して接着剤により部材を固定する際の接着強度を向上できる。なお、貫通孔に対するプラズマ処理は上記に限らず、例えば、貫通孔の内壁面に薄膜を形成することに用いてもよい。
また、貫通孔11C内部で処理ガスをプラズマ化することで発生する所定のガス(例えば窒素酸化物、オゾン等)を内部空間12Aおよび排気口122Aを介して外部へ排出し、上記所定のガスの外気側への漏洩を抑制することができる。また、内部空間12Aにおける負圧と外気との差圧によって、ワーク11はワークホルダ121に押し当てられて保持され、ワーク11のばたつきを抑制することもできる。
特に、誘電体19と貫通孔11Cとの間のギャップを狭くすれば、隙間S2の断面積を小さくし、隙間S2を通るガス流の流速を高速化できる。これにより、上記所定のガスの外気側への漏洩をより抑制することができる。この場合、ガス流が高速化するが、先述のようにワーク11はワークホルダ121に押し当てられるので、ワーク11のばたつきは抑制される。
印加電極部13と誘電体19は、貫通孔11Cの下側から貫通孔11Cの上側まで貫通孔11Cを貫通する。すなわち、印加電極部13および誘電体19は、貫通孔11Cの両開口端部より外側へ突出する。なお、貫通孔11C内部が内側、貫通孔11C外部が外側である。これにより、貫通孔11Cの両開口端部におけるプラズマの生成を安定化することができる。
また、印加電極部13は、ワーク11にグランド電位が印加された状態で、高電圧電源部14により高電圧が印加される。これにより、印加電極部13よりも外側に位置して人が接触し易いワーク11側をグランド電位とすることができ、安全性を向上させることができる。
また、ワーク11をワークホルダ121にセットすることで、接触外周面112Aおよび接触内壁面121A1により、ワーク11はワークホルダ121に対して軸方向に垂直な平面上における位置決めがなされる。ワークホルダ121と誘電体19との位置関係は予め決定されるので、ワーク11のセットによりワーク11と誘電体19との位置関係も規定される。これにより、貫通孔11Cの内壁面と誘電体19との間のギャップの管理が容易となる。ギャップの管理により、貫通孔11Cの内壁面のプラズマ処理を均一化することができる。また、ワーク11は、ワークホルダ121に対して軸方向に着脱することができる。
また、排気口122Aとイジェクタ16との間の流路上に流量計18を配置するので、排気口122Aから外部へ排気されるガス流の流量を測定することができる。これにより、ワーク11のワークホルダ121への差圧による固定状態の異常を検知することが可能となる。
そして、特に本実施形態では、処理ガスが隙間S2へ流れ込む前に、予め処理ガスは高電圧を印加される印加電極部13のガス導通部13A内部を流れるので、ガス導通部13A内部において偶発電子が生成され、隙間S2における放電開始電圧が低下する。従って、印加電極部13に印加する電圧を低くすることができ、印加電極部13の劣化を抑制することが可能となる。
換言すれば、第2実施形態に係るプラズマ処理装置25は、所定の電圧が印加される印加電極部13と、接地されたワーク11と印加電極部13との間に配置される誘電体19と、を備え、印加電極部13は、処理ガスが流れるガス導通部13Aを内部に有し、ガス導通部13Aは、誘電体19とワーク11との間の隙間S2に連通する。
これにより、ガス導通部13Aを流れる処理ガスは誘電体19とワーク11との間の隙間S2に導入され、当該隙間S2において誘電体バリア放電によってプラズマP2が生成される。生成されたプラズマP2の活性種によってワーク11表面が処理される。このとき、処理ガスが予め印加電極部13内部のガス導通部13Aを流れるので、処理ガス内に偶発電子が発生し、放電に要する印加電極部13に印加する電圧が低下する。これにより、印加電極部13の劣化を抑制することが可能となる。
また、印加電極部13、ガス導通部13A、および誘電体19は、軸方向に延び、誘電体19は、軸方向に延びる中空部19Aを有し、中空部19A内に印加電極部13が配置され、印加電極部13および誘電体19は、ワーク11の有する孔部(貫通孔11C)の内壁面の少なくとも一部と径方向に対向する。
これにより、印加電極部13内部におけるガス導通部13Aを流れた処理ガスは、印加電極部13の軸方向端部から外側へ噴出され、誘電体19外部の上記隙間S2へ導入される。これにより、生成されたプラズマP2の活性種によりワーク11の孔部の内壁面を処理することが可能となる。
また、ワーク11を保持する保持部12と、保持部12の内部空間12Aにおけるガスを排気する排気部(イジェクタ16)と、をさらに備え、内部空間12Aは、隙間S2と連通する。
これにより、排気部により内部空間12Aのガスを排気することで、内部空間12Aが負圧となり、印加電極部13から噴出された処理ガスを上記隙間S2に導入するガス流を生成することができる。また、内部空間12Aが負圧となることにより、外気との差圧によりワーク11を保持部12に押し当て、ワーク11のばたつきを抑えることもできる。
<印加電極部の変形例>
次に、上記第2実施形態における印加電極部13の各種実施例について述べる。ここでは、先述した図6Aに示した実施例の変形について述べる。図6Bは、第1変形例に係る印加電極部131を示す軸方向に視た平面図である。
次に、上記第2実施形態における印加電極部13の各種実施例について述べる。ここでは、先述した図6Aに示した実施例の変形について述べる。図6Bは、第1変形例に係る印加電極部131を示す軸方向に視た平面図である。
印加電極部131は、軸方向に延びる切欠き131Aを有する円筒形状である。なお、印加電極部131内部には、ガス導通部13Aが形成される。印加電極部131は、誘電体19に固定されないので、誘電体19に拘束されず自由に熱変形可能である。印加電極部131は切欠き131Aを有する形状であるため、印加電極部131の温度が上昇したときに、印加電極部131は周方向に伸び、印加電極部131の径方向の変形が吸収される。すなわち、切欠き131Aは、熱による径方向の変形を吸収する変形吸収部として機能する。金属製である印加電極部131は、誘電体19よりも熱膨張係数が大きいが、周方向に伸びることで誘電体19を内側から圧迫しないので、誘電体19を保護することが可能となる。
また、印加電極部131は、例えば、金属製シートを丸めることで構成することができる。これにより、印加電極部131を容易に形成できる。但し、印加電極部131は、シートにより形成されることに限定されない。
図6Cは、第2変形例に係る印加電極部132を示す軸方向に視た平面図である。印加電極部132は、円筒形状を有する。当該円筒形状を形成するシートの周方向一方端部132Aと、当該シートの周方向他端部132Bとは径方向に視て重なる。これにより、印加電極部132は、温度が上昇した場合に、周方向に伸びる。これにより、印加電極部132は、誘電体19を内側から圧迫せず、誘電体19を保護することが可能となる。
なお、図6Cでは、印加電極部132は、シートの1回巻きで形成されるが、シートの複数回巻きで形成してもよい。
図7は、第3変形例に係る印加電極部133を示す軸方向に視た平面図である。印加電極部133は、周方向の一部が径方向内側に屈曲した屈曲部133Aを有する円筒形状である。屈曲部133Aは、印加電極部133の温度が上昇すると、周方向に広がって変形する。これにより、屈曲部133Aは、径方向の変形を吸収する変形吸収部として機能する。
また、さらなる変形例として、周方向に巻回すことで螺旋状に形成した印加電極部を採用してもよい。このような印加電極部では、温度が上昇すると、周方向に伸びることで径方向の変形が吸収される。
このように、印加電極部(131等)は、熱による径方向の変形を吸収する変形吸収部(131A等)を有する。
これにより、印加電極部の温度が上昇した場合に、印加電極部が熱膨張によって径方向に変形することが抑制される。これにより、印加電極部が内部から誘電体を圧迫することを抑制し、誘電体の保護を図ることができる。
また、印加電極部131は、変形吸収部として軸方向に延びる切欠き131Aを有する円筒形状である。
これにより、印加電極部の温度が上昇した場合に、印加電極部は周方向に伸びるので、誘電体の圧迫を抑制できる。
また、印加電極部131は、シート状である。これにより、シートを丸めることで印加電極部131を容易に形成できる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る保持部12と印加電極部13に関する構成を示す縦断面図である。本実施形態は、第2実施形態との相違点として、保持部12にセットされるワークが異なる。本実施形態で保持部12にセットされるワーク110は、開口部121Aに嵌合する凸部1101を有する。凸部1101の下面には、上方に凹んで形成される止め孔110Aが形成される。すなわち、止め孔110Aは、ワーク110を上下方向に貫通しない。
図8は、第3実施形態に係る保持部12と印加電極部13に関する構成を示す縦断面図である。本実施形態は、第2実施形態との相違点として、保持部12にセットされるワークが異なる。本実施形態で保持部12にセットされるワーク110は、開口部121Aに嵌合する凸部1101を有する。凸部1101の下面には、上方に凹んで形成される止め孔110Aが形成される。すなわち、止め孔110Aは、ワーク110を上下方向に貫通しない。
また、本実施形態に係る誘電体191は、中空部191Aを有する円筒部1911と、円筒部1911の上端に配置される円環状の蓋部1912と、を有する。中空部191A内に印加電極部13が配置される。蓋部1912は、印加電極部13の上端面を上方から覆う。印加電極部13のガス導通部13Aの上端は、蓋部1912の開口を介して上方へ露出する。
印加電極部13の上端部と誘電体191の上端部は、止め孔110A内に配置される。これにより、印加電極部13の外周面および誘電体191の円筒部1911は、止め孔110Aの内壁面の周方向全体且つ軸方向一部と径方向に対向する。また、印加電極部13の上端面および誘電体191の蓋部1912は、止め孔110Aの底部と上下方向に対向する。
これにより、ガス送りパイプ20からガス導通部13A内に送り込まれた処理ガスは、ガス導通部13A内を上方へ流れ、蓋部1912の開口から外部へ噴出する。図8には、処理ガスの流れをガス流F3として示す。ここで、内部空間12Aにおけるガスが排気口122Aから外部へ排気されることで、内部空間12Aは負圧となる。これにより、上記噴出された処理ガスが、誘電体191と止め孔110Aとの間の隙間S3に流れ込むガス流が形成される。これにより、隙間S3において放電が発生し、プラズマP3が生成される。生成されたプラズマP3の活性種により、止め孔110Aの底部および内壁面を処理することが可能となる。すなわち、ワークにおけるプラズマ処理対象は、貫通孔に限らず、貫通しない孔部であってもよい。
このような第3実施形態によっても、第2実施形態と同様な効果を奏することができる。なお、本実施形態において、先述した各種変形例に係る印加電極部の構成を適用してもよい。
換言すれば、第3実施形態では、印加電極部13、ガス導通部13A、および誘電体191は、軸方向に延び、誘電体191は、軸方向に延びる中空部191Aを有し、中空部191A内に印加電極部13が配置され、印加電極部13および誘電体191は、ワーク110の有する孔部(止め孔110A)の内壁面の少なくとも一部と径方向に対向する。
これにより、印加電極部13内部におけるガス導通部13Aを流れた処理ガスは、印加電極部13の軸方向端部から外側へ噴出され、誘電体191外部の隙間S3へ導入される。これにより、生成されたプラズマP3の活性種によりワーク110の孔部の内壁面を処理することが可能となる。
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変形が可能である。
本発明は、例えば、ワークの貫通孔に付着した切削油のプラズマ処理に利用することができる。
1・・・印加電極部、1A・・・ガス導通部、2・・・誘電体、2A・・・ガス流路、3・・・高電圧電源部、4・・・ワーク、5・・・プラズマ処理装置、11・・・ワーク、11C・・・貫通孔、12・・・保持部、12A・・・内部空間、121・・・ワークホルダ、121A・・・開口部、122・・・ハウジング、122A・・・排気口、13・・・印加電極部、13A・・・ガス導通部、14・・・高電圧電源部、15・・・タイマー、16・・・イジェクタ、17・・・空気供給部、18・・・流量計、19・・・誘電体、19A・・・中空部、20・・・ガス送りパイプ、25・・・プラズマ処理装置、131〜133・・・印加電極部、110・・・ワーク、110A・・・止め孔、191・・・誘電体、191A・・・中空部、1911・・・円筒部、1912・・・蓋部、F1〜F3・・・ガス流、P1〜P3・・・プラズマ、S1〜S3・・・隙間、C1,C2・・・中心軸
Claims (7)
- 所定の電圧が印加される印加電極部と、
接地されたワークと前記印加電極部との間に配置される誘電体と、
を備え、
前記印加電極部は、処理ガスが流れるガス導通部を内部に有し、
前記ガス導通部は、前記誘電体と前記ワークとの間の隙間に連通する、
プラズマ処理装置。 - 前記印加電極部は、軸方向に延び、
前記誘電体は、前記印加電極部の軸方向一方側に配置され、軸方向に延びる前記ガス導通部と連通するガス流路を有する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。 - 前記印加電極部、前記ガス導通部、および前記誘電体は、軸方向に延び、
前記誘電体は、軸方向に延びる中空部を有し、
前記中空部内に前記印加電極部が配置され、
前記印加電極部および前記誘電体は、前記ワークの有する孔部の内壁面の少なくとも一部と径方向に対向する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。 - 前記ワークを保持する保持部と、
前記保持部の内部空間におけるガスを排気する排気部と、をさらに備え、
前記内部空間は、前記隙間と連通する、請求項3に記載のプラズマ処理装置。 - 前記印加電極部は、熱による径方向の変形を吸収する変形吸収部を有する、請求項3または請求項4に記載のプラズマ処理装置。
- 前記印加電極部は、前記変形吸収部として軸方向に延びる切欠きを有する円筒形状である、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
- 前記印加電極部は、シート状である、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018045773A JP2019160562A (ja) | 2018-03-13 | 2018-03-13 | プラズマ処理装置 |
CN201910188057.1A CN110278650A (zh) | 2018-03-13 | 2019-03-13 | 等离子体处理装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2019160562A true JP2019160562A (ja) | 2019-09-19 |
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ID=67996291
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2018045773A Pending JP2019160562A (ja) | 2018-03-13 | 2018-03-13 | プラズマ処理装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2019160562A (ja) |
-
2018
- 2018-03-13 JP JP2018045773A patent/JP2019160562A/ja active Pending
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