[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による画像形成装置100の全体構成を示す図である。図1には、カラープリンタとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンタであってもよいし、ファックスであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびファックスの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
図1において、画像形成装置100は、中間転写ベルト30、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1K、トナーボトル15Y,15M,15C,15K、一次転写ローラー31、二次転写ローラー33、カセット37、従動ローラー38、駆動ローラー39、タイミングローラー40、クリーニングブレード42、光センサー45、トレー48、定着装置50、および制御装置51を備える。
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39によって水平に張架されている。駆動ローラー39はモーター(図示せず)に接続されている。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。図1では、中間転写ベルト30が左回りに回転する場合が示されている。中間転写ベルト30は、たとえば、ポリカーボネート、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミドなどの主原料にカーボンを分散させた半導電性材料で形成されている。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30の下に設けられ、中間転写ベルト30の回転方向に順次配置されている。トナーボトル15Y,15M,15C,15Kには、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(BK)のトナーが収容されている。
画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエローのトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタのトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアンのトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラックのトナー像を形成する。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々は、感光体10、帯電ローラー11、露光部12、現像器13、およびクリーニングブレード17を含む。感光体10は、たとえば積層型有機感光体である。帯電ローラー11は、感光体10の表面に当接され、直流電圧VDCおよび交流電圧VACを受けて感光体10の表面を一様に帯電させる。たとえば、直流電圧VDCは−1050Vにされ、交流電圧VACのピーク間電圧Vppは2000Vにされ、感光体10の表面は−500Vにされる。
露光部12は、制御装置51からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像パターンに従って感光体10の表面を露光する。露光された画像部分の表面電位(明部電位)は約−100Vとなり、露光されない背景部分の表面電位(暗部電位)は約−500Vとなる。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10の表面に形成される。
静電潜像は、現像器13によって現像され、トナー像が感光体10の表面に形成される。すなわち、現像器13では、キャリアおよびトナーを含む2成分現像剤が用いられる。トナーとキャリアの摩擦帯電により、トナーは負極性に帯電されている。現像器13の現像スリーブローラーには、現像バイアス電圧Vbに矩形波電圧Vrが重畳された現像電圧が印加される。たとえば、現像バイアス電圧Vbは−400Vであり、矩形波電圧Vrのピーク間電圧Vppは1.4kVであり、矩形波電圧Vrの周波数は5kHzである。
画像部分の明部電位(約−100V)と現像バイアス電圧Vb(−400V)との電位差(約+300V)により、負極性のトナーが画像部分に供給される。背景部分の暗部電位(約−500V)と現像バイアス電圧Vb(−400V)との電位差(約−100V)により、背景部分にはトナーは供給されない。このような現像により感光体10の表面上位にトナー像が形成される。感光体10と中間転写ベルト30の表面とは、互いに接触している。
クリーニングブレード17は、感光体10に圧接されている。クリーニングブレード17は、感光体10から中間転写ベルト30へのトナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。クリーニングブレード17は、ポリウレタンゴムを用いて形成されている。クリーニングブレード17のゴム厚は2mmであり、その実効当接角度は13度であり、感光体10に対する線圧は29N/mである。
一次転写ローラー31は、各画像形成ユニット1に対応して設けられ、中間転写ベルト30の裏面に当接されて回転可能に支持されている。一次転写ローラー31は、半導電性ゴムあるいは金属材料で形成されている。一次転写ローラー31と、それに対応する画像形成ユニット1の感光体10とは、中間転写ベルト30を挟むように設けられている。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されると、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30の表面に転写される。
なお、一次転写ローラー31に転写電圧を印加する転写電源は、一定電圧を出力する定電圧電源でもよいし、一定電流を出力する定電流電源でもよい。転写電源として定電圧電源を使用する場合には、中間転写ベルト30および一次転写ローラー31の抵抗変動を相殺するために、所定のテストモード時に所定の電流を流した時の電圧をもとに定電圧制御してもよい。また転写電源として定電流電源を使用する場合は、各色個別の転写電源により個別に定電流制御する。転写電源として定電圧電源を使用する場合、特に一次転写ローラー31として金属ローラーを使用する場合には、4色を同一の転写電源により定電圧制御してもよいし、各色個別の転写電源により定電圧制御しても構わない。
イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30の表面に形成される。
二次転写ローラー33は、画像形成ユニット1Kの下流側の所定位置において、中間転写ベルト30の表面に当接されて回転可能に支持されている。二次転写ローラー33および駆動ローラー39は、中間転写ベルト30を挟むように設けられている。二次転写ローラー33および中間転写ベルト30は互いに接触しており、それらが接触している部分はニップと呼ばれる。中間転写ベルト30が回転駆動されると、中間転写ベルト30の表面のトナー像が二次転写ローラー33および中間転写ベルト30間のニップに搬送される。
カセット37には、多数の用紙S(記録部材)がセットされる。各用紙Sは、カセット37からタイミングローラー40によって搬送経路41に沿って、二次転写ローラー33および中間転写ベルト30間のニップに送られる。制御装置51は、用紙Sが送り出されるタイミングに合わせて、二次転写ローラー33に印加する転写電圧を制御する。
二次転写ローラー33と中間転写ベルト30表面のトナー像との間に用紙Sが挿入されているときに、二次転写ローラー33にトナー像と反対極性の転写電圧が印加されると、トナー像が中間転写ベルト30から二次転写ローラー33側に引き付けられ、用紙Sの表面に転写される。二次転写ローラー33への用紙Sの搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてタイミングローラー40によって制御される。その結果、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
トナー像が転写された用紙Sは、上方の定着装置50に送られる。定着装置50は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。定着装置50は、制御装置51からの制御信号に従って、用紙の加熱度合いや、用紙に加える圧力などを制御する。定着装置50が用紙Sを加熱および加圧することで、トナー像が用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレー48に排紙される。
光センサー45は、二次転写ローラー33および中間転写ベルト30間のニップよりも下流の所定位置において、中間転写ベルト30の表面に対向して設けられる。光センサー45は、帯電ローラー11の表面のクラックCRを検出するクラック検出モード時に、中間転写ベルト30の表面のパッチ画像のトナー濃度分布を検出する。
制御装置51は、用紙Sに画像を印刷する印刷モード時には、画像形成装置100全体を制御し、用紙Sに画像を印刷する。また制御装置51は、帯電ローラー11の表面のクラックCRを検出するクラック検出モード時には、帯電ローラー11の表面状態を示すパッチ画像を中間転写ベルト30の表面に生成させ、光センサー45の出力信号に基づいて帯電ローラー11の表面状態を示す画像情報を生成し、その画像情報に基づいて、帯電ローラー11の表面に発生したクラックCRの位置情報を検出する。
さらに制御装置51は、クラックCRの位置情報に基づいて帯電ローラーの11の寿命を予測し、帯電ローラー11の寿命が末期でない場合はクラックCRの成長を抑制するクラック抑制処理を実行する。また、制御装置51は、帯電ローラー11の寿命が末期である場合には、その旨を画像形成装置100の使用者に報知するとともに、帯電ローラー11の寿命を延長させる寿命延長処理を実行する。
また、クリーニングブレード42は、光センサー45よりも下流側の所定位置(第3の位置)において、中間転写ベルト30に圧接されている。クリーニングブレード42は、ポリウレタンゴムであり、中間転写ベルト30に対する線圧は30N/mである。クリーニングブレード42および従動ローラー38は、中間転写ベルト30を挟むように設けられている。クリーニングブレード42は、中間転写ベルト30から用紙Sへのトナー像の転写後に中間転写ベルト30の表面に残留するトナーを回収する。回収されたトナーは、搬送スクリュー(図示せず)で搬送され、廃トナー容器(図示せず)に貯められる。
図2は、画像形成装置100の要部を示す図である。図2において、帯電ローラー11は、回転軸11aと、回転軸11aの外周に設けられた基層と、基層の外周面を覆うように設けられた表層とを含む。回転軸11aは、たとえば金属を用いて形成される。基層は、導電性弾性体(たとえば導電性ゴム)を用いて形成される。表層は、導電性樹脂を用いて形成されている。
回転軸11aの両端部は、バネ(図示せず)によって感光体10に所定の力で押圧される。帯電ローラー11と感光体10は、所定幅のニップを構成する。帯電ローラー11が感光体10に従動して回転するように、回転軸11aの両端部が支持されている。回転軸11aには、電源18が接続されている。電源18は、制御装置51によって制御され、直流電圧VDCおよび交流電圧VACを回転軸11aに印加する。直流電圧VDCに交流電圧VACが重畳されている。直流電圧VDCのレベル、交流電圧VACのピーク間電圧Vpp、および交流電圧VACの周波数の各々は、制御可能となっている。
感光体10は、制御装置51によって制御されるモータ19によって回転駆動される。感光体10が回転駆動され、帯電ローラー11に直流電圧VDCおよび交流電圧VACが印加されると、帯電ローラー11および感光体10間のニップの近傍の微小空間で放電が発生し、感光体10の表面が所定電位に一様に帯電される。用紙Sに画像を印刷する印刷モード時には、感光体10の長さ方向の中央部である画像形成領域A1に静電潜像が形成され、その静電潜像が現像されてトナー像が形成され、そのトナー像が中間転写ベルト30を介して用紙Sに転写される。
このような画像形成装置では、帯電ローラー11の回転軸11aの両端部が感光体10に押圧されるので、帯電ローラー11の長手方向の端部に歪が発生し、帯電ローラー11の端部の表面にクラックCRが発生するという問題がある。クラックCRは、帯電ローラー11の回転に伴って徐々に成長する。クラックCRおよびその近傍では上記放電が正常に発生しないので、感光体10のうちのクラックCRに対応する部分は正常に帯電されない。
図2に示すように、帯電ローラー11の長手方向の中央部をB1とし、その一方端部および他方端部をそれぞれB2,B3とし、中央部B1は感光体10の画像形成領域A1に対応しているものとする。クラックCRが帯電ローラー11の端部B2,B3内に留まっている場合は、クラックCRがトナー像に与える影響は小さい。
しかし、クラックCRが成長して帯電ローラー11の中央部に進行すると、感光体10の画像形成領域A1のうちのクラックCRに対応する部分は正常に帯電されなくなり、その部分のトナー濃度が大きくなり、たとえば用紙Sに印刷された画像の隅の背景部に黒筋が発生する。したがって、クラックCRが成長して帯電ローラー11の中央部B1に進行した時点で、帯電ローラー11の寿命は尽きる。帯電ローラー11の寿命が尽きる時点を正確に予測することができれば、たとえば交換用の帯電ローラー11を準備することができ、黒筋の発生にスムーズに対応することができる。
図3は、制御装置51の要部を示すブロック図である。図3において、制御装置51は、稼働量検出部52、制御部53、マップ作成部54、位置検出部55、記憶部56、寿命予測部57、および報知部58を含む。印写部100aは、画像形成装置100のうちの制御装置51および光センサー45以外の部分である。
稼働量検出部52は、印写部100aの稼働量Pを検出し、今回の検出値Paが前回の検出値Pbよりも所定値だけ増加した場合に、クラックCRを検出するクラック検出モードの実行を指示する信号CMを出力する。稼働量Pは、累積印刷枚数でもよいし、感光体10の累積回転数でもよい。稼働量Pを累積印刷枚数とした場合、制御部53は、印刷枚数が1000枚増加する毎に信号CMを出力する。
制御部53は、用紙Sに画像を印刷する印刷モード時には、印写部100aを制御して用紙Sに画像を印刷する。また制御部53は、稼働量検出部52からの信号CMに応答してクラック検出モードを実行する。
クラック検出モードでは、制御部53(パッチ生成部)は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kを1つずつ順次選択し、選択した画像形成ユニット1に含まれる帯電ローラー11の表面状態を示すパッチ画像PIを中間転写ベルト30の表面に生成する。選択された画像形成ユニット1では、帯電ローラー11によって感光体10の表面が一様に帯電され、帯電された感光体10の表面が適宜、露光および現像され、感光体10の表面にトナーのパッチ画像PIが生成される。クラック検出モードでは、用紙Sの供給は行われない。
感光体10の表面のパッチ画像PIは、一次転写ローラー31によって中間転写ベルト30の表面に転写され、二次転写ローラー33および中間転写ベルト30間のニップを通過し、光センサー45(図1)の下を通過する。制御部53は、光センサー45を制御して、パッチ画像PIの濃度分布を検出させる。その後、パッチ画像PIは、クリーニングブレード42によって中間転写ベルト30から除去される。
図4は、中間転写ベルト30の表面に形成されたパッチ画像PIを示す平面図である。図4では、中間転写ベルト30が図4中の上下方向に回転駆動されている。パッチ画像PIの幅(図4中の左右方向の長さ)は帯電ローラー11の長さと同じであり、パッチ画像PIの長さ(図4中の上下方向の長さ)は帯電ローラー11の一周分の長さ(円周)と同じである。パッチ画像PIの中央部C1は帯電ローラー11の中央部B1に対応しており、パッチ画像PIの端部C1,C2はそれぞれ帯電ローラー11の端部B2,B3に対応している。
クラックCRの発生した帯電ローラー11を使用してパッチ画像PIを形成すると、クラックCRおよびその近傍では放電が不足し、感光体10の表面電位が低くなり、トナー濃度が大きくなる。このトナー濃度が大きくなった部分をクラック筋CRtと称する。一方、クラックCRの発生していない部分では正常な放電が発生し、感光体10の表面電位は高くなり、所望のトナー濃度が得られる。したがって、クラック筋CRtと、それ以外の部分とで、トナー濃度の差が生じる。パッチ画像PIの中央部C1と端部C2,C3との境界線をそれぞれ基準線Z1,Z2とすると、クラック筋CRtが基準線Z1,Z2を超えて中央部C1に進行すると、帯電ローラー11の寿命が尽きる。
パッチ画像PIを生成する際、制御部53は、電源18を制御して直流電圧VDCのみを帯電ローラー11に印加させる。交流電圧VACを印加せずに直流電圧VDCのみを帯電ローラー11に印加すると、クラックCRに起因する帯電ムラ、画像ノイズが発生し易く、クラック筋CRtを検出し易くなるからである。
クラック筋CRtを検出し易くする他の方法として、電源18を制御して直流電圧VDCおよび交流電圧VACを帯電ローラー11に印加させ、交流電圧VACのピーク間電圧Vppを印刷モード時よりも低下させて、画像ノイズを発生し易くする方法がある。なお、クラック検出モード時においても、印刷モード時と同じ値の直流電圧VDCおよび交流電圧VACを帯電ローラー11に印加しても構わない。
また、印写部100aを制御して、感光体10の表面にかぶりトナーを付着させてパッチ画像PIを形成し、画像ノイズを発生し易くする方法がある。感光体10の表面にかぶりトナーを付着させる方法としては、たとえば、現像バイアス電圧Vbを感光体10の暗部電位に近付ける方法がある。
なお、図4では、パッチ画像PIの中央部C1と端部C2,C3の境界線を基準線Z1,Z2としたが、中央部C1と端部C2,C3の境界線よりも内側に基準線Z1,Z2を移動させ、中央部C1内に基準線Z1,Z2を設けても構わない。たとえば、文字のみを印字するユーザーにとって、用紙Sの端部における画像ノイズは実使用に影響がないからである。
光センサー45は、中間転写ベルト30の表面と所定の間隔を開けて、中間転写ベルト30の表面に対向して設けられる。光センサー45は、中間転写ベルト30の回転方向と直交する方向(図4中の左右方向)に向けられている。光センサー45の長さ(図4中の左右方向の長さ)はパッチ画像PIの幅よりも広い。光センサー45の幅(図4中の上下方向の長さ)は、パッチ画像PIの長さよりも短い。
光センサー45は、パッチ画像PIの幅方向のトナー分布濃度を検出し、検出結果を示す信号をマップ作成部54に出力する。光センサー45は、中間転写ベルト30の回転に同期して、所定時間毎にパッチ画像PIの幅方向のトナー分布濃度を検出する。この結果、パッチ画像PIの全領域のトナー濃度分布が複数回に分けて検出される。なお、光センサー45は、パッチ画像PIの幅方向のトナー濃度分布のみを検出する一次元センサーでもよいし、パッチ画像PIの幅方向と長さ方向のトナー濃度分布を一度に検出する二次元センサーでもよい。
マップ作成部54(情報処理部)は、光センサー45の出力信号に基づいて、パッチ画像PIの全領域のトナー濃度分布を示すマップを作成する。このマップは、帯電ローラー11の表面状態を示す画像情報となる。
図5(A)〜(D)は、光センサー45およびマップ作成部54の動作を説明するための図である。図5(A)は、パッチ画像PIを例示する図である。図5(A)では、パッチ画像PIの一方端部C1に多数のクラック筋CRt1〜CRt3,…が発生し、パッチ画像PIの他方端部C2に多数のクラック筋CRt11〜CRt13,…が発生している状態が示されている。図面および説明の簡単化のため、クラック筋CRtがパッチ画像PIの幅方向(図5中の左右方向)に成長しているものとする。
図5(B)は、パッチ画像PIのX部の濃度分布(パッチ画像PIの幅方向の濃度分布)の一部を示す図である。X部の濃度分布は、光センサー45がX部の上方に位置している場合における光センサー45の出力信号から求められる。図5(B)の横軸はパッチ画像PIの一方端からの距離xであり、その縦軸はトナー濃度TDである。トナー濃度TDが基準トナー濃度TDrよりも高い部分は、クラック筋CRt2に対応している。クラック筋CRtの長さはL2であり、クラック筋CRt2の先端から基準線Z1までの距離はD2である。
図5(C)は、パッチ画像PIのY部の濃度分布(パッチ画像PIの長さ方向の濃度分布の一部)を示す図である。Y部の濃度分布は、光センサー45がY部の上方を相対的に移動した場合における光センサー45の出力信号から求められる。図5(C)の横軸はパッチ画像PIの図中の上端からの距離yであり、その縦軸はトナー濃度TDである。トナー濃度TDが基準トナー濃度TDrよりも高い部分は、クラック筋CRt1〜CRt3に対応している。
図5(D)は、マップの構成を模式的に示す図である。パッチ画像PIは複数行複数列の画素に分割される。パッチ画像PIの複数行複数列の画素は、それぞれマップの複数行複数列のアドレスに対応付けられる。マップの複数行複数列のアドレスには、それぞれパッチ画像PIの複数行複数列の画素のトナー濃度を示す情報が書き込まれる。このマップは、帯電ローラー11の表面状態を示す画像情報となる。
図3に戻って、位置検出部55は、マップ作成部54によって作成されたマップを参照してクラック筋CRtを検出し、そのクラック筋CRtの位置情報を検出する。クラック筋CRtの位置情報とは、クラック筋CRtの方向に対するクラック筋CRtの先端と基準線Z1またはZ2との距離Dである。
具体的には位置検出部55は、マップ作成部54によって作成されたマップをグレースケールの画像に変換し、そのグレースケールの画像を画像解析することにより、クラック筋CRtを検出する。
上述の通り、パッチ画像PIにおいては、クラック筋CRtと、それ以外の部分とで、トナー濃度の差が生じる。したがって、基本的には、トナー濃度TDが基準トナー濃度TDr以上の部分をクラック筋CRtと判別することができる。しかし、何らかの理由で発生した帯電不良により微小にトナー濃度の高い部分が形成される場合がある。この場合に備え、高濃度部の長さが所定の長さ以上なければ、クラック筋CRtと定義しないようにする。以上より、トナー濃度TDが基準トナー濃度TDr以上であり、かつ、その長さが所定の値以上である部分をクラック筋CRtと判定する。
たとえば、トナー濃度を0から255とし、0が白ベタに対応し、255が黒ベタに対応するものとする。正常部のトナー濃度が64になるようにパッチ画像PIを形成したとき、トナー濃度が150以上であり、かつ長さが0.5mm以上の部分をクラック筋CRtと判定する。
位置検出部55は、グレースケール画像に基準線Z1,Z2の情報を与え、クラックCRの先端部の方向に対するクラック筋CRtの先端Tと、基準線Z1,Z2のうちの近い方の基準線(たとえばZ1)との間の距離(位置情報)を求める。クラック筋CRtの先端部とは、クラック筋CRtの両端のうちの帯電ローラー11の長手方向の中心側の端部である。
位置検出部55は、各クラック筋CRtについて、クラック筋CRtの先端部の方向ベクトルをグレースケール画像から求め、その方向ベクトルの方向におけるクラック筋CRtの先端Tと基準線Z1またはZ2との間の距離Dを求める。さらに位置検出部55は、全クラック筋CRtから距離Dが最小のクラック筋CRtを選択し、選択したクラック筋CRtの先端Tの座標と、選択したクラック筋CRtの先端Tと基準線Zとの間の距離Dと、検出時における印写部100aの稼働量Pとを記憶部56(図3)に書き込む。
図6は、位置検出部55の動作を説明するための図である。図6では、グレースケール画像の一部が例示されている。図6の左右方向は帯電ローラー11の長手方向に対応しており、図6の上下方向は境界線Z1の方向に対応している。図6では、パッチ画像PIの端部C2にクラック筋CRt1〜CRt3が発生している場合が示されている。
クラック筋CRt1は、帯電ローラー11の長手方向(図6中では左右方向)と平行な方向に成長している。換言すると、クラック筋CRt1は、基準線Z1と直交する方向に成長している。クラック筋CRt2は、図6中の斜め下方向に成長している。クラック筋CRt3は、クラック筋CRt2から分岐し、図6中の斜め上方向に成長している。
クラック筋CRtがクラック筋CRt1のように常に帯電ローラー11の長手方向(図6では左右方向)に成長するならば、光センサー45の1回の検出結果に基づいてクラック筋CRt1の先端T1と境界線Z1との間の距離D1を求めることができる。
しかし、クラック筋CRtの中には、クラック筋CRt1,CRt2のように、帯電ローラー11の長手方向に対して斜めに発生する場合や二股に分裂する場合があるので、帯電ローラー11の長手方向の位置情報だけでは不十分である。帯電ローラー11の寿命予測に必要となるクラック筋CRtの位置情報は、クラック筋CRtの先端部の成長方向に対するクラック筋CRtの先端Tと基準線Zとの間の距離である。
クラック筋CRtの先端Tの座標と、クラック筋CRtの先端部が成長して行く方向が分かれば、クラック筋CRtの先端Tから境界線Z1までの距離Dを求めることができ、帯電ローラー11の寿命を予測することが可能となる。
位置検出部55は、クラック筋CRt1〜CRt3の先端T1〜T3と基準線Z1との間の距離D1〜D3を求め、クラック筋CRt1〜CRt3のうちの距離Dが最小のクラック筋(図6ではCRt3)を選択し、そのクラック筋CRt3の先端T3の座標と、選択したクラック筋CRt3の先端T3と基準線Z1との間の距離D3と、検出時における印写部100aの稼働量Pとを記憶部56(図3)に書き込む。
図3に戻って、寿命予測部57は、記憶部56の記憶内容に基づいて、帯電ローラー11の寿命を予測する。寿命予測に必要な情報は、稼働量Pとクラック筋CRtの位置情報Dである。稼働量Pは、累積印刷枚数(または感光体10の累積回転数)である。稼働量Pとクラック筋CRtの位置情報Dは、たとえば累積印刷枚数が1000枚増える度に検出されて記憶部56に書き込まれる。
図7は、寿命予測部57の動作を説明するための図である。図7の横軸は稼働量Pを示し、縦軸は位置情報Dを示している。図7において、点Eaは、今回のクラック検出モードの検出結果である位置情報Daと今回の稼働量Paとの関係を示す点である。点Ebは、前回のクラック検出モードの検出結果である位置情報Dbと前回の稼働量Pbとの関係を示す点である。Da,Pa,Db,Pbは、位置検出部55によって記憶部56に書き込まれている。
寿命予測部57は、2つの点Ea,Ebを結ぶ直線と横軸との交点の稼働量である最大稼働量Pmaxを算出する。稼働量Pが最大稼働量Pmaxに到達したときに、位置情報Dが0となり、帯電ローラー11の寿命が尽きると判別することができる。つまり、最大稼働量Pmaxが帯電ローラー11の寿命となり、最大稼働量Pmaxと現在の稼働量Paとの差(Pmax−Pa)が残り寿命Prとなる。
また寿命予測部57は、予測した寿命Pmaxと現在の稼働量Paとが所定の関係を満たさない場合には、クラックCRが発生したものの帯電ローラー11の寿命Pmaxは末期ではないと判別し、その旨を示す信号F1を報知部58および制御部53に出力する。また寿命予測部57は、予測した寿命Pmaxと現在の稼働量Paとが所定の関係を満たす場合には、帯電ローラー11の寿命Pmaxは末期であると判別し、その旨を示す信号F2を報知部58および制御部53に出力する。
たとえば、寿命予測部57は、現在の稼働量Paと予測した寿命Pmaxとの比Pa/Pmaxが0.9(現在の稼働量Paが寿命Pmaxの90%)よりも小さい場合は信号F1を出力し、Pa/Pmaxが0.9以上である場合は信号F2を出力する。
なお、図6および図7では、1つのクラック筋CRt3に基づいて寿命Pmaxを予測したが、複数のクラック筋(たとえば、CRt1〜CRt3)に基づいて寿命Pmaxを予測してもよい。この場合、帯電ローラー11にクラック筋CRtの位置を特定するためのエンコーダーを取り付けておき、各クラック筋CRtを他のクラック筋CRtと区別するとよい。クラック筋CRt毎に位置情報Dを求め、寿命予測を行なう。寿命予測の結果、最も寿命Pmaxが短いクラックCRtを選択し、そのクラックCRtの寿命Pmaxを帯電ローラー11の寿命Pmaxとする。また、帯電ローラー11にエンコーダーを取り付けなくても、最初に発生したクラック筋CRtをエンコーダーの代わりとしてもよい。
また、図7では2回の検出結果に基づいて寿命Pmaxを予測したが、3回以上の検出結果に基づいて寿命Pmaxを予測してもよい。また、寿命予測には、線形回帰分析、多重回帰分析、機械学習などを利用するとよい。
報知部58は、信号F1に応答して、クラックCRが発生したものの帯電ローラー11の寿命Pmaxは末期ではない旨を画像形成装置100の使用者に報知する。具体的には報知部58は、たとえば、帯電ローラー11の交換時期が近付いている旨を示すマークを画像形成装置100の操作部(図示せず)に表示する。画像形成装置100の使用者は、そのマークを見て、交換に備えて帯電ローラー11の新品を用意する。これにより、帯電ローラー11が故障したときに新品の帯電ローラー11がないという事態を回避することができる。
また報知部58は、信号F2に応答して、帯電ローラー11の寿命Pmaxが末期である旨を画像形成装置100の使用者に報知する。具体的には報知部58は、たとえば、帯電ローラー11の交換時期である旨を示すマークを画像形成装置100の操作部(図示せず)に表示する。そのマークを見た画像形成装置100の使用者は、直ぐに、あるいは実際に画像不良が発生した後に、使用中の帯電ローラー11を新品の帯電ローラー11と交換する。これにより、帯電ローラー11の故障にスムーズに対応することができる。
制御部53は、寿命予測部57からの信号F1に応答して、発生したクラックCRの成長を抑制するクラック抑制処理を行なう。具体的には制御部53は、印刷モード時に電源18(図2)を制御し、帯電ローラー11に印加する交流電圧VACのピーク間電圧Vppを低下させる。
すなわち、ピーク間電圧Vppが大きいと、クラックCRが発生し易くなる傾向がある。そこで、クラックCRが検出されてから寿命末期に至るまでは、画像安定化処理で決定された値よりも小さな値にピーク間電圧Vppを設定する。画像安定化処理で決定されたピーク間電圧Vppは画像ノイズが発生する境界の値ではなく、多少ゆとりを持っており、僅かであればピーク間電圧Vppを下げても画像ノイズは発生しない。したがって、クラックCRが発生すれば、画像ノイズが発生しない程度にピーク間電圧Vppを下げればよい。たとえば、Vpp=2000Vで作像している場合、100V程度ピーク間電圧Vppを下げても画像ノイズは発生しないので、クラック抑制処理として、ピーク間電圧Vppを1900Vに低下させる。
なお、クラック抑制処理として、ピーク間電圧Vppを低下させる代わりに、あるいはピーク間電圧Vppを低下させることに加えて、交流電圧VACの周波数を下げてもよい。
また制御部53は、寿命予測部57からの信号F2に応答して、帯電ローラー11の寿命Pmaxを延長させる寿命延長処理を行なう。帯電ローラー11の寿命Pmaxが末期ならば、いつクラックCRによる画像ノイズが発生してもおかしくない。具体的には制御部53は、印刷モード時に、電源18(図2)を制御し、画像安定化処理で決定された値よりも高い値にピーク間電圧Vppを設定する。これにより、帯電ムラを抑制し、クラックCRによる黒筋を消すことができる。
なお、寿命延長処理として、ピーク間電圧Vppを上昇させる代わりに、あるいはピーク間電圧Vppを上昇させることに加えて、交流電圧VACの周波数を上げてもよいし、露光部12を制御して印刷時における解像度を下げてもよい。
制御部53によって寿命延長処理が実行されると、クラック検出モードが再度実行される。すなわち、パッチ画像PIが生成され、マップが生成され、位置情報が検出され、帯電ローラー11の寿命が予測される。
寿命延長処理を実行した結果、パッチ画像PIにおいてクラック筋CRtが見え難くなり、クラック筋CRtの先端Tと基準線Zとの間の距離Dが長くなった場合には、図7に示すように、今回の検出結果が図7中の点Eaから点Ecに移動する。このため、2つの点Eb,Ecを結ぶ直線と横軸との交点の稼働量である最大稼働量Pmaxが増加し、クラックCRが発生したものの帯電ローラー11の寿命Pmaxは末期ではないと判別され、帯電ローラー11の寿命Pmaxが末期であることを示す信号F2の出力が中止される。この場合、制御部53は、クラック抑制処理を実行しながら、通常の印刷モードを実行する。
寿命延長処理を実行しても帯電ローラー11の寿命Pmaxは末期であると判定され、信号F2の出力が中止されない場合には、寿命延長処理の条件を変えて再度、寿命延長処理を実行してもよい。
制御部53は、寿命延長処理を実行しても帯電ローラー11の寿命Pmaxが末期であると判定され、寿命予測部57からの信号F2の出力が中止されない場合には、帯電ローラー11が故障したと判定し、その旨を示す信号F3を報知部58に出力する。
報知部58は、信号F3に応答して、帯電ローラー11が故障した旨を画像形成装置100の使用者に報知する。具体的には報知部58は、たとえば、帯電ローラー11が故障した旨を示すマークを画像形成装置100の操作部(図示せず)に表示する。そのマークを見た画像形成装置100の使用者は、直ぐに、使用中の帯電ローラー11を新品の帯電ローラー11と交換する。これにより、帯電ローラー11の故障にスムーズに対応することができる。
なお、現在の稼働量Paと予測した寿命Pmaxとの比Pa/Pmaxが0.9以上である場合に帯電ローラー11の寿命Pmaxが末期であると判定した場合には、Pa/Pmaxが1.0となるまでの残り寿命Pr=Pmax−Paを求め、その残り寿命Prだけ印写部100Aを稼働させた後に、信号F3を出力してもよい。
図8は、クラック検出モード時における画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。クラック検出モードは、稼働量検出部52(図3)から信号CMが出力される毎に実行される。
ステップST1において制御部53(図3)は、信号CMに応答して印写部100aを制御し、帯電ローラー11の表面状態を示すパッチ画像PI(図4)を中間転写ベルト30の表面に生成させる。パッチ画像PIの幅方向の濃度分布が光センサー45(図1、図3)によって検出され、その検出結果に基づき、マップ作成部54によってパッチ画像PI全体の濃度分布を示すマップが生成される。
ステップST2において、位置検出部55(図3)は、マップに基づいてパッチ画像PIにクラック筋CRtが発生しているか否かを判別する。クラック筋CRtが発生していないと判別された場合には、今回のクラック検出モードは終了される。
クラック筋CRtが発生したと判別された場合には、ステップST3において位置検出部55は、クラック筋CRtの先端部の方向に対するクラック筋CRtの先端Tと基準線Zとの間の距離Dを位置情報として取得する。複数のクラック筋CRtが発生した場合には、複数の位置情報のうちの最小の位置情報が取得される。検出された位置情報は、稼働量Pとともに記憶部56(図3)に書き込まれる。
ステップST4において寿命予測部57(図3)は、記憶部56に記憶された今回の検出結果(距離Daおよび稼働量Pa)と前回の検出結果(距離Dbおよび稼働量Pb)とに基づいて最大稼働量Pmaxを求め、求めた最大稼働量Pmaxを帯電ローラー11の寿命と定義する。
ステップST5において寿命予測部57は、帯電ローラー11の寿命が末期であるか否かを判別する。Pa/Pmaxが所定値(たとえば0.9)よりも小さい場合には、帯電ローラー11の寿命は末期でないと判別される。Pa/Pmaxが所定値(たとえば0.9)以上である場合には、帯電ローラー11の寿命は末期であると判別される。判別結果は、報知部58(図3)によって画像形成装置100の使用者に報知される。
帯電ローラー11の寿命は末期でないと判別された場合、ステップST6において制御部53(図3)は、印刷モード時に、クラックCRの成長を抑制するクラック抑制処理を実行する。帯電ローラー11の寿命は末期であると判別された場合、ステップST7において制御部53は、印刷モード時に、帯電ローラー11の寿命を延長させる寿命延長処理を実行する。
寿命延長処理が実行された後に、再度、パッチ画像PIが形成され、クラック筋CRtの位置情報が検出され、寿命予測部57によって帯電ローラー11の寿命が予測され、ステップST8において帯電ローラー11の寿命が末期であるか否かが判別される。帯電ローラー11の寿命は末期でないと判別された場合には、位置検出モードは終了される。
帯電ローラー11の寿命は末期であると判別された場合には、ステップST9において制御部53は、帯電ローラー11は故障したと判別し、位置検出モードは終了される。帯電ローラー11が故障した旨は、報知部58によって画像形成装置100の使用者に報知される。
以上のように、この実施の形態1では、帯電ローラー11の表面状態を示すパッチ画像PIを生成し、そのパッチ画像PIのトナー濃度分布に基づいてクラック筋CRtの位置情報Dを検出し、その位置情報Dに基づいて帯電ローラー11の寿命を予測する。したがって、帯電ローラー11の寿命を正確に予測することができる。
図9は、実施の形態1の変更例を示す図である。図9を参照して、この変更例が実施の形態1と異なる点は、帯電ローラー11を感光体10に押圧する力を調整する押圧力調整部60が設けられている点である。押圧力調整部60は、2本の支持軸60aと、駆動部60bとを含む。帯電ローラー11の回転軸11aの両端部は、それぞれ2本の支持軸60aの先端部によって回転可能に支持されている。2本の支持軸60aの基端部は、駆動部60bに支持されている。駆動部60bは、制御部53(図3)によって制御され、支持軸60aの突出量、すなわち感光体10に対する帯電ローラー11の押圧力を調整する。
感光体10に対する帯電ローラー11の押圧力を低下させると、クラックCRの成長を抑制することができる。そこで、制御部53は、上記クラック抑制処理として、ピーク間電圧Vppを低下させる代わりに、あるいはピーク間電圧Vppを低下させることに加えて、押圧力調整部60を制御し、画像安定化処理で決定された値よりも押圧力の値を低下させる。この変更例では、実施の形態1と比べ、帯電ローラー11の寿命を長くすることができる。
図10は、実施の形態1の他の変更例を示す図である。図10を参照して、この変更例が実施の形態1と異なる点は、帯電ローラー11の表面を研磨する研磨部61が設けられている点である。研磨部61は、研磨部材61a、支持部材61b、および駆動部61cを含む。研磨部材61aは、帯電ローラー11の表面に対向して設けられ、支持部材61bの先端部に固定されている。支持部材61bの基端部は、駆動部61cに支持されている。駆動部61bは、制御部53(図3)によって制御され、帯電ローラー11の表面に向かって支持部材60bを伸縮させる。
帯電ローラー11の表面を研磨しない場合には、支持部材60bは伸長されず、研磨部材61aの先端と帯電ローラー11の表面とは所定の間隔を開けて配置されている。帯電ローラー11の表面を研磨する場合には、支持部材60bが伸長され、研磨部材61aの先端が帯電ローラー11の表面に押圧される。たとえば、研磨部材61aとして粒度12μmの研磨紙を取り付けた部材を使用し、帯電ローラー11の全域に研磨紙を押し当て、研磨紙と帯電ローラー11とのニップ幅が2mmになる圧力で60秒間研磨すると、帯電ローラー11の表層が約2μm削れた。
クラックCRの深さが20μm以上になると、画像に黒筋が発生し易くなる。換言すると、クラックCRの深さを20μmよりも小さくすれば、黒筋の発生を抑制することができる。そこで、制御部53は、上記寿命延長処理として、ピーク間電圧Vppを上昇させても画像の黒筋が消えない場合には、研磨部61を制御して帯電ローラー11の表面を研磨する。
制御部53は、寿命延長処理で交流電圧VACのピーク間電圧Vppおよび周波数を最大にし、研磨部61によって帯電ローラー11の表層の厚み分(たとえば10μm)研磨しても、寿命末期であると判断される場合には、帯電ローラー11は故障した判断する。この変更例では、実施の形態1よりも帯電ローラー11の寿命を長くすることができる。
図11は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す図である。図11を参照して、この変更例が実施の形態1と異なる点は、通信装置65が追加されている点である。通信装置65は、位置検出部55によって検出されたクラック筋CRtの位置情報Dと、検出時の稼働量Pと、画像形成装置を特定する符号IDとを管理センター70に送信する。
管理センター70は、複数のユーザーによって使用される複数の画像形成装置を遠隔地から管理する。管理センター70は、通信装置71、記憶部72、および寿命予測部73を含む。通信装置71は、通信装置65から送信された位置情報D、稼働量P、および符号IDを受信して記憶部72に書き込む。寿命予測部73は、画像形成装置毎に、記憶部72の記憶内容に基づいて帯電ローラー11の寿命を予測する。管理センター70は、たとえば、寿命予測の結果をユーザーに報告したり、サービスマンを派遣して寿命末期または故障した帯電ローラー11を新品と交換する。この変更例では、実施の形態1と比べ、ユーザーの負担を軽減することができる。
[実施の形態2]
図12は、この発明の実施の形態2による画像形成装置の要部を示すブロック図であって、図3と対比される図である。この変更例が実施の形態1と異なる点は、光センサー45、制御部55、マップ作成部54、および位置検出部55がそれぞれカメラ75、制御部55A、マップ作成部54A、および位置検出部55Aで置換されている点である。この実施の形態2では、帯電ローラー11の表面状態を示すパッチ画像PIは生成されず、帯電ローラー11の表面の画像がカメラ75によって撮影される。
すなわち、制御部53Aは、稼働量検出部52からの信号CMに応答して、帯電ローラー11を回転させながらカメラ75を制御し、帯電ローラー11の表面全体の画像を撮影させる。カメラ75は、制御部53によって制御され、帯電ローラー11の表面全体の画像を複数回に分けて撮影し、各画素の色、輝度などを示す画素信号を出力する。
マップ作成部54Aは、カメラ75からの画素信号をたとえばグレースケール変換し、画素の濃度を示す数値に変換し、帯電ローラー11の表面全体を示すマップを生成する。帯電ローラー11の表面に発生するクラックCRは白色であるので、位置検出部55Aは、所定の濃度以下の部分で、かつ所定の長さ以上の部分をクラックCRと定義する。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この実施の形態2でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。