JP2017173646A - 画像形成装置 - Google Patents

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誠人 木村
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一矢 北村
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裕介 万袋
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寛治 中山
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Abstract

【課題】接触帯電方式の採用にかかわらず、トナー濃度にむらを生じさせることなく、保護膜によらない感光体の長寿命化を実現することが可能な画像形成装置を提供する。【解決手段】搬送部(10)はシート(SH1)を可動部材(12P、12F、12R、13)で搬送する。帯電部(24)は感光体(22)の表面部分に接触して帯電させる。露光部(25)はその表面部分を画像データによる変調光で走査して、静電潜像を形成する。現像部(26)はその静電潜像をトナーで現像する。転写部(23)は感光体からシート(SH2)へトナー像を転写する。露光部は、感光体の表面のうち光で走査すべき範囲を主走査方向において、シートの主走査方向の縁、または搬送部の可動部材に接触するシートの部分が位置する主走査方向の座標を境に複数の領域に分割し、領域ごとに照射光に対する変調条件を変更する。【選択図】図8

Description

本発明は電子写真方式の画像形成装置に関し、特に感光体の露光技術に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、感光体の表面を一様に帯電させた後、その表面を画像データの1ラインに従って変調した光で一方向(以下、「主走査方向」という。)に走査する。これにより、その表面が直線状に露光され、その露光領域では走査光の変調パターンに従って帯電量の分布が変化する。こうして、その表面に静電潜像の1ラインが形成される。画像形成装置は続いて、その1ラインに、主走査方向に対して垂直な方向(以下、「副走査方向」という。)において隣接する領域を、画像データの次のラインに従って変調する光で走査し、静電潜像の次のラインを形成する。これらの動作の繰り返しにより、感光体の表面に静電潜像が2次元的に拡がる。この静電潜像にトナーが付着すると、帯電量の分布に応じてトナー濃度が変化するので、静電潜像がトナー像として可視化される。
このようなトナー像による画像の再現では、露光プロセスの直前における感光体表面の帯電量分布が、画像形成装置の異なる製品間でも各製品単体でも、一様であることが前提とされる。しかし、実際には、この一様な帯電は感光体の膜厚のばらつきによって妨げられる。感光体表面の帯電量はその静電容量で決まり、この容量は膜厚に依存するからである。特に帯電プロセスに接触帯電方式が採用される場合には、感光体の膜厚のばらつきに起因して感光体表面の帯電量に顕著なばらつきが現れる。
異なる製品間での感光体の膜厚のばらつきにかかわらず、トナー像による画像の再現性を高めるための工夫としては、たとえば、特許文献1、特許文献2のそれぞれに開示された技術が知られている。前者の技術は、画像形成装置に帯電ローラーで感光体を帯電させる際、両部材間の電流量から感光体の膜厚を推測させ、その推測値に合わせて露光条件を変更させる。これにより、製品間での感光体の膜厚の差に伴う感光体表面の帯電量の差が露光プロセスにおいて相殺されるので、一定の階調値に対する感光体表面の帯電量が製品間で均一化される。後者の技術は、各製品の製造時に、その製品におけるクリーニングブレードの押圧力と帯電部の放電特性とから感光体の膜厚の経時変化を予測し、その予測値に合わせて露光条件をその製品に経時的に変更させる。これにより、製品間での感光体の摩耗量の経時変化の違いに伴う感光体表面の帯電量の差が露光プロセスにおいて相殺されるので、階調値と帯電量との間の対応関係の耐久性が製品間で均一化される。
感光体単体の不均一な膜厚にかかわらず、トナー像による画像の再現性を高めるための工夫としては、たとえば、特許文献3、特許文献4のそれぞれに開示された技術が知られている。前者の技術は、各製品の製造時、主走査方向における感光体の膜厚のばらつきに合わせてイレーサーの光量分布にばらつきを与える。これにより、感光体表面の帯電量のばらつきが除電量のばらつきで相殺されるので、露光プロセスの直前ではその表面全体で帯電量が均一化する。後者の技術は、主走査方向においてクリーニングブレードの押圧力が不均一であることによって感光体の摩耗量の経時変化に現れるばらつきに基づき、イレーサーの照射光量分布の主走査方向におけるばらつきを経時的に調整する。これにより、感光体表面の帯電量のばらつきが除電量のばらつきで相殺されるので、その表面を露光プロセスの直前に一様に帯電させる機能の耐久性が向上する。
特開平06−035263号公報 特開2002−072573号公報 特開平08−254930号公報 特開平08−272270号公報
近年、画像形成装置に対する維持費用の削減要求に応えることを目的として、消耗品の1つである感光体の長寿命化が図られている。その工夫の1つとしては、感光体を保護層で覆う技術が知られている。しかし、この技術では、感光体の製造費用の削減が難しい。
感光体の製造費用を低く維持したままで長寿命化するには、単に感光体の製造直後の膜厚(いわゆる“削り代”)を増加することが望ましい。しかし、この技術には、以下に述べる問題がある。
シートの主走査方向におけるサイズはその紙種と姿勢(縦置きと横置きとの別)とによって異なるので、感光体表面には主走査方向において、シートと直接的に、または中間転写部材を介して間接的に接触した時間の総和にばらつきが現れる。仮にそのサイズが一定に保たれたとしても、感光体からそのシート表面へのトナーの移動しやすさ(移動度)には主走査方向においてばらつきが現れる。これは、シート表面には、搬送中にいずれかの搬送ローラーと接触する部分といずれの搬送ローラーにも接触しない部分との両方が含まれ、これらの部分の間では主走査方向の位置が異なることによる(詳細は後述の実施形態参照)。シートとの接触時間の差、およびシート表面へのトナーの移動度の差はいずれも感光体表面の耐摩耗性に差を与えるので、それらの主走査方向におけるばらつきは、摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度にも主走査方向におけるばらつきを生じさせる(詳細は後述の実施形態参照)。このばらつき自体は微小ではあっても感光体の使用が長期にわたれば、その感光体の膜厚に主走査方向における顕著なばらつきが現れる危険性がある。それ故、製造直後の膜厚の増加による感光体の長寿命化を有効にするには、感光体の膜厚のばらつきが無視できない程度に成長しても、それに伴ってトナー濃度にまで顕著な“むら”が生じることは防がねばならない。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に、接触帯電方式の採用にかかわらず、トナー濃度にむらを生じさせることなく、保護膜によらない感光体の長寿命化を実現することが可能な画像形成装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における画像形成装置は、シートを可動部材で所定の経路に沿って搬送する搬送部と、感光体と、その感光体の表面部分に接触してその表面部分を帯電させる帯電部と、感光体の帯電した表面部分を画像データによって変調した光で走査して、その表面部分に静電潜像を形成する露光部と、その静電潜像をトナーで現像する現像部と、感光体から経路を通過中のシートへトナー像を転写する転写部とを備えている。露光部は、感光体の表面のうち光で走査すべき範囲を主走査方向において、経路を通過中のシートの主走査方向の縁が位置する主走査方向の座標、または搬送部の可動部材に接触するシートの部分が位置する主走査方向の座標を境に複数の領域に分割し、領域ごとに照射すべき光に対する変調条件を変更する。
搬送部の可動部材には、ピックアップローラー、捌きローラー、またはタイミングローラーが含まれてもよい。露光部が設定する複数の領域間の境界が位置する主走査方向の座標には、これらの可動部材に接触するシートの領域の主走査方向における端が位置する主走査方向の座標が含まれてもよい。露光部は変調条件として、画像データの示す各階調値に対応させるべき照射光量、または面積階調における網点の面積もしくは形状を規定してもよい。露光部は、主走査方向の座標に対する変調条件の変化率の大きさに対して許容上限を設定してもよい。
この画像形成装置は、複数の領域ごとに感光体の摩耗量を推測する推測部を更に備えてもよい。露光部は感光体の各領域における摩耗量に応じて変調条件を変更してもよい。推測部は、複数の領域間の境界が位置する主走査方向の座標と感光体の各領域における摩耗速度との間の対応関係を示す表または数式と、画像形成装置が感光体を利用して処理したシートの枚数、その感光体の使用時間、または、その感光体が回転体である場合にはその感光体の回転距離とを感光体の各領域における摩耗量の推測に利用してもよい。推測部は感光体の各領域における摩耗量を、画像形成装置がその感光体を利用して処理したシートの主走査方向におけるサイズ別に推測してもよい。
搬送部は、経路を搬送中のシートの表面から紙粉を除去する除去部と、その除去部が除去した紙粉の量を測定する紙粉量測定部とを含んでもよい。推測部は感光体の各領域における摩耗量の推測値を、紙粉量測定部が測定した紙粉量に応じて補正してもよい。推測部は感光体の各領域における摩耗量の推測値を、画像形成装置がその感光体を利用して処理したシートの紙種に応じて補正してもよい。推測部は、搬送部の可動部材の劣化度に応じて感光体の各領域における摩耗量の推測値を補正してもよい。
この画像形成装置は、感光体の表面に付着したトナーの濃度を光学的に測定するセンサーと、そのセンサーを利用して、一定の階調値に対して感光体の表面に形成されたトナー像について主走査方向におけるトナー濃度の変化幅を測定する濃度測定部とを更に備えてもよい。露光部は、濃度測定部が測定したトナー濃度の変化幅に応じて変調条件を修正してもよい。
この画像形成装置は、画像データの示す階調値の偏差を算定する算定部を更に備えてもよい。露光部は、算定部が算定した偏差が閾値未満である画像データによって光を変調する場合に変調条件の変更処理を行ってもよい。
転写部は直接転写方式であってもよい。
本発明による画像形成装置は上記のとおり、感光体の表面のうち光で走査すべき範囲を主走査方向において、経路を通過中のシートの主走査方向の縁が位置する主走査方向の座標、または、搬送部の可動部材に接触するシートの部分が位置する主走査方向の座標を境に複数の領域に分割し、領域ごとに照射すべき光に対する変調条件を変更する。これにより、この画像形成装置は、接触帯電方式の採用にかかわらず、トナー濃度にむらを生じさせることなく、保護膜によらない感光体の長寿命化を実現することができる。
(a)は本発明の実施形態による画像形成装置の外観を示す斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った画像形成装置の模式的な断面図である。 (a)は露光部の含む光源と走査光学系とを示す模式図であり、(b)は、感光体の露光量と接地電位=0Vに対する表面電位との間の関係を示すグラフであり、(c)は、感光体表面のうち現像ローラーよりも電位が高い部分に付着するトナーの濃度と、その部分の電位との間の関係を示すグラフである。 図1の示す画像形成装置の電子制御系統の構成を示すブロック図である。 (a)は、図1の示す給紙カセットの近傍に配置された搬送ローラーを示す模式的な斜視図であり、(b)は、図1の示す感光体ドラムの近傍に配置された搬送ローラーを示す模式的な斜視図である。 (a)は、感光体の摩耗量に影響を与えうる部材の主走査方向における位置を表すグラフであり、(b)は、感光体ドラムがまだ1回転も使用されていない時点(回転数NRT=0)と、90万回転使用され終えた時点(NRT=90万)とのそれぞれにおいて感光体表面から検出された主走査方向における膜厚分布を示すグラフであり、(c)は、(b)の太い実線が表す主走査方向における膜厚分布を持つ感光体を帯電ローラーで帯電させた場合に、その感光体に生じる表面電位の主走査方向における分布を表すグラフである。 (a)は、感光体表面の接触領域と感光体の摩耗速度との間の対応表である。(b)は、図3の示す推測部による感光体の摩耗量の推測値の一例を示す表である。 (a)は、膜厚=15μmの感光体と膜厚>15μmの感光体との露光量−表面電位特性曲線を表すグラフである。(b)、(c)、(d)、(e)は、面積階調における網点の例を示す模式図である。(f)は、膜厚=15μmの感光体と膜厚>15μmの感光体とにおける露光面積とトナー濃度との間の対応関係を示すグラフである。 (a)は、図5の(b)の示す膜厚分布に基づいて変更された後の変調条件と主走査座標との間の関係を示すグラフである。(b)は、図5の(b)の示す膜厚分布を持つ感光体表面に、一定の階調値で変調した光を照射して得られたトナー像の反射濃度分布を示すグラフである。 図3の示す推測部と露光部とによる変調条件の変更処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100はレーザープリンターである。プリンター100の筐体の上面には排紙トレイ44が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ44の前方には操作パネル51が埋め込まれている。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられている。
[画像形成装置の内部構造]
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b−bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。これらの要素10、…、40は協働して画像形成部として機能し、画像データに基づいてシートにトナー像を形成する。
給送部10は、ピックアップローラー12P、給紙ローラー12F、捌きローラー12R、および縦送ローラー13を用い、給紙カセット11に収容されたシートの束SHTからシートSH1を1枚ずつ分離して作像部20へ給送する。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種は、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズは、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
作像部20は、給送部10から送られたシートSH2の上にモノクロのトナー像を形成する。具体的には、まずタイミングローラー21が、給紙カセット11から到達したシートを一旦停止させ、後述の主制御部60(図3参照)からの駆動信号が示すタイミングに合わせて感光体(PC)ドラム22と転写ローラー23との間のニップへ通紙する。その動作と並行し、感光体(PC)ユニット20UがPCドラム22の表面にブラック(K)等、単色のトナー像を形成する。このトナー像はPCドラム22の回転に伴いそれと転写ローラー23との間のニップへ移動し、そのニップへ同時に通紙されたシートSH2の表面へ転写される。その後、PCドラム22と転写ローラー23とはそのシートSH2を定着部30へ送り出す。
定着部30は、作像部20から送出されたシートSH2にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながら両者の間のニップにそのシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH2の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH2の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH2の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH2を排紙部40へ送り出す。
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3を排紙口42から排紙トレイ44へ排紙する。具体的には、排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を回転させ、その周面で、定着部30の上部から排紙口42へ移動してきたシートSH3を排紙口42の外へ送り出して排紙トレイ44に載せる。
[感光体ユニットの構造]
図1の(b)が示すとおり、PCユニット20Uは、PCドラム22に加え、帯電ローラー24、現像部26、クリーニングブレード27、およびイレーサー28を含む。これらはPCドラム22の周囲に配置されている。
−感光体ドラム−
PCドラム22は、外周面が感光体で覆われたアルミニウム等の導電体製の円筒部材である。感光体は、露光量に応じて帯電量が変化する素材であり、たとえば、アモルファスセレン、セレン合金、アモルファスシリコン等の無機材料、または複数の有機材料の積層構造(OPC)を含む。PCドラム22は感光体の表面を、保護膜で覆うことなく露出させている。その代わり、この感光体の製造直後の膜厚は、保護膜で覆われた一般的な感光体の膜厚よりも大きい値、たとえば35μmに設計されている。これにより、感光体の寿命が保護膜で覆われた感光体の寿命と同程度以上に保たれる一方、保護膜の省略により感光体の製造費用が削減されている。
図1の(b)は示していないが、PCドラム22は、中心軸(図1の(b)では、PCドラム22の円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)のまわりを回転可能に支持されている。この中心軸は、ギア、ベルト等、回転力の伝達機構を通して駆動モーターに接続されている。この駆動モーターからのトルクでPCドラム22が(図1の(b)では反時計方向に)1回転することにより、感光体の表面が周囲の機能部24、25、26、23、27、28に順番に対向する。
−帯電ローラー−
帯電ローラー24は、金属製の芯金が導電性の柔軟な樹脂で囲まれた円柱部材であり、中心軸(図1の(b)では、帯電ローラー24の円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)のまわりを回転可能に支持されている。帯電ローラー24の外周面はPCドラム22の外周面に接触しているので、PCドラム22の回転により従動回転する。帯電ローラー24の芯金に対しては、たとえば負の高電圧(−数百〜−数千V程度。以下、「帯電バイアス」という。)が印加される。これにより、帯電ローラー24とPCドラム22との間のニップの近傍に放電が生じる。この放電がそのニップ近傍に位置する感光体の表面部分を負に帯電させる。
−露光部−
感光体の帯電した表面部分はPCドラム22の回転に伴い、帯電ローラー24と現像部26との隙間を通過する。この隙間を通して露光部25はPCドラム22の帯電部分にレーザー光を照射する。
図2の(a)は、露光部25の含む光源251と走査光学系252、253とを示す模式図である。光源251は半導体レーザーであり、可視波長のレーザー光線を数mW〜十数mWの出力で出射する。走査光学系はポリゴンミラー252とfθレンズ253とを含む。ポリゴンミラー252は正多角柱(図2の(a)では正7角柱)状の部材であり、いずれの側面にも鏡面加工が施されている。ポリゴンミラー252は中心軸のまわりで回転可能に支持されている。図2の(a)は示していないが、その中心軸にはモーターが接続されている。このモーターは、光源251からポリゴンミラー252へ光線LLが出射される間、ポリゴンミラー252を等角速度で回転させる。これにより、ポリゴンミラー252の複数枚の側面は交互に光源251からの出射光線LLを反射して偏向させる。このとき、出射光線LLと反射光線RLとが成す角度、すなわち偏向角φは、最大値φMXから最小値φMNへは一定の速度で変化し、最小値φMNから最大値φMXへは瞬間的に変化する。fθレンズ253は非球面レンズであり、ポリゴンミラー252からの反射光線RLをPCドラム22の表面に結像させる。この結像点SPはポリゴンミラー252の回転に伴い、PCドラム22の軸方向(図2の(a)ではX軸方向)に移動する。これにより、感光体の表面が結像点SPの軌跡LNに沿って直線状に露光される。fθレンズ253では特に、反射光線RLの入射角とその像高(結像点SPの光軸からの距離)とが比例する。したがって、結像点SPの移動速度は、偏向角φが最大値φMXから最小値φMNへ一定の速度で変化する間、その速度に比例する。すなわち、結像点SPは、偏向角φの最大値φMXに対応する先頭位置LSPから最小値φMNに対応する末尾位置MSPまでは等速度で移動する。その後、偏向角φが最小値φMNから最大値φMXへ瞬間的に変化するのに伴い、結像点SPは末尾位置MSPから先頭位置LSPまで瞬間的に戻る。結像点SPのこの往復運動の間にPCドラム22は回転している。したがって、この時点以降、結像点SPは感光体表面のうち、露光ずみの領域LNに対してPCドラム22の回転方向とは逆方向(図2の(a)ではY軸方向)に隣接する領域を、PCドラム22の軸方向(X軸方向)に移動する。これにより、その隣接する領域が結像点SPの軌跡に沿って直線状に露光される。以上の動作が繰り返されることにより、感光体の表面に露光領域が2次元的に拡がる。
図2の(b)は、感光体の露光量と接地電位=0Vに対する表面電位との間の関係を示すグラフである。感光体表面の負の帯電部分が露光されると、その部分から帯電量が消失する。このとき、露光量が大きいほど帯電量は大きく減少するので、図2の(b)のグラフが示すとおり、表面電位が0Vに近い。
感光体のこの性質を利用して、露光部25は感光体表面の帯電部分に静電潜像を形成する。すなわち、露光部25は、光源251が出射するレーザー光を、画像データが表す階調値に従って変調する。これにより、感光体の帯電部分のうち、このレーザー光が照射された領域では帯電量が減少し、その減少幅が照射光量の変化に合わせて変動する。その結果、その領域内の表面電位の分布が一様分布から外れ、両分布間の差として静電潜像が形成される。
−現像部−
図1の(b)が示すように、静電潜像を含む感光体の表面部分はPCドラム22の回転に伴い、現像部26に対向する。現像部26はまず、2本のオーガスクリュー261で2成分現像剤を撹拌して、その現像剤が含むトナーを負に帯電させる。現像部26は次に、現像ローラー262を回転させ、その外周面を現像剤で覆ってはPCドラム22の対向面に接近させる。この動作と並行して現像部26は現像ローラー262に対して負の高電圧(−数百〜−数千V程度。以下、「現像バイアス」という。)を印加する。これにより、静電潜像には現像ローラー262よりも電位が高い部分が現れる。これらの各部分と現像ローラー262との間に作用する静電力は、現像ローラー262の外周面を覆う現像剤からトナーを分離させてその部分に付着させる。
図2の(c)は、感光体表面のうち、現像ローラー262よりも電位が高い部分に付着するトナーの濃度と、その部分の電位との間の関係を示すグラフである。このグラフが示すとおり、現像ローラー262に対する電位が高い部分ほど、その部分に付着するトナー濃度は高い。静電潜像の表す電位分布は、画像データの表す階調値分布に対応するので、静電潜像に付着するトナー濃度の分布は、画像データの表す画像の濃淡に対応する。こうしてその画像が、静電潜像から可視化されるトナー像として感光体表面に再現される。
−転写ローラー−
トナー像はPCドラム22の回転に伴い、PCドラム22と転写ローラー23との間のニップへ移動する。転写ローラー23は、金属製の芯金が導電性の柔軟な樹脂で囲まれた円柱部材であり、中心軸(図1の(b)では、転写ローラー23の円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)のまわりを回転可能に支持されている。転写ローラー23の外周面はPCドラム22の外周面に接触しているので、PCドラム22の回転により従動回転する。図1の(b)は示していないが、転写ローラー23の軸受に対してはバネ等の付勢部材がPCドラム22に向かって押圧力を加える。これにより、転写ローラー23は、PCドラム22との間のニップに通紙されるシートSH2に対して圧力を加えてPCドラム22へ押し付ける。このとき、転写ローラー23の芯金に対しては正の高電圧(数百〜数千V程度。以下、「転写バイアス」という。)が印加される。これにより、負に帯電したトナー像がPCドラム22の表面からシートSH2の表面へ転写される。
図1の(b)が示すとおり、PCドラム22と転写ローラー23とは中心軸が同方向に伸び、この方向に対してシートSH2の縦方向、すなわちシートSH2の搬送方向が垂直である。したがって、感光体表面上に形成されたトナー像とシートSH2へ転写されたトナー像との間では、感光体表面においてはPCドラム22の軸方向(図2の(a)の示すX軸方向)に対して平行な方向が、シートSH2の表面においてはその横方向(図1の(b)の示すX軸方向)に対して平行な方向に対応し、感光体表面においてはPCドラム22の周方向(図2の(a)の示すY軸方向)に対して平行な方向が、シートSH2の表面においてはその縦方向(図1の(b)の示すY軸方向)に対して平行な方向に対応する。この対応関係に基づき、以下、感光体の表面上を照射光RLの結像点SPがポリゴンミラー252の回転に伴って移動する方向に対応する方向を「主走査方向」と総称し、その結像点SPがPCドラム22の回転に伴って移動する方向に対応する方向を「副走査方向」と総称する。たとえば、図1の(b)、図2の(a)では、X軸方向に対して平行なPCドラム22の軸方向とシートSH2の横方向とが主走査方向に相当し、Y軸方向に対して平行なPCドラム22の周方向とシートSH2の縦方向とが副走査方向に相当する。
−クリーニングブレード−
シートSH2へ転写されたトナー像の跡を含む感光体の表面部分はPCドラム22の回転に伴いクリーニングブレード27に接触する。クリーニングブレード27は、たとえばポリウレタンゴム等の熱硬化性樹脂から形成された薄い矩形板状の部材であり、その長さがPCドラム22の外周面のうち感光体で覆われた部分とほぼ等しい。ブレード27の板面のうちPCドラム22の外周面に対向する方は、その長辺の1つ(エッジ)がPCドラム22の軸と平行な状態でPCドラム22の外周面に接触し、そのエッジでその外周面の接平面と斜めに交わる。ブレード27はこのエッジに接触した感光体の表面部分から、トナー像の転写跡に残るトナーを掻き取る。
−イレーサー−
この表面部分はPCドラム22の回転に伴いイレーサー28に対向する。イレーサー(「前露光部」ともいう。)28はたとえばPCドラム22の軸方向に配列された発光ダイオード(LED)を含み、感光体表面の対向部分に光を照射してその部分を除電する。その後、この表面部分はPCドラム22の回転に伴い、再び帯電ローラー24に対向する。
[画像形成装置の電子制御系統]
図3は、プリンター100の電子制御系統の構成を示すブロック図である。この制御系統ではプリンター100の各要素10、20、30、40に加え、操作部50と主制御部60とがバス90を通して互いに通信可能に接続されている。
−駆動部−
プリンター100の各要素10、…、40は駆動部10D、20D、30D、40Dを含む。図3は示していないが、各駆動部10D、…は、搬送ローラー12P、12F、12R、13、21、22、23、31、43、PCドラム22、現像ローラー262等の可動部材に対する駆動モーター、制御回路、および駆動回路を含む。駆動モーターはたとえば直流ブラシレス(BLDC)モーターである。制御回路は、マイクロプロセッサ(MPU/CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプログラム可能な集積回路(FPGA)等の電子回路であり、駆動モーターからフィードバックされる実際の回転数に基づいてそのモーターに対する印加電圧の目標値を駆動回路に指示する。駆動回路はインバーターであり、パワートランジスタ(FET)等のスイッチング素子を利用して駆動モーターに対して電圧を印加する。これらの制御回路と駆動回路とによるフィードバック制御を利用して各駆動部10D、…は駆動モーターの回転数を、主制御部60から指示された目標値に制御する。
−操作部−
操作部50は、ユーザーの操作または外部の電子機器との通信を通してジョブの要求と印刷対象の画像データとを受け付け、それらを主制御部60へ伝える。図3が示すように操作部50は、操作パネル51、メモリインタフェース(I/F)52、およびネットワーク(LAN)I/F53を含む。操作パネル51は、押しボタン、タッチパネル、およびディスプレイを含む。このディスプレイに操作パネル51は、操作画面および各種パラメーターの入力画面等のグラフィックスユーザーインターフェース(GUI)画面を表示する。操作パネル51はまた、押しボタンの中からユーザーが押下したものを識別し、またはタッチパネルの中からユーザーが触れた位置を検出し、その識別または検出に関する情報を操作情報として主制御部60へ伝える。特に印刷ジョブの入力画面がディスプレイに表示されている場合、操作パネル51は、印刷対象のシートのサイズ、紙種、姿勢(縦置きと横置きとの別)、部数、画質等、印刷に関する条件をユーザーから受け付けて、これらの条件を示す項目を操作情報に組み込む。メモリI/F52はUSBポートまたはメモリカードスロットを含み、それらを通してUSBメモリーまたはハードディスクドライブ(HDD)等の外付けの記憶装置から直に印刷対象の画像データを取り込む。LAN・I/F53は外部のネットワークNTWに有線または無線で接続され、そのネットワークNTWに接続された他の電子機器から印刷対象の画像データを受信する。
−主制御部−
主制御部60は、プリンター100の内部に設置された1枚の印刷回路基板に実装された集積回路である。図3が示すように、主制御部60は、CPU61、RAM62、およびROM63を含む。CPU61は1つのMPUで構成され、各種ファームウェアを実行することにより、他の要素10、…に対する制御主体としての多様な機能を実現する。たとえば、CPU61は操作部50にGUI画面を表示させてユーザーの入力操作を受け付けさせる。この入力操作に応じてCPU61は、稼動モード、待機(低電力)モード、スリープモード等、プリンター100の動作モードを決定し、その動作モードに応じた処理を各要素10、…に指示する。CPU61は特に、操作部50からの操作情報が示すシートの紙種または紙厚に応じてシートの搬送速度の目標値を選択し、その目標値をプリンター100の各駆動部10D、…に指示する。RAM62は、DRAM、SRAM等の揮発性半導体メモリー装置であり、CPU61がファームウェアを実行する際の作業領域をCPU61に提供すると共に、操作部50が受け付けた印刷対象の画像データを保存する。ROM63は書き込み不可の不揮発性記憶装置と書き換え可能な不揮発性記憶装置との組み合わせで構成されている。前者はファームウェアを格納し、後者は、EEPROM、フラッシュメモリー、SSD等の半導体メモリー装置、またはHDDを含み、CPU61に環境変数等の保存領域を提供する。
−作像部−
図3が示すように作像部20の制御系統は、駆動部20D、露光部25、および現像部26に加え、推測部201、転写部203、帯電部204、および除電部207を含む。推測部201は、MPU/CPU、ASIC、FPGA等の電子回路であり、プリンター100がPCドラム22を利用して処理したシートの枚数、またはPCドラム22の使用時間もしくは回転距離を監視し、それらの量から感光体の摩耗量を推測する。転写部203は転写ローラー23と転写バイアスの生成部とを含む。帯電部204は帯電ローラー24と帯電バイアスの生成部とを含む。転写バイアスの生成部と帯電バイアスの生成部とはたとえばスイッチングコンバーター等の昇圧回路を利用して商用電源等の出力から各バイアス電圧を生成する。現像部26における現像バイアスの生成部も同様である。作像部20の要素20D、…のうち電子回路で構成された部分は、主制御部60とは別の印刷回路基板に実装されてプリンター100の内部に設置される。特に、転写バイアス、帯電バイアス、および現像バイアスの生成部のうち昇圧回路の制御系統はFPGA等の単一のチップに統合される。
[感光体の膜厚に現れる主走査方向におけるばらつき]
PCドラム22と転写ローラー23との間のニップに通紙されるシートの表面には、感光体からのトナーの移動度にそのシートの横方向、すなわち主走査方向におけるばらつきが存在すると考えられる。実際、感光体からシートへのトナーの移動にはPCドラム22と転写ローラー23との間に静電力と圧力とが必要であり、いずれの力もシート表面の物理的な状態、たとえば、シート表面に付着した紙粉等の異物の量、シート表面の帯電量、シート素材の繊維の絡まりに起因するシートの表面粗さに影響されるはずである。一方、シートは、給紙カセット11からPCドラム22と転写ローラー23との間のニップまで搬送される間に多様な搬送ローラーから摩擦を受ける。これらの摩擦はシート表面の上記の状態に影響すると考えられる。さらに、異なる搬送ローラーは一般に、シート表面のうち主走査方向における位置が異なる部分と接触する。したがって、給紙カセット11からPCドラム22と転写ローラー23との間のニップへのシートの搬送処理がそのシート表面の物理的な状態に与える影響は一般には、主走査方向における位置に応じて異なる。その結果、感光体からシートへのトナーの移動度には主走査方向におけるばらつきが現れると推量される。
−給紙カセットからの繰り出し処理−
図4の(a)は、給紙カセット11の近傍に配置された搬送ローラー12P、12F、12Rを示す模式的な斜視図である。これらのローラー12P、…は、給紙カセット11に収容されたシートの束SHTの横方向(図4の(a)の示すX軸方向)に対して平行に伸びる3本の回転軸121、122、123のそれぞれにより、各軸121、…のまわりに回転可能に支持されている。ピックアップローラー12Pは、シートの搬送経路の入口に面した給紙カセット11の縁11Aの上方に配置されている。ピックアップローラー12Pに接続された回転軸121はそのローラー12Pをシートの束SHTの上面に押し付ける。これにより、ピックアップローラー12Pは、シートの束SHTの上面に下向きの力を加えながら回転し、その束SHTからシートを上から順に1枚ずつ、搬送経路の入口へ向かって(図4の(a)の示すY軸方向へ)繰り出す。給紙ローラー12Fはシートの搬送経路の入口の上側に配置され、ピックアップローラー12Pが繰り出したシートSH1(図4の(a)の示す一点鎖線参照。)の上面に接触して回転することにより、そのシートSH1を搬送経路へ送り出す。捌きローラー12Rはシートの搬送経路の入口の下側に配置され、搬送経路を間に挟んで給紙ローラー12Fと対向する。捌きローラー12Rは、ピックアップローラー12Pが繰り出したシートSH1の下面に接触して給紙ローラー12Fとは反対方向に回転する。これにより、捌きローラー12Rは、そのシートSH1の下に次のシートが重なって前進してきた場合にその次のシートの前進を阻み、給紙カセット11に向かって(図4の(a)の示すY軸方向の逆方向へ)押し返す。
図4の(a)の示す斜線部FCHは、3つの搬送ローラー12P、12F、12Rが経路へ送り出すシートSH1の表面のうち、ピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとに接触する領域(以下、「接触領域」という。)を表す。シートSH1の横方向、すなわち主走査方向においてはこの接触領域FCHとそれ以外の領域OTHとにシートSH1の表面は分割される。主走査方向におけるサイズがいずれの搬送ローラー12P、12F、12Rも、シートSH1よりも短いからである。ピックアップローラー12Pは、静止したシートに移動を開始させねばならないので、給紙ローラー12F等、すでに移動中のシートを先へ送る搬送ローラーよりも、シートに加える押圧力と摩擦力とが共に大きい。捌きローラー12Rは、給紙ローラー12F等の他の搬送ローラーとは異なり、シートとの接触部の速度がそのシートの搬送速度とは逆であるので、他の搬送ローラーよりもシートに加える摩擦力が大きい。したがって、接触領域FCHはそれ以外の領域OTHよりも、各ローラー12P、12Rとの摩擦に起因する紙粉量と帯電量とが共に多いと考えられる。さらに、ピックアップローラー12Pから受ける摩擦力と押圧力とがシート表面の繊維を変形させる結果、接触領域FCHの表面粗さはそれ以外の領域OTHの表面粗さから外れている可能性もある。
−タイミングローラーによる送出処理−
図4の(b)は、PCドラム22の近傍に配置された搬送ローラー21、23を示す模式的な斜視図である。2本のタイミングローラー21はサイズが共通であり、PCドラム22の軸方向(図4の(b)の示すX軸方向)に対して平行に伸びる共通の回転軸211により、その軸211のまわりに回転可能に支持されている。2本のタイミングローラー21は更に、PCドラム22と転写ローラー23との間のニップよりもシートの搬送経路に沿って上流側に、その経路を通過するシートSH1の横方向における中心線に対して対称的に配置されている。タイミングローラー21は一般に停止しており、縦送ローラー13(図1の(b)参照。)から送出されたシートSH1の先端部をその場で一旦停止させる。この間にも、そのシートSH1の後端部を縦送ローラー13が送出し続けるので、そのシートSH1の先端部がたわむ。これにより、そのシートSH1のスキュー(タイミングローラー21の軸方向、すなわち主走査方向に対するシートの横方向の傾き)が除去される。タイミングローラー21はその後、主制御部60からの駆動信号が示すタイミングで回転を開始し、停止させていたシートSH2をPCドラム22と転写ローラー23との間のニップへ向かって(図4の(b)の示すY軸方向へ)送り出す。
図4の(b)の示すドット部TCHは、そのニップへタイミングローラー21が送り出すシートSH2の表面のうち、タイミングローラー21との接触領域を表す。シートSH2の横方向、すなわち主走査方向においては、この接触領域TCHとそれ以外の領域FCH、OTHとにシートSH2の表面は分割される。主走査方向におけるサイズがタイミングローラー21はシートSH2よりも短いからである。タイミングローラー21は、静止させたシートに移動を開始させねばならないので、縦送ローラー13等、すでに移動中のシートを先へ送る搬送ローラーよりも、シートに加える摩擦力が大きい。したがって、この接触領域TCHは他の領域FCH、OTHよりも、タイミングローラー21との摩擦に起因する紙粉量と帯電量とが共に多いと考えられる。さらに、タイミングローラー21から受ける摩擦力がシート表面の繊維を変形させる結果、接触領域TCHの表面粗さはそれ以外の領域FCH、OTHの表面粗さから外れている可能性もある。
−感光体、シート、ローラーの主走査方向における位置関係−
図5の(a)は、感光体の摩耗量に影響を与えうる部材の主走査方向における位置を表すグラフである。このグラフの横軸は、PCドラム22の外周面のうち感光体で覆われた部分に対してPCドラム22の軸方向に設定された座標を表す。以下、この座標を「主走査座標」と呼ぶ。PCドラム22の外周面のうちその軸方向における全長360mmの部分が感光体で覆われている場合、主走査座標の最小値“0mm”と最大値“360mm”とがPCドラム22の軸方向における感光体の両端の位置に相当する。図4が示すX軸方向、すなわち、ピックアップローラー12P、捌きローラー12R、およびタイミングローラー21の各軸方向、およびシートSH1、SH2の横方向を始め、主走査方向と総称される方向の間では、各方向における位置が主走査座標で対応付けられる。
図5の(a)が示す各矩形は、各部材が主走査方向において拡がる範囲を表す。具体的には、まず、感光体が主走査座標0mmから360mmまでの範囲に拡がっている。クリーニングブレード27と帯電ローラー24とは全長340mmであり、主走査座標10mmから350mmまでの範囲に拡がっている。すなわち、感光体表面のうちクリーニングブレード27と帯電ローラー24との接触領域は、感光体表面の両端から10mmずつ狭い。転写ローラー23は全長320mmであり、主走査座標20mmから340mmまでの範囲に拡がっている。すなわち、感光体表面のうち転写ローラー23との接触領域は、感光体表面の両端から20mmずつ狭い。したがって、感光体表面のうちシートへトナー像が転写可能な範囲は、帯電ローラー24による帯電が可能な範囲と、クリーニングブレード27による残存トナーの除去が可能な範囲とのいずれよりも内側に位置する。
A4サイズ(210mm×297mm)のシートは、給紙カセット11の中に搬送方向に対して横向きに収容された場合、主走査座標30mmから330mmまでの範囲に拡がる。図5の(a)は示していないが、この範囲よりも内側に、A4サイズのシートが給紙カセット11の中に搬送方向に対して縦向きに収容された場合における範囲は位置する。したがって、感光体表面のうちA4サイズのシートとの接触領域は主走査座標30mmから330mmまでの範囲に限られる。B5サイズ(182mm×257mm)のシートは、給紙カセット11の中に搬送方向に対して横向きに収容された場合、主走査座標50mmから310mmまでの範囲に拡がる。したがって、感光体表面のうちB5サイズのシートとの接触領域はこの範囲に限られる。この範囲は更に、A4サイズのシートとの接触領域にも含まれる。それ故、感光体表面は、A4サイズとB5サイズとの両方のシートに接触する領域(主走査座標50mm−310mm)、A4サイズのシートには接触するがB5サイズのシートには接触しない領域(主走査座標30mm−50mm、310mm−330mm)、A4サイズとB5サイズとのいずれのシートにも接触しない領域(主走査座標<30mm、>330mm)の3種類に分類される。これらの領域間では、シートと直接的に、または中間転写部材を介して間接的に接触した時間の総和が異なる。
ピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとは全長20mmであり、主走査座標170mmから190mmまでの範囲に拡がっている。シート表面はこの範囲にピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとの接触領域FCH(図4の斜線部参照。)を含み、感光体表面のうちこの範囲に位置する領域に接触する。この意味で、以下、感光体表面のこの領域も「ピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとの接触領域」と呼ぶ。
2本のタイミングローラー21は各全長が40mmであり、一方は主走査座標110mmから150mmまでの範囲に拡がり、他方は主走査座標210mmから250mmまでの範囲に拡がっている。このように2本のタイミングローラー21の範囲は、シートの搬送経路の中心が位置する主走査座標180mmに対して対称的である。シート表面はこれらの対称的な範囲にタイミングローラー21との接触領域TCH(図4の(b)のドット部参照。)を含み、感光体表面のうち同じ範囲に位置する領域に接触する。この意味で、以下、感光体表面のこれらの領域も「タイミングローラー21との接触領域」と呼ぶ。
こうして、感光体表面の分類には、ピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)と、タイミングローラー21との接触領域(主走査座標110mm−150mm、210mm−250mm)とが加わる。これらの接触領域間では転写時に接触すべきシート表面の物理的な状態、具体的には、付着物の量、帯電量、表面粗さが異なるので、そのシート表面へのトナーの移動度が異なる。
−感光体の主走査方向における膜厚分布−
感光体表面は主走査方向において、上記のように、図5の(a)の示す破線を境とする複数の接触領域に分割される。これらの接触領域間では、シートとの接触時間の総和、または、接触したシート表面へのトナーの移動度に差がある。これらの差はいずれも感光体表面の耐摩耗性に差を与えると考えられる。実際、シートとの接触時間が長い接触領域ほど、シートからの押圧の繰り返しによる塑性変形量が大きく、かつシートによる摩耗量が多い。さらに、シートから付着した紙粉等の異物の量も多いはずである。また、シート表面へのトナーの移動度が低い接触領域ほど、転写し損なって残存するトナー量が多いはずである。これらの異物と残存トナーとの量、種類、塊の大きさと形状等は、これらの異物と残存トナーと共にクリーニングブレード27が削り取る感光体表面の厚さに影響する。その結果、接触領域間では、クリーニングブレード27による摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度に差が現れると推量される。
図5の(b)は、PCドラム22がまだ1回転も使用されていない時点(回転数NRT=0)と、90万回転使用され終えた時点(NRT=90万)とのそれぞれにおいて感光体表面から検出された主走査方向における膜厚分布を示すグラフである。このグラフの横軸は主走査座標を表し、縦軸は感光体の膜厚方向の高さを表す。太い一点鎖線は回転数NRT=0の時点での膜厚分布を表し、太い実線は回転数NRT=90万の時点での膜厚分布を表す。さらに、破線は、膜厚分布と図5の(a)が示す接触領域の範囲との間の対応関係を表す。PCドラム22の回転数NRT=0である時点、すなわち製造直後では、太い一点鎖線の直線形状が示すとおり、感光体のいずれの接触領域においても膜厚が初期値35μmに揃っている。仮に、摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度が主走査方向において一様であれば、PCドラム22の回転数NRTが90万回に達した時点では感光体の膜厚は、細い一点鎖線が示す値15μmに揃っているはずである。しかし、実際には、太い実線の凹凸形状が示すとおり、感光体の接触領域間で膜厚にばらつきが現れる。
図5の(c)は、図5の(b)の太い実線が表す主走査方向における膜厚分布を持つ感光体を帯電ローラー24で帯電させた場合に、その感光体に生じる表面電位の主走査方向における分布を表すグラフである。このグラフの横軸は主走査座標を表し、縦軸は感光体の表面電位を表す。破線は、表面電位分布、図5の(b)が示す膜厚分布、および図5の(a)が示す接触領域の間の対応関係を表す。帯電ローラー24は、感光体表面のうち主走査座標10mmから350mmまでの範囲に同時に接触する。この接触に伴う感光体表面の帯電量はその表面とPCドラム22の芯金との間の静電容量で決まる。感光体の膜厚が大きい領域ほどその静電容量は小さいので、感光体表面の帯電量は小さい。すなわち、感光体の膜厚が大きい領域ほどその表面電位は接地電位=0Vに近い。仮に感光体の膜厚が一定値15μmに均一であれば、その表面電位は目標値、たとえば−500Vに揃うはずである。しかし、実際には図5の(b)の太い実線が表すとおり、感光体の接触領域の間では膜厚にばらつきがあるので、表面電位にも対応するばらつきが現れる。この場合、露光部25からの照射光量が一定であっても、感光体表面の露光後の帯電量にはばらつきが残る。したがって、もし露光部25が感光体の一様な表面電位−500Vを前提として光源251のレーザー光に対する変調条件を設定すれば、感光体の接触領域の間では一定の階調値に対するトナー濃度にばらつきが現れる危険性がある。
[感光体の膜厚のばらつきに応じた変調条件の変更]
この危険性を回避する目的で、露光部25は感光体表面の接触領域ごとに照射光に対する変調条件を変更する。具体的には、まず、推測部201が感光体表面の接触領域ごとに感光体の摩耗量を推測する。次に、これらの推測値に応じて露光部25が、画像データの示す各階調値に対応させるべき照射光量、または面積階調における網点の面積もしくは形状を、感光体表面の接触領域ごとに変更する。
−感光体の摩耗速度−
図6の(a)は感光体表面の接触領域と感光体の摩耗速度との間の対応表(以下、「摩耗速度表」と呼ぶ。)である。「摩耗速度」とは、摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度、すなわち単位時間あたりの摩耗量をいう。「単位時間」の具体的な表現は一般に接触領域ごとに異なる。この表の示す摩耗速度の値は実験またはシミュレーションの結果に基づいて設定される。また、この表のデータはプリンター100の製造時に、たとえばROM63に保存される。
この摩耗速度表と図5の(a)との例によれば、感光体表面(主走査座標0mm−360mm)のうち、たとえばクリーニングブレード27との接触領域(主走査座標10mm−350mm)では、クリーニングブレード27による摩耗に起因して膜厚がPCドラム22の1万回転あたり0.11μmずつ減少する。帯電ローラー24との接触領域(主走査座標10mm−350mm)では、帯電ローラー24による摩耗に起因して膜厚がPCドラム22の1万回転あたり0.07μmずつ減少する。
A4サイズとB5サイズとのいずれかのシートとの接触領域(主走査座標30mm−330mm)については、摩耗速度の定義における単位時間が、PCドラム22の使用により処理されたシートの枚数、たとえば1万枚で表現される。この接触領域のうち、ピックアップローラー12P、捌きローラー12R、タイミングローラー21のいずれにも接触しなかったシート表面に接触する領域(主走査座標30mm−110mm、150mm−170mm、190mm−210mm、250mm−330mm、以下、「シートのみとの接触領域」と呼ぶ。)では摩耗速度は0.19μm/1万枚である。これに対し、A4サイズとB5サイズとの各シートの主走査方向における縁と接触する部分(主走査座標30mm、50mm、310mm、330mm)では摩耗速度が0.25μm/1万枚と高い。この部分には、転写時に応力が集中しやすく、紙粉等の異物も集積しやすいことが影響していると考えられる。一方、ピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)では、摩耗速度が各ローラー12P、12Rの劣化度に応じて変化する。この劣化度はたとえば、各ローラー12P、12Rが接触したシートの総数で推測される。この総数の増加に伴って各ローラー12P、12Rとその支持機構との劣化が進むので、各ローラー12P、12Rがシートに加える力が弱まる。これらの力の弱化はシート表面に対し、各ローラー12P、12Rとの接触領域へのトナーの移動度をシートのみとの接触領域への移動度に接近させるように作用すると考えられる。したがって、感光体表面ではこれらの接触領域間で摩耗速度の差が減少する。図6の(a)の例では、ピックアップローラー12Pとの接触に起因する摩耗速度は、ピックアップローラー12Pが繰り出したシートの総数が20万枚未満である間は0.14μm/1万枚である。この総数が20万枚以上40万枚未満の範囲で増え続けている間は、摩耗速度が0.15μm/1万枚に補正され、40万枚以上に達した場合には0.16μm/1万枚に補正される。捌きローラー12Rとの接触に起因する摩耗速度は、捌きローラー12Rが接触したシートの総数が20万枚未満である間は0.12μm/1万枚であり、20万枚以上40万枚未満の範囲で増え続けている間は0.13μm/1万枚に補正され、40万枚以上に達した場合には0.14μm/1万枚に補正される。このように、いずれのローラー12P、12Rとの接触領域においてもローラーの劣化に伴い、摩耗速度がシートのみとの接触領域における値0.19μm/1万枚に接近する。
−感光体の摩耗量の推測−
図6の(a)が示す摩耗速度表を推測部201は、感光体の接触領域ごとの膜厚の推測に利用する。具体的には推測部201は、プリンター100によるシートの処理枚数と、PCドラム22を始め、ピックアップローラー12P等の搬送ローラーの使用時間または回転距離とを監視し、これらの量と図6の(a)が示す摩耗速度とから感光体の摩耗量の推測値を算定する。
図6の(b)は、推測部201による感光体の摩耗量の推測値の一例を示す表である。この表では、以下に述べる状況が想定されている。この状況は、図5の(b)が示す、PCドラム22が90万回転使用され終えた時点における感光体表面の主走査方向における膜厚分布が測定されたときの状況に相当する。
PCユニット20Uが新品に交換された時点(以下、「基準時点」と呼ぶ。)からの監視を通して推測部201はプリンター100の使用履歴を記録している。この履歴によれば、プリンター100は基準時点以降、PCドラム22を90万回転させ、PCドラム22と転写ローラー23との間のニップにシートを20万枚通紙している。A4サイズのシートとB5サイズのシートとが別々の給紙カセット11に収容され、前者は15万枚処理され、後者は5万枚処理されている。各給紙カセット11に設置されたピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとは共に、寿命が処理枚数50万枚の製品である。A4用の給紙カセット11に設置された両ローラー12P、12Rは、基準時点においてすでに45万枚のシートを繰り出し終えた状態であり、更に5万枚のシートを繰り出した時点で新品に交換されている。これらの新品のローラー12P、12Rが残りの10万枚を繰り出している。B5用の給紙カセット11に設置された両ローラー12P、12Rは、基準時点においては25万枚のシートを繰り出し終えた状態であり、更に5万枚のシートを繰り出した時点においても交換はされていない。
この履歴と摩耗速度表とに基づいて推測部201はまず、図6の(b)が示すように、感光体表面またはシート表面の各接触領域に接触する対象の種類ごとに、その対象に起因する感光体の摩耗量を推測する。
具体的には推測部201は、クリーニングブレード27との接触領域(主走査座標10mm−350mm)に対しては、そのブレード27による摩耗量の推測値を摩耗速度0.11μm/1万回とPCドラム22の回転数=90万との積に設定する:0.11×90万=9.90μm。帯電ローラー24との接触領域(主走査座標10mm−350mm)に対しては、帯電ローラー24による摩耗量の推測値を摩耗速度0.07μm/1万回とPCドラム22の回転数=90万との積に設定する:0.07×90万=6.30μm。
A4サイズのシートとの接触領域(主走査座標30mm−330mm)のうち、シートのみとの接触領域(主走査座標30mm−110mm、150mm−170mm、190mm−210mm、250mm−330mm)に対しては、シートによる摩耗量の推測値を摩耗速度0.19μm/1万枚と処理枚数=15万との積に設定する:0.19×15万=2.85μm。シートの縁との接触領域(主走査座標30mm、330mm)に対しては、その縁による摩耗量の推測値を摩耗速度0.25μm/1万枚と処理枚数=15万との積に設定する:0.25×15万=3.75μm。ピックアップローラー12Pとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)に対しては、ピックアップローラー12Pによる摩耗量の推測値を、交換前のものによる摩耗速度0.16μm/1万回と処理枚数=5万との積、および交換後のものによる摩耗速度0.14μm/1万回と処理枚数=10万との積の総和に設定する:0.16×5万+0.14×10万=2.20μm。捌きローラー12Rとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)に対しては、捌きローラー12Rによる摩耗量の推測値を、交換前のものによる摩耗速度0.14μm/1万回と処理枚数=5万との積、および交換後のものによる摩耗速度0.12μm/1万回と処理枚数=10万との積の総和に設定する:0.14×5万+0.12×10万=1.90μm。タイミングローラー21との接触領域(主走査座標110mm−150mm、210mm−250mm)に対しては、タイミングローラー21による摩耗量の推測値を摩耗速度0.17μm/1万回と処理枚数=15万との積に設定する:0.17×15万=2.55μm。
B5サイズのシートとの接触領域(主走査座標50mm−310mm)のうち、シートのみとの接触領域(主走査座標50mm−110mm、150mm−170mm、190mm−210mm、250mm−310mm)に対しては、シートによる摩耗量の推測値を摩耗速度0.19μm/1万枚と処理枚数=5万との積に設定する:0.19×5万=0.95μm。シートの縁との接触領域(主走査座標50mm、310mm)に対してはその縁による摩耗量の推測値を摩耗速度0.25μm/1万枚と処理枚数=5万との積に設定する:0.25×5万=1.25μm。ピックアップローラー12Pとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)に対しては、ピックアップローラー12Pによる摩耗量の推測値を摩耗速度0.15μm/1万回と処理枚数=5万との積に設定する:0.15×5万=0.75μm。捌きローラー12Rとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)に対しては、捌きローラー12Pによる摩耗量の推測値を摩耗速度0.13μm/1万回と処理枚数=5万との積に設定する:0.13×5万=0.65μm。タイミングローラー21との接触領域(主走査座標110mm−150mm、210mm−250mm)に対しては、タイミングローラー21による摩耗量の推測値を摩耗速度0.17μm/1万回と処理枚数=5万との積に設定する:0.17×5万=0.85μm。
推測部201は次に、2種類以上の接触領域が重なる範囲における摩耗量の推測値を、それらの接触領域における摩耗量の推測値の和に設定する。ただし、同じ給紙カセット11に設置されたピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとの間では感光体の摩耗量への寄与が互いに独立ではないと考えられるので、各ローラー12P、12Rによる摩耗量の平均値を両ローラーによる摩耗量として推測部201は計算する。
たとえば、シートのみとの接触領域(主走査座標30mm−110mm、150mm−170mm、190mm−210mm、250mm−330mm)には、クリーニングブレード27と帯電ローラー24との両方の接触領域(主走査座標10mm−350mm)が重なっている。したがって、クリーニングブレード27による摩耗量9.90μm、帯電ローラー24による摩耗量6.30μm、A4サイズのシートによる摩耗量2.85μm、およびB5サイズのシートによる摩耗量0.95μmの和がシートのみとの接触領域における摩耗量の推測値として算定される:9.90+6.30+2.85+0.95=20.00μm。製造直後の感光体の膜厚が35μmである場合、PCドラム22の回転数が90万回に達した時点にはシートのみとの接触領域における膜厚が、図5の(b)が示すとおり、35−20=15μmまで減少する。もしこの接触領域での物理的な状態にシート表面の全体の状態が揃っていれば、感光体の膜厚はこの接触領域での値15μmに揃っていることになる。
主走査座標170mm−190mmの範囲には、クリーニングブレード27と帯電ローラー24との接触領域(主走査座標10mm−350mm)に加え、A4サイズとB4サイズとの両方のシート用のピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとの接触領域とが重なっている。したがって、クリーニングブレード27による摩耗量9.90μmと帯電ローラー24による摩耗量6.30μmとの和に、A4用ピックアップローラー12Pによる摩耗量2.20μmとA4用捌きローラー12Rによる摩耗量1.90μmとの平均値、およびB5用ピックアップローラー12Pによる摩耗量0.75μmとB5用捌きローラー12Rによる摩耗量0.65μmとの平均値を加えた値がこの範囲における感光体の摩耗量の推測値として算定される:9.90+6.30+(2.20+1.90)/2+(0.75+0.65)/2=18.95μm。製造直後の感光体の膜厚が35μmである場合、PCドラム22の回転数が90万回に達した時点にはこの範囲における感光体の膜厚は35−18.95=16.05μmまで減少する。この値は、図5の(b)が示すとおり、シートのみとの接触領域における膜厚15μmよりも大きい。
他の範囲についても同様に、その範囲に重なる接触領域における摩耗量の推測値の和がその範囲における摩耗量の推測値として算定される。これらの推測値の分布から、図5の(b)が示す膜厚分布が再現される。
−感光体への照射光に対する変調条件の変更−
感光体の膜厚の推測値分布に応じて露光部25は、感光体表面の接触領域ごとに照射光に対する変調条件を変更する。変調条件は、画像データの示す各階調値に対応させるべき照射光量、または面積階調における網点の面積もしくは形状を規定する。
<変調条件が照射光量を規定する場合>
図7の(a)は、膜厚=15μmの感光体と膜厚>15μmの感光体との露光量−表面電位特性曲線を表すグラフである。このグラフによれば、露光量が多いほど、表面電位は初期値=−500V、V0から接地電位=0Vへ大きく接近する。表面電位が接地電位に近い領域ほど現像ローラー262に対する電位が高いので、現像ローラー262からその領域に付着するトナー量が多い。すなわちトナー濃度が高い。したがって、この露光量−表面電位特性曲線に基づき、露光部25は変調条件として階調値と照射光量との間の対応関係を定める。
具体的には、露光部25はまずこの対応関係の基準を、摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度が主走査方向において一様であるという前提の下で設定する。この前提によればたとえば、PCドラム22の回転数が90万回に達した時点では、感光体の膜厚がシートのみとの接触領域での値15μmに揃っているので、帯電プロセスの後は感光体の表面電位は一様に初期値=−500Vである。この前提の下で露光部25は基準の対応関係を、図7の(a)の示す膜厚15μmの感光体の露光量−表面電位特性曲線に基づいて設定する。この基準によれば、たとえば、特定の階調値に表面電位の目標値VT1が対応する場合、第1露光量EI1が選択される。第1露光量EI1を受ける感光体の膜厚が15μmに等しければ、その特定の階調値に正しく対応するトナー濃度が実現する。しかし、実際には図5の(b)が示す膜厚分布のとおり、シートとの接触領域(主走査座標30mm−330mm)のうち、ピックアップローラー12P等との接触領域ではシートのみとの接触領域よりも膜厚が大きい。図7の(a)の示す露光量−表面電位特性曲線によれば、膜厚>15μmの感光体では表面電位の初期値V0が−500Vよりも接地電位に近く(V0>−500V)、膜厚=15μmの感光体よりも一定の露光量に対する表面電位が接地電位に近い。したがって、ピックアップローラー12P等との接触領域が第1露光量EI1を受けた場合、その表面電位は目標値VT1よりも低い値VT2を示す。仮にこれらの領域への照射光量が基準値のままであれば、トナー濃度は特定の階調値に対応するトナー濃度よりも高くずれる。
このようなトナー濃度のむらを防ぐ目的で、露光部25は次に、感光体の膜厚の推測値分布から各接触領域における膜厚を検索し、シートのみとの接触領域における膜厚と検索した膜厚との間の差に応じて各接触領域への照射光量を基準値から変更する。たとえば露光部25は予め、図7の(a)のグラフが示すような露光量−表面電位特性曲線、またはその曲線から定まる階調値と照射光量との間の対応関係を様々な膜厚について記憶しておく。推測部201が各接触領域における膜厚を推測したことに応じて、露光部25はその推測値に対応する特性曲線または対応関係を検索して照射光量の選択に利用する。たとえば、膜厚>15μmの接触領域に対しては、図7の(a)の示す表面電位の初期値=−500Vの露光量−表面電位特性曲線が初期値V0>−500Vの特性曲線に変更される。特定の階調値に表面電位の目標値VT1が対応する場合、基準の特性曲線では第1露光量EI1が対応するのに対し、変更後の特性曲線では第2露光量EI2が対応し、この量は第1露光量EI1よりも少ない。すなわち、膜厚の増加に伴う表面電位の目標値からの降下、VT1→VT2が、特性曲線の変更に伴う第1露光量EI1から第2露光量EI2への減少で相殺される。
<変調条件が面積階調における網点の面積、形状を規定する場合>
図7の(b)、(c)、(d)、(e)は、面積階調における網点の例を示す模式図である。矩形は感光体表面のうち1mm×1mmの単位領域を示す。図7の(b)、(c)では、単位領域あたり10×10個ずつ等円形の網点が等間隔の格子状に配列される。図7の(b)は(c)よりも各網点の半径が大きいので単位領域に占める網点の面積の割合が高い。図7の(d)、(e)では、単位領域あたり10×2本ずつ、対角方向に平行な等幅の直線状の網点が等間隔に配列される。図7の(d)は(e)よりも各網点の幅が大きいので単位領域に占める網点の面積の割合が高い。
露光部25は感光体表面への照射光量を一定に保つ一方、照射光の結像点が感光体表面に、図7の(b)、(c)の示す円の格子列、または図7の(d)、(e)の示す斜線列を描くように、光源251を明滅させる。露光部25は特に、たとえば階調値が高いほど網点の半径または幅を増大させる。網点の面積または形状の変化に伴い、感光体表面に占める露光領域の面積の割合が変化するので、その表面に占めるトナーの付着面積の割合、すなわちトナー濃度が変化する。このように、露光部25は網点の面積または形状の変化で階調を表現する。
図7の(f)は、膜厚=15μmの感光体と膜厚>15μmの感光体とにおける露光面積とトナー濃度との間の対応関係を示すグラフである。このグラフによれば、露光面積が大きいほどトナー濃度は高い。したがって、この対応関係に基づき、露光部25は変調条件として階調値と露光面積との間の対応関係を定める。
具体的には、露光部25はまずこの対応関係の基準を、摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度が主走査方向において一様であるという前提の下で設定する。この前提によればたとえば、PCドラム22の回転数が90万回に達した時点では、感光体の膜厚がシートのみとの接触領域での値15μmに揃っているので、帯電プロセスの後は感光体の表面電位は一様に初期値=−500Vである。この前提の下で露光部25は基準の対応関係を、図7の(f)の示す膜厚15μmの感光体における露光面積とトナー濃度との間の対応関係に基づいて設定する。この基準によれば、たとえば、特定の階調値にトナー濃度の目標値TC1が対応する場合、第1露光面積EA1が選択される。この値に露光面積が等しい領域の膜厚が15μmに等しければ、その特定の階調値に正しく対応するトナー濃度が実現する。しかし、実際には図5の(b)が示す膜厚分布のとおり、シートとの接触領域(主走査座標30mm−330mm)のうち、ピックアップローラー12P等との接触領域ではシートのみとの接触領域よりも膜厚が大きい。膜厚>15μmの感光体では膜厚=15μmの感光体よりも一定の露光量に対する表面電位が接地電位に近い。したがって、ピックアップローラー12P等との接触領域では各網点の表面電位が目標値よりも低い値を示す。仮にこれらの領域においても網点の面積、形状が基準値のままであれば、網点あたりのトナー量が増大するので、トナー濃度は特定の階調値に対応する目標値TC1よりも高い値TC2へずれる。
このようなトナー濃度のむらを防ぐ目的で、露光部25は次に、感光体の膜厚の推測値分布から各接触領域における膜厚を検索し、シートのみとの接触領域における膜厚と検索した膜厚との間の差に応じて各接触領域における網点の面積または形状を基準値から変更する。たとえば露光部25は予め、図7の(f)のグラフが示すような露光面積、すなわち網点の面積または形状と、トナー濃度または階調との間の対応関係を様々な膜厚について記憶しておく。推測部201が各接触領域における膜厚を推測したことに応じて、露光部25はその推測値の膜厚における対応関係を検索して光源の明滅タイミングの設定に利用する。たとえば、膜厚>15μmの接触領域に対しては、図7の(f)の示す膜厚=15μm用の網点が膜厚>15μm用の網点に変更される。特定の階調値にトナー濃度の目標値TC1が対応する場合、基準の網点では第1露光面積EA1が対応するのに対し、変更後の網点では第2露光面積EA2が対応し、これは第1露光面積EA1よりも小さい。すなわち、膜厚の増加に伴うトナー濃度の目標値からの上昇、TC1→TC2が、網点の変更に伴う第1露光面積EA1から第2露光面積EA2への減少で相殺される。
<変調条件の変更の効果>
図8の(a)は、図5の(b)の示す膜厚分布に基づいて変更された後の変調条件と主走査座標との間の関係を示すグラフである。縦軸は、基準の変調条件、すなわち感光体の膜厚が均一であるという前提の下での変調条件に対する相対値を表す。このグラフは、一定の階調値(たとえば、トナーの反射濃度=0.4に相当)で変調された照射光量または照射面積が主走査座標に応じて変化することを示す。特にこの変化が示す凹凸は、図5の(b)の示す膜厚分布、および図5の(c)の示す表面電位分布に対して相補的である。ただし、露光部25は主走査座標に対する変調条件の変化率に許容上限を設け、接触領域間の境界、たとえば主走査座標=30mm、50mm等では、その境界を含む所定範囲CLR内で変調条件を一方の接触領域に対するものから他方に対するものへ徐々に変化させる。この範囲は、搬送経路内でのシートの主走査方向における位置決め精度、またはピックアップローラー12P等の主走査方向におけるクリアランスから決められる。
図8の(b)は、図5の(b)の示す膜厚分布を持つ感光体表面に、一定の階調値(たとえば、トナーの反射濃度=0.4に相当)で変調した光を照射して得られたトナー像の反射濃度分布を示すグラフである。一点鎖線は、基準の変調条件を使用した場合に得られる反射濃度分布である。基準の変調条件のままでは変調後の照射光量または照射面積が主走査方向において均一であるので、この反射濃度分布には目標値0.4からのばらつきが現れる。このばらつきは、図5の(b)の示す膜厚分布のばらつきに起因する、図5の(c)の示す露光前の表面電位分布のばらつきを反映している。実線は、変更後の変調条件を使用した場合に得られる反射濃度分布である。接触領域間の境界近傍では、主走査座標に対する変調条件の変化率に上限を設けたことに起因する乱れが多少見られる。しかし、全体的には反射濃度が目標値0.4に均一化されている。
このように、推測部201が推測した感光体の摩耗量に基づいて露光部25が変調条件を感光体表面の接触領域ごとに変更することにより、感光体の膜厚の主走査方向におけるばらつきにかかわらず、各階調値に対応すべき表面電位の目標値が主走査方向において均一に保たれる。
[変調条件の変更処理の流れ]
図9は、推測部201と露光部25とによる変調条件の変更処理のフローチャートである。この処理は、主制御部60がプリンター100にジョブ処理の開始を指示したときに開始される。
ステップS101では、推測部201が主制御部60にアクセスしてプリンター100の使用履歴、具体的には、プリンター100によるシートの処理枚数と、PCドラム22とピックアップローラー12P等の搬送ローラーとの使用時間または回転距離とを監視する。その後、処理はステップS102へ進む。
ステップS102では、ステップS101で得られた履歴と摩耗速度表とに基づいて推測部201は、感光体表面またはシート表面の各接触領域に接触する対象別に、その対象に起因する感光体の摩耗量を推測する。その後、処理はステップS103へ進む。
ステップS103では、推測部201は、2種類以上の接触領域が重なる範囲における摩耗量の推測値を、それらの接触領域における摩耗量の推測値の和に設定する。ただし、同じ給紙カセット11に設置されたピックアップローラー12Pと捌きローラー12Rとについては、各ローラー12P、12Rによる摩耗量の平均値が両ローラーによる摩耗量として換算される。その後、処理はステップS104へ進む。
ステップS104では、ステップS102、S103で得られた感光体の膜厚の推測値分布に応じて露光部25は、感光体表面の接触領域ごとに照射光に対する変調条件、すなわち、画像データの示す各階調値に対応させるべき照射光量、または面積階調における網点の面積もしくは形状を変更する。具体的には、露光部25はまず、摩耗に起因する感光体の膜厚の減少速度が主走査方向において一様であるという前提の下で基準の変調条件を設定する。露光部25は次に、感光体の膜厚の推測値分布から各接触領域における膜厚を検索し、シートのみとの接触領域における膜厚と検索した膜厚との間の差に応じて各接触領域への照射光量、または各接触領域における網点の面積、形状を基準値から変更する。その後、処理はステップS105へ進む。
ステップS105では、推測部201が主制御部60にアクセスし、プリンター100がジョブを処理し終えたか否かを確認する。ジョブを処理し終えていれば変更処理は終了し、処理し終えていなければ変更処理はステップS101から繰り返される。
[実施形態の利点]
本発明の上記の実施形態によるプリンター100では、露光部25がまず、感光体表面を主走査方向において複数の接触領域に分割する。接触領域間の境界は、搬送経路を通過中のシートの主走査方向の縁が位置する主走査方向の座標、またはピックアップローラー12P等の搬送ローラーに接触するシートの部分が位置する主走査方向の座標に設定される。露光部25は次に、接触領域ごとに感光体への照射光に対する変調条件を変更する。接触領域間では、転写時に接触したシートの枚数が異なり、または転写時に接触したシート表面の物理的な状態がピックアップローラー12P等との接触の有無に応じて異なる。これらの違いに伴い、接触領域間には感光体の摩耗量に差が現れる。この差に起因するトナー濃度のむらを露光部25は変調条件の変更で相殺する。その結果、感光体の膜厚の主走査方向におけるばらつきにかかわらず、階調値と露光後の表面電位との間の対応関係が主走査方向において均一に保たれる。こうして、プリンター100は、接触帯電方式の採用にかかわらず、トナー濃度にむらを生じさせることなく、保護膜によらない感光体の長寿命化を実現することができる。
[変形例]
(A)図1の示す画像形成装置100は直接転写方式のモノクロレーザープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、カラーレーザープリンター、ファクシミリ、コピー機、または複合機(MFP)であってもよい。たとえば直接転写方式のカラーレーザープリンターでは、図1の(b)の示すPCドラム22の周囲に現像部26と同様な構造の現像部が4つ連続して配置される。これらの現像部は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナー像を1色ずつ、感光体表面の同じ部分に重ねて顕在化させる。これら4つの現像部の全体をモノクロレーザープリンター100の現像部26とみなせば、発明を上記の実施形態と同様に適用することが可能である。
発明は中間体転写方式のカラーレーザープリンターにも適用可能である。中間体転写方式では、トナー像が感光体からベルト等の中間転写体を経由してシートへ転写される。シートのサイズが異なれば、中間転写体がシートから押圧力を受ける範囲が異なる。また、シート表面ではピックアップローラー12P等との接触の有無によって中間転写体からのトナーの移動度が異なる。したがって、中間転写体の表面の物理的な状態にも主走査方向におけるばらつきが現れると考えられ、このばらつきが感光体から中間転写体へのトナーの移動度にもばらつきを与えるはずである。このばらつきは感光体表面の耐摩耗性に主走査方向におけるばらつきを生じさせ、感光体の使用が長期にわたれば、その膜厚に主走査方向における顕著なばらつきが現れる危険性がある。この危険性は上記の実施形態と同様に、露光部に感光体表面の接触領域ごとに変調条件を変更させれば回避可能である。
(B)図2の(a)の示す露光部25は感光体の光走査にポリゴンミラー252とfθレンズ253とを利用する。その他に、露光部はLEDアレイを利用してもよい。LEDアレイは、一方向に並ぶ複数のLEDの列を1以上含み、PCドラム22の外周面から所定の間隔を置いて、その軸方向(主走査方向)に伸びている。LEDアレイは感光体表面のうち主走査方向に伸びる直線状の領域(1ライン)に対して同時に光を照射する。
(C)推測部201は、プリンター100の使用履歴から推測した感光体の膜厚分布をそのまま露光部25に提供する。一方、給送部10が、経路を搬送中のシートの表面から紙粉を除去する除去部と、その除去部が除去した紙粉の量を測定する紙粉量測定部とを含む場合、推測部201は感光体の摩耗量の推測値を、紙粉量測定部が測定した紙粉量に応じて補正してもよい。具体的にはたとえば、推測部201は、給紙部10が経路に送り出したシートの枚数に対する紙粉量の測定値の比を計算し、その比と標準値との間の差に応じて、摩耗速度表の示す摩耗速度の値を補正する。この場合、標準値と摩耗速度表の示す摩耗速度とはそれぞれ、たとえばシートの紙種が普通紙であるときにおける1枚あたりの紙粉量と感光体表面の摩耗速度とに設定される。シートが生み出す紙粉量は実際にはその紙種によって異なり、紙粉量の違いは感光体からシートへのトナーの移動度の違いにも反映されるはずである。その違いに起因する摩耗速度の実際の値と表の示す値との間の差が上記の補正により狭められるので、感光体の摩耗量の推測精度が向上する。
紙種間での摩耗速度への影響の違いに対する補正方法としてはその他に、推測部201は、摩耗速度表を紙種別に記憶しておき、ジョブ要求の入力時にユーザーが設定する紙種に関する情報を主制御部60から取得し、その情報の示す紙種に対応する摩耗速度表を選択してもよい。
(D)プリンター100には、感光体の表面に付着したトナーの濃度を光学的に測定するセンサー(以下、「濃度センサー」と呼ぶ。)を備えている機種がある。濃度センサーは画像安定化処理の中でパッチの反射濃度の測定に利用される。濃度センサーを利用して、主走査方向において実際に現れるトナー濃度のむらを測定する濃度測定部を、プリンター100が更に備えていてもよい。濃度測定部は、一定の階調値に従って感光体表面に形成されたトナー像について、主走査方向におけるトナー濃度の変化幅を測定する。たとえば濃度センサーが、感光体表面のうち、ピックアップローラー12Pとの接触領域(主走査座標170mm−190mm)と、すべてのサイズのシートのみとの接触領域(主走査座標50mm−110mm、150mm−170mm、190mm−210mm、250mm−310mm)とのそれぞれに付着したトナーの反射濃度を測定する。これらの測定値間の差をトナー濃度の変化幅として濃度測定部は算定する。この変化幅の測定値に応じて露光部25は変調条件を修正する。図5の(c)、図8の(a)から理解されるように、シートとの接触領域(主走査座標30mm−330mm)の中では、シートのみとの接触領域とピックアップローラー12Pとの接触領域との間でトナー濃度の差が最も大きい。したがって、変更後の変調条件から期待される濃度差に対する、実際に測定された濃度差のずれから、露光部25は変調条件を更に修正可能である。これにより、一定の階調値に対するトナー濃度を更に均一化することができる。
(E)露光部25は、変調条件の変更処理を行うべき画像データを、トナー濃度のむらが目立つ画像を表すものに制限してもよい。具体的には、画像データの示す階調値の偏差を算定する算定部をプリンター100が更に備え、この偏差が閾値未満である画像データによって光を変調する場合に露光部25が変調条件の変更処理を行ってもよい。一般に、階調の均一性が高い画像ほど濃度むらが目立つ。階調の均一性は階調値の偏差で評価できるので、算定部の算定結果から変調条件の変更の必要性を判断することが可能である。この判断により、変調条件の変更処理に対する露光部25の負担を軽減することができる。
本発明は、電子写真式の画像形成装置に関し、上記のとおり、その露光部に感光体表面への照射光に対する変調条件を、その表面が転写時に直接的または間接的に接触するシート表面の主走査方向における座標に応じて変更させる。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 プリンター
10 給送部
11 給紙カセット
12P ピックアップローラー
12F 給紙ローラー
12R 捌きローラー
21 タイミングローラー
20 作像部
20D 駆動部
22 感光体ドラム
23 転写ローラー
24 帯電ローラー
25 露光部
26 現像部
261 オーガスクリュー
262 現像ローラー
27 クリーニングブレード
28 イレーサー
30 定着部
40 排紙部
201 推測部
203 転写部
204 帯電部
207 除電部

Claims (13)

  1. シートを可動部材で所定の経路に沿って搬送する搬送部と、
    感光体と、
    前記感光体の表面部分に接触して当該表面部分を帯電させる帯電部と、
    前記感光体の帯電した表面部分を画像データによって変調した光で走査して、当該表面部分に静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナーで現像する現像部と、
    前記感光体から前記経路を通過中のシートへトナー像を転写する転写部と、
    を備え、
    前記露光部は、前記感光体の表面のうち光で走査すべき範囲を主走査方向において、前記経路を通過中のシートの主走査方向の縁が位置する主走査方向の座標、または、前記搬送部の可動部材に接触する当該シートの部分が位置する主走査方向の座標を境に複数の領域に分割し、領域ごとに照射すべき光に対する変調条件を変更する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記搬送部の可動部材には、ピックアップローラー、捌きローラー、またはタイミングローラーが含まれ、
    前記露光部が設定する前記複数の領域間の境界が位置する主走査方向の座標には、当該可動部材に接触するシートの領域の主走査方向における端が位置する主走査方向の座標が含まれる
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記露光部は前記変調条件として、画像データの示す各階調値に対応させるべき照射光量、または面積階調における網点の面積もしくは形状を規定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記複数の領域ごとに前記感光体の摩耗量を推測する推測部
    を更に備え、
    前記露光部は前記感光体の各領域における摩耗量に応じて前記変調条件を変更する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の画像形成装置。
  5. 前記推測部は、
    前記複数の領域間の境界が位置する主走査方向の座標と前記感光体の各領域における摩耗速度との間の対応関係を示す表または数式と、
    前記画像形成装置が前記感光体を利用して処理したシートの枚数、前記感光体の使用時間、または、前記感光体が回転体である場合には前記感光体の回転距離とを
    前記感光体の各領域における摩耗量の推測に利用する
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記推測部は前記感光体の各領域における摩耗量を、前記画像形成装置が前記感光体を利用して処理したシートの主走査方向におけるサイズ別に推測することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 前記搬送部は、
    前記経路を搬送中のシートの表面から紙粉を除去する除去部と、
    前記除去部が除去した紙粉の量を測定する紙粉量測定部と、
    を含み、
    前記推測部は前記感光体の各領域における摩耗量の推測値を、前記紙粉量測定部が測定した紙粉量に応じて補正する
    ことを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記推測部は前記感光体の各領域における摩耗量の推測値を、前記画像形成装置が前記感光体を利用して処理したシートの紙種に応じて補正する
    ことを特徴とする請求項4から請求項7までのいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記推測部は、前記搬送部の可動部材の劣化度に応じて前記感光体の各領域における摩耗量の推測値を補正することを特徴とする請求項4から請求項8までのいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記露光部は、主走査方向の座標に対する前記変調条件の変化率の大きさに対して許容上限を設定することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 前記感光体の表面に付着したトナーの濃度を光学的に測定するセンサーと、
    前記センサーを利用して、一定の階調値に対して前記感光体の表面に形成されたトナー像について主走査方向におけるトナー濃度の変化幅を測定する濃度測定部と、
    を更に備え、
    前記露光部は、前記濃度測定部が測定したトナー濃度の変化幅に応じて前記変調条件を修正する
    ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれかに記載の画像形成装置。
  12. 画像データの示す階調値の偏差を算定する算定部
    を更に備え、
    前記露光部は、前記算定部が算定した偏差が閾値未満である画像データによって光を変調する場合に前記変調条件の変更処理を行う
    ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記転写部が直接転写方式であることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれかに記載の画像形成装置。
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