JP2019157969A - 動力伝達装置及び動力伝達装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】第2位置から第1位置への切替弁の切替位置の変更に応じた無段変速機構の変速比の変化を抑制する。【解決手段】動力伝達装置1は、バリエータ2と、第1油路R1と、電動オイルポンプ32と、第2油路R2と、切替弁36と、第3油路R3とを備え、切替弁36は、第1位置と第2位置との2つの位置を切り替える。動力伝達装置は、切替弁36の切替位置を第2位置から第1位置に変更する際に、プライマリ側圧を所定圧まで高める昇圧部として、少なくとも第2ランドが設けられたスプールを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、動力伝達に関する。
特許文献1には、エンジン運転中の第一の切り換え位置と、車両がエンジン停止状態にて運行されるときの第二の切り換え位置との間に切り換えられる切換弁を備える車両用変速駆動装置が開示されている。第一の切り換え位置では、電動モータにより駆動される第一のオイルポンプとベルト式無段変速装置の油圧式変速比制御部とを連結する変速比制御用油圧回路が形成される。第二の切り換え位置では、変速比制御用油圧回路の一部が遮断されて該変速比制御用油圧回路の作動が停止される。
特許文献1が開示する切換弁のような切替弁によれば、第1位置で電動オイルポンプを変速制御用として機能させ、第2位置で電動オイルポンプを元圧供給用として機能させることができる。いずれの場合も、電動オイルポンプは、切替弁を介して無段変速機構のプライマリプーリ油室と連通される。
その一方で、第2位置から第1位置に切替弁の切替位置を変更する際には、これらの位置の中間位置を経て切替弁の切替が完了する。中間位置では、切替弁は切替遷移中で、第1位置及び第2位置とは切替弁における油路の状態が異なってくる。また中間位置では、電動オイルポンプ32の回転方向は、電動オイルポンプを変速用として用いるために反転される。
このためこの際には、これらの要因がプライマリプーリ油室への油の供給に影響することにより、プライマリプーリ油室の油が一時的に不足し得る。結果、プライマリプーリ油室で油圧変動が発生し、無段変速機構の変速比が変化する虞がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、第2位置から第1位置への切替弁の切替位置の変更に応じた無段変速機構の変速比の変化を抑制することを目的とする。
本発明のある態様の動力伝達装置は、駆動源と駆動輪との間で動力伝達を行う無段変速機構と、前記無段変速機構のプライマリプーリ油室とセカンダリプーリ油室とを連通する第1油路と、前記第1油路に設けられた電動オイルポンプと、前記電動オイルポンプと前記プライマリプーリ油室との間の前記第1油路から分岐して油溜に連通する第2油路と、前記第1油路と前記第2油路との分岐点に設けられた切替弁と、前記電動オイルポンプと前記セカンダリプーリ油室との間の前記第1油路から分岐して前記切替弁に至る第3油路と、を備える。前記切替弁は、少なくとも前記第1油路を連通状態とする第1位置と、前記第2油路と前記第1油路の前記セカンダリプーリ油室側とを連通状態にし、かつ前記第3油路と前記第1油路の前記プライマリプーリ油室側とを連通状態とする第2位置と、の2つの位置を切り替える。動力伝達装置は、前記切替弁の切替位置を前記第2位置から前記第1位置に変更する際に、前記電動オイルポンプ及び前記切替弁間の前記第1油路の圧力であるプライマリ側圧を所定圧まで高める昇圧部、を備える。
本発明の別の態様によれば、上記動力伝達装置に対応する動力伝達装置の制御方法が提供される。
これらの態様によれば、切替弁の切替位置を第2位置から第1位置に変更する際に、所定圧まで高めたプライマリ側圧をプライマリプーリ油室に供給できる。このため、第2位置から第1位置への切替弁の切替位置の変更に応じた無段変速機構の変速比の変化を抑制できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、車両の要部を示す概略構成図である。変速機1は、ベルト式無段変速機であり、車両の駆動源を構成するエンジンENGとともに車両に搭載される。変速機1には、エンジンENGからの回転が入力される。エンジンENGの出力回転は、ロックアップクラッチLUを有するトルクコンバータTC等を介して、変速機1に入力される。変速機1は、入力回転を変速比に応じた回転で出力する。変速比は入力回転を出力回転で割って得られる値である。
図1は、車両の要部を示す概略構成図である。変速機1は、ベルト式無段変速機であり、車両の駆動源を構成するエンジンENGとともに車両に搭載される。変速機1には、エンジンENGからの回転が入力される。エンジンENGの出力回転は、ロックアップクラッチLUを有するトルクコンバータTC等を介して、変速機1に入力される。変速機1は、入力回転を変速比に応じた回転で出力する。変速比は入力回転を出力回転で割って得られる値である。
変速機1は、バリエータ2と、油圧回路3とを有する。
バリエータ2は、エンジンENGと図示しない駆動輪とを結ぶ動力伝達経路に設けられ、これらの間で動力伝達を行う。バリエータ2は、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、プライマリプーリ21及びセカンダリプーリ22に巻き掛けられたベルト23と、を有するベルト式無段変速機構である。
バリエータ2は、プライマリプーリ21とセカンダリプーリ22との溝幅をそれぞれ変更することで、ベルト23の巻掛け径を変更して変速を行う。以下では、プライマリをPRIと称し、セカンダリをSECと称す。
PRIプーリ21は、固定プーリ21aと、可動プーリ21bと、PRIプーリ油室21cと、を有する。PRIプーリ21では、PRIプーリ油室21cに油が供給される。PRIプーリ油室21cの油により、可動プーリ21bが移動すると、PRIプーリ21の溝幅が変更される。
SECプーリ22は、固定プーリ22aと、可動プーリ22bと、SECプーリ油室22cと、を有する。SECプーリ22では、SECプーリ油室22cに油が供給される。SECプーリ油室22cの油により、可動プーリ22bが移動すると、SECプーリ22の溝幅が変更される。
ベルト23は、PRIプーリ21の固定プーリ21aと可動プーリ21bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ22の固定プーリ22aと可動プーリ22bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。ベルト23は、SEC圧Psecにより発生するベルト挟持力で保持される。SEC圧Psecは、SECプーリ22のプーリ圧であり、SECプーリ油室22cへの供給油圧である。
油圧回路3は、PRIプーリ油室21c及びSECプーリ油室22cのほか、メカオイルポンプ31と、電動オイルポンプ32と、チェック弁33と、ライン圧調整弁34と、ライン圧ソレノイド35と、切替弁36と、オイルリザーバ37と、パイロット弁38と、クラッチ圧ソレノイド39と、クラッチ40と、T/C油圧システム41と、PRI圧ソレノイド42と、を有する。これらの構成は、油路とともに次のように油圧回路3を構成する。
PRIプーリ油室21cとSECプーリ油室22cとは、第1油路R1によって連通される。第1油路R1には、メカオイルポンプ31の吐出側油路Routを介してメカオイルポンプ31が接続される。メカオイルポンプ31は、エンジンENGの動力で駆動する機械式オイルポンプであり、二点破線で結合状態を模式的に示すように、トルクコンバータTCのインペラと動力伝達部材を介して結合される。
吐出側油路Routには、チェック弁33が設けられる。チェック弁33は、メカオイルポンプ31方向への油の流れを阻止し、その逆方向への油の流れを許容する。吐出側油路Routのうちチェック弁33よりも下流側の部分には、ライン圧調整弁34が接続される。
ライン圧調整弁34は、メカオイルポンプ31から供給される油をライン圧PLに調圧する。ライン圧調整弁34は、ライン圧ソレノイド35が生成するソレノイド圧に応じて動作する。本実施形態では、ライン圧PLは、SEC圧PsecとしてSECプーリ油室22cに供給される。このため、ライン圧調整弁34は、SEC圧Psecを当該SEC圧Psecの指示圧であるSEC指示圧Psec_iに応じて制御するSEC圧制御弁を構成する。ライン圧PLは、本実施形態における動力伝達装置で作動油として用いられる油の元圧を構成する。
第1油路R1には、電動オイルポンプ32と切替弁36とが設けられる。電動オイルポンプ32は、第1油路R1のうち吐出側油路Routが接続する地点である第1地点C1よりもPRIプーリ油室21c側の部分に設けられる。電動オイルポンプ32は、正転及び逆転方向に回転可能とされる。正転方向は具体的には、PRIプーリ油室21c側に油を供給する方向とされ、逆転方向は、SECプーリ油室22c側に油を供給する方向とされる。
切替弁36は、第1油路R1のうち電動オイルポンプ32とPRIプーリ油室21cとの間の部分に設けられる。切替弁36は、切替位置として第1位置P1及び第2位置P2を含み、第1位置P1及び第2位置P2を切り替え可能に構成される。切替弁36の切替位置については後述する。
電動オイルポンプ32は、第2油路R2によってオイルリザーバ37と連通する。第2油路R2は、オイルリザーバ37内のストレーナ37aに接続される。第2油路R2は、オイルリザーバ37と切替弁36とを連通する油路と、第1油路R1のうち切替弁36と電動オイルポンプ32との間の部分とを含む。前者の油路は、切替弁36に接続する他の油路を介さない油路となっている。切替弁36はこれらを接続するように設けられる結果、さらに第2油路R2に設けられたかたちとなっている。このような切替弁36は、第1油路R1と第2油路R2との分岐点に設けられた切替弁として把握することができる。
第2油路R2は、電動オイルポンプ32のPRIプーリ油室21c側の油出入口32aに接続される。第1油路R1のうち切替弁36と電動オイルポンプ32との間の部分は、第2油路R2の一部を兼ねる。第2油路R2のうち切替弁36よりもオイルリザーバ37側の部分には、吸入側油路Rinを介してメカオイルポンプ31も接続される。
このような第2油路R2は、電動オイルポンプ32とPRIプーリ油室21cとの間の第1油路R1から分岐してオイルリザーバ37に連通する油路として把握することができる。
オイルリザーバ37は、メカオイルポンプ31、電動オイルポンプ32が供給する油を貯留する油溜であり、オイルリザーバ37からはストレーナ37aを介して油が吸引される。オイルリザーバ37は、複数の油溜で構成されてもよい。
電動オイルポンプ32は、クラッチ油路RCLによってクラッチ40、具体的にはクラッチ40のクラッチ油室40aと連通する。クラッチ油路RCLは、第1油路R1のうち電動オイルポンプ32と第2地点C2との間の部分を含む。第2地点C2は、第1油路R1のうち電動オイルポンプ32と第1地点C1との間の地点である。クラッチ油路RCLはさらに、第2地点C2とクラッチ40とを連通する油路を含む。
クラッチ油路RCLは、電動オイルポンプ32のSECプーリ油室22c側の油出入口32bに接続される。第1油路R1のうち電動オイルポンプ32と第2地点C2との間の部分は、クラッチ油路RCLの一部を兼ねる。クラッチ油路RCLは、第2油路R2を介さない油路となっている。
クラッチ40は、クラッチ油室40aに油を供給することで締結され、クラッチ油室40aから油をドレンすることで解放される。クラッチ40は、バリエータ2とともにエンジンENGと駆動輪との間で動力伝達を行う。クラッチ40は、エンジンENGと駆動輪とを結ぶ動力伝達経路の断接を行う。クラッチ40は、バリエータ2以外の油圧機器を構成する。
クラッチ油路RCLのうち第1油路R1から分岐した部分には、パイロット弁38が設けられる。また、クラッチ油路RCLのうちパイロット弁38とクラッチ40との間の部分には、クラッチ圧ソレノイド39が設けられる。パイロット弁38は、第1油路R1から供給される油を減圧する。クラッチ圧ソレノイド39は、クラッチ40への供給油圧、つまりクラッチ油室40aの油圧PCLを調整する。
クラッチ油路RCLからはさらに、PRI油路RPRIが分岐してPRIプーリ油室21cに連通する。PRI油路RPRIは、クラッチ油路RCLと切替弁36とを連通する油路と、第1油路R1のうち切替弁36とPRIプーリ油室21cとの間の部分とを含む。前者の油路は、切替弁36に接続する他の油路を介さない油路となっている。切替弁36はこれらを接続するように設けられる結果、さらにPRI油路RPRIに設けられたかたちとなっている。
PRI油路RPRIは、クラッチ油路RCLのうちパイロット弁38とクラッチ圧ソレノイド39との間の部分から分岐する。また、PRI油路RPRIにはPRI圧ソレノイド42が設けられる。PRI圧ソレノイド42は、PRIプーリ油室21cに供給される油を調圧する調圧弁であり、PRI油路RPRIのうち切替弁36とクラッチ油路RCLとの間の部分に設けられる。第1油路R1のうちPRIプーリ油室21cと切替弁36との間の部分は、PRI油路RPRIの一部を兼ねる。
このようなPRI油路RPRIは、クラッチ油路RCLの一部(具体的には、第2地点C2及びPRI油路RPRIが分岐する地点間のクラッチ油路RCL)とともに、電動オイルポンプ32とSECプーリ油室22cとの間の第1油路R1から分岐して切替弁36に至る第3油路R3として把握することができる。
このほか、油圧回路3では、クラッチ油路RCLのうちパイロット弁38とクラッチ圧ソレノイド39との間の部分から、ライン圧ソレノイド35とT/C油圧システム41とに分岐して接続する油路それぞれが設けられる。
ライン圧ソレノイド35は、ライン圧PLの指令値に応じたソレノイド圧を生成し、ライン圧調整弁34に供給する。T/C油圧システム41は、ロックアップクラッチLUを含むトルクコンバータTCの油圧システムであり、T/C油圧システム41には、ライン圧調整弁34からドレンされた油も供給される。
このように構成された油圧回路3では、メカオイルポンプ31がSECプーリ油室22cにSEC圧Psecを供給し、電動オイルポンプ32がPRIプーリ油室21cの油の出入りを制御する。メカオイルポンプ31は、ベルト23の保持に用いられ、電動オイルポンプ32は、変速に用いられる。
つまり、変速原理としては、電動オイルポンプ32によりPRIプーリ油室21c及びSECプーリ油室22cの一方から他方に油を移動させることで、変速が行われる。
車両には、コントローラ10がさらに設けられる。コントローラ10は、変速機コントローラ11とエンジンコントローラ12とを有して構成される。
変速機コントローラ11には、バリエータ2の入力側の回転速度を検出するための回転センサ51、バリエータ2の出力側の回転速度を検出するための回転センサ52、PRI圧Ppriを検出するための圧力センサ53、SEC圧Psecを検出するための圧力センサ54からの信号が入力される。回転センサ51は具体的には、PRIプーリ21の回転速度Npriを検出する。また、回転センサ52は具体的には、SECプーリ22の回転速度Nsecを検出する。PRI圧Ppriは、PRIプーリ21のプーリ圧であり、PRIプーリ油室21cへの供給油圧である。変速機コントローラ11は、回転センサ52からの入力に基づき車速VSPを検出できる。
変速機コントローラ11にはさらに、アクセル開度センサ55、ブレーキセンサ56、選択レンジ検出スイッチ57、エンジン回転センサ58、油温センサ59、回転センサ60からの信号が入力される。
アクセル開度センサ55は、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APOを検出する。ブレーキセンサ56は、ブレーキペダル踏力BRKを検出する。選択レンジ検出スイッチ57は、セレクターであるシフトレバーでセレクト操作されたレンジRNGを検出する。エンジン回転センサ58は、エンジンENGの回転速度NEを検出する。油温センサ59は、変速機1の油温TOILを検出する。油温TOILは、本実施形態における動力伝達装置で作動油として用いられる油の温度である。回転センサ60は電動オイルポンプ32の回転速度Nepを検出する。
変速機コントローラ11は、エンジンコントローラ12と相互通信可能に接続される。変速機コントローラ11には、エンジンコントローラ12からエンジントルク情報Teが入力される。アクセル開度センサ55やエンジン回転センサ58からの信号は例えば、エンジンコントローラ12を介して変速機コントローラ11に入力されてもよい。
変速機コントローラ11は、入力される信号に基づき変速制御信号を含む制御信号を生成し、生成した制御信号を油圧回路3に出力する。油圧回路3では、変速機コントローラ11からの制御信号に基づき、電動オイルポンプ32、ライン圧ソレノイド35、切替弁36、クラッチ圧ソレノイド39、PRI圧ソレノイド42等が制御される。これにより例えば、バリエータ2の変速比が変速制御信号に応じた変速比すなわち目標変速比に制御される。
本実施形態では、変速機コントローラ11及びエンジンコントローラ12を有して構成されるコントローラ10が、変速機1とともに動力伝達装置を構成する。動力伝達装置は、切替弁36の切替位置を第1位置P1にして電動オイルポンプ32を変速用として用いる第1モードと、切替弁36の切替位置を第2位置P2にして電動オイルポンプ32を元圧用として用いる第2モードとを有する。第1モードは変速制御モードを構成し、第2モードは元圧供給モードを構成する。
図2A、図2Bは、切替弁36の切替位置の説明図である。図2Aは、切替位置つまりバルブポジションが第1位置P1の場合を示し、図2Bは、切替位置が第2位置P2の場合を示す。図2A、図2Bは換言すれば、第1モード、第2モードの説明図である。
第1位置P1は、第1油路R1を連通状態とし、第2油路R2を遮断状態とする切替位置である。第1位置P1ではさらに、PRI油路RPRIが遮断状態とされる。結果、第1位置P1の場合には、メカオイルポンプ31がオイルリザーバ37の油をSECプーリ油室22c、クラッチ40に供給し、電動オイルポンプ32がPRIプーリ油室21cの油の出入りを制御する。
第2位置P2は、第1油路R1を遮断状態とし、第2油路R2を連通状態とする切替位置である。第2位置P2ではさらに、PRI油路RPRIが連通状態とされる。結果、第2位置P2の場合には、電動オイルポンプ32は、クラッチ40及びPRIプーリ油室21cと連通され、オイルリザーバ37の油をクラッチ40及びPRIプーリ油室21cに供給する。
第2位置P2の場合にはさらに、PRI圧ソレノイド42でクラッチ油路RCLの油を調圧してPRIプーリ油室21cに供給することが可能になる。このため、切替弁36によって第1油路R1が遮断されていても、バリエータ2の変速が可能になる。
第1位置P1及び第2位置P2についてさらに説明すると、第1位置P1では、第1PRI回路CT1が形成される。第1PRI回路CT1は、PRIプーリ油室21cに油を給排する回路として、第1位置P1で形成される第1給排回路である。第1PRI回路CT1は具体的には、電動オイルポンプ32と、切替弁36と、電動オイルポンプ32及びPRIプーリ油室21c間に設けられた各油路とを有して構成される。
第1PRI回路CT1の油圧は、電動オイルポンプ32によって制御されるPRI側圧Pc1とされる。PRI側圧Pc1は、電動オイルポンプ32のPRIプーリ油室21c側、つまり油出入口32a側の油圧である。PRI側圧Pc1は具体的には、第1PRI回路CT1の形成時及び遮断時を通じ、第1PRI回路CT1のうち電動オイルポンプ32及び切替弁36間の部分の油圧によって示される。
第2位置P2では、第2PRI回路CT2が形成される。第2PRI回路CT2は、PRIプーリ油室21cに油を給排する回路として、第2位置P2で形成される第2給排回路である。第2PRI回路CT2は具体的には、電動オイルポンプ32と、パイロット弁38と、PRI圧ソレノイド42と、切替弁36と、電動オイルポンプ32及びPRIプーリ油室21c間に設けられた各油路とを有して構成される。
第2PRI回路CT2の油圧は、PRI圧ソレノイド42によって制御されるSOL圧Pc2とされる。SOL圧Pc2は、PRI圧ソレノイド42のPRIプーリ油室21c側、つまりPRI圧ソレノイド42の下流側の油圧である。SOL圧Pc2は具体的には、第2PRI回路CT2の形成時及び遮断時を通じ、第2PRI回路CT2のうちPRI圧ソレノイド42及び切替弁36間の部分の油圧によって示される。
このような切替弁36は、少なくとも第1油路R1を連通状態とする第1位置P1と、第2油路R2と第1油路R1のSECプーリ油室22c側とを連通状態にし、かつ第3油路R3と第1油路R1のPRIプーリ油室21c側とを連通状態とする第2位置P2と、の2つの位置を切り替える切替弁として把握することができる。
ところで、電動オイルポンプ32は、第1位置P1及び第2位置P2でともに、切替弁36を介してバリエータ2のPRIプーリ油室21cと連通される。その一方で、第2位置P2から第1位置P1に切替弁36の切替位置を変更する際には、これらの位置の中間位置を経て切替弁36の切替が完了する。
中間位置では、切替弁36は切替遷移中で、第1位置P1及び第2位置P2とは切替弁36における油路の状態が異なってくる。また中間位置では、電動オイルポンプ32の回転方向は、電動オイルポンプ32を変速用として用いるために反転される。
このためこの際には、これらの要因がPRIプーリ油室21cへの油の供給に影響することにより、PRIプーリ油室21cの油が一時的に不足し得る。結果、PRIプーリ油室21cで油圧変動が発生し、バリエータ2の変速比が変化することが懸念される。
このような事情に鑑み、本実施形態では、第2位置P2から第1位置P1への切替弁36の切替の際(以下、単に切替弁36の切替の際とも称す)に、以下で説明するように、PRI側圧Pc1が高められる。以下では、まずコントローラ10が行う制御について説明する。
図3は、本実施形態でコントローラ10が行う制御の一例をフローチャートで示す図である。コントローラ10は、本フローチャートの処理を実行するように構成されることで、制御部を有した構成と構成される。後述する第2実施形態、第3実施形態についても同様である。以下では、図3に示す制御を行うように構成されたコントローラ10をコントローラ10Aと称す。
ステップS1で、コントローラ10Aは、第2モードから第1モードへの移行要求があるか否か、したがって第2位置P2から第1位置P1への切替弁36の切替が行われるか否かを判定する。第2モードは例えば、駆動源自動停止制御の一例であるアイドルストップ時に適用される。
アイドルストップ条件は、車速VSPがゼロであること、ブレーキペダルが踏み込まれていること、アクセルペダルが踏み込まれていないこと、を含む条件とされる。アイドルストップ条件は、アイドルストップ条件に含まれる条件のすべてが成立した場合に成立し、アイドルストップ条件に含まれる条件のうちいずれかの条件が不成立の場合に不成立となる。アイドルストップ条件が成立するとエンジンENGは停止され、アイドルストップ条件が不成立になるとエンジンENGは始動される。
このため、ステップS1の判定は例えば、駆動源自動停止制御の実行条件の一例であるアイドルストップ条件が不成立になったか否かを判定することにより行うことができる。ステップS1で否定判定であれば、処理はステップS1に戻る。ステップS1で肯定判定であれば、処理はステップS2に進む。ステップS1で肯定判定されることで、ステップS2以降の処理が、切替弁36の切替の際に行われることになる。
ステップS2で、コントローラ10Aは、回転速度Nepを指示する。ステップS2では、第2モードから第1モードへのモード切替に応じて、回転速度Nepが正転側、つまりPRIプーリ油室21cに油を供給する側の回転速度に指示される。これにより、電動オイルポンプ32の回転方向の反転が開始される。
ステップS3Aで、コントローラ10Aは、切替弁36の切替を指示する。ステップS3Aでは、切替弁36の切替制御により、第2モードから第1モードへの移行要求に応じて、第2位置P2から第1位置P1への切替弁36の切替が指示される。ステップS3Aの後には、処理は一旦終了する。
本実施形態では、このようにして切替弁36の切替が行われる一方で、次に説明するように構成された切替弁36により、PRI側圧Pc1が高められる。
図4A、図4Bは、切替弁36の要部の説明図であり、図4Cは、比較例の説明図である。図5Aは、図3に示すフローチャートに対応するタイミングチャートの一例を示す図であり、図5Bは、比較例のタイミングチャートの一例を示す図である。これらの図において、ダッシュ付きの符号で示す構成要素は、実施形態の構成要素に対応する要素であって、実施形態の構成要素と設定等が異なる比較例の要素を示す。図5Bに示す変更速度Va´及びラップ期間RP´については、第2実施形態で後述する。
図4Aに示すように、切替弁36は、ハウンジング361とスプール362とを有する。ハウンジング361はスプール362を収容する。ハウンジング361は、第1ポート361a、第2ポート361b、第3ポート361c及び第4ポート361dを有する。
第1ポート361aには、電動オイルポンプ32及び切替弁36間の第1油路R1が接続される。電動オイルポンプ32及び切替弁36間の第1油路R1には具体的には、絞りTが分岐接続されている。絞りTは、電動オイルポンプ32及び切替弁36間の第1油路R1とオイルリザーバ37とを連通する。絞りTを設けている理由については後述する。第2ポート361bには、第3油路R3が接続される。第3ポート361cには、オイルリザーバ37及び切替弁36間の第2油路R2が接続される。第4ポート361dには、PRIプーリ油室21c及び切替弁36間の第1油路R1が接続される。
スプール362は、切替弁36の弁体であり、上述した各ポートの開閉を行う。図4Aでは、スプール362が、中間位置において第2ポート361b及び第4ポート361dを開放してこれらを連通する一方、第1ポート361a及び第3ポート361cを遮断した状態を示す。図4Cについても同様である。
スプール362は、第1ランド362a、第2ランド362b及び第3ランド362cを有する。
まず、第1ランド362a及び第3ランド362cについて説明すると、第1ランド362aは、第2ポート361bを開閉する。第1ランド362aは、第2ランド362bとの間に、第2ポート361bと第4ポート361dとを連通するための油路を形成する。当該油路はさらに、第1ポート361aと第4ポート361dとを連通するための油路となっている。第3ランド362cは、第2ランド362bとの間に第1ポート361aと第3ポート361cとを連通するための油路を形成する。
第2ランド362bは、第1ポート361aを開閉する。図4Aでは、第1ポート361aを遮断した状態で第2ランド362bが示されている。この状態で、電動オイルポンプ32の回転方向は正転側となっている。
このため、PRI側圧Pc1は、電動オイルポンプ32及び切替弁36間の第1油路R1で高められる。PRI側圧Pc1は、その後スプール362が図の右方向、つまり第1ポート361aと第4ポート361dとを連通する側に移動してこれらのポートを連通すると、PRIプーリ油室21cに供給される。
第1ポート361aを遮断する第2ランド362bは、スプール362の一部として、切替弁36の切替制御に応じた移動速度で移動しながら、第1ポート361aを遮断する。このため、切替弁36の弁体移動方向に沿った第2ランド362bの幅W、つまり第1ポート361aを遮断する幅Wの大きさにより、高められるPRI側圧Pc1の大きさは異なってくる。このようなPRI側圧Pc1を含む各種パラメータの変化は、次の通りである。
図5Aに示すように、タイミングT1では、第2モードが設定されている。タイミングT1は、第1モードへの移行要求が発生するタイミングであり、この例ではアイドルストップ条件が不成立となって、移行要求が発生する。タイミングT1では、未だ第2モードが設定されているので、切替弁36の切替位置は第2位置P2となっている。
タイミングT2は、切替弁36の切替が開始されるタイミングであり、タイミングT2では、第1モードへの移行要求に応じて、切替弁36の切替が開始される。タイミングT2では、電動オイルポンプ32の回転方向の反転も開始される。切替弁36の切替位置につき、二点破線は切替位置の指示値を示す。
タイミングT3は、切替弁36の切替位置が、第1ポート361aと第2ランド362bとのラップ領域RRに到達するタイミングであり、切替弁36の切替位置がラップ領域RRに到達すると、第1ポート361aが遮断される。結果、PRI側圧Pc1が上昇し始める。タイミングT3では、第1ポート361aが遮断されることにより、切替弁36における油路の状態が第2位置P2とは異なってくる。結果、本実施形態の場合、第2モードから第1モードへのモード切替は第1遷移中となる。
タイミングT4は、切替弁36の切替位置がラップ領域RRから抜け始めるタイミングであり、切替弁36の切替位置がラップ領域RRから抜け始めると、第1ポート361aが開放され始める。本実施形態の場合、タイミングT4で第1ポート361aと第4ポート361dとが第1位置P1と同様に連通状態となることにより、第1遷移が完了し、第2遷移に移行する。
タイミングT5は、切替弁36の切替が完了するタイミングである。本実施形態の場合、タイミングT5で切替弁36における油路の状態が第1位置P1と同じになることにより、第2遷移が完了し、第1のモードに移行する。
本実施形態の場合、上述した幅Wは、切替弁36の切替制御に応じた移動速度で、PRI側圧Pc1が所定圧Pc11まで高まる幅に設定されている。所定圧Pc11は、PRI圧Ppriの指示圧であるPRI指示圧Ppri_i以下で、バリエータ2の変速比が最大変速比である最low変速比に到達しない値とされる。なお、バリエータ2の変速比は、メカストッパにより最low変速比より大きくならないように規制される。
PRI指示圧Ppri_iは、切替弁36の切替の際には変更されず、第2モードで設定されたままの大きさで一定とされる。この例では、PRI指示圧Ppri_iに制御されているSOL圧Pc2により、PRI指示圧Ppri_iを把握することができる。所定圧Pc11は、誤差やばらつきや油圧変動の収束性等を考慮した上で、PRI指示圧Ppri_iに極力近い値に設定されることが好ましい。
バリエータ2の変速比は例えば、第2位置P2から第1位置P1への切替弁36の切替の際、車両減速中に行われる変速比のlow戻しが不十分な場合に、最low変速比よりも小さな変速比に設定された状態となる。このため、所定圧Pc11は、このような事情に照らして、予め設定することができる。
このように設定された幅Wにより、本実施形態の場合は、ラップ領域RRが十分確保される。これにより、PRI側圧Pc1は、タイミングT4で所定圧Pc11になる。結果、タイミングT4からのPRI圧Ppriの低下方向の変動が抑制され、これによりバリエータ2の変速比の変動も小さくなる。切替弁36の切替は、このようにPRI側圧Pc1を所定圧Pc11まで高めた後に、タイミングT5で完了される。
比較例の場合、図4Cに示すように、第2ランド362b´は幅W´を有する。幅W´は、切替弁36の切替制御に応じた移動速度で、PRI側圧Pc1が所定圧Pc11よりも低い圧力までしか高まらない幅に設定されており、幅Wよりも小さい。
このため、図5Bに示すように、比較例の場合は、ラップ領域RR´がラップ領域RRよりも小さい。結果、比較例の場合は、タイミングT4でPRI側圧Pc1が幅W´に応じた大きさになる一方、その大きさは所定圧Pc11よりも低くなる。
このため比較例の場合は、PRIプーリ油室21cへの油の供給が不十分となる。結果、タイミングT4でPRI圧Ppriが大きく低下し始め、これに応じてバリエータ2の変速比が最low変速比まで変動する。
図4Bに示すように、本実施形態の場合、第2ランド362bは、第1ランド362aとともに、第1ポート361aと第2ポート361bとがともに開放されるように設けられる。第1ランド362a及び第2ランド362bは、第1ポート361aと第2ポート361bとがともに全開になるように設けられる。第1ランド362a及び第2ランド362bは、第1ポート361aと第2ポート361bとがともに中間開度で開放されるように設けられてもよい。
このように第1ランド362a及び第2ランド362bが設けられる結果、本実施形態の場合は、図5Aに示す第2遷移中のアンダーラップ領域URで、第1ポート361a及び第2ポート361bそれぞれからPRIプーリ油室21cに油が供給される。
比較例の場合、図4Cに示すように、第2ランド362b´は、第1ランド362a´とともに、第1ポート361aと第2ポート361bとがともに遮断されるように設けられる。このため、切替弁36の切替の際に、第1ポート361a及び第2ポート361bのうち一方からしかPRIプーリ油室21cに油が供給されない。また、第1ランド362a´は、切替弁36の切替が開始されるタイミングT2で、第2ポート361bを遮断し始めるように設けられている。
比較例の場合、切替弁36における油路の状態に照らし、タイミングT3、タイミングT4間が遷移中となるが、遷移終了タイミングとなるタイミングT4で、PRI側圧Pc1がまだ十分に昇圧していない。このため、タイミングT4以降PRI圧Ppriが大きく低下して、それに伴い変速比が大きく変動する。
本実施形態の場合、図4A、図4B及び図5Aに示すように、切替位置がラップ領域RRから抜け始めるタイミングT4までは、第2ポート361bを介してPRIプーリ油室21cに油が供給され、タイミングT4時点でPRI側圧Pc1が十分昇圧している。このため、タイミングT4以降PRI圧Ppriの変化が抑制され、その結果、PRI圧Ppriの変化に伴い発生する変速比の変化も抑制できる。
本実施形態の場合、タイミングT4で第1ポート361aが開放され始めると、PRIプーリ油室21cに連通する油路容積が拡大し、バリエータ2の変速比が変動し始める。但し、PRIプーリ油室21cには、第2ポート361bを介した油の供給に加え、所定圧Pc11まで高められたPRI側圧Pc1で、第1ポート361aを介した油の供給も行われる。このため、PRI圧Ppriの低下方向への変動及びバリエータ2の変速比の変動が抑制される。
本実施形態では、第1ランド362a及び第2ランド362bが、少なくとも第1ポート361aを開閉するポート開閉部を構成する。また、第1ランド362a及び第2ランド362bのうち少なくとも第2ランド362bが設けられたスプール362により、切替弁36の弁体構造及び昇圧部が実現される。
図5Aに示すように絞りTを設けている理由は、次の通りである。ここで、第1のモードにおいては、PRI圧Ppriの指示圧及びSEC圧Psecの指示圧が同じ場合、PRI圧Ppri及びSEC圧Psecが同じ指示圧になった状態で、電動オイルポンプ32を停止させることが考えられる。
ところが、停止状態の電動オイルポンプ32では、PRIプーリ油室21cやSECプーリ油室22cでシール等の隙間から少量の油がリークする結果、PRI圧PpriやSEC圧Psecが変化し、変速比が変化し得る。その一方で、電動オイルポンプ32では、その制御分解能に照らし、このようなPRI圧PpriやSEC圧Psecの変化に対応するのは困難となる。
このため、絞りTは、電動オイルポンプ32の制御分解能に照らし、油を逃がすことで、電動オイルポンプ32が制御可能な範囲内の油の流量を生じさせ、電動オイルポンプ32を制御可能な範囲で作動させるために設けられている。
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
本実施形態にかかる動力伝達装置は、バリエータ2と、第1油路R1と、電動オイルポンプ32と、第2油路R2と、切替弁36と、第3油路R3とを備え、切替弁36は、第1位置P1と第2位置P2との2つの位置を切り替える。動力伝達装置は、切替弁36の切替位置を第2位置P2から第1位置P1に変更する際に、PRI側圧Pc1を所定圧Pc11まで高める昇圧部として、少なくとも第2ランド362bが設けられたスプール362を備える。
このような構成によれば、切替弁36の切替位置を第2位置P2から第1位置P1に変更する際に、所定圧Pc11まで高めたPRI側圧Pc1をPRIプーリ油室21cに供給できる。このため、第2位置P2から第1位置P1への切替弁36の切替位置の変更に応じたバリエータ2の変速比の変化を抑制できる(請求項1、7に対応する効果)。
本実施形態では、切替弁36は第1ポート361aを有し、少なくとも第2ランド362bが設けられたスプール362により、切替弁36の弁体構造が実現される。スプール362は、少なくとも第1ポート361aを開閉するポート開閉部としての第1ランド362a及び第2ランド362bを有する。ポート開閉部としての第1ランド362a及び第2ランド362bは、切替弁36の切替制御に応じた移動速度で、PRI側圧Pc1が所定圧Pc11まで高まるように、第1ポート361aを遮断する幅Wを有する。この場合において、ポート開閉部は第2ランド362bにより構成されると把握されてもよい。
このような構成によれば、ラップ領域RRを十分確保することにより、PRI側圧Pc1を十分高めることができる。このため、バリエータ2の変速比の変化を十分抑制できる(請求項2に対応する効果)。
本実施形態では、切替弁36は、第1ポート361aと第2ポート361bとを有し、少なくとも第1ランド362aが設けられたスプール362により、切替弁36の弁体構造が実現される。スプール362は、ポート開閉部としての第1ランド362a及び第2ランド362bを有する。ポート開閉部としての第1ランド362a及び第2ランド362bは、第1ポート361aと第2ポート361bとがともに開放されるように設けられる。
このような構成によれば、PRIプーリ油室21cに油が供給されない状態を発生させないので、このような状態に起因してPRI圧Ppriが低下し、バリエータ2の変速比が変動することを防止できる(請求項3に対応する効果)。
本実施形態では、所定圧Pc11は、PRI指示圧Ppri_i以下で、バリエータ2の変速比が最low変速比に到達しない値に設定される。
このような構成によれば、バリエータ2の変速比が、最大限変動し得る最low変速比まで大きく変動することを防止できる(請求項6に対応する効果)。
(第2実施形態)
本実施形態は、切替弁36´が切替弁36の代わりに用いられる点と、コントローラ10が次に説明する制御を行うように構成される点で、第1実施形態と異なる。つまり、本実施形態は、切替弁としていわば従来通りの前述した切替弁36´を用いる一方、コントローラ10の制御を次に説明するように変更したものとなっている。
本実施形態は、切替弁36´が切替弁36の代わりに用いられる点と、コントローラ10が次に説明する制御を行うように構成される点で、第1実施形態と異なる。つまり、本実施形態は、切替弁としていわば従来通りの前述した切替弁36´を用いる一方、コントローラ10の制御を次に説明するように変更したものとなっている。
図6は、第2実施形態でコントローラ10が行う制御の一例をフローチャートで示す図である。以下では、図6に示す制御を行うように構成されたコントローラ10をコントローラ10Bと称す。以下では、図3に示すフローチャートと異なる部分について主に説明する。
ステップS3Bにおいて、コントローラ10Bは、PRI側圧Pc1が所定圧Pc11まで高まるように抑制された変更速度Vaで、第2位置P2から第1位置P1への切替位置の変更を行うよう、切替弁36´の切替を指示する。つまり、本実施形態ではこのような変更速度Vaの設定が、切替弁36´の切替指示に含まれる。変更速度Vaは、正の符号を有するものとする。
図7は、図6に示すフローチャートに対応するタイミングチャートの一例を示す図である。比較例の場合のタイミングチャートは例えば、図5Bに示すタイミングチャートと同じなので、図5Bを用いて説明する。
図5Bに示すように、比較例の場合、タイミングT2、タイミングT5間における切替弁36´の切替位置の傾きの大きさで示されるように、切替弁36の切替は、変更速度Va´で行われる。変更速度Va´は、PRI側圧Pc1が所定圧Pc11よりも低い圧力までしか高まらない速度となっている。
このため、PRI側圧Pc1は、タイミングT4で変更速度Va´に応じた大きさになる一方、その大きさは所定圧Pc11よりも低くなる。このことを具体的に説明すると、次の通りである。
すなわち、PRI側圧Pc1は、タイミングT3、タイミングT4間のラップ期間RP´で、第2ランド362b´が第1ポート361aを遮断することにより高められる。但し、比較例の場合は、PRI側圧Pc1を所定圧Pc11まで高めるには変更速度Va´が高く、ラップ期間RP´が十分確保されない。結果、PRI圧Ppriの低下を招き、バリエータ2の変速比が最low変速比まで変動する。
本実施形態の場合、図7に示すように、タイミングT2からタイミングT5までの間、第2位置P2から第1位置P1への切替位置の変更が、変更速度Va´よりも低い変更速度Vaで行われる。切替位置の指示値は、2点破線で示すように、切替位置が第2位置P2から第1位置P1に向かって徐々に変更されるように設定される。
結果、本実施形態の場合は、ラップ期間RPが十分確保され、PRI側圧Pc1は、タイミングT4で所定圧Pc11になる。このため、バリエータ2の変速比の変動が抑制される。この例では、変更速度Va´よりも低い変更速度Vaで切替弁36の切替が行われる結果、バリエータ2の変速比は、タイミングT4から変動し始める。変更速度Vaは、第1位置P1から第2位置P2への切替位置の変更を行う場合の変更速度よりも、低く設定することができる。
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
本実施形態では、切替弁36´を制御する制御部を有した構成とされるコントローラ10Bにより、昇圧部が実現される。コントローラ10Bは、PRI側圧Pc1が所定圧Pc11まで高まるように抑制された変更速度Vaで、第2位置P2から第1位置P1への切替位置の変更を行う。
このような構成によれば、ラップ期間RPを十分確保することにより、PRI側圧Pc1を十分高めることができる。このため、バリエータ2の変速比の変化を十分抑制できる(請求項4に対応する効果)。
(第3実施形態)
本実施形態は、切替弁36´が切替弁36の代わりに用いられる点と、コントローラ10が次に説明する制御を行うように構成される点で、第1実施形態と異なる。
本実施形態は、切替弁36´が切替弁36の代わりに用いられる点と、コントローラ10が次に説明する制御を行うように構成される点で、第1実施形態と異なる。
図8は、第3実施形態でコントローラ10が行う制御の一例をフローチャートで示す図である。以下では、図8に示す制御を行うように構成されたコントローラ10をコントローラ10Cと称す。以下では、図3に示すフローチャートと異なる部分について主に説明する。
ステップS3Cにおいて、コントローラ10Cは、複数のステップによりPRI側圧Pc1が所定圧Pc11まで高まるように、第2位置P2から第1位置P1への切替位置の変更を段階的に行うよう、切替弁36´の切替を指示する。つまり、本実施形態では切替位置を段階的に変更するステップ指示が、切替弁36´の切替指示に含まれる。
図9は、図7に示すフローチャートに対応するタイミングチャートの一例を示す図である。比較例の場合のタイミングチャートは例えば、図5Bに示すタイミングチャートと同じなので、図5Bを用いて説明する。
図5Bに示すように、比較例の場合、ラップ期間RP´において、ラップ期間RP´前後と同じ変更速度Va´で切替位置の変更が行われる。つまり、比較例の場合は、第2位置P2から第1位置P1への切替位置の変更は段階的に行われず、段階的な切替位置の変更により、ラップ期間RP´が十分確保されることはない。結果、PRI圧Ppriの低下を招き、バリエータ2の変速比が最low変速比まで変動する。
図9に示すように、本実施形態の場合、二点破線で示す切替位置の指示値からわかるように、まずタイミングT2で、第1ステップとして、ラップ領域RRに含まれる中間位置に切替位置が指示される。またその後、タイミングT3、タイミングT4間のタイミングT31で、第2ステップとして、切替位置が第1位置P1に指示される。
つまり、本実施形態では、このように切替位置を段階的に変更するように指示することにより、第1ステップ及び第2ステップの2つのステップによる切替位置の段階的な変更が行われる。また、ラップ期間RPは、切替位置のラップ領域RR´での停止期間を決定する第1ステップの指示期間により十分確保される。結果、PRI側圧Pc1は、タイミングT4で所定圧Pc11になり、バリエータ2の変速比の変動が抑制される。
切替弁36の切替位置は、3以上の複数のステップにより段階的に変更されてもよい。複数のステップは、第1ステップの指示、つまりラップ領域RR´に含まれる中間位置に切替位置を指示することを含むことができる。
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
本実施形態では、切替弁36´を制御する制御部を有した構成とされるコントローラ10Cにより、昇圧部が実現される。コントローラ10Cは、複数のステップによりPRI側圧Pc1が所定圧Pc11まで高まるように、第2位置P2から第1位置P1への切替位置の変更を段階的に行うよう、切替弁36´の切替を指示する。
このような構成によれば、ラップ期間RPを十分確保することにより、PRI側圧Pc1を十分高めることができる。このため、バリエータ2の変速比の変化を十分抑制できる(請求項5に対応する効果)。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上述した第1実施形態では、第2ランド362bが幅Wを有するとともに、第1ランド362a及び第2ランド362bが第1ポート361aと第2ポート361bとがともに開放されるように設けられる場合について説明した。しかしながら、これらは個別に実施されてもよい。
上述した実施形態では、駆動源自動停止制御としてアイドルストップが行われる場合について説明した。しかしながら、駆動源自動停止制御は例えば、コーストストップやセーリングストップ等の駆動源自動停止制御であってもよい。
コーストストップは、コーストストップ条件が成立した場合に実行される。コーストストップ条件は、車速VSPが低車速(予め設定された設定車速未満)であること、アクセルペダルの踏み込みがないこと、ブレーキペダルの踏み込みがあること、変速機1で前進レンジが選択されていること、を含む条件とされる。設定車速は例えば、ロックアップクラッチLUが解放される車速VSPとされる。
セーリングストップは、セーリングストップ条件が成立した場合に実行される。セーリングストップ条件は、車速VSPが中高速(予め設定された設定車速以上)であること、アクセルペダルの踏み込みがないこと、ブレーキペダルの踏み込みがないことを含む。設定車速は、コーストストップで設定される設定車速と異なる値に設定されてもよい。
コーストストップ条件は、コーストストップ条件に含まれる条件のすべてが成立した場合に成立し、コーストストップ条件に含まれる条件のうちいずれかの条件が不成立の場合に不成立となる。セーリングストップ条件についても同様である。
駆動源自動停止制御は、複数の駆動源自動停止制御であってもよい。複数の駆動源自動停止制御を有する場合、実行中の駆動源自動停止制御の実行条件が不成立になったか否かを判定することで、第1モードへのモードの切替が行われるか否かを判定できる。また、複数の駆動源自動停止制御のうちいずれかの実行条件が成立したか否かを判定することで、第2モードへのモードの切替が行われるか否かを判定できる。
上述した実施形態では、コントローラ10により制御部が実現される場合について説明した。しかしながら、制御部は例えば、変速機コントローラ11など単一のコントローラで実現されてもよい。
1 変速機
2 バリエータ(無段変速機構)
21c PRIプーリ油室
22c PRIプーリ油室
3 油圧回路
32 電動オイルポンプ
36 切替弁
10 コントローラ(制御部)
ENG エンジン(駆動源)
R1 第1油路
R2 第2油路
R3 第3油路
2 バリエータ(無段変速機構)
21c PRIプーリ油室
22c PRIプーリ油室
3 油圧回路
32 電動オイルポンプ
36 切替弁
10 コントローラ(制御部)
ENG エンジン(駆動源)
R1 第1油路
R2 第2油路
R3 第3油路
Claims (7)
- 駆動源と駆動輪との間で動力伝達を行う無段変速機構と、
前記無段変速機構のプライマリプーリ油室とセカンダリプーリ油室とを連通する第1油路と、
前記第1油路に設けられた電動オイルポンプと、
前記電動オイルポンプと前記プライマリプーリ油室との間の前記第1油路から分岐して油溜に連通する第2油路と、
前記第1油路と前記第2油路との分岐点に設けられた切替弁と、
前記電動オイルポンプと前記セカンダリプーリ油室との間の前記第1油路から分岐して前記切替弁に至る第3油路と、
を備え、
前記切替弁は、
少なくとも前記第1油路を連通状態とする第1位置と、
前記第2油路と前記第1油路の前記セカンダリプーリ油室側とを連通状態にし、かつ前記第3油路と前記第1油路の前記プライマリプーリ油室側とを連通状態とする第2位置と、の2つの位置を切り替える動力伝達装置であって、
前記切替弁の切替位置を前記第2位置から前記第1位置に変更する際に、前記電動オイルポンプ及び前記切替弁間の前記第1油路の圧力であるプライマリ側圧を所定圧まで高める昇圧部、
を備えることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記切替弁は、前記電動オイルポンプ及び前記切替弁間の前記第1油路が接続される第1ポートを有し、
前記昇圧部は、前記切替弁の弁体構造であり、
前記弁体構造は、少なくとも前記第1ポートを開閉するポート開閉部を有し、
前記ポート開閉部は、前記切替弁の切替制御に応じた移動速度で、前記プライマリ側圧が前記所定圧まで高まるように、前記第1ポートを遮断する幅を有する、
を有することを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記切替弁は、前記電動オイルポンプ及び前記切替弁間の前記第1油路が接続される第1ポートと、前記第3油路が接続される第2ポートとを有し、
前記昇圧部は、前記切替弁の弁体構造であり、
前記弁体構造は、少なくとも前記第1ポートを開閉するポート開閉部を有し、
前記ポート開閉部は、前記第1ポートと前記第2ポートとがともに開放されるように設けられる、
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記昇圧部は、前記切替弁を制御する制御部であり、
前記制御部は、前記プライマリ側圧が前記所定圧まで高まるように抑制された変更速度で、前記第2位置から前記第1位置への前記切替位置の変更を行う、
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記昇圧部は、前記切替弁を制御する制御部であり、
前記制御部は、複数のステップにより前記プライマリ側圧が前記所定圧まで高まるように前記第2位置から前記第1位置への前記切替位置の変更を段階的に行う、
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1から5いずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記所定圧は、前記プライマリプーリ油室への供給油圧であるプライマリ圧の指示圧以下で、前記無段変速機構の変速比が最大変速比に到達しない値に設定される、
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 駆動源と駆動輪との間で動力伝達を行う無段変速機構と、前記無段変速機構のプライマリプーリ油室とセカンダリプーリ油室とを連通する第1油路と、前記第1油路に設けられた電動オイルポンプと、前記電動オイルポンプと前記プライマリプーリ油室との間の前記第1油路から分岐して油溜に連通する第2油路と、前記第1油路と前記第2油路との分岐点に設けられた切替弁と、前記電動オイルポンプと前記セカンダリプーリ油室との間の前記第1油路から分岐して前記切替弁に至る第3油路と、を備え、前記切替弁は、少なくとも前記第1油路を連通状態とする第1位置と、前記第2油路と前記第1油路の前記セカンダリプーリ油室側とを連通状態にし、かつ前記第3油路と前記第1油路の前記プライマリプーリ油室側とを連通状態とする第2位置と、の2つの位置を切り替える動力伝達装置の制御方法であって、
前記切替弁の切替位置を前記第2位置から前記第1位置に変更する際に、前記電動オイルポンプ及び前記切替弁間の前記第1油路の圧力であるプライマリ側圧を所定圧まで高めること、
を含むことを特徴とする動力伝達装置の制御方法。
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JP2018044163A Pending JP2019157969A (ja) | 2018-03-12 | 2018-03-12 | 動力伝達装置及び動力伝達装置の制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019157969A (ja) |
-
2018
- 2018-03-12 JP JP2018044163A patent/JP2019157969A/ja active Pending
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