JP2019157944A - 伸縮ボルト - Google Patents

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Abstract

【課題】緩みを確実に防止できるボルトを提供する。【解決手段】伸縮ボルト(1,2,3,4)は、第1の対向平面S1を切り欠き斜面とする第1の斜切円柱の円筒面にネジ山1a〜1gが設けられた可動部1と、第1の対向平面S1に可変ギャップを介して対向する第2の対向平面S2を切り欠き斜面とする第1の斜切円柱の円筒面に可動部1のネジ山1a〜1gと連続可能なネジ山2a〜2gが設けられると共に可動部1と組み合わせて略円柱状をなす固定部2と、第1及び第2の斜切円柱が構成する略円柱状の軸の方向に沿って可動部1を固定部2に対して相対的に移動して可変ギャップを変位するギャップ変位機構4と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明はボルト、特に締結後の緩み防止に優れた伸縮ボルトに関する。
ボルト(雄ネジ)と雌ネジを嵌め合わせた締結構造の緩みを防止する方法として、ボルトのネジ山を2重に加工して軸力を高める方法や、嵌め合いの遊びの隙間に緩み防止剤を充填することで回転抵抗を増加させる方法等が知られている(特許文献1参照)。
しかしネジ山の2重加工は微細な処理であるため、通常の加工より手間がかかり、コストが嵩む。又、緩み防止剤を使用してネジ止めすると、雌ネジから引き抜いた後のボルトのネジ山には乾燥した緩み防止剤が固着するため、ボルトの再利用が非常に困難になる。
特開2014−149043公報
本発明は、緩みを確実に防止できるボルトを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の伸縮ボルトに係る一態様は、(i)第1の対向平面を切り欠き斜面とする第1の斜切円柱の円筒面にネジ山が設けられた可動部と、(ii)第1の対向平面に可変ギャップを介して対向する第2の対向平面を切り欠き斜面とする第2の斜切円柱の円筒面に可動部のネジ山と連続可能なネジ山が設けられると共に可動部と組み合わせて略円柱状をなす固定部と、(iii)第1及び第2の斜切円柱が構成する略円柱状の軸の方向に沿って可動部を固定部に対して相対的に移動して可変ギャップを変位するギャップ変位機構と、を備え、可動部と固定部でボルトの雄ネジ部を構成し、可変ギャップを縮小することにより、可動部のネジ山と、可動部のネジ山と嵌め合う被締結部材の雌ネジのネジ山との隙間を最小値として、雄ネジ部を雌ネジに固定することを要旨とする。
本発明によれば、緩みを確実に防止できるボルトを提供することができる。
第1の実施の形態に係る伸縮ボルトの概略を模式的に説明する、部分的な断面図を含む正面図である。 第1の実施の形態に係る伸縮ボルトの頭部を軸方向から見た側面図である。 第1の実施の形態に係る伸縮ボルトの可動部を後退させた状態を模式的に説明する、部分的な断面図を含む正面図である。 伸縮ボルトのネジ山とナットのネジ山との嵌め合い状態を模式的に説明する、ナットの一部を断面して示す部分拡大図である(その1:伸長状態)。 伸縮ボルトのネジ山とナットのネジ山との嵌め合い状態を模式的に説明する、ナットの一部を断面して示す部分拡大図である(その2:縮小状態)。 伸縮ボルトのネジ山とナットのネジ山との嵌め合い状態を模式的に説明する、ナットの一部を断面して示す部分拡大図である(その3:圧力負荷時)。 第1の実施の形態の第1変形例に係る伸縮ボルトの頭部を軸方向から見た側面図である。 図7中のA−A線方向から見た断面図である。 第1の実施の形態の第2変形例に係る伸縮ボルトの概略を模式的に説明する、部分的な拡大図である。 第1の実施の形態の第2変形例に係る伸縮ボルトの可動部の概略を模式的に説明する鳥瞰図(斜視図)である。 第2の実施の形態に係る伸縮ボルトの概略を模式的に説明する正面図である。 図11中のB−B線方向から見た断面図である。 第2の実施の形態に係る伸縮ボルトの可動部を後退させた状態を模式的に説明する正面図である。 第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルトのギャップ変位機構が第1止め輪により固定された状態の概略を模式的に説明する正面図である。 第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルトの可動部を後退させた状態を模式的に説明する正面図である。 第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルトのギャップ変位機構が第2止め輪により固定された状態の概略を模式的に説明する正面図である。
次に、図面を参照して、第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。更に、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。
−−第1の実施の形態−−
<伸縮ボルトの構造>
第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)は、図1に示すように、第1の対向平面S1を切り欠き斜面とする可動部1と、第1の対向平面S1に可変ギャップを介して対向する第2の対向平面S2を切り欠き斜面とする固定部2とを備える。
固定部2は可動部1と組み合わせて略円柱状をなし、可動部1と固定部2とで、第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)の軸部(1,2)を構成している。可動部1の概略形状は斜切円柱(切頭円柱)であり、この可動部1をなす斜切円柱(第1の斜切円柱)の円筒面にはネジ山1a〜1gが設けられている。
固定部2の概略形状も斜切円柱であり、この固定部2をなす斜切円柱(第2の斜切円柱)の円筒面には、可動部1のネジ山1a〜1gと連続するネジ山2a〜2gが設けられている。可動部1及び固定部2は可変ギャップを介して連続する棒状をなす。
また第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)は、軸部(1,2)の底面となる固定部2の端面(首)に連続するように固定して設けられた、略六角柱状の頭部3を備える。軸部(1,2)と頭部3とを備えるアウターボルト(1,2,3)の材料は鉄鋼材、ステンレススチール、真鍮、チタン、アルミニウム等である。
第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)は、軸部(1,2)の方向に沿って、可動部1を固定部2に対して相対的に移動して、可変ギャップを変位するギャップ変位機構4を更に備える。
固定部2をなす第2の斜切円柱の内側には、固定部2の軸中心と同心の第1ガイド孔12と第2ガイド孔13とが連続したバカ孔として設けられている。可動部1をなす第1の斜切円柱の内側には、可動部1の軸中心と同心で、第1ガイド孔12の径よりやや小さい径の谷を有する雌ネジ11が設けられている。
第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)は、インナーボルト(41,42,43)を主要部とするギャップ変位機構4を更に備えている。インナーボルト(41,42,43)は、円筒部41と、この円筒部41の端部に連続して雌ネジ11のネジ山に対応して嵌め合うネジ山が設けられた雄ネジ部43と、円筒部41に連続する略円板状の頭42とを備える。
インナーボルト(41,42,43)の材料は、アウターボルト(1,2,3)と同様に鉄鋼材やステンレススチール等である。円筒部41はアウターボルト(1,2,3)の軸部(1,2)より小径である。
インナーボルト(41,42,43)は、一連の孔(12,13)の内側に差し込まれた状態で回転し、軸の方向に沿って可動部1と固定部2との間のギャップを変位(シフト)可能に設けられている。この一連の孔(12,13)は、先端側の雄ネジ部43が可動部1の雌ネジ11に嵌め合い、且つ、雄ネジ部43以外の領域の円筒部41が頭部3及び固定部2の内部をそれぞれ貫通する。
第1の対向平面S1は、図1中の左側に示すネジ先側から固定部2側に向かって右上がりに延びる平面をなし、可動部1はちくわ(斜切直円柱)形状である。
又、固定部2側の可変ギャップを定義する第2の対向平面S2は、図1中の右側に示す首側から可動部1側に向かって左下がりに延びる平面をなし、固定部2は可動部1と同様にちくわ形状である。可動部1及び固定部2は可変ギャップを介して連続する棒状をなす。
インナーボルト(41,42,43)の雄ネジ部43が、雌ネジ11の内側でネジ結合することにより可動部1を軸部(1,2)の軸方向に移動可能にしている。アウターボルト(1,2,3)を雌ネジ11が切られた被締結部材の内側に挿入する際は、図1に示したように、雄ネジ部43の先端面(ネジ先)が雌ネジ11の底面から離間した状態にすることにより可変ギャップが挿入時最適値に設定される。
第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)は、可動部1のネジ山1a〜1gと固定部2のネジ山2a〜2kとが滑らかに連続するときが、可変ギャップの値が挿入時最適値になる。
図1中には、可動部1の最も左側のネジ山1aの頂き及びこの頂きの両側のフランクが、固定部2の最も左側のネジ山2aの頂き及びこの頂きの両側のフランクと、可変ギャップを介して上下方向でそれぞれ滑らかに連続する状態が例示されている。又、その他の可動部1のネジ山1b〜1g及び固定部2のネジ山2b〜2kも同様に、可変ギャップを挿入時最適値にしたとき、上下方向で滑らかに連続する。
可変ギャップの幅wは、外径4mm〜800mm程度のアウターボルト(1,2,3)に関しては、経験則より0.08〜0.12mm程度であることが好ましい。
可動部1の第1の対向平面S1と伸縮ボルト(1,2,3,4)の軸線に直交する面とのなす角度を図1では軸部(1,2)を分割する分割角θとして示している。分割角θは、40°程度以上60°程度以下、例えば45°であることが好ましい。
分割角θが40°未満即ちネジ先の端面に平行に向かう場合、後述するように伸縮ボルト(1,2,3,4)を被締結部材に切られた雌ネジに送り込んだ後、ギャップ変位機構4の円筒部41を後退させるために必要な力が大きくなりすぎて、負担が増加してしまう。
一方、分割角θが60°を越える即ち軸に平行に向かって分割角θが大きくなる場合、可動部1のネジ先側の領域が薄くなりすぎて、伸縮ボルト(1,2,3,4)の短縮及び伸長を繰り返すことで負荷される応力に耐えきれない場合がある。その場合、伸縮ボルト(1,2,3,4)の破断等が生じる。
アウターボルト(1,2,3)の頭部3には、インナーボルト(41,42,43)の頭42を埋め込む埋め込み孔14となる凹部が設けられている。またアウターボルト(1,2,3)の頭部3の上端側には更に埋め込み孔14より大径のキャップ孔15が浅い段差部として設けられ、このキャップ孔15には、キャップ孔15の径に応じた径を有する平座金形状のキャップ46が埋め込まれる。又、キャップ46の上面はボルトの頭部3の上端面と揃う位置に設定されている。キャップ46の下面は、インナーボルト(41,42,43)の頭42の上端面と揃う位置に設定されている。
埋め込み孔14の周辺となるキャップ孔15の下面側には、伸縮ボルト(1,2,3,4)の軸方向に沿って延びる2個のビス孔17a,17bが設けられ、ビス孔17a,17bのそれぞれにビス47a,47bが差し込まれている。ビス孔17a,17bの内面には、ビス47a,47bの雄ネジのネジ山に対応して嵌め合う雌ネジが設けられている。
2個のビス47a,47bは、インナーボルト(41,42,43)の頭42を挟んで対称的に配置されている。2個のビス47a,47bは、中央部が開孔したキャップ46をキャップ孔15の底面に一定のクリアランスを介して押し付けて固定するようにアウターボルト(1,2,3)の頭部3に取り付けられる。頭42は、固定されたキャップ46の下面の一部と埋め込み孔14の底面及び側面に挟まれることにより、インナーボルト(41,42,43)の軸方向の移動が制限され、滑らかに回転自在となる。
インナーボルト(41,42,43)の頭42には、図2に示すように、例えば略プラス(+)形状の凹部が形成されている。キャップ46の中央部が外周と同心円状に開孔され、インナーボルト(41,42,43)の頭42の中央部が部分的に露出していることによりプラスドライバー等の器具を差し込んでインナーボルト(41,42,43)を回転させることが可能である。
円筒部41は、第1ガイド孔12及び第2ガイド孔13のすべてに亘って差し込まれ、可動部1に雄ネジ部43が達するように設けられている。第1ガイド孔12及び第2ガイド孔13の内面は、円筒部41の外側面と滑らかに擦り合うように形成されている。
雄ネジ部43及び雌ネジ11のネジ結合により、インナーボルト(41,42,43)の頭42を回転させることにより、図3に示すように、アウターボルト(1,2,3)の可動部1が頭部3側に後退するようにシフトする。インナーボルト(41,42,43)は、キャップ46により頭42側への移動が抑制されて回転する。
ネジが右ネジであれば、インナーボルト(41,42,43)の頭42を右回転させれば、可動部1がインナーボルト(41,42,43)に対してシフトして可変ギャップの幅wが短縮される。頭42を左回転させれば可変ギャップの幅wが大きくなる。このように可動部1は、円筒部41の回転によって軸方向に沿って前後に移動可能である。
以下、可動部1及び固定部2の間に挿入時最適値の可変ギャップが形成された状態を「伸長状態」と定義する。挿入時最適値の可変ギャップは、図1に示したようなインナーボルト(41,42,43)の雄ネジ部43のネジ先が、雌ネジ11の底面から離間する方向に可動部1が固定部2に対して相対的に離間する方向に前進して形成される。
又、第1の対向平面S1及び第2の対向平面S2同士が接触する位置まで可動部1が固定部2に対して可変ギャップが消失する方向に移動することにより、伸長状態よりも伸縮ボルト(1,2,3,4)の呼び長さが短くなった状態を「短縮状態」と定義する。
伸長状態の伸縮ボルト(1,2,3,4)の呼び長さL1(図1参照)と、短縮状態の伸縮ボルト(1,2,3,4)の呼び長さL2(図3参照)の差(L1−L2)は、可変ギャップの軸方向の幅wと分割角θを用いて、
L1−L2=w/sinθ …(1)
と、式(1)で表せる。例えば可変ギャップの幅w=0.1mm、分割角θ=60°の場合、軸方向のシフト距離をなすL1−L2は、式(1)より、
L1−L2=0.1mm/sin60°≒0.115mm
となる。
<ボルトの使用方法>
図4に示すように、伸縮ボルト(1,2,3,4)及び被締結部材5のネジ山の間には、嵌合させた際に一定の隙間(遊び)が形成されるように互いの寸法及び形状が設定されているものとする。
図4中には、アウターボルト(1,2,3)を被締結部材5の内側に送り込んだ際、アウターボルト(1,2,3)の可動部1及び固定部2の境界近傍に位置する3個のネジ山1f,1g,2hを含む領域が、拡大されて示されている。又、図4中の下側の左向き矢印で示すように、アウターボルト(1,2,3)の送り込み方向は右側から左側である。
まず伸長状態の伸縮ボルト(1,2,3,4)とするために、インナーボルト(41,42,43)を時計方向に回転させ、雄ねじ部43の先端面(ネジ先)を雌ネジ11の底面方向に移動させ、可変ギャップの幅wを挿入時最適値にする。可変ギャップの幅wが挿入時最適値であれば、アウターボルト(1,2,3)を被締結部材5の内側に送り込む際、被締結部材5側のそれぞれのネジ山には、アウターボルト(1,2,3)側の3個のネジ山1f,1g,2hの、それぞれの進み側フランク1f,1g,2hが接触することになる。進み側フランク1f,1g,2hは送り込み方向の前側に位置する。
図4中には、3個のネジ山1f,1g,2hのうち、可動部1の2個のネジ山1f,1gの追い側フランク1f,1gと、それぞれ対応する被締結部材5のネジ山の間に形成された、軸方向に沿って測った遊びの距離df,dgが示されている。
そしてアウターボルト(1,2,3)の軸部(1,2)のネジ先を被締結部材5の内側で締結のために必要な位置まで到達させる。そして図5の拡大図中の左側の反時計回りの矢印で模式的に示すように、ギャップ変位機構4をなすインナーボルト(41,42,43)を、アウターボルト(1,2,3)の頭部3側に後退するように回転させる。この回転によりアウターボルト(1,2,3)の短縮状態を形成して、アウターボルト(1,2,3)を被締結部材5に対してロックする。
アウターボルト(1,2,3)の短縮により、可動部1の2個のネジ山1f,1gの圧力側フランク(追い側フランク)1f,1gと、被締結部材5に切られた雌ネジのネジ山の間の遊びの距離もそれぞれ短縮する(df→df,dg→dg)。図5中では、遊びの距離が短縮したことにより、可動部1の右端のネジ山1gの稜線と、固定部2側のネジ山2gの稜線とが軸方向にずれた状態が例示されている。一方、固定部2側のネジ山2hの圧力側フランク(追い側フランク)2hと被締結部材5に切られた雌ネジのネジ山の間の遊びの距離は変化しない。
このように、ギャップ変位機構4によって可動部1を固定部2側に対し相対的に接近するように移動させることにより、可動部1のネジ山1a〜1gと、このネジ山1a〜1gと嵌め合う被締結部材5に切られた雌ネジのネジ山との遊びの距離を短くして、アウターボルト(1,2,3)を被締結部材5に対してロックする。
即ち可変ギャップを最小値とすることにより、可動部1のネジ山1a〜1gと、このネジ山1a〜1gと嵌め合う被締結部材5に切られた雌ネジのネジ山との隙間を最小値とした、伸縮ボルト(1,2,3,4)の短縮状態を形成する。
ロック状態では可動部1のネジ山1a〜1gと被締結部材5のネジ山の遊びの距離が短くなっている。そのため、短縮状態の伸縮ボルト(1,2,3,4)に締結状態を緩ませる圧力がかかると、図6に示すように、可動部1のネジ山1a〜1gは被締結部材5のネジ山に、伸長状態の場合より遥かに大きな力で喰い込む。そのためネジ山間で互いに支え受ける圧力が非常に大きくなる。
よって、短縮状態の伸縮ボルト(1,2,3,4)が被締結部材5に切られた雌ネジと嵌め合う状態においては、ネジ結合を緩ませる各種の圧力が負荷されても、増強されたネジ山間の喰い込み力によりロック状態が堅固に保持される。そのためネジ結合の緩みを確実に防止することができる。尚、各種の圧力としては、締結により生じる軸力、軸方向の振動及び軸方向に直交する向きの変位等がある。
一方、ネジ結合を緩める場合には、ギャップ変位機構4によって可動部1を固定部2側に対し相対的に離間するように移動させ、伸縮ボルト(1,2,3,4)の可変ギャップの幅wは挿入時最適値となる伸長状態を再度形成する。そして可動部1のネジ山1a〜1gと被締結部材5に切られた雌ネジのネジ山の間の遊びの距離が復元し、互いに支え受ける圧力が小さくなるので、ネジ結合を容易に緩めることができる。
<ボルトの製造方法>
次に、第1の実施の形態に係るSUS304やSUS316等の伸縮ボルト(1,2,3,4)の製造方法を説明する。まず、所望の呼び長さL1を有する非伸縮ボルト(通常用いられるボルト)をアウターボルト(1,2,3)の母材として用意する。
この非伸縮ボルトの頭部3に、ギャップ変位機構4の主要部をなすインナーボルト(41,42,43)の頭42が埋め込まれるように、埋め込み孔14用の凹部を形成する。具体的には、アウターボルト(1,2,3)の頭部3を端面側から、インナーボルト(41,42,43)の頭42の形状に合わせて旋盤やフライス盤等で切削加工して、埋め込み孔14用の凹部を形成する。
更にキャップ46を埋め込む段差部をキャップ孔15の上部に形成するように、埋め込み孔14よりも大径の孔を旋盤やフライス盤等で切削加工し、キャップ孔15用の凹部を形成する。更に、埋め込み孔14の外周側に位置するキャップ孔15の下面に、2個のビス孔17a,17bをなす雌ネジを切削タップ等で形成する。
次に、アウターボルト(1,2,3)の内部を、頭部3のキャップ孔15の底からネジ先に向かって軸中心に沿って旋盤やボール盤等で、予定される雌ネジ11の内径の大きさで削孔し、雌ネジ11の予定される底部の位置まで到達するバカ孔を形成する。
次にアウターボルト(1,2,3)の軸を固定した上で、アウターボルト(1,2,3)の軸を、2枚の切断面がいずれも軸を斜めに切るように、かつ、互いに平行に対向するように2分割して、可動部1及び固定部2を形成する。2分割はワイヤソー、ダイアモンドカッター、超音波カッター、プラズマカッター、レーザーカッター等により行うことができる。
切断は第1の対向平面S1及び第2の対向平面S2と、軸方向に直交する面とが設定された分割角θで斜めに交差するように行う。
切断により除去される部分の距離が、固定部2と可動部1との間の可変ギャップの幅wとなるが、例えばワイヤソーの切り幅を考慮して、切断後に研磨等によって、アウターボルト(1,2,3)のネジ山を1ピッチ以上研削することによって、所望の可変ギャップの幅wが実現できる。
次に可動部1のバカ孔を下孔として、このバカ孔の内径よりも大きな外径を有する切削タップを捻じ込んでタップ加工を行い、ギャップ変位機構4の雄ネジ部43に対応する雌ネジ11を形成する。更に固定部2の中に設けられたバカ孔の外径を、切削タップの外径よりも少し大きくなるように拡大する中ぐり加工、リーマ仕上げ、ボーリング加工等を行う。
そして中ぐりで拡大した一連の孔(12,13)の中に、可動部1のバカ孔のタップ加工に用いた切削タップの外径と略同径の外径の雄ネジ部43を有するインナーボルト(41,42,43)を、ギャップ変位機構4の主要部として製造する。インナーボルト(41,42,43)の円筒部41の外径は、雄ネジ部43と同一でも、雄ネジ部43よりも細くても構わない。
次に、製造したインナーボルト(41,42,43)をアウターボルト(1,2,3)の第1ガイド孔12及び第2ガイド孔13を経由して差し込み、可動部1の雌ネジ11に雄ネジ部43をネジ込んで、固定部2及び頭部3と連結する。
次に、インナーボルト(41,42,43)の頭42を、アウターボルト(1,2,3)の頭部3の埋め込み孔14に埋め込むようにキャップ46を頭42の上に乗せ、ビス47a,47bによってキャップ46を頭部3に対して固定する。以上の工程により第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)が完成する。
第1の実施の形態に係る伸縮ボルトの製造方法によれば、通常用いられる既存のボルトに穴あけ、ネジ切り、切断といった簡易な加工を施すだけで、伸縮自在のボルトを容易に製造することができる。
(第1の実施の形態の第1変形例)
図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)は、頭部3の軸部(1,2)と反対側の端面が平坦なボルトをアウターボルト(1,2,3)の母材に用いている。しかし図7及び図8に示すように、ボルトの頭部3aの上端面に図1の埋め込み孔14よりも深い六角レンチ差し込み用の六角穴3aが設けられたボルトであっても本発明を適用できる。このボルトは、いわゆるキャップボルトをアウターボルト(1,2,3)の母材に用いた基本形態のボルトである。
第1の実施の形態の第1変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3a,4a)のギャップ変位機構4aは、インナーボルト(41a,42,43)が主要部である。ギャップ変位機構4aは、図8に示すように、頭42が、伸縮ボルト(1,2,3a,4a)の頭部3aの六角穴3aの凹部の底面の下の凹部に埋め込まれるように配置されている。そして六角穴3aの底面にキャップ46が取り付けられる。
第1変形例は、図1に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)の頭部3のキャップ孔15が専用の凹部としては形成されていない点が、図1に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)と異なる。このため、図8に示すように、伸縮ボルト(1,2,3a,4a)の頭部3aの第2ガイド孔13aの長さが、図1に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)の頭部3の第2ガイド孔13の長さより短くなる。この第2ガイド孔13aの長さに応じて、ギャップ変位機構4aの円筒部41aの長さが図1に示したギャップ変位機構4の円筒部41より短い。
第1変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3a,4a)の頭部3a及びギャップ変位機構4a以外の他の構成については、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)のそれぞれ対応する構成と等価であるため、重複説明を省略する。
第1変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3a,4a)においても、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)と同様に、ギャップ変位機構4aにより伸縮ボルト(1,2,3a,4a)が短縮する。そのため可動部1のネジ山1a〜1gの圧力側フランクと、被締結部材5に切られた雌ネジのネジ山との遊びの距離が短くなり、可動部1のネジ山1a〜1gと被締結部材5のネジ山の間で互いに支え受ける圧力が格段に大きくなる。そして伸縮ボルト(1,2,3a,4a)が被締結部材5に強固に喰い込むことで、伸縮ボルト(1,2,3a,4a)と被締結部材5の緩みを確実に防止することができる。
又、第1変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3a,4a)は、頭部3aの六角穴3aを用いた作業が可能になるので、締結する際や緩める際の作業性を高めることができる。第1変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3a,4a)の他の効果については、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)の場合と同様である。
(第1の実施の形態の第2変形例)
又、図9に可変ギャップの幅wを分解直前ぐらいに拡げた場合を示す。第1の実施の形態の第2変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)では、可動部1の第1の対向平面S1の領域の一部に、固定部2側に突出する平行キー(固定ピン)となる突起部6を設けている。そして固定部2の第2の対向平面S2の領域の一部に、突起部6の形状に対応して、突起部6が嵌合可能なキー溝(凹部)7を設けている。
図10は、可動部1を第1の対向平面S1側から見た模式的な鳥瞰図であり、突起部6が片端丸形平行キーの場合を例示的に表している。突起部6は、ストレートキーや両端丸形平行キーでもよく、更には平行キーに限定されず、棒状又は扁平な六面体に近似した形状や頭付き勾配キーの形状であっても良い。更に丸キーや半円キーのような円柱状や角錐台形状等他の形状であってもよい。
図9に示した凹部7の形状は、突起部6が滑らかに嵌合する形状であればよく、可動部1及び固定部2の一体性が向上する限り、突起部6と共に形状を適宜変更できる。図9に示した第2変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)の突起部6及び凹部7以外の他の構成については、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)のそれぞれ対応する構成と等価であるため、重複説明を省略する。
第2変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)によれば、互いに対応する突起部6及び凹部7を組み合わせて嵌合させる。この嵌合により、アウターボルト(1,2,3)を被締結部材5に挿入する際に、可動部1に印加されるトルクによって、可動部1がインナーボルト(41,42,43)に対して極わずか回転することを防止できる。又、このわずかな回転にインナーボルト(41,42,43)が連動して回転することを防止できる。
更に、可変ギャップの幅wを短縮するためにインナーボルト(41,42,43)を回転する際のガタ付き、揺れ動き等を防止できるので締め付け時の力が有効に伝達され、短縮した伸縮ボルト(1,2,3,4)の可動部1及び固定部2の一体性が向上する。この結果、締結状態の伸縮ボルト(1,2,3,4)と被締結部材5の締結動作を確実、正確かつ迅速に実行し、締結後の緩みを一層強固に防止することができる。第2変形例に係る伸縮ボルトの他の効果については、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)の場合と同様である。
−−第2の実施の形態−−
第1の実施の形態に係る伸縮ボルトでは、アウターボルト(1,2,3)の頭部3及び固定部2に同軸及び同径のバカ孔を同一直線上にそれぞれ設けて一連の孔(12,13)を形成した。そして、この一連の孔(12,13)を経由して可動部1の雌ネジ11に雄ネジ部43を差し込んだ、ギャップ変位機構4の主要部をなすインナーボルト(41,42,43)の回転運動を用いて、可動部1を後退するようにシフトさせた。
しかし第2の実施の形態に係る伸縮ボルトは、ネジの回転運動以外の機構によって、アウターボルトのギャップを変位するように頭部側に引き抜いてシフトさせるギャップ変位機構を提供する。
<伸縮ボルトの構造>
第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)は、図11に示すように、第1の対向平面S1を切り欠き斜面とする可動部1と、第1の対向平面S1に可変ギャップを介して対向する第2の対向平面S2を切り欠き斜面とする固定部2と、を備える。
固定部2は可動部1と組み合わせて略円柱状をなし、可動部1と固定部2とで、第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)の軸部(1,2)を構成している。可動部1には、第1の斜切円柱(切頭円柱)の円筒面にネジ山1a〜1gが設けられている。
固定部2には、第2の斜切円柱の円筒面に可動部1のネジ山1a〜1gと連続するネジ山2a〜2gが設けられている。可動部1及び固定部2は可変ギャップを介して連続する棒状をなす。
また第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)は、第1及び第2の斜切円柱とで構成される略円柱状の軸部(1,2)の底面となる固定部2の端面(首)に連続するように固定して設けられた、略六角柱状の頭部3を備える。また第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)は、軸部(1,2)の方向に沿って、可動部1を固定部2に対して相対的に移動して、可変ギャップを変位するギャップ変位機構8と、を備える。
ギャップ変位機構8は、先端が可動部1に設けられた駆動孔11bを介して軸の方向に沿って可動部1と固定部2との間のギャップを変位(シフト)可能にする棒状の部分を主要部としている。駆動孔11bは、図1に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)の雌ネジ11と異なり、第1の対向平面S1から反対側のネジ先まで可動部1を貫通して形成されている。駆動孔11bの内面にはネジ山は形成されておらず、平坦である。
ギャップ変位機構8の棒状の部分は、先端以外の大部分が頭部3及び固定部2の内部をそれぞれ貫通して駆動孔11bと同一直線上に同軸で設けられた第1ガイド孔12及び第2ガイド孔13の一連の孔(12,13)の内側に差し込まれて、動作する。
図11に示すように、駆動孔11bは第1ガイド孔12b及び第2ガイド孔13bと略同径であり、伸縮ボルト(1,2,3,8)の可動部1の中心軸と同軸上に設定されている。
第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)のギャップ変位機構8は、例えば樹脂等からなるプッシュターンリベットに類似した軸方向の移動機構を実現する。ギャップ変位機構8は、図11の右側に示す略円板状の第1頭部(グロメット頭部)81と、この第1頭部81がなす円板の中央となる第1頭部81の一方の面に、長手方向の一端が取り付けられ先端部に加圧用狭窄部82a,82bを有している。
加圧用狭窄部82a,82bは、第1頭部81の円板面に対して垂直に延びる略筒状の鞘部(グロメット鞘部)82をなす。加圧用狭窄部82a,82bは第1頭部81の付け根の近傍から、図11中の左側となる反対側の端部に向かって2股状に分岐している。
更にギャップ変位機構8は、この鞘部82の内側に摺動自在に設けられ先端が亀頭状になっている伝達ピン84と、この伝達ピン84の第1頭部81側の端部(図11において右側)に取り付けられた略円板状の第2頭部83と、を有する。
ギャップ変位機構8をなす伝達ピン84は先端の亀頭部が鞘部82の外側に突出したり、内側に引っ込んだりする動作を繰り返し行うことができる。図11及び図13に示すように、ギャップ変位機構8の第2頭部83の円板は第1頭部81の円板より小径である。そして第1頭部81に第2頭部83の形状に応じた凹部を形成することにより、この凹部の内側に第2頭部83を格納する。
図11は、第2頭部83が第1頭部81の凹部の内側に格納され、伝達ピン84の第2頭部83の先端部が鞘部82より最も突出した、伸縮ボルト(1,2,3,8)の伸長状態を示す。加圧用狭窄部82a,82bの先端部分(図11において左側)は、他の大部分の内径よりも内径が小さくなるようなテーパ形状を有している。
ギャップ変位機構8をなす伝達ピン84は、図12の軸方向に垂直に切った断面図に示すように、特定の径方向に選択的に膨らんでいる。このため伝達ピン84は第2頭部83を第1頭部81に対して押し込み動作や引き抜き動作を行う際に、伝達ピン84を軸中心に回転させた場合に、鞘部82の加圧用狭窄部82a,82bの外径が変化する。
ギャップ変位機構8をなす伝達ピン84が、図12に示す位置となる回転角度の場合は、伸縮ボルト(1,2,3,8)の可動部1に囲まれた領域は、鞘部82の2股の隙間を介して可動部1の駆動孔11bの内面側方向に突出している。この突出状態では可動部1に対し所定の摩擦力で固定されている。
又、固定部2の内側では、ギャップ変位機構8の鞘部82の外側面は、それぞれの第1ガイド孔12b及び第2ガイド孔13bの内面に強固に所定の摩擦力で固定されている。
図12に示した角度から径方向に選択的に膨らんだ亀頭部の方向を90°回転して、ギャップ変位機構8の第2頭部83を第1頭部81に対してロック位置まで押し込めば、加圧用狭窄部82a,82bの外径が増大する。そのため、伝達ピン84の軸方向の摺動(スライド)に連動して可動部1が固定部2に向かって相対的に近づく方向に変位し、伸縮ボルト(1,2,3,8)の短縮状態が形成される。
一方、第2頭部83を図12に示す角度に回転させた上で、第1頭部81に対し更に開放位置まで押し込めば、加圧用狭窄部82a,82bの位置の鞘部82の外径が縮む。そのため、伝達ピン84の軸方向のスライドに連動して可動部1が固定部2から相対的に離間するように変位し、図13に示すように、伸縮ボルト(1,2,3,8)の伸長状態が形成される。
第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)の駆動孔11b及びギャップ変位機構8以外の他の構成については、第1の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,4)のそれぞれ対応する構成と等価であるため、重複説明を省略する。
第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)においても、第1の実施の形態に係る伸縮ボルトと同様に、ギャップ変位機構8をネジ先側から頭部3側へシフトさせて可動部1を固定部2側に対して相対的に移動させる。この移動により、可動部1のネジ山1a〜1gと、このネジ山1a〜1gと嵌め合う雌ネジのネジ山との隙間(遊び)の距離を短くする。そして可変ギャップを最小値とすることにより、可動部1のネジ山1a〜1gと、このネジ山1a〜1gと嵌め合う被締結部材5のネジ山との隙間を最小値とした、伸縮ボルト(1,2,3,8)の短縮状態を形成する。
この隙間が最小値になることにより、可動部1のネジ山1a〜1gと被締結部材5のネジ山の間で互いに支え受ける圧力が格段に大きくなり、伸縮ボルト(1,2,3,8)が被締結部材5に強固に喰い込む。よって、伸縮ボルト(1,2,3,8)と被締結部材5の緩みを確実に防止することができる。
又、第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)の製造においては、第1の実施の形態に係る伸縮ボルトの場合と異なり、可動部1の内部に雌ネジ11を加工して形成する必要がない。そのため、アウターボルト(1,2,3)に一連の孔(11b,12b,13b)を形成するだけで済む。
又、市場に流通しているプッシュターンリベットに類似した機構をギャップ変位機構8として用いることが可能である。よって伸縮自在のボルトを製造することが更に容易になる。第2の実施の形態に係る伸縮ボルト(1,2,3,8)の他の効果については、第1の実施の形態に係る伸縮ボルトの場合と同様である。
(第2の実施の形態の変形例)
図11〜図13に示した伸縮ボルト(1,2,3,8)では、ギャップ変位機構8としてプッシュターンリベットに類似した機構を用いて伸縮ボルト(1,2,3,8)の軸部(1,2)を短縮させた。しかしプッシュターンリベットに類似した機構以外であっても、第2の実施の形態に係るギャップ変位機構を実現できる。
図14に示すように、第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)には、可動部1、固定部2及び頭部3に亘って、同軸かつ略同径の孔が同一直線上に揃えて設けられ、一連の孔(11c,12c,13c)が形成されている。図14に示したボルトの軸部(1,2)の可動部1の駆動孔11cは、第1の対向平面S1と内部の間に形成され、ネジ先までは貫通していない。一連の孔(11c,12c,13c)の内面にはいずれもネジ山は形成されておらず、平坦である。
第2の実施の形態の変形例に係るギャップ変位機構(9,21,22)は、略円柱状の軸体9を備える。又、ギャップ変位機構(9,21,22)は、軸体9の伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3側の端部に取り付けられ、軸体9の伸縮ボルト(1,2,3,9)に対する第1の取り付け位置を固定する第1止め輪21を備える。
又、ギャップ変位機構(9,21,22)は、図16に示すように、軸体9の伸縮ボルト(1,2,3,9)に対する第2の取り付け位置を固定するために第1止め輪21と択一的に選択される第1止め輪21より軸方向の厚みが大きな第2止め輪22を備える。第2止め輪22は、軸体9の伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3側の端部に取り付けられている。
軸体9は、略円柱状の本体91と、この本体91の伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3側の端部に設けられた本体91より小径の略円柱状の首部92と、この首部92の本体91と反対側の端部に設けられた首部92より大径の略円板状の頭部93とを有する。
第1止め輪21は、例えば、内側に軸体9の首部92の径と略同径の孔が形成されたC形止め輪、E形止め輪、グリップ止め輪、クリセント止め輪等の円環状の部材で実現できる。第1止め輪21は、伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3に対して着脱自在にすることができる。具体的には例えば、図示を省略するが、伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3の端面側の底面(周面)に、伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3の端面との間で互いに嵌合する突起部及び凹部等が第1止め輪21に形成する。
更に第1止め輪21は、円環の孔の内側面に、軸体9の首部92の外側面との間で互いに嵌合する突起部及び凹部等が形成されることにより、軸体9に対しても着脱自在にできる。
第2止め輪22は、第1止め輪21と同様に、内側に軸体9の首部92の径と略同径の孔が形成されたC形止め輪等の円環状の部材である。第2止め輪22は、円環の孔の内側面に、軸体9の首部92の外側面との間で互いに嵌合する、図示を省略した突起部及び凹部等が形成されることにより、軸体9に対して着脱自在にできる。
ギャップ変位機構(9,21,22)の軸体9は、伸縮ボルト(1,2,3,9)の一連の孔(11c,12c,13c)に亘って差し込まれている。可動部1の駆動孔11cの内側では、軸体9の本体91の外側面は接着等により結合され軸体9は可動部1と一体化された動作をする。
又、軸体9の本体91の外側面は固定部2の第1ガイド孔12c及び頭部3の第2ガイド孔13cの内側では、固定部2を結合されておらず、軸体9の本体91の外側面と第1ガイド孔12c及び第2ガイド孔13cの内側面とは滑らかに摺動する。
そのため軸体9の本体91に、第1止め輪21及び第2止め輪22のいずれもが取り付けられていない場合、可動部1はギャップ変位機構(9,21,22)の軸体9の軸方向の変位に連動して移動可能である。第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)の一連の孔(11c,12c,13c)及びギャップ変位機構(9,21,22)以外の他の構成については、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)のそれぞれ対応する構成と等価であるため、重複説明を省略する。
第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)においては、図14に示すように、伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3及び軸体9の首部92に第1止め輪21を取り付ける。そして第1止め輪21を取り付けることにより、軸体9を伸縮ボルト(1,2,3,9)の第1の取り付け位置に固定し、可動部1及び固定部2を、幅wの可変ギャップを介して対向させる。
一方、図15に示すように第1止め輪21を軸体9から取り外し、頭部93及び首部92をつまんで軸体9を伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3の外側に引き出すように変位させれば、軸体9の変位に連動して可動部1が後退し可動部1と固定部2とが接触する。
軸体9の頭部93が、伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3より外側に突出するので、軸体9の頭部93と伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3の間の距離が、図14に示した伸長状態の場合の距離より長くなる。図16に示すように、距離が長くなった軸体9の頭部93と伸縮ボルト(1,2,3,9)の頭部3の間に第2止め輪22を取り付ければ、軸体9を伸縮ボルト(1,2,3,9)の第2の取り付け位置に固定できる。以上の一連の動作により、第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)の短縮状態が完成する。
第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)においても、図1〜図6に示した伸縮ボルト(1,2,3,4)と同様に、ギャップ変位機構(9,21,22)により伸縮ボルト(1,2,3,9)が短縮する。そのため、可動部1のネジ山1a〜1gの圧力側フランクと、被締結部材5のネジ山との遊びの距離が短くなり、可動部1のネジ山1a〜1gと被締結部材5のネジ山の間で互いに支え受ける圧力が格段に大きくなる。そして、伸縮ボルト(1,2,3,9)が被締結部材5に強固に喰い込むことで、伸縮ボルト(1,2,3,9)と被締結部材5の緩みを確実に防止することができる。
又、第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)においても、図11〜図13に示した伸縮ボルト(1,2,3,8)の場合と同様に、駆動孔11c、第1ガイド孔12c及び第2ガイド孔13cのみを形成すれば済む。また、簡易な部材でギャップ変位機構(9,21,22)を実現可能である。よって、伸縮自在のボルトを容易に製造することができる。第2の実施の形態の変形例に係る伸縮ボルト(1,2,3,9)の他の効果については、第1及び第2の実施の形態に係る伸縮ボルトの場合と同様である。
(他の実施の形態)
本発明は上記のとおり開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになると考えられるべきである。例えば、伸縮ボルトが送り込まれる被締結部材5はナットに限定されず、雌ネジを有する構造であれば、本発明に係る伸縮ボルトと組み合わせることが可能である。
又、図1〜図16で示した伸縮ボルトの頭部3,3aは、いずれも略六角柱状であったが、ギャップ変位機構を設けることができれば、六角柱以外の他の形状であってもよい。
又、図11で示したプッシュターンリベットと類似な伝達ピン84及び図14で示した軸体9は、いずれも円筒形状のものとして説明したが、これらは例示である。例えば多角柱状のように他の形状にすると共に、これらを差し込む伸縮ボルトの頭部3の第2ガイド孔13及び固定部2の第1ガイド孔12の形状もそれぞれ対応して形成すれば、可動部1を後退させるためのギャップ変位機構として用いることが可能である。
又、本発明に係る伸縮ボルトは、図1〜図16で示したようなそれぞれの実施の形態及び変形例の技術的思想を互いに組み合わせて構成してもよい。以上のとおり本発明は、本明細書及び図面に記載していない様々な実施の形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明は、ネジ結合の緩みを確実に防止できるボルトを提供できることから、例えば自動二輪車や自動車等における各種部材の締結に用いられるネジ構造のボルトに適用すれば、特に好適である。特に雌ネジが構造物に埋め込まれているような被締結部材に用いるボルトとして好適である。
1 可動部
1a〜1g ネジ山
1f,1g 進み側フランク(遊び側フランク)
1f,1g 追い側フランク(圧力側フランク)
2 固定部
2a〜2k ネジ山
2h,2l,2m,2n 進み側フランク(遊び側フランク)
2h,2l,2m,2n 追い側フランク(圧力側フランク)
3,3a 頭部
3a 六角穴
4,4a ギャップ変位機構
5 被締結部材
6 突起部
7 凹部
8 ギャップ変位機構
9 ギャップ変位機構
11 雌ネジ
11b,11c 駆動孔
12,12b,12c 第1ガイド孔
13,13a,13b,13c 第2ガイド孔
14,14a 埋め込み孔
15 キャップ孔
17a,17b ビス孔
21 第1止め輪
22 第2止め輪
41,41a 円筒部
42 頭
43 雄ネジ部
46 キャップ
47a,47b ビス
81 第1頭部
82 鞘部
82a,82b 加圧用狭窄部
83 第2頭部
84 伝達ピン
91 本体
92 首部
93 頭部
df,dg,dl,dm 遊びの距離
df,dg 遊びの距離
w 可変ギャップの幅
L1,L2 呼び長さ
S1 第1の対向平面
S2 第2の対向平面
θ 分割角

Claims (1)

  1. 第1の対向平面を切り欠き斜面とする第1の斜切円柱の円筒面にネジ山が設けられた可動部と、
    前記第1の対向平面に可変ギャップを介して対向する第2の対向平面を切り欠き斜面とする第2の斜切円柱の円筒面に前記可動部のネジ山と連続可能なネジ山が設けられると共に前記可動部と組み合わせて略円柱状をなす固定部と、
    前記第1及び第2の斜切円柱が構成する前記略円柱状の軸の方向に沿って前記可動部を前記固定部に対して相対的に移動して前記可変ギャップを変位するギャップ変位機構と、を備え、
    前記可動部と前記固定部でボルトの雄ネジ部を構成し、前記可変ギャップを縮小することにより、前記可動部のネジ山と、前記可動部のネジ山と嵌め合う被締結部材の雌ネジのネジ山との隙間を最小値として、前記雄ネジ部を前記雌ネジに固定することを特徴とする伸縮ボルト。
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