JP2019156723A - 圧縮成形性に優れた賦形剤を用いる、浸透膨潤型口腔内崩壊錠 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形性良好な賦形剤(糖類)を使用して口腔内崩壊錠を製造した際の其の口腔内崩壊時間の遅延等を改善すること。【課題を解決するための手段】圧縮成形性が優れた賦形剤(乳糖等)並びに膨潤型崩壊剤(クロスポピドン等)を含有する口腔内崩壊錠であって、浸透型崩壊剤(カルメロース等)を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠を提供する。当該口腔内崩壊錠は圧縮成形性が優れた賦形剤を含む粉末、膨潤型崩壊剤を含む粉末及び浸透型崩壊剤を含む粉末を混合する工程を介して製造されることが望ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、口腔内崩壊錠の処方及び製造方法に関するものである。
経口投与製剤の剤形として錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤等が知られるが。最も汎用されているものは錠剤である。錠剤には、調剤に際して計数が容易であること、医薬品の苦味や悪臭をマスキングできること、大量生産が可能であって経済性が高いこと等の利点があることが知られる。
錠剤において口腔内崩壊錠は近年よく知られるようになった剤形である。口腔内崩壊錠は唾液程度の少量の水で素早く崩壊する性質をもつことから、その服用時に水を必要とせず、利便性が高いことが一般に知られる。しかしながら口腔内崩壊錠の製造においては成形性が高い賦形剤(乳糖等)を積極的に使用することは崩壊時間を増加させるためにあまり望まれないものとなっている。口腔内崩壊錠の製造においては糖アルコール(特にマンニトール)である賦形剤を使用することの方が一般的である。
本発明は、成形性良好な賦形剤を使用して口腔内崩壊錠を製造した際の其の口腔内崩壊時間の遅延等を改善するための技術的手段を提供することを目的とするものである。
本発明者は、成形性良好な賦形剤を含有する錠剤の処方及び製造方法を鋭意検討した結果、クロスポピドンを含有する錠剤にカルメロースを添加することで口腔内崩壊時間が驚くべきほどに短縮して改善されることを見出した。本発明者はその知見に基づいて、下記の本発明を完成するに至った。
本発明は、圧縮成形性が優れた賦形剤、膨潤(Swelling)型崩壊剤、浸透(毛管現象、Wicking)型崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠の処方及び其の製造方法に関するものであり、その好ましい構成は以下(1)〜(9)において記述されるものである。
(1)圧縮成形性が優れた賦形剤並びに膨潤型崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠であって、浸透型崩壊剤を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
(2)浸透型崩壊剤がカルメロースであることを特徴とする、前記(1)に記載の口腔内崩壊錠。
(3)圧縮成形性が優れた賦形剤が、乳糖(無水乳糖、乳糖水和物等)、白糖、ショ糖及びブドウ糖から選ばれることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の口腔内崩壊錠。
(4)膨潤型崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルスターチから選ばれることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(5)(薬物を含む)造粒物が素錠全重量に対して50.0重量%以上含有される、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(6)腸溶性高分子を含むコーティング顆粒(望ましくはコーティング顆粒100.0重量部に対して腸溶性高分子が15.0〜45.0重量部含有されるもの)を(望ましくは素錠全重量に対して20.0〜80.0重量%)含有する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(7)デュロキセチン塩酸塩である薬物が(望ましくは造粒物中に)含有される、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(8)圧縮成形性が優れた賦形剤を含む粉末、膨潤型崩壊剤を含む粉末及び浸透型崩壊剤を含む粉末を混合する工程を含む、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠を製造する方法。
(9)粒子径が50.0〜250.0μmの範囲内にある賦形剤(1次核粒子)にコーティング(1次コーティング)して得られた顆粒(2次核粒子)を、更にコーティング(2次コーティング)して得られた顆粒(3次核粒子)を、また更にコーティング(3次コーティング)することを介して顆粒を得る工程を含む、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
(1)圧縮成形性が優れた賦形剤並びに膨潤型崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠であって、浸透型崩壊剤を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
(2)浸透型崩壊剤がカルメロースであることを特徴とする、前記(1)に記載の口腔内崩壊錠。
(3)圧縮成形性が優れた賦形剤が、乳糖(無水乳糖、乳糖水和物等)、白糖、ショ糖及びブドウ糖から選ばれることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の口腔内崩壊錠。
(4)膨潤型崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルスターチから選ばれることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(5)(薬物を含む)造粒物が素錠全重量に対して50.0重量%以上含有される、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(6)腸溶性高分子を含むコーティング顆粒(望ましくはコーティング顆粒100.0重量部に対して腸溶性高分子が15.0〜45.0重量部含有されるもの)を(望ましくは素錠全重量に対して20.0〜80.0重量%)含有する、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(7)デュロキセチン塩酸塩である薬物が(望ましくは造粒物中に)含有される、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
(8)圧縮成形性が優れた賦形剤を含む粉末、膨潤型崩壊剤を含む粉末及び浸透型崩壊剤を含む粉末を混合する工程を含む、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の口腔内崩壊錠を製造する方法。
(9)粒子径が50.0〜250.0μmの範囲内にある賦形剤(1次核粒子)にコーティング(1次コーティング)して得られた顆粒(2次核粒子)を、更にコーティング(2次コーティング)して得られた顆粒(3次核粒子)を、また更にコーティング(3次コーティング)することを介して顆粒を得る工程を含む、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
本発明は、成形性良好な賦形剤を使用して口腔内崩壊錠を製造した際の其の口腔内崩壊時間の遅延等を改善することに寄与するものである。
以下で本発明の、圧縮成形性が優れた賦形剤、膨潤型崩壊剤、浸透型崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠の処方及び其の製造方法を詳細に説明する。但し、以下の記載は本発明を説明するための例示であり、本発明の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。
<圧縮成形性が優れた賦形剤>
本発明の口腔内崩壊錠は、圧縮成形性が優れた賦形剤を含有する。圧縮成形性が優れた賦形剤として具体的には、糖類{乳糖(無水乳糖、乳糖水和物等)、白糖、ショ糖及びブドウ糖等}が挙げられ、好ましくは乳糖であり、より好ましくは乳糖水和物である。圧縮成形性が優れた賦形剤は、素錠全重量に対して好ましくは20.0重量%以上、より好ましくは30.0重量%以上、更により好ましくは30.0〜60.0重量%の範囲で素錠中に含有される。圧縮成形性が優れた賦形剤のメディアン径(d50)は10.0〜300.0μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは50.0〜200.0μmの範囲内にあり、更により好ましくは50.0〜100.0μmの範囲内にある。尚、本明細書中のメディアン径等粒子径は一般的に用いられる任意の測定条件・方法によって測定すれば良く、例えばレーザー回析・散乱法によって測定(乾式測定、体積基準)することが可能である。
本発明の口腔内崩壊錠は、圧縮成形性が優れた賦形剤を含有する。圧縮成形性が優れた賦形剤として具体的には、糖類{乳糖(無水乳糖、乳糖水和物等)、白糖、ショ糖及びブドウ糖等}が挙げられ、好ましくは乳糖であり、より好ましくは乳糖水和物である。圧縮成形性が優れた賦形剤は、素錠全重量に対して好ましくは20.0重量%以上、より好ましくは30.0重量%以上、更により好ましくは30.0〜60.0重量%の範囲で素錠中に含有される。圧縮成形性が優れた賦形剤のメディアン径(d50)は10.0〜300.0μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは50.0〜200.0μmの範囲内にあり、更により好ましくは50.0〜100.0μmの範囲内にある。尚、本明細書中のメディアン径等粒子径は一般的に用いられる任意の測定条件・方法によって測定すれば良く、例えばレーザー回析・散乱法によって測定(乾式測定、体積基準)することが可能である。
<膨潤型崩壊剤>
本発明の口腔内崩壊錠は、膨潤型崩壊剤を含有する。膨潤型崩壊剤として具体的には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、好ましくはクロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられ、より好ましくはクロスポピドンである。膨潤型崩壊剤は、素錠全重量に対して好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは2.0〜15.0重量%、更により好ましくは2.0〜10.0重量%の範囲で素錠中に含有される。膨潤型崩壊剤は下記の浸透型崩壊剤との組み合わせによって其の崩壊作用が効果的に発揮されることが期待される。そのため、膨潤型崩壊剤を含む粉末(望ましくは膨潤型崩壊剤からなる粉末)に浸透型崩壊剤を含む粉末(望ましくは浸透型崩壊剤からなる粉末)を加えて混合する等の工程によって膨潤型崩壊剤の周囲に浸透型崩壊剤が密接に存在することが望ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、膨潤型崩壊剤を含有する。膨潤型崩壊剤として具体的には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられ、好ましくはクロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられ、より好ましくはクロスポピドンである。膨潤型崩壊剤は、素錠全重量に対して好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは2.0〜15.0重量%、更により好ましくは2.0〜10.0重量%の範囲で素錠中に含有される。膨潤型崩壊剤は下記の浸透型崩壊剤との組み合わせによって其の崩壊作用が効果的に発揮されることが期待される。そのため、膨潤型崩壊剤を含む粉末(望ましくは膨潤型崩壊剤からなる粉末)に浸透型崩壊剤を含む粉末(望ましくは浸透型崩壊剤からなる粉末)を加えて混合する等の工程によって膨潤型崩壊剤の周囲に浸透型崩壊剤が密接に存在することが望ましい。
<浸透型崩壊剤>
本発明の口腔内崩壊錠は、浸透型崩壊剤を含有することを特徴とする。浸透型崩壊剤として具体的には、カルメロース、カルメロースナトリウム、デンプン、α化デンプン、部分α化デンプン、二酸化ケイ素(軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等)等が挙げられ、好ましくはカルメロース又はカルメロースナトリウムであり、より好ましくはカルメロースである。浸透型崩壊剤は、素錠全重量に対して好ましくは2.0重量%以上、より好ましくは4.0〜30.0重量%、更により好ましくは4.0〜20.0重量%の範囲で素錠中に含有される。尚、浸透型崩壊剤は、膨潤型崩壊剤100.0重量部に対して好ましくは200.0重量部以上、より好ましくは300.0〜500.0重量部の範囲で素錠中に含有される。また、浸透型崩壊剤は、圧縮成形性が優れた賦形剤100.0重量部に対して好ましくは10.0重量部以上、より好ましくは15.0〜30.0重量部の範囲で素錠中に含有される。浸透型崩壊剤(カルメロース等)は、崩壊剤としての作用に併せて、結合剤としての作用を副次的に発揮することが期待される。崩壊剤(膨潤型崩壊剤及び浸透型崩壊剤)は、圧縮成形性が優れた賦形剤を含む粉末に当該崩壊剤を含む粉末(望ましくは当該崩壊剤からなる粉末)を加えて混合する等の工程によって当該賦形剤の周囲に密接に存在するようにされることが望ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、浸透型崩壊剤を含有することを特徴とする。浸透型崩壊剤として具体的には、カルメロース、カルメロースナトリウム、デンプン、α化デンプン、部分α化デンプン、二酸化ケイ素(軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等)等が挙げられ、好ましくはカルメロース又はカルメロースナトリウムであり、より好ましくはカルメロースである。浸透型崩壊剤は、素錠全重量に対して好ましくは2.0重量%以上、より好ましくは4.0〜30.0重量%、更により好ましくは4.0〜20.0重量%の範囲で素錠中に含有される。尚、浸透型崩壊剤は、膨潤型崩壊剤100.0重量部に対して好ましくは200.0重量部以上、より好ましくは300.0〜500.0重量部の範囲で素錠中に含有される。また、浸透型崩壊剤は、圧縮成形性が優れた賦形剤100.0重量部に対して好ましくは10.0重量部以上、より好ましくは15.0〜30.0重量部の範囲で素錠中に含有される。浸透型崩壊剤(カルメロース等)は、崩壊剤としての作用に併せて、結合剤としての作用を副次的に発揮することが期待される。崩壊剤(膨潤型崩壊剤及び浸透型崩壊剤)は、圧縮成形性が優れた賦形剤を含む粉末に当該崩壊剤を含む粉末(望ましくは当該崩壊剤からなる粉末)を加えて混合する等の工程によって当該賦形剤の周囲に密接に存在するようにされることが望ましい。
<薬物>
本発明の口腔内崩壊錠に含有される薬物として、例えばデュロキセチン若しくは其の塩(特にデュロキセチン塩酸塩を示す。本明細書中において同じ。)、エソメプラゾール又は其の塩(特にエソメプラゾールマグネシウム水和物を示す。本明細書中において同じ。)、オメプラゾール、ラベプラゾール若しくは其の塩(特にラベプラゾールナトリウムを示す。本明細書中において同じ。)及びランソプラゾール等が挙げられるが、好ましくはデュロキセチン若しくは其の塩又はエソメプラゾール若しくは其の塩であり、最も好ましくはデュロキセチン若しくは其の塩である。
薬物(特にデュロキセチン若しくは其の塩を示す。本明細書中において同じ。)のメディアン径(d50)は1.0〜50.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜10.0μmである。デュロキセチン塩酸塩は、必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。薬物は、素錠の全重量に対して1.0〜50.0重量%、好ましくは3.0〜15.0重量%の範囲で素錠中に含有される。デュロキセチン塩酸塩は1錠あたりに22.4mg(デュロキセチンとして20mg)又は33.7mg(デュロキセチンとして30mg)含有されることが望ましい。
本発明の口腔内崩壊錠に含有される薬物として、例えばデュロキセチン若しくは其の塩(特にデュロキセチン塩酸塩を示す。本明細書中において同じ。)、エソメプラゾール又は其の塩(特にエソメプラゾールマグネシウム水和物を示す。本明細書中において同じ。)、オメプラゾール、ラベプラゾール若しくは其の塩(特にラベプラゾールナトリウムを示す。本明細書中において同じ。)及びランソプラゾール等が挙げられるが、好ましくはデュロキセチン若しくは其の塩又はエソメプラゾール若しくは其の塩であり、最も好ましくはデュロキセチン若しくは其の塩である。
薬物(特にデュロキセチン若しくは其の塩を示す。本明細書中において同じ。)のメディアン径(d50)は1.0〜50.0μmが好ましく、より好ましくは1.0〜10.0μmである。デュロキセチン塩酸塩は、必要に応じて適宜乾式又は湿式粉砕を行い、任意の粒子径に調整することも可能である。薬物は、素錠の全重量に対して1.0〜50.0重量%、好ましくは3.0〜15.0重量%の範囲で素錠中に含有される。デュロキセチン塩酸塩は1錠あたりに22.4mg(デュロキセチンとして20mg)又は33.7mg(デュロキセチンとして30mg)含有されることが望ましい。
<錠剤の形態>
本発明の口腔内崩壊錠は、打錠等により圧縮成形された素錠(圧縮成形錠剤)乃至は当該素錠の周囲にコーティング層を設けたコーティング錠であるが、素錠であることが好ましい。尚、口腔内崩壊錠とは、口腔内に存在する唾液のみによって其の崩壊並びに嚥下が可能なもの(=水なしで服用可能なもの)として患者に提供して服用される錠剤であり、口腔内での崩壊時間については60秒以内(より好ましくは40秒以内で、更により好ましくは30秒以内)であることが望ましい。口腔内での崩壊時間は、例えば、錠剤を舌の上に乗せて唾液を浸潤させた際に其の崩壊にかかる時間を測定して求めたり、口腔内崩壊錠試験機(例:OD−mate/樋口商会)を用いて試験液:水(37℃)の条件における錠剤が崩壊する時間を測定して求めてもよく、またこれ以外の本発明が属する分野の当業者が口腔内での崩壊時間を測定するために一般的に行い得る方法によって求めてもよい。本発明で得られる錠剤の形状は、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や異形錠等のいずれの形状でもよいが、好ましくは円形錠である。本発明の錠剤の重量は200〜500mgの範囲内にあることが好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、打錠等により圧縮成形された素錠(圧縮成形錠剤)乃至は当該素錠の周囲にコーティング層を設けたコーティング錠であるが、素錠であることが好ましい。尚、口腔内崩壊錠とは、口腔内に存在する唾液のみによって其の崩壊並びに嚥下が可能なもの(=水なしで服用可能なもの)として患者に提供して服用される錠剤であり、口腔内での崩壊時間については60秒以内(より好ましくは40秒以内で、更により好ましくは30秒以内)であることが望ましい。口腔内での崩壊時間は、例えば、錠剤を舌の上に乗せて唾液を浸潤させた際に其の崩壊にかかる時間を測定して求めたり、口腔内崩壊錠試験機(例:OD−mate/樋口商会)を用いて試験液:水(37℃)の条件における錠剤が崩壊する時間を測定して求めてもよく、またこれ以外の本発明が属する分野の当業者が口腔内での崩壊時間を測定するために一般的に行い得る方法によって求めてもよい。本発明で得られる錠剤の形状は、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や異形錠等のいずれの形状でもよいが、好ましくは円形錠である。本発明の錠剤の重量は200〜500mgの範囲内にあることが好ましい。
<添加剤>
本発明の錠剤を製造するためには、上記の添加剤に加えて、一般的に使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可塑剤、矯味剤、コーティング剤等の添加剤を使用することができる。尚、本明細書において、各種添加剤(結合剤、可塑剤、コーティング剤等)の語句の解釈は其々、製剤化において其の添加剤としての役割を発揮することが必須に期待されて使用されるもので結果的に其の添加剤としての役割が発揮されるもの、と解することが好ましい。また、本明細書における添加剤の語句の解釈において、当然であるが原薬が含まれることはない。
本発明の錠剤を製造するためには、上記の添加剤に加えて、一般的に使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、可塑剤、矯味剤、コーティング剤等の添加剤を使用することができる。尚、本明細書において、各種添加剤(結合剤、可塑剤、コーティング剤等)の語句の解釈は其々、製剤化において其の添加剤としての役割を発揮することが必須に期待されて使用されるもので結果的に其の添加剤としての役割が発揮されるもの、と解することが好ましい。また、本明細書における添加剤の語句の解釈において、当然であるが原薬が含まれることはない。
<賦形剤>
賦形剤として、具体的には糖類{乳糖(無水乳糖、乳糖水和物等)、白糖、ショ糖及びブドウ糖等}、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール(マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール等)、デンプン(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等)、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デキストリン等を挙げる事ができ、好ましくは糖類又は結晶セルロースであり、より好ましくは糖類及び結晶セルロースである。当該糖類として好ましくは乳糖であり、より好ましくは乳糖水和物である。賦形剤は、素錠の全重量に対して好ましくは30.0〜99.0重量%、より好ましくは50.0〜80.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
賦形剤として、具体的には糖類{乳糖(無水乳糖、乳糖水和物等)、白糖、ショ糖及びブドウ糖等}、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、糖アルコール(マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール等)、デンプン(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等)、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デキストリン等を挙げる事ができ、好ましくは糖類又は結晶セルロースであり、より好ましくは糖類及び結晶セルロースである。当該糖類として好ましくは乳糖であり、より好ましくは乳糖水和物である。賦形剤は、素錠の全重量に対して好ましくは30.0〜99.0重量%、より好ましくは50.0〜80.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<結合剤>
結合剤として、具体的にはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、メチルセルロース、ポビドン、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液等を挙げる事ができ、好ましくはヒプロメロースである。結合剤は、素錠の全重量に対して0.5重量%以上の範囲で素錠中に含有される。
結合剤として、具体的にはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、メチルセルロース、ポビドン、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液等を挙げる事ができ、好ましくはヒプロメロースである。結合剤は、素錠の全重量に対して0.5重量%以上の範囲で素錠中に含有される。
<コーティング剤>
コーティング剤として、上記の結合剤として挙げられた添加剤に加え、タルク、腸溶性高分子である添加剤を挙げることができ、好ましくはヒプロメロース、タルク及びセルロース誘導体(特にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート)である腸溶性高分子である。腸溶性高分子である添加剤として、具体的には、メタクリル酸コポリマー(例えばメタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS等)があり、更にセルロース誘導体である腸溶性高分子として、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース等を挙げる事ができる。コーティング剤は、素錠の全重量に対して2.0〜70.0重量%、好ましくは5.0〜30.0重量%の範囲で素錠中に含有される。尚、タルクは、コーティング工程中にある錠剤の粘着性を低減させるため、コーティング液に加えられるものである。
コーティング剤として、上記の結合剤として挙げられた添加剤に加え、タルク、腸溶性高分子である添加剤を挙げることができ、好ましくはヒプロメロース、タルク及びセルロース誘導体(特にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート)である腸溶性高分子である。腸溶性高分子である添加剤として、具体的には、メタクリル酸コポリマー(例えばメタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS等)があり、更にセルロース誘導体である腸溶性高分子として、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース等を挙げる事ができる。コーティング剤は、素錠の全重量に対して2.0〜70.0重量%、好ましくは5.0〜30.0重量%の範囲で素錠中に含有される。尚、タルクは、コーティング工程中にある錠剤の粘着性を低減させるため、コーティング液に加えられるものである。
<オーバーコーティング剤>
コーティング剤として、糖(ブドウ糖、白糖、乳糖、トレハロース、デキストラン、デキストリン等)、糖アルコール(マンニトール、イソマルト、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等)も挙げることができるが、これらはオーバーコーティング{顆粒の表面に糖類系添加物(糖類や糖アルコール)等の低粘度の医薬添加物から主になるコーティング層を形成すること}の際に用いられることが望ましい。オーバーコーティング用のコーティング剤としては、マンニトール又は乳糖が好ましい。
コーティング剤として、糖(ブドウ糖、白糖、乳糖、トレハロース、デキストラン、デキストリン等)、糖アルコール(マンニトール、イソマルト、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等)も挙げることができるが、これらはオーバーコーティング{顆粒の表面に糖類系添加物(糖類や糖アルコール)等の低粘度の医薬添加物から主になるコーティング層を形成すること}の際に用いられることが望ましい。オーバーコーティング用のコーティング剤としては、マンニトール又は乳糖が好ましい。
<崩壊剤>
崩壊剤として、具体的には、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等を挙げる事ができる。崩壊剤は、素錠の全重量に対して好ましくは1.0〜30.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
崩壊剤として、具体的には、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等を挙げる事ができる。崩壊剤は、素錠の全重量に対して好ましくは1.0〜30.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<滑沢剤>
滑沢剤として、具体的には軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、硬化油等を挙げる事ができ、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。滑沢剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
滑沢剤として、具体的には軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、硬化油等を挙げる事ができ、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。滑沢剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.1〜5.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<可塑剤>
可塑剤として、具体的にはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリンモノステアレート、ゴマ油、ヒマシ油、綿実油・ダイズ油混合物、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリソルベート80、ステアリン酸等を挙げる事ができ、好ましくはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリンモノステアレート、マクロゴール、ポリソルベート80、ステアリン酸等から選ばれ、より好ましくはクエン酸トリエチルである。可塑剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
可塑剤として、具体的にはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリンモノステアレート、ゴマ油、ヒマシ油、綿実油・ダイズ油混合物、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、マクロゴール、ポリソルベート80、ステアリン酸等を挙げる事ができ、好ましくはクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリンモノステアレート、マクロゴール、ポリソルベート80、ステアリン酸等から選ばれ、より好ましくはクエン酸トリエチルである。可塑剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<矯味剤>
矯味剤として、具体的にはアスコルビン酸、L−アスパラギン酸、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン等を挙げる事ができる。矯味剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
矯味剤として、具体的にはアスコルビン酸、L−アスパラギン酸、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ソーマチン等を挙げる事ができる。矯味剤は、素錠の全重量に対して好ましくは0.5〜2.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
<遮光剤>
遮光剤として、具体的には酸化チタン及び酸化鉄(黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄等)等を挙げる事ができる。遮光剤は、錠剤の全重量に対して好ましくは0.5〜20.0重量%、より好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲で錠剤中に含有される。
遮光剤として、具体的には酸化チタン及び酸化鉄(黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄等)等を挙げる事ができる。遮光剤は、錠剤の全重量に対して好ましくは0.5〜20.0重量%、より好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲で錠剤中に含有される。
<造粒物>
本発明の口腔内崩壊錠は、造粒物を含有することが望ましい。造粒物は、薬物を含むもの(望ましくは薬物を含む下記コーティング顆粒を更に含むもの)であって、素錠の全重量に対して好ましくは50.0重量以上、より好ましくは65.0重量%以上、更により好ましくは80.0重量%以上、最も好ましくは85.0〜95.0重量%の範囲で素錠中に含有される。本発明の口腔内崩壊錠は、造粒物(下記のコーティング顆粒が望ましい。)を賦形剤と共にデンプン系添加剤(デンプン、部分α化デンプン、アルファー化デンプン等)を結合剤として用いて更に造粒(本明細書において希釈造粒と呼ぶ。)して製造される造粒物(本明細書において希釈造粒物と呼ぶ。)を含有することがより望ましい。本発明の口腔内崩壊錠において浸透型崩壊剤(望ましくは膨潤型崩壊剤も併せて)は造粒物の外に含有されることが望ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、造粒物を含有することが望ましい。造粒物は、薬物を含むもの(望ましくは薬物を含む下記コーティング顆粒を更に含むもの)であって、素錠の全重量に対して好ましくは50.0重量以上、より好ましくは65.0重量%以上、更により好ましくは80.0重量%以上、最も好ましくは85.0〜95.0重量%の範囲で素錠中に含有される。本発明の口腔内崩壊錠は、造粒物(下記のコーティング顆粒が望ましい。)を賦形剤と共にデンプン系添加剤(デンプン、部分α化デンプン、アルファー化デンプン等)を結合剤として用いて更に造粒(本明細書において希釈造粒と呼ぶ。)して製造される造粒物(本明細書において希釈造粒物と呼ぶ。)を含有することがより望ましい。本発明の口腔内崩壊錠において浸透型崩壊剤(望ましくは膨潤型崩壊剤も併せて)は造粒物の外に含有されることが望ましい。
<コーティング顆粒>
本発明の口腔内崩壊錠は、コーティング顆粒(望ましくは腸溶性高分子を含むもの)を含有することが特に望ましい。当該コーティング顆粒の製造において、核粒子は賦形剤、造粒物又はコーティング顆粒を用いることができるが、好ましくは賦形剤又は賦形剤を核粒子として1回以上コーティングした顆粒である。特に好ましいコーティング顆粒は、賦形剤(1次核粒子)にコーティング(1次コーティング)したもの(2次核粒子)を更にコーティング(2次コーティング)したもの(3次核粒子)をまた更にコーティング(3次コーティング)したものであり、より特に好ましくは、当該3次コーティングしたものを改めてコーティング(4次コーティング)したものである。
上記の各コーティングによって形成される各コーティング層には、1次コーティングの場合には薬物(望ましくは腸溶性高分子ではないコーティング剤と併せて)が含まれるように(薬物レイヤリング層)、2次コーティングの場合には腸溶性高分子ではないコーティング剤(望ましくは遮光剤又はタルクと併せて)を含んで腸溶性高分子及び薬物が含まれないように(バリア層)、3次コーティングの場合には腸溶性高分子であるコーティング剤(望ましくはタルクと併せて)が含まれるように(溶出制御層)、4次コーティングの場合には糖類系添加物が含まれるように(オーバーコーティング層)してあることが望ましい。
前記コーティング層は一の層だけを指す場合以外に、隣接する二以上の層をまとめて指す場合を含む。一のコーティング層は空間的な隔たりをもたない均質なコーティング層(即ち、一のコーティング液から形成されたコーティング層)の全体を指す。核粒子となる賦形剤として、結晶セルロース、マンニトール、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム等が挙げられるが、特に結晶セルロースが望ましい。核粒子の粒子径は、望ましくは300.0μm以下、より望ましくは80.0〜250.0μmの範囲内にあることが望ましい。腸溶性高分子ではないコーティング剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられるが、特にヒプロメロースが望ましい。
当該コーティング顆粒は素錠の全重量に対して20.0〜80.0重量%、好ましくは30.0〜70.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
当該コーティング顆粒は、其の100.0重量部に対して賦形剤(1次核粒子)が2.0〜20.0重量部、好ましくは5.0〜15.0重量部、薬物が5.0〜40.0重量部、好ましくは15.0〜25.0重量部、コーティング剤(腸溶性高分子であるもの含む。)が30.0重量部以上、好ましくは40.0〜80.0重量部、腸溶性高分子であるコーティング剤が10.0重量部以上、好ましくは15.0〜45.0重量部、より好ましくは25.0〜35.0重量部、遮光剤を2.0重量部以上、好ましくは5.0〜15.0重量部含有する。本明細書においてコーティング顆粒とは造粒物の一種であると扱う。
本発明の口腔内崩壊錠は、コーティング顆粒(望ましくは腸溶性高分子を含むもの)を含有することが特に望ましい。当該コーティング顆粒の製造において、核粒子は賦形剤、造粒物又はコーティング顆粒を用いることができるが、好ましくは賦形剤又は賦形剤を核粒子として1回以上コーティングした顆粒である。特に好ましいコーティング顆粒は、賦形剤(1次核粒子)にコーティング(1次コーティング)したもの(2次核粒子)を更にコーティング(2次コーティング)したもの(3次核粒子)をまた更にコーティング(3次コーティング)したものであり、より特に好ましくは、当該3次コーティングしたものを改めてコーティング(4次コーティング)したものである。
上記の各コーティングによって形成される各コーティング層には、1次コーティングの場合には薬物(望ましくは腸溶性高分子ではないコーティング剤と併せて)が含まれるように(薬物レイヤリング層)、2次コーティングの場合には腸溶性高分子ではないコーティング剤(望ましくは遮光剤又はタルクと併せて)を含んで腸溶性高分子及び薬物が含まれないように(バリア層)、3次コーティングの場合には腸溶性高分子であるコーティング剤(望ましくはタルクと併せて)が含まれるように(溶出制御層)、4次コーティングの場合には糖類系添加物が含まれるように(オーバーコーティング層)してあることが望ましい。
前記コーティング層は一の層だけを指す場合以外に、隣接する二以上の層をまとめて指す場合を含む。一のコーティング層は空間的な隔たりをもたない均質なコーティング層(即ち、一のコーティング液から形成されたコーティング層)の全体を指す。核粒子となる賦形剤として、結晶セルロース、マンニトール、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム等が挙げられるが、特に結晶セルロースが望ましい。核粒子の粒子径は、望ましくは300.0μm以下、より望ましくは80.0〜250.0μmの範囲内にあることが望ましい。腸溶性高分子ではないコーティング剤として、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられるが、特にヒプロメロースが望ましい。
当該コーティング顆粒は素錠の全重量に対して20.0〜80.0重量%、好ましくは30.0〜70.0重量%の範囲で素錠中に含有される。
当該コーティング顆粒は、其の100.0重量部に対して賦形剤(1次核粒子)が2.0〜20.0重量部、好ましくは5.0〜15.0重量部、薬物が5.0〜40.0重量部、好ましくは15.0〜25.0重量部、コーティング剤(腸溶性高分子であるもの含む。)が30.0重量部以上、好ましくは40.0〜80.0重量部、腸溶性高分子であるコーティング剤が10.0重量部以上、好ましくは15.0〜45.0重量部、より好ましくは25.0〜35.0重量部、遮光剤を2.0重量部以上、好ましくは5.0〜15.0重量部含有する。本明細書においてコーティング顆粒とは造粒物の一種であると扱う。
<コーティング顆粒の製造方法>
本発明に係るコーティング顆粒の製造方法の具体的な例として、微粒子コーティング法を用いたものが挙げられる。前記の製造方法の操作法に困難はなく、常法にしたがって容易に目的のコーティング顆粒を製造することができる。例えば微粒子コーティング法を用いた製造方法では、流動層造粒機中で流動させた賦形剤に、薬物(望ましくは腸溶性高分子ではないコーティング剤と併せて)を含有するコーティング液を噴霧・乾燥した上で、更に非腸溶性の添加剤(望ましくは遮光剤又はタルクと併せて)を含むコーティング液を噴霧・乾燥し、また更に腸溶性高分子(望ましくはタルクと併せて)を含むコーティング液を噴霧・乾燥し、最後に糖類系添加物を含むコーティング液を噴霧・乾燥することで、目的のコーティング顆粒を製造することができる。コーティング顆粒を、他の賦形剤、崩壊剤及び滑沢剤と共に打錠して本発明の口腔内崩壊錠を製造することが可能である。打錠する際の打圧は、好ましくは500kgf以上、より好ましくは800〜1200kgfである。打錠時における打錠機の回転盤回転数は10〜70rpmにして高速打錠すればよい。
コーティングとは、以下の意味に限定されないが、特には、流動層造粒機中で流動化されている核粒子となるものの全重量部に対して50.0重量部以上の薬物又は添加剤を分散又は溶解させたコーティング液を噴霧しながら乾燥すること、更に核粒子が既にコーティングにより得られた顆粒(即ち、比表面積が十分に低いもの。)である場合には、流動層造粒機中で流動化されているコーティング顆粒のみにその全重量部に対して1.0重量部以上の薬物又は添加剤を分散又は溶解させたコーティング液を噴霧しながら乾燥することを指す。
コーティング液は薬物又は添加剤を水又は有機溶媒に分散又は溶解させたものである。本明細書においてコーティングは造粒の一種であると扱う。
本発明に係るコーティング顆粒の製造方法の具体的な例として、微粒子コーティング法を用いたものが挙げられる。前記の製造方法の操作法に困難はなく、常法にしたがって容易に目的のコーティング顆粒を製造することができる。例えば微粒子コーティング法を用いた製造方法では、流動層造粒機中で流動させた賦形剤に、薬物(望ましくは腸溶性高分子ではないコーティング剤と併せて)を含有するコーティング液を噴霧・乾燥した上で、更に非腸溶性の添加剤(望ましくは遮光剤又はタルクと併せて)を含むコーティング液を噴霧・乾燥し、また更に腸溶性高分子(望ましくはタルクと併せて)を含むコーティング液を噴霧・乾燥し、最後に糖類系添加物を含むコーティング液を噴霧・乾燥することで、目的のコーティング顆粒を製造することができる。コーティング顆粒を、他の賦形剤、崩壊剤及び滑沢剤と共に打錠して本発明の口腔内崩壊錠を製造することが可能である。打錠する際の打圧は、好ましくは500kgf以上、より好ましくは800〜1200kgfである。打錠時における打錠機の回転盤回転数は10〜70rpmにして高速打錠すればよい。
コーティングとは、以下の意味に限定されないが、特には、流動層造粒機中で流動化されている核粒子となるものの全重量部に対して50.0重量部以上の薬物又は添加剤を分散又は溶解させたコーティング液を噴霧しながら乾燥すること、更に核粒子が既にコーティングにより得られた顆粒(即ち、比表面積が十分に低いもの。)である場合には、流動層造粒機中で流動化されているコーティング顆粒のみにその全重量部に対して1.0重量部以上の薬物又は添加剤を分散又は溶解させたコーティング液を噴霧しながら乾燥することを指す。
コーティング液は薬物又は添加剤を水又は有機溶媒に分散又は溶解させたものである。本明細書においてコーティングは造粒の一種であると扱う。
また、包装用シートとアルミ箔等で錠剤を挟んで覆い、加熱シールすることで、本発明の錠剤を含むPTPシート製品を得ることは可能である。其の包装用シートに使用される具体的な素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。尚、湿度に対する本発明の錠剤の安定性を改善するためには、乾燥機能を有した素材を用いてPTPシート製品を製造したり、PTPシート製品をアルミピロー包装したり、乾燥剤を錠剤と共に瓶に封入する等の周知の方法を行うことが可能である。
以下に実施例等により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。尚、実施例1、2及び比較例1の錠剤製造に使用されたデュロキセチン塩酸塩は、粒度分布がd10=2.0、d50=7.0、d90=18.0{レーザー回析・散乱法によって測定(体積基準)}であることが確認された。
[試験例1]成形性良好な賦形剤を含有した錠剤の口腔内崩壊性試験
結晶セルロース(セルフィア(登録商標)CP−203/旭化成社製)、乳糖水和物(ダイラクトーズ(登録商標)R/フロイント社製、d50:171μm)、クロスポピドン及びステアリン酸マグネシウムを、その他崩壊剤(表1記載のいずれか)を加えずに又は加えた上で、混合機で混合した。其の混合末を打錠機で圧縮成形(直径:10.5mm)して1錠重量400mgの錠剤を得た。
上記の各錠剤を口腔内に含み、其の口腔内における崩壊速度を3段階(良好、普通、不良のいずれか)で評価した。その評価結果は下記の表1に示す。
結晶セルロース(セルフィア(登録商標)CP−203/旭化成社製)、乳糖水和物(ダイラクトーズ(登録商標)R/フロイント社製、d50:171μm)、クロスポピドン及びステアリン酸マグネシウムを、その他崩壊剤(表1記載のいずれか)を加えずに又は加えた上で、混合機で混合した。其の混合末を打錠機で圧縮成形(直径:10.5mm)して1錠重量400mgの錠剤を得た。
上記の各錠剤を口腔内に含み、其の口腔内における崩壊速度を3段階(良好、普通、不良のいずれか)で評価した。その評価結果は下記の表1に示す。
表1の結果から、乳糖(圧縮成形性が優れた賦形剤)並びにクロスポピドン(膨潤型崩壊剤)を含有する錠剤について、他の崩壊剤を含有しない錠剤や表1記載のカルメロース以外の他の崩壊剤を含有する錠剤と比べて、カルメロース(浸透型崩壊剤)を含有する錠剤は口腔内の崩壊速度が良好であることが示された。
[実施例1]デュロキセチン塩酸塩を含有する口腔内崩壊錠
A:薬物レイヤリング層)結晶セルロース(セルフィア(登録商標)CP−102/旭化成社製、粒子径:106〜212μm)500.0gを噴流流動層造粒機(MP−01−SPC型/パウレック社製)に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース250.0gを精製水6250gに溶解した液に、デュロキセチン塩酸塩1120.0gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Aを得た。
B:バリア層)得られた顆粒A748.0gを噴流流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース76.0gを精製水1900gに溶解した液にタルク152.0g、及び酸化チタン152.0gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Bを得た。
C:溶出制御層)前記で得られた顆粒B564.0gを噴流流動層造粒機に投入し、精製水8750gにヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート500.0gを分散・懸濁後、10%アンモニア水135.0gを添加し、溶解を確認後、タルク160.0gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Cを得た。
D:フィニッシング層)前記で得られた顆粒C612.0gを噴流流動層造粒機に投入し、乳糖水和物(乳糖水和物200M/DSP五協フード&ケミカル社製)25.0gを精製水187.5gに溶解した液に黄色三二酸化鉄0.5g、及び軽質無水ケイ酸6.25gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Dを得た。
E:造粒工程)前記で得られた顆粒D257.5g、乳糖水和物(ダイラクトーズ(登録商標)F/フロイント社製、d50:64μm)345.7g、結晶セルロース160.0gを噴流流動層造粒機に投入して、トウモロコシデンプン8.0gを精製水192.0gに加熱溶解した液に黄色三二酸化鉄0.8gを分散・懸濁させた液を噴霧添加し、造粒物Eを得た。
F:混合・打錠工程)前記で得られた造粒物E772.0gに、クロスポビドン24.0g、カルメロース80.0g、ステアリン酸マグネシウム4.0gを加えて混合機で混合した。其の混合末を打錠機で打圧1000kgfで圧縮成形(直径:10.5mm)して1錠重量440mgの円形錠剤(口腔内崩壊錠)を得た。
A:薬物レイヤリング層)結晶セルロース(セルフィア(登録商標)CP−102/旭化成社製、粒子径:106〜212μm)500.0gを噴流流動層造粒機(MP−01−SPC型/パウレック社製)に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース250.0gを精製水6250gに溶解した液に、デュロキセチン塩酸塩1120.0gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Aを得た。
B:バリア層)得られた顆粒A748.0gを噴流流動層造粒機に投入し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース76.0gを精製水1900gに溶解した液にタルク152.0g、及び酸化チタン152.0gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Bを得た。
C:溶出制御層)前記で得られた顆粒B564.0gを噴流流動層造粒機に投入し、精製水8750gにヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート500.0gを分散・懸濁後、10%アンモニア水135.0gを添加し、溶解を確認後、タルク160.0gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Cを得た。
D:フィニッシング層)前記で得られた顆粒C612.0gを噴流流動層造粒機に投入し、乳糖水和物(乳糖水和物200M/DSP五協フード&ケミカル社製)25.0gを精製水187.5gに溶解した液に黄色三二酸化鉄0.5g、及び軽質無水ケイ酸6.25gを分散・懸濁させた液を噴霧し、コーティング顆粒Dを得た。
E:造粒工程)前記で得られた顆粒D257.5g、乳糖水和物(ダイラクトーズ(登録商標)F/フロイント社製、d50:64μm)345.7g、結晶セルロース160.0gを噴流流動層造粒機に投入して、トウモロコシデンプン8.0gを精製水192.0gに加熱溶解した液に黄色三二酸化鉄0.8gを分散・懸濁させた液を噴霧添加し、造粒物Eを得た。
F:混合・打錠工程)前記で得られた造粒物E772.0gに、クロスポビドン24.0g、カルメロース80.0g、ステアリン酸マグネシウム4.0gを加えて混合機で混合した。其の混合末を打錠機で打圧1000kgfで圧縮成形(直径:10.5mm)して1錠重量440mgの円形錠剤(口腔内崩壊錠)を得た。
[比較例1]
F:混合・打錠工程)実施例1で得られた造粒物E772.0gに、クロスポビドン24.0g、ステアリン酸マグネシウム4.0gを加えて混合機で混合した。混合末を打錠機で打圧1000kgfで圧縮成形(直径:10.5mm)して1錠重量400mgの円形錠剤を得た。
F:混合・打錠工程)実施例1で得られた造粒物E772.0gに、クロスポビドン24.0g、ステアリン酸マグネシウム4.0gを加えて混合機で混合した。混合末を打錠機で打圧1000kgfで圧縮成形(直径:10.5mm)して1錠重量400mgの円形錠剤を得た。
実施例1及び比較例1で得られた錠剤の処方を下記の表2に一覧して示す。
(試験例2)口腔内崩壊性試験
実施例1及び比較例2の錠剤について、口腔内崩壊錠試験機(OD−mate/樋口商会)を用いて、試験液:水(37℃)の条件にて錠剤が崩壊する時間を測定した。其の測定した結果は下記の表3に示した。
実施例1及び比較例2の錠剤について、口腔内崩壊錠試験機(OD−mate/樋口商会)を用いて、試験液:水(37℃)の条件にて錠剤が崩壊する時間を測定した。其の測定した結果は下記の表3に示した。
(試験例3)摩損度試験
実施例α1〜2及びβ1並びに比較例α1〜2及びβ1で得られた各々の錠剤について、第17改正日本薬局方・一般試験法の錠剤の摩損度試験法に従って摩損度(%)を測定した。其の結果を下記の表3に示した。
実施例α1〜2及びβ1並びに比較例α1〜2及びβ1で得られた各々の錠剤について、第17改正日本薬局方・一般試験法の錠剤の摩損度試験法に従って摩損度(%)を測定した。其の結果を下記の表3に示した。
表3の結果から、乳糖(圧縮成形性が優れた賦形剤)を含有する錠剤(含有薬物:デュロキセチン塩酸塩)について、クロスポピドン(膨潤型崩壊剤)を含むがカルメロース(浸透型崩壊剤)を含まない比較例1の錠剤と比べて、クロスポピドンと共にカルメロースを含む実施例1の錠剤の方が口腔内崩壊時間が顕著に短くて口腔内崩壊速度が良好であることが確認された。更に比較例1の錠剤と比べて実施例1の錠剤は摩損度が顕著に低い効果も有していることが確認された。
以上より、本発明の口腔内崩壊錠は、成形性良好な賦形剤を含有する錠剤の口腔内崩壊速度の改善(望ましくは摩損度の改善も併せて)に顕著に寄与するものであることが示された。
本発明は、成形性良好な賦形剤を使用して口腔内崩壊錠を製造した場合における其の口腔内崩壊時間の遅延等を顕著に改善したものであり、医療現場に高品質な口腔内崩壊錠を提供することに寄与するものである。
Claims (6)
- 圧縮成形性が優れた賦形剤並びに膨潤型崩壊剤を含有する口腔内崩壊錠であって、浸透型崩壊剤を含有することを特徴とする口腔内崩壊錠。
- 浸透型崩壊剤がカルメロースであることを特徴とする、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
- 圧縮成形性が優れた賦形剤が、乳糖、白糖、ショ糖及びブドウ糖から選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の口腔内崩壊錠。
- 膨潤型崩壊剤がクロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルスターチから選ばれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
- 造粒物が素錠全重量に対して50.0重量%以上含有される、請求項1〜4のいずれかに記載の口腔内崩壊錠。
- 圧縮成形性が優れた賦形剤を含む粉末、膨潤型崩壊剤を含む粉末及び浸透型崩壊剤を含む粉末を混合する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の口腔内崩壊錠を製造する方法。
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WO2014046035A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | 株式会社ダイセル | 酸型カルボキシメチルセルロース及び結晶セルロースを含む崩壊性粒子組成物及び該組成物を含む口腔内崩壊錠剤 |
JP2016183188A (ja) * | 2016-07-11 | 2016-10-20 | ニプロ株式会社 | 口腔内崩壊錠 |
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