JP2019156332A - 磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法 - Google Patents

磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外部磁場の追加計測を行うことなく、より高精度に磁場を推定することのできる磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法を提供することを目的とする。【解決手段】複数の磁気センサ2を有する構造体1に適用される磁場推定装置であって、構造体1の3次元構造モデルを複数の磁気センサ2の位置に基づいて複数の領域に分割する分割部と、領域毎に一様な磁気状態を設定する設定部と、設定部で設定された各領域の磁気状態と3次元構造モデルとに基づいて、構造体1が発生させる磁場を推定する推定部と、推定部によって推定された磁気センサ2の位置における磁場のベクトル値もしくは強度と、位置に配置された磁気センサ2によって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、分割部によって分割された少なくとも一つの領域を更に分割し領域の数を増加させる分割更新部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法に関するものである。
船体等の構造体では、磁性部材を構成要素として含んでいるため、船体磁場を発生させている。船体磁場は、磁界を定常的に発生させる部材による誘導磁場(誘導磁気)と、磁性部材が地磁気等によって着磁することで発生する永久磁場(永久磁気)とが重畳されて形成されている。
これらの船体磁場を抑制する技術として、構造体内部に敷設された消磁コイルに電流を通電し、船体磁場と反対方向の磁場を印加することにより抑制することが行われている。
特許文献1では、船体の内部に設置した磁気センサの計測結果から船体の外部に発生した磁場を推定し、推定した外部磁場を打ち消すように船体内に設置された消磁コイルに電流を流すことが記載されている。
特許第5162760号公報
特許文献1に記載の発明では、船体の内部に設置した磁気センサの計測結果に基づいて、船体を理想的な回転楕円体で近似することで船体が外部に発生させる磁場を推定するため、内部磁場と外部磁場の相関関係を予め設定しておく必要がある。このとき、実際の船体の形状が理想的な回転楕円体と異なること、使用している鋼材のばらつきが原因で経年変化後の内部磁場と外部磁場の相関関係を決定するために、経時変化後の外部磁場の追加計測をしなければならなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、外部磁場の追加計測を行うことなく、より高精度に磁場を推定することのできる磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様は、複数の磁気センサを有する構造体に適用される磁場推定装置であって、前記構造体の3次元構造モデルを複数の前記磁気センサの位置に基づいて複数の領域に分割する分割部と、前記領域毎に一様な磁気状態を設定する設定部と、前記設定部で設定された各前記領域の前記磁気状態と前記3次元構造モデルとに基づいて、前記構造体が発生させる磁場を推定する推定部と、前記推定部によって推定された前記磁気センサの前記位置における磁場のベクトル値もしくは強度と、前記位置に配置された前記磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、前記分割部によって分割された少なくとも一つの前記領域を更に分割し前記領域の数を増加させる分割更新部と、を備える磁場推定装置である。
上記のような構成によれば、構造体の3次元構造モデルを用いて構造体が発生させる磁場を推定しているため、構造体の形状を考慮して、より高精度に磁場を推定することができる。また、構造体の磁場を再現するための3次元構造モデルを構成するためには、構造体の磁気状態を決定する必要がある。そこで、分割した各領域に一様な磁気状態を仮設定し、各領域の磁気状態と、センサの計測値とに基づいて分割領域数を増加することとした。このため、3次元構造モデルに対して効率的に磁気状態を設定することができる。すなわち、効率的に3次元構造モデルの磁気状態を設定でき、該磁気状態と3次元構造モデルとに基づいて発生する磁場を高精度に推定することが可能となる。また、構造体を構成する部材の着磁等によって磁場状態が変化したとしても、船体の外部磁場の計測を不要とし、構造体が有する磁気センサのみで、磁場の推定精度を向上させることができる。すなわち、より最適な磁場推定を容易に継続して行うことができる。なお、磁場のベクトル値とは、磁場の大きさと方向を示すものである。
また、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、分割された領域を更に分割することとした。このように、推定した磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサによって計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値未満となるまで3次元構造モデルを分割するため、所定の精度の磁場を推定のための3次元構造モデルの分割数を最小に抑えることが可能となり、不要な3次元構造モデルの分割を防止できる。また、領域の分割数を最小に抑えることができるため、各領域に設定される磁気状態を簡略化することができ、磁場推定処理の負担を軽減することができる。
上記磁場推定装置において、前記分割部は、各前記領域に前記磁気センサが一つ含まれるように前記3次元構造モデルを分割することとしてもよい。
上記のような構成によれば、磁気センサの設置数に応じて容易に分割数を決定することができる。
上記磁場推定装置において、前記磁気状態とは、磁気モーメントまたは残留磁束密度であることとしてもよい。
上記のような構成によれば、磁気状態として、磁気モーメントまたは残留磁束密度を用いるため、3次元構造モデルの磁性を効率的に設定することができる。
上記磁場推定装置において、前記分割更新部は、前記構造体を構成する各構成単位の接合位置、前記構造体を構成する部材の種類、前記構造体を構成する部材の磁気特性、及び前記構造体を構成する部材の空間的位置の少なくともいずれか1つに基づいて、前記3次元構造モデルを分割することとしてもよい。
上記のような構成によれば、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び空間的位置は、磁気状態が変化しやすい位置である。このため、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び空間的位置に基づいて3次元構造モデルを分割することで、一様な磁気状態とみなせる領域を効果的に設定することができる。
上記磁場推定装置において、前記3次元構造モデルは、前記構造体を構成する磁性部材のみが再現されたモデルであることとしてもよい。
上記のような構成によれば、3次元構造モデルを磁性部材のみで再現することしたため、3次元構造モデルの容量を抑制し、最適化することができる。また、磁場の推定に用いる3次元構造モデルが最適化されているため、処理速度等の向上も期待できる。
上記磁場推定装置において、前記設定部は、各前記領域が前記磁気センサの前記位置に発生させる合成磁場のベクトル値もしくは強度と、前記位置に配置された前記磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差を、前記磁気センサ毎に算出し、該差の合計値が最小となるように、前記領域毎に一様な前記磁気状態を設定することとしてもよい。
上記のような構成によれば、各磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差の合計が最小となるように、分割された領域毎に一様な磁気状態を設定するため、より最適な磁気状態を設定することができる。
本発明の第2態様は、構造体が発生させる磁場を抑制する消磁コイルと、上記の磁場推定装置と、前記磁場推定装置によって推定された前記構造体が発生させる磁場に基づいて、前記消磁コイルに流れる電流を設定するコイル駆動装置と、を備えた消磁システムである。
本発明の第3態様は、複数の磁気センサを有する構造体に適用される磁場推定方法であって、前記構造体の3次元構造モデルを複数の前記磁気センサの位置に基づいて複数の領域に分割する分割工程と、前記領域毎に一様な磁気状態を設定する設定工程と、前記設定工程で設定された各前記領域の前記磁気状態と前記3次元構造モデルとに基づいて、前記構造体が発生させる磁場を推定する推定工程と、前記推定工程によって推定された前記磁気センサの前記位置における磁場のベクトル値もしくは強度と、前記位置に配置された前記磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、前記分割工程によって分割された少なくとも一つの前記領域を更に分割し前記領域の数を増加させる分割更新工程と、を備える磁場推定方法である。
本発明によれば、外部磁場の追加計測を行うことなく、より高精度に磁場を推定することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る消磁システムを備えた船体の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る制御装置が備える機能を示した機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルを例示した図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルを初期分割した例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルに対して磁気状態を設定した例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルにおいて分割の例を示した図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルにおいて分割の例を示した図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルにおいて分割の例を示した図である。 本発明の一実施形態に係る3次元構造モデルにおいて分割の例を示した図である。 本発明の一実施形態に係る制御装置における消磁処理のフローチャートを示した図である。 本発明の一実施形態に係る分割更新部における分割処理のフローチャートを示した図である。
以下に、本発明に係る磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、磁場推定装置が船体に適用される場合について説明するが、本実施形態に係る磁場推定装置は、船体に限られず、構造体に広く適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る消磁システムを備えた船体1の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る船体1(構造体)は、磁気センサ2と、消磁コイル3と、制御装置4とを主な構成として備えている。また、船体1は、磁性部材を含んで構成されているものとする。磁性部材とは、例えば、船体1のキール、甲板等であり、磁性を帯びて磁場を発生させる部材である。なお、図1に示す船体1の構成は一例であり、船体1の3次元構造、消磁コイル3の設置数等は、適宜変更可能である。
また、船体1が実際に発生させる磁場は、船体1の垂直方向(上下方向)の磁気と、船首尾方向の磁気と、左右舷方向の磁気とから構成されている。しかしながら、本実施形態では、船体1が発生させる磁気を、船首尾方向の磁気として限定して説明する。なお、他の磁気(船体1の垂直方向の磁気及び左右舷方向の磁気)についても、消磁コイル3、磁気センサ2等の配置及び方向を適宜変更すれば、以下に説明する船首尾方向の磁気に対する制御と同様に実施が可能である。
磁気センサ2は、船体1が発生させる磁場を検出するためのセンサであり、船体1の内部に複数設けられている。磁気センサ2は、例えば、低レベル(μT)から高レベル(mT)の磁気(磁場のベクトル値(磁場の大きさと方向を示すもの)もしくは強度)を検出することが可能とされる。なお、本実施形態では、船体1内に磁気センサ2が4つ設けられている場合について説明する。磁気センサ2としては、例えば、フラックスゲートセンサや磁気インピーダンスセンサといったμTレベルの分解能を持つセンサ、ホール素子や磁気抵抗素子といったmTレベルの分解能を持つセンサから構成される。また、磁気センサ2によって検出された磁気は、後述する制御装置4(コイル駆動部11及び磁場推定部12)に出力され、船体1が発生させる磁場の推定や消磁コイル3に流れる電流の制御に用いられる。なお、消磁コイル3に電流が流れ、消磁コイル3が磁場を発生せている場合には、磁気センサ2は、船体1が発生させる磁場(船体1を構成する磁性部材が発生させる磁場)と消磁コイル3が発生させる磁場とが重畳された磁場を計測することとなる。この場合には、磁気センサ2の検出結果から消磁コイル3が発生させる磁場を差し引き、船体1が発生させる磁場を求めることし、制御装置4は、求めた船体1が発生させる磁場を用いることとする。
消磁コイル3は、船体1が発生させる磁場に対して反対極性の磁場を発生させ、船体1が発生させる磁場を抑制または除去するコイルである。消磁コイル3は、消磁コイル3が発生させる磁場と船体1が発生させる磁場の分布特性が略一致(極性は反対)となるように配置される。消磁コイル3によって形成される磁場は、消磁コイル3に流れる電流によって制御されている。本実施形態では、消磁コイル3に流れる電流を、コイル駆動部11によって制御し、そのために、磁場推定部12の推定結果を用いている。
制御装置4は、消磁コイル3に流れる電流の制御を行う。また、制御装置4は、船体1自体が発生させる磁場の分布状態を推定する。なお、制御装置4には、磁気センサ2から、船体1の内部における磁場の計測結果が入力されるが、制御装置4における磁場推定部12では、船体1の永久磁気を推定するため、磁気センサ2の検出結果のうち、永久磁気分(磁気センサ2の検出結果から誘導磁気分を除去したもの)を用いることとする。
制御装置4は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等を備えている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。
図2は、制御装置4が備える機能を示した機能ブロック図である。図2に示されるように、制御装置4は、コイル駆動部11と、磁場推定部12とを備えている。
コイル駆動部11は、船体1に設置された消磁コイル3に流れる電流を制御する。消磁コイル3に導通させる電流は、船体1の誘導磁気を抑制するための電流と、船体1の永久磁気を抑制するための電流と和である。消磁コイル3に電流を流すことによって、消磁コイル3が磁場を発生させ、船体1が発生させる磁場を抑制する。
誘導磁気は、経時変化がほとんどないため、船体1の誘導磁気を抑制するための電流は、略一定の電流となる。一般的に、船体1は、建造されると、構成部材(鋼材)の永久磁気を除去するために消磁所等で脱磁処理が行われている。このため、船体1の誘導磁気を抑制するための電流は、脱磁後に計測された誘導磁気を抑制するために必要な消磁コイル3の電流値として予め設定される。なお、脱磁後に計測される誘導磁気には、脱磁しきれなかった永久磁気が含まれてもよい。また、誘導磁気を抑制するための電流の設定については、船体1の3次元構造モデル等を用いて誘導磁気分を推定することとしてもよい。
永久磁気は、地磁気などの外部磁場、波浪や水圧等に起因する磁性部材の着磁等によって経時的に変化する。このため、船体1の永久磁気を抑制するための電流は、経時変化に伴う磁場の変動分(永久磁気の変動分)を抑制するために、磁場状態に基づいて最適化する必要がある。本実施形態においては、後述する磁場推定部12によって船体1が発生させる磁場(永久磁気)を推定する。そして、コイル駆動部11は、推定された永久磁気に基づいて消磁コイル3の電流値を決定し、船体1の誘導磁気を抑制するための電流と足し合わせて消磁コイル3に導通させる。なお、推定された永久磁気から、該永久磁気を抑制するための電流を推定する方法としては、有限要素法や積分方程式法、線電流を用いた方法など、様々な方法を適用することができる。
磁場推定部12は、船体1の3次元構造モデルを用いて、船体1が発生させる磁場を推定する。なお、本実施形態において、磁場推定部12は、船体1が発生させる磁場として、永久磁気(すなわち、船体1が発生させる磁場の変動分)を推定する場合について説明するが、誘導磁気と永久磁気が重畳した磁場を推定することとしてもよい。また、船体1の3次元構造モデルとは、例えば、図3のように、磁気原となる磁性部材(例えば、キール、甲板等)の外形状、各部材の厚さ等を含む船体1の詳細な3次元構造が示されたモデルである。また、3次元構造モデルは、微視的にはメッシュ構造(メッシュ区画の集合体)となっており、各メッシュ区画には磁気状態が設定可能となっている。なお、図3は船体1の側面のみを例示した図であり、実際の3次元構造モデルは、船体1全体の立体形状が示されたものである。本実施形態における3次元構造モデルは、少なくとも船体1を構成する磁性部材のみが再現されたモデルであればよい。
磁場推定部12は、図2に示されるように、分割部13と、設定部14と、推定部15と、分割更新部16とを備えている。
分割部13は、構造体の3次元構造モデルを複数の磁気センサ2の位置に基づいて複数の領域に分割する。具体的には、分割部13は、磁場推定部12として磁場の推定を開始する場合に、初期分割として、船体1に設置された磁気センサ2を少なくとも1つ含むように、船体1の3次元構造モデルを仮想的に分割設定する。図4に、船体1を初期分割した例を示している。図4に示す例では、船体1に設けられた4つの磁気センサ2をそれぞれ含むように、3次元構造モデルを4つの領域A〜Dに分割している。分割部13によって分割された各領域の情報(分割した領域が特定可能な情報)は、後述する設定部14に出力される。
なお、本実施形態では、船体1に設置された磁気センサ2を少なくとも1つ含むように初期分割の領域を設定することとしたが、磁気センサ2の配置位置に依らず、初期分割の領域を設定することとすることも可能である。
設定部14は、分割された領域毎に一様な磁気状態を設定する。磁気状態とは、磁気モーメントまたは残留磁束密度である。本実施形態では、磁気状態として磁気モーメントを用いる場合について説明する。設定部14は、分割された各領域が磁気センサ2の位置に発生させる合成磁場のベクトル値もしくは強度と、配置された磁気センサ2によって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差を、磁気センサ2毎に算出し、該差の合計値が最小となるように、領域毎に一様な磁気状態を設定する。例えば、図5は、分割された領域に対して一様な磁気状態を設定した例である。それぞれの領域において、該領域に含まれる3次元構造モデルのメッシュ区画は、すべて同一の磁気状態であると設定される。なお、推定された磁場のベクトル値と、磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値との差を算出する場合には、推定された磁場のベクトルと磁気センサ2により検出された磁場のベクトルとの間で引き算を行い、算出されたベクトル(差を示すベクトル)を該差として算出すればよい。そして、例えば、算出されたベクトルの大きさと予め設定した閾値とを比較すればよい。
設定部14は、まず、分割された領域毎に一様な磁気状態を仮設定する。そして、仮設定された磁気状態に基づいて、後述する推定部15によって、それぞれの領域が各磁気センサ2の配置位置に発生すると推定される磁場(合成磁場)を演算する。また、それぞれの磁気センサ2から磁場の検出結果を取得する。そして、それぞれの位置について、仮設定の磁気状態から演算された磁場のベクトル値もしくは強度と、該位置に配置された磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差を算出し、該差の合計を算出する。なお、設定部14は、複数通りの磁気状態を仮設定し、それぞれの磁気状態パターンに対して、仮設定の磁気状態から演算された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差の合計を算出する。そして、複数通りの磁気状態のうち、算出した差の合計が最も小さい磁気状態のパターンを、3次元構造モデルの各領域の磁気状態として設定(本設定)する。なお、磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差の合計が最小となるような3次元構造モデルの磁気状態の設定方法については、上記以外であっても、遺伝的アルゴリズムや焼きなまし法などの様々な最適化手法が適用可能である。
推定部15は、設定部14で設定された各領域の磁気状態と3次元構造モデルとに基づいて、構造体が発生させる磁場(船体1の内部磁場及び外部磁場)を推定する。具体的には、推定部15は、船体1が発生させる永久磁気を推定している。推定部15は、設定部14によって設定された各領域の磁気状態(磁気モーメント)を取得する。そして、3次元構造モデルにおける各領域を、すべて等しい磁気状態(磁気モーメント)を持つ微小な磁性体(以下、「微小磁性体」という。)の集合体であるとみなす。具体的には、3次元構造モデルにおいて、同一領域に含まれるすべてのメッシュ区画が同一の磁気状態を有しているとみなす。すなわち、推定部15において、分割されたそれぞれの領域は、一様な磁気状態である微小磁性体の集合体とみなされ、船体1全体としては、一様な磁気状態である微小磁性体の集合体が領域ごとに結合された構造体となっている。そして、推定部15は、船体1を構成する各微小磁性体(メッシュ区画)が発生させる磁場を各微小磁性体について演算し、各微小磁性体が発生させる磁場を合成することによって、船体1が発生させる磁場(各微小磁性体が発生させる磁場の総合磁場(磁場のベクトル値もしくは強度))を推定する。
分割更新部16は、推定部15によって推定された磁気センサ2の位置における磁場のベクトル値もしくは強度と、該位置に配置された磁気センサ2によって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、分割部13によって分割された少なくとも一つの領域を更に分割し領域の数を増加させる。具体的には、分割更新部16は、推定部15によって推定された磁場を取得し、各磁気センサ2の配置位置に発生すると推定される磁場を演算し、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と、磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差を磁気センサ2毎に算出する。そして、複数の差(算出結果)のうち、予め設定した閾値以上となるものがあった場合には、分割した領域の中に一様の磁気状態とみなすことのできない領域が含まれていると推定し、分割部13にて分割された領域に対して更に分割を行う。なお、推定された磁場のベクトル値と、磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値との差を算出する場合には、推定された磁場のベクトルと磁気センサ2により検出された磁場のベクトルとの間で引き算を行い、算出されたベクトルを該差として算出すればよい。そして、例えば、算出されたベクトルの大きさと予め設定した閾値とを比較すればよい。
具体的には、分割更新部16は、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置の少なくともいずれか1つに基づいて3次元構造モデルを更に分割する。構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置は、特に磁気が変化しやすい箇所である。すなわち、分割更新部16は、磁気が変化しやすい箇所に対して分割を行うことで、一様の磁気状態とみなすことのできない領域を、一様の磁気状態とみなすことができる複数の領域に分割する。なお、分割部13が行う初期分割についても、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置の少なくともいずれか1つに基づいて行うこととしてもよい。
構造体を構成する各構成単位の接合位置とは、船体1を建造する際に互いに独立して造られた各構成単位が、最終組み立て時に互いに接合される箇所であり、例えば、図6の接合位置61である。図6において、船体1は、各構成単位が接合位置61で接合されている。接合は例えば溶接等によって行われるが、溶接によって接合位置周囲には残留歪等が発生する。このため、接合位置の周辺では、周囲の磁気状態とは異なる局所的な磁気状態を有することがある。そこで、分割更新部16は、領域を更に分割する場合には、接合位置を含む領域と接合位置を含まない領域とに分割する。図6の例では、領域Aが接合位置61を含んでいるため、分割更新部16は、例えば、線63の位置で領域Aをさらに分割する。このように、接合位置が独立した領域となるように分割することで、接合位置を含む領域と接合位置を含まない領域とに対して別々に一様な磁気状態を設定することができ、磁気状態の再現性をより向上させることができる。
構造体を構成する部材の種類とは、船体1を構成する磁性部材の種類である。磁性部材によって着磁状態の経時変化が異なるため、磁性部材の種類によって磁気状態が異なる。図7は、磁性部材の種類が線71で別れている例を示している。すなわち、領域72と領域73とは、異なる種類の磁性部材を主として構成されており、磁気状態は互いに異なっていると推定される。そこで、分割更新部16は、領域を更に分割する場合には、同一領域に同一種類の磁性部材が含まれるように分割を行う。図7の例では、分割更新部16は、領域Aを線71を境界線としてさらに分割する。このように、同一領域に同一種類の磁性部材が含まれるように分割することで、同一種類の磁性部材を含む領域毎に別々に一様な磁気状態を設定することができ、磁気状態の再現性をより向上させることができる。
構造体を構成する部材の磁気特性とは、例えば、透磁率、保持力、残留磁束密度である。磁気特性が異なる部材は、互いに異なる磁気状態を有すると推定される。このため、分割更新部16は、同一領域に同一磁気特性を有する部材が含まれるように、領域を更に分割する。図8は、領域Aにおいて、同一磁気特性を有する領域が線81で別れている例を示している。そこで、分割更新部16は、領域Aを線81を境界線としてさらに分割する。このように、同一領域に同一磁気特性を有する部材が含まれるように分割することで、同一種類の同一磁気特性を有する部材を含む領域毎に別々に一様な磁気状態を設定することができ、磁気状態の再現性をより向上させることができる。
構造体を構成する部材の空間的位置とは、例えば、船体1の船首尾方向に対する比率で表される位置である。例えば、初期分割状態では、各領域はそれぞれ大きな空間を占めているため、該領域内であっても距離が離れている位置では磁気状態が異なっていると推定される。そこで、分割更新部16は、分割された領域を空間的に更に分割する。例えば、分割更新部16は、領域を船首尾方向に対して等分する。例えば図9における線91は、領域Aを船首尾方向に対して等分(距離Lで等分)する線である。図9の例では、分割更新部16は、領域Aを線91を境界線として分割する。このように、領域を空間的に更に分割することで、より小さな領域毎に別々に一様な磁気状態を設定することができ、磁気状態の再現性をより向上させることができる。
なお、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置のいずれを用いて分割を行うかは、予め選択されていてもよいし、船体1の各領域の構造によって自動的に選択されてもよい。
例えば、初期分割状態において、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と、磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差が閾値以上となっている磁気センサ2を含む領域に対して、該領域が接合部分を含む場合には、構造体を構成する各構成単位の接合位置に基づいて分割する。また、該領域が多種の磁性部材を含む場合であって、種類の均一性が高い(ある種類の磁性部材が領域の大部分を占める)場合には、構造体を構成する部材の種類に基づいて分割する。また、該領域が多種の磁性部材を含む場合であって、種類の均一性が低い(ある種類の磁性部材が領域の大部分を占めていない)場合には、構造体を構成する部材の磁気特性に基づいて分割する。また、それ以外の場合(上記のいずれにも該当しない場合)には、空間的位置に基づいて分割する。
なお、分割更新部16は、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差が閾値以上となっている磁気センサ2を含む領域を更に分割することとしてもよいし、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差が閾値以上となっている磁気センサ2を含む領域及び該領域と隣接している領域を更に分割することとしてもよい。また、分割更新部16は、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差が閾値以上となっている磁気センサ2があった場合に、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置に基づいて、更に分割すべき領域(一様な磁気状態とみなすことができない領域)を推定し、推定した領域を更に分割することとしてもよい。
次に、上述の制御装置4の消磁処理について図10を参照して説明する。図10に示すフローは、例えば船体1の運転員による消磁処理開始の指示(例えば、操作盤の操作)によって開始され、その後、消磁処理終了の指示があるまで所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、消磁処理は、船体1が起動している場合に自動的に開始することとしてもよい。
まず、船体1の3次元構造モデルを磁気センサ2の位置に基づいて複数の領域に分割する(S101)。例えば、初期分割においては、船体1に配置された磁気センサ2を少なくとも1つ含むように3次元構造モデルを分割する。
次に、分割した領域毎に一様な磁気状態を設定する(S102)。例えば、図5のように、各領域に対して一様な磁気モーメントを設定する。
次に、各領域の磁気状態と3次元構造モデルとに基づいて、船体1が発生させる磁場を推定する(S103)。例えば、各領域を、設定された磁気状態を有する微小磁性体の集合体であるとみなして、各微小磁性体が発生させる磁場を合成し、船体1が発生させる磁場を推定する。
次に、推定した磁場のベクトル値もしくは強度と、磁気センサ2によって計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差(ΔH)が予め設定した閾値α以上であるか否かを判定する(S104)。例えば、磁気センサ2を船体1内に4つ設けている場合には、設定された磁気状態を有する各領域が各磁気センサ2の位置に発生させると推定される磁場のベクトル値もしくは強度と、それぞれの位置に配置されている磁気センサ2で計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差を、4つの磁気センサ2に対してそれぞれ算出し、配置した複数の磁気センサ2のうち1つでも、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2によって計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上であるか否かを判定する。
推定された磁場のベクトル値もしくは強度と、磁気センサ2によって計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合(S104のYES判定)には、分割された領域に対して更に分割を行う(S105)。そして、S102へ戻り、上記の処理を繰り返し実行する。
また、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と、磁気センサ2によって計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上でない場合(S104のNO判定)には、3次元構造モデルの分割と、各領域に設定された一様な磁気状態とが最適化され、実際の船体1に対して3次元構造モデルの磁気状態が高い再現性を備えていると推定し、3次元構造モデルの磁気状態を確定する(S106)。
3次元構造モデルの磁気状態を確定すると、確定した磁気状態に基づいて船体1が発生する磁場を推定し、推定した磁場を抑制するために消磁コイル3に導通させる電流値を決定する(S107)。
特にS104及びS105において、すべての磁気センサ2に対して、推定した磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2によって計測した磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値未満となるまで3次元構造モデルを分割するため、最小分割数で3次元構造モデルの磁気状態を決定することができる。また、領域の分割数を最小に抑えることができるため、船体1の3次元構造モデルの磁気状態を効率的に設定することができる。また、図10に示す消磁処理は所定の制御周期で繰り返し実行されるため、磁性部材が着磁して船体1が発生させる磁場が変動(永久磁気が変化)したとしても、船体1が備える磁気センサ2のみで船体1が発生させる磁場を正確に推定し、消磁コイル3を用いて抑制することができる。
次に、上述の分割更新部16における分割処理について図11を参照して説明する。図11に示すフローは、図10におけるS105の詳細を示したものであり、S105の処理が開始する場合に実行される。
なお、分割更新部16において更に分割を行う領域(分割対象領域)は、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差が閾値以上となっている磁気センサ2を含む領域としてもよいし、推定された磁場のベクトル値もしくは強度と磁気センサ2により検出された磁場のベクトル値もしくは強度との差が閾値以上となっている磁気センサ2を含む領域及び該領域と隣接している領域としてもよい。また、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置に基づいて、更に分割すべき領域(一様な磁気状態とみなすことができない領域)として推定された領域を分割対象領域としてもよい。なお、分割対象領域を複数とすることも可能である。
まず、分割対象領域が接合位置を含んでいるか否かを判定する(S201)。
接合位置を含んでいる場合(S201のYES判定)には、分割対象領域が2種類以上の磁性部材を含んでいるか否かを判定する(S202)。
分割対象領域が2以上の種類の磁性部材を含んでいない場合(S202のNO判定)には、構造体を構成する各構成単位の接合位置に基づいて分割対象領域を更に分割する(S203)。
分割対象領域が2種類以上の磁性部材を含んでいる場合(S202のYES判定)には、接合位置の長さの合計L1と、異なる種類の磁性部材の接続線(境界線)の長さの合計L2と算出し、接合位置の長さの合計L1が、異なる種類の磁性部材の接続線(境界線)の長さの合計L2よりも長いか否かを判定する(S204)。
接合位置の長さの合計が、異なる種類の磁性部材の接続線(境界線)の長さの合計よりも長い場合(S204のYES判定)には、構造体を構成する各構成単位の接合位置に基づいて分割対象領域を更に分割する(S203)。
また、接合位置を含んでいない場合(S201のNO判定)には、分割対象領域が2以上の種類の磁性部材を含んでいるか否かを判定する(S205)。
分割対象領域が2以上の種類の磁性部材を含んでいない場合(S205のNO判定)には、構造体を構成する部材の空間的位置に基づいて3次元構造モデルを更に分割する(S206)。
分割対象領域が2以上の種類の磁性部材を含んでいる場合(S205のYES判定)、または、接合位置の長さの合計が、異なる種類の磁性部材の接続線(境界線)の長さの合計よりも長くない場合(S204のNO判定)には、磁性部材の種類の均一性が高いか否かを判定する(S207)。なお、磁性部材の種類の均一性が高いか否かの判定については、複数種類の磁性部材のそれぞれについて、分割対象領域を占める割合を算出し、所定の割合以上を占める磁性部材があるか否かを判定する。なお、所定の割合とは、例えば、90%である。例えば、分割対象領域に、2種類の磁性部材が含まれている場合に、一方の磁性部材が分割対象領域を占める割合が95%で、他方の磁性部材が分割対象領域を占める割合が5%であった場合に、磁性部材の種類の均一性が高いと判定される。また、一方の磁性部材が分割対象領域を占める割合が50%で、他方の磁性部材が分割対象領域を占める割合が50%であった場合に、磁性部材の種類の均一性が高くないと判定される。
磁性部材の種類の均一性が高い場合(S207のYES判定)には、構造体を構成する部材の種類に基づいて分割対象領域を更に分割する(S208)。
磁性部材の種類の均一性が高くない場合(S207のNO判定)には、構造体を構成する部材の磁気特性に基づいて分割対象領域を更に分割する(S209)。
なお、図11に示すフローはS105における処理の一例であり、構造体を構成する各構成単位の接合位置、構造体を構成する部材の種類、構造体を構成する部材の磁気特性、及び構造体を構成する部材の空間的位置のいずれか1つに基づいて実行されてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る磁場推定装置、消磁システム、及び磁場推定方法によれば、船体1の3次元構造モデルを用いて船体1が発生させる磁場を推定しているため、船体1の形状を考慮して、より高精度に磁場を推定することができる。また、船体1の磁場を再現するための3次元構造モデルを構成するためには、船体1の磁気状態を決定する必要がある。そこで、分割した各領域に一様な磁気状態を仮設定し、各領域の磁気状態と、磁気センサ2の計測値とに基づいて分割領域数を増加することとした。このため、3次元構造モデルに対して効率的に磁気状態を設定することができる。すなわち、効率的に3次元構造モデルの磁気状態を設定でき、該磁気状態と3次元構造モデルとに基づいて高精度に発生する磁場を推定することが可能となる。また、船体1を構成する部材の着磁等によって磁場状態が変化したとしても、船体1が有する磁気センサ2のみで、正確な磁場を推定することが可能となる。すなわち、船体1が発生させる磁場が磁性部材の着磁等によって変化したとしても、高精度に磁場を推定し、推定した磁場に基づいてより効果的に消磁を行うことができる。また、最適な消磁状態を維持することができる。
また、磁気状態として、磁気モーメントまたは残留磁束密度を用いるため、3次元構造モデルの磁性を効率的に設定することができる。また、3次元構造モデルを磁性部材のみで再現することしたため、3次元構造モデルの容量を抑制し、最適化することができる。また、磁場の推定に用いる3次元構造モデルが最適化されているため、処理速度等の向上も期待できる。また、各磁気センサ2によって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差の合計が最小となるように、分割された領域毎に一様な磁気状態を設定するため、より最適な磁気状態を設定することができる。
また、船体1を構成する各構成単位の接合位置、船体1を構成する部材の種類、船体1を構成する部材の磁気特性、及び船体1を構成する部材の空間的位置は、磁気状態が変化しやすい位置である。このため、船体1を構成する各構成単位の接合位置、船体1を構成する部材の種類、船体1を構成する部材の磁気特性、及び空間的位置に基づいて3次元構造モデルを分割することで、一様な磁気状態とみなせる領域を効果的に設定することができる。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
例えば、本実施形態では、磁場推定部12を適用する構造体として、船体1を例として説明しているが、船体1以外の構造体であっても、磁性部材を含んで構成され、磁場を発生させる構造体であれば、幅広く適用することが可能となる。
また、本実施形態では、磁場推定部12が制御装置4内に設けられ、磁場推定部12により推定した磁場に基づいて消磁を行うこととしたが、単に磁場を推定する装置として、磁場推定部12が独立して設けられることとしてもよい。
1 :船体(構造体)
2 :磁気センサ
3 :消磁コイル
4 :制御装置
11 :コイル駆動部(コイル駆動装置)
12 :磁場推定部(磁場推定装置)
13 :分割部
14 :設定部
15 :推定部
16 :分割更新部

Claims (8)

  1. 複数の磁気センサを有する構造体に適用される磁場推定装置であって、
    前記構造体の3次元構造モデルを複数の前記磁気センサの位置に基づいて複数の領域に分割する分割部と、
    前記領域毎に一様な磁気状態を設定する設定部と、
    前記設定部で設定された各前記領域の前記磁気状態と前記3次元構造モデルとに基づいて、前記構造体が発生させる磁場を推定する推定部と、
    前記推定部によって推定された前記磁気センサの前記位置における磁場のベクトル値もしくは強度と、前記位置に配置された前記磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、前記分割部によって分割された少なくとも一つの前記領域を更に分割し前記領域の数を増加させる分割更新部と、
    を備える磁場推定装置。
  2. 前記分割部は、各前記領域に前記磁気センサが一つ含まれるように前記3次元構造モデルを分割する請求項1に記載の磁場推定装置。
  3. 前記磁気状態とは、磁気モーメントまたは残留磁束密度である請求項1または2に記載の磁場推定装置。
  4. 前記分割更新部は、前記構造体を構成する各構成単位の接合位置、前記構造体を構成する部材の種類、前記構造体を構成する部材の磁気特性、及び前記構造体を構成する部材の空間的位置の少なくともいずれか1つに基づいて、前記3次元構造モデルを分割する請求項1から3のいずれか1項に記載の磁場推定装置。
  5. 前記3次元構造モデルは、前記構造体を構成する磁性部材のみが再現されたモデルである請求項1から4のいずれか1項に記載の磁場推定装置。
  6. 前記設定部は、各前記領域が前記磁気センサの前記位置に発生させる合成磁場のベクトル値もしくは強度と、前記位置に配置された前記磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差を、前記磁気センサ毎に算出し、該差の合計値が最小となるように、前記領域毎に一様な前記磁気状態を設定する請求項1から5のいずれか1項に記載の磁場推定装置。
  7. 構造体が発生させる磁場を抑制する消磁コイルと、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の磁場推定装置と、
    前記磁場推定装置によって推定された前記構造体が発生させる磁場に基づいて、前記消磁コイルに流れる電流を設定するコイル駆動装置と、
    を備えた消磁システム。
  8. 複数の磁気センサを有する構造体に適用される磁場推定方法であって、
    前記構造体の3次元構造モデルを複数の前記磁気センサの位置に基づいて複数の領域に分割する分割工程と、
    前記領域毎に一様な磁気状態を設定する設定工程と、
    前記設定工程で設定された各前記領域の前記磁気状態と前記3次元構造モデルとに基づいて、前記構造体が発生させる磁場を推定する推定工程と、
    前記推定工程によって推定された前記磁気センサの前記位置における磁場のベクトル値もしくは強度と、前記位置に配置された前記磁気センサによって計測された磁場のベクトル値もしくは強度との差が予め設定した閾値以上である場合に、前記分割工程によって分割された少なくとも一つの前記領域を更に分割し前記領域の数を増加させる分割更新工程と、
    を備える磁場推定方法。
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