JP2019155801A - モデル材用組成物、及びマテリアルジェット光造形用組成物セット - Google Patents

モデル材用組成物、及びマテリアルジェット光造形用組成物セット Download PDF

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Abstract

【課題】水に接触した場合でも吸水及び膨潤が抑制され、寸法精度が良好な光造形品が得られるモデル材用組成物を提供すること。【解決手段】マテリアルジェット光造形法によりモデル材を造形するために使用されるモデル材用組成物であって、組成物全体100重量部に対して、単官能エチレン性不飽和単量体(A)と、15〜50重量部の二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)と、10〜45重量部のジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)と、1〜15重量部の光重合開始剤(D)と、0.005〜3.0重量部の表面調整剤(E)と、を含有する、モデル材用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、マテリアルジェット光造形法に用いられるモデル材用組成物に関し、特に、水溶性サポート材と組み合わせて使用されるモデル材用組成物に関する。
従来、立体造形物を作成する方法として、紫外線等を照射することにより硬化する光硬化性樹脂組成物を用いた造形法が広く知られている。具体的に、このような造形法では、光硬化性樹脂組成物に紫外線等を照射して硬化させることにより、所定の形状を有する硬化層を形成する。その後、該硬化層の上にさらに光硬化性樹脂組成物を供給して硬化させることにより、新たな硬化層を形成する。前記工程を繰り返し行うことにより、立体造形物を作製する。
前記造形法の中でも、近年、ノズルから光硬化性樹脂組成物を吐出させ、その直後に紫外線等を照射して硬化させることにより、所定の形状を有する硬化層を形成するマテリアルジェット(インクジェット)方式による光造形法(以下、マテリアルジェット光造形法という)が報告されている(特許文献1〜4)。マテリアルジェット光造形法は、光硬化性樹脂組成物を貯留する大型の樹脂液槽および暗室の設置が不要である。そのため、従来法に比べて、造形装置を小型化することができる。マテリアルジェット光造形法は、CAD(Computer Aided Design)データに基づいて、自由に立体造形物を作成可能な3Dプリンターによって実現される造形法として、注目されている。
特許文献1には、マテリアルジェット光造形法において、中空形状などの複雑な形状を有する光造形品を造形する場合には、モデル材を支えるために、該モデル材とサポート材とを組み合わせて形成することが記載されている。サポート材は、モデル材と同様に、光硬化性樹脂組成物に紫外線等を照射して硬化させることにより作成する。モデル材を作成した後は、サポート材を、水に溶解させることにより、除去することができる。
特許文献2には、マテリアルジェット光造形法により、光硬化時および硬化後の水または吸湿による膨潤変形が少ないモデル材用樹脂組成物、硬化後の硬化物が水への溶解性に優れ、除去が容易であるサポート材用樹脂組成物、ならびに、これらの樹脂組成物を用いて造形される光造形品が開示されている。
特開2017−31249号公報 特開2012−111226号公報
しかしながら、従来のモデル材用組成物は非吸水性が未だ不十分である。それゆえ、サポート材を除去する際に光造形物に水が接触した場合、光造形物は吸水及び膨潤して、寸法精度が低下する問題がある。それに加えて、光造形品の硬度が高い場合は、膨潤が生じることで近接する構造部分が接触して、破損及び変形が生じ易くなる。
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、水に接触した場合でも吸水及び膨潤が抑制され、寸法精度が良好な光造形品が得られるモデル材用組成物を提供することを目的とする。
本発明は、マテリアルジェット光造形法によりモデル材を造形するために使用されるモデル材用組成物であって、
組成物全体100重量部に対して、
単官能エチレン性不飽和単量体(A)と、
15〜50重量部の二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)と、
10〜45重量部のジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)と、
1〜15重量部の光重合開始剤(D)と、
0.005〜3.0重量部の表面調整剤(E)と、
を含有する、モデル材用組成物を提供する。
ある一形態においては、前記(A)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、19〜49重量部である。
ある一形態においては、前記(A)成分のうち水溶性エチレン性不飽和単量体は、単官能エチレン性不飽和単量体および多官能エチレン性不飽和単量体およびオリゴマーの総質量に対して、40質量%以下となる。
ある一形態においては、前記(B)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、20〜45重量部である。
ある一形態においては、前記(B)成分のうち、ジメチルシロキサン構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、およびポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーからなる郡から選択される1種以上を含み、組成物全体100重量部に対して、5〜25重量部である。
ある一形態においては、前記(C)成分はシリコーンウレタン(メタ)アクリレートであり、該シリコーンウレタン(メタ)アクリレートはポリシロキサン構造を有するポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応生成物である。
ある一形態においては、前記(C)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、15〜30重量部である。
ある一形態においては、前記(D)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、5〜13重量部である。
また、本発明は、上記いずれかのモデル材用組成物と水溶性サポート材用組成物とを有するマテリアルジェット光造形法に使用されるマテリアルジェット光造形用組成物セットであって、
該水溶性サポート材用組成物が、ポリアルキレングリコールと、水溶性単官能エチレン性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含有する、マテリアルジェット光造形用組成物セットを提供する。
ある一形態においては、前記ポリアルキレングリコールがオキシブチレン基を有するポリアルキレングリコールである。
ある一形態においては、前記水溶性サポート材用組成物が、
前記サポート材用組成物全体100重量部に対して、15重量部以上75重量部以下の量で前記オキシブチレン基を含むポリアルキレングリコールを含有する。
ある一形態においては、前記水溶性サポート材用組成物全体100重量部に対して、前記水溶性単官能エチレン性不飽和単量体の含有量が19重量部以上80重量部以下であり、前記光重合開始剤の含有量が、1重量部以上20重量部以下である。
ある一形態においては、前記水溶性サポート材用組成物が、
水溶性有機溶剤を更に含有し、
前記水溶性有機溶剤の含有量が、前記水溶性サポート材用組成物全体100重量部に対して、30重量部以下である。
また、本発明は、マテリアルジェット光造形法により、上記いずれかのモデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材を含む、光造形物を提供する。
また、本発明は、マテリアルジェット光造形法により請求項17に記載の光造形物を製造する方法であって、
上記いずれかのモデル材用組成物を光硬化させてモデル材を得るとともに、上記いずれかのマテリアルジェット光造形用組成物セットの水溶性サポート材用組成物を光硬化させて水溶性サポート材を得る工程(I)と、
前記水溶性サポート材を除去する工程(II)と、
を有する、光造形物の製造方法を提供する。
本発明によれば、非吸水性に優れたモデル材用組成物が提供される。本発明のモデル材用組成物から形成される光造形品は、水に接触した場合の膨潤率が低く、寸法精度が高い。それに加えて、光造形品の硬度が高い場合でも、水に接触した場合の膨潤による光造形品の破損及び変形が生じ難い。
本実施形態に係る光造形物の製造方法におけるモデル材用組成物及びサポート材用組成物を吐出してエネルギー線を照射している状態を示す模式側面図である。 本実施形態に係る光造形物の製造方法におけるモデル材用組成物及びサポート材用組成物を吐出している状態を示す模式側面図である。 本実施形態に係る光造形物の製造方法におけるモデル材用組成物及びサポート材用組成物にエネルギー線を照射している状態を示す模式側面図である。 サポート材とモデル材からなる光造形品前駆体(光造形物)の模式側面図である。 光造形品の模式側面図である。
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態ともいう)について詳しく説明する。本発明は、以下の内容に限定されるものではない。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称であり、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味するものである。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」についても同様である。
1.モデル材用組成物
本実施形態に係るモデル材用組成物は、組成物全体100重量部に対して、単官能エチレン性不飽和単量体(A)と、15〜50重量部の二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)と、10〜45重量部のジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)と、1〜15重量部の光重合開始剤(D)と、0.005〜3.0重量部の表面調整剤(E)と、を含有する。
<単官能エチレン性不飽和単量体(A)>
単官能エチレン性不飽和単量体(A)は、光照射により重合して、モデル材用組成物を硬化させる成分である。上記(A)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、19〜49重量部とする事が好ましい。上記(A)成分の含有量が19重量部未満であると、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材は、硬化収縮が大きくなる。その結果、モデル材の寸法精度が悪化する。一方、上記(A)成分の含有量が49重量部を超えると、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材には、硬化性不足が生じる。その結果、モデル材の寸法精度が悪化する。上記(A)成分の含有量は、25重量部以上であることが好ましく、47重量部以下であることがより好ましい。
上記(A)成分は、エネルギー線により硬化する特性を有する分子内にエチレン性二重結合を1個有する重合性モノマーである。上記(A)成分としては、例えば、炭素数4〜30の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等〕、炭素数6〜20の脂環含有(メタ)アクリレート〔例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等〕、炭素数5〜20の複素環含有(メタ)アクリレート〔例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート等〕、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記(A)成分が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各(A)成分の含有量の合計として定める。
これらの中でも、上記(A)成分は、単官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。モデル材用組成物の硬化性を向上させる観点から、単官能アクリレートモノマーとしては、イソボルニルアクリレート、t‐ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、がより好ましい。
さらに、モデル材用組成物が光硬化時の温度(50〜90℃)に耐え得る耐熱性を有することにより、モデル材の寸法精度を向上させる観点から、イソボルニル(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
上記(A)成分のうち水溶性エチレン性不飽和単量体は、上記(A)、(B)、(C)の総質量に対して、40質量%以下含有されていても良い。水溶性エチレン性不飽和単量体の具体例としては、アクリロイルモルホリンが挙げられる。
<二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)>
本発明のモデル材用組成物は、重合性化合物として多官能エチレン性不飽和単量体(B)を含むことが好ましい。多官能エチレン性不飽和単量体(B)は、活性エネルギー線の照射により重合して硬化する特性を有する成分であり、分子内にエチレン性二重結合を2つ以上有する重合性モノマーである。多官能エチレン性不飽和単量体(B)として1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(B)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、15〜50重量部とする。上記(B)成分の含有量が15重量部未満であると、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材には、硬化性不足が生じる。その結果、モデル材の寸法精度が悪化する。一方、上記(B)成分の含有量が50重量部を超えると、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材は、硬化収縮が大きくなる。その結果、モデル材の寸法精度が悪化する。上記(B)成分の含有量は、20重量部以上であることが好ましく、45重量部以下であることが好ましい。
上記(B)成分は、エネルギー線により硬化する特性を有する分子内にエチレン性二重結合を2個以上有する重合性モノマー及びオリゴマーである。上記(B)成分としては、例えば、重合性モノマーは、炭素数10〜25の直鎖または分岐のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート〔例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等〕、炭素数10〜30の脂環含有ジ(メタ)アクリレート〔例えば、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等〕等が挙げられ、重合性オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、が挙げられる。ここで、重合性モノマーとは、数平均分子量が、800未満の重合性化合物であり、重合性オリゴマーとは、数平均分子量が、800〜10000の重合性化合物を意味する。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記(B)成分が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各(B)成分の含有量の合計として定める。
これらの中でも、モデル材用組成物の硬化性を向上させる観点から、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、および、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートであることが好ましい。さらに、モデル材用組成物が光硬化時の温度(50〜90℃)に耐え得る耐熱性を有することにより、モデル材の寸法精度を向上させる観点から、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、または、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
前記(B)成分のうち、ジメチルシロキサン構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、およびポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーからなる郡から選択される1種以上の成分を含んでいても良い。ジメチルシロキサン構造を有しない多官能エチレン性不飽和単量体は、組成物全体100重量部に対して、5重量部以上、25重量部以下を含有することが好ましい。
<ジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)>
ジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)は、光照射により重合してモデル材用組成物を硬化させ、該硬化により得られるモデル材の破断強度を高める成分である。ジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)を使用することで、モデル材用組成物に非吸水性が付与される。また、ジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)は、モデル材用組成物を構成する成分(A)、(B)、(D)及び(E)との相溶性に優れている。
上記(C)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、10〜45重量部とする。上記(C)成分の含有量が10重量部未満であると、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材には、硬化収縮がやや大きくなる。その結果、モデル材の寸法精度が悪化する可能性がある。また、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材の破断強度が劣る。一方、上記(C)成分の含有量が45重量部を超えると、モデル材用組成物の粘度が高くなる。そのため、モデル材用組成物をインクジェットヘッドから吐出させる際、ジェッティング特性が悪化して、飛行曲がりを起こす可能性がある。その結果、モデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材の寸法精度が悪化する可能性がある。上記(C)成分の含有量は、15重量部以上であることが好ましく、30重量部以下であることが好ましい。
上記(C)成分の具体例は、シリコーンウレタン(メタ)アクリレートである。シリコーンウレタン(メタ)アクリレートはポリシロキサン構造を有するポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応生成物である。シリコーンウレタン(メタ)アクリレートの構成は、例えば、特開平4−85314号公報に記載されている。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記(C)成分が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各(C)成分の含有量の合計として定める。
上記(C)成分は市販されているものを使用してよい。好ましい市販品は、アルケマ社製 CN990である。
なお、本明細書中において「オリゴマー」は、重量平均分子量が800〜10000である。重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
<光重合開始剤(D)>
本発明のモデル材用組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線、近紫外線または可視光領域の波長の光を照射するとラジカル反応を促進する化合物であれば、特に限定されない。上記光重合開始剤としては、低エネルギーで重合を開始させることができれば特に限定されないが、アシルフォスフィンオキサイド化合物、α−アミノアルキルフェノン化合物、α−ヒドロキシキノン化合物、チオキサントン化合物、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物およびケタール化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む光重合開始剤を用いることが好ましい。
上記アシルフォスフィンオキサイド化合物としては、具体的には、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、4−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、4−エチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、4−イソプロピルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、1−メチルシクロヘキサノイルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、例えば、BASF社製の“DAROCURE TPO”等が挙げられる。
上記α−アミノアルキルフェノン化合物としては、具体的には、例えば、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メトキシチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−2−オン等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なα−アミノアルキルフェノン化合物としては、例えば、BASF社製の“IRGACURE 369”、“IRGACURE 907”等が挙げられる。
上記α−ヒドロキシキノン化合物としては、具体的には、例えば、、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2-メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2-ヒドロキシエトキシ)−フェニル] −2−ヒドロキシ2−メチル−1−プロパン1−オン等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なα−ヒドロキシキノン化合物としては“IRGACURE 184” “DAROCURE 1173”“IRGACURE 2959” “IRGACURE 127” 等が挙げられる。
上記チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。これらは単独で又は複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なチオキサントン化合物としては、例えば、日本化薬社製の“MKAYACURE DETX−S”、ダブルボンドケミカル社製の“Chivacure ITX”等が挙げられる。
上記ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等等が挙げられる。
上記アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等が挙げられる。
上記ケタール化合物としては、具体的には、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等〕、炭素数13〜21のベンゾフェノン化合物〔例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
上記(D)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、1〜15重量部である。上記(D)成分の含有量が上記範囲であると、モデル材用組成物の硬化性が良好となり、モデル材の寸法精度が向上する。上記(D)成分の含有量は、2重量部以上であることが好ましく、13重量部以下であることが好ましい。なお、上記(D)成分が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各(D)成分の含有量の合計として定める。
<表面調整剤(E)>
表面調整剤(E)は、組成物の表面張力を適切な範囲に調整するために含有させる。組成物の表面張力を適切な範囲に調整することにより、モデル材用組成物とサポート材用組成物とが界面で混ざり合うことを抑制することができる。その結果、これらの組成物を用いて、寸法精度が良好な光造形品を得ることができる。この効果を得るため、上記(E)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、0.005〜3.0重量部とする。
上記(E)成分としては、例えば、シリコーン系化合物等が挙げられる。シリコーン系化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物等が挙げられる。具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリアラルキル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらとして、商品名でBYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570(以上、ビックケミー社製)、TEGO−Rad2100、TEGO−Rad2200N、TEGO−Rad2250、TEGO−Rad2300、TEGO−Rad2500、TEGO−Rad2600、TEGO−Rad2700(以上、デグサ社製)、グラノール100、グラノール115、グラノール400、グラノール410、グラノール435、グラノール440、グラノール450、B−1484、ポリフローATF−2、KL−600、UCR−L72、UCR−L93(共栄社化学社製)等を用いてもよい。また、シリコーン系化合物以外の(たとえばフッ素系表面調整剤、ノニオン系表面調整剤)を用いることもできる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記(E)成分が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各(E)成分の含有量の合計として定める。
<保存安定化剤(F)>
本実施形態に係るモデル材用組成物は、さらに、保存安定化剤(F)を含有することが好ましい。保存安定化剤(F)は、組成物の保存安定性を高めることができる。また、熱エネルギーにより重合性化合物が重合することで生じるヘッド詰まりを防止することができる。これらの効果を得るため、上記(F)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、0.05〜3.0重量部であることが好ましい。
上記(F)成分としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ニトロソアミン系化合物等が挙げられる。具体的には、ハイドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、IRGASTAB UV-10、IRGASTAB UV-22、FIRSTCURE ST−1(ALBEMARLE社製)、t−ブチルカテコール、ピロガロール、BASF社製のTINUVIN 111 FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 292、TINUVIN XP40、TINUVIN XP60、TINUVIN 400等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記(F)成分が2種以上含まれる場合、上記含有量は、各(F)成分の含有量の合計として定める。
モデル材用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
本実施形態に係るモデル材用組成物は、特に限定されるものではないが、例えば、上記(A)〜(E)成分、および、必要により、上記(F)成分、その他の添加剤を、混合攪拌装置、分散機等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
本発明のモデル材用組成物の粘度は、インクジェットノズルからの吐出性を良好にする観点から、25℃において80mPa・s以下であることが好ましい。上記粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行うことができる。モデル材用組成物の粘度は、重合性化合物の種類およびその配合比率、希釈溶媒や増粘剤の種類およびその添加量等を調整することにより制御することができる。
本発明のモデル材用組成物の表面張力は、好ましくは24〜30mN/mであり、より好ましくは24.5mN/m以上であり、さらに好ましくは25mN/m以上であり、より好ましくは29.5mN/m以下であり、さらに好ましくは29mN/m以下である。表面張力が上記範囲内であると、マテリアルジェットの高速吐出時においてもノズルからの吐出液滴を正常に形成することができ、適切な液滴量や着弾精度を確保することやサテライトの発生を抑制することが可能であり、造形精度を向上させやすくなる。モデル材用組成物の表面張力は、表面調整剤の種類や含有量を調整することにより制御することができる。なお、モデル材用組成物の表面張力は、JIS K2241に準拠したdu Nouey法やWilhelmy法に従い測定することができる。
2.マテリアルジェット光造形用組成物セット
複雑な形状や緻密な形状を高い精度で造形するために、本発明のモデル材用組成物は、立体造形中にモデル材を支持するためのサポート材と組み合わせて用いることが好ましい。したがって、本発明は、本発明のモデル材用組成物と、マテリアルジェット光造形法によりサポート材を造形するためのサポート材用組成物とを含んでなるマテリアルジェット光造形用組成物セットも対象とする。
3.サポート材用組成物
サポート材用組成物は、光硬化によりサポート材を与える、サポート材用の光硬化性組成物である。モデル材を作成後、サポート材をモデル材から物理的に剥離することにより、または、サポート材を有機溶媒もしくは水に溶解させることにより、モデル材から除去することができる。本発明のモデル材用組成物は、サポート材用組成物として従来公知の種々の組成物との組み合わせにおいて用いることができるが、サポート材を除去する際にモデル材を破損することがなく、環境に優しく、細部まできれいにかつ容易にサポート材を除去することができるため、本発明の光造形用組成物セットを構成するサポート材用組成物は水溶性であることが好ましい。
本発明において、水溶性サポート材用組成物は、少なくとも1種の水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(a)、少なくとも1種のポリアルキレングリコール(b)および光重合開始剤(c)を含むことが好ましい。
本発明のサポート材用組成物に含まれる水溶性の単官能エチレン性不飽和単量体としては、例えば、炭素数5〜15の水酸基含有(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等〕、数平均分子量(Mn)200〜1,000の水酸基含有(メタ)アクリレート〔例えばポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(炭素数1〜4)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(炭素数1〜4)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、PEG−PPGブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等〕、(メタ)アクリルアミド誘導体〔例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等〕、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
サポート材用組成物に含まれる水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(a)の含有量は、上記サポート材用組成物100質量部に対して、19〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは22質量部以上であり、さらに好ましくは25質量部以上であり、より好ましくは76質量部以下であり、さらに好ましくは73質量部以下である。水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(a)の含有量が上記範囲内であると、サポート材のサポート力を低下させることなく、水によるサポート材の除去性を向上させることができる。
サポート材用組成物に含まれ得るポリアルキレングリコール(b)としては、直鎖型、多鎖型のいずれであってもよい。また、水に溶解するものであれば、末端にアルキル基を含んでいてもよく、例えば、好ましくは炭素数6以下のアルキル鎖を含んでいてもよい。このようなポリアルキレングリコール(b)として、具体的には、例えば、オキシブチレン基を有するポリアルキレングリコールが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
サポート材用組成物に含まれ得るオキシブチレン基を含むポリアルキレングリコール(b)としては、オキシブチレン基を含んでいれば、特にそのアルキレン部分の構造は限定されず、例えば、オキシブチレン基(オキシテトラメチレン基)のみ有するポリブチレングリコール単体であってもよく、また、オキシブチレン基と他のオキシアルキレン基とを共に有するポリブチレンポリオキシアルキレングリコール(例えば、ポリブチレンポリエチレングリコール)であってもよい。例えば、上記ポリブチレングリコールは、下記化学式(1)で示され、上記ポリブチレンポリエチレングリコールは、下記化学式(2)で示される。
Figure 2019155801
上記化学式(2)において、mは5〜300の整数であることが好ましく、nは2〜150の整数であることが好ましい。より好ましくは、mは6〜200、nは3〜100である。また、化学式(1)および化学式(2)中のオキシブチレン基は、直鎖であってもよいが、分岐していてもよい。
サポート材用組成物が、オキシブチレン基を含むポリアルキレングリコール(d)を含むことにより、サポート材のサポート力を低下させずに水による除去性をより向上させることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアルキレングリコール(b)の数平均分子量(M)は、100〜5000であることが好ましい。ポリアルキレングリコール(b)の数平均分子量が上記範囲内であると、硬化前の組成物中では水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(a)と相溶しやすくなる一方、光照射後の水溶性単官能エチレン性不飽和単量体の硬化物とは相溶し難くなり、サポート材の水または水溶性溶剤による除去が容易になる。
サポート材用組成物におけるポリアルキレングリコール(b)の含有量は、サポート材用組成物100質量部に対して、15〜75質量部であることが好ましく、より好ましくは17質量部以上であり、さらに好ましくは20質量部以上であり、より好ましくは72質量部以下であり、さらに好ましくは70質量部以下である。ポリアルキレングリコール(b)の含有量が、上記範囲内であると、サポート材のサポート力を低下させずにサポート材の水または水溶性溶媒による除去性を向上させることができる。
サポート材用組成物は、水溶性有機溶剤(e)を含んでいてもよい。水溶性有機溶剤(e)は、サポート材用組成物を光硬化させて得られるサポート材の水への溶解性を向上させる成分である。また、サポート材用組成物を低粘度に調整する機能も有する。
水溶性有機溶剤(e)としては、グリコール系溶剤を用いることが好ましく、具体的には、例えば、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアセテート、テトラエチレングリコールモノアセテート、テトラプロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテートなどのグリコールエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコールモノエーテルアセテート系溶剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、低粘度のサポート材組成物を調製しやすく、また、硬化して得られるサポート材が水溶解性に優れる点から、水溶性有機溶剤(e)としては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
サポート材用組成物における水溶性有機溶剤(e)の含有量は、サポート材用組成物100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは28質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以下である。水溶性有機溶剤(e)の含有量が、上記範囲内であると、サポート材のサポート力を低下させずにサポート材の水または水溶性溶媒による除去性を向上させることができる。
光重合開始剤(c)としては、モデル材用組成物に含有され得る光重合開始剤として上記に述べた化合物を同様に使用することができる。サポート材用組成物における光重合開始剤の含有量は、サポート材用組成物100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部であり、より好ましくは2〜18質量部である。
光重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、未反応の重合成分を十分に低減させて、サポート材の硬化性を十分に高めやすい。
本発明の好適な一実施態様において、サポート材用組成物は、サポート材用組成物100質量部に対して、
質量部の水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(a)、
ポリアルキレングリコール(b)、
30質量部以下の水溶性有機溶剤(e)、および、
1〜20質量部の光重合開始剤(c)
を含む。上記各成分を上記範囲の含有量で含むことにより、優れた水溶解性とサポート力とを兼ね備えたサポート材用組成物を得ることができる。特に、サポート力に優れるため造形中に空気中の水分を取り込みサポート力が低下するという懸念がなく、寸法精度が良好な光造形品が得られる。
上記サポート材用組成物には、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、着色剤、顔料分散剤、保存安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
サポート材用組成物に、表面調整剤(d)を配合することによりサポート材用組成物の表面張力を適当な範囲に制御することができ、モデル材用組成物とサポート材用組成物がその界面で混合することを抑制することができる。これにより、寸法精度の良好な光造形品を得ることができる。サポート材用組成物が含み得る表面調整剤としては、本発明のモデル材用組成物に用い得る表面調整剤として例示したものと同様のものを用いることができ、その含有量は、サポート材組成物100質量部に対して0.005〜3質量部であることが好ましい。
また、サポート材用組成物に保存安定剤を配合することにより保存安定性を向上させることができる。サポート材用組成物が含み得る保存安定剤としては、本発明のモデル材用組成物に用い得る保存安定剤として例示したものと同様のものを用いることができ、その含有量は、サポート材組成物100質量部に対して0.05〜3質量部であることが好ましい。
本発明において、サポート材用組成物の粘度は、インクジェットノズルからの吐出性を良好にする観点から、25℃において30〜200mPa・sであることが好ましく、より好ましくは35mPa・s以上、さらに好ましくは40mPa・s以上であり、より好ましくは170mPa・s以下、さらに好ましくは150mPa・s以下である。なお、上記粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行うことができる。
本発明において、サポート材用組成物の表面張力は、好ましくは24〜30mN/mであり、より好ましくは24.5〜29.5mN/mであり、さらに好ましくは25〜29mN/mである。表面張力が上記範囲内であると、ノズルからの吐出液滴を正常に形成することができ、適切な液滴量や着弾精度を確保することやサテライトの発生を抑制することが可能であり、高い造形精度を確保しやすくなる。なお、サポート材用組成物の表面張力は、モデル材用組成物における表面張力の測定方法と同様の方法に従い測定することができる。
本発明のサポート材用組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、混合攪拌装置等を用いて、サポート材用組成物を構成する成分を均一に混合することにより製造することができる。
4.光造形品およびその製造方法
本実施形態の光造形物の製造方法は、前述の実施形態で説明したマテリアルジェット光造形用組成物セットを用いた光造形物の製造方法であり、マテリアルジェット(インクジェット)方式プリンターを用いてモデル材用組成物又はサポート材用組成物を吐出した後、モデル材用組成物を光硬化させてモデル材を得るとともに、水溶性サポート材用組成物を光硬化させて水溶性サポート材を得る工程と、前記水溶性サポート材を水に接触させることにより除去する工程を備えている。
本実施形態の光造形物の製造方法は、上記マテリアルジェット光造形用組成物セットを用いているため、造形精度に優れた光造形物を形成することができる。
以下、本実施形態の光造形物の製造方法について図面に基づき説明する。図1は、マテリアルジェット造形法によりサポート材用組成物及びモデル材用組成物を吐出してエネルギー線を照射している状態を示す模式側面図である。図1において、三次元造形装置10は、インクジェットヘッドモジュール11と、造形テーブル12とを備えている。また、インクジェットヘッドモジュール11は、光造形用インクユニット11aと、ローラー11bと、光源11cとを備えている。更に、光造形用インクユニット11aは、モデル材用インク13が充填されたモデル材用インクジェットヘッド11aMと、サポート材用インク14が充填されたサポート材用インクジェットヘッド11aSとを備えている。
モデル材用インクジェットヘッド11aMからは、モデル材用組成物13が吐出され、サポート材用インクジェットヘッド11aSからは、サポート材用組成物14が吐出され、光源11cからエネルギー線15が照射され、吐出されたモデル材用組成物13及びサポート材用組成物14を硬化させて、モデル材13PMとサポート材14PSを形成している。図1では、一層目のモデル材13PM及びサポート材14PSを形成する状態を示している。
次に、本実施形態の光造形物の製造方法について図面に基づき更に詳細に説明する。本実施形態の光造形物の製造方法では、先ず、図2に示すように、インクジェットヘッドモジュール11を造形テーブル12に対してX方向(図2では右方向)に走査させる共に、モデル材用インクジェットヘッド11aMからモデル材用組成物13を吐出し、サポート材用インクジェットヘッド11aSからサポート材用組成物14を吐出する。これにより、造形テーブル12の上に、モデル材前駆体13Mからなる層とサポート材前駆体14Sからなる層とを、それぞれの界面同士が接触するように隣接して配置する。
次に、図3に示すように、インクジェットヘッドモジュール11を造形テーブル12に対して逆X方向(図3では左方向)に走査させると共に、ローラー11bでモデル材前駆体13M及びサポート材前駆体14Sからなる層の表面を平滑にした後、光源11cからエネルギー線15を照射し、モデル材前駆体13M及びサポート材前駆体14Sからなる層を硬化させて、一層目のモデル材13PM及びサポート材14PSからなる層を形成す
る。
続いて、造形テーブル12をZ方向に一層分だけ下降させて、上記と同様の工程を行い、二層目のモデル材及びサポート材からなる層を形成する。その後、上記の工程を繰り返すことにより、図4に示すように、モデル材13PMとサポート材14PSからなる光造形品前駆体16が形成される。
最後に、図4に示した光造形品前駆体16を水に接触させる、例えば、水に浸漬することによりサポート材14PSを溶解して除去し、図5に示すような光造形品17が形成される。
本実施形態の光造形物の製造方法において、光源として、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、UV-LED等を使用できる。三次元造形装置10の小型化が可能であり、消費電力が小さいという観点から、UV-LEDが好ましい。光量は、造形品の硬度および寸法精度の観点から、200〜500mJ/cmが好ましい。光源としてUV-LEDを用いる場合、光が深層まで届きやすくなり、光造形品の硬度および寸法精度を向上させることができることから、中心波長が385〜415nmのものを用いることが好ましい。また、光源11cから照射するエネルギー線15についは、紫外線、近紫外線、可視光線、赤外線、遠赤外線、電子線、α線、γ線およびエックス線等を使用することができるが、硬化作業の容易性及び効率性の観点から、紫外線又は近紫外線が好ましい。
本発明の製造方法において、例えば、作製する物体の3次元CADデータをもとに、マテリアルジェット方式で積層して立体造形物を構成するモデル材用組成物のデータ、および、作製途上の立体造形物を支持するサポート材用組成物のデータを作製し、さらにマテリアルジェット方式の3Dプリンタで各組成物を吐出するスライスデータを作製し、作製したスライスデータに基づきモデル材用およびサポート材用の各組成物を吐出後、光硬化処理を層ごとに繰り返し、モデル材用組成物の硬化物(モデル材)およびサポート材用組成物の硬化物(サポート材)からなる光造形物を作製することができる。
立体造形物を構成する各層の厚みは、造形精度の観点からは薄いほうが好ましいが、造形速度とのバランスからは5〜30μmが好ましい。
得られた光造形物は、モデル材とサポート材とが組み合わされたものである。かかる光造形物からサポート材を除去してモデル材である光造形品を得る。サポート材の除去は、例えば、サポート材を溶解させる除去溶剤に得られた光造形物を浸漬し、サポート材を柔軟にした後、ブラシなどでモデル材表面からサポート材を除去して行うことが好ましい。サポート材の除去溶剤には水、水溶性溶剤、例えばグリコール系溶剤、アルコール系溶剤などを用いてもよい。これらは、単独で、あるいは複数用いてもよい。
上記光造形品は、水に接触した場合の吸水及び膨潤が抑制されており、微細構造部分の破損及び変形を起こしにくいものである。また、上記光造形品は撥水撥油性に優れ、汚染されにくいものである。
以下、本実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<モデル材用組成物>
(モデル材用組成物の製造)
表1〜5に示した成分を、混合攪拌装置を用いて所定量均一に混合し、必要に応じてジルコニアビーズを用いたビーズミル等で顔料を分散することにより、実施例1〜21および比較例1〜7のモデル材用組成物を製造した。以下、表において実施例は「実」と表示し、比較例は「比」と表示することがある。使用した成分の詳細は次の通りである。
MA−8:酸性カーボンブラック顔料[MA−8(商品名)、三菱化学社製]
Yellow 4G01:縮合アゾ顔料[NOVOPERM YELLOW 4G01(商品名)、クラリアント社製]
RT355D:キナクリドン顔料[CINQUASIA Magenda RT−355−D(商品名)、チバ社製]
P−BFS:銅フタロシアニン顔料[HOSTAPERM BLUE P−BFS(商品名)、クラリアント社製]
JR−806:酸化チタン(ルチル型、アルミナ−シリカ表面変性)[JR806(商品名)、テイカ株式会社製]
Sol.32000:分散剤(塩基性官能基を有する櫛型コポリマー)[ソルスパーズ32000(商品名)、アビシア社製]
IBOA:イソボルニルアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:1個)[サートマー SR506D(商品名)、アルケマ社製]
TBCHA:t−ブチルシクロヘキシルアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:1個)[サートマー SR217NS(商品名)、アルケマ社製]
TMCHA:トリメチルシクロヘキサノールアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:1個)[サートマー SR420NS(商品名)、アルケマ社製]
DCPDA:ジシクロペンタジエニルメタクリレート(エチレン性二重結合/1分子:1個)[サートマー CD535(商品名)、アルケマ社製]
PEA:フェノキシエチルアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:1個)[サートマー SR339(商品名)、アルケマ社製]
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:2個)[サートマー SR238(商品名)、アルケマ社製]
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:2個)[サートマー SR306(商品名)、アルケマ社製]
PE−3A:ペンタエリスリトールトリアクリレート(エチレン性二重結合/1分子:3個)[ライトアクリレートPE−3A(商品名)、共栄社化学社製]
EBECRYL8402:ウレタンアクリレートオリゴマー(エチレン性二重結合/1分子:2個)[EBECRYL8402(商品名)、ダイセルサイテック社製]
EBECRYL600:エポキシアクリレートオリゴマー(エチレン性二重結合/1分子:2個)[EBECRYL600(商品名)、ダイセルサイテック社製]
CN2203:ポリエステルアクリレートオリゴマー(エチレン性二重結合/1分子:2個)[CN2203(商品名)、アルケマ社製]
EBECRYL8890:ジメチルシロキサン構造を有するモノマー(エチレン性二重結合/1分子)[EBECRYL8890(商品名)、ダイセルサイテック社製]
EBECRYL8479:ジメチルシロキサン構造を有するモノマー(エチレン性二重結合/1分子:12個)[EBECRYL8479(商品名)、ダイセルサイテック社製]
EBECRYL1360:ジメチルシロキサン構造を有するモノマー(エチレン性二重結合/1分子:6個)[EBECRYL1360(商品名)、ダイセルサイテック社製]
DAROCURE TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド[DAROCURE TPO(商品名)、BASF社製]
TEGO−Rad2100:ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコンアクリレート[TEGO−Rad2100(商品名)、デグサ社製]
H-TEMPO:4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル[HYDROXY−TEMPO(商品名)、エボニック デグサ ジャパン社製]
そして、これらのモデル材用組成物を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表1〜5に示す。
(硬化性の評価)
まず、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(A4300、東洋紡社製、100mm×150mm×厚さ188μm)上に、各モデル材用組成物を、それぞれバーコーター(#4)により印刷して、厚さ3μmの印字膜を形成した。この印字膜に、照射手段として紫外線LED(NCCU001E、日亜化学工業株式会社製)を用い、全照射光量が500mJ/cmとなるように紫外線を照射して硬化させた。このようにして硬化させた印字膜を指で触り、指へのインクの付着の有無を目視で調べ、下記の基準において硬化性を評価した。なお、評価は、画像部分から非印刷部分に向かって指で画像を擦って行った。
○:表面はさらさらしており、指への付着感は無かった。
△:表面はややしっとりとしており、指への付着感はペタペタ感が有った。
×:表面はべたべたしており、指に未硬化インクの一部が付着した。
(試験片の作成)
ガラス板(商品名「GLASS PLATE」、アズワン社製、200mm×200mm×厚さ5mm)の上面四辺に厚さ1mmのスペーサーを配し、10cm×10cmの正方形に仕切った。該正方形内に各モデル材用組成物を注型した後、別の上記ガラス板を重ねて載せた。そして、照射手段として紫外線LED(NCCU001E、日亜化学工業株式会社製)を用い、全照射光量が500mJ/cmとなるように紫外線を照射して硬化させた。その後、硬化物をガラス板から離型し、カッターで幅5mm、長さ50mmの形状に切り出して、試験片を得た。該試験片について、下記の方法で性能評価を行った。なお、評価結果は、試験片5枚について評価して得られた結果の平均結果を示す。
(硬化収縮の評価)
まず、調整した28%ヨウ化カリウム水溶液中に、各モデル材用組成物から得られた試験片を浸した。その際、上記試験片は、水溶液中に浮かんでいた。次に、上記試験片が水浴内中層部に浮遊する状態になるまで、上記水溶液に純水を加えた。この際のヨウ化カリウム水溶液の比重を計算し、試験片の比重とした。また、各モデル材用組成物の比重は、密度比重計DA−130(京都電子工業社製)で測定した。硬化収縮は、下記(i)式により求め、下記の基準において評価した。
○:硬化収縮 ≦ 10%
△:10% < 硬化収縮 < 13%
×:硬化収縮 ≧ 13%
硬化収縮率(%)=(試験片の比重−モデル材用組成物の比重)/試験片の比重
…(i)
(水膨潤率(%))
上記で作成した試験片を用いて、ASTM D570の吸水率測定法に準じて測定した。膨潤率(%)は下記式(ii)から求めた。但し、水はイオン交換水を用い、水温は25℃で測定した。
水膨潤率(%)=100×(水浸漬後の重量−水浸漬前の重量)/(水浸漬前の重量)
…(ii)
○:水膨潤率が <0.5%以下
△:水膨潤率が 0.5〜1.0%
×:水膨潤率が >1%以上
(粘度の測定)
各モデル材用組成物の粘度は、R100型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃、コーン回転数5rpmの条件下で測定し、下記の基準において評価した。
○:粘度 ≦ 80mPa・s
×:粘度 > 80mPa・s
Figure 2019155801
Figure 2019155801
Figure 2019155801
Figure 2019155801
Figure 2019155801
表1〜5の結果から分かるように、本発明の要件を全て満たす実施例1〜21のモデル材用組成物は、硬化性、硬化収縮、水膨潤性及び粘度がいずれも良好であった。一方、比較例1〜7のモデル材用組成物は、硬化性、硬化収縮、破断強度又は粘度のいずれかが劣るものであった。
<サポート材用樹脂組成物>
表6に、下記の実施例及び比較例において、サポート材組成物に使用した成分をまとめた。
Figure 2019155801
(実施例1〜10)
先ず、実施例1〜10のサポート材組成物を次のようにして調製した。即ち、プラスチック製ビンに、表7に示す成分(a)〜(f)を表7に示す配合量(単位:質量部)で計り取り、これらを混合することにより各サポート材組成物を調製した。
Figure 2019155801
次に、上記実施例1〜10のサポート材組成物について、下記に示す方法によって、サポート材組成物の低温安定性、サポート材組成物を硬化したサポート材硬化物の高温高湿条件安定性(サポート力)及び水除去性を評価した。
<サポート材組成物の低温安定性>
低温でのサポート材組成物の安定性について評価した。各サポート材組成物をガラス瓶に入れ、そのサポート材組成物入りガラス瓶を温度10℃に設定した恒温槽中で24時間保管した。その後、保管後のサポート材組成物の状態を目視で確認して、下記基準でサポート材組成物の低温安定性を評価した。
サポート材組成物が液体状を維持している場合:低温安定性A(優良)
サポート材組成物が一部凝固(固化)している場合:低温安定性B(良)
サポート材組成物が凝固(固化)している場合:低温安定性C(不良)
<サポート材硬化物のサポート力>
ガラス板上に、縦30mm、横30mm、厚さ5mmの額縁状のシリコンゴムにより枠を形成し、その枠の中に各サポート材組成物を流し込み、メタルハライドランプにより積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射し、サポート材硬化物を作製した。続いて、上記硬化物をガラス製シャーレに入れ、その硬化物入りシャーレを温度40℃、相対湿度90%の恒温槽中に2時間放置した。その後、放置後の上記硬化物の状態を目視で確認して、下記基準でサポート材硬化物のサポート力を評価した。
硬化物の表面に液体状物質の発生がなく、硬化物の軟化も確認されない場合:サポート力A(優良)
硬化物の表面に液体状物質がわずかに発生し、硬化物の軟化が若干確認された場合:サポート力B(良)
硬化物の表面に液体状物質が発生し、硬化物の軟化が確認された場合:サポート力C(不良)
<サポート材硬化物の水除去性>
上記サポート材硬化物のサポート力の評価の場合と同様にして、サポート材硬化物を作製した。次に、上記硬化物を、50mLのイオン交換水を満たしたビーカーに入れ、水温を25℃に維持しながら超音波洗浄機で処理し、上記硬化物が溶解するまでの時間を測定し、下記基準でサポート材硬化物の水除去性を評価した。
硬化物が完全に溶解するまでに30分を要した場合:水除去性A(優良)
硬化物が完全に溶解するまでに1時間を要した場合:水除去性B(良)
硬化物が完全に溶解するまでに2時間を要した場合:水除去性C(不良)
以上の結果を表8に示す。
Figure 2019155801
実施例1〜10のサポート材組成物は、全ての評価項目で満足できる結果を得たことが分かる。
<マテリアルジェット光造形用組成物セット(インクセット)>
表9に示す通りに上記モデル材用組成物及びサポート材用組成物を組み合わせることにより、実施例1〜4及び比較例1及び2を調製した。
ガラス板(商品名「GLASS PLATE」、アズワン社製、200mm×200mm×厚さ5mm)の上面四辺に厚さ1mmのスペーサーを配し、10cm×10cmの正方形に仕切った。該正方形内にサポート材用組成物を注型した後、照射手段として紫外線LED(NCCU001E、日亜化学工業株式会社製)を用い、全照射光量が500mJ/cmとなるように紫外線を照射して硬化させ、サポート材を得た。
次に、上記サポート材の上面四辺に厚さ1mmのスペーサーを配し、10cm×10cmの正方形に仕切った。該正方形内にモデル材用組成物を注型した後、照射手段として紫外線LED(NCCU001E、日亜化学工業株式会社製)を用い、全照射光量が500mJ/cmとなるように紫外線を照射して硬化させ、モデル材を得た。
(密着性の評価)
この状態で30℃の恒温槽に12時間放置し、モデル材とサポート材との密着性の様子を目視にて確認し、下記の基準において評価した。結果を表9に示す。
○:モデル材とサポート材とは密着していた。
×:モデル材とサポート材との界面で剥がれが生じ、モデル材の硬化収縮でモデル材が反るように剥がれた。
Figure 2019155801
表9の結果から分かるように、モデル材用組成物およびサポート材用組成物の両方が本発明の要件を満たす実施例1〜4は、モデル材とサポート材との界面に剥がれが生じず、モデル材とサポート材とがより密着していた。このように、モデル材とサポート材とが密着していれば、寸法精度が良好な光造形品が得られる。
一方、モデル材用組成物およびサポート材用組成物の一方又は両方が本発明の要件を満たしていない比較例1及び2は、モデル材とサポート材との界面で剥がれが生じた。このように、モデル材とサポート材との密着性が悪いと、光造形品の寸法精度が悪化する。
本発明のモデル材用組成物およびサポート材用組成物は、光硬化させることにより、寸法精度が良好な光造形品を提供することができる。よって、これらの組成物は、マテリアルジェット光造形法による光造形品の製造に好適に用いることができる。
10 三次元造形装置
11 インクジェットヘッドモジュール
11a 光造形用インクユニット
11aM モデル材用インクジェットヘッド
11aS サポート材用インクジェットヘッド
11b ローラー
11c 光源
12 造形テーブル
13 モデル材用インク
13M モデル材前駆体
13PM モデル材
14 サポート材用インク
14S サポート材前駆体
14PS サポート材
15 エネルギー線
16 光造形品前駆体(光造形物)
17 光造形品

Claims (15)

  1. マテリアルジェット光造形法によりモデル材を造形するために使用されるモデル材用組成物であって、
    組成物全体100重量部に対して、
    単官能エチレン性不飽和単量体(A)と、
    15〜50重量部の二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)と、
    10〜45重量部のジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレートオリゴマー(C)と、
    1〜15重量部の光重合開始剤(D)と、
    0.005〜3.0重量部の表面調整剤(E)と、
    を含有する、モデル材用組成物。
  2. 前記(A)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、19〜49重量部である、請求項1に記載のモデル材用組成物。
  3. 前記(A)成分のうち水溶性エチレン性不飽和単量体は、単官能エチレン性不飽和単量体および多官能エチレン性不飽和単量体およびオリゴマーの総質量に対して、40質量%以下となる請求項1又は2に記載のモデル材用組成物。
  4. 前記(B)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、20〜45重量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモデル材用組成物。
  5. 前記(B)成分のうち、ジメチルシロキサン構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、およびポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーからなる郡から選択される1種以上を含み、組成物全体100重量部に対して、5〜25重量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載のモデル材用組成物。
  6. 前記(C)成分はシリコーンウレタン(メタ)アクリレートであり、該シリコーンウレタン(メタ)アクリレートはポリシロキサン構造を有するポリオールと、ジイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応生成物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のモデル材用組成物。
  7. 前記(C)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、15〜30重量部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のモデル材用組成物。
  8. 前記(D)成分の含有量は、組成物全体100重量部に対して、2〜13重量部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のモデル材用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のモデル材用組成物と水溶性サポート材用組成物とを有するマテリアルジェット光造形法に使用されるマテリアルジェット光造形用組成物セットであって、
    該水溶性サポート材用組成物が、ポリアルキレングリコールと、水溶性単官能エチレン性不飽和単量体と、光重合開始剤とを含有する、マテリアルジェット光造形用組成物セット。
  10. 前記ポリアルキレングリコールがオキシブチレン基を有するポリアルキレングリコールである請求項9に記載のマテリアルジェット光造形用組成物セット。
  11. 前記水溶性サポート材用組成物が、
    前記サポート材用組成物全体100重量部に対して、15重量部以上75重量部以下の量で前記オキシブチレン基を含むポリアルキレングリコールを含有する請求項9又は10に記載のマテリアルジェット光造形用組成物セット。
  12. 前記水溶性サポート材用組成物全体100重量部に対して、前記水溶性単官能エチレン性不飽和単量体の含有量が19重量部以上80重量部以下であり、前記光重合開始剤の含有量が、1重量部以上20重量部以下である請求項9〜11のいずれか一項に記載のマテリアルジェット光造形用組成物セット。
  13. 前記水溶性サポート材用組成物が、
    水溶性有機溶剤を更に含有し、
    前記水溶性有機溶剤の含有量が、前記水溶性サポート材用組成物全体100重量部に対して、30重量部以下である請求項9〜12のいずれか一項に記載のマテリアルジェット光造形用組成物セット。
  14. マテリアルジェット光造形法により、請求項1〜8のいずれか一項に記載のモデル材用組成物を光硬化させて得られるモデル材を含む、光造形物。
  15. マテリアルジェット光造形法により請求項14に記載の光造形物を製造する方法であって、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のモデル材用組成物を光硬化させてモデル材を得るとともに、請求項9〜13のいずれか一項に記載のマテリアルジェット光造形用組成物セットの水溶性サポート材用組成物を光硬化させて水溶性サポート材を得る工程(I)と、
    前記水溶性サポート材を水に接触させることにより除去する工程(II)と、
    を有する、光造形物の製造方法。
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