JP2019154283A - 多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法、及びその方法のために用いられるキット - Google Patents

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Abstract

【課題】多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法を提供する。【解決手段】多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法であって:(1)AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能bを評価する工程;及び(2)前記レクチンと、未分化の前記多能性幹細胞に由来するエクソソームの表面との結合能b0と、前記工程(1)において得られた結合能bとを、同一レクチン間においてそれぞれ比較する工程を含み、少なくとも一種の前記レクチンに関し、前記bが、前記b0よりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法、及びその方法のために用いられるキットに関する。
多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる骨芽細胞を含有する細胞集団について、研究開発が盛んに行われている。これらの細胞集団は、医薬(細胞医薬品)として、あるいは創薬や発生等における研究ツールとしての有用性が注目されている。多能性幹細胞としては、目的に応じて、間葉系幹細胞等の体性幹細胞、並びにiPS細胞及びES細胞等の人工多能性幹細胞が幅広く利用されている。
これらの細胞集団を利用するに際しては、骨芽細胞への分化誘導が正常に、かつ効率的に行われていることを確認することが有用である。具体的には、分化状態などの判別方法が重要となる。従来、骨芽細胞への分化の確認はアルカリホスファターゼ、オステオカルシン、又はI型コラーゲン等の発現量を指標として行われていた(特許文献1)。しかし、これらのマーカーは骨組織特異的ではないため、これらを指標とする判別方法には不十分な面もあった。
また、細胞表面の糖鎖構造の変化を指標として、ヒト間葉系幹細胞の未分化状態及び骨分化状態をそれぞれ判別する方法も提案されている(特許文献2、3)。さらに、細胞膜タンパク質の量変化を指標として、ヒト間葉系幹細胞の未分化状態及び骨分化状態をそれぞれ判別する方法も提案されている(特許文献4)。
特表2006−513253号公報 再表2010−131641号公報 特開2012−37416号公報 特開2008−220334号公報
多能性幹細胞の未分化状態及び骨芽分化状態をそれぞれ判別する新たな方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、エクソソーム膜上のタンパク質や脂質を覆う糖鎖に着目し、レクチンアレイを用いて網羅的にエクソソーム表面糖鎖の解析を行った。あらゆる細胞が分泌する50〜200nmの小胞の1つであるエクソソームはその内部に情報伝達物質であるタンパク質及び核酸(mRNA及びmiRNA等)を含み、細胞間のコミュニケーションツールとして重要な役割を担っている。エクソソームは基本的に分泌細胞の情報をコピーしていることから、治療薬としての応用や疾患マーカーとしての利用に関する研究が盛んに行われている。このように、エクソソーム内部物質に関する情報は明らかになってきている一方で、エクソソーム表面の糖鎖に関する研究例は未だ少ない。細胞膜表面の脂質やタンパク質のほとんどは糖鎖で覆われ、分化、免疫、感染及びがん化などの生体応答に関わっている。エクソソーム表面の糖鎖も同様の役割があると考えられるが、その解析方法の難しさから糖鎖構造や機能はほとんど解明されていない。本発明者らはエクソソームの構造を破壊することなく、糖鎖を認識するタンパク質であるレクチン45種類(表3)を固定化したレクチンマイクロアレイを用いてエクソソーム表面の糖鎖を高感度に検出することに成功している(Biochem Biophys Res Commun, 491 (2017) 701−707)。本発明では、未分化状態の多能性幹細胞及び多能性幹細胞を分化誘導して得られた骨芽細胞からエクソソームをそれぞれ回収し、45種類のレクチンに対する結合能を評価したところ、分化誘導骨芽細胞由来のエクソソーム表面により多く発現する糖鎖を複数種見出すことに成功した。本発明はかかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。
項1.
多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法であって:
(1)AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能bを評価する工程;及び
(2)前記レクチンと、未分化の前記多能性幹細胞に由来するエクソソームの表面との結合能bと、前記工程(1)において得られた結合能bとを、同一レクチン間においてそれぞれ比較する工程を含み、
少なくとも一種の前記レクチンに関し、前記bが、前記bよりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、方法。
項2.
全種の前記レクチンに関し、前記bが、前記bよりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、項1に記載の方法。
項3.
前記bが、前記bに対して2倍以上であるときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、項1又は2に記載の方法。
項4.
多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出するために用いられるキットであって、
AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能を評価することのできる手段を含む、キット。
項5.
前記手段が、レクチンアレイである、項4に記載のキット。
本発明の一態様によれば、多能性幹細胞の未分化状態及び骨芽分化状態をそれぞれ判別することができる。
実施例で使用したレクチンアレイの構成と糖鎖特異性を示す図面である。 実施例における、骨芽細胞分化誘導後の細胞のALP染色およびアリザリンレッド染色の結果をそれぞれ示す図面である。 実施例における、骨芽分化誘導前後の細胞に由来するエクソソームのレクチンへの結合強度を評価した結果を示す図面である。 実施例における、骨芽分化誘導前後のエクソソーム及び細胞溶解液のECAレクチンブロットの結果を示す図面である。 実施例における、骨芽分化誘導前後のエクソソーム及び細胞溶解液のWFAレクチンブロットの結果を示す図面である。
多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法
本発明の、多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法(本明細書において、「本発明の検出方法」ということがある)は、
(1)AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能bを評価する工程;及び
(2)前記レクチンと、未分化の前記多能性幹細胞に由来するエクソソームの表面との結合能bと、前記工程(1)において得られた結合能bとを、同一レクチン間においてそれぞれ比較する工程を含み、
少なくとも一種の前記レクチンに関し、前記bが、前記bよりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、方法である。
多能性幹細胞は、由来を問わず用途に応じて幅広く使用できる。例えば、ヒト由来、マウス由来、イヌ由来及びブタ由来等の多能性幹細胞を使用できる。多能性幹細胞は、好ましくはヒト由来である。
多能性幹細胞としては、特に限定されず、幅広く用いることができる。多能性幹細胞としては、体性幹細胞、人工多能性幹細胞又は胚性幹細胞のいずれも用いることができる。
体性幹細胞としては、特に限定されず、例えば、間葉系幹細胞等を用いることができる。体性幹細胞の由来は、特に限定されず、例えば、脂肪由来、骨髄由来、臍帯由来及び歯髄由来等であってもよい。体性幹細胞は、好ましくは、脂肪由来間葉系幹細胞[Adipose Derived Stem Cells(ADSC)]であり、より好ましくは、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞(h−ADSC)である。
人工多能性幹細胞としては、特に限定されず、例えば、iPS細胞等を用いることができる。胚性幹細胞としては、特に限定されず、例えば、通常のES細胞の他、核移植胚性幹細胞(ntES細胞)等も用いることができる。これらの中でも、特に医薬としての利用を考えた場合、安全性等の面からiPS細胞及びES細胞が特に好ましい。特にヒト由来のiPS細胞(h−iPS細胞)が好ましい。
多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導する方法としては、特に限定されず、既知の方法を使用できる。例えば、デキサメタゾン、β−グリセロリン酸、及びアスコルビン酸の存在下で多能性幹細胞を培養することにより分化誘導する方法を使用できる。また、骨形成タンパク質(Bone Morphogenetic Protein;BMP)−4、アスコルビン酸−2−リン酸塩、デキサメタゾン及びβ−グリセロリン酸塩の存在下、ゼラチンでコートした培養プレート上で培養することにより分化誘導する方法を使用することもできる(参考:国際公開第2004/106502号パンフレット)。
本発明では、AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンを利用する。本発明では、上に掲げたレクチンとは異なるレクチンをさらに利用してもよい。
これらの各レクチンの糖鎖結合特異性を、表1に示す。
本発明では、好ましくは、AOL、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンを利用する。
検出精度の点で、本発明では、AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される、少なくとも二種のレクチンを利用することが好ましく、少なくとも三種のレクチンを利用することがより好ましく、少なくとも四種のレクチンを利用することがさらに好ましく、少なくとも五種のレクチンを利用することがさらにより好ましく、六種のレクチンを利用することがもっとも好ましい。ただし、経済性及び操作の簡便性の観点からは、検出精度が許容できる範囲内に留まる限り、利用するレクチンの種類がより少ないほうが好ましい。
細胞からのエクソソームの調製方法は、特に限定されず、既知の方法を使用できる。具体的には、例えば、市販のエクソソーム分離キットを使用して調製できる。このようなキットを使用して、遠心によるペレットダウン、免疫沈降、磁気ビーズによる精製、粒子のサイズによる分画、又はカラム吸着等をそれぞれ利用してエクソソームを調整することができる。
レクチンと、細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能bを評価する方法は、特に限定されず、例えば、蛍光標識等を利用した方法を使用できる。特に限定されず、例えば、蛍光標識したエクソソームとレクチンとの結合を、蛍光強度を測定すること等により検出する方法により結合能を評価することができる。
レクチンと、細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能bを評価する方法としては、例えば、レクチンアレイを使用することができる。レクチンアレイとしては、特に限定されず、市販のものを使用することができ、例えば、LecChip(登録商標)ver.1.0(GlycoTechnica製)等を使用できる。
レクチンアレイを用いる方法としては、特に、エバネッセント蛍光法を利用すると、レクチンアレイ上で試料をインキュベーションした後、洗浄操作なしに、すなわちエクソソームの構造を破壊することなく、レクチンにエクソソームが結合したか否かを検出することができ、また高感度かつリアルタイムな検出も可能となるため、好ましい。具体的には、例えば、蛍光標識されたエクソソームをレクチンアレイ上でインキュベーションし、エバネッセント蛍光法を利用してレクチンに結合する蛍光標識化エクソソームを選択的に励起することにより、レクチンに結合したエクソソームを検出することができる。このような検出方法は、特に限定されず、例えば、GlycoTechnica製のGlycoStation(商標)Reader 1200等を使用して行うことができる。この場合、蛍光強度に基づいて算出される数値を結合能b及び結合能bとすることができる。
本発明においては、前記レクチンと、未分化の前記多能性幹細胞に由来するエクソソームの表面との結合能bと、前記レクチンと、多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団(本明細書において、「分化誘導細胞集団」ということがある。)に由来するエクソソームの表面との結合能bとを、同一レクチン間においてそれぞれ比較する。なお、本発明の方法には、結合能bを評価する工程は必須ではない。例えば、結合能bの評価を、予め、完了させておくことができる。また、本発明の方法には、結合能bを評価する工程が含まれていてもよい。
少なくとも一種の前記レクチンに関し、前記bが、前記bよりも高いときに、本発明の方法は、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す。
検出精度の点で、本発明の方法は、好ましくは少なくとも二種(ただし、二種以上のレクチンを利用する場合)、より好ましくは少なくとも三種(ただし、三種以上のレクチンを利用する場合)、さらに好ましくは少なくとも四種(ただし、四種以上のレクチンを利用する場合)、さらにより好ましくは少なくとも五種(ただし、五種以上のレクチンを利用する場合)、もっとも好ましくは六種の前記レクチンに関し(ただし、六種のレクチンを利用する場合)、前記bが、前記bよりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す。
検出精度の点で、本発明の方法は、前記bが、前記bに対して、好ましくは2倍以上であるときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す。より好ましくは、各レクチンについて、前記bが、前記bに対して、表2に示す基準以上であるときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す。なお、SBAに関しては、結合能bが検出されない場合もあり、この場合においては、結合能bが検出されることのみをもって、結合能bが結合能bよりも高いと評価できる。
多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出するために用いられるキット
本発明の、多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出するために用いられるキット(本明細書において、「本発明の検出キット」ということがある)は、AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能を評価することのできる手段を含む、キットである。
前記手段は、特に限定されず、好ましくはレクチンアレイである。レクチンアレイとしては、本発明で利用するレクチンを少なくとも固定化しており、これらレクチンを検出可能なものを使用できる。
本発明の検出キットは、本発明の検出方法と、互いに共通する部分については、同様の構成とすることができる。
(1)ヒト脂肪細胞由来幹細胞(ADSC)から骨芽細胞への分化誘導工程における、エクソソーム表面糖鎖による分化の判定
エクソソームの調製法
ヒト脂肪細胞由来幹細胞(ADSC (Lonza))および骨芽分化誘導ADSC(以後、骨芽分化細胞)の細胞培養上清からエクソソームを調製した。ADSC(0.5-1×106cells)を75cm2フラスコに播種し、ADSC-BulletKit(商標)(Lonza)培地中、5% CO2雰囲気下37℃でサブコンフルエントになるまで培養後、無血清培地StemPro(登録商標)MSC SFM XenoFree (Thermo Fisher Scientific)に交換し、2日間培養した。培養上清を回収し、300×gで10分、2000×gで10分、10000×gで30分遠心し、死細胞と細胞残渣を除去した。遠心後の上清を120000×gで4℃, 100分超遠心した。得られた沈殿にPBSを添加し、再度120000×gで4℃, 100分超遠心した。沈殿をPBSに懸濁し、これをADSCエクソソーム溶液とした。エクソソーム溶液のタンパク質濃度はMicro BCA(商標) Protein Assay Kit (Thermo Fisher Scientific)を用いて算出した。
骨芽細胞への分化は上記と同様な条件でADSCをコンフルエントになるまで培養後、250 μM L(+)-アスコルビン酸ナトリウム塩(SIGMA-ALDRICH)、10 mM β-グリセロリン酸二ナトリウム塩水和物(SIGMA-ALDRICH)、5 nM デキサメタゾン(SIGMA-ALDRICH)含有培地で培養することにより行った。3〜4日ごとに培地交換を行い、21日間培養後の上清から骨芽分化細胞エクソソームを回収した。
アルカリフォスファターゼ(ALP)染色およびアリザリンレッド染色による骨芽分化細胞の評価
上記の分化条件の培養で得られる、骨芽細胞分化誘導前と後の細胞をALP染色(TRACP & ALP double-stain Kit、タカラバイオ)および石灰化の指標であるアリザリンレッド染色(石灰化評価セット、株式会社 PG リサーチ)によって、骨芽細胞への分化の有無を評価した。
エクソソームの蛍光ラベル化
ADSCおよび骨芽分化細胞エクソソーム1μgとCy3 Mono-Reactive dye(GE Healthcare)とを反応させ、蛍光ラベル化エクソソームを調製した。未反応の蛍光色素は脱塩カラム(Zeba(商標)Spin Desalting Columns, Thermo Fisher Scientific)を用いて除去した。
蛍光ラベル化エクソソームとレクチンアレイとの反応
レクチンアレイ(LecChip(登録商標)ver.1.0, GlycoTechnica)は、表3に示す45種類のレクチンが図1に示す配列に固定化されたものを用いた。蛍光ラベル化エクソソームを31.25 ng/mL〜2000 ng/mLとなるように段階希釈し、レクチンアレイ上の各反応槽に添加して20℃で一晩反応させた。反応後、エバネッセント波励起蛍光スキャナー(GlycoStation(登録商標)Reader 1200, GlycoTechnica)を用いてレクチンアレイの蛍光測定を行った。蛍光強度データはGlycoStation(登録商標)Tools Pro Suite 1.5 (GlycoTechnica)を用いて数値化した。

結果
ALP染色およびアリザリンレッド染色による骨芽分化細胞の評価結果
本実施例において、骨芽分化誘導培地で培養したADSCは、分化に伴い顕著なALP染色およびアリザリンレッド染色による石灰化が見られ、ADSCから骨芽細胞への分化が確認された(図2)。
レクチンアレイによる骨芽分化細胞の評価結果
ADSCエクソソームと骨芽分化細胞エクソソームをそれぞれLecChip(登録商標)へ添加し、45種類のレクチンに対する結合能を比較した。骨芽分化細胞エクソソームにおいて各レクチンに対する結合能に選択性が認められ、AOL, ECA, BPL, PNA, WFAレクチンへの結合能はADSCエクソソームに比較して3〜40倍ほど増加し、SBAレクチンにおいてはADSCエクソソームは結合しないのに対し骨芽分化とともにエクソソームの結合が見られた(図3、表4)。
以上の結果から、これらの45種のレクチンに対する骨芽分化細胞エクソソームの結合能は、ADSCから骨芽分化細胞への分化過程において有用な判断指標となることが明らかになった。
(2)レクチンブロットによるエクソソーム表面の糖鎖結合物質の解析
骨芽分化後にエクソソームの結合能が増加したレクチンのうちECAとWFAについて、ADSCおよび骨芽分化細胞のエクソソーム、対照としてそれらの細胞溶解液に対してレクチンブロットを行った。骨芽分化開始21日後(後期)および7日(初期)、14日(中期)にもエクソソームを回収し、バンドパターンを比較した。細胞溶解液はRIPA Buffer(ナカライテスク社)を用いて公知の方法で調製した。
結果
レクチンブロットによるADSCおよび骨芽分化細胞のエクソソーム表面のECA、WFA結合糖鎖構造の比較
Galβ1-4 GlcNAc構造を認識するECAレクチンおよびGalNAcβ1-4GlcNAc構造を認識するWFAレクチンを用いたレクチンブロットを行い、骨芽分化前後の細胞溶解液およびエクソソームのバンドパターンを比較した。ECAレクチンブロットの場合、細胞溶解液では41-55 kDa付近のバンドで差が見られ、エクソソームではADSCと骨芽分化細胞エクソソームで大きな違いが見られた(図4)。WFAレクチンブロットの場合、細胞溶解液ではADSCおよび骨芽分化細胞のパターンに大きな差は見られないが、エクソソームでは分化前のADSCではほとんどバンドが見られないのに対して、分化後の骨芽分化細胞エクソソームには広範囲でバンドが確認された(図5)。
これらのレクチンブロットの結果より、ADSCから骨芽分化細胞への分化過程において、それぞれの細胞溶解液ではバンドパターンの差異は僅かであるが、エクソソームのバンドパターンの変化は大きく、骨芽分化の指標としてエクソソーム上のレクチン認識糖鎖が有用であると示唆される。

Claims (5)

  1. 多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出する方法であって:
    (1)AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能bを評価する工程;及び
    (2)前記レクチンと、未分化の前記多能性幹細胞に由来するエクソソームの表面との結合能bと、前記工程(1)において得られた結合能bとを、同一レクチン間においてそれぞれ比較する工程を含み、
    少なくとも一種の前記レクチンに関し、前記bが、前記bよりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、方法。
  2. 全種の前記レクチンに関し、前記bが、前記bよりも高いときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記bが、前記bに対して2倍以上であるときに、前記細胞集団における骨芽細胞の存在を示す、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 多能性幹細胞を骨芽細胞へと分化誘導することにより得られうる細胞集団から骨芽細胞を検出するために用いられるキットであって、
    AOL、ECA、BPL、PNA、WFA及びSBAからなる群より選択される少なくとも一種のレクチンを含むレクチンと、前記細胞集団に由来するエクソソームの表面との結合能を評価することのできる手段を含む、キット。
  5. 前記手段が、レクチンアレイである、請求項4に記載のキット。

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