以下、図面を参照して本実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す。
画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、トナー像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、および制御部100等を備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター(PC))との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙にトナー像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、記憶部72内の階調補正データ(階調補正テーブルLUT)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示す。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(線速度)で回転させる。
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。これにより、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるクリーニングブレード等を有する。ドラムクリーニング装置415は、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーをクリーニングブレードによって除去する。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
中間転写ベルト421、バックアップローラー423Bおよび二次転写ローラー424により形成される二次転写ニップは、本発明の「転写部」に対応する。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
定着部60は、用紙Sの定着面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源60C等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニット60Dが配置されている。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量(剛度)やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aやループローラー53b等の複数の搬送ローラー、用紙Sの両面に画像形成するための両面搬送経路、用紙Sを装置の外部(図1における右側)から給紙するための外部給紙搬送路等を有する。レジストローラー対53aは、本発明の「レジストローラー」に対応する。
レジストローラー対53aは、制御部100の制御の下、用紙Sの曲り補正を行う役割と、用紙Sの位置ずれ補正を行う役割を担う。また、レジストローラー対53aは、制御部100の制御の下、用紙上に二次転写されるトナー像の位置を合わせるように回転することで、用紙の搬送速度を調整する機能を有する。
ここで、曲り補正は、搬送されて来る用紙Sをレジストローラー対53aに突き当てることによって、用紙Sの搬送方向における先端側の曲がりすなわち斜行(スキュー)を補正するものである。本実施の形態では、用紙Sの曲り補正の際に、レジストローラー対53aの駆動源(モーター等)に制御部100から制御信号が出力されることによって、レジストローラー対53aの回転が制御される。
他方、位置ずれ補正は、レジストローラー対53aの揺動によって、用紙Sの幅方向における位置を補正するものである。すなわち、レジストローラー対53aのニップ(以下、レジストニップともいう。)に用紙Sが挟持された後、レジストローラー対53aが幅方向に移動して用紙Sを移動させる揺動動作(レジスト揺動)の制御が行われることにより、用紙Sの幅方向における位置が補正される。本実施の形態では、レジストローラー対53aを揺動させる駆動源は、レジストローラー対53aを回転させるモーターとは別のモーター(ステッピングモーター等)が使用される。なお、レジスト揺動の制御内容の詳細については後述する。
ループローラー53bは、搬送方向におけるレジストローラー対53aの上流側に配置されたローラー対である。ループローラー53bは、制御部100の制御の下、レジストローラー対53aとの間で用紙Sにループを形成するように回転することによって、レジストローラー対53aと協働して用紙Sの曲がりを補正する。
用紙搬送方向におけるレジストローラー対53aの下流側で二次転写ニップの上流側には、ラインセンサー54が配置されている。ラインセンサー54は、光電変換素子をライン状に配置したセンサーであり、用紙Sの幅方向の一方の端部(以下、側端という)を検出して、用紙Sの片寄り(基準ないし目標位置(後述する図6中の点線参照)からの位置ずれ)を検知する役割を担う。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。あるいは、用紙Sは、外部給紙トレイまたは画像形成装置1に接続された給紙装置(いずれも図示せず)から、上述した外部給紙搬送路を介して画像形成部40に搬送される。このとき、給紙された用紙Sの搬送方向における先端の辺がレジストローラー対53aに突き当てられて、かかる先端の辺をレジストローラー対53aの軸と平行にすることにより、用紙Sの曲がりが補正(曲り補正)されるとともに、用紙Sの搬送タイミングが調整される。
そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。なお、両面印刷時には、第一面への画像形成が行われた用紙Sは、両面搬送経路を経由してスイッチバック搬送されることで、搬送方向の先後端が逆になり、表裏が反転された後、第二面にトナー像が二次転写および定着されて、排紙部52により機外に排紙される。
次に、図3を参照して、感光体ドラム413にトナー像が形成される際の滑剤供給等の動作について説明する。図3は、ドラムクリーニング装置415の一部を抽出して示している。図3に示すように、ドラムクリーニング装置415は、クリーニングブレード416、トナー回収スクリュー417、潤滑剤塗布ブラシ104、固形潤滑剤(滑剤)105、付勢部材106、均しブレード107、および支持板金108等を備えている。これら各部品は、ドラムクリーニング装置415の枠体となる収容ケース109に適当な方法により取り付けられている。
クリーニングブレード416は、ウレタンゴム等を平板状に成形した弾性部材であり、感光体ドラム413の軸方向(主走査方向)の幅とほぼ同等の幅を有する。クリーニングブレード416は、その先端(エッジ)を感光体ドラム413の回転方向に対向するように当接させるカウンター方式の構成となっている。画像形成時には、感光体ドラム413が図3の矢印方向(反時計方向)に回転することに伴い、クリーニングブレード416によって感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーが掻き取られる。
トナー回収スクリュー417は、クリーニングブレード416で掻き取られた転写残トナーを回収して、廃トナー回収容器(図示略)に搬送する。
潤滑剤塗布ブラシ104は、固形潤滑剤105の滑剤を感光体ドラム(像担持体)413上に供給する役割を有する。潤滑剤塗布ブラシ104は、本発明の「滑剤供給部」に対応する。潤滑剤塗布ブラシ104は、例えばポリエステル等の繊維が植設された基布を芯金に巻き付けたローラー状のブラシであり、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。潤滑剤塗布ブラシ104は、固形潤滑剤105の表面および感光体ドラム413の表面に接触するように配置され、図3中に矢印で示すように、感光体ドラム413の回転とは反対向き(反時計方向)に回転して、感光体ドラム413上に滑剤を供給する。潤滑剤塗布ブラシ104は、感光体ドラム413の走査方向(軸方向)と平行な方向に伸び、感光体ドラム413に均等な圧力で当接している。
固形潤滑剤105は、潤滑剤を固形化して棒状に成形したものであり、以下は滑剤棒と称する。滑剤棒105は、付勢部材106に接続されたホルダー(図示略)に固定されている。滑剤棒105は、感光体ドラム413の軸方向と平行方向に伸びている。滑剤棒105の幅は、クリーニングブレード416や均しブレード107の幅よりも狭い。滑剤棒105は、例えば鉛筆硬度でF〜HB相当の硬度を有している。滑剤棒105に使用される潤滑剤としては、例えばステアリン酸亜鉛(ZnSt)である。
付勢部材106は、例えば圧縮スプリングで構成され、滑剤棒105を潤滑剤塗布ブラシ104に向けて所定の押圧荷重(例えば1.2〜2.6N)で押圧する。これにより、滑剤棒105は、潤滑剤塗布ブラシ104と接触した状態で保持される。
均しブレード107は、クリーニングブレード416と同様に、ウレタンゴム等を平板状に成形した弾性部材であり、感光体ドラム413の軸方向(主走査方向)の幅とほぼ同等の幅を有する。均しブレード107は、支持板金108によって支持されている。均しブレード107は、感光体ドラム413に対してウィズ方向(感光体ドラム413が回転するときにエッジ部分が引きずられることとなる方向)から所定の当接角(例えば50°)及び侵入量で摺接するように配置される。
画像形成時には、潤滑剤塗布ブラシ104が回転することにより滑剤棒105の表面から潤滑剤が削り取られ、この削り取られた潤滑剤(以下、滑剤と称する。)が感光体ドラム413との接触部位において感光体ドラム413の表面に塗布される。塗布された感光体ドラム413上の滑剤は、均しブレード107のエッジ部分と接触して滑剤溜りとなり、かかる滑剤溜りが均しブレード107により均されて、感光体ドラム413上に略均一な厚さの潤滑膜が形成される。
ところで、用紙Sに印刷されるトナー像のカバレッジの変動に起因して、感光体ドラム413への滑剤供給にムラ生じ、画像不良の原因となる場合がある。
印刷ジョブ実行時に潤滑剤塗布ブラシ104から感光体ドラム413上に供給される滑剤は、仮にカバレッジが零の場合、トナー像が形成されていない感光体ドラム413上に均等に塗布される。ここで、低カバレッジの状態が長く続くと、感光体ドラム413上に塗布された滑剤が均しブレード107との間で滑剤溜まりとして感光体ドラム413上に蓄積されて行き、後の印刷画像の濃度ムラやFDスジ等の発生原因となる。このような不具合に対しては、上述のRFP制御によりトナー帯(リフレッシュトナーパッチ)を排出することで対処することができる。
他方、ベタ画像印刷のような高カバレッジの場合、カバレッジ零の場合と比較して、より多くの量の滑剤が消費される。すなわち、潤滑剤塗布ブラシ104から感光体ドラム413上に供給される滑剤は、形成されたトナー像に付着しやすい性質がある。
さらには、例えば枠線入りの賞状など、用紙Sの幅方向の特定部位のみが高いカバレッジとなる画像を多数枚印刷する場合などのように、高カバレッジ部分の偏在が生じた場合、当該高カバレッジ部分において滑剤が局所的に減少することになる。この場合、滑材棒105の幅方向の形状が歪み(局所的に減る)、その後の印刷時において感光体ドラム413への滑剤供給にアンバランスが生じ、画像不良等の原因となる虞がある。加えて、使用されるトナーに外添剤が含まれている場合、上述した高カバレッジの偏在が生じると、滑材棒105の局所的に減った部分に外添剤が付着し、滑剤棒105が汚れやすい問題もある。
図3および図4を参照して、感光体ドラム413上に形成されるトナー像のカバレッジの分布に偏りがある場合の問題点をより詳しく説明する。
図4は、主として搬送方向に略平行な2本の太い線(図4中の一点鎖線参照)を有するトナー像を用紙Sに印刷し、かかるトナー像の印刷を多数の用紙Sに連続的に行った場合を仮定した図である。図4中、感光体ドラム413上に形成されるトナー像の軸方向のカバレッジ分布の特性を、TCDおよびNCDの特性線で示す。ここで、NCDは上記トナー像を1枚の用紙Sに印刷する場合のカバレッジ分布を示す特性線、TCDは上述のトナー像を多数枚の用紙Sに繰り返し印刷する場合の総カバレッジ分布を示す特性線である。
このように、感光体ドラム413上に形成されるトナー像の高カバレッジ部分が軸方向の特定位置に集まる(偏在する)と、対応するクリーニングブレード416の部分に応力が集中して劣化やめくれ等を引き起こす場合がある。この場合、感光体ドラム413上の転写残トナーがクリーニングされずにクリーニングブレード416を通過するようになる。このとき通過したトナーは、潤滑剤塗布ブラシ104に付着し、続いて滑剤棒105に付着する。ここで、トナーが付着した潤滑剤塗布ブラシ104の部位は、他の部位に比べて摩擦が大きくなっているため、滑剤棒105の他の部位よりも多くの滑剤を削り取って感光体ドラム413に供給する。
この結果、図4に示すように、トナー像の高カバレッジ部分(この例では2本の太線)に対応する滑剤棒105の領域がより多く消費されることになり、滑剤棒105の幅方向における一部(この例では2箇所)に窪み(局所的な減り)が生じる。このように、滑剤棒105の幅方向における形状の歪みが大きくなると、感光体ドラム413への滑剤の塗布ムラが生じやすくなり、ひいてはFDスジ発生等の画像品質劣化の原因となる。また、トナーに外添剤が含まれている場合には、上述した動作により、トナー像の高カバレッジ部分に対応する滑剤棒105の領域が外添剤で汚れ、感光体ドラム413に塗布される滑剤の純度が低くなるので、やはりFDスジ発生等の原因となる。
このような問題を解決するために、上述したRFP制御を通紙中(用紙間)に実行して対処することも考えられる。ここで、RFP制御を行うことによって、滑剤棒105の滑剤供給に関して以下の効果が期待される。すなわち、RFP制御によりリフレッシュトナーパッチ(トナー帯)が用紙S間の感光体ドラム413上に供給されることで、感光体ドラム413上に過多に溜まっている滑剤が当該トナー帯に付着され、滑剤過多に起因する画像不良が抑制されることが期待される。他方、RFP制御は、上述したトナー消費量の増加等の他、次のような問題もある。
通常、RFP制御は、中間転写ベルト421上に排出したトナー帯が二次転写ローラー424に転移することを防止するため、二次転写ニップの構成部材すなわち中間転写ベルト421と二次転写ローラー424との圧着を解除する制御を行う。他方、印刷の生産性低下を出来るだけ防止しながらRFP制御を用紙間で行う場合、中間転写ベルト421と二次転写ローラー424との圧着解除の時間を出来るだけ短くする必要がある。この場合、中間転写ベルト421上に排出したトナー帯が二次転写ローラー424に転移し、かかるトナーが二次転写ローラー424から次の用紙Sの下面に付着する虞がある。このような問題を回避するためには、二次転写ローラー424に当該トナー帯を除去するためのスクレーパー(ブレード)などのクリーニング機構を設ける必要が生じる。
かかるクリーニング機構を設けずに対応しようとする場合、二次転写ローラー424へのトナー帯の転移を防止するため、上述のように中間転写ベルト421と二次転写ローラー424との圧着を一時的に解除する必要がある。この場合、印刷動作において、連続して搬送される用紙S間の距離を大きくする或いは用紙Sを一時停止させる必要が生じることから、印刷の生産性が低下する。
総じて、滑剤棒105の滑剤は、幅方向すなわち感光体ドラム413の軸方向においてできるだけ均等に消費され、感光体ドラム413上の軸方向に均一的に塗布されることが望ましいが、印刷する画像等によっては、カバレッジ分布の偏りに起因した諸問題が発生し得る。そして、かかる問題に対してRFP制御で対処しようとすると、コストおよび印刷の生産性の点で限界が生じる。
また、RFP制御は、感光体ドラム413上に滑剤が過多に供給されている場合には対応できるが、この逆すなわち高カバレッジ印刷等により感光体ドラム413上の滑剤が不足傾向にある場合までは対応できない。加えて、RFP制御では、滑剤棒105の局所的変形(減少)に伴う外添剤の付着等の汚れを抑制することはできない。
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、制御部100は、感光体ドラム413(像担持体)に形成されるトナー像における軸方向のトナーの分布状況に基づいて、感光体ドラム413に形成するトナー像の軸方向の位置を変更する制御を行う。また、制御部100は、レジスト揺動の制御において、二次転写ニップで用紙Sに転写される画像の用紙幅方向位置が正しくなるように、レジストローラー対53aの揺動を制御する。
一具体例では、制御部100は、印刷実行の動作に前立って入力画像データを解析し、感光体ドラム413に形成されるトナー像における軸方向のトナーの分布の偏りを特定し、該特定結果に応じて、感光体ドラム413に形成するトナー像の軸方向の位置を変更する。なお、制御部100は、入力画像データを解析した結果、入力トナーの分布の偏りが特定できない場合(すなわち偏りがないと判断した場合)、かかる印刷動作により滑剤棒105が局所的に減る虞なしとみなして、感光体ドラム413に形成するトナー像の軸方向の位置を変更しない。
一具体例では、制御部100は、感光体ドラム413に実際に形成されたトナー像における軸方向のトナーの分布履歴を参照して、感光体ドラム413に形成するトナー像の軸方向の位置を変更する。このため、制御部100は、感光体ドラム413に形成したトナー像における軸方向のトナーの分布ないし頻度を、トナー像の総カバレッジ履歴データ(以下、印字履歴データという。)として記憶部72に格納し、かかる印字履歴データを印刷ジョブの実行毎に更新する。かかる印字履歴データは、好ましくは滑剤棒105の初期使用時ないし交換時からのデータであることが好ましい。そして、制御部100は、印刷実行動作に前立って上述のように入力画像データを解析するとともに、記憶部72に格納されている印字履歴データを参照して、感光体ドラム413に形成するトナー像の軸方向の位置を変更するか否か、および変更する場合の変更量(方向と移動量)を決定する。
そして、制御部100は、感光体ドラム413に形成するトナー像の軸方向の位置(いわゆる描き出し位置)を変更する場合、レジスト搖動制御における用紙Sの側端の目標位置を変更する。かかる制御内容について、図5および図6を参照してより詳しく説明する。
図5は、上述した図4に対応する図であり、主として搬送方向に略平行な2本の太い線を有するトナー像を用紙Sに印刷し、かかる画像の印刷を多数(例えば100枚)の用紙Sに連続的に行う場合を仮定する。図5中、感光体ドラム413上に形成されるトナー像の軸方向のカバレッジ分布の特性を、TCD、NCD0、およびNCD1の特性線で示す。ここで、TCDの特性線は図4と同様であり、NCD0の特性線は図4中のNCDと同様である。
上記のようなトナー像を多数の用紙Sに連続して印刷する場合、従来と同様の制御を行うと、図4で上述したように、滑剤棒105の局部的な減少およびそれに起因した画像不良が発生する虞がある。
これに対し、本実施の形態の一具体例では、制御部100は、印刷ジョブの実行に先立って、当該ジョブにおける入力画像データおよび印刷枚数等の設定情報に基づいて、感光体ドラム413上に形成されるトナー像の軸方向のカバレッジ分布の特性(NCD0、TCD)を算出する。そして、制御部100は、かかる算出結果に基づいて、感光体ドラム413上に形成するトナー像のX軸(走査)方向上の位置(以下、画像形成位置という。)を変更するか否かを決定する。
例えば、制御部100は、算出された総カバレッジ分布の特性線(TCD)にピーク形状があり(図5参照)、かかるピークの値が閾値を超えている場合、高カバレッジ部分が偏在しており滑剤棒105が部分的に減る虞ありとして、画像形成位置を変更する決定を行う。
図5では、制御部100が画像形成位置を変更する決定を行って、例えば51枚目から100枚目までの用紙Sに対するトナー像の形成位置を、感光体ドラム413の軸方向の左側に移動(シフト)させた場合を示す。この場合、制御部100は、図6に示すように、51枚目からの用紙Sの側端の基準位置(目標位置)を、通常位置(TP0)から左側の位置(TP1)にシフトさせてレジスト揺動の制御を行う。
すなわち、制御部100は、通常は、用紙Sの側端の目標位置を通常ないし初期位置(図6中の位置TP0)に合わせるようにレジストローラー対53aの揺動を制御する。これに対して、制御部100は、感光体ドラム413に形成するトナー像の画像形成位置を変更した場合、かかる目標位置を、初期位置TP0からずらすように変更する。上記例の場合、トナー像の画像形成位置を51枚目の用紙Sから通常より左側にシフトさせるため、制御部100は、図6に示すように、51枚目からの用紙Sの側端の目標位置を、初期位置TP0よりも左側のTP1の位置に変更して、レジストローラー対53aを揺動させる。
上述のような画像形成位置の変更の制御を行うことにより、1枚の用紙Sに印刷する際のカバレッジ分布の特性線がNCD0からNCD1に変化し(すなわちピーク値の位置がシフトし)、総カバレッジ分布(TCD)のピークの値を低く抑えることができる。この結果、滑剤棒105の局部的な減りを抑制し、かかる局部的な減りに起因した画像不良等の問題を防止ないし抑制することができる。また、画像形成位置の変更に伴って、用紙Sの側端の目標位置を変更してレジスト揺動の制御を行うことにより、二次転写ニップにおける用紙S上のトナー像の転写位置を、本来の正しい幅方向位置に合わせることができる。
上述した制御内容は一例であり、本実施の形態では、以下のような種々の制御内容とすることができる。
本実施の形態における一具体例では、制御部100は、滑剤棒105の初期使用時からの印字履歴データを参照して、感光体ドラム413への画像形成位置を軸方向(右または左方向)にずらすように変更する。この場合、制御部100は、滑剤棒105の初期使用時からの印字履歴データを記憶部72等のメモリに保存し、かかる印字履歴データを、印刷した用紙Sの所定枚数毎(例えば1枚毎)に更新する。
そして、制御部100は、印刷ジョブの実行時に、当該印刷ジョブの内容(入力画像データのカバレッジ分布、設定された頁枚数や印刷部数など)を特定する。そして、制御部100は、感光体ドラム413上に形成すべきトナー像の軸方向の本来のカバレッジ分布(図5中に示すNCD0)を特定するとともに、上述した滑剤棒105の初期使用時からの総カバレッジ分布(TCD)を示す印字履歴データを読み出す。
ここで、制御部100は、当該取得された2つのカバレッジ分布(TCDおよびNCD0)に基づいて、感光体ドラム413に形成されるトナー像の軸方向における形成位置の偏りを特定し、該特定結果に応じて、当該トナー像の画像形成位置を変更する。より具体的には、例えば図5に示すように、カバレッジ分布NCD0が総カバレッジ分布TCDに近似している場合、制御部100は、滑剤棒105が局所的に減る虞があるとして、感光体ドラム413上のトナー像の画像形成位置をずらす(シフトする)制御を行う。
本実施の形態における上述の制御は、同じトナー像(画像)が多数の枚数(部数)、あるいは閾値を超えた枚数(部数)分、繰り返し印刷されるような場合に好適に用いることができる。例えば、制御部100は、ユーザー設定情報が、同じ画像を100枚印刷する或いは複数頁の印刷を10部以上行うことを示している場合、上述した動作を自動で実行する。この場合、制御部100は、印刷動作開始前に、ユーザー設定情報および入力画像データを取得して、当該印刷ジョブの開始から終了までの総カバレッジ分布を算出して、画像形成位置のシフト量(方向および移動量)、シフトの対象となる用紙Sの枚数などを決定する。さらに、制御部100は、上述した印字履歴データを参照することによって、画像不良の発生を防止するためのより好適な制御を行うことができる。
或いは、上記の閾値(この例では100枚または10部)は、図示しないユーザー設定画面を通じてユーザーが任意に設定ないし変更できるようにしてもよい。この場合、制御部100は、予め設定された用紙の閾値枚数N(N≧1)毎に、感光体ドラム413への画像形成位置の変更量および用紙Sの側端の目標位置の変更量を決定する。
例えば、滑剤棒105の減り方をできるだけ均一化させる観点からは、本実施の形態における画像形成位置および用紙Sの側端の目標位置の変更の制御は、用紙Sの1枚毎に行うこと(閾値を1に設定すること)がよいと考えられる。他方、本実施の形態の制御を用紙Sの1枚毎に行うと、排紙部52に排出される用紙Sの側端の位置が1枚毎に異なることになり、同一ジョブにおいて排紙状態が不揃いになる等、出力された各用紙Sの仕分けなどの便宜性が悪くなることが考えられる。なお、フィニッシャー(整合板)を備えた後処理装置を画像形成装置1に接続しているような場合、上記のような排紙状態の不揃い解消することができる。総じて、上述した閾値は、上記のような使用環境等を考慮して任意に設定することができる。
一具体例では、制御部100は、画像形成の工程に先立って、感光体ドラム413上に形成されるトナー像を解析し、解析結果に応じて、かかるトナー像の感光体ドラム413上の画像形成位置を決定ないし変更する。ここで、制御部100は、同一の画像を閾値枚数(例えば100枚)以上の用紙Sに続けて印刷するような場合、所定枚数(例えば10枚)毎に感光体ドラム413上の画像形成位置を変更するように、画像形成部40を制御する。
このとき、制御部100は、上述した印字履歴データを適宜参照して、感光体ドラム413に形成されるトナー像の軸方向における形成位置の偏りが分散するように、感光体ドラム413上の画像形成位置を変更する。例えば、制御部100は、感光体ドラム413上のトナー像の形成位置を、1枚目の用紙Sに対しては図5に示すように軸方向の左側にずらし、2枚目の用紙Sに対しては軸方向の右側にずらすように画像形成部40を制御する。このような制御を行うことにより、感光体ドラム413に形成されるトナー像のカバレッジ分布の履歴がフラットなものに近づき、滑剤棒105の減り方が均一化される。
上述のように感光体ドラム413上に形成するトナー像の軸方向位置を変更した場合、通常は、制御部100は、当該変更量と同一の量(方向および移動距離)で、用紙Sの側端の基準位置を変更してレジスト揺動の制御を行う。かかる制御により、用紙S上の本来の正しい位置に画像が形成される。
他方、このような画一的な制御では、用紙S上の画像形成位置が正しくならない場合が発生し得る。例えば、用紙Sの両面にトナー像を印刷する場合、用紙Sの状態は、第1面目のレジスト揺動時と第2面目のレジスト揺動時とでは大きく異なっている。具体的には、第2面目のレジスト揺動時には、用紙Sの第1面(下面)に定着されたトナー像が印刷されていることから、レジストローラー対53aと当該用紙Sとが滑り、所望の遥動量を得られない場合がある。
したがって、制御部100は、画像形成条件(この例では用紙Sの第1面/第2面)に応じて、感光体ドラム413上に形成するトナー像の軸方向位置の変更量(以下、画像オフセット量ともいう。)と、用紙Sの側端の基準位置の変更量と、を異なる値に設定して上述した制御を行う。具体的には、制御部100は、両面印刷ジョブで用紙Sの第2面を印刷する場合、レジスト揺動時における揺動不足分を考慮して、用紙Sの側端の基準位置の変更量(以下、揺動オフセット量ともいう。)を、画像オフセット量よりも大きく設定して上述の制御を行う。
本実施の形態では、レジスト揺動の制御は、用紙Sの搬送方向の先端が二次転写ニップに突入するまでに完了させる。一例では、制御部100は、用紙Sの搬送方向の先端が二次転写ニップに突入したことを検知すると、レジストローラー対53aの揺動動作を停止させる。
なお、画像および揺動のオフセット量を切り替える基準となる用紙Sの印字枚数は、ユーザー設定画面等を通じて任意に変更ないし設定することができる。さらには、ユーザー設定画面等を通じて、画像および揺動のオフセット量をユーザーが任意に設定できるようにしてもよい。この場合、制御部100は、ユーザーによって設定されたこれらオフセット量の設定値に基づいて、画像オフセット量および揺動オフセット量を決定する。
このような構成は、例えば、排紙不揃いによる不便を少なくするために、画像および揺動のオフセットの方向を片方(例えば左方向)のみに設定すること、さらには、オフセット量を小さめに設定する、などの使用方法が考えられる。他方、フィニッシャー(整合板)を備えた後処理装置を画像形成装置1に接続しているような場合、滑剤棒105の減り方を出来るだけ均等にするために、オフセット量を最大限に大きくするような使用方法も考えられる。すなわち、上記の後処理装置が接続されていれば、排紙不揃いによる不便を解消することができる。
また、画像および揺動のオフセット量は、印刷されるトナー像の形成態様に応じてユーザーが任意に設定できる構成としてもよい。ここで、トナー像の形成態様とは、用紙Sに印刷されるトナー像(出力画像)の形状や図形の種類等をいう。例えば、制御部100は、ユーザー設定画面に「枠線あり」、「一部ベタ画像あり」などのボタンを表示し、かかるボタンが選択されると、画像オフセット量および揺動オフセット量の規定値を表示するとともに、これらの規定値をユーザーが変更できるように表示する。
なお、上述したいずれの場合であっても、揺動オフセット量は、レジストローラー対53aの最大揺動可能量以下である必要がある。ここで、最大揺動量とは、レジストローラー対53aが初期位置から幅方向の左右(装置の前奥方向)に移動可能な最大値(限界距離)である。すなわち、レジストローラー対53aは、印刷ジョブの実行前にはホームポジション(初期位置)にあり、かかる初期位置から幅方向の左右(装置の前奥)方向に移動できる機械的な限界値が存在する。このため、制御部100は、揺動オフセット量を決定する際に、レジストローラー対53aの最大揺動量を超えない範囲の揺動オフセット量とする。さらに、制御部100は、画像オフセット量を決定する際に、対応するレジストローラー対53aの揺動動作において限界距離(揺動オフセット量)を超えない範囲の画像オフセット量とする。
また、上述のように、画像オフセット量および揺動オフセット量をユーザーが設定(変更)できる構成の場合、制御部100は、ユーザーがレジストローラー対53aの最大揺動量を超える設定をしないように、オフセット量の最大値の設定に制限を設ける、あるいはユーザーに警告する表示を行う。
さらに、制御部100は、画像形成条件に応じて、上述した画像形成位置および揺動の目標位置の変更の制御とともに、RFP制御を併せて実行することができる。この場合、制御部100は、連続的に搬送される複数の用紙Sの紙間に対応する感光体ドラム413上の領域に、感光体ドラム413の幅に対応した幅のトナー帯(リフレッシュトナーパッチ)を形成するように画像形成部40を制御する。このようなRFP制御を併せて実行することで、感光体ドラム413への滑剤供給のムラが一層抑制され、印刷される画像の品質劣化のリスクが低減される。
ここで、RFP制御を併用する画像形成条件の例として、RFP制御のオン(許可)/オフ(禁止)を設定するユーザー設定情報が挙げられる。例えば、上述した高カバレッジの偏在がある画像を多数枚印刷する場合などで、画質劣化のリスクをより低くしたい等の場合には、ユーザーは、ユーザー設定画面等を通じてRFP制御をオン(許可)にする設定を行う。
他方、生産性(印刷速度)をより重視する場合、ユーザーは、ユーザー設定画面等を通じてRFP制御をオフ(禁止)にする設定を行う。この場合、制御部100は、当該印刷ジョブの実行中、上述した画像形成位置および揺動の目標位置の変更の制御を行い、RFP制御は実行しない。
また、RFP制御を併用する画像形成条件の例としては、上述した画像形成位置の変更を行っても依然として滑材棒105の局所的な減りが発生する(抑制されない)と制御部100が判断した場合が挙げられる。このようなケースとしては、例えば、ユーザーにより設定された画像オフセット量が小さい場合に発生しうる。また、上述のように、画像オフセット量および揺動オフセット量には物理的な限界値が存在するため、印刷条件(トナー像の態様や印刷枚数など)によっては、上述した高カバレッジの偏在が十分に解消されない場合が発生し得る。このような場合、上述したRFP制御を併用することで、滑材棒105の局所的な減りの発生を抑制することができる。
以下、画像形成装置1における印刷ジョブの実行にあたり制御部100が実行する処理の一例について、図7のフロートナー像を参照して説明する。
印刷ジョブの実行時に、制御部100は、当該印刷ジョブにおける入力画像データおよびユーザー設定情報を取得するとともに、当該取得された入力画像データを解析する(ステップS100)。具体的には、制御部100は、用紙Sに形成しようとする2次元のトナー像における、感光体ドラム413上の対応位置すなわちX軸(走査)方向およびY軸(副走査)方向の印字位置を特定する。
ステップS120において、制御部100は、上述した印字履歴データを記憶部72から読み出して、像担持体である感光体ドラム413上の走査方向(軸方向)の各位置における印字頻度(実際にトナーを付着させた回数)を識別する。
ステップS140において、制御部100は、ステップS100およびステップS120の処理結果に基づいて、感光体ドラム413上に形成するトナー像のX軸(走査)方向上の位置(画像形成位置)を変更するか否かを決定する。画像形成位置を変更するか否かの具体的な基準は、上述した通りである。
制御部100は、画像形成位置を変更しない(ステップS140、NO)と決定した場合、ステップS160およびステップS180の処理をスキップして、通常の画像形成制御およびレジスト揺動制御を実行し、ステップS200に移行する。
他方、制御部100は、画像形成位置を変更する(ステップS140、YES)と決定した場合、画像形成位置の変更量(画像オフセット量、すなわちX軸(走査)方向におけるシフト量)を決定する(ステップS160)。制御部100は、感光体ドラム413上の当該決定(変更)された位置にトナー像を形成する制御を実行する。かかる画像形成制御が行われることにより、感光体ドラム413上のX軸(走査)方向における局所的な部位にトナーが継続的に付着することが防止され、滑剤ひいては滑剤棒105の局所的な消費が抑制される。
ステップS160後のステップS180において、制御部100は、感光体ドラム413上の変更された画像形成位置に基づいて、レジストローラー対53aを揺動させるように制御する。
すなわち、制御部100は、画像形成位置を変更しない通常の場合(ステップS140、NO)には、ラインセンサー54の検出信号を監視して、用紙Sの側端を通常の基準位置(図6中のTP0)に合致させるように、レジストローラー対53aの揺動を制御する。
これに対し、制御部100は、画像形成位置を変更した場合(ステップS140、YES)、ラインセンサー54の検出信号を監視して、用紙Sの側端を通常の基準位置TP0から当該変更量に対応してずれた位置(図6中のTP1参照)に合致させるように、レジストローラー対53aの揺動を制御する。
続いて、制御部100は、上述した印字履歴データを更新し(ステップS200)、ステップS220に移行する。ステップS220において、制御部100は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する。制御部100は、印刷ジョブが終了していないと判定した場合(ステップS220、NO)、ステップS100に処理を戻し、上述したステップS100〜220の処理を繰り返す。他方、制御部100は、印刷ジョブが終了したと判定した場合(ステップS220、YES)、一連の処理を終了する。
上述のような制御を行う本実施の形態によれば、感光体ドラム413への滑剤供給のムラを抑制して、用紙Sに印刷される画像の品質向上を図ることができる。また、感光体ドラム413への滑剤供給のムラが抑制されることにより、感光体ドラム413の長寿命化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、二次転写ローラー424にクリーニング機構を設けるなどの構成追加を回避することができ、コスト低減化が図られる。さらに、本実施の形態によれば、低カバレッジの印刷が続く場合であってもRFP制御の実行頻度を減らすことができるので、トナー消費を抑制することができ、かかる点からもコスト低減を実現できる。加えて、本実施の形態によれば、RFP制御の実行頻度を減らすことにより、印刷の生産性を向上させることができる。
上述した実施の形態では、制御部100は、入力画像データを解析して、感光体ドラム413の軸方向におけるカバレッジ分布の偏りを特定することとした。代替的または付加的な例として、図示しない公知の画像読み取り装置を設け、実際に感光体ドラム413上に形成されたトナー像を画像読み取り装置で読み取った結果に基づいて、感光体ドラム413の軸方向におけるカバレッジ分布の偏りを制御部100で特定してもよい。
上述した実施の形態では、中間転写ベルト421を用いて印刷する画像を用紙Sに二次的に転写させる転写部を備えた画像形成装置の例を説明した。他方、上記実施の形態は、印刷する画像を用紙Sに一次的に転写させる転写方式の画像形成装置(例えばモノクロプリンタなど)に対しても、同様に適用されることができる。
上述した実施の形態では、二次転写ニップの上流側に設けられ制御部100により揺動制御される用紙搬送部材がレジストローラー対53aである場合を説明した。他の例として、用紙搬送部材は、例えば、レジストローラー対53a以外のローラー、用紙搬送ガイド、などが付加的または代替的に適用されることができる。
上述した実施の形態では、用紙として枚葉紙を使用する場合を説明した。他方、上記実施の形態は、ロール紙に対しても同様に適用することができる。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。