JP2019152714A - 光学フィルム、及び、光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、及び、光学フィルムの製造方法 Download PDF

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鈴木 俊彦
Toshihiko Suzuki
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Abstract

【課題】面内方向の位相差が高い精度で均一な光学フィルム、及びその製造方法を提供する。【解決手段】光学フィルム10は、固有複屈折値が正である第1の樹脂層1と、固有複屈折値が負である第2の樹脂層2と、固有複屈折値が正である第3の樹脂層3とがこの順に積層された光学フィルムである。第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層は、いずれもネガティブCプレートであり、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の面内方向の位相差値が、いずれも第2の樹脂層2の面内方向の位相差値の5分の1以下であり、波長585.7nmで測定した光学フィルム10全体の面内方向の位相差値が100〜300nmであり、光学フィルム10全体のNz係数が0〜1である。【選択図】図1

Description

本発明は、光学フィルム及びその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を構成する光学補償フィルムとして、面内方向の位相差値(R)がλ/4〜λ/2(λは入射光の波長)で、Nz係数が0〜1を示すものが求められている。更に、面内方向の位相差はフィルム面全体にわたって均一であることが望ましく、このような光学補償フィルムとしては、例えば特許文献1に開示された積層位相差フィルムが挙げられる。
この積層位相差フィルムは、ポジティブCプレートが二枚のネガティブBプレートで挟まれた三層構造を成しており、この製造方法としては、三層からなる樹脂の積層体を一方向に延伸し、その後、これと直交する方向に延伸することが開示されている。この積層位相差フィルムでは、二枚のネガティブBプレートの遅相軸が互いに平行となるように調整して、積層位相差フィルム全体としての面内方向の位相差を発現させている。
特開2014−149508号公報
しかしながら、この積層位相差フィルムでは、フィルム全体の面内方向の位相差は二枚のネガティブBプレートの面内方向の位相差の合成となるので、フィルム全体の面内方向の位相差を精度良く発現させるには、二枚のネガティブBプレートの遅相軸を互いに高精度に平行としなければならない。
また、この積層位相差フィルムは、ポジティブCプレートの厚さに比べて二枚のネガティブBプレートの厚さが小さく、且つ、互いに厚さが大きく異なっているため、ポジティブCプレートの両側において、延伸後にそれぞれの遅相軸を高精度で平行とすることは現実には難しい。このため、フィルム全体の面内方向の位相差を所望の高い精度で発現させることが困難となる虞がある。
また、その製造方法についても、ポジティブCプレートの厚さに比べて二枚のネガティブBプレートの厚さが小さいので、延伸前の積層体を共押出法で製造しようとすると、取扱いが比較的容易なフィードブロックダイでは共押出が難しく、高価なマルチマニホールドダイ等を用いる必要がある。
そこで本発明は、面内方向の位相差が高い精度で均一な光学フィルムを提供することを目的とする。また、当該光学フィルムを容易に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、固有複屈折値が正である第1の樹脂層と、固有複屈折値が負である第2の樹脂層と、固有複屈折値が正である第3の樹脂層とがこの順に積層された光学フィルムであって、第1の樹脂層及び第3の樹脂層は、いずれもネガティブCプレートであり、第1の樹脂層及び第3の樹脂層の面内方向の位相差値が、いずれも第2の樹脂層の面内方向の位相差値の5分の1以下であり、波長585.7nmで測定した光学フィルム全体の面内方向の位相差値が100〜300nmであり、光学フィルム全体のNz係数が0〜1である光学フィルムを提供する。
この光学フィルムでは、固有複屈折値が正である第1及び第3の樹脂層と固有複屈折値が負である第2の樹脂層とが積層されていることによって、フィルム全体の厚さ方向の位相差が小さく抑えられている。また、この光学フィルムでは、第1の樹脂層及び第3の樹脂層の面内方向の位相差値が、いずれも第2の樹脂層の面内方向の位相差値の5分の1以下であることから、前者の位相差値は後者の位相差値に対して光学フィルム全体の位相差に対する寄与が小さく、場合によっては無視できる程度のものである。換言すれば、光学フィルム全体の面内方向の位相差は第2の樹脂層の面内方向の位相差値に大きく依存し、光学フィルム全体としての遅相軸は、第2の樹脂層の遅相軸にほぼ一致する。上記特許文献1の積層位相差フィルムではフィルム全体としての面内方向の位相差が二枚のプレートの面内方向の位相差の合成として発現していたが、本発明の光学フィルムはこれとは異なり、一つの樹脂層の面内方向の位相差がほぼそのまま光学フィルム全体の面内方向の位相差として発現するので、光学フィルム全体の面内方向の位相差が高い精度で均一となっている。
本発明の光学フィルムは、第1の樹脂層の厚さと第3の樹脂層の厚さとの合計が、第2の樹脂層の厚さの0.3〜3.0倍であってもよい。各層の厚さの関係がこの範囲内にあると、製造装置として取扱いが比較的容易なフィードブロックダイを用いた共押出法で製造しやすい利点がある。
本発明の光学フィルムは、厚さが5〜30μmであってもよい。
第1の樹脂層及び第3の樹脂層のガラス転移温度は、いずれも第2の樹脂層のガラス転移温度より低いほうがよい。ガラス転移温度が低い樹脂は、フィルムとして加熱延伸する場合に位相差が発現しにくい傾向があり、反対に、ガラス転移温度が高い樹脂は位相差が発現しやすい傾向がある。従って、ガラス転移温度が上記関係にあると、加熱延伸によって光学フィルムを製造する場合に、第1の樹脂層及び第3の樹脂層の面内方向の位相差値と、第2の樹脂層の面内方向の位相差値との差が大きくなりやすく、本発明の光学フィルムにとって都合がよい。
また、本発明は上記光学フィルムを製造する製造方法であって、固有複屈折値が正である第1の樹脂と、固有複屈折値が負である第2の樹脂と、固有複屈折値が正である第3の樹脂とがこの順に積層されたフィルム状の樹脂積層体を一軸延伸し、その後、二軸延伸する、光学フィルムの製造方法を提供する。
この製造方法では、積層体及びこれを延伸して製造される光学フィルムの三つの層において各層を構成する材料の固有複屈折値に基づく位相差値が互いに打ち消され、フィルム全体の厚さ方向の位相差が小さく抑えられる。また、第1の樹脂及び第3の樹脂から形成される第1の樹脂層及び第3の樹脂層の面内方向の位相差値が、第2の樹脂から形成される第2の樹脂層の面内方向の位相差値に対して光学フィルム全体の位相差に対する寄与が小さいので、第2の樹脂層の面内方向の位相差がほぼそのまま光学フィルム全体の面内方向の位相差として発現する。従って、この製造方法によれば光学フィルム全体の面内方向の位相差を高い精度で均一にしやすい。
また、この製造方法では、樹脂積層体を構成している第1の樹脂の厚さと第3の樹脂の厚さとの合計が、第2の樹脂の厚さの0.3〜3.0倍であってもよい。各層の厚さの関係がこの範囲内にあると、製造装置として取扱いが比較的容易なフィードブロックダイを用いた共押出法で製造しやすい利点がある。
また、この製造方法では、第1の樹脂及び第3の樹脂のガラス転移温度は、いずれも第2の樹脂のガラス転移温度より低いほうがよい。ガラス転移温度が低い樹脂は、フィルムとして加熱延伸する場合に位相差が発現しにくい傾向があり、反対に、ガラス転移温度が高い樹脂は位相差が発現しやすい傾向がある。従って、ガラス転移温度が上記関係にあると、延伸後における第1の樹脂層及び第3の樹脂層の面内方向の位相差値と、第2の樹脂層の面内方向の位相差値との差が大きくなりやすく、上記光学フィルムを製造するのに都合がよい。
本発明によれば、面内方向の位相差が高い精度で均一な光学フィルムを提供することができる。また、当該光学フィルムを容易に製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る光学フィルムの断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(光学フィルム)
図1に示されているとおり、本実施形態の光学フィルム10は、第1の樹脂層1と、第2の樹脂層2と、第3の樹脂層3とがこの順に積層されたフィルムである。光学フィルム10は、固有複屈折値が正である第1の樹脂と、固有複屈折値が負である第2の樹脂と、固有複屈折値が正である第3の樹脂とをこの順に、且つ、互いに直接接するように積層したフィルム状の樹脂積層体を、後述する手順で延伸することで製造できるものである。延伸後の状態として、第1の樹脂層1と第3の樹脂層3の固有複屈折値は依然として正の値の範囲にあり、第2の樹脂層2の固有複屈折値は依然として負の値の範囲にある。
ここで固有複屈折値が正の値であるとは、樹脂の主鎖の配向方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きいことを意味する。固有複屈折値が負の値であるとは、樹脂の主鎖の配向方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さいことを意味する。
光学フィルム10は、具体的には位相差を有する光学補償フィルムであり、波長585.7nmで測定した光学フィルム10全体の面内方向の位相差値が100〜300nmである。面内方向の位相差は、後述するとおり、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の位相差が、第2の樹脂層2の位相差に比べて十分に小さいことから、第2の樹脂層2の位相差がほぼそのまま光学フィルム10全体の位相差として発現しているといえる。なお、本明細書において位相差の値は、波長585.7nmで測定したものをいう。位相差の測定には、複屈折測定装置(王子計測機器社製、商品名「KOBRA−WPR」)を用いることができる。
また、光学フィルム10全体の厚さ方向の位相差は、第1の樹脂層1、第2の樹脂層2及び第3の樹脂層3の三層で互いに打ち消し合った結果として発現している。厚さ方向の位相差が打ち消されている結果、光学フィルム10全体のNz係数は0〜1である。ここでNz係数とは、次に示す項で表される値である。
Nz係数=(n−n)/(n−n
(ここでnはフィルムの厚さ方向に垂直な方向(すなわち面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表し、nはフィルムの面内方向であってnの方向に垂直な方向の屈折率を表し、nはフィルムの厚さ方向の屈折率を表す。)
光学フィルム10は、厚さが3〜300μmであることが好ましく、4〜100μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましい。
以下、光学フィルム10を構成する各層について説明する。
(第1の樹脂層及び第3の樹脂層)
第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3は、いずれもネガティブCプレートであり、屈折率に関して以下の関係を満たしている。
≒n>n
(ここでn,n及びnの定義は上記と同様である。)
上記関係において、「n≒n」は、面内方向の位相差がない、又は、面内位相差が小さいことを意味している。面内方向の位相差がない場合(n=nの場合)は、当該層が面内遅相軸を有しないことを意味している。面内方向の位相差が小さいながらも存在する場合、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3は、面内方向の位相差値(R)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。面内方向の位相差値が20nm以下であると、実質的に位相差が発現していない、すなわち面内遅相軸を実質的に有しないとみなすことができる。
また、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の面内方向の位相差値はいずれも、後述する第2の樹脂層2の面内方向の位相差値の5分の1以下となっており、6分の1以下であることが好ましい。
第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の厚さ方向の位相差値(Rth)は、両樹脂層が互いに近い値を示すことが好ましく、例えば0〜200nm、50〜150nm、70〜130nmの値が挙げられる。
ここで、面内方向の位相差値(R)とは、
(n−n)×d
で算出される値である(ここでn及びnの定義は上記と同様であり、dはフィルムの厚さを表す)。
また、厚さ方向の位相差値(Rth)とは、
{(n+n)/2−n}×d
で算出される値である(ここでn,n,n及びdの定義は上記と同様である)。
光学フィルム10において、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の厚さは1〜90μmであることが好ましい。第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の厚さは互いに同一であっても異なっていてもよく、異なっている場合は、一方の厚さが他方の厚さの80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。
第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3のガラス転移温度(Tg)は、いずれも第2の樹脂層2のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3を形成する材料(第1の樹脂及び第3の樹脂)のガラス転移温度については後述する。
第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3を構成する材料(第1の樹脂及び第3の樹脂)としては、固有複屈折値が正の値を示すものを選択する。このような材料として、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂の場合、耐溶剤性、耐光性、剛性の点で好ましい。特に、剛性が高いと、フィルムを薄く形成することができるので好ましい。また、ポリエステル樹脂は、厚さ方向の位相差を発現しやすい点でも好ましい。
ポリカーボネート樹脂とは、通常、二価フェノールとホスゲンまたはジフェニルカーボネート類等のカーボネート前駆体とを界面重縮合法、又は溶融エステル交換法で反応させて得られるものであり、二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂が一般的である。このほか、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、又は環状カーボネート化合物を開環重合させたもの等も挙げられる。
二価フェノールとしては、光学用透明樹脂としての性能を損なうものでなければ特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)の他にも、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、及び4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、分子量を適切な範囲に調整したり、高分子鎖の水酸基末端を封止したりするために、一価フェノール化合物が併用されてもよい。この一価フェノールとしては、末端封止剤として機能する化合物であれば特に限定されるものではないが、例えばフェノール、4−tert−ブチルフェノール、及び1−フェニル−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
また、必要に応じて、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(2−カルボキシエチル))フェニルベンゾトリアゾール等のUV吸収性を有する化合物を末端封止剤として用いることもできる。
ポリカーボネート樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、各々商品名で、「レキサン」(SABICイノベーティブプラスチックス社製)、「マクロロン」、「アペック」(以上、バイエル マテリアルサイエンス社製)、「ユーピロン」、「ノバックス」(以上、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)、「パンライト」(帝人化成株式会社製)、「カリバー」(ダウケミカル社製)、「SDポリカ」(住友ダウ株式会社製)、及び「タフロン」(出光興産株式会社製)等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)が挙げられる。エステル化合物(A)は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位からなり、ジオール構成単位として環状アセタール骨格を有するジオール単位を含有する。エステル化合物(A)の環状アセタール骨格を有するジオール単位は、下記一般式(a)又は(b)で表されるジオール単位が好ましい。
Figure 2019152714

Figure 2019152714

一般式(a)と(b)において、R及びRはそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。R及びRは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基が例示される。Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基が例示される。
一般式(a)及び(b)の化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(SPG)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン等が特に好ましい。
エステル化合物(A)は環状アセタール骨格を有しないジオール単位を含有していてもよい。エステル化合物(A)の環状アセタール骨格を有しないジオール単位としては、特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオールが例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。なお、環状アセタール骨格を有しないジオールは上記したものの中から1種類でも、2種類以上でもよい。
エステル化合物(A)のジカルボン酸構成単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性を考慮すると芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸がより好ましい。なお、ジカルボン酸は上記したものの中から1種類でも、2種類以上でもよい。
エステル化合物(A)の好ましい形態の一つはジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が2〜80モル%であり、好ましくは10〜75モル%、更に好ましくは20〜70モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。ポリエステル樹脂(C)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合はエステル化合物(A)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合よりも低くなるため、エステル化合物(A)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が小さいと限定された組成の樹脂しか得られず好ましくない。また、エステル化合物(A)のジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合が大きすぎるとエステル化合物(A)の結晶性が高くなり、エステル化合物(B)と混合し反応させる際に溶解しにくくなるなど、取り扱いにくくなるため好ましくない。
エステル化合物(A)の更に好ましい形態の一つは、ジオール構成単位の90モル%以上が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとエチレングリコールからなり、ジオール構成単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は前記したものである。また、ジカルボン酸構成単位中のテレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸の合計の割合が60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であるエステル化合物である。
エステル化合物(A)は金属種を含んでいてよく、例えば亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、スズ、リンなどが挙げられる。特に好ましくは、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、カリウム、リン、コバルトの中から少なくとも一つ含んでいるとよい。これらは単独で含んでいてもよく、複数のものを同時に含んでいてもよい。金属種の量はそれぞれエステル化合物(A)に対して好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは200ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下であり、特に好ましくは50ppm以下である。
エステル化合物(A)の具体的な例として、三菱瓦斯化学株式会社製の「ALTESTER S4500」,「ALTESTER S3000」,「ALTESTER S2000」,「ALTESTER SN4500」,「ALTESTER SN3000」,「ALTESTER SN1500」が挙げられる。ここで「ALTESTER」は同社の登録商標である。
また、ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレートであってもよい。ここでポリエチレンテレフタレートとは、繰り返し単位の80mol%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他のジカルボン酸成分とジオール成分を含んでいてもよい。他のジカルボン酸成分としては、特に限定されるものでないが、たとえば、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、及び1,4−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
他のジオール成分としては、特に限定されるものではないが、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
これらの他のジカルボン酸成分や他のジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸を併用することもできる。また、他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、及びカーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、又はジオール成分が用いられてもよい。
ポリエチレンテレフタレートの分子量は、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒に樹脂を溶解し、30℃で測定した極限粘度で表したとき、通常、0.45〜1.0dL/g、好ましくは0.50〜1.0dL/g、さらに好ましくは0.52〜0.80dL/gの範囲である。極限粘度が0.45dL/g未満のものは、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりする場合がある。また、極限粘度が1.0dL/gを超えるものは、フィルム製造におけるポリマーの溶融押出安定性に劣る場合がある。
また、ポリエチレンテレフタレートは、必要に応じて添加剤を含有することができる。添加剤としては、たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤及び耐衝撃性改良剤等が挙げられる。その添加量は、光学物性に悪影響を与えない範囲にとどめることが好ましい。
第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3は、上記のポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂とが混合されて形成されていてもよい。この場合、ポリエステル樹脂がSPG−非晶質ポリエステル樹脂(上記「ALTESTER SN4500」,「ALTESTER SN3000」,「ALTESTER SN1500」等)であると、ポリカーボネート樹脂と完全に相溶し得る点で好ましい。
第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3を構成する材料は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
(第2の樹脂層)
第2の樹脂層2は、面内遅相軸を有する位相差層(位相差フィルム)であり、屈折率に関して以下の関係を満たしている。
>n>n
(ここでn>n>nの定義は上記と同様である。)
第2の樹脂層2は、面内方向の位相差値(R)が50〜400nmであることが好ましく、80〜350nmであることがより好ましく、100〜300nmであることが更に好ましい。ここで、第2の樹脂層2の面内方向の位相差値は、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の面内方向の位相差値の5倍以上であり、6倍以上であることが好ましい。この関係を満たしていることによって、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の面内方向の位相差は光学フィルム10全体の位相差に対する寄与が小さく、場合によっては無視できる程度のものとなっている。換言すれば、光学フィルム10全体の面内方向の位相差は第2の樹脂層2の面内方向の位相差値に大きく依存し、光学フィルム10全体としての遅相軸は、第2の樹脂層2の遅相軸にほぼ一致する。従って、第2の樹脂層2の面内方向の位相差がほぼそのまま光学フィルム10全体の面内方向の位相差として発現するので、光学フィルム10全体の面内方向の位相差が高い精度で均一となっている。
第2の樹脂層2の厚さ方向の位相差値(Rth)は、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の厚さ方向の位相差を打ち消すように、正負逆の値を示す。例えば0〜−500nm、−50〜−300nm、−70〜−200nmの値が挙げられる。また、第2の樹脂層2の厚さ方向の位相差値の絶対値は、面内方向の位相差値の絶対値よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
光学フィルム10において、第2の樹脂層2の厚さは3〜30μmであることが好ましい。ここで、第1の樹脂層1の厚さと第3の樹脂層3の厚さとの合計が、第2の樹脂層2の厚さの0.3〜3.0倍であることが好ましい。各層の厚さの関係がこの範囲内にあると、製造装置として取扱いが比較的容易なフィードブロックダイを用いた共押出法で製造しやすい利点がある。
第2の樹脂層2を構成する材料(第2の樹脂)としては、固有複屈折値が負の値を示すものを選択する。このような材料として、例えば、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、及び不飽和ジカルボン酸無水物単量体を含む単量体成分から合成される共重合体が挙げられる。この共重合体は、延伸時に破断しにくいことから、長尺の樹脂積層体からの延伸を長時間にわたって安定して続けることができる。
第2の樹脂層2は、上記の共重合体のみからなっていてもよい(三元共重合体)。以下、上記共重合体を構成する各単量体成分について説明する。
芳香族ビニル単量体(以下、(x)成分という場合もある)としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどの単量体が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。入手のし易さや取扱い性の観点から、スチレンを用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(以下、(y)成分という場合もある)としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル単量体、及びメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等のアクリル酸エステル単量体が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。入手のし易さや取扱い性の観点から、メチルメタクリレートを用いることが好ましい。
不飽和ジカルボン酸無水物単量体(以下、(z)成分という場合もある)としては、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、アコニット酸無水物等の無水物単量体が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。入手のし易さや取扱い性の観点から、マレイン酸無水物を用いることが好ましい。
本実施形態における共重合体は、上記(x)成分、(y)成分及び(z)成分のみからなる単量体成分で構成されてもよく、上記単量体成分と共重合可能な他の単量体成分を含んでもよい。
他の単量体成分としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸単量体、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−アルキルマレイミド単量体、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロルフェニルマレイミド等のN−アリールマレイミド単量体などが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ビニル単量体((x)成分)の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、55質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。(x)成分の含有量が上記の下限値以上である場合、第2の樹脂層2の光学特性、特に負の複屈折性が向上し易い。また(x)成分の含有量が上記の下限値以上である場合、共重合体の熱安定性が向上し易く、後述する押出成形工程の際にフィルムの外観不良が抑制され易い。(x)成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、85質量%以下であることが好ましく、83質量%以下であることがより好ましい。(x)成分の含有量が上記の上限値以下である場合、第2の樹脂層2の耐熱性及び機械的強度が向上し易い。
(メタ)アクリル酸エステル単量体((y)成分)の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。(y)成分の含有量が上記の下限値以上である場合、第2の樹脂層2の透明性及び機械的強度が向上し易い。(y)成分の含有量は、45質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることが更に好ましい。(y)成分の含有量が上記の上限値以下である場合、第2の樹脂層2の光学特性、特に負の複屈折性が向上し易い。また(y)成分の含有量が上記の上限値以下である場合、共重合体の熱安定性が向上し易く、後述する押出成形工程の際にフィルムの外観不良が抑制され易い。
不飽和ジカルボン酸無水物単量体((z)成分)の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。(z)成分の含有量が上記の下限値以上である場合、第2の樹脂層2の耐熱性が向上し易い。(z)成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。(z)成分の含有量が上記の上限値以下である場合、第2の樹脂層2の機械低強度が向上し易い。また(z)成分の含有量が上記の上限値以下である場合、共重合体の熱安定性が向上し易く、後述する押出成形工程の際にフィルムの外観不良が抑制され易い。
他の単量体成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、0質量%以上であってよく、5質量%以上であってよい。他の単量体成分の含有量は、共重合体を構成する単量体成分全量に対して、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
上記の各単量体成分の含有量は、以下のように要約される。つまり、上記共重合体における芳香族ビニル単量体単位の含有量は、55〜80質量%であってよく、上記共重合体における(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の含有量は5〜45質量%または5〜35質量%であってよく、上記共重合体における不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位の含有量は5〜20質量%であってよい。又は、上記共重合体における芳香族ビニル単量体単位の含有量は65〜83質量%であってよく、上記共重合体における(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は7〜25質量%であってよく、上記共重合体における不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位の含有量は10〜15質量%であってよい。
共重合体における各単量体成分の含有量は、例えば、13C−NMR法によって決定されてよい。
上記共重合体は、上述の単量体成分を重合することにより得られる。重合方法は、特に限定されるものではなく、溶液重合、懸濁重合、バルク重合等の既知の重合方法であってよい。操作の容易性から、溶液重合が好ましい。溶液重合で用いる溶剤は、副生成物が生じにくく、重合反応への影響を低減する観点から、非重合性であることが好ましい。
第2の樹脂層2のガラス転移温度は、第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。第2の樹脂層2を形成する材料(第2の樹脂)のガラス転移温度については後述する。
(光学フィルムの製造方法)
本実施形態の光学フィルム10は、固有複屈折値が正である上記第1の樹脂及び上記第3の樹脂と、固有複屈折値が負である上記第2の樹脂とから、以下の手順で製造することができる。
はじめに、フィルム状に成形された第1の樹脂と第2の樹脂と第3の樹脂とをこの順に積層し、マルチマニホールドダイ又はフィードブロックダイを用いた共押出法によりフィルム状の樹脂積層体を得る(押出成形工程)。次いで、これを一軸延伸する(第1の延伸工程)。そして、一軸延伸したフィルム積層体を二軸延伸する(第2の延伸工程)ことで、本実施形態の光学フィルム10が完成する。延伸する際は、フィルム積層体を加熱してもよい。
フィルム状の樹脂積層体を延伸することによって、原料である第1の樹脂、第2の樹脂及び第3の樹脂が有していた複屈折性が一層顕在化する。ここで、第1の樹脂及び第3の樹脂が正の複屈折性であり、第3の樹脂が負の複屈折性であることによって、二軸延伸後に形成される第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の厚さ方向の位相差と、第2の樹脂層2の厚さ方向の位相差とが相殺されて光学フィルム10全体としての厚さ方向の位相差が0(ゼロ)となり、且つ、Nz係数が0〜1の範囲内に入るようになる。
二段階にわたる延伸の順序としては、はじめに一軸延伸を行い、その後、二軸延伸を行う。一軸延伸を行うときはフィムル幅方向(TD方向)又はフィルム搬送方向(MD方向)のいずれで行ってもよく、二軸延伸を行うときはこれら両方向での延伸を同時に行う。この二段階の延伸は、一軸延伸を行った後に一旦巻き取り、所定の時間を経た後にこれを巻き出して二軸延伸してもよいし、複数の延伸ゾーンを有する延伸機で連続的に二段階の延伸を行ってもよい。
延伸倍率は、一軸延伸を行うときは、3.0〜8.0倍が好ましく、4.0〜6.0倍がより好ましい。二軸延伸を行うときはTD方向及びMD方向のいずれも1.1〜3.0倍が好ましく、1.1〜2.5倍がより好ましい。
各樹脂の選択に関し、第1の樹脂及び第3の樹脂としては、ガラス転移温度が第2の樹脂のガラス転移温度よりも低いものを用いることが好ましい。ガラス転移温度が低い樹脂は、フィルムを加熱延伸する場合に位相差が発現しにくい傾向があり、反対に、ガラス転移温度が高い樹脂は位相差が発現しやすい傾向がある。従って、ガラス転移温度が上記関係にあると、延伸後における第1の樹脂層1及び第3の樹脂層3の面内方向の位相差値と、第2の樹脂層2の面内方向の位相差値との差が大きくなりやすく、上記所定の性質を備える光学フィルム10を製造するのに都合がよい。
具体的には、第1の樹脂及び第3の樹脂のガラス転移温度は150℃以下であってもよく、130℃であってもよく、110℃以下であってもよい。第2の樹脂のガラス転移温度は130℃以上であってもよく、150℃以上であってもよく、180℃以上であってもよい。両ガラス転移温度の差は5〜20℃であることが好ましい。
ガラス転移温度の調整は、原料樹脂を混合したり、その混合比を変更したりすることで容易に行うことができる。例えば、第1の樹脂及び第3の樹脂のガラス転移温度は、ポリカーボネート樹脂とSPG−非晶質ポリエステル樹脂とを混合して用い、その混合比を変更することにより、容易に調整することができる。通常、SPG−非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度(通常86〜125℃)はポリカーボネート樹脂(通常は150℃程度)よりも低いので、SPG−非晶質ポリエステル樹脂の含有量を多くすることにより、第1の樹脂及び第3の樹脂のガラス転移温度を低くすることができる。
フィルム状の樹脂積層体(延伸前)において、第1の樹脂の厚さと第3の樹脂の厚さとの合計は、第2の樹脂の厚さの0.3〜3.0倍であることが好ましい。厚さの比がこの範囲内にあると、取扱いが比較的容易なフィードブロックダイを用いた共押出法でも樹脂積層体を製造し易い。第1の樹脂及び第3の樹脂の厚さは、具体的には各10μm以上であることが好ましく、第2の樹脂の厚さは10μm以上であることが好ましい。なお、延伸後の光学フィルムにおいても、各層の厚さ比は保たれる傾向がある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では第1の樹脂層1、第2の樹脂層2、第3の樹脂層3のみからなる光学フィルム10を例示したが、これらの層のほかに、光学フィルム10の少なくとも一方の面に、例えばハードコート層、反射防止層、防眩層、帯電防止層、親水層、撥水層のような他の層が積層されていてもよい。この場合、積層する他の層は位相差を有しない層であることが好ましい。
また、上記実施形態では第1の樹脂と第2の樹脂と第3の樹脂とがこの順に積層されたフィルム状の樹脂積層体を得るために押出成形をすることを説明したが、当該樹脂積層体を得るために他の方法、例えば熱プレスして融着させる方法や、一対の貼合ロールを用いてフィルム同士を貼合する方法を用いてもよい。これらの方法の場合、第1の樹脂層、第2の樹脂層及び第3の樹脂層の各層の間に他の層や接着剤等を挟むこともできる。
以下、実施例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
光学フィルムの製造に使用した材料は以下のとおりである。
<樹脂A>
・78.8質量部のスチレン単位、7.4質量部のメチルメタクリレート単位、及び、13.8質量部のマレイン酸無水物単位を重合して得た共重合体。
・固有複屈折:負の値
・ガラス転移温度:132℃。
・重量平均分子量:170,000
<樹脂B>
・三菱瓦斯化学社製のポリエチレンテレフタレート「ALTESTER SN3000」(商品名)
・固有複屈折:正の値
・ガラス転移温度:119℃
各種測定は以下のとおりに行った。
<厚さ測定>
光学フィルムの厚さは接触式厚さ計により測定した。また、光学フィルムに含まれる各層の厚さは、各層を剥離して測定した。
<位相差、位相差の入射角依存性、Nz係数、屈折率の測定>
光学フィルムの面内方向の位相差値(R)、厚さ方向の位相差値(Rth)、面内方向の位相差値の入射角依存性、Nz係数及び屈折率は、複屈折測定装置(王子計測機器社製、商品名「KOBRA−WPR」)により測定した。位相差値の測定では波長585.7nmの光を用いた。また光学フィルムに含まれる各層の位相差は、各層を剥離して測定した。
<ヘイズ値の測定>
光学フィルムのヘイズ値は、JIS K 7105に準拠して測定した。ヘイズ値の測定には、ヘイズメーター(スガ試験機社製、商品名「HGM−2DP」)を用いた。
<押出成形工程>
樹脂Aからなるコア層が、樹脂Bからなる一対のスキン層で挟まれるように、樹脂A及び樹脂Bをマルチマニホールド式ダイから同時に押し出した。つまり樹脂A層(コア層)と、樹脂A層の両表面に重なる一対の樹脂B層(スキン層)からなる樹脂積層体を未延伸フィルムとして得た。この樹脂積層体において、樹脂A層の厚さは121μm、樹脂B層の厚さはいずれも59μmであった。押出成形工程における押出機の設定温度(押出温度)は、240℃であった。
<第1の延伸工程>
上記で得た樹脂積層体のロールの両端をスリットして、フィルム幅方向(TD方向)の長さを180mmとし、これを140℃で加熱しながらTD方向に5.0倍の延伸倍率で延伸することで、一軸延伸フィルムを得た。この一軸延伸フィルムの厚さは50μmであった。
<第2の延伸工程>
上記第1の延伸工程で得た一軸延伸フィルムの両端をスリットして、フィルム幅方向(TD方向)の長さを300mmとし、これを134℃で加熱しながらTD方向に1.1倍、フィルム搬送方向(MD方向)に2.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸することで光学フィルムを得た。この光学フィルムの厚さは21μmであった。
<測定値>
得られた光学フィルムは、スキン層A、コア層、スキン層Bの三層からなっており、全体の厚さ21μmの内訳は、スキン層A=5.1μm、コア層=10.6μm、スキン層B=5.3μmであった。
光学フィルム全体の面内方向の位相差値(R)は140.0nm、スキン層Aの面内方向の位相差は18.3nm、コア層の面内方向の位相差は114.5nm、スキン層Bの面内方向の位相差は17.4nmであった。
光学フィルム全体の厚さ方向の位相差値(Rth)は8.5nm、スキン層Aの厚さ方向の位相差は101.9nm、コア層の厚さ方向の位相差は−180.1nm、スキン層Bの厚さ方向の位相差は121.8nmであった。
光学フィルム全体の面内方向の位相差の入射角依存性は、入射角0°で140.0nm、10°で140.0nm、20°で140.5nm、30°で141.2nm、40°で142.4nm、50°で143.9nmであった。
光学フィルム全体の屈折率は、n=1.573、n=1.567、n=1.570であった。これらの値から、Nz係数=0.56と計算される。
ヘイズ値は0.2%であった。
上記測定値から、光学フィルムにおいて、両スキン層の面内方向の位相差値がコア層の面内方向の位相差値に対して十分に小さいことが分かる。
本発明は光学フィルムを組み込む製品の製造、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の製造に利用可能である。
1…第1の樹脂層、2…第2の樹脂層、3…第3の樹脂層、10…光学フィルム。

Claims (7)

  1. 固有複屈折値が正である第1の樹脂層と、固有複屈折値が負である第2の樹脂層と、固有複屈折値が正である第3の樹脂層とがこの順に積層された光学フィルムであって、
    前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層は、いずれもネガティブCプレートであり、
    前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層の面内方向の位相差値が、いずれも前記第2の樹脂層の面内方向の位相差値の5分の1以下であり、
    波長585.7nmで測定した前記光学フィルム全体の面内方向の位相差値が、100〜300nmであり、
    前記光学フィルム全体のNz係数が0〜1である、光学フィルム。
  2. 前記第1の樹脂層の厚さと前記第3の樹脂層の厚さとの合計が、前記第2の樹脂層の厚さの0.3〜3.0倍である、請求項1記載の光学フィルム。
  3. 厚さが5〜30μmである、請求項1又は2記載の光学フィルム。
  4. 前記第1の樹脂層及び前記第3の樹脂層のガラス転移温度が、いずれも前記第2の樹脂層のガラス転移温度よりも低い、請求項1〜3のいずれか一項記載の光学フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の光学フィルムを製造する製造方法であって、
    固有複屈折値が正である第1の樹脂と、固有複屈折値が負である第2の樹脂と、固有複屈折値が正である第3の樹脂とがこの順に積層されたフィルム状の樹脂積層体を一軸延伸し、その後、二軸延伸する、光学フィルムの製造方法。
  6. 前記樹脂積層体を構成している前記第1の樹脂の厚さと前記第3の樹脂の厚さとの合計が、前記第2の樹脂の厚さの0.3〜3.0倍である、請求項5記載の光学フィルムの製造方法。
  7. 前記第1の樹脂及び前記第3の樹脂のガラス転移温度が、いずれも前記第2の樹脂のガラス転移温度よりも低い、請求項5又は6記載の光学フィルムの製造方法。
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