JP2019151657A - イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する医薬組成物の安定化方法 - Google Patents
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Description
以上のことから、アムロジピンとその他の有効成分を含有する製剤において、各々の有効成分が分離していない形態で配合変化等を誘発しない製剤を開発するには技術的な困難性を有する。特に、アムロジピンとイルベサルタンの双方を分離していない形態で含有する医薬組成物において双方の有効成分の配合変化を誘発しない安定化された医薬組成物はこれまでに知られていない。
イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、D-マンニトール、結晶セルロース、乳糖、リン酸水素カルシウムおよびトウモロコシデンプンから選択される少なくとも1種以上である賦形剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アルファ化澱粉およびコポリビドンから選択される結合剤、崩壊剤、および滑沢剤を含有する素錠(A)、並びにコーティング剤、可塑剤、および着色剤を含有するフィルムコーティング層(B)。
「本発明組成物」は、イルベサルタンとアムロジピンまたはその塩を含有する形態であればいずれでもよい。「医薬組成物」としては、例えば、素錠、チュアブル錠、フィルムコーティング錠などの錠剤などが挙げられる。項2に記載の医薬組成物としては、素錠(以下、本発明の素錠と称することもある。)が好ましく、項18に記載の医薬組成物としては、フィルムコーティング錠(以下、本発明のフィルムコーティング錠と称することもある。)が好ましい。
崩壊剤の本発明組成物に用いられる含量は特に限定されないが、「本発明の素錠」の全量に対して、通常1〜20w/w%が挙げられ、好ましくは1w/w%〜15w/w%が挙げられる。より好ましくは、3w/w%〜10w/w%である。崩壊剤を2種以上使用する場合の崩壊剤全量も上記と同量である。
滑沢剤の本発明組成物に用いられる含量は特に限定されないが、「本発明の素錠」の全量に対して、通常0.01w/w%〜5w/w%が挙げられ、好ましくは0.01w/w%〜4w/w%が挙げられる。滑沢剤を2種以上使用する場合の滑沢剤全量の本発明組成物中含量も上記と同量である。
本発明に用いる「コーティング剤」としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
「コーティング剤」の本発明のフィルムコーティング錠に用いる含量は、本発明のフィルムコーティング層の全量に対して、通常30w/w%〜90w/w%が挙げられる。好ましくは、50w/w%〜70w/w%である。
「可塑剤」の本発明のフィルムコーティング錠に用いる含量は、本発明のフィルムコーティング層の全量に対して、通常1w/w%〜50w/w%が挙げられる。好ましくは、5w/w%〜30w/w%である。
「着色剤」の本発明のフィルムコーティング錠に用いる含量は、「本発明のフィルムコーティング層」の全量に対して、通常0.01w/w%〜50w/w%が挙げられる。好ましくは、0.05w/w%〜30w/w%である。
本発明において錠剤の製造方法は特に限定されないが、たとえば以下の方法により製造することが出来る。
イルベサルタンおよび添加剤[賦形剤(D−マンニトールおよび結晶セルロース)および崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム)等]を混合し、得られた混合物を、結合剤を含む水溶液で造粒し、乾燥する。得られたイルベサルタンを含む造粒物に、アムロジピンまたはその塩および添加剤[崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム等)]を混合し、得られた混合物に添加物[滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)]を混合して、圧縮成形することで素錠を得ることができる。また、上記のイルベサルタンを含む造粒物に、アムロジピンまたはその塩を含有する造粒物および添加剤[崩壊剤(クロスカルメロースナトリウム等)]を混合し、得られた混合物に添加物[滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)]を混合して、圧縮成型することで素錠を得ることもできる。イルベサルタン及びアムロジピンまたはその塩を含有する得られた素錠は、苦味マスキング、溶出制御、安定化等の目的でその表面の一部または全部を水溶性高分子等の結合剤またはコーティング剤で被覆して用いても良い。
なお、本発明の錠剤は、外部滑沢法を用いなくとも圧縮成型が可能であるが、勿論、外部滑沢法を用いても成型可能である。この場合には、滑沢剤を除く成分を混合した後、滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行うか、あるいは、滑沢剤の一部をあらかじめ混合した後、残りの滑沢剤を杵臼に噴霧しながら打錠を行う。
圧縮成形力は、錠剤に十分な強度を与える程度であれば特に限定されないが、約1kN以上の圧縮力が好ましい。本発明で得られる錠剤の形状は、特に限定されず、円形錠、円形R錠、円形隅角錠、円形2段R錠や各種異形錠等いずれの形状でもよく、また分割錠としても良い。
投与量は、年齢、体重、疾患の重症度等によって適宜選択し得るが、例えば、成人に対して、1日当たり、イルベサルタンとして50〜300mg、アムロジピンとして2.5〜10mgを投与する。
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−05、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FL−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8.5mm、2段R型の円形錠用金型にて、錠剤硬度が約80Nとなるよう成型し、錠剤を得た。
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−05、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLO−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8.5mm、2段R型の円形錠用金型にて、錠剤硬度が約80Nとなるよう成型し、錠剤を得た。
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−05、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8.5mm、2段R型の円形錠用金型にて、錠剤硬度が約80Nとなるよう成型し、錠剤を得た。
下記処方に従い、イルベサルタン、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−05、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を添加して造粒した。
造粒物を流動層乾燥機(FL−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8.5mm、2段R型の円形錠用金型にて、錠剤硬度が約80Nとなるよう成型し、錠剤を得た。
下記処方に従い、イルベサルタン、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−05、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLO−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8.5mm、2段R型の円形錠用金型にて、錠剤硬度が約80Nとなるよう成型し、錠剤を得た。
下記処方に従い、イルベサルタン、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−05、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−LABO型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えポリ袋内で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(VELA−2、株式会社菊水製作所製)を用いて、直径8.5mm、2段R型の円形錠用金型にて、錠剤硬度が約80Nとなるよう成型し、錠剤を得た。
下記処方に従い、イルベサルタン、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを高速攪拌造粒機(FM−VG−25、株式会社パウレック製)に仕込み、混合した後、ポリビニルアルコール水溶液を添加して造粒した。造粒物を流動層乾燥機(FLF−30型、フロイント産業株式会社製)で乾燥し、整粒機(フィオーレF−0型、株式会社徳寿工作所製)で整粒した。得られた造粒物に、アムロジピンベシル酸塩、クロスカルメロースナトリウムを加えV型混合機(S−3型、筒井理化学機器株式会社製)で混合後、さらにステアリン酸マグネシウムを加え混合し、ロータリー式打錠機(HT−AP18SS−II、株式会社畑鉄工所製)を用いて、直径8mm、曲率半径12mmの円形錠用金型にて、約7kNの圧縮力で成型し、錠剤を得た。得られた錠剤をフイルムコーティング機(ハイコーターHCT−30型、フロイント産業株式会社製)に投入し、酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散させプロピレングリコールを加えたヒドロキシプロピルセルロース水溶液でフィルムコーティングを行い、フィルムコーティング錠を得た。
各種賦形剤におけるイルベサルタン及びアムロジピンまたはその塩の配合変化試験を行った。即ち、各賦形剤とイルベサルタンもしくはアムロジピンベシル酸塩の粉砕品を19:1の比で加え、乳鉢で混合して20倍散とした後ガラス瓶に入れ、密栓後50℃/85%RH、2週間の保存試験を行った。保存した各サンプルについて類縁物質の生成量および色相変化を評価した。類縁物質の生成量は、高速液体クロマトグラフ法(面積百分率)で測定した。試料の調製は、上記ガラス容器に試料溶解溶液(メタノール/0.01mol/Lギ酸アンモニウム緩衝液(pH3.0)混液(4:1))を加えタッチミキサーで混合し、超音波を5分照射して再度タッチミキサーで混合した後、遠心分離した上澄みに試料溶解溶液を加えることによって行った。使用したカラムはWaters社製SunFire C18(3.5μm、4.6mm×100mm)であり、移動相はA液に0.01mol/Lギ酸アンモニウム緩衝液(pH3.0)、B液にメタノールを用い、B液が40分間で5%→100%となるようグラジェントを行った。測定波長は240nmであった。なお、類縁物質の評価は、安定性を正確に評価するため、イルベサルタンまたはアムロジピン由来の個々の類縁物質のうち、最大ピークの類縁物質の面積百分率を評価した。また、色相変化は目視によって行った。その結果、表8および図1に示したとおりD-マンニトールを用いた場合がイルベサルタンおよびアムロジピンまたはその塩の双方共に最も安定であった。一方、賦形剤としてD-マンニトールのみでは流動性が劣り、製造工程で製造面に課題が残るため、類縁物質の生成量、色相変化及び流動性の観点からD-マンニトールに配合する賦形剤として結晶セルロースが最適であった。
各種結合剤におけるイルベサルタン及びアムロジピンまたはその塩の配合変化試験を行った。即ち、D−マンニトールとイルベサルタンもしくはアムロジピンベシル酸塩の粉砕品を19:1の比で加え乳鉢で混合して20倍散とし、これに10%の結合剤水溶液を10:1の割合で添加し乳棒を用いて混合する。これを50℃の乾燥機内で3時間乾燥させた後ガラス瓶に入れ、密栓後50℃/85%RH、2週間の保存試験を行った。保存した各サンプルについて類縁物質の生成量および色相変化を評価した。評価方法は試験例1と同じ方法で行った。その結果、表9および図2に示したとおりヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アルファ化デンプンおよびコポリビドンを用いた場合は、イルベサルタンおよびアムロジピンまたはその塩の双方共に安定であった。一方、ポリビニルピロリドンは、アムロジピンにおいて類縁物質の生成を誘発した。
実施例1〜3の製剤についてガラス瓶に入れ、開栓状態で40℃/75%RH、6箇月間および50℃/85%RH、4週間の安定性試験を行った。保存した各サンプルについて類縁物質の生成量を評価した。類縁物質の生成量は、高速液体クロマトグラフ法(面積百分率)で測定した。試料の調製は、錠剤2個に0.01mol/Lギ酸アンモニウム緩衝液(pH3.0)約10mLを加え15分間振とう後、メタノールを約25mL加えて5分間の超音波照射および15分間の振とうを行い、メタノールを加え正確に50mLとした液を遠心分離した上澄みを試料溶液とすることによって行った。使用したカラムはWaters社製SunFire C18(3.5μm、4.6mm×100mm)であり、移動相はA液に0.01mol/Lギ酸アンモニウム緩衝液(pH3.0)、B液にメタノールを用い、B液が40分間で5%→100%となるようグラジェントを行った。測定波長は240nmであった。なお、類縁物質の評価は、安定性を正確に評価するため、イルベサルタンまたはアムロジピン由来の個々の類縁物質のうち、最大ピークの類縁物質の面積百分率を評価した。その結果、表10及び図3、図4に示したとおりいずれの製剤も、イルベサルタンおよびアムロジピン由来の類縁物質の生成が少なく、安定な製剤であった。
実施例4〜6の製剤についてガラス瓶に入れ、開栓状態で50℃/85%RH、4週間の安定性試験を行った。保存した各サンプルについて類縁物質の生成量を評価した。類縁物質の評価は、試験例3と同じ方法で評価した。その結果、表11及び図5に示したようにいずれの製剤も、イルベサルタンおよびアムロジピン由来の類縁物質の生成が少なく、安定な製剤であった。
Claims (1)
- イルベサルタン、アムロジピンまたはその塩、D-マンニトール、結晶セルロース、乳糖、リン酸水素カルシウムおよびトウモロコシデンプンから選択される少なくとも1種以上である賦形剤、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、アルファ化澱粉およびコポリビドンから選択される結合剤を含有する安定化された医薬組成物。
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