以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
図1は画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置100が印刷動作を実行する際に制御され動作する各部を示している。
図1に示すように、筐体1000の内部には4つのプロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkが設けられている。各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成を有する。
各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkのうち、1Yを例にとってプロセスユニットについてさらに説明する。プロセスユニット1Yは、感光体(潜像担持体)としての感光体ドラム2と、感光体ドラム2の表面を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ3と、感光体ドラム2の表面にトナー(現像剤)を供給する現像部材としての現像装置4と、感光体ドラム2の表面をクリーニングするクリーニング部材としてのクリーニングブレード5を備えている。
そして、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの上方には、感光体ドラム2の表面を露光する露光部材(静電潜像形成手段)としての露光装置6が設けられている。この露光装置6、上記帯電ローラ3及び上記現像装置4が、感光体ドラム2上に画像を形成するための作像手段として機能する。
一方、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの下方には、転写部材としての転写装置7が設けられている。転写装置7は、転写体としての無端状のベルトから構成される中間転写ベルト8を有する。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9及び従動ローラ10に張架され、図1中の矢印の方向に回転(周回走行)可能に構成されている。
中間転写ベルト8の外周には、4つの感光体ドラム2が対向している。そして4つの感光体ドラムが対向した位置それぞれに対応する、中間転写ベルト8の内周側には、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ11が設けられている。各一次転写ローラ11はそれぞれの位置で中間転写ベルト8の内周面を押圧しており、中間転写ベルト8の押圧された部分と各感光体ドラム2とが接触する箇所に一次転写ニップが形成される。また、駆動ローラ9に対向した位置に、二次転写手段としての二次転写ローラ12が設けられている。
この二次転写ローラ12は中間転写ベルト8の外周面を押圧しており、二次転写ローラ12と中間転写ベルト8とが接触する箇所に二次転写ニップが形成される。また、中間転写ベルト8の図の右端側の外周面には、中間転写ベルト8の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置13が設けられている。このベルトクリーニング装置13がクリーニングしたトナーは、転写装置7の下方に設けられた廃トナー収容器14に収容される。
一方、中間転写ベルト8の図の左端側の外周面には、中間転写ベルト8上のトナーの付着量を検知する濃度検知手段としての濃度センサ23が設けられている。筐体1000内の下部には、記録媒体としての記録用紙Pを収容した用紙トレイ15や、用紙トレイ15から記録用紙Pを搬出する給紙ローラ16等が設けてある。
筐体1000の上部には、記録用紙を外部へ排出するための一対の排紙ローラ17と、排出された記録媒体をストックするための排紙トレイ18とが設けられている。また、筐体1000内には、下部の用紙トレイ15から上部の排紙トレイ18へ記録用紙を案内するための搬送経路Rが形成されている。
この搬送経路Rにおいて、給紙ローラ16から二次転写ローラ12に至る途中には、一対のレジストローラ19が設けられている。また、二次転写ローラ12から排紙ローラ17に至る途中に、記録用紙上の画像を定着させるための定着装置120を配設している。
この定着装置120は、加熱源によって加熱される回転可能な定着部材としての定着ベルト121と、その定着ベルト121を加圧する回転可能な加圧部材としての加圧ローラ122等によって構成される。定着ベルト121と加圧ローラ122とが互いに圧接した箇所で記録用紙上の未定着トナーに熱と圧力が加えられ、記録用紙上に定着される。なお、定着ベルト121と加圧ローラ122の間で、未定着トナーに定着のための熱と圧力が加えられる領域を、定着ニップと呼ぶことがある。
また、上述の感光体、露光部材、帯電部材、現像部材、転写部材を、用紙などの記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成部と呼ぶことがある。
続けて、図1を参照して上記画像形成装置100の基本的動作について説明する。作像動作が開始されると、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの感光体ドラム2は図1内に図示するように時計回りに回転駆動され、各感光体ドラム2の表面が帯電ローラ3によって所定の極性に一様に帯電される。
帯電された各感光体ドラム2の表面には、露光装置6からレーザ光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム2に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。
このように感光体ドラム2上に形成された静電潜像に、各現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像(現像剤像)として可視像化される。駆動ローラ9が、図1内に図示するように反時計回りに回転駆動されることにより、中間転写ベルト8が図の矢印で示す方向に走行駆動される。
また、各一次転写ローラ11に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ11と各感光体ドラム2との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
そして、各プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkの感光体ドラム2に形成された各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上に順次重ね合わせて転写される。
かくして中間転写ベルト8はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。トナー画像が転写された後の各感光体ドラム2の表面に付着する残留トナーは、クリーニングブレード5によって除去され、次の画像形成に備えられる。
また、画像形成装置の下部では、給紙ローラ16が回転駆動することによって、用紙トレイ15に収容された記録用紙Pが搬送経路Rに送り出される。搬送経路Rに送り出された記録用紙Pは、レジストローラ19によってタイミングを計られて、二次転写ローラ12とそれに対向する駆動ローラ9との間の二次転写ニップに送られる。
このとき二次転写ローラ12に、中間転写ベルト8上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、二次転写ニップに転写電界が形成される。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト8上のトナー画像が記録用紙P上に一括して転写される。
未定着トナー画像が転写された記録用紙Pは定着装置120へと搬送され、定着ベルト121と加圧ローラ122によって記録用紙Pが加熱及び加圧されてトナー画像が定着される。トナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。
また、転写後の中間転写ベルト8上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置13によって除去され、除去されたトナーは、廃トナー収容器14へ搬送され回収される。
以上の説明は、記録用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つのプロセスユニット1Y、1C、1M、1Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
なお、図1で説明したいわゆる電子写真方式の画像形成装置においては、中間転写ベルト8上に形成するパターン画像を利用し、画像品質を維持するため、以下のような調整処理を行ってもよい。
一例として各色の画像濃度を適正にする調整処理では、階調パターンを中間転写ベルト8上に形成し、中間転写ベルト8上の階調パターンのトナー付着量を濃度センサ23で検出し、このトナー付着量をもとに現像特性を算出し、現像特性より現像や帯電などの作像負荷出力を適正にする調整、つまり濃度調整を行う。
調整処理のその他の例として、各色の位置(色)ずれを補正する調整処理では、位置合せパターンを中間転写ベルト8上に形成し、中間転写ベルト8上で位置合せパターンの位置情報を濃度センサ23で検出し、この位置情報をもとに位置ずれ補正処理を行う調整、つまり位置合せを行う。
上述の濃度調整、位置合わせの他に、プロセスユニット1Y、1C、1M、1Bk内でトナーが長期間滞留して、トナーが劣化し、現像できなくなることを回避するために、劣化トナーをプロセスユニット外に排出する調整処理を行ってもよい。この調整処理では、排出したいトナーを用いて感光体ドラム2の表面に静電潜像として形成し、中間転写ベルト8に転写し、転写された排出したいトナーをベルトクリーニング装置13により回収させる、つまりトナー排出を行う。
次に図2は、圧力可変加圧機構の概略構成図である。図2中には、定着ベルト121と加圧ローラ122も、ともに示している。圧力可変加圧機構160は、図1で説明した定着装置120において、定着ベルト121と加圧ローラ122との間に加圧したり、圧力を変更したりする、圧力を可変加圧可能な機能を有する。
図2に示すように、圧力可変加圧機構160は、加圧レバー161、付勢手段としてのスプリング162、カム部材としての加圧カム164などを備えている。加圧レバー161の一端(図2中上端)が、図中矢印X方向に移動可能に装置の側板に支持されており、加圧レバー161の一端には、スプリング162が取り付けられている。加圧レバー161の他端には、加圧カム164が当接するカム当接部材168が固定されている。
加圧レバー161の中央部よりも他端側が、加圧ローラ122の軸122dを受ける軸受163に当接している。軸受163は、定着ベルト121に対して接離する方向に移動可能に定着装置120に設けられている。つまり加圧レバー161が軸受163と当接している箇所で軸受163を定着ベルト121側に押すと、加圧ローラ122が定着ベルト121側に移動する。
また、圧力可変加圧機構160には、加圧ローラ122の位置を検知する位置検知センサ180が設けられている。位置検知センサ180は、加圧カム164の回転軸に固定されたエンコーダ181と、フォトセンサ182とを有している。
圧力可変加圧機構160は、一例として完全脱圧、軽加圧、完全加圧の3段階の加圧力を設定可能であり、加圧力は、完全脱圧<軽加圧<完全加圧である。
定着装置120は、この圧力可変加圧機構160により定着動作をしていないときなどに加圧力を完全脱圧にすることができる。したがって、加圧部材に長期間加圧力がかかり続け、加圧部材がクリープ変形してしまうのを抑制することができ、加圧部材の耐久性を高めることができる。また、軽加圧にも設定することができるので、加圧部材の劣化を抑えつつ、完全加圧にすばやく設定を変更することもできる。以下図3、図4を用いて圧力可変加圧機構160の詳細動作を説明する。
図3は、加圧カム164の構成を示す概略構成図である。図3に示すように、加圧カム164は、加圧ローラ122に完全脱圧位置と、軽加圧位置と、完全加圧位置の3つの位置を取らせることができる。加圧カム164の加圧ローラ122を完全脱圧位置に取らせる箇所と、軽加圧位置を取らせる箇所と、完全加圧位置を取らせる箇所とは、それぞれ加圧カム164の回転中心からの距離が異なっている。この加圧カム164の回転中心からの距離は、完全脱圧位置において定着ベルト121と加圧ローラ122との間の加圧力が0となるよう定められる。そして加圧カム164の回転中心からの距離は、完全脱圧位置<軽加圧位置<完全加圧位置となっている。
エンコーダ181は、略扇状となっており、一方のエンコーダーエッジが、加圧カム164の軽加圧位置と、完全加圧位置との間にくるように構成されている。エンコーダ181がフォトセンサ182と対向しているとき、フォトセンサ182は、Low信号を後述するエンジン制御部104に出力し、エンコーダ181がフォトセンサ182と対向していない位置にあるとき、フォトセンサ182は、High信号を後述するエンジン制御部104に出力する。
図4は、圧力可変加圧機構の完全脱圧、軽加圧、完全加圧のときの状態を示す図である。図4(A)は、加圧ローラ122が完全脱圧位置にあるときの状態を示す図であり、図4(B)は、加圧ローラ122が軽加圧位置にあるときの状態を示す図であり、図4(C)は、加圧ローラ122が完全加圧位置にあるときの状態を示す図である。
図4(A)に示すように、加圧ローラ122が完全脱圧位置にあるとき、定着ベルト121と加圧ローラ122との間の加圧力が0となって、完全脱圧状態となる。この完全脱圧状態から加圧カム164を図4中反時計回りに回転させていくと、加圧カム164が、カム当接部材168を定着ベルト121側へ押していく。
すると、加圧レバー161は軸受163との接触部分を支点として回転するため、加圧レバー161の他端(図4中下端)は定着ベルト121側へ移動し、一端(図4中上端)は、定着ベルト121から離間する方向へと移動する。これにより、スプリング162が延びると、スプリング162が元に戻ろうとする力が働き、加圧レバー161を定着ベルト121側に付勢する付勢力が生じる。
つまり、加圧レバー161はスプリング162の付勢力と加圧カム164とにより、定着ベルト121側に付勢される。その結果、加圧レバー161は加圧ローラ122を定着ベルト121側へ押し、加圧ローラ122は定着ベルト121側へと移動する。そして、図4(B)に示すように、加圧ローラ122が軽加圧位置に到達すると、加圧ローラ122は、定着ベルト121と軽加圧状態で当接する。
さらに、加圧カム164を反時計回りに回転させていくと、さらに加圧ローラ122は、定着ベルト121側へ移動し、スプリング162の付勢力と加圧カム164とによる加圧力が増加していく。そして、図4(C)に示すように、加圧ローラ122が完全加圧位置に到達すると、定着ベルト121と加圧ローラ122との間の加圧力が、定着時の加圧力になり、完全加圧状態となる。
図5は画像形成装置100の制御構成の説明図である。コントローラ102は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などを備え、エンジン制御部104、操作部101、通信インターフェース103と接続されている。記憶部112はROMやHDDにより実現され、画像形成装置100の動作に必要な各種プログラムや各種画像形成条件をユーザがあらかじめ記憶したり、更新したりすることができる。また、画像形成装置100の動作ログを記憶することができる。
コントローラ102は、CPUやHDDに記憶されている制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100全体の制御や、通信インターフェース103及び操作部101からの入力の制御などを行う。例えば、コントローラ102は、操作部101を介して入力されたユーザからの指示入力を受け付け、その指示入力に従って各種処理を行う。
また、コントローラ102は、通信インターフェース103を介して外部のホストコンピュータ装置などから印刷ジョブ(画像形成ジョブ)の指令や画像データを受信し、エンジン制御部104を制御し、用紙にカラー画像やモノクロ画像を形成して出力する画像形成動作を制御する。
エンジン制御部104は、CPU、ROM、RAMなどを備え、記憶部112に記憶されている制御プログラムを実行することにより、コントローラ102からの指令に基づいて画像形成処理を行うための図1に示した各部の制御を行う。つまり、エンジン制御部104は、画像書込み制御部110、作像プロセス部111、定着装置120等の制御部として機能する。また、エンジン制御部104はコントローラ102からの指令に基づいて制御を行うため、場合によってコントローラ102とエンジン制御部104とで、各部の制御部ということができる。
エンジン制御部104による制御の一例として、画像形成動作モードにおいて、温度センサ123で検出した定着ベルト121の温度が所定の目標温度となるように、ハロゲンヒータ124への通電を制御したり、加圧ローラ122を回転駆動する駆動手段たる加圧ローラ駆動部107を制御したりする制御が挙げられる。
ここで、画像形成装置100は、画像形成動作モード、待機モード、スリープモードの3つのモードを有している。ここで、画像形成動作モードとは、画像形成装置100が画像形成処理を実行している状態を示す。待機モードは、画像形成装置100が画像形成処理の実行指示を待っている状態を示す。画像形成動作モードは待機モードのときのみ遷移することができる。スリープモードとは、待機モードよりも更に消費電力が少ない低電力消費の状態を示す。
定着装置120における画像形成動作モード、待機モード、スリープモードについて述べると、画像形成動作モードのときは、定着装置120において、定着ベルト121を所定の定着目標温度(例えば、158〜170℃)に昇温させるウォームアップ動作が行われた後、定着動作が実行される。つまり、定着ベルト121と加圧ローラ122の間に用紙が通され、用紙上のトナーを定着する動作が実行される。また待機モードのときは、定着装置120の定着ベルト121は、上記画像形成動作モードのときの定着目標温度よりも低い所定の温度である待機温度(例えば、90℃)に維持される。
つまり画像形成動作モードと待機モードは、作像プロセス部111を構成する定着装置120等の各部や、エンジン制御部104への通電が行われるモードということもできる。定着装置120の場合、定着部材である定着ベルト121の温度を所定温度、つまり画像形成動作モードであれば定着目標温度に、待機モードであれば待機温度に、それぞれ維持するためにハロゲンヒータ124にそれぞれの温度に応じた所定以上の電力を通電している状態である。
一方スリープモードは、省エネの為、定着装置120等の作像プロセス部111やエンジン制御部104への通電が停止されたモードである。このスリープモードにおいては定着装置120の場合、ハロゲンヒータ124への通電や加圧ローラ122の回転駆動ができない状態である。一方スリープモードにおいてコントローラ102には通電されており、ユーザからの指示が入力されると電源OFF状態からの復帰と比較して、より早く待機モード、画像形成モードへと復帰することができる。
また、画像形成動作モードのとき、定着装置120は、加圧ローラ122と定着ベルト121との間の加圧力を完全加圧状態に、待機モード、スリープモード、主電源OFF時や紙詰まり時は、加圧力を完全脱圧状態に制御される。具体的には、エンジン制御部104が、フォトセンサ182の出力信号に基づいて、駆動手段としてのカム駆動部126を制御することで、上記各加圧状態にすることができる。
例えば、待機モード、スリープモード、主電源OFF時の完全脱圧状態から、画像形成動作モードのときの完全加圧状態に遷移するとき、エンジン制御部104は、カム駆動部126を制御して、加圧カムさせる。すると、フォトセンサ182の出力が、HighからLowに切り替わる。
エンジン制御部104は、フォトセンサの出力がHighからLowに切り替わってから所定時間経過したら、加圧ローラ122が完全加圧位置に到達し、加圧力が完全加圧状態であると判断し、カム駆動部126の駆動を停止する。
また、画像形成動作モードが終了して、所定時間秒経過したら、エンジン制御部104は、カム駆動部126を逆回転させる。すると、フォトセンサ182の出力信号が、LowからHighに切り替わる。エンジン制御部104は、フォトセンサの出力がLowからHighに切り替わってから所定時間経過し、加圧ローラ122が完全脱圧位置になったらカム駆動部126の駆動を停止する。
また、主電源がOFFにされたり、紙詰まりが発生したりしたときも同様に加圧ローラ122が完全脱圧位置になるようにカム駆動部126を制御する。待機モード、スリープモード、主電源OFF時のとき、加圧力を完全脱圧状態にすることで、長期間未使用状態でも加圧ローラ122の劣化を抑制することができる。
また、紙詰まり時も、加圧力を完全脱圧状態にすることで、定着ベルト121と加圧ローラ122とのニップ部に挟まった用紙を容易に除去することができる。
しかし、主電源OFF時やスリープモード時からの待機状態への遷移は加圧ローラ122を完全脱圧状態から完全加圧状態に移動する必要があり、時間がかかるという問題がある。そこで本実施形態においては、主電源ON時から待機状態への遷移、またはスリープモードから待機状態への遷移が開始する前において、加圧ローラ122の完全加圧位置への移動を制御部であるエンジン制御部104への通電直後に実施するようにした。
図6は、制御部起動時の加圧処理の第一の例を示すフロー図である。
まず、画像形成装置100が電源OFFの状態でユーザによる画像形成装置100の電源ONが検知されると(S101)、コントローラ102に通電され、コントローラ102が起動する(S102)。続いてコントローラ102の制御に基づきエンジン制御部104に通電され、エンジン制御部104が起動する(S103)。すると、エンジン制御部104は、圧力可変加圧機構160を制御して加圧ローラ122を完全加圧位置に移動させる(S104)。その後、コントローラ102からの指示に基づき制御部104は、定着装置120の各モードへの遷移処理を行う(S105)。
このように、定着装置において制御部の起動後、加圧ローラへの移動制御を実施した後に、他状態に遷移するように制御、より具体的には他状態へ遷移する為に必要な所定以上の電力を通電するように制御している。
つまり、画像形成装置100の主電源ON後、待機状態への遷移指示を行うまでにはある程度の時間、例えばコントローラ102自身の初期化処理等に要する時間が必要となるが、本実施形態では、エンジン制御部104へ通電が行われると、コントローラ102自身の初期化処理が完了してコントローラ102からエンジン制御部104に遷移指示がされるよりも前に、エンジン制御部104が加圧ローラ122を完全加圧状態に遷移する制御を開始する。すなわち、コントローラ102の初期化中には、定着装置120内の加圧ローラ122を完全加圧位置へ移動する制御が実行されることになる。
その結果、コントローラ102からの待機状態への遷移指示が行われ、定着装置120に所定以上の電力が通電開始されてから加圧ローラ122の移動を開始する場合と比較して、すでに加圧ローラ122の移動が完了している分、定着装置120が待機状態に遷移完了するまでの時間および画像形成装置100が待機状態に遷移完了するまでの時間を短縮できる。
なお、待機状態への遷移必要な所定以上の電力供給を受ける前までに加圧ローラ122の移動制御が開始されていれば、加圧ローラ122が完全加圧位置に移動完了していなくても上述の時間短縮の効果を得ることはできる。
図7は、制御部起動時の加圧処理の第二の例を示すフロー図である。
まず画像形成装置100がスリープモードの状態において所定のイベントが発生すると(S201)、コントローラ102の制御に基づきエンジン制御部104に通電され、エンジン制御部104が起動する(S202)。すると、エンジン制御部104は、圧力可変加圧機構160を制御して加圧ローラ122を完全加圧位置に移動させる(S203)。その後、コントローラ102からの指示に基づき制御部104は、定着装置120の各モードへの遷移処理を行う(S204)。
なお、上述のイベントとは、スリープモードにおいて画像形成装置100が受け付けた、ユーザ、もしくはユーザの設定に基づく各種動作指示である。各種イベントがあるが、その中でも所定のイベントとは、印刷動作を伴うイベントである。印刷動作を行うためにエンジン制御部104を起動する必要があるイベントということもできる。
所定のイベントの一例としては、ユーザによる操作部101へのコピー指示受付、また他の例として、外部装置からの印刷指示等の通信インターフェース103による受付等であるがこれに限られない。
所定のイベントではないイベントの一例としては、操作部101から入力された各種設定変更指示の受付や、その他の例としては受信したFAXデータを画像データとしてROMやHDDに記憶する設定に基づく動作指示の受付等であるがこれに限られない。
このように、定着装置において制御部の起動後、加圧ローラへの移動制御を実施した後に、他状態に遷移するように制御、より具体的には他状態へ遷移する為に必要な所定以上の電力を通電するように制御している。
したがって、画像形成装置100がスリープ状態においてイベントが発生した後、待機状態への遷移指示を行うまでにはある程度の時間を要するが、この時間に定着装置120内の加圧ローラ122を完全加圧位置へ移動する制御が実行されることになる。
その結果、コントローラ102からの待機状態への遷移指示が行われ、定着装置120に所定以上の電力が通電開始されてから、加圧ローラ122の移動を開始する場合と比較して、すでに加圧ローラ122の移動が完了している分、定着装置120が待機状態に遷移完了するまでの時間および画像形成装置100が待機状態に遷移完了するまでの時間を短縮できる。
つまり、画像形成装置100がスリープ状態においてイベントが発生した後、待機状態への遷移指示を行うまでにはある程度の時間が必要となるが、本実施形態では、エンジン制御部104へ通電が行われると、コントローラ102からエンジン制御部104に遷移指示がされるよりも前に、エンジン制御部104が加圧ローラ122を完全加圧状態に遷移する制御を開始する。すなわち、コントローラ102の初期化中には、定着装置120内の加圧ローラ122を完全加圧位置へ移動する制御が実行されることになる。
なお、待機状態への遷移必要な所定以上の電力供給を受ける前までに加圧ローラ122の移動制御が開始されていれば、加圧ローラ122が完全加圧位置に移動完了していなくても上述の時間短縮の効果を得ることはできる。
以上図6および図7で説明したように、主電源ON時(図5)やスリープモードからの復帰時(図7)において、加圧ローラ122の完全加圧位置への移動制御をエンジン制御部104への通電直後に実施するため、主電源ON後、ウォームアップ完了や、スリープモードからの復帰や、スリープモードからの復帰後のウォームアップ完了までの時間を短くすることができる。
図8は遷移処理の一例を示すフロー図である。つまり、図6のステップS104、図7のステップS204の詳細フローである。
エンジン制御部104は、コントローラ102からのスリープ状態への遷移指示の有無を判断する(S301)。スリープ状態への遷移指示が無い場合は、エンジン制御部104が起動してから所定時間経過したかどうかを判断する(S302)。所定時間が経過していた場合は、加圧ローラ122を完全脱圧位置へと移動する。
ステップS302、S303は必ずしも実行する必要はなく、S301〜S304へ直接遷移しても構わないが、ステップS302,ステップS303を実行することにより、加圧ローラ122を長時間、完全加圧位置のままにすることがなくなるため、定着ベルト121、加圧ローラ122や圧力可変加圧機構160への負荷を減らすことができる。なお、ステップS302でエンジン制御部104が起動してからの所定時間を判断しているが、コントローラ102起動してからの所定時間で判断してもよい。
次にエンジン制御部104は、コントローラ102からの待機状態への遷移指示の有無を判断し(S304)、遷移指示が無い場合はステップS301に戻る。遷移指示があった場合は、加圧ローラ122が完全加圧位置かどうかを判断する(S305)。加圧ローラ122が完全加圧位置でない場合は、加圧ローラ122を完全加圧位置へ移動する(S306)。
エンジン制御部104は、加圧ローラ122が完全加圧位置にある状態で、定着ヒータ制御を実行する(S307)。待機状態に遷移するのに必要な定着ヒータ制御、つまりウォーミングアップ制御が終わると、エンジン制御部104は定着装置120を待機状態に遷移させる(S308)。
一方、ステップS301において、コントローラ102からスリープ状態への遷移指示があった場合は、エンジン制御部104は、加圧ローラが完全脱圧位置であるかどうかを判断する(S309)。完全脱圧位置の場合は、エンジン制御部104は定着装置120をスリープ状態へ遷移させる(S311)。加圧ローラが完全脱圧位置ではない場合は、加圧ローラを完全脱圧位置へ移動させ(S310)、その後定着装置120をスリープ状態へ遷移させる(S311)。スリープ状態へと遷移すると、コントローラ102はエンジン制御部104への通電を停止する。
次に図9は、制御部起動時の加圧処理の第三の例を示すフロー図である。
まず、画像形成装置100が電源OFFの状態において、ユーザによる画像形成装置100の電源ONが検知されると(S401)、コントローラ102に通電され、コントローラ102が起動する(S402)。続いてコントローラ102の制御に基づきエンジン制御部104に通電され、エンジン制御部104が起動する(S403)。
すると、エンジン制御部104は、加圧を実行するかどうかの判断を行なう(S404)。一例として、記憶部112に記憶されている所定動作履歴有無データを参照し、所定動作履歴有無データが“所定動作履歴有り”の場合は、今回の制御部起動時の加圧を実行すると判断し、加圧ローラ122を完全加圧位置に制御する(S405)。その後、コントローラからの指示に基づき各モードへの遷移処理を行う(S406)。一方、ステップS404において“所定動作履歴無し”の場合は、加圧実行を行わないと判断し、処理Aに進む。
ここで所定動作履歴有無データについて述べる。所定動作履歴有無データは、加圧を行う必要があるイベント、つまり印刷動作を伴うイベントが発生する可能性を示すデータである。具体的には、例えば画像形成装置100において、過去に電源ON後に発生したイベントが、連続して10回、印刷動作が必要のないイベントだった場合、今回の電源ON後においても印刷動作を伴うイベントが発生する可能性は低い。つまり電源ON後すぐに加圧が必要となる可能性は低い。したがって電源ON後に、印刷動作が必要のないイベントが10回連続で発生した場合は、例えばコントローラ102によって、記憶部112に所定動作履歴有無データを“無”として記憶させる。それ以外の場合は、“有”として記憶させる。
そして前述の通り、ステップS404において、エンジン制御部104は所定動作履歴有無データを参照し、そのデータが“無”の場合は“所定動作履歴無し”を意味するため加圧を実行しないと判断し、処理Aに進む。そして参照したデータが“有”の場合は“所定動作履歴有り”を意味するため加圧を実行すると判断し、ステップS405に進む。
このように、加圧が必要なイベントが発生する可能性が小さい場合は加圧を行わないことで、定着装置120内の加圧ローラ122を完全脱圧位置に制御する時間が増加し、加圧部材のクリープ変形を抑制でき、加圧ローラの耐久性を向上することができる。
なお、上述の説明では所定動作履歴有無データをコントローラ102が更新したが、ユーザが操作部101から直接入力したり、更新したりしてもよい。また、画像形成装置100のユーザの使用状況、画像形成装置100の動作ログから、加圧制御動作有無データを生成したり変化させたりするプログラムを実行してもよい。またコントローラ102のROMやHDDに記憶されていても良い。
図10は、制御部起動時の加圧処理の第四の例を示すフロー図である。制御部起動後に、遷移処理が開始するまでに実行される処理を説明するフローである。
図10は、画像形成装置100がスリープモードの状態から開始するフローである。画像形成装置100のスリープモードの状態において、所定のイベントが発生すると(S501)、コントローラ102の制御に基づきエンジン制御部104に通電され、エンジン制御部104が起動する(S502)。
すると、エンジン制御部104は、加圧を実行するかどうかの判断を行う(S503)。一例として、図9のフロー図と同様に、記憶部112に記憶されている所定動作履歴有無データを参照し、所定動作履歴有無データが“所定動作履歴有り”の場合は、今回の制御部起動時の加圧を実行すると判断し、加圧ローラ122を完全加圧位置に制御する(S504)。その後、コントローラからの指示に基づき各モードへの遷移処理を行う(S505)。一方、ステップS503において“所定動作履歴無し”の場合は、加圧実行を行わないと判断し、処理Aに進む。
この時所定動作履歴有無データは、図9のフロー図においては電源ON後の動作に基づき記憶されたが、電源ON後の動作に替わり、スリープ状態からの復帰後の動作に基づき記憶すればよい。
なお、図9のステップS406および図10のステップS505の遷移処理は、図8を用いて説明したフローと同様であるため、説明を省略する。
図11は、制御部起動時の加圧実行判断の結果、加圧しない場合の処理のフロー図である。図9、図10にそれぞれAで示される処理の詳細フローである。
まずエンジン制御部104は、コントローラ102からスリープ状態への遷移指示があるか判断する(S601)。遷移指示が無い場合は、待機状態への線指示があるかを判断し(S602)、遷移指示があった場合は加圧ローラ122を完全加圧位置へ移動させる(S603)。そして待機状態に遷移するのに必要な定着ヒータ制御、つまりウォーミングアップ制御を実行し(S604)、実行が終わると、エンジン制御部104は定着装置120を待機状態へと遷移させる(S605)。
一方ステップS601でスリープ状態への遷移指示があった場合、エンジン制御部104は定着装置120をスリープ状態に遷移させる(S606)。そしてコントローラ102はエンジン制御部104への通電を停止する。