以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
実施の形態1.
図1および2は、実施の形態1に係る換気装置100の構成を示す機能ブロック図である。換気装置100の運転モードには、暖房運転、冷房運転、および除霜運転が含まれる。図1は、暖房運転における冷媒の流れを示す図である。図2は、冷房運転および除霜運転における冷媒の流れを示す図である。図3は、換気装置100における信号の流れを示す制御ブロック図である。以下では、図1〜3を参照しながら換気装置100の構成について説明する。
図1に示されるように、換気装置100は、室外機10と、換気ユニット20と、統合コントローラ30とを備える。
室外機10は、圧縮機10aと、室外熱交換器10bと、四方弁10dと、アキュムレータ10eと、室外ファン10gと、室外コントローラ10fと、温度センサ1b,10h,10iと、圧力センサ10m,10kとを含む。
換気ユニット20は、通風孔VH1,VH2,VH3,VH4を有する。換気ユニット20は、通風孔VH1とVH2とをつなぐ通風路VF1と、通風孔VH3とVH4とをつなぐ通風路VF2とを含む。換気ユニット20は、通風孔VH1から室外の空気(OA:Outer Air)を吸入し、通風孔VH2から部屋R1内に給気(SA:Supply Air)を出力する。換気ユニット20は、通風孔VH3から部屋R1内の還気(RA:Return Air)を吸入し、通風孔VH4から室外に排気(EA:Exhaust Air)を出力する。換気ユニット20は、室内熱交換器20bと、膨張弁20cと、温度センサ1c,20h,20iと、換気コントローラ20fと、給気ファン21gと、排気ファン22gと、全熱交換器40とをさらに含む。
圧縮機10a、室内熱交換器20b、膨張弁20c、および室外熱交換器10bは、冷凍サイクル装置を構成する。暖房運転において冷媒は、図1に示されるように圧縮機10a、室内熱交換器20b、膨張弁20c、および室外熱交換器10bの順番の循環方向に循環する。暖房運転において、室外熱交換器10bは蒸発器として機能し、室内熱交換器20bは凝縮器として機能する。室内熱交換器20bは、全熱交換器40と通風孔VH2との間の空気と冷媒との間で熱を交換するように配置されている。
冷凍サイクルにおいて用いられる冷媒としては、たとえば、二酸化炭素、炭化水素、またはヘリウムのような自然冷媒を用いることができる。また、HFC410AまたはHFC407Cのような塩素を含まない冷媒、あるいはR22またはR134aのようなフロン系冷媒を用いることができる。
統合コントローラ30は、室外コントローラ10fおよび換気コントローラ20fの各々に制御信号を送信して、室外機10および換気ユニット20を統合的に制御する。
室外熱交換器10bは、湿り蒸気に含まれる液冷媒を蒸発させ、ガス冷媒を圧縮機10aに吐出する。室外熱交換器10bにおいては、液冷媒が室内の空気から熱(気化熱)を奪って蒸発する。室外熱交換器10bとしては、たとえば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いることができる。室外ファン10gは、室外熱交換器10bに送風する。
圧縮機10aは、室外熱交換器10bから受けた低圧のガス冷媒を圧縮し、高圧のガス冷媒を、室内熱交換器20bに出力する。アキュムレータ10eは、室外熱交換器10bと圧縮機10aとの間に接続されている。アキュムレータ10eは、室外熱交換器10bからの冷媒がアキュムレータ10eを通過するときに液冷媒を貯留して、圧縮機10aに液冷媒が流入しないようにするためのタンクである。
四方弁10dは、室外コントローラ10fに制御されて、冷媒が循環する方向を切り替える。四方弁10dは、暖房運転においては、冷媒が、圧縮機10a、室内熱交換器20b、膨張弁20c、および室外熱交換器10bの順に循環するように流路を形成する。
温度センサ1bは、室外の温度を検知して統合コントローラ30に出力する。室外の温度としては、インターネット上で公開されている天気予報などの情報に含まれている温度を利用してもよい。温度センサ10hは、室内熱交換器20bと四方弁10dとの間の配管に設置され、検出した配管温度(冷媒温度)を統合コントローラ30に出力する。温度センサ10iは、膨張弁20cと室外熱交換器10bとの間の配管に設置され、検出した配管温度を統合コントローラ30に出力する。圧力センサ10kは、圧縮機10aの吐出口付近に設置されて、検出した冷媒の圧力を統合コントローラ30に出力する。圧力センサ10mは、圧縮機10aの吸入口付近に設置されて、検出した冷媒の圧力を統合コントローラ30に出力する。
室外コントローラ10fは、圧縮機10aの駆動周波数を制御して圧縮機10aが単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。室外コントローラ10fは、四方弁10dを制御して、換気装置の運転モードに応じて冷媒の循環方向を切り替える。
室外コントローラ10fは、室外ファン10gの回転速度を調節し、単位時間の送風量を制御する。室外コントローラ10fは、たとえばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む制御部(不図示)を有する。室外コントローラ10fは、たとえばフラッシュメモリのような不揮発性のメモリを含む記憶部(不図示)を有する。記憶部は、たとえば制御部に読み出されて実行されるOS(Operating System)、各種アプリケーションのプログラム(たとえば除霜運転の制御を行なうためのプログラム)、およびそのプログラムによって使用される各種データを保存することができる。
室内熱交換器20bは、圧縮機10aからの高温高圧のガス冷媒を受けて凝縮し、液冷媒を膨張弁20cに吐出する。室内熱交換器20bからは、ガス冷媒が凝縮されて液冷媒となるときの熱(凝縮熱)が放出される。室内熱交換器20bとしては、室外熱交換器10bと同様に、たとえば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を用いることができる。
膨張弁20cは、室内熱交換器20bからの液冷媒を断熱膨張させて減圧し、湿り蒸気として室外熱交換器10bへ吐出する。膨張弁20cは、開度を調節するための不図示のステッピングモータを含む。膨張弁20cとしては、たとえば電子制御式膨張弁(LEV:Linear Expansion Valve)を用いることができる。
全熱交換器40は、通風孔VH1からの外気OAと通風孔VH3からの還気RAとの間で顕熱(温度)および潜熱(湿度)を交換する。暖房運転においては、通常、外気OAは低温低湿の空気であり、還気は高温多湿の空気となる。そのため、暖房運転においては、全熱交換器40において還気RAから外気OAへ全熱が移動する。全熱交換器40は、単に換気を行なうだけではなく、還気RAに含まれる全熱を回収し、新鮮な外気OAに回収した全熱を供給して室内に還元する働きをもつ。
全熱交換器40は、静止形の全熱交換器である。静止形の全熱交換器は、後に説明する回転形の全熱交換器に比べて構造が簡単であり、装置の小型化を可能にする。全熱交換器40としては、たとえば図4(a)に示される直交流型の全熱交換器40Aを用いることができる。全熱交換器40Aにおいては、伝熱性かつ透湿性のシート部材41Aと伝熱性かつ透湿性の流路形成部材42Aとが交互に積層されている。積層方向においてシート部材41Aの両側に流路形成部材42Aによってそれぞれ形成される流路は、互いに直交している。外気OAと還気RAとが全熱交換器40Aを通過すると、シート部材41Aを介して全熱が交換される。
全熱交換器40としては、たとえば図4(b)に示されるような、向流形の全熱交換器40Bであってもよい。全熱交換器40Bにおいては、積層方向においてシート部材41Bの両側に流路形成部材42Bによってそれぞれ形成される流路に互いに平行な部分がある。当該部分においては外気OAと還気RAとが対向流となるため、全熱の交換が促進される。
再び図1を参照して、給気ファン21gは、通風路VF1において全熱交換器40と通風孔VH2との間に設置され、通風孔VH1からの空気が通風孔VH2へ向かうように送風する。排気ファン22gは、通風路VF2において全熱交換器40と通風孔VH4との間に設置され、通風孔VH3からの空気が通風孔VH4へ向かうように送風する。
温度センサ1cは、通風路VF2において全熱交換器40と通風孔VH4との間に設置され、検出した温度を統合コントローラ30に出力する。温度センサ20hは、圧縮機10aと室内熱交換器20bとの間の配管に設置され、検出した配管温度(冷媒温度)を統合コントローラ30に出力する。温度センサ20iは、室内熱交換器20bと膨張弁20cとの間の配管に設置され、検出した配管温度(冷媒温度)を統合コントローラ30に出力する。
換気コントローラ20fは、給気ファン21gおよび排気ファン22g各々の回転速度を制御して、単位時間当たりの送風量を制御する。換気コントローラ20fは、膨張弁20cの開度を調節する。換気コントローラ20fは、たとえばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む制御部(不図示)を有する。換気コントローラ20fは、たとえばフラッシュメモリのような不揮発性のメモリを含む記憶部(不図示)を有する。記憶部は、たとえば制御部に読み出されて実行されるOS(Operating System)、各種アプリケーションのプログラム(たとえば除霜運転の制御を行なうためのプログラム)、およびそのプログラムによって使用される各種データを保存することができる。
冷房運転および除霜運転においては、図2に示されるように、冷媒が、圧縮機10a、室外熱交換器10b、膨張弁20c、および室内熱交換器20bの順に循環するように流路が形成される。冷房運転および除霜運転において、室外熱交換器10bは凝縮器として機能し、室内熱交換器20bは蒸発器として機能する。
図3を参照して、統合コントローラ30は、部屋R1内に設置された温度センサ1aから室温を取得し、室温が目標温度に近づくように、室外コントローラ10fおよび換気コントローラ20fを介して、室外機10および換気ユニット20をそれぞれ制御する。
統合コントローラ30は、圧力センサ10kおよび10mから取得した飽和圧力から凝縮温度CT(Condensing Temperature)および蒸発温度ET(Evaporating Temperature)をそれぞれ算出する。統合コントローラ30は、蒸発器から流出する冷媒の温度と蒸発温度ETとの差から過熱度を算出する。蒸発器から流出する冷媒の温度は、暖房運転においては温度センサ10hからの温度であり、冷房運転においては温度センサ20hからの温度である。また、統合コントローラ30は、凝縮器から流出する冷媒温度と凝縮温度CTとの差から過冷却度を算出する。凝縮器から流出する冷媒温度は、暖房運転においては温度センサ20iからの温度であり、冷房運転においては温度センサ10iからの温度である。統合コントローラ30は、過熱度および過冷却度が最適な値に近づくように、換気コントローラ20fを介してたとえば膨張弁20cの開度を調節したり、室外コントローラ10fを介してたとえば圧縮機10aの駆動周波数を制御する。
統合コントローラ30は、室外コントローラ10fを介して圧縮機10a、四方弁10d、および室外ファン10gを制御する。統合コントローラ30は、換気コントローラ20fを介して膨張弁20c、給気ファン21g、および排気ファン22gを制御する。統合コントローラ30、室外コントローラ10f、および換気コントローラ20fは、別々のコントローラである必要はなく、一体のコントローラであってもよい。
換気装置100において暖房運転を行なっている場合、全熱交換器40において霜が生じる場合がある。全熱交換器40において低温の外気OAと高温の室内空気である還気RAとの間で熱交換が行なわれると、還気RAが露点以下に冷却されて結露が生じる場合がある。外気OAの温度によっては全熱交換器40の内部が氷点下になり、霜が生じる場合がある。全熱交換器40に霜が生じると全熱交換器40内部の圧力損失が増加して、給気量が減少する。そこで、換気装置100においては、室外熱交換器10bだけではなく、全熱交換器40に対しても除霜運転を行なう。統合コントローラ30は、室外熱交換器10bの着霜条件が成立している場合に室外熱交換器10bの除霜運転を行なう。室外熱交換器10bの着霜条件としては、たとえば室外の気温が閾値温度Tset1(たとえば−10℃)以下であって、かつ室外温度と室内温度との温度差が閾値温度差ΔT1(たとえば−35deg)以下であるという条件を用いることができる。
全熱交換器40に対する除霜運転においては、全熱交換器40に生じた霜を融解させるため、給気ファン21gを停止して低温の外気OAの吸引が停止されるとともに、高温の室内空気である還気RAの排出が継続される。低温の外気OAが全熱交換器40を通過するのを抑制するとともに、高温の還気RAが全熱交換器40を通過することにより、霜の融解が促進される。給気ファン21gを停止する代わりに、給気ファン21gの回転速度を低減して単位時間当たりの送風量を低減してもよい。
換気装置100において暖房運転を行なっている場合、気温の低い室外機10で蒸発器として機能している室外熱交換器10bにおいても、気温が露点より低くなることにより結露が生じるときがある。外気温が氷点下まで低下すると霜が生じる。室外熱交換器10bに霜が生じた場合、室外熱交換器10bを通過する空気の量が低下するため、熱交換効率が低下する。そこで、換気装置100においては、室外熱交換器10bに霜が生じた場合、当該霜を融解させて取り除くための除霜運転を行なう。統合コントローラ30は、室外熱交換器10bの着霜条件が成立している場合に室外熱交換器10bの除霜運転を行なう。室外熱交換器10bの着霜条件としては、たとえば室外の気温が閾値温度Tset2(たとえば3℃)以下であって、かつ配管温度が氷点下という条件を用いることができる。
再び図2を参照して、室外熱交換器10bに対する除霜運転は、四方弁10dを切り替えることにより冷媒の循環方向を暖房運転とは逆の方向として、室外熱交換器10bを凝縮器として機能させることにより行なう。室外熱交換器10bに対する除霜運転においては、圧縮機10aからの高温の冷媒が室外熱交換器10bに流入するため室外熱交換器10bの温度が上昇する。また、室外熱交換器10bは、凝縮器として機能するため、凝縮熱を放出し、室外熱交換器10b周辺の温度が上昇する。その結果、室外熱交換器10bに生じた霜の融解が促進される。この場合、除霜運転が行なわれるまでは、凝縮器として機能し、室内に供給される空気を加熱していた室内熱交換器20bが蒸発器として機能する。室内への空気の供給を継続すると冷却された空気が室内に供給されてしまう。全熱交換器40からの空気を、ユーザが望む温度に調節して室内に供給することができないため、室外熱交換器10bに対する除霜運転においては、給気ファン21gが停止されて室内への空気の供給が停止される。
室内への空気の供給が停止される一方で、室内からの空気の排出を継続すると、室内の圧力が室外よりも低くなって、室内が負圧化する可能性がある。そこで、室外熱交換器10bに対する除霜運転においては、排気ファン22gは停止されることが望ましい。給気ファン21gを停止する代わりに、給気ファン21gの回転速度を低減して単位時間当たりの送風量を低減してもよい。排気ファン22gも同様に、室内の圧力が室外よりも低くならない程度まで送風量を低減してもよい。
着霜条件は、全熱交換器40と室外熱交換器10bとでは異なり得る。そのため、全熱交換室外熱交換器10bと全熱交換器40とでは、着霜条件が成立するタイミングが異なる場合がある。その結果、着霜条件が成立した直後に除霜運転を開始すると、全熱交換器40に対する除霜運転と室外熱交換器10bに対する除霜運転とが異なるタイミングで開始される場合がある。
室外熱交換器10bに対する除霜運転が行なわれている間、給気ファン21gおよび排気ファン22g各々は停止するため、換気ユニット20による換気が十分に行なわれず、給気量が低減する。また、全熱交換器40に対する除霜運転が行なわれている間においても、給気ファン21gが停止するため、換気ユニット20による換気が十分に行なわれず、給気量が低減する。したがって、室外熱交換器10bに対する除霜運転および全熱交換器40に対する除霜運転の少なくとも一方が行なわれている場合、換気ユニット20からの給気量が低減する。
図5は、着霜条件が成立した直後に除霜運転が行なわれる比較例における除霜運転のタイムチャートである。図5(a)は、全熱交換器40に対する除霜運転が行なわれる時間帯を示すタイムチャートである。図5(a)においては、時刻Tm1において全熱交換器40の着霜条件が成立したとし、時刻Tm3において全熱交換器40に対する除霜運転が終了したとする。図5(b)は、室外熱交換器10bに対する除霜運転が行なわれる時間帯を示すタイムチャートを示す図である。図5(b)においては、時刻Tm2において室外熱交換器10bの着霜条件が成立したとし、時刻Tm4において室外熱交換器10bに対する除霜運転が終了したとする。全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転が同時に行なわれている時刻Tm2からTm3までの時間帯においては、排気ファン22gの単位時間当たりの送風量が低減されずに全熱交換器40を除霜するのに必要な送風量が維持されているとする。図5に示されるように、全熱交換器40に対する除霜運転が開始される時刻Tm1から、室外熱交換器10bに対する除霜運転が終了する時刻Tm4までの間、換気ユニット20からの給気量が低減する。
全熱交換器40に対する除霜運転と室外熱交換器10bに対する除霜運転とが異なるタイミングで開始されると、全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転の双方が行なわれている時間帯(時刻Tm2からTm3までの時間帯)が短くなり、いずれか一方が行なわれている時間帯(時刻Tm1からTm2までの時間帯および時刻Tm3からTm4までの時間帯)が長くなる可能性がある。その結果、給気量が低減する時間帯(時刻Tm1からTm4までの時間帯)が長くなる可能性がある。
そこで、実施の形態1においては、給気量が低減する時間帯を短縮するため、全熱交換器40に対する除霜運転と室外熱交換器10bに対する除霜運転とを同期させて、全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転の双方が行なわれている時間帯を長くする。具体的には、全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転を、それぞれの着霜条件成立から一定時間経過後の時刻から開始する。当該一定時間の間に全熱交換器40の着霜条件および室外熱交換器10bの着霜条件の双方が成立した場合に、それぞれの除霜運転開始時刻のうち早い時刻において全熱交換器40および室外熱交換器10bの双方を除霜する同期除霜運転を開始する。このような同期処理により、全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転の双方が行なわれている時間帯が長くなり、いずれか一方が行なわれている時間帯が短くなる。その結果、給気量が低減する時間帯を短縮することができ、ユーザの快適性を向上させることができる。
図6は、実施の形態1における除霜運転のタイムチャートである。図6(a)は、全熱交換器40に対する除霜運転が行なわれる時間帯を示すタイムチャートである。図6(a)においては、時刻Tm11において全熱交換器40の着霜条件が成立し、時刻Tm13から時刻Tm15まで除霜運転が行なわれたとする。図6(b)は、室外熱交換器10bに対する除霜運転が行なわれる時間帯を示すタイムチャートを示す図である。図6(b)においては、時刻Tm12において室外熱交換器10bの着霜条件が成立したとし、時刻Tm13からTm16まで除霜運転が行なわれたとする。また、全熱交換器40に対する除霜運転の開始時刻は、時刻Tm12から一定時間経過後の時刻Tm14であったが、同期処理により時刻Tm13に早められたとする。全熱交換器40に対する除霜運転を時刻Tm14から開始した場合、全熱交換器40に対する除霜運転は、時刻Tm17まで行なわれたものとする。室外熱交換器10bに対する除霜運転と全熱交換器40に対する除霜運転が同時に行なわれている時刻Tm13からTm15までの時間帯においては、排気ファン22gの単位時間当たりの送風量が低減されずに全熱交換器40を除霜するのに必要な送風量が維持されているとする。
図6に示されるように、全熱交換器40および室外熱交換器10bに対する各除霜運転が同時に開始される時刻Tm13から、全熱交換器40に対する除霜運転が終了する時刻Tm16までの時間帯において、給気量が低減する。仮に全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転を、着霜条件が成立する時刻t11およびt12からそれぞれ開始していた場合、時刻Tm11からTm12の時間帯において給気量が低減していた。また、仮に室外熱交換器10bに対する除霜運転を時刻Tm14からTm13に早めなかった場合、時刻Tm13からTm16の時間帯に加えて、時刻Tm16からTm17までの時間帯においても給気量が低減していた。このように、実施の形態1においては、給気量が低減する時間帯を短縮することができる。
図7は、実施の形態1において行なわれる除霜運転の同期処理を説明するためのフローチャートである。以下では、ステップを単にSと記載する。図7に示される処理は、不図示のメインルーチンによって一定時間間隔で呼び出される。
統合コントローラ30は、S101において全熱交換器40の着霜条件が成立しているか否かを判定する。全熱交換器40の着霜条件が成立していない場合(S101においてNO)、統合コントローラ30は、処理をメインルーチンに返す。全熱交換器40の着霜条件が成立している場合(S101においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS102に進める。統合コントローラ30は、S102において全熱交換器40の除霜運転開始時刻Ts1が経過したか否かを判定する。開始時刻Ts1は、全熱交換器40の着霜条件が成立した時刻から一定時間経過後の時刻である。着霜条件が成立した時刻と開始時刻Ts1との時間間隔は、着霜の進行による除霜の長時間化が許容範囲内に納まるように実機実験あるいはシミュレーションによって適宜決定することができ、たとえば30分とすることができる。開始時刻Ts1が経過している場合(S102においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS110に進める。統合コントローラ30は、S110において全熱交換器40に対する除霜運転を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。開始時刻Ts1が経過していない場合(S102においてNO)、統合コントローラ30は、処理をS103に進める。
統合コントローラ30は、S103において室外熱交換器10bの着霜条件が成立しているか否かを判定する。室外熱交換器10bの着霜条件が成立していない場合(S103においてNO)、統合コントローラ30は、処理をメインルーチンに戻す。室外熱交換器10bの着霜条件が成立している場合(S103においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS104に進める。統合コントローラ30は、S104において室外熱交換器10bの除霜運転開始時刻Ts2が経過したか否かを判定する。開始時刻Ts2は、室外熱交換器10bの着霜条件が成立した時刻から一定時間経過後の時刻である。着霜条件が成立した時刻と開始時刻Ts2との時間間隔は、着霜の進行による除霜の長時間化が許容範囲内に納まるように実機実験あるいはシミュレーションによって適宜決定することができ、たとえば60分とすることができる。開始時刻Ts2が経過している場合(S104においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS120に進める。統合コントローラ30は、S120において室外熱交換器10bに対する除霜運転を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。開始時刻Ts2が経過していない場合(S104においてNO)、統合コントローラ30は、処理をS105に進める。
統合コントローラ30は、S105において開始時刻Ts1がTs2より早いか否かを判定する。開始時刻Ts1がTs2よりも早い場合(S105においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS106に進める。統合コントローラ30は、S106において開始時刻Ts1まで待機した後、処理をS130に進める。開始時刻Ts1がTs2以降である場合(S105においてNO)、統合コントローラ30は、処理をS107に進める。統合コントローラ30は、S107において開始時刻Ts2まで待機した後、処理をS130に進める。統合コントローラ30は、S130において、全熱交換器40に対する除霜および室外熱交換器10bに対する除霜を同時に行なう同期除霜運転を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。
図8は、図7のS110(全熱交換器40に対する除霜運転)の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図8に示されるように、統合コントローラ30は、S111において給気ファン21gを停止して処理をS112に進める。統合コントローラ30は、S112において排気ファン22gの回転速度が基準回転速度より大きいか否かを判定する。排気ファン22gの回転速度が基準回転速度より大きい場合(S112においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS114に進める。排気ファン22gの回転速度が基準回転速度以下である場合(S112においてNO)、統合コントローラ30は、S113において排気ファン22gの回転速度を基準回転速度より大きい回転速度に設定して処理をS114に進める。基準回転速度は、全熱交換器40を除霜するのに十分な基準送風量以上の送風量を確保することができる回転速度であり、実機実験あるいはシミュレーションにより適宜決定することができる。
統合コントローラ30は、S114において室外熱交換器10bに対する除霜運転が行なわれているか否かを判定する。室外熱交換器10bに対する除霜運転が行なわれている場合(S114においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS116に進める。室外熱交換器10bに対する除霜運転が行なわれていない場合(S114においてNO)、S115において圧縮機10aを停止して処理をS116に進める。
統合コントローラ30は、S116において一定時間待機した後、処理をS117に進める。排気ファン22gが基準回転速度より大きい回転速度で回転しているため、S116において統合コントローラ30が待機している間に室内からの高温の還気RAが全熱交換器40を通過し、全熱交換器40に生じた霜の融解が促進される。統合コントローラ30は、S117において排気温度(温度センサ1cからの温度)が基準温度T1よりも大きいか否かを判定する。S117に示される条件は、全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件である。排気温度が基準温度T1以下である場合(S117においてNO)、全熱交換器40が十分に加熱されておらず除霜が終了していないとして、統合コントローラ30は、処理をS111に戻す。排気温度が基準温度T1より大きい場合(S117においてYES)、全熱交換器40が十分に加熱されて除霜が終了したとして、統合コントローラ30は、処理を図7のS110に返す。
図9は、図7のS120(室外熱交換器10bに対する除霜運転)の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図9に示されるように、統合コントローラ30は、ステップS121において四方弁10dを制御することにより、冷媒の循環方向を暖房運転とは逆に切替えて処理をS122に進める。統合コントローラ30は、S122において給気ファン21gを停止して処理をS123に進める。統合コントローラ30は、S123において全熱交換器40に対する除霜運転が行なわれているか否かを判定する。全熱交換器40に対する除霜運転が行なわれている場合(S123においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS125に進める。全熱交換器40に対する除霜運転が行なわれていない場合(S123においてNO)、統合コントローラ30は、S124において排気ファン22gを停止した後、処理をS125に進める。統合コントローラ30は、S125において一定時間待機した後、処理をS126に進める。S125において統合コントローラ30が待機している間に、冷媒が冷凍サイクルを循環することにより室外熱交換器10bが加熱され、室外熱交換器10bに生じた霜の融解が促進される。
統合コントローラ30は、S126において室外熱交換器10bの配管温度(温度センサ10hまたは10iからの温度)が基準温度T2より大きいか否かを判定する。S126に示される条件は、室外熱交換器10bに対する除霜運転の終了条件である。室外熱交換器10bの配管温度が基準温度T2以下である場合(S126においてNO)、室外熱交換器10bが十分に加熱されておらず、除霜が完了していないとして、統合コントローラ30は、処理をS122に戻す。室外熱交換器10bの配管温度が基準温度T2より大きい場合(S126においてYES)、室外熱交換器10bが十分に加熱されて除霜が完了したとして、統合コントローラ30は、処理をS127に進める。統合コントローラ30は、S127において四方弁10dを制御して冷媒の循環方向を暖房運転の循環方向に切替えて、処理を図7のS120に返す。
図10は、図7のS130(同期除霜運転)の処理の流れを説明するためのフローチャートである。統合コントローラ30は、S131において四方弁10dを制御することにより、冷媒の循環方向を暖房運転とは逆に切替えて処理をS132に進める。統合コントローラ30は、S132において給気ファン21gを停止して処理をS133に進める。
統合コントローラ30は、S133において排気ファン22gの回転速度が基準回転速度より大きいか否かを判定する。排気ファン22gの回転速度が基準回転速度より大きい場合(S133においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS135に進める。排気ファン22gの回転速度が基準回転速度以下である場合(S133においてNO)、統合コントローラ30は、S134において排気ファン22gの回転速度を基準回転速度より大きい回転速度に設定して処理をS135に進める。
統合コントローラ30は、S135において一定時間待機した後、処理をS136に進める。S135において統合コントローラ30が待機している間に、冷媒が冷凍サイクルを循環することにより室外熱交換器10bが加熱され、室外熱交換器10bに生じた霜の融解が促進される。また、排気ファン22gが基準回転速度より大きい回転速度で回転しているため、室内からの高温の還気RAが全熱交換器40を通過し、全熱交換器40に生じた霜の融解が促進される。
統合コントローラ30は、S136において全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立しているか否かを判定する。全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立していない場合(S136においてNO)、統合コントローラ30は、処理をS135に戻す。全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立している場合(S136においてYES)、統合コントローラ30は、処理をS137に進める。
統合コントローラ30は、S137において室外熱交換器10bに対する除霜運転の終了条件が成立しているか否かを判定する。室外熱交換器10bに対する除霜運転の終了条件が成立していない場合(S137においてNO)、統合コントローラ30は、処理をS135に戻す。室外熱交換器10bに対する除霜運転の終了条件が成立している場合(S137においてYES)、統合コントローラ30は、S138において四方弁を切り替えた後、処理を図7のS130に戻す。S136およびS137の順番は逆でもよい。
以上、実施の形態1に係る換気装置によれば、全熱交換器に対する除霜運転と蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜運転とを同期させて、全熱交換器に対する除霜運転および蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜運転の双方が行なわれている時間帯を長くする。その結果、給気量が低減する時間帯を短縮することができ、ユーザの快適性を向上させることができる。
さらに、実施の形態1において同期除霜運転は、全熱交換器に対する除霜運転の終了条件および蒸発器として機能していた熱交換器に対する終了条件の双方が成立するまで行なわれる。その結果、全熱交換器に対する除霜および蒸発器として機能していた熱交換器の除霜のいずれかが未完了となることを防止することができる。
実施の形態2.
全熱交換器に対する除霜運転は、室内の空気を熱源として行なわれる。そのため、冷凍サイクル装置を熱源とする室外熱交換器に対する除霜運転と比較すると、全熱交換器に対する除霜運転に要する時間は、室外熱交換器に対する除霜運転に要する時間よりも長い場合が多い。実施の形態1における同期除霜運転においては、室外熱交換器に対する除霜が、全熱交換器に対する除霜よりも早く終了することが多い。そこで、実施の形態2においては、室外熱交換器に対する除霜が、全熱交換器に対する除霜よりも早く終了した場合に、全熱交換器を加熱することにより除霜の終了を早める構成について説明する。全熱交換器に対する除霜の終了を早めることにより、同期除霜運転に要する時間を実施の形態1よりも短縮することができる。
図11は、実施の形態2に係る換気装置200の構成を示す機能ブロック図である。図11においては、室外機は図1と同様であるため図示していない。図11に示される換気ユニット22は、図1の換気ユニット20の構成において、送風ファン23gが加えられるとともに、換気コントローラ20fおよび統合コントローラ30が、換気コントローラ22fおよび統合コントローラ32にそれぞれ置き換えられている。図11に示されるように、送風ファン23gは、通風路VF1において給気ファン21gと室内熱交換器20bとの間に配置されている。送風ファン23gは、換気コントローラ22fによって回転速度が制御され、通風孔VH2から通風孔VH1へ送風する。
実施の形態2においては、室外熱交換器10bに対する除霜が終了した場合に、まず、暖房運転を行ない、室内熱交換器20bを凝縮器として機能させる。送風ファン23gを稼働させて、室内熱交換器20bによって加熱された空気を全熱交換器40に送風して、全熱交換器40に生じた霜の融解を促進し、全熱交換器40に対する除霜の終了を早める。
図12は、実施の形態2における同期除霜運転の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図12に示される処理は、図7に示される処理のS130において行なわれる処理である。
図12に示されるように、統合コントローラ32は、S231において四方弁10dを制御することにより、冷媒の循環方向を暖房運転とは逆に切替えて処理をS232に進める。統合コントローラ32は、S232において給気ファン21gを停止して処理をS233に進める。統合コントローラ32は、S233において排気ファン22gの回転速度が基準回転速度より大きいか否かを判定する。排気ファン22gの回転速度が基準回転速度より大きい場合(S233においてYES)、統合コントローラ32は、処理をS235に進める。排気ファン22gの回転速度が基準回転速度以下である場合(S233においてNO)、統合コントローラ32は、S234において排気ファン22gの回転速度を基準回転速度より大きい回転速度に設定して処理をS235に進める。
統合コントローラ32は、S235において一定時間待機した後、処理をS236に進める。S235において統合コントローラ32が待機している間に、冷媒が冷凍サイクルを循環することにより室外熱交換器10bが加熱され、室外熱交換器10bに生じた霜の融解が促進される。また、排気ファン22gが基準回転速度より大きい回転速度で回転しているため、室内からの高温の還気RAが全熱交換器40を通過し、全熱交換器40に生じた霜の融解が促進される。
統合コントローラ32は、S236において室外熱交換器10bに対する除霜の終了条件が成立しているか否かを判定する。室外熱交換器10bに対する除霜の終了条件が成立していない場合(S236においてNO)、統合コントローラ32は、処理をS235に戻す。室外熱交換器10bに対する除霜の終了条件が成立している場合(S236においてYES)、統合コントローラ32は、S237において冷媒の循環方向を暖房運転のものに戻して処理をS238に進める。S237が行なわれた以降は、室内熱交換器20bは凝縮器として機能するため、給気ファン21gと全熱交換器40との間の空気が室内熱交換器20bによって加熱される。
統合コントローラ32は、S238において全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立しているか否かを判定する。全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立していない場合(S238においてNO)、統合コントローラ32は、処理をS239に進める。統合コントローラ32は、S239において送風ファン23gを稼働させた後、処理をS235に戻す。送風ファン23gを稼働させることにより、室内熱交換器20bによって加熱された空気が、全熱交換器40に送風される。全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立している場合(S238においてYES)、統合コントローラ32は、S240において送風ファン23gを停止させた後、処理をメインルーチンに戻す。
以上、実施の形態2に係る換気装置によれば、実施の形態1と同様に、全熱交換器に対する除霜運転と蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜運転とを同期させて、全熱交換器に対する除霜運転および蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜運転の双方が行なわれている時間帯を長くする。その結果、給気量が低減する時間帯を短縮することができ、ユーザの快適性を向上させることができる。
さらに、実施の形態2においては、同期除霜運転において、室外熱交換器に対する除霜が、全熱交換器に対する除霜よりも早く終了した場合に、暖房運転を行なって換気ユニット内の室内熱交換器を凝縮器として機能させる。室内熱交換器によって加熱された空気を全熱交換器に送風することにより、全熱交換器に対する除霜の終了が早められる。その結果、同期除霜運転に要する時間を短縮することができる。
実施の形態2の変形例.
実施の形態2においては、室外熱交換器に対する除霜が、全熱交換器に対する除霜運転よりも早く終了した場合に、暖房運転を行なうとともに換気ユニット内の室内熱交換器によって加熱された空気を全熱交換器に送風することにより、全熱交換器を加熱して全熱交換器の除霜の終了を早める場合について説明した。全熱交換器の終了を早める方法は、実施の形態2で説明した方法に限られない。実施の形態2の変形例においては、室内からの還気をヒータによって加熱することにより、全熱交換器を加熱して除霜の終了を早める場合について説明する。
図13は、実施の形態2の変形例に係る換気装置200Aの構成を示す機能ブロック図である。図13においては、室外機は図1と同様であるため図示していない。図13に示される換気ユニット221は、図1の換気ユニット20の構成において、還気ヒータ51が加えられるとともに、換気コントローラ20fおよび統合コントローラ30が、換気コントローラ221fおよび統合コントローラ321にそれぞれ置き換えられている。還気ヒータ51としては、たとえば、ガスヒータ、電気ヒータ、および室内熱交換器20bからの凝縮熱を利用するヒータを用いることができる。図13に示されるように、還気ヒータ51は、通風路VF2において通風孔VH3付近に設置されている。還気ヒータ51は、通風孔VH3と全熱交換器40との間の空気を加熱する。還気ヒータ51は、換気コントローラ221fを介して、統合コントローラ321によって加熱温度が制御される。
図14は、実施の形態2の変形例における同期除霜運転の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図14に示される処理は、図7に示される処理のS130において行なわれる処理である。図14に示される処理は、図12に示される処理におけるS239およびS240が、S249およびS250にそれぞれ置き換えられた処理である。
図14に示されるように、統合コントローラ321は、S231において四方弁10dを切替え、S232において給気ファン21gを停止し、S233およびS234において排気ファン22gの回転速度を基準回転速度より大きくなるように処理して、S235において一定時間待機する。その後、統合コントローラ32は、除霜運転の終了条件が成立している場合(S236においてYES)に、S237において冷媒の循環方向を暖房運転のものに戻し、処理をS238に進める。
統合コントローラ321は、S238において全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立しているか否かを判定する。全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立していない場合(S238においてNO)、統合コントローラ321は、処理をS249に進める。統合コントローラ321は、S249において還気ヒータ51を稼働させた後、処理をS235に戻す。還気ヒータ51を稼働させることにより、通風孔VH3から全熱交換器40に向かう空気が加熱される。全熱交換器40に対する除霜運転の終了条件が成立している場合(S238においてYES)、統合コントローラ321は、S250において還気ヒータ51を停止させた後、処理をメインルーチンに戻す。
以上、実施の形態2の変形例に係る換気装置によれば、実施の形態1と同様に給気量が低減する時間帯を短縮することができる。さらに、同期除霜運転において、蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜が全熱交換器に対する除霜よりも早く終了した場合に、室内からの還気を加熱することにより、全熱交換器に対する除霜の終了が早められる。その結果、実施の形態2と同様に、同期除霜運転に要する時間を短縮することができる。
実施の形態3.
実施の形態1および2においては、着霜条件が成立してから除霜運転を行なうまでに一定の時間間隔がある。当該時間間隔において着霜が進行するため、当該時間間隔が長いと、その後に行なわれる除霜運転の長時間化が顕著になり、除霜運転を同期させたことによる効果が失われる可能性がある。
そこで、実施の形態3においては、着霜条件が成立してから除霜運転を行なうまでの間に着霜抑制運転を行なうことにより、着霜条件が成立してから除霜運転までの時間間隔を実施の形態1および2よりも長くすることができる構成について説明する。また、実施の形態3においては、着霜抑制運転が行なわれる時間を短縮化して、着霜抑制運転を行なうことによる消費電力の増加を抑制する処理についても説明する。
図15は、実施の形態3に係る換気装置300の構成を示す機能ブロック図である。図15においては、室外機は図1と同様であるため図示していない。図15に示される換気装置300においては、図1に示される換気装置100の構成において、外気ヒータ52が加えられるとともに、換気コントローラ20fおよび統合コントローラ30が、換気コントローラ23fおよび統合コントローラ33にそれぞれ置き換えられている。外気ヒータ52としては、たとえば、ガスヒータ、電気ヒータ、および室内熱交換器20bからの凝縮熱を利用するヒータを用いることができる。図15に示されるように、外気ヒータ52は、通風路VF1において通風孔VH1付近に設置されている。外気ヒータ52は、通風孔VH1と全熱交換器40との間の空気を加熱する。外気ヒータ52は、換気コントローラ23fを介して、統合コントローラ33によって加熱温度が制御される。
全熱交換器40に対する着霜抑制運転においては、外気ヒータ52によって通風孔VH1からの外気OAが加熱されるため、外気OAによる全熱交換器40の冷却が抑制される。その結果、全熱交換器40への着霜が抑制される。実施の形態3における全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件は、全熱交換器40の着霜条件である。実施の形態3における全熱交換器40の着霜条件は、室外の気温が閾値温度Tset1(たとえば−10℃)以下であって、かつ室外温度と室内温度との温度差が閾値温度差ΔT1(たとえば−35deg)以下であるという条件である。全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件は、全熱交換器40の着霜条件と異なる条件であってもよい。
室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転においては、室外ファン10gの回転速度が増加される。室外熱交換器10bにおける熱交換が促進されて蒸発温度が上昇し、顕熱比(SHF:Sensible Heat Factor)が上昇する。その結果、室外熱交換器10bの温度が上昇し、室外熱交換器10bへの着霜が抑制される。実施の形態3における室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件は、室外熱交換器10bの着霜条件である。実施の形態3における室外熱交換器10bの着霜条件は、室外の気温が閾値温度Tset2(たとえば3℃)以下であって、かつ配管温度が氷点下という条件である。室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件は、室外熱交換器10bの着霜条件と異なる条件であってもよい。
全熱交換器40に対する着霜抑制運転においては、外気ヒータ52を稼働させる。また、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転においては、室外ファン10gの回転速度を増加させる。このように、着霜抑制運転においては、通常の暖房運転においては行なわれない処理が行なわれる。以下では、図16〜18を用いて、冷凍サイクルの目標加熱能力(空調により目標温度を達成するために必要な加熱能力)、および全熱交換器の回収熱量が、通常の暖房運転と比較して着霜抑制運転においてどのように変化するかを説明する。
図16は、着霜抑制運転を行なわない場合の消費電力、冷凍サイクルの目標加熱能力、および全熱交換器の回収熱量のタイムチャートを併せて示す図である。図16(a)〜(c)は、それぞれ消費電力、目標加熱能力、および回収熱量のタイムチャートを示す図である。図16(a)〜(c)において、時刻Tm311までは通常の暖房運転が行なわれ、時刻Tm311〜Tm312まで除霜運転が行なわれたとする。除霜運転が行なわれている間、給気ファン21gが停止されるため、消費電力は減少している。除霜運転は空調を目的とするものではないため、除霜運転中の目標加熱能力は0となっている。除霜運転中は給気ファン21gが停止されて換気が行なわれないため、全熱交換器40の回収熱量は0となっている。除霜運転中の消費電力、目標加熱能力、および回収熱量は、以下で説明する図17,18においても図16と同様である。図16(a)〜(c)にそれぞれ示されるように、通常の暖房運転における消費電力、目標加熱能力、および回収熱量は、それぞれ電力W0、加熱能力Q0、および熱量H0である。
図17は、全熱交換器40に対する着霜抑制運転を行なった場合の消費電力、冷凍サイクルの目標加熱能力、および全熱交換器の回収熱量のタイムチャートを併せて示す図である。図17(a)〜(c)は、それぞれ消費電力、目標加熱能力、および回収熱量のタイムチャートを示す図である。図17(a)〜(c)において、時刻Tm321〜Tm322まで着霜抑制運転が行なわれ、時刻Tm322〜Tm323まで除霜運転が行なわれたとする。図17(a)に示されるように、全熱交換器40に対する着霜抑制運転においては、外気ヒータ52を稼働させるため、消費電力が電力W0より増加している。図17(b)に示されるように、外気ヒータ52により外気OAが加熱されるため、室内への供給される給気SAの温度が上昇し、目標温度に近づく。その結果、目標加熱能力は、加熱能力Q0より低くなる。図17(c)に示されるように、外気ヒータ52により外気OAの温度が上昇するため、全熱交換器40で熱交換を行なう外気OAと還気RAとの温度差が小さくなる。その結果、全熱交換器40での回収熱量は、熱量H0よりも小さくなる。
図18は、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転を行なった場合の消費電力、冷凍サイクルの目標加熱能力、および全熱交換器の回収熱量のタイムチャートを併せて示す図である。図18(a)〜(c)は、それぞれ消費電力、目標加熱能力、および回収熱量のタイムチャートを示す図である。図18(a)〜(c)において、時刻Tm331〜Tm332まで着霜抑制運転が行なわれ、時刻Tm332〜Tm333まで除霜運転が行なわれたとする。図18(a)に示されるように、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転においては、室外ファン10gを稼働させるため、消費電力が電力W0より増加している。室外に配置されている室外ファン10gの動作は、外気OAの温度および還気RAの温度にほとんど影響を与えない。そのため、図18(b)および(c)に示されるように、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転を行なっている間の目標加熱能力および回収熱量は、それぞれ加熱能力Q0および熱量H0とほとんど変わらない。
図17(a),図18(a)に示されるように、着霜抑制運転を行なうと消費電力が増加する。消費電力を抑制するという観点では、着霜抑制運転を行なう時間はなるべく短い方が望ましい。
実施の形態3においては、実施の形態1および2と同様に、同期除霜運転が行なわれる。同期除霜運転においては、全熱交換器40に対する除霜運転および室外熱交換器10bに対する除霜運転のいずれかの開始時刻が早められる。開始時刻が早められると、除霜運転の着霜条件が成立してから、除霜運転が開始される時間までの時間間隔が短くなる。そのため、除霜運転の開始時刻までの着霜量は減少する。その結果、開始時刻が早められた除霜運転に対応する着霜抑制運転を行なう必要性は低下する。
そこで、実施の形態3においては、同期除霜運転を行なう場合に、開始時刻が早められた除霜運転に対応する着霜抑制運転を、通常の開始条件よりも成立する場合が限定された他の開始条件が成立した場合に行なう着霜抑制連携処理を行なう。その結果、消費電力の増加を抑制することができる。
実施の形態3においては、同期除霜運転において全熱交換器40に対する除霜運転が早められる場合の全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件を、室外の気温が閾値温度Tset1(たとえば−10℃)以下であって、かつ室外温度と室内温度との温度差が閾値温度差ΔT2(たとえば−50deg)以下という条件とする。通常の全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件と比較すると、同期除霜運転において全熱交換器40に対する除霜運転が早められる場合の全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件においては、温度差ΔT2が温度差ΔT1より小さい。また、同期除霜運転において室外熱交換器10bに対する除霜運転が早められる場合の室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件を、室外の気温が閾値温度Tset3(たとえば−10℃)以下であって、かつ配管温度が氷点下という条件とする。通常の室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件と比較すると、同期除霜運転において室外熱交換器10bに対する除霜運転が早められる場合の室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件においては、閾値温度Tset3が閾値温度Tset2より小さい。
図19は、全熱交換器40に対する着霜抑制運転が行なわれる外気温度の範囲を示す図である。図19(a)は、同期除霜運転において全熱交換器40に対する除霜運転の開始時刻が早められない場合の、着霜抑制運転が行なわれる温度差の範囲を示す図である。図19(b)は、同期除霜運転において全熱交換器40に対する除霜運転の開始時刻が早められる場合の、着霜抑制運転が行なわれる温度差の範囲を示す図である。図19においては、全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件のうち、室外の気温が閾値温度Tset1(たとえば−10℃)以下という条件は成立しているとする。
図19(a)に示されるように、同期除霜運転において除霜運転の開始時刻が早められない場合、温度差が閾値温度差ΔT1より大きいときには着霜抑制運転は行なわれず、温度差が閾値温度差ΔT1以下であるときに着霜抑制運転が行なわれる。図19(b)に示されるように、同期除霜運転において除霜運転の開始時刻が早められる場合、温度差が閾値温度差ΔT2より大きいときには着霜抑制運転が行なわれず、温度差が閾値温度差ΔT2以下であるときに着霜抑制運転が行なわれる。除霜運転の開始時刻が早められる場合、温度差が閾値温度差ΔT2からΔT1までの範囲においては着霜抑制運転が行なわれない。その結果、着霜抑制運転による消費電力の増加を抑制することができる。
図20は、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転が行なわれる室外温度と室内温度との温度範囲を示す図である。図20(a)は、同期除霜運転において室外熱交換器10bに対する除霜運転の開始時刻が早められない場合の、着霜抑制運転が行なわれる温度範囲を示す図である。図20(b)は、同期除霜運転において室外熱交換器10bに対する除霜運転の開始時刻が早められる場合の、着霜抑制運転が行なわれる温度範囲を示す図である。図20においては、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件のうち、配管温度が氷点下という条件は成立しているとする。
図20(a)に示されるように、同期除霜運転において除霜運転の開始時刻が早められない場合、外気温度が閾値温度Tset2より大きいときには着霜抑制運転は行なわれず、外気温度が閾値温度Tset2以下であるときに着霜抑制運転が行なわれる。図20(b)に示されるように、同期除霜運転において除霜運転の開始時刻が早められる場合、外気温度が閾値温度Tset3より大きいときには着霜抑制運転が行なわれず、外気温度が閾値温度Tset3以下であるときに着霜抑制運転が行なわれる。除霜運転の開始時刻が早められる場合、外気温度が閾値温度Tset3からTset2までの範囲においては着霜抑制運転が行なわれない。その結果、着霜抑制運転による消費電力の増加を抑制することができる。
図21は、実施の形態3における着霜抑制連携処理の流れを説明するためのフローチャートである。図21に示される処理は、不図示のメインルーチンによって一定時間間隔で呼び出される。図21に示されるように、統合コントローラ33は、S331において全熱交換器40の着霜条件が成立したか否かを判定する。全熱交換器40の着霜条件が成立していない場合(S331においてNO)、処理をS332に進める。統合コントローラ33は、S332において室外熱交換器10bの着霜条件が成立しているか否かを判定する。室外熱交換器10bの着霜条件が成立していない場合(S332においてNO)、統合コントローラ33は、処理をメインルーチンに戻す。室外熱交換器10bの着霜条件が成立している場合(S332においてYES)、統合コントローラ33は、S333において室外熱交換器10bの着霜抑制処理を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。
全熱交換器40の着霜条件が成立している場合(S331においてYES)、処理をS334に進める。統合コントローラ33は、S334において室外熱交換器10bの着霜条件が成立しているか否かを判定する。室外熱交換器10bの着霜条件が成立していない場合(S334においてNO)、統合コントローラ33は、S335において全熱交換器40に対する着霜抑制運転を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。室外熱交換器10bの着霜条件が成立している場合(S334においてYES)、統合コントローラ33は、S336に処理を進める。
統合コントローラ33は、S336において全熱交換器40に対する除霜運転の開始時刻Ts1が室外熱交換器10bに対する除霜運転の開始時刻Ts2よりも早いか否かを判定する。開始時刻Ts1が開始時刻Ts2よりも早い場合(S336においてYES)、統合コントローラ33は、S337において全熱交換器40に対する着霜抑制運転を行なった後、処理をS338に進める。統合コントローラ33は、S338において室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の開始条件が成立しているか否かを判定する。当該開始条件は、室外熱交換器10bの着霜条件よりも成立する場合が限定された条件である。開始条件が成立していない場合(S338においてNO)、統合コントローラ33は、処理をメインルーチンに戻す。開始条件が成立している場合(S338においてYES)、統合コントローラ33は、S339において室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。
開始時刻Ts1が開始時刻Ts2以降である場合(S336においてNO)、統合コントローラ33は、S340において室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転を行なった後、処理をS341に進める。統合コントローラ33は、S341において全熱交換器40に対する着霜抑制運転の開始条件が成立しているか否かを判定する。当該開始条件は、全熱交換器40の着霜条件よりも成立する場合が限定された条件である。開始条件が成立していない場合(S341においてNO)、統合コントローラ33は、処理をメインルーチンに戻す。開始条件が成立している場合(S341においてYES)、統合コントローラ33は、S342において全熱交換器40に対する着霜抑制運転を行なった後、処理をメインルーチンに戻す。
図22は、全熱交換器40に対する着霜抑制運転の処理(図21のS335、S337、およびS342)の流れを説明するためのフローチャートである。図22に示されるように、統合コントローラ33は、S311において外気ヒータ52を稼働し、処理をS312に進める。統合コントローラ33は、S312において一定時間待機した後、処理をS313に進める。統合コントローラは、S313において、全熱交換器に対する除霜運転の開始時刻Ts1が経過したか否かを判定する。開始時刻Ts1が経過していない場合(S313においてNO)、処理をSS312に戻す。開始時刻Ts1が経過していた場合(S313においてYES)、処理をS314に進める。統合コントローラ33は、S314において外気ヒータ52を停止した後、処理を図21のS335、S337、またはS342に戻す。
図23は、室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転の処理(図21のS333、S340、およびS339)の流れを説明するためのフローチャートである。図23に示されるように、統合コントローラ33は、S321において室外ファン10gの回転速度を増加させて、単位時間当たりの送風量を増加させた後、処理をS322に進める。統合コントローラ33は、S322において一定時間待機した後、処理をS323に進める。統合コントローラ33は、S323において室外熱交換器10bの除霜開始時刻が経過したか否かを判定する。室外熱交換器10bの除霜開始時刻が経過していない場合(S323においてNO)、統合コントローラ33は、処理をS322に戻す。室外熱交換器10bの除霜開始時刻が経過している場合(S323においてYES)、統合コントローラ33は、処理をS324に進める。統合コントローラ33は、S324において室外ファン10gを停止させて処理を図21のS333、S340、またはS339に戻す。
以上、実施の形態3に係る換気装置によれば、実施の形態1と同様に、全熱交換器に対する除霜運転と蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜運転とを同期させて、全熱交換器に対する除霜運転および蒸発器として機能していた熱交換器に対する除霜運転の双方が行なわれている時間帯を長くする。その結果、給気量が低減する時間帯を短縮することができ、ユーザの快適性を向上させることができる。
さらに、実施の形態3においては、着霜条件が成立してから除霜運転を行なうまでの間に着霜抑制運転を行なうことにより、着霜条件が成立してから除霜運転までの時間間隔を実施の形態1および2よりも長くすることができる。また、同期除霜運転において開始時刻が早められた除霜運転に対応する着霜抑制運転の開始条件を限定するという着霜抑制連携処理を行なうことにより、着霜抑制運転を行なうことによる消費電力の増加を抑制することができる。
実施の形態4.
実施の形態1〜3においては、全熱交換器が図4に示されるような静止形の全熱交換器である場合について説明した。全熱交換器は、静止形の全熱交換器に限定されない。実施の形態4では、全熱交換器が回転形の全熱交換器である場合について説明する。
図24は、実施の形態4に係る換気装置400の構成を示す機能ブロック図である。図24においては、室外機は図1と同様であるため図示していない。図24に示される換気ユニット24は、図1の換気ユニット20の構成において、全熱交換器40、換気コントローラ20f、および統合コントローラ30が、全熱交換器41、換気コントローラ24f、および統合コントローラ34にそれぞれ置き換えられている。
図24に示されるように、全熱交換器44は、伝熱性かつ吸湿性のロータ部材と、ロータ部材を回転させるための不図示のモータとを含む。ロータ部材には、一定の通風方向に空気を通過させるための複数の孔が形成されている。ロータ部材は、通風路VF1およびVF2を覆っている。ロータ部材は、円盤状であり、その中心が通風路VF1とVF2との境界上に位置するように配置されている。ロータ部材は、その中心を通り通風方向に平行な軸を中心に回転する。モータは、換気コントローラ24fを介して、統合コントローラ34によって回転速度を制御される。
通風孔VH3からの還気RAが全熱交換器44を通過するときに、ロータ部材に全熱が蓄積される。ロータ部材が回転すると、全熱が蓄積されたロータ部材の部分が通風路VF1に入る。当該部分を通風孔VH1からの外気OAが通過するときに、蓄積されていた全熱が外気OAに吸収される。回転形の全熱交換器44も、静止形の全熱交換器と同様に、単に換気を行なうだけではなく、還気RAに含まれる全熱を回収し、当該全熱を外気OAに供給して室内に還元する働きをもつ。
実施の形態4における同期除霜運転、全熱交換器44に対する除霜運転、室外熱交換器10bに対する除霜運転、着霜抑制連携処理、および室外熱交換器10bに対する着霜抑制運転は、それぞれ図7〜9、図21、および図23と同様である。実施の形態4における全熱交換器44に対する着霜抑制運転においては、全熱交換器44の回転速度を低減させる。全熱交換器44が高温の還気RAに継続して接する時間が長くなるため、全熱交換器44への着霜が抑制される。実施の形態4における全熱交換器44に対する着霜抑制運転の開始条件は、実施の形態3と同様に全熱交換器44の着霜条件である。全熱交換器44に対する着霜抑制運転の開始条件は、全熱交換器44の着霜条件と異なる条件であってもよいことは実施の形態3と同様である。
図25は、全熱交換器44に対する除霜抑制処理を説明するためのフローチャートである。統合コントローラ34は、S401において全熱交換器44の回転速度を低減させて処理をS402に進める。統合コントローラ34は、S402において一定時間待機した後、処理をS403に進める。統合コントローラ34は、S403において全熱交換器44の除霜開始時刻を経過したか否かを判定する。全熱交換器44の除霜開始時刻が経過していない場合(S403においてNO)、統合コントローラ34は、処理をS402に戻す。全熱交換器44の除霜開始時刻が経過している場合(S403においてYES)、統合コントローラ34は、処理を図21のS335、S337、またはS342に戻す。
図26は、全熱交換器44に対する着霜抑制運転を行なった場合の消費電力、冷凍サイクルの目標加熱能力、および全熱交換器の回収熱量のタイムチャートを併せて示す図である。図26(a)〜(c)は、それぞれ消費電力、目標加熱能力、および回収熱量のタイムチャートを示す図である。図26(a)〜(c)において、時刻Tm401〜Tm402まで着霜抑制運転が行なわれ、時刻Tm402〜Tm403まで除霜運転が行なわれたとする。図26(c)に示されるように、全熱交換器44に対する着霜抑制運転においては、全熱交換器44の回転速度を低下させるため、全熱交換器44の回収熱量が熱量H0よりも小さくなる。冷凍サイクルの目標加熱能力が増加するため、冷凍サイクルの加熱能力が増加される。その結果、消費電力が電力W0より増加する。実施の形態4においても、実施の形態3と同様に全熱交換器44に対する着霜抑制運転の開始条件を限定することにより、消費電力の増加を抑制する。
以上、実施の形態4に係る換気装置によっても、実施の形態1と同様に、給気量が低減する時間帯を短縮することができ、ユーザの快適性を向上させることができる。さらに、実施の形態4においても、実施の形態3と同様に、着霜条件が成立してから除霜運転までの時間間隔を実施の形態1および2よりも長くすることができるとともに、着霜抑制運転を行なうことによる消費電力の増加を抑制することができる。
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。