以下、本発明に係る建設機械の実施形態について油圧ショベルを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示す油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより車体が構成されている。上部旋回体3の前側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4によって土砂の掘削作業とを行う。
下部走行体2は、上部旋回体3を支持するトラックセンタフレーム2Aと、トラックセンタフレーム2Aの両側に位置する一対のトラックサイドフレーム2B(左トラックサイドフレーム2Bのみ図示)と、各トラックサイドフレーム2Bの長さ方向(前,後方向)の後側に設けられた駆動輪2Cと前側に設けられた遊動輪2Dとの間に巻回して設けられた一対の履帯2E,2Fとを含んで構成されている。
即ち、トラックセンタフレーム2Aの左端側には、前,後方向に延びる左トラックサイドフレーム2Bが接合されている。そして、左トラックサイドフレーム2Bには、前,後方向(長さ方向)に左履帯2Eが巻回して設けられている。一方、トラックセンタフレーム2Aの右端側には、前,後方向に延びる右トラックサイドフレームが接合されている。そして、右トラックサイドフレームには、前,後方向(長さ方向)に右履帯2Fが巻回して設けられている。油圧ショベル1は、各駆動輪2Cを回転駆動することにより、左,右の履帯2E,2Fが各駆動輪2Cと各遊動輪2Dとの間でそれぞれ周回動作して走行する。
上部旋回体3は、下部走行体2のトラックセンタフレーム2A上に旋回装置を介して旋回可能に設けられている。上部旋回体3は、後述の旋回フレーム7と、旋回フレーム7の後端側に設けられ作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト5と、カウンタウエイト5よりも前側に位置して旋回フレーム7上に搭載されたエンジン、熱交換装置等の搭載機器(いずれも図示せず)と、この搭載機器を覆う外装カバー6と、旋回フレーム7の左前側に設けられたキャブ29とを含んで構成されている。
旋回フレーム7は、上部旋回体3のベースとなるもので強固な支持構造体をなしている。この旋回フレーム7は、左,右方向の中間部に位置して前,後方向に延びるセンタフレーム8と、センタフレーム8に設けられた複数の張出しビーム(左張出しビーム9および右張出しビーム10)と、各張出しビーム9,10の先端側にそれぞれ接続された一対のサイドフレーム(左サイドフレーム11および右サイドフレーム12)とを有している。これら張出しビーム9,10は、左縦板8Bから左方向に延びる左張出しビーム9と、右縦板8Cから右方向に延びる右張出しビーム10とにより構成されている。そして、一対のサイドフレーム11,12は、左張出しビーム9の先端側(左端側)に接続された左サイドフレーム11と、右張出しビーム10の先端側(右端側)に接続された右サイドフレーム12とにより構成されている。
そして、旋回フレーム7の左前側は、後述のキャブ29を下側から支持するキャブ支持枠7Aとなっている。このキャブ支持枠7Aは、後述の前側フレーム14、縦板側フレーム13、および左張出しビーム9(後側フレーム)により構成されている。
センタフレーム8は、旋回フレーム7の中心部を形成するものである。このセンタフレーム8は、前,後方向に延びる厚肉な底板8Aと、底板8A上に立設された一対の縦板(左縦板8Bおよび右縦板8C)とにより構成されている。左縦板8Bと右縦板8Cとは、底板8A上に左,右方向で間隔をもって対面した状態で前,後方向に延びている。左,右の縦板8B,8Cの前端側には、作業装置4のフート部が回動可能に連結されている。図3に示すように、左縦板8Bには、キャブ支持枠7A内に連通する連通孔8B1が形成されている。この連通孔8B1には、後述の車体側ケーブル28Bが挿通している。
左張出しビーム9は、センタフレーム8の前,後方向の中央部から左方向に張出したビームである。左張出しビーム9は、例えば鋼板材を折曲加工して左,右方向に延びる板状に形成され、後述の前側フレーム14よりも後側でセンタフレーム8に1個設けられている。左張出しビーム9は、左縦板8Bと左サイドフレーム11との間を連結している。左張出しビーム9は、下端側が底板8Aに接合され、右端側が左縦板8Bに接合されている。そして、左張出しビーム9の先端側(左端側)には、左サイドフレーム11が接合されている。
左張出しビーム9の上面板9Aは、左,右方向に延びる平坦面となっており、左,右方向の両端側には後述のキャブ29の後側を弾性的に支持するマウント部材(図示せず)が取付けられるマウント取付孔9Bがそれぞれ形成されている。即ち、左張出しビーム9は、左サイドフレーム11を支持すると共に、キャブ29の後側を支持するキャブ支持枠7Aの後側フレームも兼ねている。
右張出しビーム10は、センタフレーム8の前,後方向の中央部から右方向に張出したビームである。右張出しビーム10は、例えば鋼板材を折曲加工して左,右方向に延びる板状に形成され、右縦板8Cと右サイドフレーム12との間を連結している。右張出しビーム10は、例えば前,後方向に離間した2箇所に設けられ、それぞれ下端側が底板8Aに接合され、左端側が右縦板8Cに接合されている。そして、右張出しビーム10の先端側(右端側)には、右サイドフレーム12が接合されている。
左サイドフレーム11は、左張出しビーム9の先端側に接続されている。この左サイドフレーム11は、例えば前,後方向に延びる断面D字状の筒体からなるD型フレームとして形成されている。一方、右サイドフレーム12は、右張出しビーム10の先端側に接続されている。この右サイドフレーム12も左サイドフレーム11と同様に、前,後方向に延びる断面D字状の筒体からなるD型フレームとして形成されている。
縦板側フレーム13は、後述のキャブ29側に位置する左縦板8Bの左面側に隣接し、底板8Aよりも前方に延びている。この縦板側フレーム13は、左張出しビーム9と後述の前側フレーム14との間に位置して左縦板8Bに沿って延びている。縦板側フレーム13は、後述のキャブ29の右端側の下方に位置するもので、キャブ支持枠7Aの一部を構成している。そして、縦板側フレーム13は、下板13A、立上り板13B、および上板13Cを含んで構成されている。
下板13Aは、左縦板8Bよりも左側(外側)に位置する底板8Aの前端から後述の前側フレーム14まで延びている。下板13Aは、例えば前,後方向に延びる板状の鋼板材からなり、左縦板8B寄りに位置して底板8Aの前端から前方に向けて突出し、前端側には前側フレーム14の右端側が接続されている。そして、下板13Aと左サイドフレーム11との間には、後述のメンテナンス開口17が形成されている。
立上り板13Bは、底板8Aと下板13Aとから立上がっている。この立上り板13Bは、例えば鋼板材を折曲加工することによりL字状に形成され、左縦板8Bの左面に沿って延びている。そして、立上り板13Bは、底板8Aから立上る底板側立上り部13B1と、下板13Aから立上る下板側立上り部13B2とを含んで構成されている。
底板側立上り部13B1は、底板8Aの前端から後方に向けて延び、後端側が左縦板8Bの連通孔8B1に向けて屈曲している。底板側立上り部13B1は、下端が底板8Aに接合され、上端が上板13Cに接合されている。そして、底板側立上り部13B1の左面には、後述のコネクタ24が取付けられるコネクタブラケット23が設けられている。
一方、下板側立上り部13B2は、底板8Aの前端から下板13Aの途中部位まで延び、前端側に前側フレーム14の右屈曲板14Bが接合されている。そして、下板側立上り部13B2の左面には、後述の車体制御用コントローラ25を取付けるためのコントローラ後ブラケット22が設けられている。
上板13Cは、立上り板13Bの上端に接続され前,後方向に延びている。この上板13Cは、例えば前,後方向に延びる板状の鋼板材からなり、底板8Aと下板13Aとに上,下方向で対面して左張出しビーム9と後述の前側フレーム14との間を接続している。そして、上板13Cの上方には、後述のキャブ29の右端側が位置している。
前側フレーム14は、縦板側フレーム13の前端と左,右のサイドフレーム11,12のうち後述のキャブ29側に位置する左サイドフレーム11の前端との間を左,右方向に連結している。この前側フレーム14は、後述するキャブ29の前側を支持するものである。前側フレーム14は、キャブ支持枠7Aを構成するもので、旋回フレーム7の左前側に配置されている。そして、前側フレーム14は、縦板側フレーム13の上板13Cの前端から左サイドフレーム11まで延びる上面板14Aと、上面板14Aの右後端側から下方に向けて延びる右屈曲板14Bと、上面板14Aの左後端側から下方に向けて延びる左屈曲板14Cと、上面板14Aの前端から下方に向けて延びる前面板14Dと、前面板14Dの下端から後方に向けて延びる下面板14Eと、上面板14Aの右端から下方に向けて延びる右面板14Fとを含んで構成されている。
上面板14Aは、左,右方向に延びる平坦面となっており、左,右方向の両端側には後述のキャブ29の前側を弾性的に支持するマウント部材(図示せず)が取付けられるマウント取付孔14A1がそれぞれ形成されている。右屈曲板14Bは、下端側が縦板側フレーム13の下板13Aに接合されている。また、右屈曲板14Bの後面には、下板側立上り部13B2の前端と上板13Cの前端とが接合されている。そして、右屈曲板14Bの前面には、後述の車体制御用コントローラ25を取付けるためのコントローラ前ブラケット21が設けられている。一方、左屈曲板14Cは、下端側が後述の補強板16に接合されている。
前面板14Dは、上面板14Aの前端から下斜め後方へと傾斜して右面板14Fと左サイドフレーム11の前端との間を左,右方向に延びている。前面板14Dは、右下端側が縦板側フレーム13の下板13Aの前端に接合されている。下面板14Eは、縦板側フレーム13の下板13Aの左端前側から左サイドフレーム11まで延びている。下面板14Eには、左,右方向に離間した2箇所にねじ孔15が設けられている。これらねじ孔15には、後述のアンダカバー19を取付けるためのボルト20が螺合されるものである。
補強板16は、底板8Aの左端前側から左サイドフレーム11の前端側に向けて延びている。この補強板16は、例えば平板状の鋼板材からなり、後述のキャブ29の重量に耐えられるようにキャブ支持枠7Aを補強している。
メンテナンス開口17は、底板8A、縦板側フレーム13の下板13A、前側フレーム14の下面板14E、および補強板16により囲まれて上,下方向に貫通している。このメンテナンス開口17は、後述の車体制御用コントローラ25を着脱したり、メンテナンスしたりするためのものである。アンダカバー取付具18は、底板8Aの前端からメンテナンス開口17に向けて突出している。このアンダカバー取付具18には、後述のアンダカバー19を取付けるためのボルト20が螺合するねじ孔が設けられている。
アンダカバー19は、メンテナンス開口17を下側から覆っている。図3に示すように、アンダカバー19は、例えば薄板状の鋼板材からなり、キャブ支持枠7Aの前下側を閉塞している。これにより、アンダカバー19は、例えば走行中に左履帯2Eにより弾かれた小石等がキャブ支持枠7A内に入り込むのを防止している。アンダカバー19は、ボルト20をそれぞれねじ孔15およびアンダカバー取付具18に螺合することによりメンテナンス開口17に取付けられている。
コントローラ前ブラケット21は、前側フレーム14の右屈曲板14Bの前面に設けられている。即ち、コントローラ前ブラケット21は、右前側に位置するマウント取付孔14A1の後方に配設されている。このコントローラ前ブラケット21は、例えば鋼板材をL字状に折曲加工したもので、基端側が右屈曲板14Bに接合され、先端側に後述の車体制御用コントローラ25の前側が固定されている。コントローラ前ブラケット21には、車体制御用コントローラ25を取付けるためのボルト26が螺合するねじ孔(図示せず)が上,下方向に離間した2箇所に設けられている。
図2に示すように、コントローラ前ブラケット21は、旋回フレーム7と下部走行体2とが前,後方向で平行になっている状態で、メンテナンス開口17(アンダカバー19)に対応する位置、具体的にはメンテナンス開口17の上方に設けられている。なお、コントローラ前ブラケット21は、車体制御用コントローラ25の大きさに対応して、前側フレーム14の右屈曲板14Bの後面、縦板側フレーム13の下板13A、縦板側フレーム13の立上り板13B、および縦板側フレーム13の上板13Cに設けてもよい。
コントローラ後ブラケット22は、後述の車体制御用コントローラ25を取付けるためのもので、キャブ支持枠7Aを構成する縦板側フレーム13の立上り板13Bに設けられている。具体的には、コントローラ後ブラケット22は、コントローラ前ブラケット21よりも後方に位置して、立上り板13Bの下板側立上り部13B2に設けられている。
コントローラ後ブラケット22は、例えば鋼板材をL字状に折曲加工したもので、基端側が下板側立上り部13B2に接合され、先端側に車体制御用コントローラ25の後側が固定されている。コントローラ後ブラケット22には、車体制御用コントローラ25を取付けるためのボルト26が螺合するねじ孔(図示せず)が上,下方向に離間した2箇所に設けられている。
図2に示すように、コントローラ後ブラケット22は、旋回フレーム7と下部走行体2とが前,後方向で平行になっている状態で、メンテナンス開口17(アンダカバー19)に対応する位置、具体的にはメンテナンス開口17の上方に設けられている。なお、コントローラ後ブラケット22は、車体制御用コントローラ25の大きさに対応して、縦板側フレーム13の下板13A、立上り板13Bの底板側立上り部13B1、縦板側フレーム13の上板13C、および底板8Aに設けてもよい。
コネクタブラケット23は、縦板側フレーム13の立上り板13Bに設けられている。具体的には、コネクタブラケット23は、コントローラ後ブラケット22よりも後方に位置して、立上り板13Bの底板側立上り部13B1に設けられている。コネクタブラケット23には、後述のコントローラ側ケーブル28Aと車体側ケーブル28Bとを接続するコネクタ24が取付けられている。このため、コネクタ24は、メンテナンス開口17からコントローラ側ケーブル28Aをコネクタ24に接続することが可能な位置に設けられている。なお、コネクタブラケット23は、縦板側フレーム13の上板13Cおよび底板8Aに設けてもよい。
車体制御用コントローラ25は、キャブ支持枠7A内に位置してコントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22とにボルト26を用いて取付けられている。この車体制御用コントローラ25は、マイクロコンピュータ等からなる制御装置で、下部走行体2の走行状態、上部旋回体3の旋回状態、および作業装置4の動作状態等を含む車体の動作を制御している。
図4に示すように、車体制御用コントローラ25には、例えば後述のキャブ29内に設けられた走行レバー・ペダル装置30、作業レバー装置31、エンジン回転装置32から出力された操作信号が入力され、その操作信号に基づきエンジンコントローラ27および他のコントローラ(図示せず)に動作信号を出力している。また、車体制御用コントローラ25は、エンジンコントローラ27および他のコントローラからの信号を受信してエンジンコントローラ27および他のコントローラを監視している。
車体制御用コントローラ25は、旋回フレーム7と下部走行体2とが前,後方向で平行となっている状態(図2の状態)で、キャブ支持枠7Aの下方に位置する左履帯2Eから外れた位置に配設されている。即ち、車体制御用コントローラ25は、旋回フレーム7と下部走行体2とが前,後方向で平行となっている状態で、左,右の履帯2E,2Fのうちキャブ支持枠7Aの下方に位置する一方の履帯(左履帯2E)よりも他方の履帯(右履帯2F)寄りに配設されている。換言すると、車体制御用コントローラ25は、旋回フレーム7の左サイドフレーム11と下部走行体2の左履帯2Eとが前,後方向で平行となっている状態で、図2に点線で示す左履帯2Eが投影されていない非投影領域Sに配設されている。
さらに、車体制御用コントローラ25は、底板8Aの前端と前側フレーム14との間に配設されている。そして、車体制御用コントローラ25の下方には、メンテナンス開口17が形成されている。即ち、車体制御用コントローラ25は、前側フレーム14の右端側に位置するマウント取付孔14A1の後方でキャブ支持枠7Aの下側を覆うアンダカバー19に対応する位置に配設されている。
これにより、アンダカバー19を取外してメンテナンス開口17から車体制御用コントローラ25をコントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22とに取付け、取外しおよびメンテナンス作業を行うことができる。この場合、車体制御用コントローラ25は、キャブ支持枠7Aのうち、上,下方向で左履帯2Eに重ならない位置である非投影領域Sに配設されるので、左履帯2Eが邪魔になることなく車体制御用コントローラ25の着脱およびメンテナンス作業を行うことができる。
また、車体制御用コントローラ25は、コントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22とに取付けられた状態で、キャブ29の下側に配設されている。従って、車体制御用コントローラ25は、キャブ支持枠7A、アンダカバー19、およびキャブ29により覆われているので、車体制御用コントローラ25を雨水等から防水するための防水カバーで覆うことなくキャブ支持枠7Aに取付けることができる。
また、車体制御用コントローラ25の周囲には、他の装置が配設されていないので、車体制御用コントローラ25を他の装置が発する熱を遮熱する遮熱カバーで覆うことなくキャブ支持枠7Aに取付けることができる。加えて、車体制御用コントローラ25の周囲には、電気配線等も錯綜していないので、キャブ支持枠7Aの下側からでも車体制御用コントローラ25の着脱およびメンテナンス作業を効率よく行うことができる。
ケーブル28は、車体制御用コントローラ25と、後述の走行レバー・ペダル装置30、作業レバー装置31、エンジン回転装置32、およびエンジンコントローラ27等とを接続している。このケーブル28は、車体制御用コントローラ25に接続されたコントローラ側ケーブル28Aと、コントローラ側ケーブル28Aにコネクタ24を介して接続された車体側ケーブル28Bとにより構成されている。車体側ケーブル28Bは、左縦板8Bの連通孔8B1を挿通してエンジンコントローラ27等に接続されている。
コントローラ側ケーブル28Aは、車体制御用コントローラ25をコントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22に取付けた後に、メンテナンス開口17からコネクタ24に接続させることができる。この場合、コネクタ24は、例えばメンテナンス開口17から手の届く範囲に設けられており、かつコネクタ24の周囲には他の電気配線等が錯綜していない。従って、コントローラ側ケーブル28Aをコネクタ24に接続する作業を効率よく行うことができる。
キャブ29は、旋回フレーム7の左前側に位置するキャブ支持枠7Aに設けられ、内部に運転席(図示せず)を画成している。キャブ29は、左張出しビーム9のマウント取付孔9Bおよび前側フレーム14のマウント取付孔14A1にそれぞれ取付けられたマウント部材(図示せず)を介して弾性的に支持されている。キャブ29内には、運転席の周囲に走行レバー・ペダル装置30、作業レバー装置31、およびエンジン回転装置32等が設けられている。
走行レバー・ペダル装置30は、下部走行体2の駆動輪2Cを駆動するときに操作されるものである。作業レバー装置31は、上部旋回体3を旋回動作させるときおよび作業装置4を動作させるときに操作されるものである。エンジン回転装置32は、図示しないエンジンを始動するときに操作されるキースイッチおよびエンジンの回転数を変えるときに操作されるエンジン制御ダイヤル等からなっている。走行レバー・ペダル装置30、作業レバー装置31、およびエンジン回転装置32の操作量に基づく操作信号は、ケーブル28を介して車体制御用コントローラ25に出力される。
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下その動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ29に乗込んで運転席に着席し、走行レバー・ペダル装置30を操作することにより、油圧ショベル1を作業現場まで走行させる。油圧ショベル1を作業現場まで走行させた後、オペレータが作業レバー装置31を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の掘削作業を行うことができる。この場合、油圧ショベル1は、車体に搭載された車体制御用コントローラ25によりその動作が制御されている。
ところで、上述した従来技術では、キャブの後面側を凹状に窪ませてスペースを確保し、そのスペースにコントローラ、電気配線、およびその他の電装部品を配設している。従って、コントローラは、周囲に電気配線等が錯綜した狭隘なスペースに配設されているので、コントローラの着脱およびメンテナンス作業を行うときに電気配線等が邪魔になり作業性が低下する虞がある。
そこで、本実施形態では、車体制御用コントローラ25はキャブ29を支持するキャブ支持枠7A内に配設されている。次に、キャブ支持枠7A内に配設された車体制御用コントローラ25の交換作業等のメンテナンス作業について説明する。
まず、図2に示すように、旋回フレーム7と下部走行体2の左,右の履帯2E,2Fとが前,後方向で平行となるように上部旋回体3を旋回させる。この状態で、キャブ支持枠7Aの下側からボルト20を緩めてアンダカバー19を取外す。これにより、メンテナンス開口17を介して外部とキャブ支持枠7A内とを連通させることができる。次に、コントローラ側ケーブル28Aをコネクタ24から取外す。そして、車体制御用コントローラ25をコントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22とに締結しているボルト26を緩めて、車体制御用コントローラ25をコントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22とから取外す。
これにより、車体制御用コントローラ25をメンテナンス開口17から外部に取出すことができる。次に、新しい車体制御用コントローラ25をメンテナンス開口17からキャブ支持枠7A内に入れて、ボルト26を用いて車体制御用コントローラ25をコントローラ前ブラケット21とコントローラ後ブラケット22とに取付ける。その後、コントローラ側ケーブル28Aをコネクタ24に接続させる。そして、ボルト20を用いてアンダカバー19をキャブ支持枠7Aの下側に取付けることで、車体制御用コントローラ25の交換作業等のメンテナンス作業を行うことができる。
この場合、コントローラ前ブラケット21、コントローラ後ブラケット22、およびコネクタ24の周囲には、他の装置および電気配線が配設されていない。従って、キャブ支持枠7Aの下側からでも簡単に車体制御用コントローラ25のメンテナンス作業を行うことができる。
また、車体制御用コントローラ25は、キャブ支持枠7A、アンダカバー19、およびキャブ29により覆われている。従って、車体制御用コントローラ25は、雨水等に接触することが抑制されるので、寿命を向上させることができる。また、車体制御用コントローラ25を雨水等から防水するための防水カバーおよび他の装置が発する熱を遮熱する遮熱カバー等の特別なカバーを車体制御用コントローラ25に設ける必要がないので、コストを削減することができる。
さらに、油圧ショベル1の作業が終了した場合には、左履帯2Eの上方に車体制御用コントローラ25が位置するように上部旋回体3を旋回させて待機状態とすることで、他者による車体制御用コントローラ25への不正行為を抑制することができる。即ち、左履帯2Eの上方にアンダカバー19が位置することになるので、アンダカバー19の取外しが困難になる。また、仮にアンダカバー19を取外せたとしても、メンテナンス開口17の下方には、僅かな隙間をもって左履帯2Eが位置しているので、左履帯2Eが邪魔になりメンテナンス開口17から車体制御用コントローラ25に接触するのを抑制することができる。なお、右履帯2Fの上方に車体制御用コントローラ25が位置するように上部旋回体3を旋回させて待機状態としても同様である。
かくして、本実施形態による建設機械は、自走可能な下部走行体2と、前記下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより車体が構成され、前記下部走行体2は、前記上部旋回体3を支持するトラックセンタフレーム2Aと、前記トラックセンタフレーム2Aの両側に位置する一対のトラックサイドフレーム2Bと、前記各トラックサイドフレーム2Bの長さ方向の一側に設けられた駆動輪2Cと他側に設けられた遊動輪2Dとの間に巻回して設けられた一対の履帯2E,2Fとを有し、前記上部旋回体3は、支持構造体をなす旋回フレーム7と、前記旋回フレーム7上に設けられ内部に運転席を画成するキャブ29とを有し、前記旋回フレーム7には、前記キャブ29を下側から支持するキャブ支持枠7Aが備えられている。
そして、前記キャブ支持枠のうち、前記旋回フレーム7と前記下部走行体2とが平行になっている状態で、前記キャブ支持枠7Aの下方に位置する履帯(例えば、左履帯2E)から外れた位置に前記車体を制御するコントローラ(車体制御用コントローラ25)が配設されている。
また、前記キャブ支持枠7Aには、前記コントローラを取付けるためのブラケット(コントローラ前ブラケット21、コントローラ後ブラケット22)が設けられている。また、前記コントローラは、前記キャブ支持枠7Aの下側を覆うアンダカバー19に対応する位置に配設されている。
また、前記旋回フレーム7は、底板8Aと、前記底板8A上に立設された一対の縦板8B,8Cと、前記各縦板8B,8Cから延びる複数の張出しビーム9,10と、前記各張出しビーム9,10の先端側にそれぞれ接続された一対のサイドフレーム11,12とを有し、前記キャブ支持枠7Aは、前記各縦板8B,8Cのうち前記キャブ29側に位置する縦板(例えば、左縦板8B)に隣接し前記底板8Aよりも前方に延びる縦板側フレーム13と、前記縦板側フレーム13の前端と前記各サイドフレーム11,12のうち前記キャブ29側に位置するサイドフレーム(例えば、左サイドフレーム11)の前端との間を連結し前記キャブ29の前側を支持する前側フレーム14とを含んで構成され、前記縦板側フレーム13は、前記底板8Aから前記前側フレーム14まで延びる下板13Aと、前記底板8Aと前記下板13Aとから立上る立上り板13Bと、前記立上り板13Bの上端に接続された上板13Cとからなり、前記縦板側フレーム13の前記立上り板13Bには、前記コントローラを取付けるためのブラケット(コントローラ後ブラケット22)が設けられている。
また、前記コントローラは、前記底板8Aの前端と前記前側フレーム14との間に配設され、前記コントローラの下方には、前記コントローラをメンテナンスするためのメンテナンス開口17が形成されている。また、前記キャブ支持枠7Aは、前記前側フレーム14と前記縦板側フレーム13とに加えて、前記キャブ29側に位置する縦板(例えば、左縦板8B)と前記キャブ29側に位置するサイドフレーム(例えば、左サイドフレーム11)との間を連結し前記キャブ29の後側を支持する後側フレームとにより構成され、前記後側フレームは、前記縦板(左縦板8B)と前記サイドフレーム(左サイドフレーム11)との間を連結する前記張出しビーム(例えば、左張出しビーム9)を兼ねている。
なお、上述した実施形態では、車体制御用コントローラ25は、非投影領域S内に位置してキャブ支持枠7Aの右前側に配設した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車体制御用コントローラ25は、非投影領域S内で前側フレーム14の前面板14Dに取付けたり、底板8Aに取付けたりしてもよい。また、キャブ29の底板側に取付けてもよい。これらの場合、車体制御用コントローラ25に対応する位置には、メンテナンス開口が形成されることが好ましい。
また、上述した実施形態では、キャブ支持枠7A内に配設されるコントローラとして車体全体の制御を行う車体制御用コントローラ25を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばキャブ支持枠7A内に配設されるコントローラは、エンジンコントローラ27等の他のコントローラでもよい。
さらに、上述した実施形態では、左,右の履帯2E,2Fを備えたクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばクローラ式のクレーン等の建設機械に広く適用することができる。