JP2019147936A - 樹脂組成物、硬化物及び電池パック - Google Patents
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Abstract
Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
オキシアルキレン基を有するアクリルモノマー、
多官能モノマー、
光重合開始剤、及び
繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む樹脂組成物であって、
樹脂組成物の20℃における粘度が100mPa・s以上である樹脂組成物。
[2] 繊維状セルロースは、イオン性置換基を有する[1]に記載の樹脂組成物。
[3] イオン性置換基はアニオン基であり、アニオン基の対イオンが有機オニウムイオンである[2]に記載の樹脂組成物。
[4] イオン性置換基は、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基である[2]又は[3]に記載の樹脂組成物。
[5] 有機オニウムイオンは、有機アンモニウムイオンである[3]に記載の樹脂組成物。
[6] 繊維状セルロースの含有量は、樹脂組成物の全質量に対して0.1〜30質量%である[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 多官能モノマーの重量平均分子量が200以上3000未満である[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物。
[9] シート状である[8]に記載の硬化物。
[10] 吸液用である[8]又は[9]に記載の硬化物。
[11] 非水液吸液用である[8]〜[10]のいずれかに記載の硬化物。
[12] [1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物、電池セル、及び配線回路基板を含む電池パック。
本発明は、窒素原子を含むアクリルモノマー及び芳香族環を含むアクリルモノマーから選択される少なくとも1種、オキシアルキレン基を有するアクリルモノマー、多官能モノマー、光重合開始剤、及び、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む樹脂組成物に関する。ここで、本発明の樹脂組成物の20℃における粘度は100mPa・s以上である。
吸液倍率=(吸液後のシート質量−吸液前のシート質量)/(吸液前のシート質量)
なお、シートの体積膨張率は、電解液(1M LiPF6/エチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=50:50vol%(キシダ化学製))に室温下、約24時間浸漬する前後のシートの体積から、以下の式で算出した値である。
体積膨張率(%)=浸漬後のシート体積/浸漬前のシート体積×100
本発明の樹脂組成物は、窒素原子を含むアクリルモノマー及び芳香族環を含むアクリルモノマーから選択される少なくとも1種、及びオキシアルキレン基を有するアクリルモノマーを含む。
窒素原子を含むアクリルモノマーは、1分子内に窒素原子を含有するアクリルモノマーである。窒素原子を含むアクリルモノマーとしては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも、窒素原子を含むアクリルモノマーは、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド及びアクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、アクリロイルモルホリンであることが特に好ましい。
芳香族環を含むアクリルモノマーは、1分子内に芳香族環を含有するアクリルモノマーである。芳香族環を含むアクリルモノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、ジシクロペンタニルアクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも芳香族環を含むアクリルモノマーとして、ベンジル(メタ)アクリレートは好ましく用いられる。
オキシアルキレン基を有するアクリルモノマーは、1分子内にオキシアルキレン基を含有するアクリルモノマーである。1つのオキシアルキレン基を構成する炭素数は、1以上10以下であることが好ましく、1以上5以下であることがより好ましく、2以上4以下であることがさらに好ましい。オキシアルキレン基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、上述したアクリルモノマーに加えて、さらに他のアクリルモノマーを含んでいてもよい。他のアクリルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレート、アクリル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート等の酸基含有アクリレートが挙げられる。なお、他のアクリルモノマーの含有量は樹脂組成物中に含まれるアクリルモノマーの全質量に対して50質量%以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、さらに多官能モノマーを含有することが好ましい。ここで、多官能モノマーとは、分子内に反応性二重結合を2つ以上有する単量体である。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF806L、(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
較正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2500000迄の10サンプルによる較正曲線を使用する。
本発明の樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。このため、本発明の樹脂組成物は光硬化性樹脂組成物であるとも言える。光重合開始剤は、例えば、紫外線により上述したモノマー成分と反応する重合開始剤であることが好ましい。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系開始剤として具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等が挙げられる。
チオキサントン系開始剤として具体的には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン等が挙げられる。
アミン系開始剤として具体的には、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる。
なお、光重合開始剤としては1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む。本明細書においては、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースとも言う。なお、繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
リン酸基又はリン酸基に由来する置換基は、たとえば下記式(1)で表される置換基である。
(a)炭素数が3以上の炭化水素基を含む。
(b)総炭素数が10以上である。
中でも、Mは、窒素原子であることが好ましい。すなわち、有機オニウムイオンは有機アンモニウムイオンであることが好ましい。
ここで、単位mmol/gにおける分母は、リン酸基の対イオンが水素イオン(H+)であるときの繊維状セルロースの質量を示す。
以下では、アニオン基を有する微細繊維状セルロースであって、対イオンとして有機オニウムイオンを有する微細繊維状セルロースのうち、特に、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基を有する微細繊維状セルロースであって、対イオンとして有機オニウムイオンを有する微細繊維状セルロースの製造方法の一例を説明する。以下では、リン酸基導入工程でリン酸化セルロース繊維を得た後に、アルカリ処理工程、解繊処理工程、濃縮工程及び有機オニウム添加工程を順に設けた製造工程の例を示している。
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リン酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リン酸基導入繊維が得られることとなる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてリン酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶剤によりリン酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。例えば、リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
上述した工程を得て得られたリン酸基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
濃縮工程は、微細繊維状セルロースを含む分散液に、多価金属の塩を含む凝集剤を添加して微細繊維状セルロースの濃縮物を得る工程である。
回収工程は、上記濃縮物を、例えばろ過、洗浄及び乾燥して回収する工程である。回収方法に特に制限はなく、公知の方法により行えばよい。例えば、ろ過はろ紙、不織布、メンブランフィルター等のフィルターを用いてもよく、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心分離等によりろ過してもよい。また、洗浄は、水や有機溶剤等の洗浄液を用いて行われ、洗浄液を常温又は30〜70℃程度に加熱して行ってもよい。乾燥は、減圧乾燥、加熱乾燥等により行えばよい。上記洗浄及び乾燥は行っても行わなくてもよく、またそれぞれ繰り返し行ってもよく、順番についても制限はない。
有機オニウム添加工程では、有機オニウムイオンまたは、中和により有機オニウムイオンを形成する化合物が添加される。この際、有機オニウムイオンは、有機オニウムイオンを含有した溶液として添加することが好ましく、有機オニウムイオンを含有した水溶液として添加することがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述したモノマー成分や、微細繊維状セルロース、有機オニウムイオン以外の任意成分を含んでいてもよく、任意成分としては、例えば、難燃化剤、界面活性剤、有機イオン、カップリング剤、無機層状化合物、無機化合物、レベリング剤、防腐剤、消泡剤、有機系粒子、潤滑剤、帯電防止剤、紫外線防御剤、染料、顔料、安定剤、磁性粉、配向促進剤、可塑剤、分散剤、及び架橋剤等を挙げることができる。
樹脂組成物の製造方法は、窒素原子を含むアクリルモノマー及び芳香族環を含むアクリルモノマーから選択される少なくとも1種と、オキシアルキレン基を有するアクリルモノマーと、多官能モノマーと、光重合開始剤と、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロース(微細繊維状セルロース)と、を混合する工程を含む。ここで、微細繊維状セルロースは、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基を有し、リン酸基又はリン酸基由来の置換基の対イオンが有機オニウムイオンを有するものであることが好ましい。この場合、樹脂組成物の製造工程において、さらに、有機オニウムを混合してもよい。
本発明は、上述した樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物に関するものでもある。硬化物の形状は特に限定されるものではないが、シート状であることが好ましい。すなわち、本発明は、窒素原子を含むアクリルモノマーに由来する単位及び芳香族環を含むアクリルモノマーに由来する単位から選択される少なくとも1種、オキシアルキレン基を有するアクリルモノマーに由来する単位、多官能モノマーに由来する単位、及び繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含むシートに関するものであることが好ましい。なお、シート中には、樹脂組成物中に含まれる光重合開始剤が残留していてもよい。
吸液倍率=(吸液後の硬化物の質量−吸液前の硬化物の質量)/(吸液前の硬化物の質量)
なお、シートの体積膨張率は、電解液(1M LiPF6/エチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=50:50vol%(キシダ化学製))に室温下、約24時間浸漬する前後のシートの体積から、以下の式で算出した値である。
体積膨張率(%)=浸漬後のシート体積/浸漬前のシート体積×100
本発明の樹脂組成物からシート状の硬化物を形成する際には、樹脂組成物をセパレートフィルム上に塗布する工程と、活性エネルギー線を照射する工程とを設けることが好ましい。樹脂組成物をセパレートフィルム上に塗布する工程では、1枚のセパレートフィルム上に樹脂組成物を塗工してもよい。この場合、樹脂組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。また、樹脂組成物をセパレートフィルム上に塗布する工程では、2枚のセパレートフィルムの間にスペーサーを設置し、このスペーサー枠内に樹脂組成物を流し入れてもよい。
本発明は、上述した樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物、電池セル、及び配線回路基板を含む電池パックに関するものでもある。樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物はシート状であることが好ましく、このようなシート状硬化物は、電池ケース内において、例えば、電池セル(非水電解液電池セル)と、配線回路基板との間に配置される。なお、本発明で得られるシート状硬化物はそれ自体が粘着性を有するため、シート状硬化物を電池セルと配線回路基板との間に配置する際に、室温下で簡便に貼着することができる。
<微細繊維状セルロースの作製>
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。この原料パルプに対してリン酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で200秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
次いで、微細繊維状セルロース分散液をろ過した後、ろ紙で圧搾し、微細繊維状セルロース濃縮物を得た。得られた微細繊維状セルロース濃縮物を、イオン交換水で微細繊維状セルロースの含有量が2.0質量%となるよう再懸濁した。その後、再びろ過と圧搾を行う操作を繰り返すことで洗浄し、微細繊維状セルロース濃縮物Aを得た。
洗浄終点は、ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった点とした。得られた微細繊維状セルロース濃縮物Aの固形分濃度は17質量%であった。
表1に記載したアクリルモノマー、多官能モノマー及び光重合開始剤と、上記のようにして得られた微細繊維状セルロース濃縮物Aを表1に記載した固形分濃度となるように配合し、さらに55質量%のテトラブチルアンモニウム水溶液を混合し、樹脂組成物を得た。樹脂組成物を混合する際には、容器中にガラスビーズ(東新理興社製、No.6)を入れペイントシェーカー(東洋精機社製)にて室温下で2時間混合した。
セパレートフィルム(帝人フィルムソリューション社製、A71#100及びA38ST#50)の間に設置した厚み100μmのスペーサー枠内に樹脂組成物を入れ、積算光量が1850mJ/cm2となるように紫外線を照射し、シート(硬化物)を得た。
表1に記載したアクリルモノマー、多官能モノマー及び光重合開始剤を配合した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物及びシート(硬化物)を得た。
<電解液滴下試験>
実施例及び比較例で得られたシート(硬化物)を3cm角に切り出し、セパレーターを剥離したあと3cm角のシートの中央部に電解液(キシダ化学製、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート LiPF6 1mol/L)を25mg滴下し、2時間後の吸液状態を以下の基準で評価した。
○:シートが電解液を吸収し、シートの表面に流動するものがない。
×:電解液がシート表面上に残っており、シートを触ると電解液が移動する。若しくはシートに穴が開いている。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の粘度(mPa・s/20℃)を測定した。測定はAnton Paar社製のレオメーター(MCR−301)を用いて行い20℃、回転数20rpmの条件で行った。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物の成形性及び性状について、以下の基準で評価した。
○:シート状に成形及び剥離可能であり、かつシートがゴム状でありシート切断時に端面に割れが発生しない。
△:シート状に成形可能であるが、シート切断時に端面に割れが発生する部分がある。
×:シート状に成形できない、もしくは剥離の際、変形が起こり元に戻らない。
実施例及び比較例で得られたシート(硬化物)を2.5cm角に切り出し、質量を測定した(吸液前の質量)。その後、切り出したシートを電解液中に2時間浸漬し、その後、シートを電解液から取り出した。次いで、シート表面の電解液をふき取ってから吸液後のシート質量を測定した。以下の式を用いて吸液倍率を算出した。
吸液倍率=(吸液後のシート質量−吸液前のシート質量)/(吸液前のシート質量)
上述した吸液倍率を測定する際のサンプル(吸液後のシート)の外観評価を行った。
○:吸液後も試験前の外観、形状を保っている。
×:吸液後は、液中で小片に分かれている、若しくは取り出し時に裂けたりして試験前の形状を保っていない。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物からシート(硬化物)を加工する際の作業性について、以下の基準で評価した。
○:スペーサーがなくても所望の厚みを有するシートを容易に形成することができる。
×:樹脂組成物が流出するなどして、スペーサーなしでは所望の厚みを有するシートを形成することができない。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物からシート(硬化物)を2x7mmにカットし、浸漬用サンプルとした。その後、電解液浸漬前のシートについてマイクロスコープにより平面、断面の測長を行った。
次いで、電解液(1M LiPF6/エチレンカーボネート:ジエチレンカーボネート=50:50vol%(キシダ化学製))に室温下、約24時間浸漬した。電解液からサンプルを取り出し、ジエチレンカーボネートにて洗浄した後、ふき取り乾燥した。その後、電解液浸漬後のシートについてマイクロスコープにより平面、断面の測長を行った。そして、以下の式にて体積膨張率を算出した。
体積膨張率(%)=浸漬後のシート体積/浸漬前のシート体積×100
なお、シートの成形性の評価ができなかったサンプルや、シートの取り出し時に液中で小片に砕けていたもの、もしくは取り出し時に砕けたものは評価ができなかったため表中では「―」の表記とした。
ACMO:アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ社製)
P−200A:フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(共栄社化学社製)
130A:メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(共栄社化学社製)
14EG−A:PEG600#ジアクリレート(共栄社化学社製、分子量742)
A−HD−N:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業社製、分子量226)
Irg.1173:イルガキュア1173(BASF社製)
Claims (12)
- 窒素原子を含むアクリルモノマー及び芳香族環を含むアクリルモノマーから選択される少なくとも1種、
オキシアルキレン基を有するアクリルモノマー、
多官能モノマー、
光重合開始剤、及び
繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物の20℃における粘度が100mPa・s以上である樹脂組成物。 - 前記繊維状セルロースは、イオン性置換基を有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記イオン性置換基はアニオン基であり、前記アニオン基の対イオンが有機オニウムイオンである請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記イオン性置換基は、リン酸基またはリン酸基に由来する置換基である請求項2又は3に記載の樹脂組成物。
- 前記有機オニウムイオンは、有機アンモニウムイオンである請求項3に記載の樹脂組成物。
- 前記繊維状セルロースの含有量は、前記樹脂組成物の全質量に対して0.1〜30質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記多官能モノマーの分子量が200以上3000未満である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物。
- シート状である請求項8に記載の硬化物。
- 吸液用である請求項8又は9に記載の硬化物。
- 非水液吸液用である請求項8〜10のいずれか1項に記載の硬化物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物を光硬化させてなる硬化物、
電池セル、及び配線回路基板を含む電池パック。
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