JP2019147755A - 眼科組成物 - Google Patents

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【課題】ヒアルロン酸又はその塩を含有する包装された眼科組成物であって、紫外光照射による粘度低下が十分に抑制された、包装体入り眼科組成物を提供する。【解決手段】ヒアルロン酸及び/又はその塩と、シアノコバラミンとを含有する眼科組成物が、紫外光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容されてなる包装体入り眼科組成物。この包装体は、特に紫外線B波を遮光するものとすることができる。眼科組成物は、さらに、充血除去剤、及び/又は眼筋調節剤を含有することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、眼科組成物、及び眼科組成物の粘度低下抑制方法に関する。
ヒアルロン酸又はその塩は、眼科組成物、中でも点眼剤の成分として多用されている。ヒアルロン酸又はその塩は、眼の上皮細胞のフィブロネクチンと結合して上皮細胞の接着や成長を促進し、角膜創傷の治癒を促進する。また、分子内に多数の水分子保持機能があり、涙を保持し安定化させて目の乾燥を防ぐ。このような作用に基づき、ヒアルロン酸又はその塩を含む眼科組成物は、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、ドライアイなどの内因性の角結膜上皮障害、術後、薬剤性、外傷、コンタクトレンズ装用などによる外因性の角結膜上皮障害の治療に用いられている。
ヒアルロン酸又はその塩は粘度が高いため、ヒアルロン酸又はその塩を含む眼科組成物は角結膜上皮との接触時間が長くなり、その薬理作用を十分に発揮することができる。従って、治療効果を維持するためには、眼科組成物の製造、流通、保管などの間に、ヒアルロン酸又はその塩の粘度が低下せず、安定に保たれることが求められる。
しかし、ヒアルロン酸又はその塩は、水溶液中で、光、特に紫外(UV)光によって分解して分子量が低下し易く、それにより粘度が低下し易い。
ここで、ヒアルロン酸又はその塩を含む角結膜上皮障害の治療用の点眼剤は多数市販されている。例えば、ヒアレインミニ点眼液(参天製薬株式会社)は、有効成分のヒアルロン酸ナトリウムの他に、添加物として、イプシロン−アミノカプロン酸、エデト酸ナトリウム水和物、塩化カリウム、塩化ナトリウム、及びpH調節剤を含有する点眼剤である。この点眼剤は、1回使い切りのユニットドーズ型のポリエチレン製容器に収容されており、多数のユニットドーズ型容器が、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレートとアルミニウムからなるシートで形成された外袋で包装されている(非特許文献1)。
ヒアレインミニ点眼液は、アルミニウムフィルムを含む外袋で包装されているため、流通、保管時には遮光されている。しかし、ヒアレインミニ点眼液は、1回使い切り容器に収容されているため、使用時には、複数の容器を外袋から取り出して、遮光されない状態に長く置かれることが多い。
また、ヒアルロン酸又はその塩を含有する眼科組成物の組成を工夫することで、ヒアルロン酸又はその塩の粘性を安定化させる試みも種々なされている。例えば、特許文献1は、ヒアルロン酸又はその塩を含む眼科組成物に、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸又はその塩、及び亜硫酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種を配合することにより、眼科組成物の粘度低下を抑制できることを開示している。
しかし、従来の手段では、ヒアルロン酸又はその塩を含有する眼科組成物の継時的な粘度低下を十分に抑制することができない。
特開2004−123634号
医薬品インタビュフォーム ヒアレイン点眼液・ヒアレインミニ点眼液
本発明は、ヒアルロン酸又はその塩を含有する包装された眼科組成物であって、UV光照射による粘度低下が十分に抑制された、包装体入り眼科組成物を提供することを主な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、ヒアルロン酸及び/又はその塩を含有する眼科組成物に、シアノコバラミンを含有させ、かつ、UV光を完全又は不完全に遮光する包装体で包装することにより、相乗的に、ヒアルロン酸及び/又はその塩の分解が抑制されて、眼科組成物の粘度低下が効果的に抑制されることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の包装体入り眼科組成物、及び眼科組成物の粘度低下抑制方法を提供する。
〔1〕 ヒアルロン酸及び/又はその塩と、シアノコバラミンとを含有する眼科組成物が、紫外光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容されてなる包装体入り眼科組成物。
〔2〕 眼科組成物中のヒアルロン酸及び/又はその塩の濃度が、組成物の全量に対して、0.001〜10w/v%である、〔1〕に記載の包装体入り眼科組成物。
〔3〕 眼科組成物中のシアノコバラミンの濃度が、組成物の全量に対して、0.0001〜0.5w/v%である、〔1〕又は〔2〕に記載の包装体入り眼科組成物。
〔4〕 眼科組成物が、さらに、充血除去剤を含有する、〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の包装体入り眼科組成物。
〔5〕 眼科組成物が、さらに、眼筋調節剤を含有する、〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の包装体入り眼科組成物。
〔6〕 紫外光が紫外線B波である、〔1〕〜〔5〕の何れかに記載の包装体入り眼科組成物。
〔7〕 ヒアルロン酸及び/又はその塩を含む眼科組成物に、シアノコバラミンを含有させ、かつこの眼科組成物を紫外光を完全又は不完全に遮光する容器に収容する、眼科組成物の粘度低下抑制方法。
本発明の包装体入り眼科組成物は、ヒアルロン酸又はその塩とシアノコバラミンとを含有する眼科組成物が、UV光を遮光する容器に収容されていることにより、シアノコバラミン配合とUV遮光とが相乗的に作用して、UV光照射によるヒアルロン酸又はその塩の分解が効果的に抑制されて、眼科組成物の粘度低下が効果的に抑制される。
また、本発明の包装体入り眼科組成物は、シアノコバラミンを含有するため、遮光包装体から取り出した後も、UV光照射による粘度の低下が抑制される。
シアノコバラミンの配合とUV光遮光が、ヒアルロン酸又はその塩を含有する眼科組成物のUV光照射による粘度低下を相乗的に抑制したことを示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)包装体入り眼科組成物
本発明の包装体入り眼科組成物は、ヒアルロン酸及び/又はその塩と、シアノコバラミンとを含有する眼科組成物が、UV光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容されてなるものである。
ヒアルロン酸・その塩
ヒアルロン酸は、グルクロン酸(GlcUA)とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合したGlcUA−GlcNAcの繰り返し単位を有するポリマーである。
ヒアルロン酸は、鶏冠から抽出する方法や、ストレプトコッカス属細菌などを用いた発酵法などにより製造することができる。また、市販品を購入することもできる。市販品としては、「バイオヒアルロン酸ナトリウム」(株式会社資生堂製、平均分子量110万〜160万)、「ヒアルロンサンHA−QA」(キューピー株式会社製、平均分子量60万〜120万)、「ヒアルロンサンHA−AM」(キューピー株式会社製、平均分子量60万〜120万)等を利用できる。
また、ヒアルロン酸の塩は、薬学的又は生理学的に許容される塩であればよく、例えば、有機塩基との塩(メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩のような有機アミン塩等)、無機塩基との塩(アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、アルミニウム塩のような金属塩等)が挙げられる。これらの塩の中でも、無機塩基との塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がさらにより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
本発明における眼科組成物がヒアルロン酸塩を含む場合、ヒアルロン酸塩を配合したものであってもよく、或いは、ヒアルロン酸と有機又は無機塩基とを別々に配合した結果、組成物中でヒアルロン酸塩となっているものであってもよい。
ヒアルロン酸又はその塩の平均分子量としては、1000〜500万、好ましくは5000〜450万、より好ましくは1万〜400万、さらに好ましくは10万〜350万、さらにより好ましくは20万〜300万、さらにより好ましくは30万〜250万、さらにより好ましくは40万〜200万、さらにより好ましくは50万〜160万が挙げられる。
眼科組成物に配合する前のヒアルロン酸又はその塩の平均分子量は、第17改正日本薬局方の「精製ヒアルロン酸ナトリウム」の項目に記載の方法で測定した値である。また、眼科組成物中のヒアルロン酸又はその塩の平均分子量は、第17改正日本薬局方の「精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液」の項目に記載の方法で測定した値である。
ヒアルロン酸及び/又はその塩は、1種、又は2種以上を組み合わせて使用できる。例えば、平均分子量が異なる複数種のヒアルロン酸及び/又はその塩を使用することができる。
眼科組成物中のヒアルロン酸又はその塩の濃度は、組成物の全量に対して、0.001w/v%以上、0.005w/v%以上、0.01w/v%以上、0.02w/v%以上、0.03w/v%以上、0.04w/v%以上、0.05w/v%以上、0.06w/v%以上、0.07w/v%以上、0.08w/v%以上、0.09w/v%以上、又は0.1w/v%以上とすることができる。この範囲であれば、十分にその薬理活性を発揮することができる。また、この範囲であれば、眼球などの眼組織、コンタクトレンズ、又は摘出眼組織と十分時間接触できる粘度の組成物となる。
また、眼科組成物中のヒアルロン酸又はその塩の濃度は、組成物の全量に対して、10w/v%以下、5w/v%以下、1w/v%以下、0.5w/v%以下、0.45w/v%以下、0.4w/v%以下、0.35w/v%以下、0.3w/v%以下、0.25w/v%以下、0.2w/v%以下、0.19w/v%以下、0.18w/v%以下、0.17w/v%以下、0.16w/v%以下、0.15w/v%以下、0.14w/v%以下、0.13w/v%以下、0.12w/v%以下、0.11w/v%以下、又は0.1w/v%以下とすることができる。この範囲であれば、十分にその薬理活性を発揮することができると共に、眼科組成物の使用感を損なわない。
眼科組成物中のヒアルロン酸又はその塩の濃度は、組成物の全量に対して、通常、0.001〜10w/v%とすることができ、0.005〜5w/v%が好ましく、0.01〜1w/v%がより好ましく、0.03〜0.5w/v%がさらに好ましく、0.05〜0.3w/v%がさらに好ましく、0.1w/v%が最も好ましい。
眼科組成物中のヒアルロン酸又はその塩の濃度は、第17改正日本薬局方の「精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液」の項目に記載の定量法で測定した値である。
シアノコバラミン
眼科組成物中のシアノコバラミンの濃度は、組成物の全量に対して、0.0001w/v%以上、0.0005w/v%以上、0.001w/v%以上、0.001w/v%以上、0.002w/v%以上、0.003w/v%以上、0.004w/v%以上、又は0.005w/v%以上とすることができる。この範囲であれば、シアノコバラミンの薬理活性が十分に発揮されると共に、眼科組成物の粘度低下を効果的に抑制できる。
また、眼科組成物中のシアノコバラミンの濃度は、組成物の全量に対して、0.5w/v%以下、0.1w/v%以下、0.095w/v%以下、0.09w/v%以下、0.085w/v%以下、0.08w/v%以下、0.075w/v%以下、0.07w/v%以下、0.065w/v%以下、0.06w/v%以下、0.055w/v%以下、0.05w/v%以下、0.045w/v%以下、0.04w/v%以下、0.035w/v%以下、0.03w/v%以下、0.025w/v%以下、又は0.02w/v%以下とすることができる。この範囲であれば、眼科組成物の粘度低下を効果的に抑制できる。
眼科組成物中のシアノコバラミンの濃度は、組成物の全量に対して、通常、0.0001〜0.5w/v%とすることができ、0.0005〜0.1w/v%が好ましく、0.001〜0.05w/v%がより好ましく、0.004〜0.02w/v%がさらに好ましい。
充血除去剤
本発明における眼科組成物は、充血除去剤(血管収縮剤)を含むことができる。これにより、本発明の効果を向上させることができ、また、抗糖化作用を付与することができる。
充血除去剤としては、エピネフリン又はその塩(例えば、塩酸エピネフリン、酒石酸水素エピネフリン)、エフェドリン又はその塩(例えば、塩酸エフェドリン)、メチルエフェドリン又はその塩(例えば、塩酸メチルエフェドリン、特に、dl−塩酸メチルエフェドリン)、テトラヒドロゾリン又はその塩(例えば、塩酸テトラヒドロゾリン)、ナファゾリン又はその塩(例えば、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン)、フェニレフリン又はその塩(例えば、塩酸フェニレフリン)、オキシメタゾリン又はその塩(例えば、塩酸オキシメタゾリン)などが挙げられる。中でも、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、又は硝酸ナファゾリンが好ましく、塩酸テトラヒドロゾリンがより好ましい。
充血除去剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
眼筋調節剤
本発明における眼科組成物は、眼筋調節剤を含むことができる。これにより、本発明の効果を向上させることができ、また、抗糖化作用を付与することができる。
眼筋調節剤としては、それには限定されないが、ネオスチグミン又はその塩(特に、メチル硫酸ネオスチグミン)、フィゾスチグミン又はその塩(例えばサリチル酸フィゾスチグミン、硫酸フィゾスチグミン)、ジスチグミン又はその塩(例えば、臭化ジスチグミン)、トロピカミド、アトロピン又はその塩(特に、ヘレニエン硫酸アトロピン)、ピロカルピン又はその塩(例えば、塩酸ピロカルピン)などが挙げられる。中でも、ネオスチグミン又はその塩が好ましく、メチル硫酸ネオスチグミンがより好ましい。
眼筋調節剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
抗炎症剤
本発明の眼科組成物は、抗炎症剤を含むことができる。抗炎症剤としては、イプシロン−アミノカプロン酸、プラノプロフェン、アラントイン、ベルベリン又はその塩(例えば、塩化ベルべリン、硫酸ベルべリン)、アズレンスルホン酸又はその塩(例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム、アズレンスルホン酸カリウム、アズレンスルホン酸カルシウム、アズレンスルホン酸マグネシウム)、グリチルリチン酸又はその塩(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチリチン酸モノアンモニウム)、亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛)、リゾチーム又はその塩(例えば、塩化リゾチーム)、インドメタシン、銀塩(例えば、硝酸銀)、ジクロフェナク酸又はその塩(例えば、ジクロフェナクナトリウム)、ブロムフェナク酸又はその塩(例えば、ブロムフェナクナトリウム)などが挙げられる。
抗炎症剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
抗ヒスタミン剤
本発明の眼科組成物は、抗ヒスタミン剤を含むことができる。抗ヒスタミン剤としては、ジフェンヒドラミン又はその塩(例えば、塩酸ジフェンヒドラミン)、クロルフェニラミン又はその塩(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クロルフェニラミン)、ケトチフェン又はその塩(例えば、フマル酸ケトチフェン)、オロパタジン又はその塩(例えば、塩酸オロパタジン)などが挙げられる。
抗ヒスタミン剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ビタミン類
本発明における眼科組成物は、シアノコバラミン以外のビタミン類を含むことができる。
シアノコバラミン以外のビタミン類としては、フラビンアデニンジヌクレオチド又はその塩(例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム)、コバラミン又はその塩(例えば、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミン、アデノシルコバラミン)、レチノール又はその塩(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)、ピリドキシン又はその塩(例えば、塩酸ピリドキシン)、パンテノール、パントテン酸又はその塩(例えば、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カリウム、パントテン酸カルシウム、パントテン酸マグネシウム)、トコフェロール又はその塩(例えば、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール)、ピリドキサール又はその塩(例えば、リン酸ピリドキサール)、アスコルビン酸又はその塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム)などが挙げられる。
シアノコバラミン以外のビタミン類は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
アミノ酸類
本発明における眼科組成物は、アミノ酸類を含むことができる。
アミノ酸類としては、L−アスパラギン酸又はその塩(例えば、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸ナトリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸カルシウム、L−アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(L−アスパラギン酸マグネシウムとL−アスパラギン酸カリウムとの等量混合物))、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルタミン酸又はその塩(例えば、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸マグネシウム)、クレアチニン、グリシン、アラニン、アルギニン、リジン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ吉草酸、ヒアルロン酸又はその塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、アルギン酸又はその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)などが挙げられる。
なお、アミノエチルスルホン酸は、含硫アミノ酸から合成されるアミノ酸に類似の化合物であり、眼科組成物の分野、特に一般用医薬品としての眼科組成物の分野では、アミノ酸類に含められている。また、コンドロイチン硫酸ナトリウムも、眼科組成物の分野、特に一般用医薬品としての眼科組成物の分野では、アミノ酸類に含められている。
アミノ酸類は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
抗菌成分
本発明における眼科組成物は、抗菌成分を含むことができる。
抗菌成分としては、スルファメトキサゾール又はその塩(例えば、スルファメトキサゾールナトリウム、スルファメトキサゾールカリウム、スルファメトキサゾールカルシウム、スルファメトキサゾールマグネシウム)、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン又はその塩(例えば、スルフィソミジンナトリウム、スルフィソミジンカリウム、スルフィソミジンカルシウム、スルフィソミジンマグネシウム)のようなサルファ系抗菌剤、アルキルポリアミノエチルグリシン、クロラムフェニコール、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、及びアシクロビルなどが挙げられる。
抗菌成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
抗アレルギー薬
本発明における眼科組成物は、抗アレルギー薬を含むことができる。
抗アレルギー薬としては、クロモグリク酸又はその塩(例えば、クロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸カリウム、クロモグリク酸カルシウム、クロモグリク酸マグネシウム)、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、トラニラスト、ペミロラストカリウムなどが挙げられる。
抗アレルギー薬は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
抗酸化剤
本発明の眼科組成物は、抗酸化剤を含有することができる。
脂溶性の抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)のようなブチル基含有フェノール;ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA);アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、アスコルビン酸リン酸トコフェロール、アスコルビン酸トリリン酸、アスコルビン酸リン酸パルミテートのようなアスコルビン酸エステル;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールのようなトコフェロール;酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールのようなトコフェロール誘導体;没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシルのような没食子酸エステル;プロピルガラート; 3−ブチル−4−ヒドロキシキノリン−2オン;ルテイン、アスタキサンチンのようなカロテノイド類;アントシアニン類、カテキン、タンニン、クルクミンなどのポリフェノール類;レチノール、レチノールエステル(酢酸レチノール、プロピオン酸レチノール、酪酸レチノール、オクチル酸レチノール、ラウリル酸レチノール、ステアリン酸レチノール、ミリスチン酸レチノール、オレイン酸レチノール、リノレン酸レチノール、リノール酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)、レチナール、レチナールエステル(酢酸レチナール、プロピオン酸レチナール、パルミチン酸レチナールなど)、レチノイン酸、レチノイン酸エステル(レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、レチノイン酸トコフェロールなど)、レチノールデヒドロ体、レチナールデヒドロ体、レチノイン酸デヒドロ体、プロビタミンA(α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、β−クリプトキサンチン、エキネノンなど)、ビタミンAなどのビタミンA類;CoQ10などが挙げられる。
また、水溶性の抗酸化剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸−2−硫酸2ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸−2−リン酸マグネシウム、アスコルビン酸−2−リン酸ナトリウムなど)、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸又はその塩(エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム)などが挙げられる。
抗酸化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
局所麻酔剤又は無痛化剤
本発明における眼科組成物は、局所麻酔剤又は無痛化剤を含有することができる。
局所麻酔剤又は無痛化剤としては、クロロブタノール、塩酸オキシブプロカイン、塩酸コカイン、塩酸コルネカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸ピペロカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸ヘキソチオカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
局所麻酔剤又は無痛化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明における眼科組成物は、この他にも、任意の薬理活性又は生理活性成分を含むことができる。
本発明における眼科組成物の成分のうち、d体、l体、又はdl体が存在する成分は、d体、l体、又はdl体の何れも使用できる。また、水和物を有する成分は、水和物も使用できる。
製剤
本発明における眼科組成物の性状は特に限定されず、例えば、液体状、流動状などの性状とすることができる。また、用時調製により、液体状、流動状などになったものも含まれる。
また、眼科組成物は、水性組成物(基剤又は担体として水性ないしは親水性のものを主に含む)であってもよく、油性組成物(基剤又は担体として油性ないしは疎水性のものを主に含む)であっても良いが、ヒアルロン酸及び/又はその塩を安定に溶解させる上で、水性組成物であることが好ましい。
水性組成物の場合の水の含有量は、製剤の全量に対して、50重量%以上が好ましく、75重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらにより好ましい。また、95重量%以上、又は98重量%以上であってもよい。また、基剤又は担体が水のみからなっていてもよい。
本発明における眼科組成物の剤型は特に限定されず、例えば、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤は、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。また、人工涙液も含む。)、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、眼内注射剤(例えば、硝子体内注射剤)、コンタクトレンズ用液(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューション、パッケージソリューション)、移植用の角膜等の摘出眼組織の保存剤、手術時潅流液などが挙げられる。点眼剤、洗眼剤には、コンタクトレンズ装着時に使用するものも含まれる。中でも、点眼剤又はコンタクトレンズ装着液が好ましく、点眼剤がより好ましい。
本発明において、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。
本発明における眼科組成物は、ヒアルロン酸及び/又はその塩とシアノコバラミンを含む成分を、薬学的に許容される基剤又は担体、必要に応じて、眼科組成物の薬学的に許容される添加剤やその他の有効成分と混合することにより、慣用の方法で調製できる。
基剤又は担体
基剤又は担体として、例えば、水;エタノールのような極性溶媒;油性基剤などが挙げられる。基剤又は担体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明における眼科組成物には、眼科組成物の添加剤として使用されるものを、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。添加剤としては、清涼化剤、無機塩類、防腐剤、界面活性剤、緩衝剤、pH調節剤、等張化剤、安定化剤、油分、糖類、多価アルコールなどを例示できる。
添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、各添加剤について、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
添加剤の具体例を以下に例示する。
清涼化剤
清涼化剤としては、メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウのようなテルペノイドなどが挙げられる。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。また、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等の精油も挙げられる。
無機塩類
無機塩類としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム(乾燥炭酸ナトリウムを含む)、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
高分子粘稠剤
高分子粘稠剤としては、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ポリビニル系高分子化合物(例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物を含む)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート)、ポリエチレングリコール、デキストラン、α−シクロデキストリン、デキストリン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸、ブドウ糖、ムコ多糖類(例えば、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン多硫酸エステル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム塩)、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラト硫酸、ヘパリノイド)、グアーガム、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、寒天、デンプン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン、ソルビトール、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム)、ポリアクリル酸のアミン塩(例えば、ポリアクリル酸モノエタノールアミン塩、ポリアクリル酸ジエタノールアミン塩、ポリアクリル酸トリエタノールアミン塩)、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、エラスチン、セラミド、流動パラフィン、グリセリン、マクロゴール、ポリエチレンイミンアルギン酸塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)、アルギン酸エステル(例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル)、トラガント末などが挙げられる。
これらの成分は、上記例示した以外にも、塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)であってもよい。
防腐剤
防腐剤としては、アルキルポリアミノエチルグリシン、ホウ酸、アルキルジアミノエチルグリシン及び/又はその塩(例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン)、安息香酸及び/又はその塩(例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム)、エタノール、第4級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム)、クロルヘキシジン及び/又はその塩(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン)、クロロブタノール、ソルビン酸及び/又はその塩(例えば、ソルビン酸カリウム)、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル)、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ポリヘキサメチレンビグアニドのようなビグアミド類、グローキル(商品名、ローディア社)、塩化ポリドロニウムなどが挙げられる。
界面活性剤
界面活性剤の中で好ましいのは、非イオン界面活性剤である。
非イオン界面活性剤としては、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー403、ポロクサマー237、ポロクサマー124等のPOE・POPブロックコポリマー類;POE硬化ヒマシ油40、POE硬化ヒマシ油50、POE硬化ヒマシ油60、POE硬化ヒマシ油80等のPOE硬化ヒマシ油;POEヒマシ油3、POEヒマシ油4、POEヒマシ油6、POEヒマシ油7、POEヒマシ油10、POEヒマシ油13.5、POEヒマシ油17、POEヒマシ油20、POEヒマシ油25、POEヒマシ油30、POEヒマシ油35、POEヒマシ油50等のPOEヒマシ油;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(9E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(23E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(32E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.、ステアリン酸ポリオキシル40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE−POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類等が挙げられる。なお、上記例示した化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数を示す。
その他にも、グリシン型両性界面活性剤(例えば、アルキルジアミノエチルグリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン)、及びベタイン型両性界面活性剤(例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン)のような両性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム)のような陽イオン界面活性剤なども使用できる。
緩衝剤
本発明の眼科組成物は、緩衝剤を含有することができる。
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、イプシロン−アミノカプロン酸緩衝剤、アスパラギン酸緩衝剤等が挙げられる。ホウ酸緩衝剤の成分としては、ホウ酸、ホウ酸塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂など)などが挙げられる。ホウ酸塩は水和物であっても良い。リン酸緩衝剤の成分としては、リン酸、リン酸塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムなど)などが挙げられる。リン酸塩は水和物であっても良い。炭酸緩衝剤の成分としては、炭酸、炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウムなど)などが挙げられる。クエン酸緩衝剤の成分としては、クエン酸、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウムなど)などが挙げられる。酢酸緩衝剤の成分としては、酢酸、酢酸塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウムなど)などが挙げられる。アスパラギン酸緩衝剤の成分としては、アスパラギン酸、アスパラギン酸の塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウムなど)などが挙げられる。
中でも、本発明の効果が一層良好になる点で、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤が好ましく、ホウ酸緩衝剤がより好ましい。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸とその塩との組合せが好ましく、ホウ酸とホウ酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩との組合せがより好ましく、ホウ酸とホウ酸のアルカリ金属塩との組合せがさらにより好ましく、ホウ酸とホウ砂との組合せがさらにより好ましい。
pH調節剤
pH調節剤としては、塩酸、硫酸、ポリリン酸、有機酸(プロピオン酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸など)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどが挙げられる。
等張化剤
等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、及びプロピレングリコールなどが挙げられる。等張化剤の中には、無機塩類として配合されるものもある。
安定化剤
安定化剤としては、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、及びモノステアリン酸グリセリンなどが挙げられる。
油分
油分としては、スクワランのような動物油、流動パラフィン、ワセリンのような鉱物油、ヒマシ油、ゴマ油のような植物油などが挙げられる。
糖類
糖類としては、単糖類、二糖類、具体的にはグルコース、マルトース、トレハロース、スクロース、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。糖類の中には、高分子粘稠剤として配合されるものもある。
多価アルコール
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、キシリトール、ジエチレングリコール、マンニトール、ソルビトール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。多価アルコールの中には、高分子粘稠剤として配合されるものもある。
pH
本発明の眼科組成物のpHは、3以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらにより好ましく、5.5以上がさらにより好ましい。また、6以上とすることもできる。また、10以下が好ましく、9以下がより好ましく、8.5以下がさらにより好ましく、8以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼への刺激が抑えられると共に、本願発明の上記効果が得られる。
浸透圧
本発明の眼科組成物の浸透圧比は、0.4以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.85以上がさらにより好ましい。また、5以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらにより好ましく、1.55以下がさらにより好ましい。上記範囲であれば、眼への刺激が抑えられると共に、本願発明の上記効果が得られる。 浸透圧比は、第17改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の浸透圧に対する試料の浸透圧の比とする。浸透圧は第17改正日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)に従い測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いる。
包装体
本発明における眼科組成物は、UV光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容されている。
眼科組成物は、単一の包装体に収容されていてもよく、一次包装体に収容されたものが二次包装体に収容されていてもよい。単一の包装体に収容されている場合は、その包装体がUV光を完全又は不完全に遮断するものであり、一次包装体と二次包装体に収容されている場合は、少なくとも一方が、UV光を完全又は不完全に遮断するものである。
一次包装体又は単一の包装体としては、サシェット(小袋)タイプの包装袋、チューブ状容器、ボトル状容器、点眼剤容器などが挙げられる。一次包装体は、使い切りのユニットドーズ型、繰り返し使用できるマルチドーズ型の何れの形態であってもよい。二次包装体としては、外袋であるピロー包装袋などが挙げられる。
包装体は、その全面がUV光を遮光するものであることが望ましいが、本発明の効果を奏する範囲で、一部がUV光を遮光しない素材で構成されていてもよい。例えば、本体と蓋部からなる容器の場合、本発明の効果を奏する限り、本体がUV光を遮光し、蓋部がUV光を遮光しないものであってよい。
包装体は、少なくともUVB波(波長280〜315nmの光)を遮光することが好ましい。また、UVB波(波長280〜315nmの光)とUVA波(波長315〜380nmの光)を遮光することがより好ましい。
包装体のUV光の遮光の程度は、280〜315nmの領域の光、中でも280〜380nmの領域の光、中でも10〜380nmの領域の光の透過率の平均値(平均光透過率)が、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、2%以下、又は0%であることが好ましい。即ち、少なくとも280〜315nmの領域の光(UVB波)を含む紫外光の平均光透過率が、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、2%以下、又は0%であることが好ましい。
平均光透過率は、特定範囲の波長の光の透過率を5nm毎に測定し、その平均値を求めることで算出する。光透過率は、ISO 18369−3に規定の方法で測定する。
また、包装体は、内部の視認性に優れることが望ましいため、可視光を透過することが好ましい。可視光の透過の程度は、380〜750nmの光の平均透過率が30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%であることが好ましい。
包装体にUV遮断性を与える手段としては、包装体材料に顔料、染料、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤などの遮光材料を含有させる方法、このような遮光材料で包装体をコーティングする方法、このような遮光材料を含むフィルムで包装体を被覆する方法、このような遮光材料を含む層を積層したシートで包装体を形成する方法、このような遮光材料をコーティングしたフィルムで包装体を被覆する方法、アルミニウム箔のような金属箔を積層したシートで包装体を形成する方法、このような金属のシートで包装体を形成する方法などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンのようなUVA波吸収剤;パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、パラ−アミノ安息香酸、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、オクトクリレンのようなUVB波吸収剤;ベンゾフェノン−2、ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン−4、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、ドロメトリゾールトリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)のようなUVAB波吸収剤などが挙げられる。
紫外線散乱剤としては、二酸化チタンなどが挙げられる。
包装体の基材は、プラスチック、ガラス、又はアルミニウムのような金属とすることができる。
プラスチックとしては、ポリオレフィン、アクリル酸樹脂、テレフタル酸エステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸エステル、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、セルロースアセテート、ハロゲン原子で置換されていてよい炭化水素などが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどを含む)、ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンなどを含む)、及びエチレン・プロピレンコポリマーなどが挙げられる。
アクリル酸樹脂としては、アクリル酸メチルのようなアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシルのようなメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
テレフタル酸エステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
2,6−ナフタレンジカルボン酸エステルとしては、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、フッ素置換ポリエチレン(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレンなど)、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレンコポリマー、エチレン・四フッ化エチレンコポリマー、エチレン・クロロトリフルオロエチレンコポリマーなどが挙げられる。
ポリアミドとしては、ナイロンなどが挙げられる。
ポリアセタールとしては、オキシメチレン単位のみからなるものの他、一部にオキシエチレン単位を含むものが挙げられる。
変性ポリフェニレンエーテルとしては、ポリスチレン変性ポリフェニレンエーテルなどが挙げられる。
ポリアリレートとしては、非晶質ポリアリレートなどが挙げられる。
ポリイミドとしては、芳香族ポリイミド、例えばピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを重合させたものが挙げられる。
セルロースアセテートとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどが挙げられる。
包装体の基材は、1種の材料であってもよく、又は2種以上の材料の混合物であってもよい。
用途
本発明における眼科組成物を点眼剤又は洗眼剤として用いる場合、眼の疲れ、結膜充血、紫外線その他の光線による眼炎(雪目など)、眼瞼炎(まぶたのたたれ)、ハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズを装着しているときの不快感、目のかゆみ、目のかすみ(目やにの多いときなど)などの予防、改善、又は治療のために用いることができる。また、眼病予防(水泳のあと、ほこりや汗が目に入ったときなど)、涙液の補助(目のかわき)のために用いることもできる。また、目の洗浄のために用いることもできる。
使用方法
本発明における眼科組成物が点眼剤又は洗眼剤である場合、その用法は、対象とする症状によって異なるが、例えば、1日1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、又は6回以上とすることができる。また、1日9回以下、8回以下、7回以下、6回以下、5回以下、又は4回以下とすることができる。
また、症状が現れると同時又はその後に使用開始してもよいが、症状が現れる1日以上前、特に3日以上前、中でも7日以上前から使用開始しても良い。また、症状が現れる10日以上前から使用開始することもできる。また、症状が現れる前30日以内、特に20日以内、中でも14日以内から使用開始してもよい。症状が現れる前から使用することにより、症状を効果的に予防できる。
本発明における眼科組成物が点眼剤である場合、上記濃度で各成分を含む点眼剤を、例えば、1回当たり、1〜3滴点眼すればよく、好ましくは1〜2滴点眼すればよい。1滴とすることもできる。
本発明における眼科組成物が洗眼剤である場合、上記濃度で各成分を含む洗眼剤を、例えば、1回当たり、1〜30mL用いて洗眼すればよく、好ましくは1〜20mL、さらに好ましくは4〜6mL用いて洗眼すればよい。
本発明における眼科組成物がコンタクトレンズ装着液である場合は、コンタクトレンズの装着時、脱着時に、例えば、1回当たり、1〜3滴、好ましくは1〜2滴を、コンタクトレンズの片面及び/又は両面に滴下して濡らした後に装用すればよく、好ましくはコンタクトレンズの両面を濡らした後に装用することが好ましい。
本発明における眼科組成物がコンタクトレンズ用液である場合は、それには限定されないが、例えば、眼科組成物とコンタクトレンズとを、1時間以上、2時間以上、4時間以上、又は1日以上接触させておくことができる。また、30日以下、14日以下、7日以下、又は2日以下接触させておくことができる。
(2)眼科組成物の粘度低下抑制方法
本発明は、ヒアルロン酸及び/又はその塩を含む眼科組成物にシアノコバラミンを含有させ、かつ、この眼科組成物を、UV光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容することにより、この眼科組成物の粘度の低下を抑制する方法を包含する。特に、UV光、中でもUVB波(例えば、波長280〜315nmの光)の照射による粘度の低下を抑制する方法とすることができる。継時的な粘度の低下が少しでも抑制されていれば、本発明の範囲に含まれる。
また、本発明は、ヒアルロン酸及び/又はその塩を含む眼科組成物にシアノコバラミンを含有させ、かつ、この眼科組成物を、UV光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容することにより、この眼科組成物の粘度を安定化する方法を包含する。継時的な粘度の変化が少しでも抑制されていれば、本発明の範囲に含まれる。
眼科組成物、及び包装体については、本発明の包装体入り眼科組成物について説明した通りである。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)被験試料及びコントロール試料の調製
表1に示す組成の眼科組成物を常法に従って調製した。ヒアルロン酸ナトリウムとしては、「バイオヒアルロン酸ナトリウム」(資生堂株式会社製,平均分子量110万〜160万)を用いた。
(2)容器
容量13mLのPET製のUV遮光容器とUV非遮光容器をそれぞれ用意した。UV遮光容器とUV非遮光容器の本体部の280〜750nmの光の透過率を、ISO 18369−3に規定の方法に従い測定し、5nm毎の光透過率を平均して、280〜315nm、315〜380nm、380〜750nmの各領域の平均光透過率を求めた。結果を表2に示す。
(3)紫外線照射
被験試料1及びコントロール試料1の眼科組成物を、実施例1:UV遮光容器、又は比較例1:UV非遮光容器にそれぞれ13mLずつ入れた。アトラス・サンテストXLS+(株式会社東洋精機製作所)を用いて、総照射量として2500万J/mの光を照射した。照射前及び照射後の眼科組成物の粘度を第17改正日本薬局方の「精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液」の項目に記載の方法で測定し、下記式により、シアノコバラミン添加による粘度低下の抑制率を算出した。

シアノコバラミンの添加による粘度低下抑制率(%)
=〔1−(被験試料1の粘度変化率/コントロール1の粘度変化率)〕×100

粘度変化率(%)
=〔1−(照射後の粘度/照射前の粘度)〕×100
結果を図1に示す。図1が示すとおり、ヒアルロン酸ナトリウムを含む眼科組成物をUV非遮光容器に収容した場合は、シアノコバラミンを添加しても眼科組成物の粘度低下が余り抑制されなかったのに対し、UV遮光容器に収容した場合はシアノコバラミンの添加により眼科組成物の粘度の低下が著しく抑制された。
ヒアルロン酸及び/又はその塩を含む眼科組成物にシアノコバラミンを含有させると共に、この眼科組成物をUV遮光容器に収容することにより、相乗的に、眼科組成物の粘度の低下が抑制されることが分かる。
本発明の眼科組成物の製剤例を表3、表4に示す。表3、表4中の成分濃度の単位は、「g/100mL」である。
本発明の包装体入り眼科組成物は、光に不安定なヒアルロン酸及び/又はその塩の光分解が効果的に抑制され、その結果、眼科組成物の粘度が安定に保たれる。従って、製造、流通、保管時の薬理効果の低下が抑制されており、商品価値が高いものである。


Claims (7)

  1. ヒアルロン酸及び/又はその塩と、シアノコバラミンとを含有する眼科組成物が、紫外光を完全又は不完全に遮光する包装体に収容されてなる包装体入り眼科組成物。
  2. 眼科組成物中のヒアルロン酸及び/又はその塩の濃度が、組成物の全量に対して、0.001〜10w/v%である、請求項1に記載の包装体入り眼科組成物。
  3. 眼科組成物中のシアノコバラミンの濃度が、組成物の全量に対して、0.0001〜0.5w/v%である、請求項1又は2に記載の包装体入り眼科組成物。
  4. 眼科組成物が、さらに、充血除去剤を含有する、請求項1〜3の何れかに記載の包装体入り眼科組成物。
  5. 眼科組成物が、さらに、眼筋調節剤を含有する、請求項1〜4の何れかに記載の包装体入り眼科組成物。
  6. 紫外光が紫外線B波である、請求項1〜5の何れかに記載の包装体入り眼科組成物。
  7. ヒアルロン酸及び/又はその塩を含む眼科組成物に、シアノコバラミンを含有させ、かつこの眼科組成物を紫外光を完全又は不完全に遮光する容器に収容する、眼科組成物の粘度低下抑制方法。

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