JP2019147246A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動信号の波形精度の高くし、液体の吐出精度の低下を抑える。【解決手段】駆動回路122aは、元駆動信号Caの電圧と駆動信号Com−Aの帰還信号の電圧とを比較するコンパレーター1204と、トランジスター231および232と、トランジスター231へのゲート信号Gpおよびトランジスター232へのゲート信号Gnを生成する制御信号生成回路126と、を有する。制御信号生成回路126は、トランジスター231および232が交互にオンするように制御するとともに、駆動信号Com−Aの電圧の振動中心値の変化に応じて、駆動信号Com−Aの電圧の振動幅を切り替える。【選択図】図7

Description

本発明は、例えば液体吐出装置に関する。
液体吐出装置の一例としては、インクを吐出して画像や文書を印刷するインクジェットプリンターが知られている。インクジェットプリンターでは、インクを吐出させるために圧電素子(例えばピエゾ素子)が用いられ、圧電素子は、プリントヘッドにおいて複数のノズルのそれぞれに対応して設けられる。圧電素子の各々が駆動信号にしたがって駆動されることにより、ノズルから所定のタイミングで所定量のインクが吐出されて、ドットが形成される。圧電素子は、電気的にみればキャパシターのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。
このため、インクジェットプリンターは、駆動信号の元となる元駆動信号を増幅回路で増幅し、駆動信号としてプリントヘッドに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。増幅回路としては、元駆動信号をAB級などで電流増幅する方式(リニア増幅方式、例えば、特許文献1参照)が挙げられる。
ただし、リニア増幅方式では消費電力が大きく、エネルギー効率が悪いので、近年では、D級増幅方式について提案されている(例えば、特許文献2参照)。D級増幅方式は、端的にいえば、元駆動信号をパルス変調するとともに、電源電圧間において直列に挿入されたハイサイドトランジスターおよびローサイドトランジスターを該パルス変調した信号にしたがってスイッチングし、このスイッチングによる出力信号をローパスフィルターで濾波することで、元駆動信号を増幅する、というものである。
D級増幅方式では、リニア増幅方式と比較してエネルギー効率が高いものの、ローパスフィルターで消費される電力が無視できない。このため、消費電力をさらに改善する目的で、新たな方式の駆動回路が提案されている(特許文献3参照)。
特開2009−190287号公報 特開2010−114711号公報 特開2017−149064号公報
しかしながら、上記新たな方式の駆動回路では、消費電力を改善できるものの、高速印刷や高精細印刷の要求に応えるために、ノズル数(圧電素子数)が大幅に増加する場合には、駆動信号の波形精度が悪化して、液体の吐出精度が低下する、という課題があった。
上記課題の一つを解決するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、ノズルと、駆動信号が印加されることにより変位する圧電素子と、を含み、前記圧電素子の変位により前記ノズルから液体を吐出するプリントヘッドと、元駆動信号の電圧と前記駆動信号が帰還された信号である帰還信号の電圧とを比較するコンパレーターと、第1トランジスターおよび第2トランジスターを含み、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、前記コンパレーターの出力信号が入力され、前記第1トランジスターのスイッチング動作を制御する第1制御信号及び前記第2トランジスターのスイッチング動作を制御する第2制御信号を、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンするように生成する制御信号生成回路と、を備え、前記駆動信号は、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンして、前記駆動信号の電圧が上昇する第1領域と、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンして、前記駆動信号の電圧が下降する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間であって、前記第2領域に続く第3領域と、前記第1領域と前記第2領域との間であって、前記第1領域に続く第4領域と、を有し、前記第1領域または前記第2領域における前記駆動信号の電圧の第1振動幅は、前記第3領域または前記第4領域における前記駆動信号の電圧の第2振動幅よりも大きい、ことを特徴とする。
上記一態様に係る液体吐出装置では、元駆動信号の電圧と駆動信号の帰還信号の電圧との比較結果に基づいて、第1トランジスターおよび第2トランジスターが交互にオンするので、駆動信号の電圧が上昇と下降を交互に繰り返す、すなわち、振動することになる。ここで、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも高くなると速やかに第2トランジスターがオンして、駆動信号の電圧が下降し、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも低くなると速やかに第1トランジスターがオンして駆動信号の電圧が上昇する。したがって、上記一態様に係る液体吐出装置によれば、元駆動信号に対する駆動信号の電圧追従性が高まるので、駆動信号の波形精度とともに、液体の吐出精度を向上させることができる。
さらに、駆動信号の電圧が下降する第1領域(または上昇する第2領域)からほぼ一定となる第3領域(または第4領域)に転じるときに、振動幅が小さくなるので、振動幅を変化させない構成と比較して、駆動信号の波形精度をさらに向上させることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記制御信号生成回路は、前記第1制御信号を生成する第1論理回路群と、前記第2制御信号を生成する第2論理回路群と、を有し、前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合における前記第1論理回路群における入出力特性は、前記駆動信号の電圧が前記第3領域または前記第4領域にある場合における前記第1論理回路群における入出力特性と異なり、前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合における前記第2論理回路群における入出力特性は、前記駆動信号の電圧が前記第3領域または前記第4領域にある場合における前記第2論理回路群における入出力特性と異なる構成としてもよい。
コンパレーターの出力信号の電圧変化に対して第1トランジスターおよび第2トランジスターが双方ともにオフとなる電圧範囲を不感帯と表現した場合、上記構成について具体的には、駆動信号の電圧が第1領域または第2領域にある場合の不感帯を、駆動信号の電圧が第3領域または第4領域にある場合の不感帯よりも大きくなるように、第1論理回路群が第1制御信号を生成し、第2論理回路群が第2制御信号を生成してもよい。
この構成によれば、駆動信号の波形精度が高まり、液体の吐出精度を向上させるための制御信号生成回路が実現できる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記制御信号生成回路は、前記コンパレーターの入力信号の反転信号を出力する第1インバーターと、前記コンパレーターの入力信号の反転信号を出力する第2インバーターと、前記第1インバーターにおける第1閾値は、
前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合と、前記第3領域または前記第4領域にある場合とで異なり、前記第2インバーターにおける第2閾値は、前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合と、前記第3領域または前記第4領域にある場合とで異なり、前記第1インバーターによる反転信号に基づいて前記第1制御信号が出力され、前記第2インバーターによる反転信号に基づいて前記第2制御信号が出力される構成としてもよい。
この構成において、制御信号生成回路は、駆動信号の電圧が第1領域または前記第2領域にある場合の不感帯を、駆動信号の電圧が第3領域または第4領域にある場合の不感帯よりも大きくなるように、第1論理回路群が第1制御信号を生成し、第2論理回路群が第2制御信号を生成する。この構成によれば、制御信号生成回路を集積化して実現することができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第1振動幅は、前記第1領域または前記第2領域において前記第1トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極大値と、続いて前記第2トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極小値との差であり、前記第2振動幅は、前記第3領域または前記第4領域において前記第1トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極大値と、続いて前記第2トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極小値との差である構成としてもよい。
振動幅については、駆動信号の電圧のうち、第1トランジスターのオンによる極大値同士を結んだ直線と、第2トランジスターのオンによる極小値同士を結んだ直線との電圧差でみることもできるが、簡易的には、第1トランジスターがオンしたときの駆動信号の電圧極大値と、続いて第2トランジスターがオンしたときの駆動信号の電圧極小値との差と同視することができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第4領域における前記駆動信号の電圧は、前記第3領域における前記駆動信号の電圧よりも高く、前記第3領域における第2振動幅は、前記第4領域における第2振動幅よりも小さい構成としてもよい。
圧電素子によっては、印加電圧が低い場合の方が、印加電圧が高い場合よりも、同じ電圧差での変位量が大きくなる(変位の効率がよい)場合がある。逆にいえば、このような圧電素子では、印加電圧が低い場合、わずかな電圧差でも変位量が大きくなるので、高い波形精度が要求される。この構成によれば、電圧が低い第3領域の振動幅は、電圧の高い第4領域での振動幅よりも小さいので、駆動信号の波形精度が高まり、液体の吐出精度を向上させることができる。
上記課題の一つを解決するために、本発明の別態様に係る液体吐出装置は、ノズルと、駆動信号が印加されることにより変位する圧電素子と、を含み、前記圧電素子の変位により前記ノズルから液体を吐出するプリントヘッドと、元駆動信号の電圧と前記駆動信号が帰還された信号である帰還信号の電圧とを比較するコンパレーターと、第1トランジスターおよび第2トランジスターを含み、前記元駆動信号の電圧が第1範囲にある場合に、前記駆動信号を出力する第1トランジスター対と、第3トランジスターおよび第4トランジスターを含み、前記元駆動信号の電圧が前記第1範囲よりも高い第2範囲にある場合に、前記駆動信号を出力する第2トランジスター対と、前記コンパレーターの出力信号が入力され、前記第1トランジスターまたは前記第3トランジスターのスイッチング動作を制御する第1制御信号及び前記第2トランジスターまたは前記第4トランジスターのスイッチング動作を制御する第2制御信号を、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが、または、前記第3トランジスターと前記第4トランジスターとが、交互にオンするように生成する制御信号生成回路と、を備え、前記元駆動信号の電圧が第1範囲にある場合における前記駆動信号の電圧の振動幅は、前記元駆動信号の電圧が第2範囲にある場合における前記駆動信号の電圧の振動幅よりも小さいことを特徴とする。
上記別態様に係る液体吐出装置によれば、上記一態様に係る液体吐出装置と同様に、元駆動信号に対する駆動信号の電圧追従性が高まるので、駆動信号の波形精度とともに、液体の吐出精度を向上させることができる。さらに、上記別態様に係る液体吐出装置によれば、上記一態様に係る液体吐出装置と比較して、コンパレーターや、制御信号生成回路における構成素子の耐圧が低くて済むので、素子サイズの肥大化などを抑制することができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記第3領域における第2振動幅は、前記第4領域における第2振動幅よりも小さい構成としてもよい。
圧電素子によっては、印加電圧が低い場合の方が、印加電圧が高い場合よりも、同じ電圧差での変位量が大きくなる(変位の効率がよい)場合がある。逆にいえば、このような圧電素子では、印加電圧が低い場合、わずかな電圧差でも変位量が大きくなるので、高い波形精度が要求される。この構成によれば、電圧が低い第3領域の振動幅は、電圧の高い第4領域での振動幅よりも小さいので、駆動信号の波形精度が高められる結果、液体の吐出精度を向上させることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記元駆動信号の電圧が上昇する期間において、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンする構成としてもよい。
この構成によれば、駆動信号の電圧が元駆動信号の電圧に追従して上昇していくときに、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも高くなると駆動信号の電圧が速やかに上昇から下降に転じ、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも低くなると駆動信号の電圧が速やかに下降から上昇に転じるので、駆動信号に発生するリップルが低減される。したがって、上記構成では、駆動信号の波形精度が高まり、液体の吐出精度を向上させることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記元駆動信号の電圧が下降する期間において、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンする構成としてもよい。
この構成によれば、駆動信号の電圧が元駆動信号の電圧に追従して下降していくときに、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも低くなると駆動信号の電圧が速やかに下降から上昇に転じ、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも高くなると駆動信号の電圧が速やかに上昇から下降に転じるので、駆動信号に発生するリップルが低減される。したがって、上記構成では、駆動信号の波形精度が高まり、液体の吐出精度を向上させることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記元駆動信号の電圧が一定の期間において、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンする構成としてもよい。
この構成によれば、元駆動信号の電圧がほぼ一定であるとき、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも高くなると駆動信号の電圧が速やかに上昇から下降に転じ、帰還信号の電圧が元駆動信号の電圧よりも低くなると駆動信号の電圧が速やかに下降から上昇に転じるので、駆動信号の電圧と元駆動信号の電圧に応じた所望の電圧との誤差が低減される。したがって、上記構成では、駆動信号の波形精度が高まり、液体の吐出精度を向上させることができる。
上記一態様に係る液体吐出装置において、前記プリントヘッドは、1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の前記ノズルを含む構成としてもよい。
ヘッドが1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上のノズルを含む構成では、駆動回路の負荷が増加して電流Iが大きくなるため、駆動信号には寄生インダクタンスLと電流Iの変化率との積(L×dI/dt)に比例した大きさのノイズが重畳し、大きなリップルが発生しやすい状況になる。この構成による液体吐出装置では、元駆動信号の電圧が上昇又は下降する期間においても、元駆動信号の電圧に対する駆動信号の電圧の追従性が高いので、駆動される圧電素子の個数が多くなって負荷が大きくなっても、駆動信号に発生するリップルを小さく保つことができる。したがって、上記構成では、駆動信号の波形精度が高まり、液体の吐出精度を向上させることができる。
上記課題の一つを解決するために、本発明のさらに別の態様に係る液体吐出装置は、ノズルと、駆動信号が印加されることにより変位する圧電素子と、を含み、前記圧電素子の変位により前記ノズルから液体を吐出するプリントヘッドと、元駆動信号の電圧と前記駆動信号が帰還された信号である帰還信号の電圧とを比較するコンパレーターと、第1トランジスターおよび第2トランジスターを含み、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、前記コンパレーターの出力信号が入力され、前記第1トランジスターのスイッチング動作を制御する第1制御信号及び前記第2トランジスターのスイッチング動作を制御する第2制御信号を、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンするように生成する制御信号生成回路と、を備え、前記駆動信号は、前記駆動信号の電圧の振動中心値が上昇する第1領域と、前記駆動信号の電圧の振動中心値が下降する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間である第3領域と、前記第1領域の後であって、前記第3領域よりも電圧の振動中心値が高い第4領域と、を有し、前記第1領域または前記第2領域における前記駆動信号の電圧の第1振動幅は、前記第3領域または前記第4領域における前記駆動信号の電圧の第2振動幅よりも大きいことを特徴とする。
上記さらに別の態様に係る液体吐出装置によれば、上記一態様に係る液体吐出装置と同様に、元駆動信号に対する駆動信号の電圧追従性が高まるので、駆動信号の波形精度とともに、液体の吐出精度を向上させることができる。
実施形態に係るインクジェットプリンターを示す斜視図である。 インクジェットプリンターの内部構成を示す図である。 ノズル配列の一例を示す図である。 アクチュエーターモジュールの構成を示す断面図である。 インクジェットプリンターの電気的な構成を示すブロック図である。 駆動部およびプリントヘッドの構成を示すブロック図である。 駆動回路の構成を示す図である。 制御信号生成回路の構成の一例を示す図である。 駆動回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 制御信号生成回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 制御信号生成回路の動作を説明するための図である。 駆動信号等の波形を示す図である。 駆動信号の波形を一部拡大して示す図である。 駆動信号の波形を一部拡大して示す図である。 第1応用例に係る駆動回路の構成を示す図である。 第1応用例に係る駆動回路の動作を説明するための図である。 第2応用例に係る駆動回路の動作を説明するための図である。 第2応用例の駆動回路により生成される駆動信号の波形の一部拡大図である。 圧電素子における印加電圧−変位の特性の一例を示す図である。 制御信号生成回路における他の構成例を示す図である。 従来の駆動回路の動作を説明するための図である。 従来の駆動回路の構成を示す図である。 従来の駆動回路により生成される駆動信号の波形の一部拡大図である。 従来の駆動回路により生成される駆動信号の波形の一部拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
図1は、実施形態に係る液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンター1の構成を示す図である。
このインクジェットプリンター1は、液体の一例であるインクを媒体Pに吐出することで、媒体Pの表面に画像を印刷する。媒体Pは、インクの吐出対象となる用紙やフィルムなどである。インクジェットプリンター1は、国際標準規格でA3以上の大判サイズの媒体Pに印刷が可能な印刷装置(LFP:Large Format Printer)であり、図に示されるように、筐体12と脚部14とを有する。
筐体12は、媒体Pの幅方向に相当するX方向に沿って長尺な構造体である。筐体12には、本実施形態では、相異なる種類のインクを貯留する複数の液体容器16が装着される。脚部14は、筐体12を所定の高さに支持する。
なお、複数の液体容器16には、同種類のインクを貯留する構成としてもよい。
以下の説明では、鉛直方向、すなわち重力の作用方向をZ方向と表記し、XZ平面に垂直な方向、すなわち媒体Pの送り方向をY方向と表記する。また、図において、蓋部材22は、X方向に平行な回転軸23に軸支されたカバーであり、利用者は蓋部材22を手動で開閉可能である。
図2は、インクジェットプリンター1の内部構成を示す図である。
この図に示されるように、インクジェットプリンター1の内部では、制御モジュール10と、キャリッジ18と、搬送機構80と、移動機構90とが収容される。キャリッジ18には、本実施形態では、複数個のプリントヘッド30からなるヘッドモジュール20が搭載される。
制御モジュール10は、外部のホストコンピューターから画像データが供給されたときに、該画像データで規定された画像を媒体Pに印刷するために、インクジェットプリンター1における各要素、具体的には、プリントヘッド30、搬送機構80、移動機構90を制御する。
搬送機構80は、媒体PをY方向に搬送する。具体的には、搬送機構80は、回転軸がX方向に平行な搬送ローラー81と、搬送ローラー81を制御モジュール10による制御のもとで回転させる駆動部(例えばモーター)82とを具備する。なお、媒体Pが巻回されたロールを回転させて、筐体12の内部に供給する機構としてもよいし、筐体12から排出された媒体Pを巻取る機構としてもよい。
キャリッジ18は、ヘッドモジュール20を搭載し、移動機構90によってX方向に沿って往復動する。具体的には、移動機構90は、X方向に沿って架設された無端ベルト94と、キャリッジ18の移動をX方向とほぼ平行な方向に規制するガイド軸96と、無端ベルト94を制御モジュール10による制御のもとで駆動する駆動部(例えばモーター)92とを具備する。
なお、ヘッドモジュール20には、制御モジュール10から各種の駆動信号や制御信号などが、可撓性を有するFFC(Flexible Flat Cable)190を介して供給される。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、上述したように大判印刷に対応するので、キャリッジ18の稼働領域が長大化する。
キャリッジ18の稼働領域が長大化すると、FFC190も長大化させる必要がある。本実施形態では、インクジェットプリンター1が印刷可能な媒体PのサイズをA3以上としているが、その上限値については75インチを目途としている。媒体Pのサイズが75インチを超えると、FFC190における各配線のインピーダンス成分が大きくなりすぎて、駆動信号の電圧降下が大きくなり、印刷精度や印刷安定性が低下し、インクの誤吐出等が生じる可能性が高くなるためである。
また、ヘッドモジュール20には、FFC190のほか、液体容器16から各色のインクがチューブを介して供給されるが、該チューブについては図示が省略されている。
図3は、ヘッドモジュール20におけるインクの吐出面を媒体Pからみた場合の構成を示す図である。この図に示されるように、ヘッドモジュール20は、X方向に沿って並んで配列した複数個のプリントヘッド30を有する。1個のプリントヘッド30は、媒体Pからみた場合に、Y方向に長尺であり、X方向で離間する2列のノズル列L1、L2を有し、1つのノズル列L1またはL2は、Y方向に沿ってピッチPyにてノズルNが配列する。
図の例では、ノズル列L1に属するノズルNと、ノズル列L2に属するノズルNとは、Y方向の座標がピッチPyのほぼ半分だけズレた構成となっているが、Y方向の位置がほぼ一致するような配列でもよい。
1つのノズル列L1またはL2におけるノズルNの個数をm(mは2以上の整数)とすると、1個のプリントヘッド30において、ノズルNの個数は「2m」となる。
ここで、本実施形態では、実際には1つのノズル列L1またはL2におけるノズルNは、1インチあたり300個以上の密度で1インチ以上の長さで設けられる。このため、1個のプリントヘッド30において、ノズルNは、ノズル列L1およびL2の2列で600個以上設けられることになる。
複数個のプリントヘッド30には、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエローのうち1つの色が割り当てられ、1個のプリントヘッド30は、割り当てられた一色のインクをノズルNから吐出する。なお、1個のプリントヘッド30におけるノズル列L1、L2において異なる色のインクがノズルNから吐出される構成でもよい。
1個のプリントヘッド30は、電気的にみれば、後述するように圧電素子等を含むアクチュエーターモジュールと、各圧電素子への駆動信号を選択するICモジュールとに大別される。そこでまず、プリントヘッド30におけるアクチュエーターモジュールについて説明する。
図4は、アクチュエーターモジュール40の構造を示す断面図である。詳細には図3におけるプリントヘッド30のうちアクチュエーターモジュールをg−g線で破断した場合の断面(ZX面にほぼ沿って破断した断面)を示す図である。
図4に示されるように、アクチュエーターモジュール40では、流路基板42のうち、Z方向の負側の面上に圧力室基板44と振動板46と封止体52と支持体54とが設けられ、Z方向の正側の面上にノズル板62とコンプライアンス部64とを設置した構造体である。アクチュエーターモジュール40についても、プリントヘッド30と同様に、概略的にはY方向に長尺な略平板状の部材であり、例えば接着剤を利用して互いに固定される。また、流路基板42および圧力室基板44は、例えばシリコンの単結晶基板で形成される。
ノズルNは、ノズル板62に形成される。図3で概略説明したように、プリントヘッド30では、ノズル列L1に属するノズルNと、ノズル列L2に属するノズルNに対応する構造とは、W1方向にピッチPyの半分だけシフトした関係にあるが、それ以外では、略対称に形成されるので、以下においてはノズル列L1に着目して説明することにする。
流路基板42は、インクの流路を形成する平板材であり、開口部422と供給流路424と連通流路426とが形成される。供給流路424および連通流路426は、ノズル毎に形成され、開口部422は、同色のインクを吐出する複数のノズルにわたって連続するように形成される。
流路基板42のうちZ方向の負側の表面には、支持体54が固定される。この支持体54には、収容部542と導入流路544とが形成される。収容部542は、平面視で(すなわちZ方向からみて)、流路基板42の開口部422に対応した外形の凹部(窪み)であり、導入流路544は、収容部542に連通する流路である。
流路基板42の開口部422と支持体54の収容部542とを互いに連通させた空間が、液体貯留室(リザーバー)Srとして機能する。液体貯留室Srは、液体容器16(図1参照)および導入流路544を通過したインクを貯留する。なお、液体貯留室Srは、インクの色毎に互いに独立して形成される場合もあるが、本実施形態では、説明の簡略化のため、1個のプリントヘッド30(アクチュエーターモジュール40)では、同色のインクを2m個のノズルNにわたって共通に貯留する。
この液体貯留室Srの底面を構成し、当該液体貯留室Srと内部流路とにおけるインクの圧力変動を抑制(吸収)する要素がコンプライアンス部64である。コンプライアンス部64は、例えばシート状に形成された可撓性の部材を含んで構成され、具体的には、流路基板42における開口部422と各供給流路424とを閉塞するように流路基板42の表面に固定される。
圧力室基板44のうち流路基板42とは反対側の表面に振動板46が設置される。振動板46は、弾性的に振動可能な平板状の部材であり、例えば酸化シリコン等の弾性材料で形成された弾性膜と、酸化ジルコニウム等の絶縁材料で形成された絶縁膜との積層で構成される。振動板46と流路基板42とは、圧力室基板44の各開口部442の内側で互い間隔をあけて対向する。各開口部442の内側で流路基板42と振動板46とに挟まれた空間は、インクに圧力を付与する圧力室Scとして機能する。各圧力室Scは、流路基板42の連通流路426を介してノズルNに連通する。
振動板46のうち圧力室基板44とは反対側の表面には、ノズルN(圧力室Sc)に対応する圧電素子Pztが形成される。
圧電素子Pztは、振動板46の面上に圧電素子Pzt毎に個別に形成された駆動電極72と、当該駆動電極72の面上に形成された圧電体74と、当該圧電体74の面上に形成された共通の駆動電極76とを包含する。なお、駆動電極72、76によって圧電体74を挟んで対向する領域が圧電素子Pztとして機能する。
圧電体74は、例えば加熱処理(焼成)を含む工程で形成される。具体的には、複数の駆動電極72が形成された振動板46の表面に塗布された圧電材料を、焼成炉内での加熱処理により焼成してから圧電素子Pzt毎に成形(例えばプラズマを利用したミーリング)することで圧電体74が形成される。
駆動電極72の一部は、封止体52および支持体54から露出しており、この露出部分において、配線基板34の一端が接着材で固着される。
配線基板34は、ポリイミドなどの絶縁性および可撓性を有するベースフィルム342に、複数の配線344をパターニングしたものであって、図示省略した半導体チップが実装されている。なお、配線基板24に半導体チップが実装された状態で、上記ICモジュールが構成される。
また、駆動電極72は、配線基板34の配線344に電気的に接続され、この接続によって、圧電素子Pztの一端には、後述する駆動信号Voutが個別に印加される構成となっている。
一方、駆動電極76は、図4では詳細について示されていないが、複数の圧電素子Pztにわたって共通接続されるとともに、封止体52および支持体54から露出部分まで引き回されて、配線基板34における別の配線344に電気的に接続される。この接続によって、複数の圧電素子Pztの他端には、後述する電圧VBSが共通に印加される構成となっている。
このような構成の圧電素子Pztにあっては、駆動電極72、76で印加された電圧に応じて、当該駆動電極72、76および振動板46とともに、図4において、周辺に対して中央部分が両端部分に対して上または下方向に撓む。具体的には、本実施形態において圧電素子Pztへの印加電圧(電圧VBSに対する駆動信号Voutの電圧)が低いと、上方向に撓み、印加電圧が高くなるにつれて、徐々にフラットに向かい、さらに印加電圧が高くなると、下方向に撓む構成となっている。
ここで、上方向に撓めば、圧力室Scの内部容積が拡大するので、インクが液体貯留室Srから引き込まれる一方、下方向に撓めば、圧力室Scの内部容積が縮小するので、縮小の程度によっては、インク滴がノズルNから吐出される。
このように、圧電素子Pztに適切な駆動信号が印加されると、当該圧電素子Pztの変位によって、インクがノズルNから吐出される構成となっている。
図5は、インクジェットプリンター1の電気的な構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、インクジェットプリンター1は、制御モジュール10にヘッドモジュール20がFFC190を介して接続された構成となっている。
制御モジュール10は、制御部110と、複数の駆動部120と、定電圧生成回路130とを含む。
制御部110は、CPUや、RAM、ROMなどを有する一種のマイクロコンピューターであり、印刷対象となる画像データがホストコンピューター等から供給されたときに、所定のプログラムを実行して各部を制御するための各種の制御信号等を出力する。
駆動部120は、例えばプリントヘッド30と一対一に対応して設けられる。
定電圧生成回路130は、電圧VBSの定電圧信号を生成して、FFC190を介してヘッドモジュール20に供給する。
なお、制御部110は、搬送機構80および移動機構90を制御するための信号も出力するが、その制御のための構成については既知であるので省略する。
インクジェットプリンター1では、駆動部120およびプリントヘッド30の複数組が、移動機構90によるキャリッジ18の主走査および搬送機構80による媒体Pの副走査に合わせてそれぞれ独立に制御される。
複数組の動作については、吐出されるインクの色および吐出タイミング以外に異なることがないので、以下においては便宜的に1組の駆動部120およびプリントヘッド30について着目して説明することにする。
図6は、駆動部120およびプリントヘッド30の1組分の構成を示すブロック図である。
駆動部120には、駆動回路122aおよび122bが含まれる。
駆動回路122aは、詳細には後述するが、制御部110から供給されるデータdAおよび信号Fltaに基づいて駆動信号Com−Aを生成する。データdAは、台形波形である駆動信号Com−Aの電圧をデジタルで規定し、信号Fltaは、駆動信号Com−Aの電圧を上昇または下降させる場合に例えばLレベルとなり、駆動信号Com−Aの電圧を時間的に一定の状態(ほぼ一定とみなせる状態を含む)にさせる場合にHレベルとなる。
駆動回路122bは、制御部110から供給されるデータdBおよび信号Fltbに基づいて駆動信号Com−Bを生成する。データdBは、台形波形である駆動信号Com−Bの電圧をデジタルで規定し、信号Fltbは、駆動信号Com−Bの電圧を上昇または下降させる場合に例えばLレベルとなり、駆動信号Com−Bの電圧を時間的に一定にさせる場合にHレベルとなる。
駆動回路122aによって生成された駆動信号Com−Aと、駆動回路122bによって生成された駆動信号Com−Bと、制御部110から供給された制御信号Ctrとは、FFC190を介してプリントヘッド30に供給される。なお、制御信号Ctrには、印刷信号SI、信号LAT、CH、クロック信号等が含まれる。
このうち、印刷信号SIは、インクの吐出による形成されるドットの大きさを、ノズルN毎に規定するデータである。本実施形態では、1つのノズルNによって、ドットの大きさが、4段階で、すなわち大ドット、中ドット、小ドット、非記録(ドット無し)の4階調で規定される。このため、印刷信号SIは、ノズルNの1個に対して、2ビットで階調をするとして説明する。
また、信号LAT、CHは、プリントヘッド30における印刷の制御期間やタイミング等を規定する信号である。
プリントヘッド30には、アクチュエーターモジュール40およびICモジュール50が含まれる。ICモジュール50は、選択制御部510と、圧電素子Pztに一対一に対応した選択部520と、を有する。
このうち、選択制御部510は、選択部520の各々における選択をそれぞれ制御する。詳細には、選択制御部510は、制御部110からクロック信号に同期して供給される印刷信号SIを、プリントヘッド30におけるノズルN(圧電素子Pzt)の個数である2m個分だけ一旦蓄積するとともに、各選択部520に対し、信号LAT、CHで規定される印刷の制御期間毎に、蓄積した印刷信号SIにしたがって駆動信号Com−AまたはCom−Bを選択させる。
選択部520は、選択制御部510による指示にしたがって、駆動信号Com−A、Com−Bのいずれかを選択し(または、いずれも選択せずに)、該選択した駆動信号をアクチュエーターモジュール40における圧電素子Pztの一端(駆動電極72、図4参照)に印加する。なお、選択部520によって選択されて、圧電素子Pztの一端に印加される駆動信号の電圧をVoutと表記している。
このように駆動信号Com−A、Com−Bは、FFC190、ICモジュール50、アクチュエーターモジュール40における配線や回路等を介して、圧電素子Pztの一端に印加される。
アクチュエーターモジュール40では、上述したようにノズルN毎に圧電素子Pztが1個ずつ設けられる。圧電素子Pztの各々における他端である駆動電極76は、共通接続されて、当該他端には定電圧生成回路130によって生成された電圧VBSが共通に印加される。
本実施形態において、1つのドットについては、1つのノズルNからインクが最多で2回吐出されることで、大ドット、中ドット、小ドットおよび非記録の4階調が表現される。この4階調を表現するために、本実施形態では、2種類の駆動信号Com−AおよびCom−Bが用意されるとともに、駆動信号Com−AおよびCom−Bの1周期がそれぞれ前半期間と後半期間とに分けられている。そして、1周期のうち、前半期間および後半期間において駆動信号Com−AまたはCom−Bが、表現すべき階調に応じた選択されて(または選択されないで)、圧電素子Pztの一端に印加される構成となっている。
そこで、駆動信号Com−A、Com−Bについて説明し、この後、駆動信号Com−A(Com−B)を生成する駆動回路122a(122b)の詳細について説明する。
図9は、駆動信号Com−A、Com−Bの波形等を示す図である。なお、駆動回路122a(122b)により実際に生成される駆動信号Com−A(Com−B)の電圧は、後述するように振動するので、ここで示される波形は、理想的なものである。
図9に示されるように、駆動信号Com−Aは、印刷周期Taのうち、信号LATが出力されてから信号CHが出力されるまでの制御期間T1に配置された台形波形Adp1と、印刷周期Taのうち、信号CHが出力されてから次の信号LATが出力されるまでの制御期間T2に配置された台形波形Adp2とが繰り返される波形となっている。
台形波形Adp1、Adp2とは、互いにほぼ同一の波形であり、仮にそれぞれが圧電素子Pztの一端である駆動電極72に印加されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから中程度の量のインクをそれぞれ吐出させる波形である。
駆動信号Com−Bは、制御期間T1に配置された台形波形Bdp1と、制御期間T2に配置された台形波形Bdp2とが繰り返される波形となっている。
台形波形Bdp1、Bdp2とは、互いに異なる波形である。このうち、台形波形Bdp1は、ノズルN付近のインクを微振動させてインクの粘度の増大を防止するための波形である。このため、仮に台形波形Bdp1が圧電素子Pztの一端に印加されたとしても、当該圧電素子Pztに対応するノズルNからインク滴が吐出されない。また、台形波形Bdp2は、仮にそれが圧電素子Pztの一端に印加されたとしたならば、当該圧電素子Pztに対応するノズルNから上記中程度の量よりも少ない小程度の量のインクを吐出させる波形である。
なお、ここでいう中程度、小程度は、相対的な概念であって、インクの量を絶対値で規定するものではない。
台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の開始タイミングでの電圧と、終了タイミングでの電圧とは、いずれも電圧Vcenで共通である。すなわち、台形波形Adp1、Adp2、Bdp1、Bdp2の各々は、いずれも電圧Vcenで開始し、電圧Vcenで終了する波形となっている。
また、便宜的に台形波形Adp1、Adp2の電圧の最大値をVmaxと表記し、台形波形Adp1、Adp2の電圧の最小値をVminと表記している。
印刷信号SIによって、あるノズルNについて大ドットの形成が指定された場合、該ノズルNに対応する選択部520では、例えば制御期間T1およびT2において駆動信号Com−Aを選択するように選択制御部510が制御する。この制御によって選択された台形波形Adp1および台形波形Adp2が圧電素子Pztの一端に印加されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pにはそれぞれのインクが着弾し合体して、結果的に、印刷信号SIで規定される通りの大ドットが形成されることになる。
印刷信号SIによって、あるノズルNについて中ドットの形成が指定された場合、該ノズルNに対応する選択部520では、例えば制御期間T1において駆動信号Com−Aを選択するように、続く制御期間T2において駆動信号Com−Bを選択するように、選択制御部510がそれぞれ制御する。この制御によって選択された台形波形Adp1および台形波形Bdp2が圧電素子Pztの一端に印加されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、中程度および小程度の量のインクが2回にわけて吐出される。このため、媒体Pには、それぞれのインクが着弾して合体し、結果的に、印刷信号SIで規定された通りの中ドットが形成されることになる。
印刷信号SIによって、あるノズルNについて小ドットの形成が指定された場合、該ノズルNに対応する選択部520では、例えば制御期間T1において駆動信号Com−Aおよび駆動信号Com−Bのいずれも選択せず、続く制御期間T2において駆動信号Com−Bを選択するように、選択制御部510が制御する。この制御によって選択された台形波形Bdp2のみが圧電素子Pztの一端に印加されると、当該圧電素子Pztに対応したノズルNから、小程度の量のインクが1回だけ吐出される。このため、媒体Pには、結果的に、印刷信号SIで規定された通りの小ドットが形成されることになる。
なお、駆動信号Com−Aおよび駆動信号Com−Bのいずれも選択されない場合、圧電素子Pztの一端は、電気的にどの部分にも接続されない状態になるが、圧電素子Pztでは、自己が有する容量性によって電圧(Vcen−VBS)が保持されるので、不定とはならない。
印刷信号SIによって、あるノズルNについて非記録が指定された場合、該ノズルNに対応する選択部520では、例えば制御期間T1において駆動信号Com−Bを選択するように、続く制御期間T2において駆動信号Com−Aおよび駆動信号のいずれも選択しないように、選択制御部510が制御する。この制御によって台形波形Bdp1のみが圧電素子Pztの一端に印加されると、ノズルN付近のインクが微振動するのみであり、インクは吐出されないので、結果的に、印刷データSIで規定された通りの非記録になる。
なお、制御部110は、信号FltaおよびFltbを上述したように論理レベルで出力する点は、上述した通りである。
次に、駆動回路122a、122bの詳細について説明する。
図7は、駆動回路122aおよび122b等の構成を示す図である。
この図に示されるように、駆動回路122aは、DAC(Digital to Analog Converter)1202と、コンパレーター1204と、制御信号生成回路126と、ハイサイドのトランジスター231と、ローサイドのトランジスター232と、抵抗素子R1、R2とを含む。
DAC1202は、制御部110から供給されたデータdAを、アナログの元駆動信号Caに変換する。ここで、駆動回路122aは、元駆動信号Caの電圧を例えば10倍に増幅して、ノードU1から駆動信号Com−Aとして出力する。
元駆動信号Caは、コンパレーター1204の負入力端(−)に供給される。コンパレーター1204の正入力端(+)には、駆動信号Com−Aを、抵抗素子R1、R2によって電圧増幅率の逆比である1/10に降圧した信号が帰還される。すなわち、コンパレーター1204の正入力端(+)には、ノートU1から出力される駆動信号Com−Aの電圧を1/10に降圧した信号が帰還信号として帰還される。
コンパレーター1204は、正入力端(+)の電圧が負入力端(−)の電圧以上であれば、Hレベルの信号Cmpを出力し、正入力端(+)の電圧が負入力端(−)の電圧未満であれば、Lレベルの信号Cmpを出力する。
制御信号生成回路126は、詳細については後述するが、トランジスター231のスイッチング動作を制御するゲート信号(第1制御信号)Gpと、トランジスター232のスイッチング動作を制御するゲート信号(第2制御信号)Gnとを、信号Cmpおよび信号Fltaに基づいて生成する。
トランジスター(第1トランジスター)231およびトランジスター(第2トランジスター)232によってトランジスター対が構成される。このうち、ハイサイドのトランジスター231は、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ソース端子には電源の高位側電圧Vが印加され、ゲート端子にはゲート信号Gpが供給されている。ローサイドのトランジスター232は、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターであり、ゲート端子にはゲート信号Gnが供給され、ソース端子が電源の低位側となるグランドGndに接地されている。
トランジスター231および232のドレイン端子同士は、ノードU1に接続されており、該ノードU1から駆動信号Com−Aが出力される。
なお、駆動信号Com−Aの最高電圧は例えば40V(ボルト)程度であるので、トランジスター対の電源の高位側電圧Vは例えば42V程度である。
このため、図7におけるコンパレーター1204および制御信号生成回路126の電源は、特に図示しないが、高位側が電圧Vとなっている。
また、上述したように、駆動回路122aでは、元駆動信号Caが電圧10倍に増幅して駆動信号Com−Aとして出力する構成としているので、元駆動信号Caの電圧範囲は0〜4.2V程度である。
駆動回路122bについても、供給される信号および出力される信号以外、駆動回路122aと同様である。詳細には、駆動回路122bは、制御部110から供給されたデータdBをDAC1202によってアナログの元駆動信号Cbに変換し、元駆動信号Cbを電圧10倍に増幅して駆動信号Com−Bとして出力する構成となっている。
駆動回路122aによる駆動信号Com−Aと、駆動回路122bによる駆動信号Com−Bとは、FFC190を介して、プリントヘッド30に供給されるが、図7において、FFC190等の寄生インダクタンスをLと表記している。
図8は、駆動回路122aにおける制御信号生成回路126の一例を示す図である。図8に示されるように、制御信号生成回路126は、第1論理回路群JL1と、第2論理回路群JL2と、スイッチSwとを含む。
このうち、第1論理回路群JL1は、2つのバッファ回路B1、B2を有する。バッファ回路B1は、コンパレーター1204による信号Cmpを反転するインバーター(NOT回路)1261と、該インバーター1261による反転信号を再反転して信号P1として出力するインバーター1262とを含み、バッファ回路B2は、信号Cmpを反転するインバーター1263と、該インバーター1263による反転信号を再反転して信号P2として出力するインバーター1264とを含む。
第2論理回路群JL2は、2つのバッファ回路B3、B4を有する。バッファ回路B3は、信号Cmpを反転するインバーター1265と、該インバーター1265による反転信号を再反転して信号N1として出力するインバーター1266とを含み、バッファ回路B4は、信号Cmpを反転するインバーター1267と、該インバーター1267による反転信号を再反転して信号N2として出力するインバーター1268とを含む。
スイッチSwは、入力端a、bおよび共通接続端cを有する双投スイッチを、2極有する。スイッチSwの極の各々において、共通接続端cには、信号FltaがHレベルであれば入力端aが接続され、信号FltaがLレベルであれば入力端bが接続される。
2極のうちの一方の極においては、入力端aに信号P1が供給され、入力端bに信号P2が供給され、共通出力端cがトランジスター231のゲート端子に接続される。また、2極のうちの他方の極においては、入力端aに信号N1が供給され、入力端bに信号N2が供給され、共通出力端cがトランジスター232のゲート端子に接続される。
したがって、制御信号生成回路126では、信号FltaがHレベルであれば、ゲート信号Gpとして信号P1が出力され、ゲート信号Gnとして信号N1が出力される。また、制御信号生成回路126では、信号FltaがLレベルであれば、ゲート信号Gpとして信号P2が出力され、ゲート信号Gnとして信号N2が出力される。
バッファ回路B1〜B4の各々は、入力である信号Cmpと同じレベルの論理信号を出力する動作(バッファリング)を実行するものである。ただし、バッファ回路B1〜B4では、信号Cmpの電圧変化に対し、同じ論理レベルとなるように切り替わる電圧の基準(閾値)が異なっている。
図10および図11は、信号Cmpの電圧変化に対して信号P1、N1、P2、N2の論理レベルがどのように変化を示す図である。なお、図10は、横軸を時間とし、図11は、横軸を信号Cmpの電圧としている。
これらの図において、B1_thは、バッファ回路B1における閾値であり、B2_thは、バッファ回路B2における閾値であり、B3_thは、バッファ回路B3における閾値であり、B4_thは、バッファ回路B4における閾値である。本実施形態では、各閾値の高低関係が次のように設定されている。
B2_th<B1_th<B3_th<B4_th
このように閾値が設定されていると、信号CmpがHレベルに相当する電圧VからLレベルに相当するグランドGnd(電圧ゼロ)まで徐々に下降する場合に、バッファ回路B1〜B4の出力信号がHレベルからLレベルに変化する順番は、
信号N2→信号N1→信号P1→信号P2
となる。
逆に、信号CmpがLレベルに相当する電圧ゼロからHレベルに相当する電圧Vまで徐々に上昇する場合に、バッファ回路B1〜B4の出力信号がLレベルからHレベルに変化する順番は、
信号P2→信号P1→信号N1→信号N2
となる。
トランジスター231は、信号P1またはP2がLレベルであればオンし、トランジスター232は、信号N1またはN2がHレベルであればオンする。
信号FltaがHレベルであれば、トランジスター231のゲート信号Gpが信号P1となり、トランジスター232のゲート信号Gnが信号N1となる。
したがって、信号FltaがHレベルであって、信号CmpがHレベルからLレベルに徐々に下降する場合、信号N1がLレベルになってトランジスター232がオフした後に、信号P1がLレベルになってトランジスター231がオンすることになる。一方、信号CmpがLレベルからHレベルに徐々に上昇する場合、信号P1がHレベルになってトランジスター231がオフした後に、信号N1がHレベルになってトランジスター232がオンすることになる。
また、信号FltaがLレベルであれば、トランジスター231のゲート信号Gpが信号P2となり、トランジスター232のゲート信号Gnが信号N2となる。
したがって、信号FltaがLレベルであって、信号CmpがHレベルからLレベルに徐々に下降する場合、信号N2がLレベルになってトランジスター232がオフした後に、信号P2がLレベルになってトランジスター231がオンすることになる。一方、信号FltaがLレベルであって、信号CmpがLレベルからHレベルに徐々に上昇する場合、信号P2がHレベルになってトランジスター231がオフした後に、信号N2がHレベルになってトランジスター232がオンすることになる。
このため、本実施形態では、信号Cmpの電圧が変化する場合においては、信号Fltaの論理レベルにかかわらず、トランジスター231または232の一方がオンからオフに切り替わった後に、他方がオフからオンに切り替わり、かつ、トランジスター231、232が同時にオンになることはない。
換言すれば、信号Cmpの論理レベルが変化する場合において、トランジスター231および232のいずれもがオフする状態が存在する。トランジスター231および232のいずれもがオフする状態では、ノードU1における電圧(駆動信号Com−Aの電圧)が上昇方向にも下降方向にも制御されないことを意味する。このため、トランジスター231および232のいずれもがオフする信号Cmpの電圧範囲を、駆動信号Com−Aの電圧が制御されない(できない)範囲という意味で不感帯(またはデッドバンド)と称することにする。
なお、本実施形態では、トランジスター231、232が同時にオンすることがないので、貫通電流が流れてしまうことが防止される。
バッファ回路B1〜B4における閾値は上記のように設定されているので、信号FltaがHレベルである場合の不感帯Db_Hは、信号FltaがLレベルである場合の不感帯Db_Lに含まれ、かつ、電圧範囲よりも狭くなる。
なお、図10は、横軸を時間として、信号Cmpの電圧変化に対して信号P1、N1、P2、N2の論理レベルがどのように変化を示すための図であって、本実施形態において、信号Cmpが実際に図に示されるように変化することを意味しているわけではない。
図12は、駆動回路122aの動作を説明するための各部における電圧波形を示す図である。
上述したように、駆動信号Com−A(元駆動信号Ca)は、印刷周期Taにおいて2つの同じ台形波形Adp1、Adp2が繰り返された波形であるので、台形波形Adp1で代表させて説明することにする。また、駆動信号Com−Aは、元駆動信号Caの電圧を10倍に増幅した関係にあるので、駆動信号Com−Aの電圧Vcen、Vmax、Vminは、元駆動信号Caでは、それぞれ電圧Vcen/10、Vmax/10、Vmin/10に対応することになる。
図12において、期間K1は、元駆動信号Caが、電圧Vcen/10から電圧Vmin/10まで下降する期間であり、該期間K1に続く期間K2は、元駆動信号Caが電圧Vmin/10で一定となる期間であり、該期間K2に続く期間K3は、元駆動信号Caが電圧Vmin/10から電圧Vmax/10まで上昇する期間である。また、該期間K3に続く期間K4は、元駆動信号Caが電圧Vmax/10で一定となる期間であり、該期間K4に続く期間K5は、元駆動信号Caが電圧Vmax/10から電圧Vcen/10まで下降する期間であり、該期間K5に続く期間K6は、元駆動信号Caが電圧Vcen/10で一定となる期間である。
まず、期間K1は、元駆動信号Caの電圧下降期間であるので、信号FltaがLレベルとなる。このため、ゲート信号Gpは信号P2となり、ゲート信号Gnは信号N2となる。
ここで、駆動信号Com−Aの電圧を1/10に分圧した電圧、すなわち帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも低いと仮定する。この仮定において、信号CmpはLレベルとなるので、信号P2、N2がともにLレベルとなる。このため、トランジスター231はオンし、トランジスター232がオフするので、駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御が実行される。
駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御の結果、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも高くなる過程では、信号CmpがLレベルからHレベルに上昇する。この上昇過程では、上述したように、信号P2がHレベルになってトランジスター231がオフした後、信号N2がHレベルになってトランジスター232がオンするので、今度は、駆動信号Com−Aの電圧を下降させる制御が実行される。
駆動信号Com−Aの電圧を下降させる制御の結果、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも低くなる過程では、信号CmpはHレベルからLレベルに下降する。この下降過程では、上述したように、信号N2がLレベルになってトランジスター232がオフした後、信号P2がLレベルになってトランジスター231がオンするので、再び、駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御が実行される。
結局、期間K1では、トランジスター231および232の交互オンを繰り返すことによって、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧下降に追従するように制御される。このような制御の結果、期間K1では、駆動信号Com−Aの電圧が、元駆動信号Caの10倍した目標電圧に対して振動しながら、下降することになる。
期間K2は、元駆動信号Caが電圧Vmin/10で一定となる期間であるので、信号FltaがHレベルとなる。このため、ゲート信号Gpは信号P1となり、ゲート信号Gnは信号N1となる。
帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも低い場合、信号CmpはLレベルとなるので、信号P1、N1がともにLレベルとなる。このため、トランジスター231はオンし、トランジスター232がオフするので、駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御が実行される。
駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御により、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも高くなる過程では、信号CmpがレベルからHレベルに上昇する。この上昇過程では、上述したように、信号P1がHレベルになってトランジスター231がオフした後、信号N1がHレベルになってトランジスター232がオンするので、今度は、駆動信号Com−Aの電圧を下降させる制御が実行される。
駆動信号Com−Aの電圧を下降させる制御により、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも低くなる過程では、信号CmpはHレベルからLレベルに下降する。この下降過程では、信号N1がLレベルになってトランジスター232がオフした後、信号P1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、再び、駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御が実行される。
結局、期間K2では、トランジスター231および232の交互オンを繰り返すことによって、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧Vmin/10で一定となるように制御される。このような制御の結果、期間K2では、駆動信号Com−Aの電圧が、目標電圧Vminに対して振動しながら、おおよそ一定に保たれる。
期間K3は、元駆動信号Caの電圧上昇期間であるので、信号FltaがLレベルとなる。このため、ゲート信号Gpは信号P2となり、ゲート信号Gnは信号N2となる。
ここで、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも低い場合、信号CmpはLレベルとなるので、信号P2、N2がともにLレベルとなる。このため、トランジスター231はオンし、トランジスター232がオフするので、駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御が実行される。
駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御の結果、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも高くなる過程では、信号CmpがレベルからHレベルに上昇する。この上昇過程では、信号P1がHレベルになってトランジスター231がオフした後、信号N1がHレベルになってトランジスター232がオンするので、今度は、駆動信号Com−Aの電圧を下降させる制御が実行される。
駆動信号Com−Aの電圧を下降させる制御の結果、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧よりも低くなる過程では、信号CmpはHレベルからLレベルに下降する。この下降過程では、信号N1がLレベルになってトランジスター232がオフした後、信号P1がLレベルになってトランジスター231がオンするので、再び、駆動信号Com−Aの電圧を上昇させる制御が実行される。
結局、期間K3では、トランジスター231および232の交互オンを繰り返すことによって、帰還信号の電圧が元駆動信号Caの電圧上昇に追従するように制御される。このような制御の結果、期間K3では、駆動信号Com−Aの電圧が、目標電圧に対して振動しながら、上昇することになる。
期間K4は、元駆動信号Caが電圧Vmax/10で一定となる期間であるので、元駆動信号Caの電圧以外、期間K2の動作と異なるところはない。すなわち、期間K4では、駆動信号Com−Aの電圧が、目標電圧Vmaxに対して振動しながら、おおよそ一定に保たれる。
期間K5は、元駆動信号Caの電圧下降期間であるので、期間K1と同様な動作となる。すなわち、期間K5では、駆動信号Com−Aの電圧が、目標電圧に対して振動しながら、下降することになる。
期間K6は、元駆動信号Caが電圧Vcen/10で一定となる期間であるので、元駆動信号Caの電圧以外、期間K2、K4の動作と異なることはない。すなわち、期間K6では、駆動信号Com−Aの電圧が、目標電圧Vcenに対して振動しながら、おおよそ一定に保たれる。
このように、期間K1〜K6では、いずれもトランジスター231および232の交互オンを繰り返すことによって、目標電圧に対して振動しながら、駆動信号Com−Aの電圧が制御される。
ここで、本実施形態において、トランジスター231および232の交互オンを繰り返すことによる効果を説明する前に、従来の駆動回路について説明する。
図21は、特許文献3に記載された従来の駆動回路の構成を示す図であり、図22は、該駆動回路における動作を説明するための図である。
図21に示される駆動回路が、図7に示される駆動回路122aと相違する点は、図7におけるコンパレーター1204が差動増幅器221に置き換わっている点、および、制御信号生成回路126がセレクター223に置き換わって、信号OCaが供給されている点にある。なお、便宜的にトランジスター231へのゲート信号をGt1に改称し、トランジスター232へのゲート信号をGt2と改称している。
なお、図21では、比較のために1つの駆動回路のみについて簡易的に示している。また、図21に示される駆動回路では、抵抗素子R1、R2を含んでいないが、信号CAがDACにおいて10倍化されて差動増幅器221の負入力端(−)に供給されると考えればよい。
差動増幅器221は、正入力端(+)に供給されるノードU1からの帰還信号(駆動信号Com)に対する信号CAの電圧差に応じた信号Opを出力する。すなわち、差動増幅器221は、比較結果を出力するコンパレーターではなく、電圧差に応じた信号を出力する演算増幅器である。
信号OCaは、図22に示されるように、信号CAの電圧が上昇する期間と、信号CAが電圧Vth以上の電圧で一定となる期間においてLレベルとなり、他の期間ではHレベルとなる。
なお、電圧Vthは、抵抗素子R11、R12で定まる電源電圧Vの分圧電圧におおよそ等しい。
セレクター223は、信号OCaがLレベルであれば、ゲート信号Gt1として差動増幅器221の出力信号を選択し、トランジスター231のゲート端子に供給するとともに、ゲート信号Gt2としてLレベルを選択し、トランジスター232のゲート端子に供給する。一方、セレクター223は、信号OCaがHレベルであれば、ゲート信号Gt1としてHレベルを選択し、トランジスター231のゲート端子に供給するとともに、ゲート信号Gt2として差動増幅器221の出力信号を選択し、トランジスター232のゲート端子に供給する。
信号CAの電圧上昇期間では、信号OCaがLレベルになるので、セレクター223は、ゲート信号Gt2としてLレベルを選択する結果、トランジスター232がオフする。また、信号CAの電圧上昇期間では、セレクター223は、ゲート信号Gt1として信号Opを選択する。
信号CAの電圧上昇期間では、信号CAの電圧が、ノードU1における電圧よりも先んじて上昇するので、ゲート信号Gt1として選択される差動増幅器221の出力信号の電圧は、両者の差電圧に応じて低くなり、ほぼLレベルに振れる。ゲート信号Gt1がLレベルになると、トランジスター231がオンするので、ノードU1における電圧が上昇する。なお、ノードU1の電圧は、容量性を有する圧電素子Pztなどにより、実際には、一気に電圧Vに上昇することはなく、緩慢に上昇する。
ノードU1の電圧が信号CAの電圧以上になると、ゲート信号Gt2がHレベルになり、トランジスター231がオフする。トランジスター231がオフすると、ノードU1における電圧の上昇は停止するが、信号CAの電圧が上昇しているので、再びノードU1の電圧が信号CAの電圧よりも低くなる。このため、ゲート信号Gt1がLレベルとなって、トランジスター231が再びオンすることになる。
このため、信号CAの電圧上昇期間では、トランジスター232がオフした状態で、トランジスター231がオンオフを繰り返す、すなわちスイッチング動作をする。このスイッチング動作により、ノードU1の電圧、すなわち駆動信号Comの電圧を、信号CAの電圧の上昇に追従させる制御が実行されることになる。
なお、トランジスター231は、条件次第であるがスイッチング動作ではなく、リニア動作となる場合もある。
信号CAの電圧下降期間では、信号OCaがHレベルになるので、セレクター223は、ゲート信号Gt1としてHレベルを選択する結果、トランジスター231はオフする。また、信号CAの電圧下降期間では、セレクター223は、ゲート信号Gt1として信号Opを選択する。
したがって、信号CAの電圧下降期間では、電圧上昇期間とは逆に、トランジスター231がオフした状態で、トランジスター232がオンオフを繰り返す、すなわちスイッチング動作をする。このスイッチング動作により、駆動信号Comの電圧を、信号CAの電圧の下降に追従させる制御が実行されることになる。
なお、トランジスター232は、条件次第であるがスイッチング動作ではなく、リニア動作となる場合もある。
信号CAが図22における閾値Vth未満で一定の期間であれば、信号OCaがHレベルになるので、セレクター223は、ゲート信号Gt1としてHレベルを選択し、ゲート信号Gt2として信号Opを選択する。
この期間において、ノードU1の電圧が信号CAの電圧に対して高ければ、差動増幅器221の出力電圧も高くなるので、ゲート信号Gt2の電圧、すなわちトランジスター232のソース・ドレイン間の抵抗が小さくなり、ノードU1の電圧を下降させるように働く。一方、ノードの電圧が信号CAの電圧に対して低ければ、ゲート信号Gt2の電圧も低くなるので、トランジスター232のソース・ドレイン間の抵抗が大きくなり、ノードU1の電圧を、電圧Vthに近づくように上昇させる方向に働く。すなわち、トランジスター232はリニア動作をする。
したがって、この期間では、ノードU1の電圧を下降させる方向と上昇させる方向とが均衡するような制御、具体的には、信号CAの電圧VminまたはVcenで一定となるように制御にされる。
信号CAが図22における閾値Vth以上で一定の期間であれば、信号OCaがLレベルになるので、セレクター223は、ゲート信号Gt1として信号Opを選択し、ゲート信号Gt2としてLレベルを選択する。
この期間において、ノードU1の電圧が信号CAの電圧に対して高ければ、ゲート信号Gt1の電圧も高くなるので、トランジスター231のソース・ドレイン間の抵抗が小さくなり、ノードU1の電圧を、電圧Vthに近づくように下降させる方向に働く。
一方、ノードの電圧が信号CAの電圧に対して低ければ、ゲート信号Gt1の電圧も低くなるので、トランジスター231のソース・ドレイン間の抵抗が大きくなり、ノードU1の電圧を上昇させる方向に働く。すなわち、トランジスター231はリニア動作をする。
したがって、この期間においても、信号CAの電圧Vmaxで一定となるように制御にされる。
しかしながら、従来の駆動回路では、負荷が大きいと、駆動信号Comの波形精度が低下して、インクの吐出に悪影響を及ぼす点が指摘されている。
特に、近年では、高速印刷や高精細印刷の要求が高まっており、当該要求に応えるためにはノズル数を大幅に増加することが必要となり、その結果、同時に駆動される圧電素子の数も大幅に増加することになる。圧電素子Pztが駆動される個数が多いと、駆動回路と、該駆動回路に対する圧電素子群との間で流れる電流Iが大幅に増加する。
また、大判サイズの媒体Pに印刷が可能なLFPでは、FFC190が長大化する。このため、FFC190や基板配線の寄生インダクタンスLが大きくなる。
電流Iが増加し、基板配線の寄生インダクタンスLが大きい状況において、圧電素子を駆動する駆動信号Comには、寄生インダクタンスLと電流Iの変化率との積(L×dI/dt)に比例した大きさのノイズが重畳して、大きなリップルが発生する。
具体的には、従来の駆動回路において、元駆動信号CAの電圧上昇期間にトランジスター231がオンからオフに変化した直後では、寄生インダクタンスLの影響によって電流Iは直ちにゼロにはならず、また、トランジスター231がオフからオンに変化した直後では、寄生インダクタンスLの影響によって電流Iが瞬時には流れ始めない。
このため、元駆動信号CAの電圧上昇期間では、トランジスター231のオン/オフに対して、駆動信号の電流は直ちに該オン/オフを反映しない。元駆動信号CAの電圧下降期間においても、同様であり、トランジスター232のオン/オフに対して、駆動信号の電圧は直ちに該オン/オフを反映しない。
このように、従来の駆動回路では、駆動信号Comの電流が、トランジスター231または232のオンオフ通りに流れず、遅延気味となる結果、駆動信号Comには、大きなリップルが発生する。
また、従来の駆動回路では、元駆動信号CAの電圧一定期間において、トランジスター231または232は、オンオフのスイッチング動作ではなく、リニア動作となる。このため、元駆動信号CAが電圧変化期間から電圧一定期間に移行した直後では、誤差を伴いやすくなる。
具体的には、元駆動信号CAの電圧上昇期間から電圧一定期間に転じるとき、駆動信号Comの電圧は、図23に示されるように、誤差ΔV1を伴うことになり、元駆動信号CAの下降期間から一定期間に転じるとき、駆動信号Comの電圧は、図24に示されるように、誤差ΔV2を伴うことになる。
このため、従来の駆動回路では、同時に駆動される圧電素子の数が多い場合や、FFC190が長大化する場合に、駆動信号Comの波形精度が低下して、インクの吐出に悪影響を及ぼすことになる。
これに対して、本実施形態では、元駆動信号Caの電圧変化期間および電圧一定期間において、トランジスター231および232が交互オンを繰り返しているので、次のような効果がある。
詳細には、本実施形態の駆動回路122aにおいても、寄生インダクタンスLが大きければ、トランジスター231(232)がオンからオフに変化した直後に、電流Iが直ちにゼロにはならない。ただし、トランジスター231(232)がオフした後に、トランジスター232(231)がオンして、逆向きに流れようとするので、電流Iを迅速に低下させることができる。
したがって、本実施形態では、駆動信号Com−Aの電圧が、元駆動信号Caの電圧10倍に高精度に追従するので、同時に駆動される圧電素子の数が多い場合や、FFC190が長大化する場合であっても、駆動信号Com−Aの波形精度を高く保つことができる。よって、本実施形態では、インクの高精度な吐出が可能となる。
さらに、本実施形態では、元駆動信号Caの電圧変化する期間K1、K3、K5と、元駆動信号Caの電圧が変化しない期間K2、K4、K6とでは、ゲート信号Gp、Gnとして用いられる信号が互いに異なる。具体的には、期間K1、K3、K5では、信号FltaがLレベルとなるので、ゲート信号Gpとして信号P2が、ゲート信号Gnとして信号N2が、それぞれ用いられるのに対し、期間K2、K4、K6では、信号FltbがHレベルとなるので、ゲート信号Gpとして信号P1が、ゲート信号Gnとして信号N1が、それぞれ用いられる。
そこで次に、ゲート信号Gp、Gnとして用いられる信号が切り替えられると、どうなるのか、という点について説明する。
上述したように、信号FltaがHレベルである場合における信号P1、N1での不感帯Db_Hは、信号FltaがLレベルである場合における信号P2、N2での不感帯Db_Lに含まれ、かつ、電圧範囲が狭くなっている。
不感帯は、信号Cmpの電圧範囲のうち、駆動信号Com−Aの電圧が目標電圧からズレていても、トランジスター231、232が双方ともオフして、駆動信号Com−Aの電圧が制御されない範囲である。
本実施形態では、トランジスター231および232が交互にオンするので、駆動信号Com−Aでは、電圧の上昇および下降が繰り返される。すなわち、駆動信号Com−Aの電圧は、元駆動信号Caの電圧を10倍した目標電圧を中心にして振動することになる。
不感帯が狭いと、駆動信号Com−Aの電圧が目標電圧からズレる幅、すなわち振動幅も狭くなるので、駆動信号Com−Aの波形精度を確保する、という観点では、好ましいと言える。
ただし、目標電圧が変化する場合に、不感帯が狭いと、トランジスター231、232が交互にオンする間隔が短くなり過ぎて、トランジスター231、232の応答が追い付かなくなる、または、トランジスター231、232に高速応答が要求される等の問題が生じる場合がある。
そこで、本実施形態では、入力である元駆動信号Caの電圧が変化して、出力である駆動信号Com−Aを電圧変化させる場合には、信号FltaのLレベルによって幅大(広)の不感帯Db_Lとする一方、元駆動信号Caの電圧が一定であり、駆動信号Com−Aを電圧一定で出力すべき場合には、信号FltaをHレベルによって幅小(狭)の不感帯Db_Hとしている。
これにより、図12に示されるように、期間K1、K3、K5における駆動信号Com−Aの振動幅は、期間K2、K4、K6における振動幅よりも、大きくなる。
ここで、説明便宜上、図12に示されるように、元駆動信号Caの電圧が上昇する期間K3における駆動信号Com−Aの波形部分を第1領域とする。駆動信号Com−Aの電圧は、上述したように目標電圧に対して振動するので、第1領域については、該駆動信号Com−Aにおける電圧の振動中心値が上昇する領域と言い換えることができる。
また、元駆動信号Caの電圧が下降する期間K1における駆動信号Com−Aの波形部分を第2領域とする。第2領域については、該駆動信号Com−Aにおける電圧の振動中心値が下降する領域と言い換えることができる。
駆動信号Com−Aの波形部分のうち、第1領域と第2領域との間を第3領域とし、第2領域後であって、元駆動信号Caの電圧が一定となる場合における駆動信号Com−Aの波形部分を第4領域とする。
なお、駆動信号Com−Aの波形部分は、時系列でいえば、第2領域、第3領域、第1領域および第4領域の順となる。
図13および図14は、図12における駆動信号Com−Aの波形の一部を拡大した図である。詳細には、図13は、駆動信号Com−Aの波形部分のうち、第1領域から第4領域に変化する部分の拡大図であり、図14は、駆動信号Com−Aの波形部分のうち、第2領域から第4領域に変化する部分の拡大図である。
図13に示されるように、第1領域における振動幅tol_1は、第4領域における振動幅tol_4よりも大きい。ここで、振動幅tol_1は、第1領域においてトランジスター231がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極大値M11と、その後に続いてトランジスター232がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極小値M12との電圧差である。厳密にいえば、振動幅tol_1については、電圧極大値M21から電圧極小値M22までの時間差Δtにおける目標電圧の上昇量を考慮しなければならない。具体的には、第1領域における振動幅については、極大値同士を結んだ直線と、極小値同士を結んだ直線との電圧差tol_1bでみる必要がある。ただし、実際には、時間差Δにおける目標電圧の上昇量は、電圧極大値M12と電圧極小値M12との電圧差と比較して十分に小さいので、本例において、振動幅tol_1は、電圧差tol_1bと同視できる。
なお、トランジスター231がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極大値同士を結んだ直線と、トランジスター232がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極小値同士を結んだ直線とに対して等距離の関係にある直線(一点鎖線、目標電圧)が、振動中心値の時間的変化を示すことになる。
また、振動幅tol_4は、第4領域においてトランジスター231がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極大値M41と、その後に続いてトランジスター232がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極小値M42との電圧差である。
図14に示されるように、第2領域における振動幅tol_2は、第3領域における振動幅tol_3よりも大きい。
ここで、振動幅tol_2は、第2領域においてトランジスター231がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極大値M21と、続いてトランジスター232がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極小値M22との電圧差である。振動幅tol_2については、振動幅tol_1と同様に、電圧極大値M21から電圧極小値M22までの時間差における目標電圧の下降量が無視できるので、電圧差tol_2bと同視できる。
また、振動幅tol_3は、第3領域においてトランジスター231がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極大値M31と、続いてトランジスター232がオンしたときの駆動信号Com−Aの電圧極小値M32との電圧差である。
なお、本実施形態では、目標電圧が変化する場合の振動幅tol_1および振動幅tol_2は、ほぼ同じである。これは、目標電圧が変化する場合には、不感帯Db_Lが共通に適用されるためである。また、本実施形態では、目標電圧が一定である場合の振動幅tol_3および振動幅tol_4は、ほぼ同じである。これは、目標電圧が一定である場合には、不感帯Db_Hが共通に適用されるためである。
このため、振動幅tol_1または振動幅tol_2を第1振動幅と概念し、振動幅tol_3または振動幅tol_4を第2振動幅と概念したとき、第1振動幅は第2振動幅よりも大きいことになる。
駆動信号Com−Aにおいて、電圧の振動中心値が下降または上昇する領域から一定となる領域に転じるときの波形精度は、インクの吐出に影響を与えやすい。具体的には、インクは、駆動信号Com−Aが第1領域から第4領域に転じるタイミングで吐出されるので、該タイミングにおける台形波形の角度が設計通りとなっていないと、インクの吐出精度が低下するためである。
トランジスター231、232の交互オンにより、駆動信号Com−Aが目標電圧に対して振動する場合に、駆動信号Com−Aの電圧が変化する領域から一定の領域に転じるときに、振動幅が大きいと、それだけ誤差が大きくなるので、波形精度が低下しやすい。
本実施形態によれば、振動幅tol_1(または振動幅tol_2)が、振動幅tol_3(または振動幅tol_4)よりも小さくなっているので、駆動信号Com−Aにおける台形波形の精度については、振動幅が変化しない構成と比較して、高くすることができる。したがって、本実施形態では、インクの吐出精度が低下するのを抑えることができる。
なお、ここでは駆動信号Com−Aを生成する駆動回路122aで説明したが、駆動信号Com−Bを生成する駆動回路122bについても入力信号および出力信号が異なる以外、同様な動作となる。
上述した駆動回路122a(122b)では、駆動信号Com−A(Com−B)を生成するのに一対のトランジスター231、232が電源電圧(V−Gnd)で動作する構成である。上述したように電圧Vを42ボルトとしているので、制御信号生成回路126等に高耐圧が要求される。その理由は、トランジスター231のゲート端子にゲート信号Gpを供給するとともに、トランジスター232のゲート端子にゲート信号Gnを供給する必要があるからである。
そこで次に、この点を改善した駆動回路について説明する。
図15は、第1応用例に係る駆動回路の構成を示す図である。
この図に示されるように、第1応用例に係る駆動回路122aは、DAC1202、コンパレーター1204のほか、4つの基準電源Eと、レベルシフター270a、270b、270c、270dと、セレクター280と、4つのトランジスター対と、キャパシターC1およびC2とを含む。
この図に示されるように、第1応用例に係る駆動回路122aは、4つの基準電源Eと、レベルシフター270a、270b、270c、270dと、セレクター280と、4つのトランジスター対と、キャパシターC1およびC2とを含む。
第1応用例では、電圧Eを出力する基準電源の4段直列接続によって電圧E、2E、3E、4Eがそれぞれ電圧V、V、V、Vを出力する。基準電源Eが例えば10.5Vを出力する場合、電圧V、V、V、Vの各々は、それぞれ10.5V、21.0V、31.5V、42.0Vである。
第1応用例では、電圧V、V、V、Vによりのような電圧範囲が規定される。
すなわち、図16に示されるように、電圧ゼロのグランドGnd以上電圧V/10未満の範囲が第1範囲として規定され、電圧V/10以上電圧V/10未満の範囲が第2範囲として規定され、電圧V/10以上電圧V/10未満の範囲が第3範囲として規定され、電圧V/10以上電圧V/10未満の範囲が第4範囲として規定される。
図15において、コンパレーター1204の負入力端(−)には、信号Caが供給される一方、正入力端(+)には、ノードU1から出力される駆動信号Com−Aの電圧を、抵抗素子R1および抵抗素子R2により1/10に降圧した信号が帰還信号として帰還される。
制御信号生成回路126は、コンパレーター1204による信号Cmpと制御部110から供給される信号Fltaとに基づいてゲート信号GpおよびGnを生成する。
なお、第1応用例において、コンパレーター1204の電源電圧は、実施形態(図7参照)とは異なり、高位側を電圧Vとしている。このため、ゲート信号Gp、Gnの各Hレベルは、電圧Vとなる。
セレクター280は、制御部110から供給されるデータdAから、元駆動信号Caの電圧範囲を判別し、当該判別の結果に応じて、それぞれ次のように選択信号Sa、Sb、Sc、Sdを出力する。
詳細には、セレクター280は、データdAで規定される元駆動信号Caの電圧が上記第1範囲に含まれる場合、すなわち、元駆動信号Caを電圧10倍で増幅した駆動信号Com−AがグランドGnd以上電圧V未満の範囲となる場合、選択信号SaのみをHレベルとし、他の選択信号Sb、Sc、SdをLレベルとする。
また、セレクター280は、元駆動信号Caの電圧が上記第2範囲に含まれる場合、すなわち、駆動信号Com−Aが電圧V以上電圧V未満の範囲となる場合、選択信号SbのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sc、SdをLレベルとする。同様に、セレクター280は、元駆動信号Caの電圧が上記第3範囲に含まれる場合、すなわち、駆動信号Com−Aが電圧V以上電圧V未満の範囲となる場合、選択信号ScのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sb、SdをLレベルとする。また、セレクター280は、元駆動信号Caの電圧が上記第4範囲に含まれる場合、すなわち、駆動信号Com−Aが電圧V以上電圧V未満の範囲となる場合、選択信号SdのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sb、ScをLレベルとする。
説明の便宜上、4つのトランジスター対について説明する。
この例において、4つのトランジスター対は、トランジスター231a、232aの対と、トランジスター231b、232bの対と、トランジスター231c、232cの対と、トランジスター231d、232dの対とによって構成される。
各トランジスター対のうち、ハイサイドのトランジスター231a、231b、231c、231dは、例えばPチャネル型の電界効果トランジスターであり、ローサイドのトランジスター232a、232b、232c、232dは、例えばNチャネル型の電界効果トランジスターである。
ハイサイドのトランジスター231aについては、ソース端子に電圧Vが印加され、ドレイン端子がノードU1に接続される。ローサイドのトランジスター232aについては、ソース端子がグランドGndに接地され、ドレイン端子がノードU1に接続される。同様に、ハイサイドのトランジスター231b(231c、231d)については、ソース端子に電圧V(V、V)が印加され、ドレイン端子がノードU1に接続される。ローサイドのトランジスター232b(232c、232d)については、ソース端子に電圧V(V、V)が印加され、ドレイン端子がノードU1に接続される。
なお、例えばトランジスター231aを第1トランジスターとし、トランジスター232aを第2トランジスターとして、トランジスター231a、232aを第1トランジスター対とした場合、トランジスター231bが第3トランジスターとなり、トランジスター232bが第4トランジスターとなって、トランジスター231b、232bが第2トランジスター対となる。
詳細については後述するが、トランジスター231a、232aは、レベルシフター270aがイネーブルされたときに、電圧VとグランドGndとを電源電圧として駆動信号Com−Aを出力し、トランジスター231b、232bは、レベルシフター270bがイネーブルされたときに、電圧Vと電圧Vとを電源電圧として駆動信号Com−Aを出力する。同様に、トランジスター231c、232cは、レベルシフター270cがイネーブルされたときに、電圧Vと電圧Vとを電源電圧として駆動信号Com−Aを出力し、トランジスター231d、232dは、レベルシフター270dがイネーブルされたときに、電圧Vと電圧Vとを電源電圧として駆動信号Com−Aを出力する構成となっている。
この構成では、トランジスター231a、232aの電源電圧、トランジスター231b、232bの電源電圧、トランジスター231c、232cの電源電圧、および、トランジスター231d、232dの電源電圧は、それぞれ10.5Vとなる。
レベルシフター270aは、入力端Enbに供給された選択信号SaがHレベルになってイネーブルされたときに、制御信号生成回路126から出力されるゲート信号Gp、GnのHレベルを電圧Vに、LレベルをグランドGndに、それぞれレベルシフトして、トランジスター231a、232aのゲート端子に供給する。なお、レベルシフター270aに限っていえば、信号Gp、GnのHおよびLレベルは、電圧VおよびグランドGndに一致しているので、イネーブルされたときに、信号Gp、Gnをそのままトランジスター231a、232aのゲート端子に供給する。
レベルシフター270bは、選択信号SbのHレベルによってイネーブルされたときに、ゲート信号Gp、GnのHレベルを電圧Vに、Lレベルを電圧Vに、それぞれレベルシフトして、トランジスター231b、232bのゲート端子に供給する。すなわち、レベルシフター270bに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gp、Gnにそれぞれ10.5Vを上乗せして、トランジスター231b、232bのゲート端子に供給する。
同様に、レベルシフター270cは、選択信号ScのHレベルによってイネーブルされたときに、入力端Enbに供給された選択信号SbがHレベルになってイネーブルされたときに、ゲート信号Gp、GnのHレベルを電圧Vに、Lレベルを電圧Vに、それぞれレベルシフトして、トランジスター231c、232cのゲート端子に供給する。すなわち、レベルシフター270cに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gp、Gnにそれぞれ21.0Vを上乗せして、トランジスター231c、232cのゲート端子に供給する。
レベルシフター270dについても同様に、選択信号SdのHレベルによってイネーブルされたときに、ゲート信号Gp、GnのHレベルを電圧Vに、Lレベルを電圧Vに、それぞれレベルシフトして、トランジスター231d、232dのゲート端子に供給する。すなわち、レベルシフター270dに限っていえば、イネーブルされたときに、信号Gp、Gnにそれぞれ31.5Vを上乗せして、トランジスター231c、232cのゲート端子に供給する。
なお、レベルシフター270a、270b、270c、270dは、それぞれの入力端Enbに供給された選択信号がLレベルになってディセーブルされたとき、それぞれに対応する2つのトランジスターをそれぞれオフとさせる信号を出力する。すなわち、レベルシフター270a、270b、270c、270dは、ディセーブルにされると、信号Gpを強制的にHレベルに変換し、信号Gnを強制的にLレベルに変換する。
ここでいうH、Lレベルは、レベルシフター270a、270b、270c、270dのそれぞれにおける電源電圧の高位側電圧、低位側電圧である。例えば、レベルシフター270bは、電圧Vと電圧Vとを電源電圧とするので、高位側の電圧VがHレベルであり、低位側の電圧VがLレベルである。
なお、抵抗素子R1に並列に接続されたキャパシターC2と、抵抗素子R2に並列に接続されたキャパシターC1とは、駆動信号Com−Aを帰還するにあたって位相を補償するために設けられている。
また、ダイオードd1、d2は逆流防止するために設けられている。ダイオードd1の順方向は、トランジスター231a、231b、231cのドレイン端子からノードU1に向かう方向であり、ダイオードd2の順方向は、ノードU1からトランジスター231b、231c、231dのドレイン端子に向かう方向である。ここで、ノードU1の電圧は電圧Vよりも高くならないので、逆流を考慮する必要がない。このため、トランジスター231dにはダイオードd1が設けられていない。同様にノードU1の電圧は電圧ゼロのグランドGndよりも低くならないので、トランジスター232aにはダイオードd2が設けられていない。
次に、第1応用例の駆動回路の動作について、元駆動信号Caの電圧波形が、図16に示されるように範囲に属するものとして説明する。
まず、セレクター280は、元駆動信号の電圧がタイミングt1よりも前において第3範囲であるとデータdAから判別した場合、選択信号ScのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sb、SdをLレベルとする。このため、レベルシフター270cがイネーブルされ、他のレベルシフター270a、270b、270dがディセーブルされるので、電圧V、Vを電源として用いたトランジスター231c、232cの交互オンによって、駆動信号Com−Aの電圧が制御される。
次に、駆動信号Caの電圧がタイミングt1からタイミングt2までの期間にわたって第2範囲となったとき、セレクター280は、選択信号SbのみをHレベルとし、他の選択信号Sa、Sc、SdをLレベルとする。このため、レベルシフター270bがイネーブルされ、他のレベルシフター270a、270c、270dがディセーブルされるので、電圧V、Vを電源として用いたトランジスター231b、232bの交互オンによって、駆動信号Com−Aの電圧が制御される。
元駆動信号Caの電圧がタイミングt2からタイミングt3までの期間にわたって第1範囲となったとき、セレクター280は、選択信号SaのみをHレベルとし、この結果、レベルシフター270aのみがイネーブルされるので、電圧V、グランドGndを電源として用いたトランジスター231a、232aの交互オンによって、駆動信号Com−Aの電圧が制御される。
以降については簡単に説明すると、タイミングt3からタイミングt4までの期間では、レベルシフター270bのみがイネーブルされるので、トランジスター231b、232bの交互オンによって駆動信号Com−Aの電圧が制御される。タイミングt4からタイミングt5までの期間では、レベルシフター270cのみがイネーブルされるので、トランジスター231c、232cの交互オンによって駆動信号Com−Aの電圧が制御される。タイミングt5からタイミングt6までの期間では、レベルシフター270dのみがイネーブルされるので、電圧V、Vを電源として用いたトランジスター231d、232dの交互オンによって駆動信号Com−Aの電圧が制御される。そして、タイミングt6からは、レベルシフター270cのみがイネーブルされるので、トランジスター231c、232cの交互オンによって駆動信号Com−Aの電圧が制御される。
なお、第1応用例においても、信号Fltaのレベルに応じて不感帯Db_HまたはDb_Lが切り替えられる。このため、駆動信号Com−Aにおける電圧の振動幅は、元駆動信号Caの電圧が一定である場合には小さくなる一方、元駆動信号Caの電圧が変化する場合には大きくなる。
このため、第1応用例においても、同時に駆動される圧電素子の数が多い場合や、FFC190が長大化する場合であっても、各トランジスター対における交互オンおよび不感帯の切り替えによって、駆動信号Com−Aの波形精度を高くした状態でインクを吐出することが可能となる。
また、第1応用例では、トランジスター対が4組存在するが、交互オンするトランジスター対は、常に1組であり、他のトランジスター対はオフしているので、低消費電力化を図ることができる。さらに、第1応用例によれば、コンパレーター1204、制御信号生成回路126については、電源としては比較的低い電圧(V−Gnd)で動作するので、実施形態と比較して耐圧が低くなり、構成素子のサイズの肥大化などを抑制することができる。
なお、第1応用例においては、駆動信号Com−Aを生成する駆動回路122aを例にとって説明したが、駆動信号Com−Bを生成する駆動回路122bについても同様な構成および動作となる。第1応用例の駆動回路122bには、次のような信号Fltbが制御部110から供給される。すなわち、信号Fltbは、信号Cbの電圧が変化する期間ではLレベルとなり、信号Cbの電圧が一定となる期間ではHレベルとなる。
図19は、圧電素子Pztにおいて、電圧Vに対する変位Sの特性の一例を示す図である。電圧Vは、圧電素子Pztにおける駆動電極72、76(図4参照)に印加される電圧差、すなわち(Vout−VBS)であり、変位Sは、電圧Vの印加時において一定の電圧変化を与えたときの圧電素子Pztの変位量(Z方向)である。
図19に示される特性では、圧電素子Pztの変位Sは、印加電圧が低いほど、大きく得られる。換言すれば、圧電素子Pztは、印加電圧が低い場合には、微小の電圧変化で大きな変位が得られる。このため、駆動信号Com−A(Com−B)で圧電素子Pztを駆動する場合に、駆動信号Com−A(Com−B)の電圧が低いほど、波形精度が要求される。具体的には、駆動信号Com−Aでいえば、第4領域よりも第3領域の方が、波形精度が要求されることになる。
そこで、駆動信号Com−Aの電圧が低い場合に、波形精度を向上させた第2応用例の駆動回路について説明する。
第2応用例の駆動回路は、第1応用例の駆動回路(図15参照)の構成と同一である。ただし、第2応用例では、第1応用例の駆動回路自体の構成を変更せずに、制御部110は、信号Fltaを、図17に示されるように信号Caの電圧が第1範囲に含まれる場合のみHレベルとする構成となっている。
第2応用例では、元駆動信号Caの電圧が第1範囲であれば、不感帯DL_Hに切り替えられ、元駆動信号Caの電圧が第2範囲、第3範囲、第4範囲のいずれかであれば、不感帯DL_Lに切り替えられる。
したがって、第2応用例によれば、元駆動信号Caの電圧が第1範囲にある場合の振動幅は、第2範囲、第3範囲、第4範囲のいずれかである場合の振動幅によりも小さくなるので、電圧が低い領域での波形精度を高く保つことができる。
具体的には、図18に示されるように、駆動信号Com−Aは、第3領域において電圧Vmaxを中心にした振動幅tol_13で振動し、第4領域において電圧Vminを中心にした振動幅tol_14で振動する。振動幅tol_14は、振動幅tol_14よりも小さくなるので、電圧が低い領域での波形精度を高く保つことができ、インクの吐出精度を高めることができる。
なお、第2応用例において、元駆動信号Caの電圧が第1範囲にある場合に信号FltaがHレベルになると、元駆動信号Caの電圧が上昇または下降している場合であっても不感帯が切り替えられるので、切り替えに伴うノイズの影響が発生する可能性がある。
そこで、信号Fltaについては、図17において破線で示されるように、駆動信号Caの電圧が第1範囲にある場合であって、一定となる場合のみ、Hレベルとしてもよい。信号FltaがHレベルとなる期間を変更すると、元駆動信号Caの電圧が上昇または下降している場合であっても不感帯が切り替えられずに、第4領域の振動幅のみが小さくなるので、電圧が低い領域で一定期間に変化するときの波形精度を高く保つことができる。
第2応用例においては、駆動信号Com−Aを生成する駆動回路122aを例にとって説明したが、駆動信号Com−Bを生成する駆動回路122bについても同様な構成および動作となる。第2応用例の駆動回路122bには、次のような信号Fltbが制御部110から供給される。すなわち、信号Fltbは、データdBを変換した元駆動信号Cbの電圧が第1範囲にある場合に、または、駆動信号Cbの電圧が第1範囲にある場合であって一定の場合に、Hレベルとなる。
なお、第1応用例または第2応用例については、トランジスター対の個数を「4」として説明したが、耐圧を下げるという観点でいえば、「2」以上であればよい。また、各トランジスター対における電源電圧は、互いに等しくなくてもよい。
また、第1応用例または第2応用例においては、不感帯を切り替える機能を、トランジスターに近いレベルシフター270a、270b、270c、270dに負わせてもよい。
制御信号生成回路126については、信号Flta(Fltb)によって不感帯Db-HまたはDb-Lが切り替え可能であれば、図8以外の構成であってもよい。
図20は、制御信号生成回路126における他の構成例を示す図である。
この図に示される制御信号生成回路126は、インバーターInv1、12、22と、第1インバーターInv11と、第2インバーターInv21とを含む。これらのインバーターは、回路構成が一部簡略化されているが、いずれも相補型のインバーターである。
なお、相補側の第1インバーターInv11におけるPチャネル型トランジスターをp1と表記し、Nチャネル型トランジスターをn1と表記している。同様に、相補側の第2インバーターInv21におけるPチャネル型トランジスターをp2と表記し、Nチャネル型トランジスターをn2と表記している。
第1インバーターInv11とインバーターInv12とは、信号Cmpをバッファリングして、ゲート信号Gpとして出力し、第2インバーターInv21とインバーターInv22とは、信号Cmpをバッファリングして、ゲート信号Gnとして出力する。
制御信号生成回路126は、またトランジスターn11、n12、p11、p12を有する。
このうち、トランジスターn11については、ソース端子がグランドGndに接地され、ゲート端子には、インバーターInv1によって論理レベルが反転された信号Fltaが供給され、ドレイン端子が、トランジスターn12のソース端子に接続されている。トランジスターn12については、基板電極がグランドGndに接地され、ドレイン端子が、第1インバーターInv11の出力端(インバーターInv12の入力端)に接続されている。このため、トランジスターn12については実質的に抵抗として機能する。
ここで、トランジスターn11、n12が存在しない場合における第1インバーターInv1の閾値がV/2であるとする。
信号FltaがHレベルである場合、トランジスターn11がオフするので、第1インバーターInv11のトランジスターp1においてドレイン端子とグランドGndとの間には、比較的大きな抵抗値の抵抗(トランジスターn11のオフ抵抗と、トランジスターn12の抵抗との合成抵抗)が介挿された状態と等価となる。このため、信号FltaがHレベルである場合、第1インバーターInv11の閾値は、V/2よりも上昇する。
信号FltaがLレベルである場合、トランジスターN11がオンするので、トランジスターp1においてドレイン端子とグランドGndとの間には、比較的小さな抵抗値の抵抗(トランジスターn11のオン抵抗と、トランジスターn12の抵抗との合成抵抗)が介挿された状態と等価となる。このため、信号FltaがHレベルである場合、第1インバーターInv11の閾値は、信号FltaがHレベルである場合もよりも、さらに上昇する。
このため、第1インバーターInv11の出力信号は、信号CmpがHレベルからLレベルに変化する場合であれば、信号FltaがHレベルであるときより、信号FltaLレベルであるときの方が先にLレベルからHレベルに変化する。一方、第1インバーターInv11の出力信号は、信号CmpがLレベルからHレベルに変化する場合であれば、信号FltaがHレベルであるときより、信号FltaLレベルであるときの方が後にHレベルからLレベルに変化する。
したがって、第1インバーターInv11の出力信号をインバーターInv12で再反転したゲート信号Gpは、信号FltaがHレベルである場合、図10に示された信号P1のような波形となり、信号FltaがLレベルである場合、信号P2のような波形となる。
トランジスターp11については、ソース端子には電圧Vが印加され、ゲート端子には、信号Fltaが供給され、ドレイン端子が、トランジスターp12のソース端子に接続されている。トランジスターP12については、基板電極に電圧Vが印加され、ドレイン端子が、第2インバーターInv21の出力端(インバーターInv22の入力端)に接続されている。このため、トランジスターp12については実質的に抵抗として機能する。
ここで、トランジスターp11、p12が存在しない場合における第2インバーターInv21の閾値がV/2であるとする。
信号FltaがHレベルである場合、トランジスターp11がオフするので、第2インバーターInv21のトランジスターn2においてドレイン端子と電圧Vの給電端との間には、比較的大きな抵抗値の抵抗が介挿された状態と等価となる。このため、信号FltaがHレベルである場合、第2インバーターInv21の閾値は、V/2よりも下降する。
信号FltaがLレベルである場合、トランジスターp12がオンするので、トランジスターn2においてドレイン端子と電圧Vの給電端との間には、比較的小さな抵抗値の抵抗が介挿された状態と等価となる。このため、信号FltaがHレベルである場合、第2インバーターInv21の閾値は、信号FltaがHレベルである場合もよりも、さらに下降する。
このため、第2インバーターInv21の出力信号は、信号CmpがHレベルからLレベルに変化する場合であれば、信号FltaがHレベルであるときより、信号FltaLレベルであるときの方が先にLレベルからHレベルに変化する。一方、第2インバーターInv21の出力信号は、信号CmpがLレベルからHレベルに変化する場合であれば、信号FltaがHレベルであるときより、信号FltaLレベルであるときの方が後にHレベルからLレベルに変化する。
したがって、第2インバーターInv21の出力信号をインバーターInv22で再反転したゲート信号Gnは、信号FltaがHレベルである場合には、図10に示された信号N1のような波形となり、信号FltaがLレベルである場合には、信号N2のような波形となる。
結局、図20に示される制御信号生成回路126による不感帯ついても、すなわち信号FltaがHレベルのときの不感帯Db_Hと、信号FltaがLレベルのときの不感帯Db_Lとについても、図10および図11に示されたものと同様となる。
図20に示される制御信号生成回路126は、相補型であるので、集積化しやすく、消費電力を抑えることができるほか、不感帯を次のように設計することができる。
具体的には、不感帯Db_Hの負側(電圧V/2よりも低位側)については、トランジスターn11のオフ抵抗およびトランジスターn12の抵抗で設計することができ、不感帯Db_Hの正側(電圧V/2よりも高位側)については、トランジスターp11のオフ抵抗およびトランジスターp12の抵抗で設計することができる。同様に、不感帯Db_Lの負側については、トランジスターn11のオン抵抗およびトランジスターn12の抵抗で設計することができ、不感帯Db_Lの正側については、トランジスターp11のオン抵抗およびトランジスターp12の抵抗で設計することができる。
このように、本実施形態、第1応用例または第2応用例(以下、実施形態等という)に係るインクジェットプリンター1によれば、元駆動信号Ca(Cb)の電圧に対する駆動信号Com−A(Com−B)の電圧追従性が高く、電圧誤差が低減されるので、駆動信号Com−A(Com−B)の波形精度が向上し、液体を高精度に吐出させることができる。
実施形態等では、プリントヘッド30は、1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上のノズルNを有しているため、ノズルNのピッチPy(図3参照)が非常に狭くなっている。具体的には、前述の通り、各ノズルプレート632に設けられているノズル列L1、L2では、1インチ当たり300個以上の密度で並べられたノズルNが副走査の方向YにピッチPyの半分だけシフトした関係となっており、600dpi以上の高精細な印刷を行うことが可能である。本実施形態では、ピッチPyが非常に狭いため、ノズルNに対応して設けられている圧力室Scの横幅(方向Yに沿う方向の幅)は狭くならざるを得ない。圧力室Scは、横幅が狭いため上下方向への変形がしづらく、ノズルNから所定量のインクを吐出させるためには、圧力室の縦幅(主走査の方向Xに沿う方向の幅)を十分大きくせざるを得ない。そして、ノズルNから所定量のインクを吐出させるためには、圧力室Scの面積(横幅×縦幅)は、横幅が狭いほど(ピッチPyが狭いほど)大きくなり、これに伴って圧電素子Pztの面積Sも大きくなる。さらに、ノズルNから所定量のインクを吐出させるためには、圧電素子Pztの変位量を大きくする必要があるため、圧電素子PztのZ方向の厚みを小さくしなければならない。要するに、高精細な印刷を行うためにノズルNが高密度に並べられるほど、圧電素子Pztの面積Sが大きくなるとともに厚みが小さくなるため、圧電素子Pztの容量が大きくなる。その結果、駆動回路122a(122b)の負荷容量が増加し、電流Iが大きくなるため、駆動信号Com−A(Com−B)には、FFC190などにおける配線の寄生インダクタンスLと負荷電流Iの変化率との積(L×dI/dt)に比例した大きさのノイズが重畳し、大きなリップルが発生しやすい状況になる。
駆動信号Com−A(Com−B)に大きなリップルが生じると、液体の吐出精度が低下するだけでなく、最悪の場合、駆駆動信号Com−A(Com−B)の電圧が許容範囲を超えてしまい、圧電素子Pztの変位量が異常に大きくなって振動板46(図4参照)が破損する事態も生じ得る。
これに対して、実施形態等によれば、元駆動信号Ca(Cb)の電圧が上昇又は下降する期間においても、元駆動信号Ca(Cb)の電圧に対する駆動信号Com−A(Com−B)の電圧に対する追従性が高いので、負荷容量が大きくなっても、駆動信号Com−A(Com−B)に発生するリップルの大きさを小さく保つことができる。このように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、高精細な印刷を行う場合に特に顕著な効果を奏する。
なお、実施形態等において、トランジスター231をPチャネル型とし、トランジスター232をNチャネル型としたが、いずれかのチャネルで揃えてもよい。ゲート信号Gp、Gnの論理レベルについては、トランジスター231、232のチャネル型と密接に関係する。このため、図8および図20に示される制御信号生成回路126については、トランジスター231、232のチャネル型によっては、インバーターの段数が、奇数の場合もあれば、偶数の場合もあり得る。
例えば、トランジスター231をNチャネル型とする場合には、図8の制御信号生成回路126でいえば、バッファ回路B1、B3におけるインバーターの段数を奇数(例えば「1」)とすればよいし、図20の制御信号生成回路126でいえば、インバーターの段数を奇数、例えば「1」とするために、インバーターInv12を省略してもよい。
なお、信号Flta(Fltb)については、制御部110が供給するのではなく、検出回路を別途設けて、該検出回路が、データdA(dB)で規定される電圧の変化を検出し、当該変化に有無に応じて、信号Flta(Fltb)を出力する構成としてもよい。
また、データdA(dB)で判定するのではなく、アナログに変換された信号Ca(Cb)で判定する構成としても良い。
1…インクジェットプリンター、30…プリントヘッド、N…ノズル、Pzt…圧電素子、190…FFC、1204…コンパレーター、126…制御信号生成回路、231…トランジスター(第1トランジスター)、232…トランジスター(第2トランジスター)、JL1…第1論理回路群、JL2…第2論理回路群、Inv11…第1インバーター、Inv12…第2インバーター、tol_1、tol_2…振動幅(第1振動幅)、tol_3、tol_4…振動幅(第2振動幅)。

Claims (11)

  1. ノズルと、駆動信号が印加されることにより変位する圧電素子と、を含み、前記圧電素子の変位により前記ノズルから液体を吐出するプリントヘッドと、
    元駆動信号の電圧と前記駆動信号が帰還された信号である帰還信号の電圧とを比較するコンパレーターと、
    第1トランジスターおよび第2トランジスターを含み、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、
    前記コンパレーターの出力信号が入力され、前記第1トランジスターのスイッチング動作を制御する第1制御信号及び前記第2トランジスターのスイッチング動作を制御する第2制御信号を、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンするように生成する制御信号生成回路と、
    を備え、
    前記駆動信号は、
    前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンして、前記駆動信号の電圧が上昇する第1領域と、
    前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンして、前記駆動信号の電圧が下降する第2領域と、
    前記第1領域と前記第2領域との間であって、前記第2領域に続く第3領域と、
    前記第1領域と前記第2領域との間であって、前記第1領域に続く第4領域と、
    を有し、
    前記第1領域または前記第2領域における前記駆動信号の電圧の第1振動幅は、前記第3領域または前記第4領域における前記駆動信号の電圧の第2振動幅よりも大きい、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記制御信号生成回路は、
    前記第1制御信号を生成する第1論理回路群と、
    前記第2制御信号を生成する第2論理回路群と、
    を有し、
    前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合における前記第1論理回路群における入出力特性は、前記駆動信号の電圧が前記第3領域または前記第4領域にある場合における前記第1論理回路群における入出力特性と異なり、
    前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合における前記第2論理回路群における入出力特性は、前記駆動信号の電圧が前記第3領域または前記第4領域にある場合における前記第2論理回路群における入出力特性と異なる
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記制御信号生成回路は、
    前記コンパレーターの入力信号の反転信号を出力する第1インバーターと、
    前記コンパレーターの入力信号の反転信号を出力する第2インバーターと、
    前記第1インバーターにおける第1閾値は、
    前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合と、前記第3領域または前記第4領域にある場合とで異なり、
    前記第2インバーターにおける第2閾値は、前記駆動信号の電圧が前記第1領域または前記第2領域にある場合と、前記第3領域または前記第4領域にある場合とで異なり、
    前記第1インバーターによる反転信号に基づいて前記第1制御信号が出力され、
    前記第2インバーターによる反転信号に基づいて前記第2制御信号が出力される
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第1振動幅は、
    前記第1領域または前記第2領域において前記第1トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極大値と、続いて前記第2トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極小値との差であり、
    前記第2振動幅は、
    前記第3領域または前記第4領域において前記第1トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極大値と、続いて前記第2トランジスターがオンしたときの前記駆動信号の電圧極小値との差である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出装置。
  5. 前記第4領域における前記駆動信号の電圧は、前記第3領域における前記駆動信号の電圧よりも高く、
    前記第3領域における第2振動幅は、前記第4領域における第2振動幅よりも小さい
    ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. ノズルと、駆動信号が印加されることにより変位する圧電素子と、を含み、前記圧電素子の変位により前記ノズルから液体を吐出するプリントヘッドと、
    元駆動信号の電圧と前記駆動信号が帰還された信号である帰還信号の電圧とを比較するコンパレーターと、
    第1トランジスターおよび第2トランジスターを含み、前記元駆動信号の電圧が第1範囲にある場合に、前記駆動信号を出力する第1トランジスター対と、
    第3トランジスターおよび第4トランジスターを含み、前記元駆動信号の電圧が前記第1範囲よりも高い第2範囲にある場合に、前記駆動信号を出力する第2トランジスター対と、
    前記コンパレーターの出力信号が入力され、前記第1トランジスターまたは前記第3トランジスターのスイッチング動作を制御する第1制御信号及び前記第2トランジスターまたは前記第4トランジスターのスイッチング動作を制御する第2制御信号を、
    前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが、または、前記第3トランジスターと前記第4トランジスターとが、交互にオンするように生成する制御信号生成回路と、
    を備え、
    前記元駆動信号の電圧が第1範囲にある場合における前記駆動信号の電圧の振動幅は、前記元駆動信号の電圧が第2範囲にある場合における前記駆動信号の電圧の振動幅よりも小さい
    ことを特徴とする、液体吐出装置。
  7. 前記元駆動信号の電圧が上昇する期間において、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンする
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  8. 前記元駆動信号の電圧が下降する期間において、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンする
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の液体吐出装置。
  9. 前記元駆動信号の電圧が一定の期間において、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンする
    ことを特徴とする請求項1、7または8に記載の液体吐出装置。
  10. 前記プリントヘッドは、1インチ当たり300個以上の密度で並べられた600個以上の前記ノズルを含む
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の液体吐出装置。
  11. ノズルと、駆動信号が印加されることにより変位する圧電素子と、を含み、前記圧電素子の変位により前記ノズルから液体を吐出するプリントヘッドと、
    元駆動信号の電圧と前記駆動信号が帰還された信号である帰還信号の電圧とを比較するコンパレーターと、
    第1トランジスターおよび第2トランジスターを含み、前記駆動信号を出力するトランジスター対と、
    前記コンパレーターの出力信号が入力され、前記第1トランジスターのスイッチング動作を制御する第1制御信号及び前記第2トランジスターのスイッチング動作を制御する第2制御信号を、前記第1トランジスターと前記第2トランジスターとが交互にオンするように生成する制御信号生成回路と、
    を備え、
    前記駆動信号は、
    前記駆動信号の電圧の振動中心値が上昇する第1領域と、
    前記駆動信号の電圧の振動中心値が下降する第2領域と、
    前記第1領域と前記第2領域との間である第3領域と、
    前記第1領域の後であって、前記第3領域よりも電圧の振動中心値が高い第4領域と、
    を有し、
    前記第1領域または前記第2領域における前記駆動信号の電圧の第1振動幅は、前記第3領域または前記第4領域における前記駆動信号の電圧の第2振動幅よりも大きい、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
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