以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。但し、以下の実施例に記載されている部品構成の寸法、材質、形状、その相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この説明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。本発明の好適な実施形態は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は以下の実施例により限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において種々の構成を他の公知の構成に置き換えることは可能である。
[実施例1]
(1)画像形成装置例
画像形成装置は、搬送される、定型若しくは非定型の各種の普通紙、OHPシート等の記録材(以下、記録紙と記す)に適宜の画像形成プロセスにより画像を形成して画像形成物を出力する装置である。
画像形成装置に関し、正面側とは画像形成装置本体を画像形成部の転写ニップ部における記録紙搬送方向上流側から見て左側である。背面側とは画像形成装置本体を画像形成部の転写ニップ部における記録紙搬送方向上流側から見て右側である。
図1は本実施例に係る画像形成装置の一例の正面側からの概略構成模式図である。この画像形成装置は電子写真式のモノクロデジタルプリンタである。
図1において、100は画像形成装置の筐体を構成する画像形成装置本体(以下、装置本体という)である。装置本体100の内部には、記録紙Sにトナー画像(画像)を形成する画像形成部101と、記録紙Sに形成された未定着のトナー画像(未定着画像)を記録紙Sに定着する定着部(定着器)103が搭載されている。
制御部200はCPUとRAMやROMなどのメモリからなり、メモリには画像形成シーケンスや画像形成に必要な各種テーブルなどが記憶されている。制御部200はホストコンピュータなどの外部装置(不図示)から出力されるプリント指令に応じて画像形成シーケンスを実行する。
記録紙の片面にプリントするプリント指令に応じて制御部200が画像形成シーケンスを実行した場合を説明する。画像形成部101において、先ず像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラムという)111が所定の周速度(プロセススピード)で回転される。そしてこの感光体ドラム111の外周面(表面)が帯電ローラ(帯電手段)112によって所定の極性・電位に一様に帯電される(帯電工程)。
次にその感光体ドラム111表面の帯電面に対して、レーザービームスキャナ(露光手段)113から出力される、外部装置からの画像情報に応じて変調制御(ON/OFF制御)されたレーザービームによる走査露光がなされる(露光工程)。これにより感光体ドラム111表面に目的の画像情報の静電潜像が形成される。感光ドラム111表面に形成された静電潜像は現像装置(現像手段)114によりトナーを用いて現像されトナー画像として可視化される(現像工程)。
一方、記録紙搬送部102において、ピックアップローラ106の回転により給送カセット105内に収容されている記録紙Sが所定の給送タイミングで一枚ずつ繰り出される。この記録紙Sは給紙ローラ107の回転により給送用ガイド109aを通じてレジストレーションローラ110に搬送される。レジストレーションローラ110は所定のタイミングで回転してその記録紙Sを感光体ドラム111表面と転写ローラ(転写手段)115の外周面(表面)とで形成された転写ニップ部N1に送り込む。
この記録紙Sは感光体ドラム111表面と転写ローラ115表面とで挟持搬送される。この搬送過程において転写ローラ115に所定の転写バイアスが印加され、これにより感光体ドラム111表面のトナー画像は記録紙S上に転写される(転写工程)。
未定着トナー画像を担持した記録紙Sは、定着装置103の定着ニップ部(ニップ部)N2に導入される。そして定着ニップ部N2で熱と圧力が未定着のトナー画像に印加され、これにより未定着トナー画像は記録紙上に加熱され定着される。定着装置103の構成については次の(2)項で詳しく説明する。
定着装置103を出た記録紙Sは排出用ガイド109bと排出ローラ120の回転により装置本体100の外部に設けられたプリント積載部124に排出される。
125はプリント積載部124に積載されている記録紙Sの満載を検知する満載検知レバーである。満載検知レバー125により記録紙Sが満載であることが検知されると、制御部200はプリント積載部124上の記録紙Sが取り除かれるまで記録紙Sに画像形成を行わないように画像形成部101を制御する。
記録材分離後の感光ドラム111表面は、クリーニングブレード120によりクリーニングされる(クリーニング工程)。
記録紙の両面をプリントするプリント指令に応じて制御部200が画像形成シーケンスを実行した場合には、定着装置103を出た記録紙Sは記録紙反転搬送部126の振分け部材122によりローラ123側に案内される。
この記録紙Sはローラ123と反転ローラ128の回転により分岐部127を通じて反転部124に搬送される。そしてこの記録紙Sの後端が分岐部127を抜けた後、反転ローラ128が先の回転方向とは逆方向に回転し記録紙Sを後端側から再搬送通路121に向けて搬送する。これにより記録紙Sは反転されその状態で再搬送通路121と搬送ローラ129の回転によりレジストレーションローラ110に向けて搬送される。
レジストレーションローラ110はその記録紙Sを所定のタイミングで画像形成部101の転写ニップ部N1に送り込む。画像形成部101では、上述の帯電、露光、現像、転写の各工程を行い記録紙Sに未定着トナー画像を形成する。そしてこの記録紙Sは定着装置103の定着ニップ部N2に導入され、定着ニップ部N2で熱と圧力が印加されることにより未定着トナー画像は記録紙上に加熱され定着される。定着装置103を出た記録紙Sは中間搬送ローラ109bと排出ローラ120の回転によりプリント積載部124に排出される。
図1において、Seは記録紙Sを検知する記録紙センサであって、給送カセット105、記録紙Sの搬送を行う各記録紙搬送経路の所定の位置に配設されている。
(2)定着装置(定着部)103
(2−1)定着装置103の全体構成
図2は定着装置103を記録紙搬送方向上流側から見た時の斜視図である。なお、図2は、定着装置の内部が見えるように、定着装置を覆うカバーを取り外した状態の斜視図である。図3(a)は定着装置103を記録紙搬送方向上流側から見た時の図、図3(b)は定着装置103の断面図である。図4は定着装置103の要部を表わす模式図である。図4において、(a)は定着ニップ部を形成する定着ベルトや加圧ローラ等の断面図、(b)は定着ベルト及び加圧ローラを記録紙搬送方向上流側から見た時の図、(c)はセラミックヒータ140の概略構成を表わす図である。
この定着装置103は記録紙Sが担持する未定着トナー画像tを定着ベルトで加熱するベルト加熱方式の装置である。
図4(a)、(b)において、141は金属製のステー、142は耐熱樹脂製のヒータホルダ(加熱体支持部材)である。ホルダ142はステー141によって補強されている。140はセラミックヒータ(加熱体)、116は筒状の定着ベルト(加熱回転体)、117は加圧ローラ(加圧回転体)、139a,139bはフランジ(ベルトの寄り移動を規制する規制部材)である。
ステー141は、ステンレス等の金属板を断面U字形状に曲げ加工したものである。ヒータホルダ142は、ホルダ基部142aと、ホルダ基部142aの上面に設けられた一対の突片142bなどを有している。ホルダ基部142aには一対の突片142bを挟むようにステー141が係合して組み付けられている。
ヒータ140は、耐熱性が高いセラミック製の細長いヒータ基板(以下、基板と記す)140aを有している。この基板140aの下面には、基板140aの長手方向に沿って通電により発熱する抵抗発熱体140bが印刷されている。また、基板140aの下面には、抵抗発熱体140bに通電するための導電部140cと、導電部140cを介して抵抗発熱体140bに給電するための電極部140dが印刷されている。更に、基板140aの下面には、抵抗発熱体140bを保護するためのガラスコート層(保護層)140eが抵抗発熱体140bを覆うように設けられている。
ヒータホルダ142のホルダ基部142aには長手方向に沿って凹溝部142cが設けられている。上記ヒータ140は、凹溝部142cに支持されている。
上記のステー141とヒータ140をホルダ基部142aに取り付けたヒータホルダ142の外周には定着ベルト116がルーズに外嵌されている。
図4(b)に示されるように、定着ベルト116の端部にはフランジ139aが配設されており、定着ベルト116の他方の端部にはフランジ139bが配設されている。フランジ139a,139bは、それぞれ、基部139a1,139b1と、ベルトの寄り移動を規制する規制部139a2,139b2と、ベルトの内面をガイドするガイド部139a3,139b3などを有している。
フランジ139aの基部139a1、139b1は、ステー141の長手方向両端部に夫々取り付けられている。更に、これらのフランジは定着装置のフレーム153、154に設けた溝に差し込まれている。
加圧ローラ117は、金属製の芯金117aの上に弾性層117bを有している。弾性層117bの材料としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムを用いることができる。そしてこの弾性層117bの外周面をフッ素樹脂等の離型性層117cによって被覆している。この加圧ローラ117は、定着ベルト116を介してヒータ140と対向するように配設されている。そしてこの芯金117aの両端部を定着前フレーム153及び154に軸受(不図示)を介して回転可能に保持させている。
上記のベルトフランジ139a,139bの基部139a1,139b1の上面には、それぞれ、加圧板143a,143b(図2参照)が設けられている。その加圧板143a,143bは、圧縮コイルバネ137a,137bによって、フレーム153、154に保持された加圧ローラに向って付勢されている。この加圧機構によりヒータ140は定着ベルト116を介して加圧ローラ117に加圧され、定着ニップ部N2が形成されている。
(2−2)定着装置103の加熱定着動作
制御部200はプリント指令に応じて定着装置103のモータ(不図示)を回転駆動する。このモータの出力軸の回転は所定の減速ギア列(不図示)を介して加圧ローラ117の芯金117aに配設された加圧ローラギア145(図2参照)に伝達される。これにより加圧ローラ117は矢印方向(図4(a)参照)へ回転する。
加圧ローラ117の回転は定着ニップ部N2において定着ベルト116に伝達される。これにより定着ベルト116は定着ベルト116の内周面(内面)がヒータ140のガラスコート層140eの表面と接触しつつ加圧ローラ117の回転に追従して矢印方向(図4(a)参照)へ回転する。
定着ベルト116内面にはグリス(潤滑剤)を塗布して、ヒータ140、ヒータホルダ142に対する定着ベルト116の摺動性を確保している。
制御部200は、ヒータ140の基板140aに配設されたサーミスタ(温度検知手段)201から出力される検出信号(出力信号)を取り込む。そしてこの検出信号に基づいてトライアック202を駆動することによって電源203から抵抗発熱体140bに供給する電力を制御する。これにより、ヒータは所定の定着温度(目標温度)に維持される。
未定着トナー画像が形成された記録材は、搬送ガイド150(図3(b)参照)にガイドされ、定着装置103へと搬送されてくる。この記録紙Sは、定着装置103の記録紙搬送方向上流側に設けられた入口下ガイド130(図3(b)参照)にガイドされ、定着ニップ部N2に導入される。そして定着ニップ部N2において挟持搬送されつつ加熱定着される。
図2において、147は排紙ローラ118(図3(b)参照)の軸に固着した排紙ローラギアである。この排紙ローラギア147はアイドラギア146(図2参照)を介して加圧ローラギア145と連結されている。加圧ローラギア145の回転に伴い、排紙ローラ118は加圧ローラ117の回転方向と同じ方向に回転駆動される。
119は排紙ローラ118の回転に従動して回転する対向ローラである。138a、138bはローラ119をローラ118に付勢するバネである。
図3(a)、(b)において、135及び136は排紙ローラ118および対向ローラ119のローラ対により搬送されてきた記録紙Sを定着装置外へ案内するガイドである。
図3(a)に示した131は定着装置103の記録紙入口側に設けられた入口上ガイド(入口ガイド)であって、定着装置103のフレーム153と154間に設けられたステー144に固定されている。133は入口端部ガイドであって、定着装置103内の定着ニップ部N2近傍に上方から吊架されて配設されている。入口上ガイド131は、図3(b)に示されるように、定着ニップ部N2の記録紙搬送方向上流側への延長線である定着ニップラインN2Lと所定の角度θをもって交差するように配置してある。
これらの入口上ガイド131と入口端部ガイド133は、記録紙Sが記録紙Sの先端を図3(b)における上向きにカールして搬送されてきた場合には、記録紙Sの先端を押さえ込み定着ニップ部N2へとガイドするようになっている。
本実施例の定着装置103は、加圧ローラ117の長手方向の外形形状を、加圧ローラ117の両端部から長手方向中央部にかけて滑らかに凹形状となる逆クラウン形状に形成している(図4(b)参照)。これにより、記録紙Sの搬送過程で記録紙Sにシワの発生を抑制できるが、前述のように記録紙Sの幅方向中央部と幅方向端部で搬送量に差が生じ、記録紙Sの後端が持ち上がる後端跳ねが発生することがある。
そこで、定着部の入口であって記録材の搬送方向と直交する方向の端部に揺動ガイド(ガイド部材)を配置している。以下、揺動ガイドについて説明する。
(2−3)揺動ガイド132a,132bの構成、及び動作
図3(a)において、132a,132bは揺動ガイド、134a,134bはガイドホルダ(支持部材)であり、同図に示すように定着装置103の入口近傍の端部にそれぞれ一対ずつ具備されている。定着ニップ部N2に記録材が進入した状態で記録紙の後端が跳ねると、記録紙のエッジSa及びSbは揺動ガイド132a,132bに接触する。ガイドホルダ132a,134bは、画像形成装置本体100内の定着装置103上方から吊架されて配設されている。
図5は図3(a)中のX部を拡大した図であって、揺動ガイド132aのガイドホルダ134aに対する取付構造を表わす説明図である。図5では、説明のため、揺動ガイド132aの記録紙搬送方向の上流側を切除して簡略的に表示している。以下に揺動ガイド132aの構成のみを説明するが揺動ガイド132bの構成も同様であるため、揺動ガイド132bの構成の説明は省略する。
揺動ガイド132aは、記録紙搬送方向と直交する方向に関して、揺動ガイド132aの内側端部が回動中心になるように、ガイドホルダ134aに回転可能に取り付けてある。本実施例では、揺動ガイド132aに設けられたフック形状の係合部132a1は、入口上ガイド131と略平行となるようにガイドホルダ134aに設けられた丸軸状係合部134a1に回転可能に緩く係合させて取り付けてある。
また、揺動ガイド132aは、回転止め部132a2を有している。この回転止め部132a2はガイドホルダ134aに設けられた孔134a2に遊びを持たせた状態に緩く貫入されている。そしてこの回転止め部132a2の先端にはガイドホルダ134aの孔134a2の周囲に係止する爪部132a3が形成してある。回転止め部132a2の爪部132a3をガイドホルダ134aに係止させることで揺動ガイド132aは略鉛直下方向への動きが規制されるが、略鉛直上方向には自由に動くようになっている。
このようにガイドホルダ134aに支持された揺動ガイド132aは、揺動ガイド132aの自重により係合部132a1を回転中心として揺動可能となる(図6の矢印UP方向)。図5中に破線で示した揺動ガイド132aは揺動前の位置であり、実線で示した揺動ガイド132aは、記録紙に押されて揺動したときの位置の一例である。
ところで、定着装置103の定着ニップ部N2において記録紙Sの先端が挟持搬送される際、記録紙Sの後端は通常、図3中に「後端跳ね無し」で例示した経路を辿って搬送されていくため、揺動ガイド132a,132bに接触することは無い。
ただし、部品精度不足等で加圧ローラ117の逆クラウン量(長手方向両端部と長手方向中央部との差分量)が大きくなった場合等においては、記録紙Sに後端跳ねが発生し、図3中に「後端跳ね有り」で例示した経路を辿って搬送される。このとき、記録紙Sは記録紙Sの幅方向の端部Sa,Sbが対応する揺動ガイド132a,132bと接触しながら搬送されていく。また、記録紙Sの後端の垂れ下がりが小さい厚紙等を搬送した場合においても、記録紙Sの端部Sa,Sbが対応する揺動ガイド132a,132bと接触する場合がある。
図6は記録紙Sに後端跳ねが発生したときの揺動ガイド132aの動作説明図である。図6に示されるように、記録紙Sは記録紙Sの端部Saが揺動ガイド132aの下端縁132a4に接触し後端跳ねが押さえ付けられる。この揺動ガイド132aの下端縁132a4で記録紙Sの後端跳ねを押さえ付ける働きにより、記録紙上のトナー画像印字領域が定着装置103の入口近傍の入口上ガイド131などの周辺部品に接触することを抑制できる。これによって記録紙Sの後端跳ね発生時の画像擦れを効果的に抑制することが可能となる。また記録紙Sの後端跳ね発生の衝撃による画像ブレの発生を抑制できる。
更に、揺動ガイド132aは、前述の通り揺動可能に配設されているため、記録紙Sの端部Saが揺動ガイド132aの下端縁132a4と接触することにより略鉛直上方向に持ち上げられる。つまり、揺動ガイド132aは、記録紙に押されると上方向に移動する(矢印UP方向)。図6において破線で示した揺動ガイド132aは揺動前の位置であり、実線で示したものは揺動後の位置である。このように揺動ガイド132aを構成することで、揺動ガイド132aが固定されている場合に比べて、記録紙Sの擦れに対する耐久性が良好となる。
ここでは揺動ガイド132aの動作のみを説明したが、揺動ガイド132bの動作も同様である。
以上説明したように、記録紙Sの後端跳ねを抑制しつつ耐久性が良好な揺動ガイド132a,132bを具備した画像形成装置を提供することができる。
[実施例2]
画像形成装置の他の例を説明する。
図7は本実施例の画像形成装置に搭載される定着装置103の斜視図である。なお、図7も図2同様、定着装置の内部が見えるように、定着装置を覆うカバーを取り外した状態の斜視図である。図8は図7に示す定着装置103を記録紙搬送方向上流側から見た時の図である。
実施例1では、ガイドホルダ134a,134bは画像形成装置本体100から吊架されていた。これに対し、本実施例では、ガイドホルダ134a,134bは定着装置103の上ステー144に固定されている。本実施例の画像形成装置はこの点を除いて実施例1の画像形成装置と同じ構成としてある。即ち、揺動ガイド132a、132bはガイドホルダ134a、134bに実施例1と同じ構成で保持されているので、詳細な説明は割愛する。
本実施例においても、記録紙Sの後端跳ねを抑制しつつ記録紙Sの端部Sa,Sb擦れによる削れに対して耐久性が良好な揺動ガイド132a,132bを具備した画像形成装置を提供することができる。
本実施例の画像形成装置は、実施例1の画像形成装置に比べてガイドホルダ134a,134bを小型化することができる。更に、揺動ガイド132a,132b、及びガイドホルダ134a,134bが定着装置103に組み込まれることにより、定着ニップ部N2と揺動ガイド132a,132bの相対位置精度が向上する。この結果、揺動ガイド132a,132bで記録紙Sの後端跳ねをより効果的に押さえ込むことが可能となり、記録紙Sの後端跳ね発生時の画像擦れをより効果的に抑制することが可能となる。
[実施例3]
画像形成装置の他の例を説明する。
図9は本実施例の画像形成装置に搭載される定着装置103の斜視図である。図10は図9に示す定着装置103を記録紙搬送方向上流側から見た時の面図である。実施例1、実施例2の画像形成装置では揺動ガイド132a,132bはガイドホルダ134a,134bに支持されていたが、本実施例の画像形成装置では揺動ガイド132a,132bは入口上ガイド131に支持されている。本実施例の画像形成装置はこの点を除いて実施例1の画像形成装置と同じ構成としてある。
図11は図10中のZ部を拡大した図であって、揺動ガイド134aの入口上ガイド131の取り付け部の構成を表わす説明図である。図11では、説明のため、揺動ガイド132aを一部切除して簡略的に表示している。以下に揺動ガイド132aの構成、及び動作を説明するが、揺動ガイド132bの構成、及び動作も同様であるため、その説明は省略する。
揺動ガイド132aは、入口上ガイド131の端部に回転可能に取り付けてある。本実施例では、揺動ガイド132aに設けられたフック形状の係合部132a1は、入口上ガイド131と略平行となるように入口上ガイド131に設けられた丸軸状係合部131a1に回転可能に緩く係合させて取り付けてある。図11において131a2は入口上ガイド131に設けられた孔であり、この孔131a2に係合部132a1を遊びを持たせた状態に緩く貫入して丸軸状係合部131a1に回転可能に係合させている。
また、揺動ガイド132aは、揺動ガイド132aの回転止め部132a2が入口上ガイド131に設けられた孔131a3に遊びを持たせた状態に緩く貫入されている。そしてこの回転止め部132a2の先端には入口上ガイド131の孔131a3の周囲に係止する爪部132a3が形成してある。回転止め部132a2の爪部132a3を入口上ガイド131に係止させることで揺動ガイド132aの鉛直下方向への動きが規制されるが、鉛直上方向には自由に動くようになっている。
このように入口上ガイド131に支持された揺動ガイド132aは、揺動ガイド132aの自重により係合部132a1を回転中心として、揺動可能となる。図12中に破線で示した揺動ガイド132aは揺動前の位置であり、実線で示した揺動ガイド132aは、記録紙に押されて揺動したときの位置の一例である。
本実施例においても、記録紙Sの後端跳ねを抑制しつつ記録紙Sの端部Sa,Sb擦れによる削れに対して耐久性が良好な揺動ガイド132a,132bを具備した画像形成装置を提供することができる。
本実施例の画像形成装置は、実施例1、実施例2に示されるガイドホルダ134aが不要となり、画像形成装置の部品点数の削減ができる。また、実施例2の画像形成装置と同様、揺動ガイド132a,132bが定着装置103に組み込まれるので、定着ニップ部Nと揺動ガイド132a,132bの相対位置精度が向上する。これに加えて、揺動ガイド132a,132bが入口上ガイド131に支持されていることにより、揺動ガイド132a,132bと入口上ガイド131の相対位置精度が向上する。この結果、記録紙Sの後端跳ね発生時の画像擦れをより効果的に抑制することが可能となる。
[実施例4]
画像形成装置の他の例を説明する。
実施例1乃至実施例3の画像形成装置では入口上ガイド131は固定されていたが、本実施例の画像形成装置では入口上ガイド131が、定着部の入口を塞ぐ位置と開放する位置に移動するように回転可能に保持されている。また、揺動ガイド132は実施例3と同様に入口上ガイド131に支持されている。
図12(a)、図12(b)は定着装置103の稼働状態(通紙時)における入口上ガイド131の位置(定着部の入口を開いた状態の位置)を表わす説明図である。図12(a)は定着装置103を記録紙搬送方向上流側から見た時の図、図12(b)は定着装置103の断面図である。図13(a)、図13(b)は例えばJam処理時においてユーザーが搬送ガイド150付近へアクセスするときの定着装置103の入口上ガイド131の位置(定着部の入口を閉じた状態の位置)を表わす説明図である。
金属製のフレーム153(図14(a)、図14(b)参照)及びフレーム等を覆う樹脂製のカバー151には入口上ガイド131を揺動させるリンク機構が配設されている。図14(a)、図14(b)にリンク機構の動作概要を示す。図14(a)は入口上ガイド131が開いたときの状態つまり稼働時の状態(プリント可能な状態)であり、図14(b)は入口上ガイド131が閉じたときの状態(プリント不可能な状態)である。
図12(a)乃至図14(b)において、155はカバー151に取り付けられた開閉ボタンである。この開閉ボタン155は、カバー151内部に配設されたバネ(不図示)によって開閉ボタン155が突出する方向(図14(a)の左方向)へと付勢されている。156はフレーム153に回転可能に支持されたカムシャフトである。このカムシャフト156は開閉ボタン155と当接している。開閉ボタン155とカムシャフト156の当接部155a,156a(図19(a)、(b)参照)は互いに斜面形状となっており、開閉ボタン155の直線運動を回転運動へと変換する。
157はカムシャフト156に設けられたボスGと係合する係合孔Hを備えた回転可能なリンクプレートA157である。リンクプレートA157の回転中心はフレーム153に固定されたリンクプレート軸159と嵌合させてあり、カムシャフト156の回転運動と連動してリンクプレートA157は回転運動を行う。
158はリンクプレートA157と係合する回転可能なリンクプレートBである。リンクプレートB158はリンクプレートA157と同様にその回転中心をリンクプレート軸159と嵌合させてあり、リンクプレートA157の回転運動と連動してリンクプレートB158は回転運動を行う。
フレーム153とカムシャフト156の間には戻しバネA160が配設され、リンクプレートA157とリンクプレートB158の間には戻しバネB161が配設されている。
以上の構成により、図14(b)の状態から開閉ボタン155が押し込まれると、それと連動してリンクプレートB158に設けられた長穴Iが回転する仕組みとなっている。開閉ボタン155は装置本体100の前ドア(不図示)に設けられた突起(不図示)によって押し込まれる構成となっており、前ドアを閉めた状態(稼働状態)においては図14(a)に示した状態となる。
Jam処理等でユーザーが搬送ガイド150付近にアクセスするために前ドアを開け、開閉ボタン155の押し込みが解除されると図14(b)の状態となる。このように、入口上ガイド131を定着部の入口を塞ぎ、ユーザがアクセスできないように保護するシャッタとしても利用している。
図15(a)、図15(b)は入口上ガイド131と揺動ガイド132aの取り付け部の構成を表わす説明図である。図15(a)は入口上ガイド131と揺動ガイド132aの取り付け部を揺動ガイド132aの通紙面側となる表面側から表わした斜視図である。図15(b)は入口上ガイド131と揺動ガイド132aの取り付け部を非通紙面側となる裏面側から表わした斜視図である。ここでは入口上ガイド131と揺動ガイド132aの取り付け部の構成を説明するが、入口上ガイド131と揺動ガイド132bの取り付け部の構成も同様である。
入口上ガイド131は、記録材搬送方向と直交する方向の端部に揺動ガイド132aを装着するための開口窓131wを有する。また、入口上ガイド131の裏面側には係合穴Kが設けられている。
揺動ガイド132aには、前述の回転止め部132a2に代えて、ボスLが設けられている。また、揺動ガイド132aには、前述の係合部132a1に代えて、ボスM,Nが設けられている。ボスLは入口上ガイド131の外側板部131gに設けられた弧状の長穴Jに遊びを持たせた状態に緩く貫入され、長穴Jに沿って移動可能となっている。ボスMも係合穴Kに遊びを持たせた状態に緩く嵌合され係合穴Kに対し回転可能となっている。ボスNは入口上ガイド131の裏面側の平面Fに当接するようにして組み込まれる。
図16(a)、図16(b)は揺動ガイド132を組み込んだ入口上ガイド131を、カバー151とカバー152、及びフレーム153とフレーム154に組み付けるときの様子を表わした図である。
まず、図16(a)について説明する。ボスLは図15でも示したように揺動ガイド132aから突出したボスであり、カバー151の内側側面に設けられたU字形状の支持凹部151aへと挿入される。入口上ガイド131に設けたボスPは、入口上ガイド131の回転中心となるボスであり、フレーム153に設けられた穴Raに嵌合される。入口上ガイド131に設けたボスQは、リンクプレートB158から入口上ガイド131を回動させる力を受けるボスであり、リンクプレートB158の長丸穴Iに挿入される。
次に、図16(b)について説明する。ボスOは揺動ガイド132bから突出したボスであり、カバー152に設けられたU字形状の支持凹部151bへと挿入される。ボスRは図16(a)におけるボスPと対応する位置に配設され、入口上ガイド131の回転中心となるボスであり、フレーム154に設けられた穴Rbに嵌合される。
以上の構成により、入口上ガイド131が、開閉ボタン155の押し込み、又は押し込み解除による移動と連動して回動し、定着部の入口を塞ぐシャッタとしても機能する。
また、図12(a)、図12(b)に示した定着装置103の稼働状態における揺動ガイド132a,132bの位置は実施例1乃至実施例3で説明した揺動ガイド132a,132bの位置と同等である。
一方、図13(a)、図13(b)に示した定着装置103の入口上ガイド131が定着部の入口を閉じた状態においては、揺動ガイド132a,132bの位置が図12と同じ位置にあると、揺動ガイドが搬送ガイド150に接触し搬送路に傷がつく恐れがある。そこで、定着装置103の入口上ガイド131が閉じた状態においては、揺動ガイド132a,132bを搬送ガイド150と接触しないように退避させる必要がある。
図17(a)、図17(b)は稼動状態(即ち、入口上ガイド131が定着部の入口を開き、記録紙のガイドとして機能している状態)における定着装置103の揺動ガイド132aの位置を表わす説明図である。図17(a)は定着装置103の入口付近を装置の長手方向一端側から見た図、図17(b)は定着装置103の入口付近を斜め上方から見た斜視図である。
図15(a)、図15(b)で示したように、入口上ガイド131の係合穴Kに対してボスMを緩く通された揺動ガイド132aは、さらにボスLが入口上ガイド131の長穴Jの底に嵌合される。ここで揺動ガイド132aは、ボスMとボスLで結ばれた線を回転中心として回転しようとするが、ボスNを入口上ガイド131の裏面側の平面Fに当接させることで、この回転を止め位置決めされる。
つまり、揺動ガイド132aの揺動中心側はボスMと係合穴Kとの緩い嵌合によってその動作が規制されているが、揺動ガイド132aのボスL側は略鉛直上方向には自由に動く状態となっている。そのため、後端跳ねを起こした記録紙Sが揺動ガイドに接触したときには、緩い嵌合部であるボスMおよび、入口上ガイド131に乗っかる形になっているボスNが回動中心の役割をする。これにより、実施例1乃至実施例3と同様、揺動ガイド132のボスL側が略鉛直上方向に持ち上げられる。
図18(a)、図18(b)は定着装置103の入口上ガイド131が閉じたときの揺動ガイド132aの位置を表わす説明図である。
入口上ガイド131が閉じると、揺動ガイド132aに設けたボスLがカバー151に設けられた支持凹部151aの底面151a1に当接して保持される。したがって、入口上ガイド131が更に定着部入口を閉じる方向に移動しても、揺動ガイド132aは、面151a1によって移動が規制される。これにより、揺動ガイド132aが搬送ガイド150に当接するのを防ぐことができる。
ここで揺動ガイド132aは、ボスMとボスLで結ばれた線を回転中心として回転しようとするが、入口上ガイド131の板部131gに設けられたリブT(図15(a)、(b)参照)に、揺動ガイド132aの平面E(図15(b)参照)が当接する。これにより、ボスMとボスLで結ばれた線を回転中心とした揺動ガイド132aの回動が規制される。このとき入口上ガイド131と揺動ガイド132aの記録紙搬送方向上流側は密着した状態となるようにそれぞれの位置決めされる。
本実施例では定着装置103の入口上ガイド131と揺動ガイド132aの構成、及び作用を説明したが、入口上ガイド131と揺動ガイド132bの構成、及び作用も同様である。
本実施例においても、記録紙Sの後端跳ねを抑制しつつ記録紙Sの端部Sa,Sb擦れによる削れに対して耐久性が良好な揺動ガイド132a,132bを具備した画像形成装置を提供することができる。
また、実施例1から実施例3の画像形成装置においては、入口上ガイド131と揺動ガイド132a,132bの間に、揺動ガイド132a,132bが揺動する際に必要となる隙間が存在していた。そのため、ユーザーがJam処理動作を行う際に、この隙間に引っ掛かる恐れがありJam処理性の低下を招いていた。これに対し、本実施例の画像形成装置は、Jam処理時において入口上ガイド131と揺動ガイド132a,132bが密着する構成となっていて上記の隙間が存在しないため、Jam処理性が向上するという効果を奏し得る。
次に、記録紙のカールをより効果的に抑えられる用紙ガイド形状について説明する。なお、以下の説明で、正面側とは、画像形成装置本体を記録紙搬送方向上流側から見て左側である。背面側とは画像形成装置本体を記録紙搬送方向上流側から見て右側である。
[実施例5]
定着装置により記録材にトナー画像を加熱定着させた後の記録材にはカールが発生することがある。このカールは記録材の吸湿状態、セット方向、定着装置の加熱定着条件等によりその大きさや方向が様々である。
画像形成装置において記録材の両面をプリントする両面ジョブを実行する場合、一度定着装置を通過した記録材が反転搬送され、画像形成部により記録材の2面目にトナー画像を形成し、再び定着装置へと搬送されてくる。
このときに記録材の2面目先端にカールが発生していると、記録材の2面目先端が定着ニップ部に滑らかに入らず、記録材先端に衝撃が付与されて生じる「画像剥離」、若しくは記録材の2面目先端が周辺部品へ接触し「画像擦れ」が発生していた。以降、この現象を「突入不良」と定義する。このような現象を抑制できるガイド形状を以下に説明する。
図20(a)に示した131は定着装置103の記録紙入口側に設けられた入口上ガイド(入口ガイド)であって、定着装置103の上ステー144に固定されている。133は入口端部ガイドであって、定着装置103内の定着ニップ部N2近傍に上方から吊架されて配設されている。入口上ガイド131は、図20(b)に示されるように、定着ニップ部N2の記録紙搬送方向上流側への延長線である定着ニップラインN2Lと所定の角度θをもって交差するように配置してある。
これらの入口上ガイド131と入口端部ガイド133は、記録紙Sが記録紙Sの先端を図20(b)における上向きにカールして搬送されてきた場合には、記録紙Sの先端を押さえ込み定着ニップ部N2へとガイドするようになっている。
排紙ローラ118の材質はアスカーC硬度約30度の発泡シリコーンゴム、対向ローラ119の材質は鉄である。硬度の低い排紙ローラ118表面が硬度の高い対向ローラ119表面により加圧されることで、対向ローラ119表面の外径に沿ったデカールニップが形成される。記録紙Sがそのデカールニップにて搬送されることにより、定着ニップ部N2で記録材Sに形成されたカールが逆方向に矯正される。カールが矯正された記録紙Sは、ガイド135とガイド136からなる搬送経路を経て定着装置103から排出される。
本実施例の定着装置103は、加圧ローラ117の長手方向の外形形状を、加圧ローラ117の正面側の端部と背面側の端部の長手方向両端部から長手方向中央部にかけて滑らかに凹形状となる逆クラウン形状に形成している(図4(b)参照)。
これにより、記録紙Sの搬送過程で記録紙Sにシワの発生を抑制できるが、前述のように記録紙Sの幅方向中央部と幅方向端部で搬送量に差が生じ、記録紙Sの後端が持ち上がる後端跳ねが発生することがある。そしてこの後端跳ねにより前述のような「後端ハネ不良」を引き起こす可能性がある。また、記録紙Sの両面をプリントした際に、記録材の2面目先端にカールが発生していると、前述のような「突入不良」を引き起こす可能性がある。
そこで、記録紙の「後端跳ね不良」と「突入不良」の発生を抑制しつつ定着装置の定着ニップ部に記録紙を滑らかに導入できるようにするため、定着装置103の記録紙入口近傍に、記録紙を定着ニップ部に導くための導入ガイド(ガイド)を配設している。
(2−3)導入ガイド(ガイド)132の構成
図20、図21乃至図25Cを参照して、導入ガイド1132の構成を説明する。図21は図20(a)中のA部を拡大した図であって導入ガイド1132を表わす図である。図22は図20(a)のB−B線矢視断面図である。図23は図22中のC部を拡大した図であって、背面側の導入ガイド1132bを表わす図である。図24は導入ガイド1132の縦断面形状を表わす断面図である。
図20(a)に示されるように、導入ガイド1132は、定着装置103の入口上ガイド(支持部材)131(図20(a)参照)の長手方向端部に、それぞれ、配設されている。本実施例では、背面側の導入ガイド1132の構成のみを説明するが、正面側の導入ガイド1132の構成も同様であるため、正面側の導入ガイド1132の構成の説明は省略する。
導入ガイド1132は、ガイド入口部1132aと、ガイド部1132cと、ニップガイド部1132dなどを有している(図21参照)。
ガイド入口部1132aは、ガイド1132の記録材搬送方向の最上流側に設けられ、定着ニップラインN2Lよりも定着ベルト116の側の領域に位置している(図22参照)。ニップガイド部1132dは、ガイド1132の記録材搬送方向の最下流側に設けられ、定着ニップラインN2Lよりも定着ベルト116の側の領域においてガイド入口部1132aよりもラインN2Lに近い領域に位置している。
ガイド部1132cは、導入ガイド1132の長手方向の外側の端部から記録紙Sの幅方向の端部Saと接触するように記録紙Sのトナー画像tを形成した面の側(トナー画像印字面側)に突設されたものである。このガイド部1132cは、正面側から見て略直角三角形状となるように形成してある(図22、図23参照)。
図24において、(a)は図23に示す導入ガイド1132のD−D線の矢視断面図であり、(c)は図23に示す導入ガイド1132のF−F線の矢視断面図である。(b)は図23に示す導入ガイド1132のD−D線とF−F線の中間位置でのE−E線の矢視断面図である。図24の(a)乃至(c)に示されるように、ガイド部1132cは、記録紙搬送方向の下流側にいくに従って記録材搬送経路102aを狭める方向に傾斜する形状となっている。
また、ガイド部1132cは、ガイド入口部1132aの記録材搬送方向の下流側に記録紙Sの先端のカールを抑え、かつ記録紙Sの「突入不良」、「後端跳ね不良」を抑制するための記録材押さえ部1132bを有している。そしてガイド部1132cの定着ニップラインN2Lに対する長手方向の距離L1と距離L2は次の関係を有するように設定されている。即ち、ガイド1132の記録材搬送方向の最上流位置(ガイド入口部1132aの最上流位置)において、図22中に示す距離L1が距離L2以上(距離以上)となっている。
ここで、距離L1は記録紙押さえ部1132bの長手方向の外側と定着ニップラインN2Lとの記録紙Sの厚み方向の距離であり、距離L2は記録紙押さえ部1132bの長手方向の内側と定着ニップラインN2Lとの記録紙Sの厚み方向の距離である。
更に、ガイド部1132cは、ガイドの最上流側より最下流側に近く、最上流側から最下流側に至る所定の位置で、少なくとも記録紙押さえ部1132aの角部(一部)が、定着ニップラインN2Lから加圧ローラ177の側の領域に位置している(図22参照)。この直角部分を図22において符号1132b1にて示す。
導入ガイド1132を上記のように構成したことにより、図25A乃至図25Cに示すべく、記録紙Sの先端がカールしてきた場合においても、ガイド入口部1132aは、記録紙Sの幅方向において略水平としてあるため、記録紙Sの先端の突入を妨げにくい。
更に、導入ガイド1132のガイド部1132cは、導入ガイドの長手方向の外側から記録材搬送経路102aを狭めながら記録紙Sのトナー画像印字面側へと落ち込んで、記録紙搬送方向の下流側に記録紙押さえ部1132bを形成するようになっている。
記録紙押さえ部1132bの直角部1132b1の位置を記録紙Sのトナー画像非印字領域上に設定するようにすれば、記録紙Sはトナー画像非印字領域のみが記録紙押さえ部1132bに触れながら搬送される。そのため、記録紙Sのトナー画像印字領域に影響を与えずに、記録紙押さえ部1132bで記録紙Sの先端のカールが押さえ込まれ、ニップガイド部1132dによって、定着ニップ部N2にスムーズに記録紙Sを導入することができる。
図25A乃至図25Cは導入ガイド132が記録紙S先端のカールを押え込む様子を表わす説明図である。
例えば、図25Aの(a)に示すように、記録紙Sのトナー画像印字面側の端部Sbが記録紙搬送方向に対し水平方向に凹カールして突入した場合、ガイド入口部1132aによって、記録紙Sの先端Sbはなだらかにガイド部1132cに送り込まれる。更にそのガイド部1132cによって、記録紙Sの先端Sbはなだらかに記録紙押さえ部1132bまで送り込まれる。そして図25Aの(b)に示すように、記録紙押さえ部1132bによって、記録紙Sの端部Saの凹カールが押さえ込まれる。
また、図25Bの(a)に示すように、記録紙Sのトナー画像印字面側の先端Sbが記録紙搬送方向と垂直方向に凸カールして突入した場合、ガイド入口部1132aによって、記録紙Sの先端Sbはなだらかにガイド部132cに送り込まれる。更にそのガイド部1132cによって、記録紙Sの先端Sbはなだらかに記録紙押さえ部1132bまで送り込まれる。そして図25Bの(b)に示すように、記録紙押さえ部1132bによって、記録紙Sの先端Sbの凸カールが押さえ込まれる。
また、図25Cの(a)示すように、記録紙Sのトナー画像印字面側の先端Saが記録紙搬送方向と垂直方向に凹カールして突入した場合、ガイド入口部1132aによって、記録紙Sの先端Sbはなだらかにガイド部1132cに送り込まれる。更にそのガイド部1132cによって、記録紙Sの先端Sbはなだらかに記録紙押さえ部1132bまで送り込まれる。そして図25Cの(b)に示すように、記録紙押さえ部1132bによって、記録紙Sの端部Saの凹カールが押さえ込まれる。
上述のように、ガイド1132のガイド入口部1132aとガイド部1132cで記録紙Sのトナー画像印字面側の先端Sbをなだらかに記録紙押さえ部1132bまで送り込むことができる。これによって、記録紙Sの先端Sbに衝撃が付与されて生じる「画像剥離」や、記録紙Sの両面をプリントする際の2面目の先端Sbが周辺部品へ接触して生じる「画像擦れ」の発生を抑制することができ、「突入不良」の発生を抑制できる。
図26は定着装置103の定着ニップ部N2での搬送中に大サイズの記録材S1、或いは小サイズの記録材S2に後端跳ねが発生した状態を表わす説明図である。図27において、(a)は導入ガイド132が大サイズの記録材S1の後端跳ねを押え込む様子を表わす説明図、(b)は導入ガイド132が小サイズの記録材S2の後端跳ねを押え込む様子を表わす説明図である。
大サイズの記録材S1に後端跳ねが発生した場合(図26参照)には、記録材S1は記録材S1の端部Saのトナー画像非印字領域のみが記録紙押さえ部1132bで押さえ込まれながら搬送される(図27(a)参照)。これによって、大サイズの記録材S1のトナー画像印字領域が定着装置103の入口近傍の入口上ガイド131などの周辺部品に接触することを抑制でき、「後端跳ね不良」の発生を抑制できる。
小サイズの記録材S2に後端跳ねが発生した場合(図26参照)には、記録材S2は記録材S2の端部Saのトナー画像非印字領域のみが記録紙押さえ部1132bで押さえ込まれながら搬送される。これによって、小サイズの記録材S2のトナー画像印字領域が定着装置103の入口近傍の入口上ガイド131などの周辺部品に接触することを抑制でき、「後端跳ね不良」の発生を抑制できる。
更に、導入ガイド1132のガイド入口部1132aは記録紙Sの幅方向に対して略水平である。そして導入ガイド1132の長手方向の外側から記録材搬送経路102aを狭めながら記録紙Sのトナー画像印字面側へとガイド部1132cを落ち込ませて、ガイド部1132cに記録紙押さえ部1132bを形成している。これによって、導入ガイド1132のガイド入口部1132aの天面側の省スペース化を図りつつ、記録紙Sの「後端跳ね不良」と「突入不良」の発生を抑制することができる。
[実施例6]
画像形成装置の他の例を説明する。本実施例では、実施例5の画像形成装置と共通する部材、部分については同一符号を付して、その部材、部分についての説明を省略する。
本実施例の画像形成装置は、導入ガイド1132の構成が実施例5の導入ガイド1132と異なる点を除いて、実施例5の画像形成装置と同じ構成としてある。
図28は本実施例の画像形成装置の背面側の導入ガイド1132を記録紙搬送方向上流側から見た拡大図である。図29は図28に示す導入ガイド1132を正面側から見た拡大図である。
本実施例に示す導入ガイド1132は、ガイド部1132cがガイド部1132cの傾斜する方向に沿って少なくとも1つのリブ(1132c2)を有していることを特徴とする。図28、図29に示すように、ガイドリブ1132c2は、ガイド部1132cのガイド入口部1132aから記録紙押さえ部1132bまでガイド部1132cの傾斜方向に沿って複数形成されている。これらのガイドリブ1132c2はガイド部1132cの傾斜方向に沿って平行に形成してある。
本実施例の画像形成装置は、導入ガイド1132のガイド部1132cに形成したガイドリブ1132c2により、次のような効果を奏し得る。記録紙Sの先端Sbが、導入ガイド1132のガイド入口部1132aからガイド部1132cの記録紙押さえ部1132bに至る過程で、導入ガイド132と記録紙Sの接触面積が減り、記録材S搬送時の抵抗を軽減できる。
なお、実施例5及び6において、導入ガイド1132は、定着装置103ではなく、定着装置に至る記録紙搬送経路(記録材搬送経路)に配設してもよい。
[実施例7]
図30〜32は、実施例7の説明図である。実施例7は、実施例4で説明した入口ガイド131に、実施例5で説明した形状の導入ガイド1132を取り付けたものである。実施例4及び実施例7で説明したものと同一機能を有する部材に同一の番号を付与してある。即ち、本実施例の入口上ガイド131は、ボタン155をオフする(ボタンが図31の左側に移動する)と、図32に示す状態から矢印で示した方向に回動して定着部の入口を塞ぐ。
また、導入ガイド1132は入口上ガイド131に対して揺動可能に設けられており、用紙Sが導入ガイド1132に突き当たると、導入ガイド1132は用紙に押されて図32の上方向へ移動する。これにより、導入ガイド1132の耐久性を確保している。
更に、入口上ガイド131が定着部の入口を塞いだ時に、導入ガイド1132に設けた突起Lが溝151aに支持されることにより導入ガイド1132の移動が規制される。これにより、導入ガイド1132が用紙搬送路150を傷つけないようになっている。
更に、導入ガイド1132の用紙ガイド部1132cは、図24で説明したような形状となっている。
このように、実施例7に示した構成にすれば、導入ガイド(揺動ガイド)1132の耐久性を確保しつつ、用紙を滑らかに定着ニップ部へ送り込むことができる。
なお、本発明は、未定着トナー画像を加熱及び加圧する方式は上述した実施例のものに限るものではない。セラミックヒータではなく、ハロゲンヒータを用いた定着装置にも適用できるし、誘導加熱方式を用いた定着装置にも適用できる。定着ベルトを用いた定着装置に限らず、剛性が高い定着ローラを用いた定着装置にも適用できる。