JP2019143455A - 津波対策用防波堤 - Google Patents

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庄司 米田
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Abstract

【課題】港湾内に津波が来襲したとき海上空港や臨海部のコンビナートなどへの津波の直撃を防止する津波用防波堤を提供する。【解決手段】津波の直撃を阻止したい海上空港や臨海部の前面に、鉄鉱石や砕石4を内部に詰めたケーソン1を設置し、そのケーソン1の前面に津波が越えるのを阻止し、かつそれを貯えるだけの高さがあり、幅はケーソン1より広く、かつその底から海底に打ち込んだ杭5で津波の力に対抗できかるようにした内部をコンクリートで固めた壁型の防波堤3を連続して設置し、壁型の防波堤3の前面にも、上部が津波を受けたときに下部が前方に跳ね上がることを抑える役割を果たす、後方に設置したものとほぼ同じかまたは少し低いケーソン2を設置する。【選択図】図2

Description

本発明は津波が来襲したとき海上空港や臨海部のプラントなどを直撃しないよう、その前面の津波対策用防波の構築方法に関する。
大阪湾、東京湾、伊勢湾の奥には海上空港や臨海部にコンビナートなどがあるが、これらは津波が来襲するとその直撃を受け甚大な被害を被る。その対策には前面に津波対策用の防波堤を建設することが効果があるが、その場所は水深が10〜2メートルあり、かつ海底は軟弱でそこに海面からの高さが20〜30メートルは必要な防波堤の建設は容易ではない。
一般には海底が軟弱な状態では従来工法はまず捨石マウンドを形成しその上に大型ケーソンを据えつける方式であるが地震の振動で全体が崩壊する危険性が高い。また防波堤全体の強度が低下し津波で押し流されてしまう可能性も高い。
また海底が軟弱な場合、大量の捨石の投入が必要であるが津波が差し迫った場合、数年という短期間に最低でも2〜3キロメートルの長さの防波堤の基礎を構築することは難しい。防波堤を設置する位置の水深が20メートルでケーソンを設置する捨石マウンドの高さを水深10メートルと仮定すると、海面からの高さが30メートルの防波堤を構築するにはケーソンの全高は40メートルとなりそのような巨大なものは容易に現場に据えつけることはできない。あるいは現場でコンクリートを打設して建造するとしても完成後は重量が重くなりすぎ地震の振動で防波堤全体が崩壊する危険性も高い。
上述の問題に対し、本発明は水深が深い軟弱な場所に建設しても津波の来襲に対して十分耐えられ、かつ比較的短期間に建設できる津波用防波堤の構築を課題とする。
上述の課題を解決するための本発明のひとつの特徴に従った津波対策用防波堤は、津波の直撃を阻止したい海上空港や臨海部のプラントの前面に、直線状あるいは半円形上に津波を貯えるように数百メートルあるいは数キロメートルの長さで、比重の大な鉄鉱石や岩石を内部に充填して津波による押し流す力を阻止できる重量を有し、高さが水深プラス海面上5〜10メートル、幅もほぼそれに等しく、長さは幅の1.5倍程度の箱形の外殻は鋼板のケーソンをまず設置する。
設置する場所の海底は多少掘り下げてへ泥などは取り除いておく。特に捨石などを敷きつめる必要はないが堤防設置場所はほぼ同じ高さに海底を均しておく。
次にそのケーソンの前面に津波が越えるのを阻止する幅がケーソンより広く、奥行きは3〜7メートル程度、かつ底から杭を海底に打ち込み、内部に鉄骨や鋼板などによる津波に耐える強度の鋼構造物をコンクリートで一体的に固めた天端が海面上20〜30メートルの壁型の防波堤を連続して設置する。
壁型の防波堤の前面にも先に設置したものと同じ構造のケーソンを設置する。このケーソンの高さは後方のケーソンより少し低くてもよい。このように前後二つのケーソンとその間の壁型の防波堤で津波をあたかもダムのように貯え阻止する。
本発明のひとつの特徴に従ったケーソンは高さが海底から海面上5〜10メートルで、幅もほぼ全高に等しく、長さは全幅の約1.5倍のものである。このコンクリートのケーソンはまず四方の側壁、底を構成する鋼板製パネルを船台でボルトで組み立てるか溶接し、または鉄骨のフレームにボルトなどで取り付け、内部にもケーソンの壁を構築するように鋼板のパネルを取り付ける。
ただし底にコンクリートを流し込んだ場合、底全体にコンクリートが広がるように内側の鋼板パネルは下端が底に着かない位置で外殻に固定する。その状態でコンクリートを内側の鋼板パネルの少し上まで打設し、次にそれが固まった状態で側壁部分の半分程度の高さまで打設する。それが完全に固まった段階で海上に引き出し、曳航し設置予定場所でケーソン内部に海水を入れて海底に設置する。
こうする理由はケーソン全体をコンクリートを打設して一気に製作すると重量が重くなり船台から引き出し曳航することが容易ではなくなることと、曳航するとき重心が高くなり横転の危険性が高まる点である。
またケーソンの外殻を鋼板パネルをボルトで締めた簡単な構造とするのは曳航する時にはコンクリート船の状態であり、鋼板の外殻全体には防水性は要求されないことによる。海底に設置した後は側壁に海水の入った状態でコンクリートを打設してケーソンは完成する。
鋼板パネルをボルト締めとする別の理由は船台で短期間にケーソンの外殻を組み立てられるようにするためである。鋼板パネルは海外の造船所や鉄工所でも短期間に大量に製造でき、津波用防波堤の計画場所付近の造船所で一度に何台も組み立てることができる。
ケーソンの側壁部分にコンクリートを上端まで打設し固まった後は内部に比重の大な鉄鉱石や砕石などを投入する。ただしそれが完了するまでに時間を要する場合にはケーソンの上端まで海水や土砂を注入して重量を最大限にしておくことも効果がある。
壁型防波堤は高さが海面から少し上になる程度に設計した外殻を鋼板のパネルでケーソンと同様に船台で組み立てる。底の鋼板には長手方向の中心ラインに一定間隔で高さ数メートルの鋼管を取り付け杭を海底に打ち込むことが出来るようにしておく。その場合鋼管の底は板などで海水が入らないように塞いでおく。[
この場合は側面の鋼板パネルは継ぎ目から海水が入らないように防水対策を施し、底にコンクリートを杭を打ち込む鋼管の上部付近まで打設する。
コンクリートが固まった段階で船台でから引き出し設置場所まで曳航し、鋼管に杭を挿入し、先に設置したケーソンの前面に密着させて海底に設置する。
すべての鋼管に挿入した杭を海底に杭打ち機で打ち込む。その場合杭の頂部は海底から半分程度の深さとする。
次に海底に固定した壁型防波堤の鋼製外殻の奥のケーソンの側に同じ断面形状の半割りの上部外殻を取り付ける。この上部は開口形式でよい。
次に内部の杭に津波に耐える強度の鋼鉄製構造物の鋼管を一体的に挿入する。
次にコンクリートを下部の外殻の上端まで打設する。
次に下部外殻の手前側にも同じ形状の半割りの上部の外殻を取り付け、後方の上部の外殻ともボルトや溶接で固定する。
次に上からコンクリートを打設して内部の鋼鉄製の構造物と一体の壁型防波堤を建造する。
壁型防波堤が完成した段階でその前面に先に設置したケーソンと同じ要領でケーソンを壁型の防波堤に密着させて設置し、内部に鉄鉱石や岩石などを投入しすべてが完了すると上部をコンクリートで被覆する。
この前方に設置したケーソンは津波に対し二つの役割を果たす。ひとつは津波を受け止める点である。他は壁型防波堤の上部が津波を受けた場合、後方のケーソンの上端を支点に下端が前方に跳ね上がるが、前方に設置したケーソンはそれを抑える役割を果たす。またそれだけの重量となるように設計する。
それぞれのケーソンや壁型の防波堤は固結ぜすそれぞれ独立した状態で設置する。それぞれの海底の条件も重量も異なり設置した後の沈降速度が異なる。その結果堤防を一体化させると防波堤に亀裂などが入り強度が落ちることを防ぐためである。
水深が深く海底が軟弱な場所で海上空港などを津波の直撃から守るには、まず地震でそれが崩壊しないようにし、次に津波の力に耐えかつ海水を前面に防波堤でダムのように貯えることが必要である。ダムのように貯えるにはまず津波の水平方向の押す力に耐えられる抵抗力が防波堤に必要であり、それは前方と後方のケーソンの重量と摩擦力及び壁型の防波堤の底に打ち込んだ杭の水平方向の抵抗力を合わせたものとなる。この方式の利点は二つのケーソンと壁型の防波堤で構成される防波堤を直接海底に設置しており、かつ内部に鉄鉱石を詰めているためにケーソンが海底に沈降して摩擦力が増加しており、防波堤の津波への抵抗力が時間と共に増大し、また全体が崩れる恐れが極めて少ない点である。
かつ津波の危険性が高まって防波堤の建設に時間的余裕がない場合、複数の船台でケーソンを同時に建造でき、かつ何か所からも同時に設置できるので完成までの工期を著しく短くすることもできる。
本発明によれば従来では十年以上の工期が必要となる、かなり水深のある軟弱な海底にその半分程度の期間に海面上30メートルの高さを有する、10メートル程度の高さの津波にもたえる強固な津波対策用防波堤を構築できる。
本発明の一実施例を示す津波対策用防波堤の一部外観図 本発明の一実施例を示す津波対策用防波堤の断面図 本発明の一実施例を示す津波対策用防波堤のケーソンの鋼板製外殻の断面を示す斜視図 本発明の一実施例を示す津波対策用防波堤の壁型防波堤の下部の外殻の一部切欠断面の斜視図 本発明の一実施例を示す津波対策用防波堤の後方のケーソンの前面に壁型防波堤の下部外殻を設置し、かつ鋼管から杭を打ち込んだ状態を示す一部切欠断面の斜視図 本発明の一実施例を示す図5の状態で杭に津波用の鋼鉄製の構造物を取り付けた状態を示す一部切欠断面の斜視図 本発明の一実施例を示す壁型防波堤の内部に取り付ける鋼鉄製の構造物の後部からの一部斜視図 本発明の一実施例を示す津波対策用防波堤の壁型防波堤の上部外殻鋼板の前後一対の一部斜視図
添付の図面を参照に本発明の実施の形態について以下に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る津波用防波堤の全体構成を示し、全長は数百メートルから数キロメートルで、全体は直線の場合と津波を内部に貯える形で半円形に近い形状があるが、それぞれ後方のケーソン1、前面のケーソン2、及び中央の壁型防波堤3を連続して海底に直接設置して構築する。
後方のケーソン1、前面のケーソン2は内部に鉄鉱石や砕石4など比重の重いものを詰めて海底との摩擦力を高め、かつ図2に示すように壁型防波堤3は底部から杭5を多数打ち込んで津波に押し流される力を高める。その場合、後方のケーソン1は前面のケーソン2よりも高くし、壁型防波堤3が津波で押し倒されることに対抗できる重量とする。
後方のケーソン1、前面のケーソン2は図3に示すように外殻鋼板6を組み立て、その内部に内側の鋼板7をその下部が外殻の底から離れた状態で外殻鋼板6にサポート金具14で取り付ける。次にコンクリート15を内側の鋼板7の下端より少し上の位置まで打設し、固化した段階で外郭の側壁内部にコンクリート15を全体の半分の高さまで打設する。それが固化した段階で船台から海に引き出し曳航し、所定の位置で海水を注入して沈める。次にコンクリートを外殻鋼板6の内側全体に打設しケーソンの側壁を完成させる。次に内部の空間に鉄鉱石や砕石4などを投入し上部をコンクリート15を打設して完成させるが、それに時間を要する場合にはケーソンの最上部まで海水を注入しておく。
図4に示すように壁型防波堤3はまず下部外殻9をケーソン同様に外殻鋼板6を組み立て製作する。その場合、底部には杭の挿入用鋼管8を取りつけておく。その穴は海水が入らないように板などで塞いでおく。次に組立が終わった後、コンクリート15を杭挿入用鋼管8の下まで打設して固める。この場合外殻の鋼板6のそれぞれの接合部はボルト締めでよいがゴムや塗料などで簡単な防水対策は施しておく。これにより壁型防波堤3の下部外殻9は曳航時の安定性が維持できる。
次に図5に示すように壁型防波堤の下部外殻9を後方のケーソン1の前面に曳航し内部に海水を注入して海底に設置する。次に挿入用鋼管8に杭5を挿入して打ち込む。杭の頂部は壁型防波堤の下部外殻9の半分程度の高さとする。
それが終わった段階で図6に示すように壁型防波堤の下部外殻9の上に上部後方外殻12を取りつける。次に壁型防波堤3の津波への耐力壁の骨格をなす鋼鉄製の構造物10を杭5の上部から挿入する。鋼鉄製の構造物10には杭5に嵌め合う鋼管11が取りつけてある。挿入が終わるとコンクリート15を下部外殻9の上まで打設する。次に下部外殻9の壁型防波堤の上部前面の外殻13を取り付ける。
その後壁型防波堤3の上部外殻内部全体にコンクリート15を打設し鋼鉄製の構造物10を含め全体を一体化させて完成させる。図2に壁型防波堤3の断面を示してある。
次に壁型防波堤3の前面にケーソン2を設置する。製作、設置の手順は後方のケーソン1と同じである。
本発明の実施形態によれば、海上空港や臨海コンビナートが高い津波の来襲受けた場合、津波対策で建設した防波堤が地震で崩壊する危険性はまずなく、膨大な津波は防波堤内部に貯えられて阻止できる。多少津波用防波堤の両端から奥に津波が回り込んでもその量は多くなく海上空港や臨海コンビナートの被害は著しく軽減できる。つまり津波の破壊力は水量とその速度が合成されたものであるがそのいずれをも抑えられ著しく被害を軽減することができる。その後方の津波による水位の上昇も抑えることができ海上空港やコンビナートのプラントの被害を著しく軽減できる。
また湾内では数回押し寄せる津波が蓄積され次第に湾全体、特に湾奥で水位が上昇する。これが海上空港やコンビナートのプラントの被害を増長するがこの津波用防波堤を構築することで津波一回ごとに引き波で湾外に押し戻し、湾内への蓄積を阻止する。これもこの津波用防波堤の効用である。
1 後方のケーソン
2 前面のケーソン
3 壁型防波堤
4 鉄鉱石や砕石
5 杭
6 外殻鋼板
7 内側の鋼板
8 壁型防波堤の底部の杭挿入用鋼管
9 壁型防波堤の下部外殻
10 鋼鉄製の構造物
11 鋼鉄製の構造物の鋼管
12 壁型防波堤の上部後方外殻
13 壁型防波堤の上部前面外殻
14 内側の鋼板のサポート金具
15 コンクリート

Claims (3)

  1. 津波の直撃を受ける海上空港や臨海部の沖の前面に、鉄鉱石や砕石を内部に詰めたケーソを設置し、
    そのケーソンの前面に津波が越えるのを阻止し、かつそれを貯えるだけけの高さがあり、幅はケーソンより広く、かつその底から海底に打ち込んだ杭で津波の力に対抗できかるようにした内部をコンクリートで固めた壁型の防波堤を連続して設置し、
    壁型の防波堤の前面にも、上部が津波を受けたときに下部が前方に跳ね上がることを抑える役割を果たす、後方に設置したものとほぼ同じかまたは少し低いケーソンを設置する、
    ことを特長とする津波対策用防波堤
  2. 前記のケーソンは高さが海底から海面上5〜10メートルで、幅もほぼそれに等しく、長さは幅よりは多少長い形状のもので、
    これはまず四方の側壁、底を構成する鋼板製パネルを製作し、船台でボルトなどで締め、あるいは一部溶接して組み立て、
    内部にもケーソンの壁をコンクリートを流し込んで建造できるように鋼板のパネルを取り付け、ただし下端は、底に流し込んだコンクリートが全体に広がるように外殻鋼板の底の少し上で固定し、
    その状態で底にコンクリートを内側の鋼板のパネルの少し上まで打設し、
    それが固まった段階で側壁にコンクリートを半分程度の高さまで打設し、
    それが完全に固まった段階で船台から海上に引き出し、曳航して設置予定場所でケーソン内部に海水を入れて海底に設置し、
    次に側壁部分にコンクリートを上端まで打設し、
    次にケーソン内部に鉄鉱石や砕石などを投入し、かつそれが上端まで投入し終るまでは上まで海水を注入して重量を最大限にしておく、
    ことを特長とする請求項1に記載された津波対策用防波堤
  3. 前記壁型の防波堤は高さが海面から少し上になる程度の鋼製パネルで外殻をボルトや溶接で船殻のように組み立てるが、
    その場合接合部は簡単に防水対策を施し、
    底の鋼板パネルには長手方向の中心ライン上に一定間隔で杭を海底に打ち込むことが出来るように高さ数メートルの鋼管を取り付け、
    その底は板などで海水が入らないようにふさぎ、
    次に底にコンクリートを鋼管の上部付近まで打設し、
    次にそのコンクリートが固まった段階で船台から引き出して海面に浮かして設置場所まで曳航し、
    次に鋼管に杭を挿入し、
    次に海水を中にいれて海底に設置し、
    次に鋼管の挿入した杭を海底に打ち込み、
    次に海底に固定した鋼製の外殻に接するケーソンの側に同じ形状の半割りの上部外殻をボルトなどで固定し、
    次に打ち込んだ杭に鋼鉄製の構造物の鋼管を挿入し、
    次にコンクリートを下部の外殻の上端まで打設し、
    次に海底に固定した壁型防波堤の外殻の手前側に半割りの外殻を上部に固定し
    次にその中にコンクリートを上部から流し込んで全体を一体的に固める、
    ことを特徴とする請求項1に記載された津波対策用防波堤
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