JP2015190109A - 耐洗掘性を有する水床構造 - Google Patents

耐洗掘性を有する水床構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2015190109A
JP2015190109A JP2014065805A JP2014065805A JP2015190109A JP 2015190109 A JP2015190109 A JP 2015190109A JP 2014065805 A JP2014065805 A JP 2014065805A JP 2014065805 A JP2014065805 A JP 2014065805A JP 2015190109 A JP2015190109 A JP 2015190109A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ground
water
pile
panel
resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014065805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6333597B2 (ja
Inventor
龍司 坂本
Ryuji Sakamoto
龍司 坂本
浩司郎 高尾
Koshiro Takao
浩司郎 高尾
基樹 風間
Motoki Kazama
基樹 風間
友宏 森
Tomohiro Mori
友宏 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hirose and Co Ltd
Original Assignee
Hirose and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hirose and Co Ltd filed Critical Hirose and Co Ltd
Priority to JP2014065805A priority Critical patent/JP6333597B2/ja
Publication of JP2015190109A publication Critical patent/JP2015190109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6333597B2 publication Critical patent/JP6333597B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Revetment (AREA)

Abstract

【課題】 水床構造の設計強度と実際の強度との間に乖離が生じることのない、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供する。【解決手段】 耐洗掘性を有する水床構造は、防潮堤1の裏法面の盛土3を覆うコンクリートパネル4の下端に設けられる基礎工5と、裏法面側の地盤2を覆って基礎工5の平坦面5aに連続して設けられるパネル8と、このパネル8に頭部が連結した杭(パイル)7とから、構成される。基礎工5およびパネル8は、防潮堤1を超える越流水に対する耐浸食性を有する材質、例えば、コンクリートからなる。杭7は、地盤2に埋設されて頭部がパネル8に固定される芯材と、この芯材の周囲を覆う地盤2中に充填されるグラウトとから、構成される。芯材は、例えば、異形鉄筋や鋼管などからなる。また、グラウトは、硬化すると膨張をする材質、例えば、硬化膨張性セメントミルクなどからなる。【選択図】 図2

Description

本発明は、水を被る地盤に設置され、流水によって地盤が洗掘されることを防止する性能、つまり、耐洗掘性を有する水床構造に関するものである。
従来、この種の耐洗掘性を有する水床構造としては、例えば、非特許文献1に開示された、図1に示される防潮堤1の裏法尻1aを保護する水床構造がある。
防潮堤1は、地盤2に盛られた盛土3に複数のコンクリートパネル4が被されて構成され、図の左方の海側から右方の陸地側へ襲来する津波の波動エネルギーを減じる。津波襲来時には防潮堤1の裏法尻1aが防潮堤1を超える越流水によって洗掘されるため、防潮堤1の裏法尻1aには、基礎工5と改良土6とから構成される水床構造が形成される。基礎工5はコンクリートによって法留体として形成され、改良土6は、この基礎工5の下部および陸地側の地盤2にセメントなどの固化剤を添加して、基礎工5の周囲の地盤2を改良することで形成される。
防潮堤1を超える越流水は基礎工5によって流向が水平方向へ向けられ、改良土6の表面を通って陸地側へ流れる。このため、防潮堤1の裏法尻1aは基礎工5および改良土6からなる水床部によって保護され、洗掘されるのが防止される。
国土交通省 国土技術政策総合研究所 河川研究部、"国総研技術速報No.3:粘り強く効果を発揮する海岸堤防の構造検討(第2報)"、第12頁 図−20、[online]、平成24年8月10日、[平成25年12月26日検索]、インターネット<URL:http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/sokuhou/file/120810.pdf>
しかしながら、上記の従来の非特許文献1に開示された水床構造においても短所は存在する。基礎工5の周囲の地盤2に固化剤を均一に混合・添加する改良土6は、施工した人の施工技術の熟練度により、地盤強度にムラができる可能性がある。このため、改良土6を用いた水床構造で裏法尻1aの洗掘対策を施す場合には、ポピュラーで安価に行うことは出来るが、水床構造の設計強度と実際の強度との間にバラツキが生じ、品質面に不安が残る。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、水を被る地盤の表面に設置される、流水に対する耐浸食性を有する材質からなる表面保護工と、この表面保護工下の地盤に埋設されて頭部が表面保護工に固定される芯材と、この芯材の周囲を覆う地盤中に充填されるグラウトとから、耐洗掘性を有する水床構造を構成した。
流水は、地盤の表面を覆う表面保護工を地盤から剥がそうとする引っ張り力を表面保護工に作用させる。しかし、本構成においては、芯材がその周囲を覆うグラウトと共に杭を構成し、グラウトは、芯材の周面摩擦抵抗を高めて、杭の引き抜き抵抗力を高める。従って、表面保護工を地盤から剥がそうとする引っ張り力は、引き抜き抵抗力が高められた杭によって受け止められる。従って、表面保護工は、地盤から剥がれることなく、流水を受けて流すことが出来る。このような水床構造は、杭に負荷をかけて杭の引き抜き抵抗力を測定することで、杭の設計荷重を満足しているか否かを現地で確認することが可能で、水床構造の品質面における確実性は高い。このため、水床構造の設計強度と実際の強度との間に乖離が生じることのない、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供することができる。
また、本発明は、グラウトが、硬化すると膨張をする材質からなることを特徴とする。
本構成によれば、グラウトは、その硬化時の膨張力により、芯材の周面摩擦抵抗をより高めて、芯材と地盤との付着力をより強固なものにする。従って、表面保護工を地盤から剥がそうとする引っ張り力は、引き抜き抵抗力がさらに高められた杭によってより堅固に受け止められる。
また、本発明は、
堤体の裏法面を覆う敷設体の下端にある地盤上に敷設体に連続して設けられ、堤体を超える越流水の流向を水平方向に向ける平坦面を有する、越流水に対する耐浸食性を有する材質からなる法留体を備え、
表面保護工が、堤体の裏法面側の地盤を覆って法留体の平坦面に連続して設けられる
ことを特徴とする。
堤体を乗り越えて堤体の裏法尻に突進する越流水は、法留体の平坦面によって流向を水平方向に向けるが、表面保護工に跳流・反転流を生じさせ、表面保護工を地盤から剥がそうとする引っ張り力を表面保護工に作用させる。しかし、本構成においても、表面保護工を地盤から剥がそうとする引っ張り力は、引き抜き抵抗力が高められた杭によって受け止められる。従って、法留体と表面保護工とで構成される水床構造は、地盤から剥がれることなく、突進する越流水を受けて流すことが出来る。このため、本構成によっても、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供することができる。
本発明によれば、上記のように、水床構造の設計強度と実際の強度との間に乖離が生じることのない、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供することができる。
法留体の周囲の地盤を改良土にして構成される従来の水床構造が適用された防潮堤の断面図である。 (a)は、本発明の一実施の形態による耐洗掘性を有する水床構造が適用された防潮堤の断面図、(b)はこの防潮堤を裏法面側から見た斜視図である。 (a)は、構造物の重量によって地盤が沈下することを説明するための断面図、(b)は、このような地盤沈下対策として地山補強に用いられるEPルートパイル工法を説明するための断面図である。 本発明の一実施の形態による耐洗掘性を有する水床構造の作用を説明するための一部拡大断面図である。 堤体の裏法尻に設けられる各水床構造の比較実験に用いた水理施設の概略構成を示す斜視図である。 (a)は、図2に示す本実施の形態による水床構造を模した水理施設の断面図、(b)は、図1に示す改良土を用いた従来の水床構造を模した水理施設の断面図、(c)は、裏法尻保護が無対策の水床構造を模した水理施設の断面図である。 (a)は、本発明の他の実施の形態による耐洗掘性を有する水床構造が適用された河川護岸域の断面図、(b)はこの河川護岸域の一部拡大平面図である。 (a)、(b)、(c)は、本発明の耐洗掘性を有する水床構造の他の適用例を示す断面図である。
次に、本発明による耐洗掘性を有する水床構造を海岸の防潮堤における裏法尻に適用した、本発明を実施するための形態について説明する。
図2(a)は、本発明の一実施の形態による水床構造が裏法尻に適用された防潮堤1の断面図、同図(b)は防潮堤1を裏法面側から見た斜視図である。
防潮堤1は、地盤2に盛られた盛土3に複数のコンクリートパネル4が被されて構成されている。この防潮堤1は、大地震発生時等に図の左方の海側から右方の陸地側へ襲来する津波の波動エネルギーを減じ、陸地において受ける被災を減災させる堤体である。コンクリートパネル4は、盛土3を覆う敷設体を構成し、防潮堤1の表法面、つまり、海側の斜面と、防潮堤1の頂部とを覆うとともに、防潮堤1の裏法面、つまり、海側と反対の陸地側の斜面を覆う。このコンクリートパネル4は、法面表面に凹凸が生じて越流水から力を受けないように、隣接するものの切り欠きとかみ合わせられ、越流水の流下方向に抗力が生じない構造をしている。
津波が襲来すると、越流が防潮堤1を矢示するように乗り越え、防潮堤1の裏法面を降下する。裏法面を降下する越流は、裏法面下端の裏法尻1aにおいて跳流や反転流となる。本実施の形態による防潮堤1は、この跳流や反転流によって裏法尻1aが洗掘されないように、耐洗掘性を有する水床構造が裏法尻1aに構築されている。
本実施の形態による水床構造は、法留体である基礎工5と、小口径場所打ち杭(パイル)7と、表面保護工であるパネル8とから、構成される。基礎工5は、防潮堤1の裏法面を覆うコンクリートパネル4の下端にある地盤2上に、コンクリートパネル4に連続して設けられる。この基礎工5は、防潮堤1を超える越流水の流向を水平方向に向ける平坦面5aを有する。パネル8は、防潮堤1の裏法面側の地盤2を覆って基礎工5の平坦面5aに連続して設けられ、水を被る地盤2の表面に設置される。基礎工5およびパネル8は、防潮堤1を超える越流水に対する耐浸食性を有する材質、本実施の形態ではコンクリートからなる。杭7は、パネル8の下の地盤2に埋設されて、RC構造の頭部連結工によって頭部がパネル8に連結固定される芯材と、この芯材の周囲を覆う地盤2中に充填されるグラウトとから、構成される。芯材は、異形鉄筋や鋼管などからなり、つば材が外周に一定間隔で設けられることがある。また、グラウトは、硬化すると膨張をする材質、本実施の形態では硬化膨張性セメントミルクなどからなる。
杭7は、図2(b)に示すように地盤2に網目状に打設される。詳細には、計画図に基づいてボーリングマシンによって地盤2が削孔され、地盤2に孔があけられる。この際の削孔径は、φ400[mm]以下に設定されるのが望ましく、本実施の形態ではφ115〜135[mm]に設定される。そして、その孔にグラウトが孔底から注入され、注入完了後、芯材が孔底まで挿入される。その後、注入したグラウトに加圧が行われ、最後に、芯材の頭部がパネル8に固定され、杭7の頭部の調整および防護が行われて、施工は完了する。このように芯材の周囲を覆うグラウトは、芯材と共に杭7を構成し、その硬化時の膨張力により、芯材と地盤2との付着力、つまり芯材の周面摩擦抵抗を大きく高めて、杭7の引き抜き抵抗力を大きく高める。従って、このエクスパンション(EP)効果によって杭7が地盤2の堅固な補強材となり、防潮堤1の裏法面側の地盤2は、基礎工5と共に、パネル8および杭7によって補強される。杭7の網目状配置位置および地盤2に挿入する深さや径は、地盤2の固さと想定する越流から受ける水圧とを考慮して、具体的に決定される。
地山補強土に用いられるEPルートパイルと呼ばれる工法でも、杭7と似たようなパイルを使用して、構造物下方の地盤の支持力補強が行われる。例えば、図3(a)に示すように、地盤2上に設けられた構造物9が重く、その下方の地盤2の支持力が不足していると、構造物9の荷重Wによって地盤2は沈下する。この場合、構造物9の下方の地盤2にEPルートパイル工法を適用し、同図(b)に示すように補強材であるパイル10を密に配置することで、構造物9の下方の地盤2は、パイル10と土で囲まれた疑似構造体と見なすことができる。従って、構造物9から受けるその荷重Wによる圧縮力に対して必要な抵抗力が構造物9の下方の地盤2に生まれ、構造物9の下方の地盤2の支持力が補強される。
このようにEPルートパイル工法は地山の補強に用いられる。これに対し、本実施の形態による水床構造は、地山ではなく、水辺において水を被る地盤2の補強に用いられ、既知のEPルートパイル工法が想定する適用範囲とは異なる。さらに、EPルートパイル工法では、パイルには、上記のように頭部連結工から常に圧縮力が作用するものとなっている。これに対し、本実施の形態による水床構造では、図4に模式的に示すように、杭7には、圧縮力F1および引っ張り力F2の双方がパネル8を介して作用する。
防潮堤1の裏法面を降下する越流水は、主に基礎工5によって流向が水平方向に向けられるが、パネル8にも流向を水平方向に変える圧力が作用する。圧縮力F1は、この圧力や、パネル8上に生じる跳流や反転流Rなどに起因して、杭7に作用する。また、引っ張り力F2は、揚力,揚圧力および浮力の総和に起因して、杭7に作用する。ここで、揚力とは、パネル8上を流れる越流水の流れが直接的に引き起こすパネル8周りの圧力分布が原因で生じる、パネル8を持ち上げようとする力である。揚圧力とは、パネル8と地盤2との隙間にある水Mの圧力などに代表される、パネル8周囲の流れによるものでないパネル8周りの圧力分布が原因となって生じる、浮力分を除く、パネル8を持ち上げようとする力である。
また、引っ張り力F2は常に作用するものでなく、大地震発生時等に越流水が生じて、地盤2上のパネル8に水が被るときに、一時的にだけ作用する。従って、本実施形態による水床構造における杭7には、地山の補強に用いられるEPルートパイル工法におけるパイルとは異なる力がかかり、その作用効果は異なる。
このような本実施の形態による水床構造において、津波の襲来によって防潮堤1を乗り越えて裏法尻1aに突進する越流水は、基礎工5の平坦面5aによって流向を水平方向に向けるが、パネル8上に跳流や反転流を生じさせる。従って、越流水は、上記のように、裏法尻1aにあるパネル8を下方に押圧する圧縮力F1、およびパネル8を地盤2から剥がそうとする引っ張り力F2をパネル8を介して杭7に作用させる。しかし、本実施の形態による水床構造においては、杭7が上記のようにエクスパンション効果によって引き抜き抵抗力を大きく高め、杭7と地盤2との付着力が大きくなっているので、パネル8を下方に押圧する圧縮力F1、およびパネル8を地盤2から剥がそうとする引っ張り力F2は、杭7によって堅固に受け止められる。
このため、防潮堤1の裏法尻1aにおいて基礎工5とパネル8とで構成される水床構造は、地盤2から剥がれることなく、突進する越流水を受けて流すことが出来る。また、杭7の設計荷重を満足しているか否かは、杭7に負荷をかけて杭7の引き抜き抵抗力を測定することで、現地で確認することが可能である。従って、本実施の形態によれば、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供することができる。よって、本実施の形態による水床構造は、重要度の高い海岸堤防の裏法尻や、建築物・構造物が近接している箇所の堤防の裏法尻における地盤、また、地盤改良をすることが困難な玉石・礫などからなり、水を被る箇所の地盤などに適用するのに、好適である。
なお、本実施の形態では、グラウトに硬化膨張性を有する材質を使用した場合について説明したが、グラウトの材質は必ずしも硬化膨張性を有する必要はない。硬化膨張性を有していなくても、グラウトは芯材の周面摩擦抵抗を高めて、杭7の引き抜き抵抗力を高める。しかし、グラウトが本実施の形態のように硬化膨張性を有する場合には、その硬化時の膨張力により、芯材の周面摩擦抵抗をより高めて、芯材と地盤2との付着力をより強固なものにする。従って、グラウトに硬化膨張性を有する材質を使用した本実施の形態では、パネル8を地盤2から剥がそうとする引っ張り力F2は、引き抜き抵抗力が大きく高められた杭7によってより堅固に受け止められる。
また、本実施の形態では、杭7が図2(b)に示すように地盤2に網目状に打設される場合について説明したが、杭7の打設の仕方はこれに限定されるものではない。例えば、杭7をパネル8に垂直に打設するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、パネル8に、予め平板状にかたどられた2次製品を使用した場合について説明したが、パネル8は、現場でコンクリートを打って成形するいわゆる現場打ちで形成するようにしてもよい。
図2に示す本実施の形態による水床構造の性能を確かめるため、図1に示す改良土6を用いた水床構造および裏法尻保護が無対策の水床構造との比較実験を行った。この比較実験では、本実施の形態による水床構造に、硬化膨張性を有しない材質のグラウトが使われ、杭7がパネル8に垂直に打設される場合を想定した。
図5は、この比較実験に用いた水理施設20の概略構成を示す斜視図である。水理施設20は、亘理砂を突き固めて作成した砂質地盤12に、同じ亘理砂を突き固めて作成した盛土13を盛って構成されている。亘理砂は、2011年東北地方太平洋沖地震による津波の被害を受けた宮城県亘理町の海岸域から採取した津波堆積土砂であり、乾燥密度が1.59[g/cm]で、含水比15%程度である。砂質地盤12および盛土13は両側面が側壁21a,21bで囲われ、図の左方が海側、右方が陸地側に想定されている。海側には大口径の水道管22が設置されており、蛇口23を開くとこの水道管22から大量の水が放出され、盛土13を超える越流水が発生する構成になっている。
図6(a)は、図2に示す本実施の形態による水床構造を模した水理施設20aの断面図であり、盛土13に5枚のコンクリートパネル14を被覆することで、防潮堤1を模した模擬防潮堤11が構成されている。コンクリートパネル14は、本実施の形態による防潮堤1のコンクリートパネル4を模したものである。模擬防潮堤11の裏法面の裏法尻11aには、基礎工5を模したコンクリートブロック15が設けられている。また、このコンクリートブロック15に連続する砂質地盤12上には、パネル8を模した3列のコンクリートパネル18、および各コンクリートパネル18に頭部が固定された、杭7を模した杭17が設けられている。杭17は、各コンクリートパネル18に1本ずつ垂直に設けられ、芯材となるパイプの表面周囲にエポキシ等の弾性接着剤で砂粒子を接着することで、杭7における注入グラウト表面の粗度が表現されている。
図6(b)は、図1に示す改良土6を用いた従来の水床構造を模した水理施設20bの断面図であり、模擬防潮堤11の裏法面の裏法尻11aには、基礎工5を模したコンクリートブロック15が設けられている。また、このコンクリートブロック15に連続する砂質地盤12には、セメント固化処理した改良土6を模したモルタルブロック16が設けられている。
図6(c)は、裏法尻保護が無対策の水床構造を模した水理施設20cの断面図である。模擬防潮堤11の裏法面の裏法尻11aには砂質地盤12が露出しており、何ら洗掘対策は行われていない。なお、図6において同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
図6(a)〜(c)に示す各模擬防潮堤11の寸法は、図6(a)に示す寸法で同様に作成されており、比較実験は、越流水が各模擬防潮堤11を超える越流高さ8.6[cm]、越流時間120秒の同条件で、行った。なお、堤体の各寸法の1[cm]は現地スケールで約4[m]に相当し、越流高さ8[cm]は現地スケールで約2[m]に相当すると考えられる。各模擬防潮堤11の堤体形状は、2011年東北地方太平洋沖地震の津波により被災した東北地方沿岸域の復旧に際して国土交通省が実際に採用した堤体形状を約1/25スケールで再現したものである。このときの裏法面中央における流速は、斜面底面から0.5[cm]の高さで151.51[cm/s]、斜面底面から2.8[cm]の高さで166.33[cm/s]、平均流速162.39[cm/s]であった。
この実験結果、図6(c)に示す裏法尻保護無対策の水床構造では、裏法尻11aに生じる跳流や反転流によって裏法尻11aの水床が大きく洗掘され、最終的には、コンクリートパネル14下方の盛土13がえぐられて、模擬防潮堤11は崩壊した。これに対し、図6(a)および(b)に示す各水床構造では、共に、裏法尻11aの水床は、跳流や反転流によって洗掘されることはなく、模擬防潮堤11はその原形をとどめた。
この実験結果から、図2に示す本実施の形態による水床構造と、図1に示す改良土6を用いた水床構造とは同等の効果を有するが、上記のように、改良土6を用いた水床構造は、品質の面で懸念があるので、適用する水床に要求される性能に応じて、本実施の形態による水床構造と改良土6を用いた水床構造とを使い分けるのが最良と考えられる。
図7(a)は、本発明の他の実施の形態による水床構造の断面図、同図(b)はその一部拡大平面図である。なお、同図において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
上記の実施形態による水床構造では、法留体として基礎工5を備え、表面保護工であるパネル8が、防潮堤1の裏法面側の地盤2を覆って基礎工5の平坦面5aに連続して設けられる場合について、説明した。しかし、本実施の形態による水床構造は、法留体を備えておらず、河川30の護岸域に設けられている。
すなわち、同図(a)に示すように、杭7およびパネル8から構成される本実施の形態による水床構造は、河川30と法面31との境界部分の護岸域に設けられ、水を被る地盤2の表面に設置される。法面31の上方には道路32が敷設されており、道路32の側方には山33が存在する。本実施の形態による水床構造が設けられる護岸域は、同図(b)の平面図に示すように、河川30の屈曲部に位置し、河川30を流れる水Mはこの屈曲部において渦Qを巻く。水Mの流れや渦Qといった流水は、地盤2の表面を覆うパネル8上にも及び、パネル8を地盤2から剥がそうとする引っ張り力F2をパネル8に作用させ、護岸域を浸食しようとする。
しかし、護岸域には本実施の形態による水床構造が設けられ、パネル8に頭部が固定された杭7の引き抜き抵抗力が高められている。このため、パネル8を地盤2から剥がそうとする引っ張り力F2は、引き抜き抵抗力が高められた杭7によって受け止められる。従って、パネル8は、地盤2から剥がれることなく、流水を受けて流すことが出来る。このような水床構造においても、杭7に負荷をかけて杭7の引き抜き抵抗力を測定することで、杭7の設計荷重を満足しているか否かを現地で確認することが可能で、水床構造の品質面における確実性は高い。このため、本実施の形態によっても、水床構造の設計強度と実際の強度との間に乖離が生じることのない、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供することができる。
上記の一実施形態では、本発明による水床構造を海岸域における防潮堤1の裏法尻1a、上記の他の実施形態では河川30と法面31との境界部分の護岸域に適用した場合について説明したが、本発明はこれらに限定されるものでは無い。本発明は、水を被るあらゆる地盤に適用することが可能である。
例えば、図8(a)に示すように、防潮堤1の海40側の表法面下方の、海際の波などを被る地盤2をパネル8が覆って、本発明による水床構造を形成することもできる。また、同図(b)に示すように、河川堤体41の川30側の法面下方の、川30の流れによる力が作用する川底の地盤2や、陸地側の法面下方の、河川堤体41を乗り越える越流水を被る地盤2をパネル8が覆って、本発明による水床構造を形成することもできる。また、同図(c)に示すように、海40の沖からの波を防ぐ防波堤51の下方の、海流の流れによる力が作用する海底の地盤2をパネル8が覆って、本発明による水床構造を形成することもできる。なお、図8において図2と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
このような各構成による水床構造によっても、上記の各実施形態による水床構造と同様な作用効果が奏され、水床構造の設計強度と実際の強度との間に乖離が生じることのない、品質面に確実性がある、耐洗掘性を有する水床構造を提供することができる。
1…防潮堤
1a…防潮堤1の裏法尻
2…地盤
3…盛土
4…コンクリートパネル(敷設体)
5…基礎工(法留体)
5a…平坦面
7…杭
8…パネル(表面保護工)
30…川
31…法面
32…道路
33…山
40…海
41…河川堤体
51…防波堤

Claims (3)

  1. 水を被る地盤の表面に設置される、流水に対する耐浸食性を有する材質からなる表面保護工と、この表面保護工下の前記地盤に埋設されて頭部が前記表面保護工に固定される芯材と、この芯材の周囲を覆う前記地盤中に充填されるグラウトとから構成される耐洗掘性を有する水床構造。
  2. 前記グラウトは硬化すると膨張をする材質からなることを特徴とする請求項1に記載の耐洗掘性を有する水床構造。
  3. 堤体の裏法面を覆う敷設体の下端にある前記地盤上に前記敷設体に連続して設けられ、前記堤体を超える越流水の流向を水平方向に向ける平坦面を有する、前記越流水に対する耐浸食性を有する材質からなる法留体を備え、
    前記表面保護工は、前記堤体の裏法面側の前記地盤を覆って前記法留体の前記平坦面に連続して設けられる
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐洗掘性を有する水床構造。
JP2014065805A 2014-03-27 2014-03-27 耐洗掘性を有する水床構造 Active JP6333597B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014065805A JP6333597B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 耐洗掘性を有する水床構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014065805A JP6333597B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 耐洗掘性を有する水床構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015190109A true JP2015190109A (ja) 2015-11-02
JP6333597B2 JP6333597B2 (ja) 2018-05-30

Family

ID=54424855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014065805A Active JP6333597B2 (ja) 2014-03-27 2014-03-27 耐洗掘性を有する水床構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6333597B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018100506A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 学校法人東京理科大学 堤防補強構造
JP7300661B1 (ja) * 2022-12-22 2023-06-30 共和ハーモテック株式会社 堤防保護構造およびその形成方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6050225U (ja) * 1983-09-16 1985-04-09 長坂 勇二 袋状サンドマットフィルタ−
JPS63110319A (ja) * 1986-10-28 1988-05-14 Dainippon Doboku Kk 盛土の安定工法
JPS63241218A (ja) * 1987-03-27 1988-10-06 Taisei Corp 除去式アンカ−工法
JPH01108139A (ja) * 1987-10-19 1989-04-25 Daiichi Cement Kk 膨脹性急結グラウト材
US20060233611A1 (en) * 2005-04-15 2006-10-19 Piao-Chin Li Method for conserving soil and water by integrating botanical net body and soft framework
JP2011518268A (ja) * 2008-04-22 2011-06-23 アントン カナンド, 洪水、沿岸又は水たまりの保護装置及び方法
JP2013076263A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Nikken Kogaku Co Ltd 護岸越流洗掘抑止工法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6050225U (ja) * 1983-09-16 1985-04-09 長坂 勇二 袋状サンドマットフィルタ−
JPS63110319A (ja) * 1986-10-28 1988-05-14 Dainippon Doboku Kk 盛土の安定工法
JPS63241218A (ja) * 1987-03-27 1988-10-06 Taisei Corp 除去式アンカ−工法
JPH01108139A (ja) * 1987-10-19 1989-04-25 Daiichi Cement Kk 膨脹性急結グラウト材
US20060233611A1 (en) * 2005-04-15 2006-10-19 Piao-Chin Li Method for conserving soil and water by integrating botanical net body and soft framework
JP2011518268A (ja) * 2008-04-22 2011-06-23 アントン カナンド, 洪水、沿岸又は水たまりの保護装置及び方法
JP2013076263A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Nikken Kogaku Co Ltd 護岸越流洗掘抑止工法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018100506A (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 学校法人東京理科大学 堤防補強構造
JP7300661B1 (ja) * 2022-12-22 2023-06-30 共和ハーモテック株式会社 堤防保護構造およびその形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6333597B2 (ja) 2018-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5445351B2 (ja) 盛土の補強構造
Whitehouse et al. Evaluating scour at marine gravity foundations
CN103233444B (zh) 水下抛石基床和边坡防冲刷结构及其施工方法
Chanson Embankment overtopping protection systems
JP6370295B2 (ja) 盛土の補強構造とその築造方法
JP2013241745A (ja) 盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法
CN111270698A (zh) 一种用于山区采砂河道内桥梁桩基外露病害的防护结构及其施工方法
KR20110135224A (ko) 조력 발전소용 사면보호공 및 세굴방지공 설치 공법
JP5451844B1 (ja) 既設堤体の補強構造及び既設堤体の補強方法
JP6333597B2 (ja) 耐洗掘性を有する水床構造
CN212223936U (zh) 一种用于山区采砂河道内桥梁桩基外露病害的防护结构
JP6881916B2 (ja) 構造物の設置方法
JP2016156147A (ja) 剛な一体壁面工を持つ高剛性ジオシンセティック補強土擁壁工による巨大津波に対抗する海岸用土構造物の構築工法
JP4018288B2 (ja) 通水可能な函体からなる人工地盤とその施工方法
JP2008081960A (ja) 波浪防護構造物
Figlus et al. Conceptual Design and Physical Model Study of Core-Enhanced Dunes as Hybrid Coastal Defence Structures
Scuero et al. Underwater repair of a 113 m high CFRD with a PVC geomembrane: Turimiquire
JP6234973B2 (ja) 盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法
Hawkswood et al. Foundations to precast marine structures
PROVAN et al. Experimental study of wave and sediment interactions with edge treatment features on a living dyke
CN214401862U (zh) 一种桩基的固化土防冲刷结构
KR101684340B1 (ko) 연안의 세굴방지구조 및 그것의 설치방법
JP2013019133A (ja) 防波堤
JP3077022B2 (ja) 消波構造物
CN206667424U (zh) 雨水管埋设结构

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180425

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6333597

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250