JP6234973B2 - 盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法 - Google Patents

盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法 Download PDF

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本発明は、盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法に係り、特に、津波防御施設(防波堤・防潮堤・海岸堤防・河口近くの河川堤防など)として剛な一体の壁面工を持つジオシンセティック補強擁壁工を用いる堤体盛土補強土壁工法による高耐震性防潮堤防の構築方法に関するものである。
鉄道・道路、宅地造成地などで構築されている盛土補強土壁工法の中の「剛な一体壁面を活用したジオシンセティック補強土擁壁」(通称RRR−B工法)は、ジオシンセティック補強盛土の施工後に場所打ちコンクリートを打設して、剛で一体な壁面工を構築している。このRRR−B工法による剛で一体の壁面工を持つジオシンセティック補強土擁壁は、既に1995年の阪神淡路大震災で耐震性が高いことが証明されていた。加えて、剛で一体の壁面工を持つジオシンセティック補強土擁壁、およびこれを橋台とした補強土橋台が仙台付近、一ノ関付近、および盛岡付近で少なからず構築されていたが、2011年東日本大震災においてもすべて無被害であり、改めて高い耐震性を有することが再び証明された。一方、東日本大震災においては、巨大津波により多数の防波堤・防潮堤・海岸堤防・河口近くの河川堤防等が壊滅的に破壊した。
本発明は、この剛な一体壁面工を有するジオシンセティック補強土擁壁を盛土形式の津波防御施設(防潮堤・海岸堤防・河口近くの河川堤防等)として構築する方法に関するものである。
2011年東日本大震災での甚大な被害の多くは、従来の内陸型地震とは異なり東日本の太平洋沿岸部を襲った巨大津波によるものであった。この巨大津波に対して、従来の津波防御施設(防波堤・防潮堤・海岸堤防・河口近くの河川堤防等)は、津波高さが想定高さをやや超える程度までは機能していたが、その多くは、巨大津波として押し寄せてきた津波の高さがこれらの施設高さを遥かに超えてから、越流・侵食・洗掘等によって基礎地盤とともに崩壊してしまっている。
従来の盛土形式の防潮堤(下記非特許文献4参照)は、図8に示すように、基礎地盤101に構築された堤体盛土102に対して、波返工104を有する表のり面被覆工103、天端被覆工105、裏のり面被覆工106による三面張りのコンクリート工が構成されている。
しかしながら、このような防潮堤では、図9に示すように、越流した津波A1 〜A4 が下流側(陸側)の裏のり面被覆工106を急速に流下する際に生じる強烈な揚力Fにより〔津波は、裏のり面被覆工106の近くを流れる津波A1 ほど、その上側を流れる津波A2 〜A4 より流速Vが早くなり(V1 >V2 >V3 >V4 )強烈な揚力Fを生じる〕、堤体盛土102に固定されていない天端被覆工105と下流側裏のり面被覆工106の最上段の被覆工がまず剥ぎ取られ、そこから堤体盛土102の侵食が開始されて、下流側基礎地盤101の洗掘も生じて下流側のり面が崩壊し、やがて引き波等によって全断面が喪失したと思われる例が多かった。
龍岡文夫:「2011年東日本大震災からの復旧・復興での補強土構造物」,RRR工法協会だより,No.13,2011年08月 地盤工学会:「地震時における地盤災害の課題と対策−2011年東日本大震災の教訓と提言(第1次)」,2011年7月 日経コンストラクション,pp.34〜43,2011.10.24 海岸保全施設技術研究会編:「海岸保全施設の技術上の基準・同解説」,平成16年6月
図10及び図11には、2011年東日本大震災での従来の盛土形式防潮堤の被害の例が示されている。
図10には、天端被覆工のコンクリートスラブと下流側裏のり面の最上段のコンクリート工が剥ぎ取られた防潮堤(大船渡市三陸町越喜来漁港付近)が示されており、図11には、天端被覆工のコンクリートスラブが移動し下流側裏のり面最上段の被覆工のコンクリート工が剥ぎ取られた防潮堤(宮古南津軽石付近)が示されている。これらの箇所の延長上では全断面が消失した箇所があった。
このように、従来の盛土形式の防潮堤の構造上の最大の欠点は、三面張りコンクリート工が固定されていないことと、堤体盛土が無補強であるコンクリート工の喪失後に越流による侵食に対する抵抗力が小さいことである。
震災復興の過程で、海岸保全施設で防ぐ津波の高さの設定方法等は見直され、海岸堤防の高さを決める際に必要な『設計津波』の水位の設定方法は変わり、場所によっては大幅に高くなり、また、設計津波を超える高さの津波に襲われても直ちに全壊しないような『ねばり強い構造』を目指す方針が示されている。
その方法として、以下に示すような方法が提案されている。1953年の台風13号によって、三重県や愛知県の伊勢湾沿岸では土堤が崩れ甚大な被害が発生したのを契機にコンクリート工の三面張りを採用したところ、1959年の伊勢湾台風では、この三面張りは壊れなかったという事実を根拠として、津波が越流しても堤体が流出せず、のり尻が洗掘されないようにするために、
(1)図12に示すように、裏のり面被覆工206のり尻にコンクリートなどによる被覆207を施す
(2)図13に示すように、裏のり面被覆工206に盛土208を施す
(3)図14に示すように、表のり面被覆工204に消波工209や根固め工210を設置する
(4)図15に示すように、裏のり面被覆工206に被覆工211を追加することにより天端被覆工205を拡大する
等の対策が提案されている。なお、これらの図12〜図15では、基礎地盤201に構築された堤体盛土202に対して、波返工203を有する表のり面被覆工204、天端被覆工205、裏のり面被覆工206による三面張りのコンクリート工が構成されている。
図9に示したように、越流した津波が下流側(陸側)の裏のり面を急速に流下する際に生じる強烈な揚力Fにより、堤体盛土102に固定されていない天端被覆工105と下流側裏のり面の最上段の被覆工106がまず剥ぎ取られ、そこから補強されていない、抵抗力が弱い堤体盛土102の侵食が開始されて、やがて引き波等によって全断面が喪失したと想定されるため、これらの対策だけでは効果的に機能しない。
また、堤体盛土102は補強されていないため、必要な耐震性を確保するのが難しい。さらに、長期にわたる波浪・豪雨等による堤体盛土102内からの浸透流のため、堤体盛土102の盛土材が吸い出される可能性があるといった問題があった。
本発明は、上記状況に鑑みて、堤体盛土と、波返工を有する表のり面被覆工と天端被覆工と裏のり面被覆工の三面張りコンクリート工とを一体化するとともに、防潮堤全体が壊滅的な破壊に至ることがないように、波返工のみが破壊する、剛性の高い盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕堤体盛土内に敷設した引っ張り補強材によって、前記堤体盛土全体を補強して抵抗力のある補強盛土を構築し、さらに、その引っ張り補強材と、波返工を有する表のり面被覆工と天端被覆工および裏のり面被覆工の3つの被覆工である三面張りコンクリートを裏型枠を用いることなくコンクリートを打設することによって、前記三面張りコンクリートと引っ張り補強材をそれぞれ付着させて一体化させて、剛性の高い盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法であって、前記表のり面被覆工の上部に設置される前記波返工の構造鉄筋の配筋方法として上流側のみに主鉄筋を配置し、下流側には乾燥収縮・ひび割れ防止用の用心鉄筋のみを配置し、巨大津波が越流した後に生じる引き波に対して防潮堤全体が壊滅的な破壊に至ることがないように、前記波返工のみが破壊する構造としたことを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)ジオグリッドなどの引っ張り面状補強材で補強された堤体盛土と、波返工を有する表のり面被覆工と天端被覆工と裏のり面被覆工の三面張りのコンクリート工とを一体化することによって、巨大津波等が防潮堤を越流したとしても、前記天端被覆工と上下流側のり面の被覆工が剥ぎ取られるのを防ぐことができる。
(2)そのため、堤体盛土の盛土材が流出しない。また、仮にコンクリート被覆工が破損した場合でも、堤体盛土は多層面状補強材で補強されているので侵食に対して抵抗力がある。このため、防潮堤の機能が失われない。
(3)押し波はゆっくり押し寄せてくるのに対して、引き波は一気に海底に向って急速に流れようとするので引き波のエネルギーは巨大であり、そのため表のり面被覆工の上部に波返工があると、防潮堤全体が破壊される可能性が高い。本発明の波返工の構造にすると、引き波の際には波返工のみが破壊されるため、防潮堤全体として壊滅的な破壊に至ることがない。よって、補強された堤体部分のみが残り、引き波の勢いを減ずることができる。また、波返工が残っていると引き波が越流する際に、ナイヤガラの滝のような瀑布状態となり救助の際の妨げにもなることから、引き波に対しては波返工が壊れることにより、構造的機能を果たす。
本発明の第1参考例を示す上流側ならびに下流側ともに防潮堤のり面が緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。 本発明の第2参考例を示す上流側ならびに下流側ともに防潮堤のり面が急勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。 本発明の第3参考例を示す防潮堤のり面の上流側は急勾配で下流側は緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。 本発明の第4参考例を示す耐震性防潮堤の構造例を示す断面図である。 本発明の第5参考例を示す防潮堤のり面が緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築における面状補強材と壁面工との一体化方法を説明する上面図である。 本発明の第6参考例を示す防潮堤のり面が緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築における面状補強材と壁面工との一体化方法を説明する上面図である。 本発明の実施例を示す津波の引き波の際に波返工のみを破壊させる耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。 従来の盛土形式の防潮堤の模式図である。 越流した津波による防潮堤の破壊の説明図である。 従来の盛土形式防潮堤の被害の例を示す図面代用写真(その1)である。 従来の盛土形式防潮堤の被害の例を示す図面代用写真(その2)である。 従来の提案例(その1)を示す模式図である。 従来の提案例(その2)を示す模式図である。 従来の提案例(その3)を示す模式図である。 従来の提案例(その4)を示す模式図である。
本発明の盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法は、堤体盛土内に敷設した引っ張り補強材によって、前記堤体盛土全体を補強して抵抗力のある補強盛土を構築し、さらに、その引っ張り補強材と、波返工を有する表のり面被覆工と天端被覆工および裏のり面被覆工の3つの被覆工である三面張りコンクリートを裏型枠を用いることなくコンクリートを打設することによって、前記三面張りコンクリートと引っ張り補強材をそれぞれ付着させて一体化させて、剛性の高い盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法であって、前記表のり面被覆工の上部に設置される前記波返工の構造鉄筋の配筋方法として上流側のみに主鉄筋を配置し、下流側には乾燥収縮・ひび割れ防止用の用心鉄筋のみを配置し、巨大津波が越流した後に生じる引き波に対して防潮堤全体が壊滅的な破壊に至ることがないように、前記波返工のみが破壊する構造とした。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
最初に、具体的な盛土補強土壁工法による防潮堤防の構築方法について詳細に説明する。
図1は本発明の第1参考例を示す上流側ならびに下流側ともに防潮堤のり面が緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。
この図において、1は基礎地盤、2は堤体盛土、4は波返工3を有する表のり面被覆工、5は天端被覆工、6は裏のり面被覆工、7は面状補強材(ジオグリッド等)である。ここでは、表のり面被覆工4、天端被覆工5及び裏のり面被覆工6(いずれもコンクリート工)を剛結合した三面張りコンクリート工を構成している。そして、剛な一体のり面工4,5,6と面状補強材(ジオグリッド等)7とを一体化して、堤体盛土2の盛土材が流出しない構造としている。
この例のように、緩勾配の堤体盛土を構築する場合には施工中の安全性を確保するための仮抑え材が不要となるため、コンクリート工を施工する際に、引っ張り補強材と剛な一体のり面工4,5,6とを直接一体化する。一方、後述のように、急勾配の堤体盛土を構築する場合、RRR−B工法で採用している仮抑え材に土のうや溶接金網をL型に加工したL型溶接金網を用いて裏型枠を使用しないでコンクリートを打設して躯体〔剛な一体のり面工14,15,16〕(図2参照)とジオグリッドなどの引っ張り補強材と一体化する。なお、ここでは引っ張り補強材の例として、面状補強材(ジオグリッド等)を例示しているが、補強不織布や溶接金網、エキスパンドメタルなどであってもかまわない。また、補強効果は低下するものの、上記の引っ張り補強材を面状に敷きつめるのではなく、部分的に配置することを除外するものでもない。堤体盛土を反力として、壁面工が揚力によって引き剥がされる際に引っ張り補強効果が得られるものであればよい。
図2は本発明の第2参考例を示す上流側ならびに下流側ともに防潮堤のり面が急勾配の場合の耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。
この図において、11は基礎地盤、12は堤体盛土、14は波返工13を有する表のり面被覆工、15は天端被覆工、16は裏のり面被覆工、17は土のう、18は面状補強材(ジオグリッド等)であり、やはり、表のり面被覆工14、天端被覆工15及び裏のり面被覆工16(いずれもコンクリート工)を剛結合した三面張りコンクリート工を構成している。
ここでは、現在のRRR−B工法を基本的に採用し、表のり面被覆工14と裏のり面被覆工16が土のう17を巻き込むようにしており、特に、天端幅が広い場合には上部も土のう17を巻き込む構造とする。一方、表のり面被覆工14と裏のり面被覆工16を面状補強材(ジオグリッド等)18と一体化して剛な壁面を構築し、堤体盛土12の盛土材が流出しない構造としている。
図3は本発明の第3参考例を示す防潮堤のり面の上流側は急勾配で下流側は緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図である。
この図において、21は基礎地盤、22は堤体盛土、24は波返工23を有する表のり面被覆工、25は天端被覆工、26は裏のり面被覆工、27は土のう、28は面状補強材(ジオグリッド等)であり、やはり、表のり面被覆工24、天端被覆工25及び裏のり面被覆工26(いずれもコンクリート工)を剛結合した三面張りコンクリート工を構成している。
ここでは、急勾配である表のり面被覆工24が土のう27を巻き込むようにしており、天端幅が広い場合には上部も土のう27を巻き込む構造とする一方、表のり面被覆工24と裏のり面被覆工26を面状補強材(ジオグリッド等)28と一体化して、剛な壁面工を構築し、堤体盛土22の盛土材が流出しないように構造としている。
なお、図1〜図3の例示以外でも状況に応じて表のり面被覆工と裏のり面被覆工の組み合わせは多々存在するが、それらについても除外するものではない。
また、防潮堤の天端を鉄道などに用いる場合には、天端被覆工がアスファルト路盤であったり、土路盤であったりするが、それらについても除外するものではない。
図4は本発明の第4参考例を示す耐震性防潮堤の構造例を示す断面図であり、図4(a)はその全体図、図4(b)は図4のA部拡大図である。
これらの図において、31は堤体盛土、32は面状補強材(ジオグリッド等)、33は表のり面被覆工、33Aは躯体コンクリート、34は裏のり面被覆工、35は防錆鉄筋、36は盛土押圧用プレート、36Aはそのナット、37は躯体鉄筋連結用プレート、37Aはそのナットである。
このように、堤体盛土31の表のり面被覆工33と裏のり面被覆工34との間に面状補強材(ジオグリッド等)32と防錆処理をした防錆鉄筋35、または防錆鉄筋35と複数枚の盛土押圧用プレート36を締結することによって高剛性プレートを構築し、堤体盛土31と表のり面被覆工33および裏のり面被覆工34を一体化して配置するようにした。
図5は本発明の第5参考例を示す耐震性防潮堤のり面が緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築における面状補強材と壁面工との一体化方法を説明する上面図である。
この図において、41は堤体盛土、42はのり面被覆工の躯体コンクリート、43は防錆鉄筋、44は面状補強材(ジオグリッド材)、45は防錆処理した溶接金網(フラット)であり、この実施例では、防錆鉄筋43に防錆加工を施した溶接金網(フラット)45を結束して構成する。46はその結束部である。このように構成された防錆鉄筋43および溶接金網45と、これに重ねた面状補強材44を防錆鉄筋43と結束部46、および面状補強材44の端部を巻き込むように躯体コンクリート42を施工することで一体化することができる。
図6は本発明の第6参考例を示す耐震性防潮堤のり面が緩勾配である場合の耐震性防潮堤防の構築における面状補強材と壁面工との一体化方法を説明する上面図である。
この図において、51は堤体盛土、52は躯体コンクリート、53は面状補強材(ジオグリッド等)、54は面状補強材(ジオグリッド等)53の耳部分(躯体コンクリート52内に配置される)、55はこの耳部分54の長手方向に形成される補強穴(ハトメ)であり、この実施例では、補強穴(ハトメ)55に防錆鉄筋(図示なし)を通すようにするか、あるいは、結束線等で防錆鉄筋(図示なし)と固定する。なお、面状補強材(ジオグリッド等)53の補強穴(ハトメ)55を設ける耳部分54とは反対の側は、補強穴(ハトメ)55を設けずに切り落とす。このように構成された耳部分54を巻き込むように躯体コンクリート52を施工することで一体化することができる。
上記参考例によれば、面状補強材(ジオグリッド等)と躯体コンクリートを一体に施工するので、堤体盛土と躯体コンクリートは剛に結合され、剛性の高い一体壁面工を用いた浸食に対して抵抗力を高めた耐震性防潮堤を構築することができる。
図7は本発明の実施例を示す津波の引き波の際に波返工のみを破壊させる耐震性防潮堤防の構築方法を説明する断面図であり、図7(a)はその全体の断面図、図7(b)は表のり面被覆工の波返工の部分を示す図である。
これらの図において、61は基礎地盤、62は堤体盛土、64は波返工63を有する表のり面被覆工、65は天端被覆工、66は裏のり面被覆工、67は土のう、68は面状補強材(ジオグリッド材等)であり、やはり、表のり面被覆工64、天端被覆工65及び裏のり面被覆工66(いずれもコンクリート工)を剛結合した三面張りコンクリート工を構成している。
この実施例では、波返工63に対する津波の引き波の衝撃によって、表のり面被覆工(コンクリート工)64全体が破壊されるのを避けるため、表のり面被覆工64の内部において、引き波の引っ張り側の(上流側)主筋63Aは波返工63内部まで延在するように配筋するが、逆側(下流側)の主筋63Bは波返工63内部まで延在せず、波返工63内には乾燥収縮・ひび割れ防止用の用心鉄筋63Cを配筋する程度にすることにより、津波の引き波の際に積極的に波返工63のみを破壊させるようにして、表のり面被覆工64全体の破壊を回避するように構成した。この際に、波返工63と表のり面被覆工64との境界面にコンクリートの打ち継ぎ面を設けることによりその効果が明確となる。これにより、引き波のエネルギーは巨大であるが、防潮堤の上部の波返工63に引き波が衝突する際に表のり面被覆工64全体ではなく波返工63のみが破壊されるため、防潮堤全体として壊滅的な破壊に至ることがなく、よって、復旧工事が容易になる。
上記したように、
(1)堤体盛土を超流した津波が下流側(陸側)の裏のり面を急速に流下する際に生じる強烈な揚力により、堤体盛土に固定されていない天端被覆工と下流側裏のり面の被覆工が剥ぎ取られないように堤体盛土と天端被覆工と下流側裏のり面の被覆工とを一体化した。
(2)堤体盛土に配置される補強材と三面張りの壁面工を一体化させることによって堤体盛土の盛土材が流出しない構造とする。また、堤体盛土を多層面状補強材によって補強することにより、耐震性を高めると同時に、長期にわたる堤体盛土の盛土材の吸い出しと仮にコンクリート被覆工が破損した場合も越流による侵食に対して抵抗できるようにした。
(3)三面張りのコンクリートと堤体盛土とを一体化する方法としては、壁面工が急勾配の場合には、現在、RRR−B工法で採用している仮抑え材に「土のう」や溶接金網をL型に加工した「L型溶接金網」を用いて裏型枠を使用しないでコンクリートを打設して躯体とジオグリッド材を一体化するようにした。
また、仮抑え材を用いない場合には図5や図6の例示により一体化するようにした。
(4)巨大津波を想定する場合、越流後に生じる引き波の際のエネルギーが極めて大きくなる。このような場合でも防潮堤全体を壊滅的な破壊に至らしめないように、また、復旧が容易なように、引き波の際に、特に、護岸上部の波返工のみを破壊させるような構造にした。
(5)そのため、上部の波返工の配筋方法として、波返工の上流側のみ主鉄筋とし、波返工の下流側は乾燥収縮(ひび割れ)防止用の用心筋のみとし、引き波によってこの部分のみを破壊させるように構成した。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法は、堤体盛土と三面張りコンクリート工とを一体化して剛性の高い盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法において、防潮堤全体が壊滅的な破壊に至ることがないように、波返工のみが破壊する耐震性防潮堤防として利用可能である。
1,11,21,61 基礎地盤
2,12,22,31,41,51,62 堤体盛土
3,13,23,63 波返工
4,14,24,33,64 表のり面被覆工(コンクリート工)
5,15,25,65 天端被覆工(コンクリート工)
6,16,26,34,66 裏のり面被覆工(コンクリート工)
7,18,28,32,44,53,68 面状補強材(ジオグリッド材等)
17,27,67 土のう
33A,42,52 躯体コンクリート
35,43 防錆鉄筋
36 盛土押圧用プレート
36A 盛土押圧用プレート用ナット
37 躯体鉄筋連結用プレート
37A 躯体鉄筋連結用プレート用ナット
45 防錆処理した溶接金網(フラット)
46 結束部
54 面状補強材の耳部分
55 補強穴(ハトメ)
63A,63B 主筋
63C 用心鉄筋

Claims (1)

  1. 堤体盛土内に敷設した引っ張り補強材によって、前記堤体盛土全体を補強して抵抗力のある補強盛土を構築し、さらに、その引っ張り補強材と、波返工を有する表のり面被覆工と天端被覆工および裏のり面被覆工の3つの被覆工である三面張りコンクリートを裏型枠を用いることなくコンクリートを打設することによって、前記三面張りコンクリートと引っ張り補強材をそれぞれ付着させて一体化させて、剛性の高い盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法であって、前記表のり面被覆工の上部に設置される前記波返工の構造鉄筋の配筋方法として上流側のみに主鉄筋を配置し、下流側には乾燥収縮・ひび割れ防止用の用心鉄筋のみを配置し、巨大津波が越流した後に生じる引き波に対して防潮堤全体が壊滅的な破壊に至ることがないように、前記波返工のみが破壊する構造としたことを特徴とする盛土補強土壁工法による耐震性防潮堤防の構築方法。
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