JP2019143167A - 磁性粉末、粉末混合体、圧粉コア、圧粉コアの製造方法、インダクタ、および電子・電気機器 - Google Patents

磁性粉末、粉末混合体、圧粉コア、圧粉コアの製造方法、インダクタ、および電子・電気機器 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境に長時間置かれても磁気特性が変化しにくい圧粉コアの原材料となりうる磁性粉末、この磁性粉末を含有する圧粉コア、この圧粉コアの製造方法、この圧粉コアを備えるインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器を提供する。【解決手段】組成式が、Fe100原子%−a−b−c−x−y−z−tNiaSnbCrcPxCyBzSitで示され、0原子%≦a≦10原子%、0原子%≦b≦3原子%、0原子%≦c≦6原子%、6.8原子%≦x≦13原子%、1.0原子%≦y≦13原子%、0原子%≦z≦9原子%、5原子%≦t≦10原子%であるFe基合金組成物からなる非晶質の軟磁性粉末を備える磁性粉末。【選択図】図4

Description

本発明は、磁性粉末、この磁性粉末を含有する粉末混合体、この粉末混合体の成形製造物を原料部材とする圧粉コア、この粉末混合体を用いる圧粉コアの製造方法、この圧粉コアを備えるインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器に関する。本明細書において、「インダクタ」とは、圧粉コアを含む芯材およびコイルを備える受動素子であって、リアクトルの概念を含むものとする。
特許文献1には、透磁率の熱安定性を向上させることが可能な圧粉磁心として、軟磁性粉末及び絶縁性結着材を有する混合物を圧縮成形し、熱処理して得られる圧粉磁心であって、前記絶縁性結着材は、バインダー樹脂と、ガラスとを有してなり、前記ガラスのガラス転移温度(Tg)は前記熱処理の温度よりも低いことを特徴とする圧粉磁心が記載されている。
特開2012−212853号公報
近年、幅広い動作環境においても磁気特性が変化しにくいインダクタが求められてきている。具体的には、300℃程度の高温環境に長時間(例えば1000時間)置かれても、磁気特性が低下しにくいインダクタが求められている。この磁気特性の具体例として、特許文献1に記載される透磁率以外に、鉄損を挙げることができる。
本発明は、高温環境に長時間置かれても磁気特性が変化しにくい(本明細書において、この特性を「耐熱性」という。)圧粉コアの原材料となりうる磁性粉末、この磁性粉末を含有する圧粉コア、この圧粉コアの製造方法、この圧粉コアを備えるインダクタ、およびこのインダクタが実装された電子・電気機器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために提供される本発明は、一態様として、組成式が、Fe100原子%−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0原子%≦a≦10原子%、0原子%≦b≦3原子%、0原子%≦c≦6原子%、6.8原子%≦x≦13原子%、1.0原子%≦y≦13原子%、0原子%≦z≦9原子%、5原子%≦t≦10原子%であるFe基合金組成物からなる非晶質の軟磁性粉末を備えることを特徴とする磁性粉末を提供する。非晶質合金材料の組成が上記のとおりであること、特に、Siの含有量が5原子%以上10原子%以下であることにより、耐熱性に優れる、具体的には、250℃から300℃程度の高温環境下に1000時間置かれても透磁率や鉄損が変化しにくい圧粉コアを形成することが容易となる。
上記の組成式において、5.5原子%≦t≦8原子%であることが好ましい場合がある。
本発明は、他の一態様として、上記の磁性粉末および絶縁性結着材を含有する粉末混合体であって、前記絶縁性結着材はガラス系材料を含有することを特徴とする粉末混合体を提供する。絶縁性結着材がガラス系材料を含有することにより、かかる粉末混合体を用いて形成された圧粉コアの耐熱性を高めることが可能となる。そして、そのような耐熱性が高められた圧粉コアにおいて、磁性粉末が上記のような組成を有する非晶質合金材料の粉末を備えることにより、耐熱性を特に高めることが可能となる。
上記の粉末混合体において、前記ガラス系材料はリン酸系ガラスを含んでいてもよい。
上記の粉末混合体において、前記絶縁性結着材は樹脂系材料をさらに含有してもよい。
本発明は、別の一態様として、上記の粉末混合体の成形製造物を原料部材とする圧粉コアを提供する。また、本発明は、別の一態様として、上記の粉末混合体を成形して成形製造物を得る成形工程を備える圧粉コアの製造方法を提供する。
本発明は、別の一態様として、上記の圧粉コア、コイルおよび前記コイルのそれぞれの端部に接続された接続端子を備えるインダクタであって、前記圧粉コアの少なくとも一部は、前記接続端子を介して前記コイルに電流を流したときに前記電流により生じた誘導磁界内に位置するように配置されているインダクタを提供する。かかるインダクタは、上記のように耐熱性に優れる圧粉コアを備えるため、インダクタとしての信頼性に優れると期待される。
本発明は、別の一態様として、上記のインダクタが実装された電子・電気機器であって、前記インダクタは前記接続端子にて基板に接続されている電子・電気機器を提供する。かかる電子・電気機器は、上記のように信頼性に優れると期待されるインダクタを備えるため、高温環境下でも安定に動作することが期待される。
本発明に係る磁性粉末は、組成におけるSi含有量が適切に設定されているため、高温環境に長時間置かれても優れた磁気特性を有する(耐熱性に優れる)圧粉コアの原材料となることができる。また、本発明によれば、上記の磁性粉末を含む圧粉コア、当該圧粉コアの製造方法、当該圧粉コアを備えるインダクタ、および当該インダクタが実装された電子・電気機器が提供される。
本発明の一実施形態に係る圧粉コアの形状を概念的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る圧粉コアを備えるインダクタの一種であるトロイダルコイルの形状を概念的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る圧粉コアを備えるインダクタの一種であるコイル埋設型インダクタの形状を概念的に示す斜視図である。 実施例1から実施例4に係るトロイダルコイルの比透磁率の変化率の測定結果を示すグラフである。 実施例1から実施例4に係るトロイダルコイルの鉄損の変化率の測定結果を示すグラフである。 実施例6から実施例12に係るトロイダルコイルの比透磁率の変化率の測定結果を示すグラフである。 実施例6から実施例12に係るトロイダルコイルの鉄損の変化率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳しく説明する。
1.磁性粉末
本発明の一実施形態に係る磁性粉末は、組成式が、Fe100原子%−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0原子%≦a≦10原子%、0原子%≦b≦3原子%、0原子%≦c≦6原子%、6.8原子%≦x≦13原子%、1.0原子%≦y≦13原子%、0原子%≦z≦9原子%、5原子%≦t≦10原子%であるFe基合金組成物からなる非晶質の軟磁性粉末を備える。
上記のFe基合金組成物において、P,CおよびSiは必須の添加元素であり、Ni,Sn,CrおよびBは任意添加元素である。上記のFe基合金組成物は、Fe,P,C,Ni,SnおよびCr以外に不可避的不純物を含有していてもよい。
Pはアモルファス形成元素であり、Fe基合金組成物の主相を非晶質相とすることに寄与する。また、Fe基合金組成物の融点Tm(単位:℃)を低下させることにも寄与する。Fe基合金組成物の融点Tmが低いことは、Fe基合金組成物の溶湯から軟磁性粉末を製造する際の溶湯の粘度を低下させることが可能であることを意味する。したがって、水アトマイズ法のようなアトマイズプロセスを含む製造方法で軟磁性粉末を製造する際に、球状の粉末が得られやすくなる。しかしながら、Fe基合金組成物内にPを過度に添加すると、軟磁性粉末の飽和磁束密度Bsが低下して、その磁気特性を低下させる傾向を示すこともある。さらに、一方、Fe基合金組成物におけるP添加量が過大であると、軟磁性粉末の脆性が促進される、キュリー温度Tc(単位:℃)が低下する、熱的安定性が低下する、アモルファス形成能が低下するといった現象がみられる可能性もある。したがって、Fe基合金組成物におけるPの添加量は、6.8原子%以上13原子%以下とされる。Fe基合金組成物にPを添加したことに基づく利益を享受することをより安定的に実現させる観点から、Fe基合金組成物におけるPの添加量を、7.5原子%以上12.0原子%以下とすることが好ましく、8.5原子%以上11.2原子%以下とすることがより好ましい。
Cは、Fe基合金組成物の熱的安定性を高め、優れたアモルファス形成能を有する。したがって、Fe基合金組成物におけるCの添加量は1.0原子%以上とされる。Cの添加量が過度に高い場合には、アモルファス形成能が低下してしまうため、好ましくない。したがって、Fe基合金組成物におけるCの添加量は13原子%以下とされる。Fe基合金組成物にCを添加したことに基づく利益を享受することをより安定的に実現させる観点から、Fe基合金組成物におけるCの添加量を、2.0原子%以上5.0原子%以下とすることが好ましく、1.5原子%以上3.0原子%以下とすることがより好ましい。
Siは、Fe基合金組成物の熱的安定性を高め、優れたアモルファス形成能を有する。また、後述する実施例において具体的に示すように、Siの含有量を5原子%以上とすることにより、Fe基合金組成物からなる軟磁性粉末を含有する圧粉コアの耐熱性(高温環境に長時間置かれても磁気特性が変化しにくいこと)を特に高めることが可能となる。したがって、Fe基合金組成物におけるSiの添加量は5原子%以上とされる。圧粉コアの耐熱性を高めることをより安定的に実現させる観点から、Fe基合金組成物におけるSiの添加量を、5.5原子%以上とすることが好ましい場合があり、6原子%以上とすることがより好ましい場合がある。しかしながら、Fe基合金組成物にSiを過度に添加すると、逆にFe基合金組成物内に非晶質相が形成されることが困難となり、Fe基合金組成物からなる軟磁性粉末を含有する圧粉コアの磁気特性を低下させる傾向を示すこともある。したがって、Fe基合金組成物におけるSiの添加量は、10原子%以下とされる。圧粉コアの磁気特性に与える影響を抑えつつアモルファス形成能を高めることをより安定的に実現させる観点から、Fe基合金組成物におけるSiの添加量を、5.5原子%以上10原子%以下とすることが好ましく、5.5原子%以上9.5原子%以下とすることがより好ましく、6原子%以上9原子%以下とすることが特に好ましい。
Bは優れたアモルファス形成能を有するため、Fe基合金組成物にはBが添加されていてもよい。しかしながら、Fe基合金組成物内にBを過度に添加させると、アモルファス形成能が低下してしまうため、好ましくない。したがって、Fe基合金組成物におけるBの添加量は、0原子%以上9原子%とされる。Bを添加した利益をより安定的に享受する観点から、Fe基合金組成物におけるBの添加量を、2.0原子%以上8.5原子%以下とすることが好ましく、3.0原子%以上8.0原子%以下とすることがより好ましい。
Crは軟磁性粉末の耐食性を向上させるため、Fe基合金組成物にはCrが添加されていてもよい。しかしながら、Fe基合金組成物内にCrを過度に添加させると、Fe基合金組成物からなる軟磁性粉末を含有する圧粉コアの磁気特性が低下しやすくなる。したがって、Fe基合金組成物におけるCrの添加量は、0原子%以上6原子%とされる。Crを添加した利益をより安定的に享受する観点から、Fe基合金組成物におけるCrの添加量を、1.0原子%以上3.0原子%以下とすることが好ましく、1.5原子%以上2.5原子%以下とすることがより好ましい。
NiはCrとともに添加すると耐食性が高まるため、Fe基合金組成物にはNiが添加されていてもよい。しかしながら、Fe基合金組成物内にNiを過度に添加させると、Fe基合金組成物からなる軟磁性粉末を含有する圧粉コアの磁気特性が低下しやすくなる。したがって、Fe基合金組成物におけるNiの添加量は、0原子%以上10原子%とされる。Niを添加した利益をより安定的に享受する観点から、Fe基合金組成物におけるNiの添加量を、0原子%以上8.0原子%以下とすることが好ましく、0原子%以上7.0原子%以下とすることがより好ましい。
SnはFe基合金組成物の融点Tm(単位:℃)を低下させることに寄与することがあり、Fe基合金組成物にはSnが添加されていてもよい。しかしながら、Fe基合金組成物内にSnを過度に添加させると、Fe基合金組成物からなる軟磁性粉末を含有する圧粉コアの磁気特性が低下しやすくなる。したがって、Fe基合金組成物におけるSnの添加量は、0原子%以上10原子%とされる。Snを添加した利益をより安定的に享受する観点から、Fe基合金組成物におけるSnの添加量を、0原子%以上3.0原子%以下とすることが好ましく、0原子%以上2.5原子%以下とすることがより好ましい。
軟磁性粉末の形状は任意である。軟磁性粉末の形状は球状であってもよいし非球状であってもよい。非球状である場合には、鱗片状、楕円球状、液滴状、針状といった形状異方性を有する形状であってもよいし、特段の形状異方性を有しない不定形であってもよい。不定形の粉体の例として、球状の粉体の複数が、互いに接して結合していたり、他の粉体に部分的に埋没するように結合していたりする場合が挙げられる。
軟磁性粉末の形状は、粉末を製造する段階で得られた形状であってもよいし、製造された粉末を二次加工することにより得られた形状であってもよい。前者の形状としては、球状、楕円球状、液滴状、針状などが例示され、後者の形状としては、鱗片状が例示される。
軟磁性粉末の大きさは限定されない。軟磁性粉末は、レーザ回折・散乱法により測定した体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径(本明細書において「50%体積累積径」ともいう。)D50が4μm以上50μm以下であることが、本発明の一実施形態に係る軟磁性粉末を含有する圧粉コアの渦電流損を低下させる観点から好ましい場合がある。上記の圧粉コアの渦電流損をより安定的に低下させる観点から、軟磁性粉末の50%体積累積径D50は、45μm以下であることが好ましい場合があり、35μm以下であることがより好ましい場合があり、25μm以下であることがさらに好ましい場合があり、15μm以下であることが特に好ましい場合がある。また、軟磁性材料の粉末の粒径が小さい場合には、軟磁性粉末を備える磁性粉末を含有する圧粉コアを備えるインダクタが高周波(本明細書において「高周波」とは、100kHz以上を意味し、好ましい一例では1MHz以上を意味する。)環境で使用されたときに、圧粉コアの渦電流損が少なくなる。このため、圧粉コアの鉄損Pcvが高まりにくい。この観点からも、軟磁性粉末の粒径は小さいことが好ましい。ただし、軟磁性粉末の粒径が過度に小さい場合には、軟磁性粉末を含有する圧粉コアの透磁率の低下が顕著となる場合がある。また、過度に小粒径の粉末は取扱い性(調製過程での取扱い性を含む。)が低下する傾向がある。したがって、軟磁性粉末の50%体積累積径D50は、4μm以上であることが好ましい場合があり、15μm以上であることが好ましい場合がある。
本発明の一実施形態に係る磁性粉末は、上記の非晶質の軟磁性粉末以外の軟磁性粉末を含有してもよい。そのような軟磁性粉末の具体例として、結晶質の軟磁性粉末、ナノ結晶を含有する軟磁性粉末が挙げられる。本明細書において「ナノ結晶」とは、結晶粒径が50nm程度またはそれ以下の結晶を意味する。
本発明の一実施形態に係る粉末混合体は、磁性粉末および絶縁性結着材を含有する。本明細書において「絶縁性結着材」とは、複数の磁性粉末を電気的な絶縁を維持した状態で結着させうる材料を意味する。本発明の一実施形態に係る粉末混合体の絶縁性結着材はガラス系材料を含有する。ガラス系材料の組成は、ガラス転移温度Tgを有している限り、任意である。ガラス転移温度Tgが比較的低くなることなどの理由から、ガラス系材料はリン酸系ガラスを含有することが好ましい場合がある。この場合において、ガラス系材料は一種類の材料から構成されていてもよいし、複数種類の材料の混合体であってもよい。ガラス系材料の形状は任意である。粉末混合体におけるガラス系材料の含有量は適宜設定される。限定されない例示をすれば、粉末混合体におけるガラス系材料の含有量は、磁性粉末の質量に対して0.1質量%以上0.60質量%以下である。
絶縁性結着材は樹脂系材料をさらに含有してもよい。樹脂系材料の具体例として、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などが例示される。絶縁性結着材が樹脂系材料を含有する場合において、樹脂系材料の形状は任意であり、粉末混合体における樹脂系材料の含有量は適宜設定される。限定されない例示をすれば、粉末混合体における樹脂系材料の含有量は、磁性粉末の質量に対して0.5質量%以上5質量%以下である。
本発明の一実施形態に係る粉末混合体は、リン酸エステル、赤燐、三酸化アンチモン、カーボンブラック、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ヘキサブロモベンゼン、メラミン誘導体、臭素系、塩素系、白金系等の難燃剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸などの有機系の潤滑剤、無機系の潤滑剤などをさらに含有していてもよい。
本発明の一実施形態に係る圧粉コアは、上記の本発明の一実施形態に係る粉末混合体の成形製造物を原料部材とする。この成形製造物がそのまま圧粉コアを構成してもよいし、圧粉コアは、この成形製造物に熱処理が施されたものであってもよい。熱処理が施された場合には、圧粉コアにおける絶縁性結着材の組成などが粉末混合体における絶縁性結着材の組成と異なってもよい。その場合の具体例として、粉末混合体における絶縁性結着材が樹脂系材料を含有し、熱処理によって樹脂系材料が分解し、その残渣が圧粉コアにおける絶縁性結着材を構成する成分の一種となる場合が挙げられる。また、熱処理の温度がガラス系材料のガラス転移温度近傍またはそれ以上である場合には、ガラス系材料は磁性粉末に融着した状態となることがある。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧粉コアの形状を概念的に示す斜視図である。図1に示される圧粉コア1は、ほぼリング状の形状を有する(トロイダルコア)。
上記の本発明の一実施形態に係る圧粉コア1の製造方法は特に限定されないが、次に説明する製造方法を採用すれば、圧粉コア1をより効率的に製造することが実現される。
本発明の一実施形態に係る圧粉コア1の製造方法は、次に説明する成形工程を備え、さらに熱処理工程を備えていてもよい。
成形工程では、まず、前述の粉末混合体を用意する。この粉末混合体に対して加圧成形を含む成形処理を行うことにより成形製造物を得ることができる。加圧条件は限定されず、バインダー成分の組成などに基づき適宜決定される。例えば、絶縁性結着材が熱硬化性の樹脂を含有する場合には、加圧とともに加熱して、金型内で樹脂の硬化反応を進行させることが好ましい。一方、圧縮成形の場合には、加圧力が高いものの、加熱は必要条件とならず、短時間の加圧となる。
粉末混合体は特定の形状を有するための処理が成形処理の前に施されていてもよい。そのような特定の形状を有する粉末混合体として、造粒粉が例示される。造粒粉は取り扱い性に優れるため、成形時間が短く生産性に優れる圧縮成形の作業性を向上させることができる。
造粒粉の製造方法は特に限定されない。上記の造粒粉を与える成分をそのまま混錬し、得られた混練物を公知の方法で粉砕するなどして造粒粉を得てもよいし、上記の成分に分散媒(水が一例として挙げられる。)を添加してなるスラリーを調製し、このスラリーを乾燥させて粉砕することにより造粒粉を得てもよい。粉砕後にふるい分けや分級を行って、造粒粉の粒度分布を制御してもよい。
圧縮成形における加圧条件は特に限定されない。造粒粉の組成、成形製造物の形状などを考慮して適宜設定すればよい。造粒粉を圧縮成形する際の加圧力が過度に低い場合には、成形製造物の機械的強度が低下する。このため、成形製造物の取り扱い性が低下する、成形製造物から得られた圧粉コア1の機械的強度が低下する、といった問題が生じやすくなる。また、圧粉コア1の磁気特性が低下したり絶縁性が低下したりする場合もある。一方、造粒粉を圧縮成形する際の加圧力が過度に高い場合には、その圧力に耐えうる成形金型を作成するのが困難になってくる。圧縮加圧工程が圧粉コア1の機械特性や磁気特性に悪影響を与える可能性をより安定的に低減させ、工業的に大量生産を容易に行う観点から、造粒粉を圧縮成形する際の加圧力は、0.3GPa以上2GPa以下とすることが好ましく、0.5GPa以上2GPa以下とすることがより好ましく、0.8GPa以上2GPa以下とすることが特に好ましい。
圧縮成形では、加熱しながら加圧を行ってもよいし、常温で加圧を行ってもよい。
成形工程により得られた成形製造物が本実施形態に係る圧粉コア1であってもよいし、次に説明するように成形製造物に対して熱処理工程を実施して圧粉コア1を得てもよい。
熱処理工程では、上記の成形工程により得られた成形製造物を加熱することにより、磁性粉末間の距離を修正することによる磁気特性の調整および成形工程において磁性粉末に付与された歪を緩和させて磁気特性の調整を行う。こうして、成形製造物からなる圧粉コア1が得られる。
熱処理工程は上記のように圧粉コア1の磁気特性の調整が目的であるから、熱処理温度などの熱処理条件は、圧粉コア1の磁気特性が最も良好となるように設定される。熱処理条件を設定する方法の一例として、成形製造物の加熱温度を変化させ、昇温速度および加熱温度での保持時間など他の条件は一定とすることが挙げられる。
熱処理条件を設定する際の圧粉コア1の磁気特性の評価基準は特に限定されない。評価項目の具体例として圧粉コア1の鉄損Pcvを挙げることができる。この場合には、圧粉コア1の鉄損Pcvが最低となるように成形製造物の加熱温度を設定すればよい。鉄損Pcvの測定条件は適宜設定され、一例として、周波数を100kHz、実行最大磁束密度Bmを100mTとする条件が挙げられる。
熱処理の際の雰囲気は特に限定されない。酸化性雰囲気の場合には、バインダー成分の熱分解が過度に進行する可能性や、磁性粉末の酸化が進行する可能性が高まるため、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気や、水素などの還元性雰囲気で熱処理を行うことが好ましい。
本発明の一実施形態に係るインダクタは、上記の本発明の一実施形態に係る圧粉コア1、コイルおよびこのコイルのそれぞれの端部に接続された接続端子を備える。ここで、圧粉コア1の少なくとも一部は、接続端子を介してコイルに電流を流したときにこの電流により生じた誘導磁界内に位置するように配置されている。本発明の一実施形態に係るインダクタは、高温環境に長時間置かれても磁気特性が変化しにくい(耐熱性に優れる)圧粉コアである本発明の一実施形態に係る圧粉コア1を備えるため、インダクタとしての信頼性に優れると期待される。
このようなインダクタの一例として、図2に示されるトロイダルコイル10が挙げられる。トロイダルコイル10は、リング状の圧粉コア(トロイダルコア)1に、被覆導電線2を巻回することによって形成されたコイル2aを備える。巻回された被覆導電線2からなるコイル2aと被覆導電線2の端部2b,2cとの間に位置する導電線の部分において、コイル2aの端部2d,2eを定義することができる。このように、本実施形態に係るインダクタは、コイルを構成する部材と接続端子を構成する部材とが同一の部材から構成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係るインダクタの他の一例として、図3に示されるコイル埋設型インダクタ20が挙げられる。コイル埋設型インダクタ20は、数mm角の小形のチップ状に形成することが可能であり、箱型の形状を有する圧粉コア21を備え、その内部に、被覆導電線22におけるコイル部22cが埋設されている。被覆導電線22の端部22a,22bは、圧粉コア21の表面に位置し、露出している。圧粉コア21の表面の一部は、互いに電気的に独立な接続端部23a,23bによって覆われている。接続端部23aは被覆導電線22の端部22aと電気的に接続され、接続端部23bは被覆導電線22の端部22bと電気的に接続されている。図3に示されるコイル埋設型インダクタ20では、覆導電線22の端部22aは接続端部23aによって覆われ、覆導電線22の端部22bは接続端部23bによって覆われている。
被覆導電線22のコイル部22cの圧粉コア21内への埋設方法は限定されない。被覆導電線22を巻回した部材を金型内に配置し、さらに磁性粉末を含む粉末含有組成物(造粒粉)を金型内に供給して、加圧成形を行ってもよい。あるいは、磁性粉末を含む粉末含有組成物(造粒粉)をあらかじめ予備成形してなる複数の部材を用意し、これらの部材を組み合わせ、その際画成される空隙部内に被覆導電線22を配置して組立体を得て、この組立体を加圧成形してもよい。コイル部22cを含む被覆導電線22の材質は限定されない。例えば、銅合金とすることが挙げられる。コイル部22cはエッジワイズコイルであってもよい。接続端部23a,23bの材質も限定されない。生産性に優れる観点から、銀ペーストなどの導電ペーストから形成されたメタライズ層とこのメタライズ層上に形成されためっき層とを備えることが好ましい場合がある。このめっき層を形成する材料は限定されない。当該材料が含有する金属元素として、銅、アルミ、亜鉛、ニッケル、鉄、スズなどが例示される。
本発明の一実施形態に係る電子・電気機器は、上記の本発明の一実施形態に係るインダクタが実装された電子・電気機器であって、インダクタの接続端子にて基板に接続されているものである。本発明の一実施形態に係る電子・電気機器は、本発明の一実施形態に係るインダクタが実装されているため、高温環境下でも安定に動作することが期待される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1から実施例5)
(1)Fe基非晶質合金粉末の作製
表1に示される組成(単位:原子%)のFe基合金組成物を用意した。
これらのFe基合金組成物から水アトマイズ法を用いて軟磁性粉末を作製した。得られた軟磁性粉末の粒度分布を日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3000シリーズ」を用いて体積分布で測定した。体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径(50%体積累積径)D50は、16μmであった。
(2)造粒粉の作製
上記の実施例1から実施例5に係る軟磁性粉末を97.2質量部、アクリル樹脂およびフェノール樹脂からなる絶縁性結着材を2〜3質量部、およびステアリン酸亜鉛からなる潤滑剤0〜0.5質量部を、溶媒としての水に混合してスラリーを得た。得られたスラリーから造粒粉を得た。
(3)圧縮成形
得られた造粒粉を金型に充填し、面圧0.5〜1.5GPaで加圧成形して、外径20mm×内径12mm×厚さ3mmのリング形状を有する成形製造物を得た。
(4)熱処理
得られた成形製造物を、窒素気流雰囲気の炉内に載置し、炉内温度を、室温(23℃)から昇温速度10℃/分で最適コア熱処理温度である400℃まで加熱し、この温度にて1時間保持し、その後、炉内で室温まで冷却する熱処理を行い、圧粉コアからなるトロイダルコアを得た。
(試験例1)X線回折
各実施例において製造した軟磁性粉末についてX線回折測定を行って、結晶質であるか非晶質であるか確認した。その結果、実施例1から実施例4において製造した軟磁性粉末は非晶質であって、実施例5において製造した軟磁性粉末は結晶質であった。
(試験例2)熱物性の測定
熱分析装置((株)リガク製「DSC8270」)を用いて各実施例において製造した軟磁性粉末を測定し、各種熱物性を得た。その結果を表2に示す。表2における記号の意味は次のとおりである。
Tc:キュリー温度(単位:K)
Tg:ガラス転移温度(単位:K)
Tx:結晶化温度(単位:K)
ΔTx:結晶化温度−結晶化温度
Tm*:凝固点(単位:K)
Tg/Tm:ガラス転移温度/凝固点
Tx/Tm:結晶化温度/凝固点
(試験例3)比透磁率に関する耐熱性の測定
実施例1から実施例4において作製したトロイダルコアのそれぞれに被覆銅線をそれぞれ40回巻いてトロイダルコイル得た。これらのトロイダルコイルのそれぞれについて、インピーダンスアナライザー(HP社製「4192A」)を用いて、100kHzの条件で比透磁率μ0を測定した。別途各実施例のトロイダルコアを用意し、炉内温度が300℃に保持された加熱炉内にこれらのトロイダルコアを10時間、100時間または1000時間放置する耐熱試験を行った。その後、炉内温度を室温まで冷却してトロイダルコアを取出し、各耐熱試験後のトロイダルコアについても、耐熱試験前における測定と同条件で比透磁率μ1を測定した。比透磁率の測定結果を表3に示す。なお、表3中の数値はいずれも同一条件で製造された4個のトロイダルコイルについての測定結果の平均値である。
下記式から比透磁率の変化率Rμ(単位:%)を求めた。
Rμ=(μ1−μ0)/μ1×100
比透磁率の変化率Rμの算出結果を表4に示す。
(試験例4)鉄損に関する耐熱性の測定
実施例1から実施例4において作製したトロイダルコアに被覆銅線をそれぞれ1次側40回、2次側10回巻いて得られたトロイダルコイルについて、BHアナライザー(岩崎通信機社製「SY−8218」)を用いて、実効最大磁束密度Bmを100mTとする条件で、測定周波数100kHzで鉄損Pcv0(単位:kW/m)を測定した。別途各実施例のトロイダルコアを用意し、炉内温度が300℃に保持された加熱炉内にこれらのトロイダルコアを10時間、100時間または1000時間放置する耐熱試験を行った。その後、炉内温度を室温まで冷却してトロイダルコアを取出し、各耐熱試験後のトロイダルコアについても、耐熱試験前における測定と同条件で鉄損Pcv1(単位:kW/m)を測定した。鉄損の測定結果を表5に示す。なお、表5中の数値はいずれも同一条件で製造された4個のトロイダルコイルについての測定結果の平均値である。
下記式から鉄損の変化率RPcv(単位:%)を求めた。
RPcv=(Pcv1−Pcv0)/Pcv1×100
鉄損の変化率RPcvの算出結果を表6に示す。
図4は、表4に示される1000時間後のRμと軟磁性粉末に係るFe基合金組成物におけるSi添加量との関係を示すグラフである。図5は、表6に示される1000時間後のRPcvと軟磁性粉末に係るFe基合金組成物におけるSi添加量との関係を示すグラフである。図4および図5に示されるように、Fe基合金組成物におけるSi添加量が5原子%以上である磁性粉末を含有する圧粉コアでは、比透磁率および鉄損のいずれについても、耐熱試験による変化率(Rμ、RPcv)が0%に近くなり、耐熱性に優れる圧粉コアが得られたことが理解される。また、図4に示されるグラフから、Si添加量が過度に高くなると比透磁率の変化率Rμが低下する傾向がみられる。したがって、Fe基合金組成物におけるSi添加量を5原子%以上10原子%以下とすることにより、耐熱性に優れる圧粉コアを形成可能な軟磁性粉末が得られることが確認された。
(実施例6から実施例12)
(1)Fe基非晶質合金粉末の作製
表7に示される組成(単位:原子%)のFe基合金組成物を用意した。
これらのFe基合金組成物から水アトマイズ法を用いて軟磁性粉末を作製した。得られた軟磁性粉末の粒度分布を日機装社製「マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3000シリーズ」を用いて体積分布で測定した。体積基準の粒度分布において小粒径側からの積算粒径分布が50%となる粒径(50%体積累積径)D50は、11μmであった。以下、実施例1から5の場合と同様の条件で、造粒粉の作成、圧縮成形および熱処理を行って、圧粉コアからなるトロイダルコアを得た。
(試験例5)X線回折
各実施例において製造した軟磁性粉末についてX線回折測定を行って、結晶質であるか非晶質であるか確認した。その結果、実施例6から実施例12において製造した磁性粉末はいずれも非晶質であった。
(試験例6)熱物性の測定
熱分析装置((株)リガク製「DSC8270」)を用いて各実施例において製造した軟磁性粉末を測定し、各種熱物性を得た。その結果を表8に示す。表8における記号の意味は次のとおりである。
Tc:キュリー温度(単位:K)
Tg:ガラス転移温度(単位:K)
Tx:結晶化温度(単位:K)
ΔTx:結晶化温度−結晶化温度
Tm*:凝固点(単位:K)
Tg/Tm:ガラス転移温度/凝固点
Tx/Tm:結晶化温度/凝固点
(試験例7)比透磁率に関する耐熱性の測定
実施例6から実施例12において作製したトロイダルコアのそれぞれに被覆銅線をそれぞれ40回巻いてトロイダルコイル得た。これらのトロイダルコイルのそれぞれについて、インピーダンスアナライザー(HP社製「4192A」)を用いて、100kHzの条件で比透磁率μ0を測定した。別途各実施例のトロイダルコアを用意し、炉内温度が250℃に保持された加熱炉内にこれらのトロイダルコアを1000時間放置する耐熱試験を行った。その後、炉内温度を室温まで冷却してトロイダルコアを取出し、各耐熱試験後のトロイダルコアについても、耐熱試験前における測定と同条件で比透磁率μ1を測定した。下記式から比透磁率の変化率Rμ(単位:%)を求めた。
Rμ=(μ1−μ0)/μ1×100
比透磁率の変化率Rμの算出結果を表9に示す。
(試験例4)鉄損に関する耐熱性の測定
実施例6から実施例12において作製したトロイダルコアに被覆銅線をそれぞれ1次側40回、2次側10回巻いて得られたトロイダルコイルについて、BHアナライザー(岩崎通信機社製「SY−8218」)を用いて、実効最大磁束密度Bmを100mTとする条件で、測定周波数100kHzで鉄損Pcv0(単位:kW/m)を測定した。別途各実施例のトロイダルコアを用意し、炉内温度が300℃に保持された加熱炉内にこれらのトロイダルコアを1000時間放置する耐熱試験を行った。その後、炉内温度を室温まで冷却してトロイダルコアを取出し、各耐熱試験後のトロイダルコアについても、耐熱試験前における測定と同条件で鉄損Pcv1(単位:kW/m)を測定した。下記式から鉄損の変化率RPcv(単位:%)を求めた。
RPcv=(Pcv1−Pcv0)/Pcv1×100
鉄損の変化率RPcvの算出結果を表10に示す。
図6は、表9に示される1000時間後のRμと磁性粉末に係るFe基合金組成物におけるSi添加量との関係を示すグラフである。図7は、表10に示される1000時間後のRPcvと磁性粉末に係るFe基合金組成物におけるSi添加量との関係を示すグラフである。図6および図7に示されるように、Fe基合金組成物におけるSi添加量が5原子%以上である磁性粉末を含有する圧粉コアでは、比透磁率および鉄損のいずれについても、耐熱試験による変化率(Rμ、RPcv)が0%に近くなり、耐熱性に優れる圧粉コアが得られたことが理解される。したがって、Fe基合金組成物の組成の基本構成にかかわらず、Fe基合金組成物におけるSi添加量を5原子%以上10原子%以下とすることにより、耐熱性に優れる圧粉コアを形成可能な磁性粉末が得られることが確認された。
本発明の圧粉コアを備えるインダクタは、高温環境で長時間使用されても信頼性が低下しにくいため、電子・電気機器等の昇圧回路の構成部品、トランスやチョークコイル等の構成部品などとして好適に使用されうる。
1…圧粉コア(トロイダルコア)
10…トロイダルコイル
2…被覆導電線
2a…コイル
2b,2c…被覆導電線2の端部
2d,2e…コイル2aの端部
20…コイル埋設型インダクタ
21…圧粉コア
22…被覆導電線
22a,22b…端部
23a,23b…接続端部
22c…コイル部

Claims (9)

  1. 組成式が、Fe100原子%−a−b−c−x−y−z−tNiSnCrSiで示され、0原子%≦a≦10原子%、0原子%≦b≦3原子%、0原子%≦c≦6原子%、6.8原子%≦x≦13原子%、1.0原子%≦y≦13原子%、0原子%≦z≦9原子%、5原子%≦t≦10原子%であるFe基合金組成物からなる非晶質の軟磁性粉末を備えることを特徴とする磁性粉末。
  2. 5.5原子%≦t≦8原子%である、請求項1に記載の磁性粉末。
  3. 請求項1または2に記載される磁性粉末および絶縁性結着材を含有する粉末混合体であって、
    前記絶縁性結着材はガラス系材料を含有すること
    を特徴とする粉末混合体。
  4. 前記ガラス系材料はリン酸系ガラスを含む、請求項3に記載の粉末混合体。
  5. 前記絶縁性結着材は樹脂系材料をさらに含有する、請求項3または4に記載の粉末混合体。
  6. 請求項3から5のいずれか一項に記載される粉末混合体の成形製造物を原料部材とする圧粉コア。
  7. 請求項3から5のいずれか一項に記載される粉末混合体に対して成形処理を行って成形製造物を得る成形工程を備える圧粉コアの製造方法。
  8. 請求項6に記載される圧粉コア、コイルおよび前記コイルのそれぞれの端部に接続された接続端子を備えるインダクタであって、前記圧粉コアの少なくとも一部は、前記接続端子を介して前記コイルに電流を流したときに前記電流により生じた誘導磁界内に位置するように配置されているインダクタ。
  9. 請求項8に記載されるインダクタが実装された電子・電気機器であって、前記インダクタは前記接続端子にて基板に接続されている電子・電気機器。
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