JP2019142851A - 育毛剤 - Google Patents
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Abstract
Description
育毛剤使用者の一番の課題は、育毛剤使用者が、育毛剤を使用しても短期間で育毛効果を実感できず、育毛剤の使用を中止してしまうことにある。そこで、育毛剤使用直後から、なんらかの使用効果感を感じさせ、育毛剤の継続使用につなげる必要がある。
この点、特許文献1に記載の技術において用いられているミノキシジルは、優れた育毛効果を有する一方、効果を実感できるまでには長期間を要する点で改善の余地があることが本発明者らの検討により明らかになった。
本実施形態における育毛剤は、ミノキシジル(A)、平均分子量8000以上50000以下のポリエチレングリコール(B)、分子量60以上400以下の多価アルコール(C)およびエタノールを含有する。そして、育毛剤中のエタノールの含有量および成分(C)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量比((B)/(C))が、それぞれ特定の範囲にある。
成分(A)は、ミノキシジルである。
育毛剤中の成分(A)の含有量は、育毛効果を向上させる観点から、育毛剤全体に対して好ましくは0.8%(質量/体積)、表1、表2を含め以下同様。)以上であり、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。
そして育毛剤中の成分(A)の含有量は、頭皮に剤が広がる感じを高める観点から、育毛剤全体に対して好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
また、ベタツキを抑制する観点から、育毛剤中の成分(A)の含有量は、育毛剤全体に対して好ましくは10%以下であり、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下である。
成分(B)は、平均分子量8000以上50000以下のポリエチレングリコールである。ここで、成分(B)の平均分子量は、「第十七改正 日本薬局方」、医薬品各条中、マクロゴール20000の平均分子量試験に記載された方法により法で測定される数平均分子量である。
また、同様の観点から、育毛剤中の成分(B)の含有量は、育毛剤全体に対して好ましくは2%以下であり、より好ましくは0.8%以下、さらに好ましくは0.5%以下、さらにより好ましくは0.3%以下である。
また、同様の観点から、上記質量比((B)/(A))は、たとえば0.5以下であってよく、好ましくは0.2以下であり、より好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下である。
成分(C)は、多価アルコールである。
成分(C)の分子量は、後述するエタノール中でのミノキシジルの溶解性や保存安定性を向上する観点から、60以上であり、好ましくは70以上、より好ましくは80以上である。
同様の観点から、成分(C)の分子量は400以下であり、好ましくは250以下、さらに好ましくは150以下、さらにより好ましくは100以下である。
ここで、成分(C)であるポリプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの分子量は、ポリエチレングリコールの場合、「第十七改正 日本薬局方」、医薬品各条中、マクロゴール400の平均分子量試験に記載された方法、ポリプロピレングリコールの場合、「医薬品添加物規格2003」、医薬品添加物各条中、ポリプロピレングリコール2000の平均分子量試験に記載された方法により測定される数平均分子量である。
成分(A)の溶解性を向上する観点および頭皮を見えにくくする観点から、成分(C)は、好ましくは1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選択される1種以上であり、好ましくは1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選択される1種以上であり、さらに好ましくは1,3−ブチレングリコールである。
また、同様の観点から、育毛剤中の成分(C)の含有量は、育毛剤全体に対して好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下である。
また、同様の観点から、質量比((B)/(C))は、0.1以下であり、好ましくは0.09以下、より好ましくは0.08以下、さらに好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.03以下である。
本実施形態の育毛剤は、媒体としてエタノールを含有する。
育毛剤中のエタノールの含有量は、ミノキシジルの溶解性を向上させる観点から、育毛剤全体に対して50%以上であり、好ましくは53%以上、より好ましくは55%以上である。
また、育毛剤中のエタノールの含有量は、剤の乾燥性の調整の観点から、好ましくは94.19%以下であり、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは80%以下、さらにより好ましくは70%以下、殊更好ましくは68%以下、殊更好ましくは64%以下である。
すなわち、本実施形態の育毛剤は、育毛効果の高い成分である成分(A)のミノキシジルを含有し、比較的高分子量である成分(B)のポリエチレングリコールを成分(C)の低分子量の多価アルコールに対して少量含有し、更に比較的高濃度のエタノールを含有する。成分(A)のミノキシジルは、水などには溶けにくいが、エタノールや成分(C)には溶けやすく、溶解したミノキシジルが頭皮に適用されるため、育毛効果が高いものと考えられる。一方、エタノールは揮発しやすく、揮発後に残留するミノキシジルの結晶等により感触が悪化することが考えられるが、本実施形態の育毛剤では、成分(B)の高分子量のポリエチレングリコールが毛髪表面をコートし、毛髪になめらかな感触を与えるものと考えられる。さらに残留する混合物中には、成分(C)の低分子量の多価アルコールが多いため、皮膚上で拡散する前は液状でさらっとした感触を維持し、拡散後に残る成分(B)の高分子量のポリエチレングリコールは常温では固体であるためか、指で毛髪や頭皮に触れたときにもベタツキが少ない。このように、本実施形態の育毛剤は、優れた育毛効果を有し、毛髪になめらかな感触を与え、ベタツキが少ないものと考えられる。
本実施形態において、育毛剤は、水をさらに含んでもよい。水としては、イオン交換水や蒸留水等を用いることができる。
育毛剤が水を含むとき、水の含有量は、たとえば、育毛剤中の成分(A)〜(C)、エタノールおよびその他成分の残量となる。
また、育毛剤中の水の含有量は、剤の乾燥コントロール、剤の浸透促進性の観点から、育毛剤全体に対して好ましくは5%以上であり、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは10%以上である。また、成分(A)の溶解性を高める観点から、育毛剤中の水の含有量は、育毛剤全体に対して好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下である。
成分(D)の具体例として、乳酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸等の炭素数1以上6以下の有機酸;および、リン酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。
毛髪にハリ・コシ感を与える観点から、成分(D)は、好ましくはクエン酸、リン酸または乳酸を含み、より好ましくはクエン酸またはリン酸を含む。同様の観点から、成分(D)は、好ましくは水酸基を有する有機酸と無機酸とを含み、より好ましくはクエン酸およびリン酸を含む。
また、同様の観点から、育毛剤中の成分(D)の含有量は、育毛剤全体に対して好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.6%以下である。
このような任意成分として、たとえば、界面活性剤;
ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール、これらの塩酸塩、これらの5'−リン酸エステル等のビタミンB6およびその誘導体、ローヤルゼリー抽出液、テストステロン5α−レダクターゼ阻害活性を有する植物抽出液(たとえば、チョウジエキス、アロエエキス、バーチエキストラクト)等の皮脂分泌抑制剤;
トコフェロール酢酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチック酸等の抗酸化剤;
l−メントール、カンファー、ボルネオール、ゲラニオール、リナロール、シネオール等の清涼化剤;
浸透促進剤;
安定化剤が挙げられる。これらの各剤は、各剤としての用途に限られず使用することができる。
本実施形態の育毛剤のpHは、育毛剤中での成分(A)の安定性を高める観点から、好ましくは5.0以上であり、より好ましくは5.5以上であり、さらに好ましくは6.0以上であり、また、好ましくは7.5以下であり、より好ましくは7.0以下、さらに好ましくは6.5以下である。なお、本明細書において、育毛剤のpHは、育毛剤原液を直接測定した値で、25℃における測定値(ガラス電極測定法)をいう。
本実施形態の育毛剤は、たとえば、エタノールを所定量入れた容器に、成分(A)、(B)、(C)、その他成分を撹拌しながら順次加え、最後に水で100mLとすることで製造される。
表1に示す組成の育毛剤を調製し、以下の方法および基準に従って、その評価をおこなった。
表1に記載の成分を攪拌し、均一に混合した。比較例1以外はpHが6.0、また比較例1はpHが4.5になるようにクエン酸およびリン酸を加え、各例の育毛剤を得た。
pHは以下の方法で測定した。
(pHの測定方法)
試料を直接pH計(東亜ディーケーケー社製、HM−30R型)を用い、25℃にてガラス電極測定法により測定した。
(1)育毛効果
C3H系マウス(雄、8週齢、平均体重35g)の背部中央の皮膚を電気バリカンで刈った後、除毛剤により完全に除毛した。翌日より各例の育毛剤を被験部皮膚に毎日1回、一匹当り0.03mL塗布した。一試料に対して動物は一群10匹を使用した。実験開始後14日目に被験部皮膚の写真撮影を行なった。
つぎに、写真を画像解析装置(ソフトウエア(Adobe Photoshop Elements 9;アドビシステムズ社製))に取り込み、画像を2値化した。このとき、閾値色を白黒とし、256階調の128を閾値として、それ以下を黒とした。そして、最初に毛刈りした面積(A)と、発毛面積(B)から、
発毛率(%)=〔(B)/(A)〕×100
を算出し、10匹の平均をとり、次の基準により育毛効果を判定した。A〜Dを合格とした。
A:発毛率30%以上
B:発毛率25%以上30%未満
C:発毛率20%以上25%未満
D:発毛率15%以上20%未満
E:発毛率15%未満
(2)なめらかな感触
10名の専門パネラーが、各例の育毛剤を各自の頭皮に塗布したときの毛髪のなめらかさについて、官能評価し、次の基準により判定した。A〜Dを合格とした。
育毛剤の塗布方法:各育毛剤1mLをスポイトに取り、スポイトを用いて頭皮と毛髪の根本部位になるべく均一になるように塗布し、十分乾燥させたのち、ヘアブラシで軽くブラッシングした。この後、各自手で毛髪を触って、なめらかさを評価した。
A:9名または10名が良好(なめらか)と評価
B:7名または8名が良好(なめらか)と評価
C:5名または6名が良好(なめらか)と評価
D:3名または4名が良好(なめらか)と評価
E:1名または2名が良好(なめらか)と評価
F:良好(なめらか)と評価したパネラーなし
10名の専門パネラーが、各育毛剤を各自の頭皮に塗布したときの毛髪のおよび頭皮のベタツキについて、官能評価し、次の基準により判定した。A〜Dを合格とした。なお、育毛剤の塗布は「(2)なめらかな感触」に記載した方法と同様の方法で行った。
A:9名または10名が良好(ベタツキがない)と評価
B:7名または8名が良好(ベタツキがない)と評価
C:5名または6名が良好(ベタツキがない)と評価
D:3名または4名が良好(ベタツキがない)と評価
E:1名または2名が良好(ベタツキがない)と評価
F:良好(ベタツキがない)と評価したパネラーなし
ヘアピース(頭皮相当部分にゴム板を用い、縦6cm横6cmのエリアに、毛髪長さ10cm、毛密度200本/cm2で植毛したもの)の毛髪を、ヘアブラシで軽くブラッシングし、毛髪を整えた。つぎに各育毛剤1mLをスポイトに取り、スポイトを用いて上記ヘアピースの植毛部分(頭皮と毛髪の根本部位)になるべく均一になるように塗布した。その後、自然乾燥で30分間十分乾燥させた。更に、ヘアピースを逆さまにした状態でドライヤー(ライト社製、LCD−1203Nの冷風)で3分間乾燥させた。
乾燥後、ヘアピースを水平面に静置し、真上から写真撮影を行なった。
つぎに、写真を画像解析装置ソフトウエア(Adobe Photoshop Elements 9;アドビシステムズ社製)に取り込み、画像を2値化した。このとき、閾値色を白黒とし、256階調の128を閾値として、それ以下を黒とした。
その後、地肌部分の面積(A)と、全体の面積(B)から、
地肌露出率(%)=〔(A)/(B)〕×100
を算出し、次の基準により判定した。A〜Dを合格とした。
A:地肌露出率20%未満
B:地肌露出率20%以上23%未満
C:地肌露出率23%以上26%未満
D:地肌露出率26%以上29%未満
E:地肌露出率29%以上32%未満
F:地肌露出率32%以上
10名の専門パネラーが、各育毛剤を各自の頭皮に塗布したときの毛髪のハリ・コシ感について、官能評価し、次の基準により判定した。A〜Dを合格とした。なお、育毛剤の塗布は「(2)なめらかな感触」に記載した方法と同様の方法で行った。
A:9名または10名が良好(ハリまたはコシがある)と評価
B:7名または8名が良好(ハリまたはコシがある)と評価
C:5名または6名が良好(ハリまたはコシがある)と評価
D:3名または4名が良好(ハリまたはコシがある)と評価
E:1名または2名が良好(ハリまたはコシがある)と評価
F:良好(ハリまたはコシがある)と評価したパネラーなし
以上の評価結果を表1にあわせて示す。
10名の専門パネラーが、各育毛剤を各自の頭皮に塗布したときの頭皮に剤が広がる感じについて、官能評価し、次の基準により判定した。A〜Dを合格とした。なお、育毛剤の塗布は「(2)なめらかな感触」に記載した方法と同様の方法で行った。
A:9名または10名が良好(頭皮に剤が広がる感じがある)と評価
B:7名または8名が良好(頭皮に剤が広がる感じがある)と評価
C:5名または6名が良好(頭皮に剤が広がる感じがある)と評価
D:3名または4名が良好(頭皮に剤が広がる感じがある)と評価
E:1名または2名が良好(頭皮に剤が広がる感じがある)と評価
F:良好(頭皮に剤が広がる感じがある)と評価したパネラーなし
*1 PEG20000:マクロゴール20000、三洋化成工業社製(平均分子量20000)
*2 PEG10000:PEG−10000、三洋化成工業社製(平均分子量10000)
*3 PEG4000:マクロゴール400、三洋化成工業社製(平均分子量4000)
*4 PEG1500:マクロゴール1500、三洋化成工業社製(平均分子量1500)
*5 ポリエーテル変性シリコーン:KF−353、信越化学工業社製
*6 エタノール:局方エタノール ニッコー、日興製薬社製
*7 クエン酸:日本薬局方 精製クエン酸(結晶)L(50%水溶液)、扶桑化学工業社製
*8 リン酸:医薬品添加物規格 リン酸、太平洋化学産業社製
*9 乳酸:日本薬局方 乳酸、武蔵野化学研究所製社製
表2に示す組成の育毛剤を前述の方法に準じて調製し、前述の方法および基準に従って評価した。評価結果を表2にあわせて示す。
Claims (8)
- ミノキシジル(A)、平均分子量8000以上50000以下のポリエチレングリコール(B)、分子量60以上400以下の多価アルコール(C)および50%(質量/体積)以上のエタノールを含有し、前記成分(C)の含有量に対する前記成分(B)の含有量の質量比((B)/(C))が0.005以上0.1以下である、育毛剤。
- 前記成分(A)の含有量が、当該育毛剤全体に対して0.8%(質量/体積)以上10%(質量/体積)以下である、請求項1に記載の育毛剤。
- 前記成分(B)の平均分子量が15000以上40000以下である、請求項1または2に記載の育毛剤。
- 前記成分(B)の含有量が、当該育毛剤全体に対して0.01%(質量/体積)以上2%(質量/体積)以下である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の育毛剤。
- 当該育毛剤中の前記成分(A)の含有量に対する前記成分(B)の含有量の質量比((B)/(A))が0.01以上0.5以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の育毛剤。
- 前記成分(C)が、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびグリセリンからなる群から選択される1種以上である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の育毛剤。
- 前記成分(C)の含有量が、当該育毛剤全体に対して5%(質量/体積)以上20%(質量/体積)以下である、請求項1乃至6いずれか1項に記載の育毛剤。
- 25℃におけるpHが5.0〜7.5である、請求項1乃至7いずれか1項に記載の育毛剤。
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