JP2019142420A - 自動二輪車用エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】事故による衝撃から乗員を効果的に保護し、自動二輪車への各種機器の付設や改造が不要で、コストが安いエアバッグ装置を提供する。【解決手段】乗員の頸部を囲繞する囲繞部210と囲繞部210の前部から乗員の前面において腰位置まで下方に延びる左右一対の胴部221,222と前記各胴部221,222の下端から乗員の腰の周囲に沿って延びる左右一対の腰部231,232とを備えたエアバッグ200と、加圧気体が充填されたボンベ310及びボンベ310の蓋体を破壊してエアバッグに気体を導入する作動装置320を備えたインフレータ300と、加速度センサ401及び角速度センサ402を含むセンサと、前記センサの検出結果に基づきインフレータ300を制御する制御装置400と、エアバッグ200とインフレータ300とセンサと制御装置400とを収容する着用体100とを備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、自動二輪車の乗員を事故時の衝撃から保護するエアバッグ装置に関する。
従来、この種のエアバッグ装置としては特許文献1及び2に記載ものが知られている。特許文献1に記載のものは、乗員に装着される装着体と、装着体に設けられた空気袋であるエアバッグと、エアバッグを膨張させる充気装置と、自動二輪車側と乗員側とを連結する連結部材と、前記連結部材の一部として設けられた一対の結合部材の結合解除を検知する結合スイッチと、結合スイッチの検知動作に基づいて充気装置を作動させる制御部とを備えている。
前記エアバッグは、乗員の腰の周囲を背面側から両側に亘って覆うように形成された第1の袋部と、第1の袋部から人体の背面側、両肩及び胸部側まで延びる左右一対の第2の袋部と、人体の後頭部に沿って左右方向に延びる第3の袋部とからなる。各第2の袋部は一端をそれぞれ第1の袋部の背面側に連通し、第3の袋部は両端をそれぞれ各第2の袋部2bに連通している。
特許文献1に記載のものは、乗員は自動二輪車に乗車する際に連結部材により乗員側と自動二輪車側を連結する。事故等が生じて乗員が自動二輪車から投げ出されると前記連結部材に含まれる結合部材の結合が解除され、これを結合スイッチが検知する。そして、制御部が結合スイッチの検知結果に基づきエアバッグを膨張させる。
このようなエアバッグ装置では、自動二輪車側にセンサ類を設けたり改造等を行ったりする必要がないので低コストであるという利点がある。しかし、乗車及び降車の際に前記連結部材による連結・連結解除という作業が必要であるため利便性に欠けるという問題がある。
一方、特許文献2に記載のものは、センサ類を自動二輪車側に配置するとともに、自動二輪車側とエアバッグジャケット側との間で無線による通信を行う構成となっている。これにより、乗車及び降車における作業がなくなるので利便性が高いという利点がある。
特開2003−312569号公報 特許第5171604号公報
しかし、特許文献1に記載のものは、エアバッグ形状が自動二輪車にとって最適ではなく乗員の保護を十分に図ることができないという問題がある。例えば、自動二輪車での事故では乗員の特に腹部付近が自動二輪車のハンドルや前面カウルに衝突する場合があるが、特許文献1のエアバッグ形状ではこのような形態の事故における乗員の保護が十分に図ることが困難であった。これは、そもそもエアバッグ膨張のタイミングが乗員の自動二輪車からの離脱となっていることにも起因する。一方、特許文献2に記載のものでは、乗員が自動二輪車から離脱しなくてもエアバッグを膨張させることができるが、そのエアバッグ形状については詳細な検討はなされていない。
また、特許文献2に記載のものは、自動二輪車側とエアバッグジャケット側との間で無線による通信を行う構成となっているが、当該無線通信の確実性を十分に担保することが困難であるという問題がある。また、センサ類や制御装置を自動二輪車側に設ける必要があるのでコストが高いだけでなく、たとえ乗員がエアバッグジャケットを装着していても他の自動二輪車では用いることができないという問題がある。
また、特許文献1及び2に記載のものではエアバッグを膨張させるための手段として火薬を用いたインフレータを採用している。このためコストが高いという問題もある。なお、エアバッグ装置の保管環境や利用環境によっては火薬の用いたものは好ましくない場合もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1に事故による衝撃から乗員を効果的に保護すること、第2に自動二輪車への各種機器の付設や改造が不要なこと、第3にコストが安いこと、を満たすエアバッグ装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、自動二輪車に搭乗する乗員の頸部を囲繞する囲繞部と前記囲繞部の前部から乗員の前面において腰位置まで下方に延びる左右一対の胴部と前記各胴部の下部から乗員の腰の周囲に沿って延びる左右一対の腰部とが一体に連通して形成されたエアバッグと、前記エアバッグを膨張させる加圧気体が充填されたボンベ及び前記ボンベの蓋体を破壊して前記エアバッグに気体を導入する作動手段を備えたインフレータと、加速度センサ及び角速度センサを含むセンサと、前記センサの検出結果に基づき前記ボンベの蓋体を破壊するように前記インフレータを制御する制御手段と、前記エアバッグと前記インフレータと前記センサと前記制御手段とを収容するとともに乗員に着用される着用体とを備えたことを特徴とする。
本発明の好適な態様の一例としては、前記着用体は表地及び裏地を有するとともに前面が左右に分割して開放可能な胴衣状に形成され、前記エアバッグは前記表地と前記裏地との間に配置され、前記表地は一対の左右前身頃と上後身頃及び下後身頃とを備え、前記左右前身頃の上端部は前記上後身頃の上端部と連結されており、前記左右前身頃の左右縁部は前記エアバッグの膨張により連結が解除されるよう前記裏地に連結されており、前記上後身頃の左右縁部及び下縁部は前記エアバッグの膨張により連結が解除されるよう前記裏地に連結されていることを特徴とするものが挙げられる。
また、本発明の好適な態様の一例としては、前記作動装置は、前記ボンベの蓋体を突き破るための針と、前記ボンベの蓋体を突き破る方向への弾性力を前記針に付勢する弾性部材と、前記弾性部材を弾性力が蓄積された状態でロックするストッパ機構と、前記制御手段からの信号に基づきロックを解除するよう前記ストッパ機構を駆動する駆動手段とを備えたことを特徴とするものが挙げられる。
本発明によれば、エアバッグが乗員の頸部を囲繞する囲繞部と前記囲繞部の前部から乗員の前面において腰位置まで下方に延びる左右一対の胴部と前記各胴部の下端から乗員の腰の周囲に沿って延びる左右一対の腰部とを備えているので、事故による衝撃から乗員を効果的に保護することができる。また、本発明はセンサや制御手段等が着用体に収容されているので、自動二輪車への各種機器の付設や改造が不要であるとともにコストが安いものとなる。また、本発明に係るインフレータは、火薬を用いることなく弾性部材の弾性力によりボンベの蓋体を破壊するので、コストが安く、また保管やボンベの交換等を容易に行うことができる。以上のように本発明に係るエアバッグ装置は、安全性が高く、低コストで且つ利便性の高いものとなる。
エアバッグ装置を正面からみた平面図 エアバッグ装置を背面側からみた平面図 エアバッグ装置の一部を展開した状態で正面からみた平面図 エアバッグ装置の一部を展開した状態で背面側からみた平面図 エアバッグ装置を展開した状態で内側をみた平面図 エアバッグの平面図 エアバッグが膨張した様子を説明する図 エアバッグが膨張した様子を説明する図 インフレータの一部切り欠き側面図 制御装置の構成図
本発明の一実施の形態に係るエアバッグ装置について図面を参照して説明する。まず、図1〜図8を参照して、乗員によって着用される着用体及びエアバッグの構造について説明する。
図1はエアバッグ装置を正面からみた平面図、図2はエアバッグ装置を背面側からみた平面図、図3はエアバッグ装置の一部を展開した状態で正面からみた平面図、図4はエアバッグ装置の一部を展開した状態で背面側からみた平面図、図5はエアバッグ装置を展開した状態で内側をみた平面図、図6はエアバッグの平面図、図7及び図8はエアバッグが膨張した様子を説明する図である。
本実施の形態に係るエアバッグ装置は、図1〜図5に示すように、乗員によって着用される着用体100と、着用体100に収容されたエアバッグ200とを備えている。
着用体100は、表地110及び裏地190を有するとともに前面が左右に分割して開放可能な袖無しの胴衣状に形成されている。エアバッグ200は、表地110と裏地190との間の空間に配置されている。
表地110は、左右に分割された左右一対の左右前身頃120,130からなる前身頃と、上下に分割された上下一対の上後身頃140及び下後身頃150とからなる後身頃を備えている。左右前身頃120,130の互いに対向する縁部には、両者を連結するための連結手段であるファスナー121,131が付設している。なお連結手段としては、ファスナーの他に、ボタン,スナップボタン,ホック,面ファスナーなど他の手段を用いてもよい。
左右前身頃120,130は、乗員の前面側において肩位置に相当する上端から腰位置に相当する下端までを被覆する主前身頃部122,132と、主前身頃部122,132の下部から乗員の左右の腰位置までを被覆する左右腰部123,133とに分割されている。左右腰部123,133は、その主前身頃部122,132との分割位置以外の周縁部において裏地190に縫い付けられている。主前身頃部122,132の上縁部は、上後身頃140の上端部に縫製により一体となるように連結している。主前身頃部122,132の互いに対向する縁部は、裏地190に縫い付けられている。図3に示すように、主前身頃部122,132の反対側の縁部は、所定の力で連結解除されるようスナップボタン124,134,125,135により左右腰部123,133の縁部に連結している。なお、前述のように、左右腰部123,133は裏地190に縫い付けられている。このため、主前身頃部122,132の前記反対側の縁部は、所定の力で連結解除されるよう、左右腰部123,133を介して裏地190に連結されていると換言できる。
上後身頃140の上縁部は、前述したように、左右前身頃120,130の主前身頃部122,132の上端部に縫製により一体となるように連結している。図4に示すように、上後身頃140の左右縁部及び下縁部は、所定の力で連結解除されるようスナップボタン141,191により裏地190の縁部に連結している。下後身頃150は、その周縁部において裏地190に縫い付けられている。
図1に示すように、左右前身頃120,130の下部には、左右方向にわたって帯状の横反射材126,136が付設されている。また、左右前身頃120,130には、肩位置から腰位置にわたって帯状の縦反射材127,137が付設されている。縦反射材127,137の下端は、前記横反射材126,136に接続している。同様に、図2に示すように、下後身頃150の下部には、左右方向にわたって帯状の横反射材151が付設されている。また、上後身頃140及び下後身頃150には、肩位置から腹部位置にわたって一対の帯状の縦反射材142,152が付設されている。縦反射材152の下端は、前記横反射材151に接続している。
裏地190は、通気性及び透視性が良好なメッシュ部材により構成されている。図4に示すように、裏地190の後身頃の上部且つ左右中央、すなわち乗員の後首の下方の位置には、エアバッグ200を固定するための伸縮性の固定ベルト192が付設されている。固定ベルト192は、伸縮性の帯状部材の長手方向両端部を裏地190に縫い付けることにより環状を形成している。前記帯状部材の長手方向は裏地190の上下方向と一致しており、後述するようにエアバッグ200の一部が固定ベルト192の内側に横方向に挿入される。
エアバッグ200は、気密性及び耐久性の高い生地(例えば、全芳香族ポリエステル)からなり、このような生地を縫製または熱融着することによって袋状に形成されている。エアバッグ200は、折り畳まれた収縮状態で着用体100の表地110と裏地190との間の空間に配置される。
エアバッグ200は、図6に示すように、乗員の頸部を囲繞する囲繞部210と、囲繞部210の左右前部から乗員の前面において腰位置まで下方に延びる左右一対の胴部221,222と、各胴部221,222の下部から乗員の腰の周囲に沿って延びる左右一対の腰部231,232とを備えている。囲繞部210と胴部221,222と腰部231,232は一体に連通して形成されている。一方の腰部231には、吸気口201が形成されている。他方の腰部232には、排気口202が形成されている。吸気口201には後述するインフレータ300が接続している。排気口202は、通常時は閉鎖状態にあり、エアバッグ200の膨張後に、乗員によりエアバッグ200内の気体を排出する際に乗員の操作により開放される。エアバッグ200の胴部221,222の縁部であって、互いに向かい位置には、裏地190と着脱自在に連結するためのファスナー223,224が設けられている。エアバッグ200の胴部221,222の下縁部には、裏地190と着脱自在に連結するためのファスナー225,226が設けられている。なお連結手段としては、ファスナーの他に、ボタン,スナップボタン,面ファスナーなど他の手段を用いてもよい。ただし、連結手段は、エアバッグ200の膨張によっても裏地190との連結が解除しない強度で連結可能なものとする。
エアバッグ200の囲繞部210は、左右前身頃120,130の上部と裏地190の前身頃の間の空間、及び、上後身頃140と裏地190の後身頃の間の空間に配置される。このとき、エアバッグ200の囲繞部210の上部中央は、前述したように、環状の固定ベルト192内に挿通している。エアバッグ200の胴部221,222は、左右前身頃120,130の主前身頃部122,132と裏地190の前身頃の間の空間に配置される。エアバッグ200の腰部231,232は、左右前身頃120,130の主前身頃部122,132の下部及び左右腰部123,133と裏地190の前身頃の間の空間に配置される。エアバッグの各ファスナー223〜226は、裏地190の対応する位置に設けられたファスナー(図示省略)により連結される。
エアバッグ装置の内側であって裏地190の後身頃には、図5に示すように、後述する制御装置などの電装品を収容する電装品袋193が付設されている。さらに、エアバッグ装置の内側であって裏地190の後身頃には、乗員の腰周りに装着するベルト194が付設されている。さらに、ベルト194の先端部には着脱自在に係合する周知のバックル194aが付設されている。さらにバックル194aの内部には、バックル194aの結合及び結合解除に連動してオン・オフするスイッチ194bが設けられている。ベルト194には、後述するインフレータ300を収納するインフレータ収納袋195と、バッテリ(図示省略)を収納する電池収納袋196が設けられている。インフレータ収納袋195の裏地190側及びインフレータ収納袋195と重なる位置の裏地190には、インフレータ300とエアバッグ200との接続を可能とするための孔(図示省略)が形成されている。
このような構成により、図7及び図8に示すように、エアバッグ200は膨張すると、表地110と裏地190との間の空間に収まることができず、着用体100内における各部材の連結部材の連結状態を解除して、着用体100から外部に膨出する。
具体的には、エアバッグ200が膨張すると、上後身頃140と裏地190とを連結するスナップボタン141,191の連結が解除されるとともに、左右前身頃120,130の主前身頃部122,132と裏地190とを連結するスナップボタン124,134,125,135の連結が解除される。これにより、エアバッグ200の囲繞部210は、膨張した状態で乗員1の首の周囲に配置される。ここで、エアバッグ200の囲繞部210の中央部は、固定ベルト192により膨張による変形が規制される。すなわち、固定ベルト192がないと、エアバッグ200の囲繞部210は、胴部221,222からまっすぐに伸びるように変形しようとし、その結果、囲繞部210の中央部が頭部位置又はさらに上方に位置してしまう。本願発明では、固定ベルト192によりエアバッグ200の変形を規制して、エアバッグ200の囲繞部210の中央部を下方に引っ張るので、囲繞部210を乗員1の首の周りに確実に配置することができる。
また、エアバッグ200の膨張により、左右前身頃120,130の主前身頃部122,132の上部及びそれに連結している上後身頃140は、エアバッグ200により上方に跳ね上がり、囲繞部210の上面にのった状態となる。なお、左右前身頃120,130の主前身頃部122,132と裏地190とを連結するスナップボタン124,134,125,135については、エアバッグ200への気体の吸入量や、乗員1の体型等に応じて、全てが連結解除となるとは限らない点に留意されたい。
エアバッグ200の吸気口201には、ボンベ310及び作動装置320を備えたインフレータ300が接続されている。インフレータ300は、前記インフレータ収納袋195に収容される。ボンベ310には、エアバッグ200を膨張させる加圧気体が充填されており、蓋体(図示省略)により密封されている。作動装置320は、ボンベ310の蓋体を破壊してエアバッグ200に気体を導入する。作動装置320は、後述する制御装置400からの制御信号に基づき動作する。
次に、インフレータ300の作動装置320について図9を参照して説明する。図9はインフレータの作動装置の一部切り欠き側面図である。作動装置320は、円筒形のケース321と、ボンベ310の蓋体を突き破るための針322と、ケース321内に配置され先端に前記針322が付設されるとともにケース321内において上下に摺動する摺動部材323と、ボンベ310の蓋体を突き破る方向への弾性力を前記摺動部材323及び針322に付勢する弾性部材であるバネ324と、前記摺動部材323を前記弾性部材に弾性力が蓄積された状態でロックするためのロック機構としてのボール325と、前記ロックを解除するために前記ボール325の位置を移動させる解除部材326と、解除部材326を駆動するソレノイド327を備えている。ソレノイド327は、後述する制御装置400により作動を制御される。
前記ケース321は中心部に配置された軸部321aを備えている。前記解除部材326は前記ケース321の軸部321aの内側において上下に摺動可能に配置されている。前記バネ324は、前記ケース321の軸部321aの周囲を巻回しており、一端側がケース321の上部内側に当接し、他端側が摺動部材323の上面に当接している。ボール325は、ロック状態においては摺動部材323に形成された半球状の凹部である係止部323aと、前記ケース321の軸部321aに形成された係止孔321bに配置されている。前記解除部材326には、ロック解除位置においてボール325がはまり込む凹部である解除部326aが形成されている。
解除部材326には、ケース321の上方においてディスク部326aが形成されている。ディスク部326aは、ソレノイド327の可動軸327aが当接しており、ソレノイド327の可動軸327aの可動により解除部材326が下方に摺動するとロック機構のロックが解除される。より具体的には、解除部材326の解除部326aがケース321の軸部321aに形成された係止孔321bの位置まで移動すると、ボール325が当該係止孔321bを介して解除部326aに押し出される。これにより、ボール325によるロック状態が解かれ、バネ324に蓄積されていた弾性力が解放され摺動部材323及び針322が下方に押し出され、ボンベ310の蓋体を破壊する。そして、この蓋体の破壊によりボンベ310内の加圧気体がエアバッグ200に導入され、エアバッグ200が膨張する。なお、ソレノイド327の可動軸327aに針322を直接付設しない理由は、ソレノイド327の駆動力だけではボンベ310の蓋体を突き破る力が足りないためである。そこで本発明では、バネ324に蓄積した弾性力を用いて蓋体を突き破るように構成した。
次に、本実施の形態に係るエアバッグ装置の制御系について図10を参照して説明する。制御装置400は、図10に示すように、3軸加速度センサ401と、3軸角速度センサ402と、制御部403と、記憶部404と、駆動回路405とを備えている。制御装置400は、バッテリ(図示省略)により駆動する。制御装置400は、図示省略の筐体に収納された状態で、前記電装品袋193に収容されている。
3軸加速度センサ401は、乗員の前後方向(X軸)、左右方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)の加速度をそれぞれ検出する。3軸角速度センサ402は、乗員の前後方向(X軸)、左右方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)の軸周りの角速度をそれぞれ検出する。
記憶部404は制御部403介して3軸角速度センサ402に接続され、最新の角速度検出時から所定時間T前までに検出した角速度値のみを記憶するようになっている。即ち、記憶部404では、所定時間T内(例えば1秒間)に検出される角速度値を記憶し、最新の角速度値を記憶すると、最も古い角速度値を消去するようになっている。
制御部403は周知のマイクロコンピュータによって構成される。制御部403は、3軸加速度センサ401、3軸角速度センサ402、記憶部404、駆動回路405、前述のスイッチ194bに接続している。
制御部403は、スイッチ194bによりバックル194aが結合状態であることを検出している間のみインフレータ300の作動制御を行う。
制御部403は、平常運転中における加速度及び角速度を基準閾値とし、3軸加速度センサ401及び3軸角速度センサ402による加速度及び角速度の計測結果に基づき、現在の計測値が前記基準閾値から逸脱したときに、インフレータ300を作動させるよう制御する。
より詳しくは、3軸加速度センサ401により計測された3軸の各加速度の絶対値と所定の閾値との比較結果、3軸角速度センサ402により計測された3軸の各角速度の絶対値と所定の閾値との比較結果、3軸角速度センサ402により計測された3軸の各角速度について現在時刻から所定時間T前までの積分値の絶対値と所定の閾値との比較結果を任意に組み合わせて、インフレータ300の作動を行うかを判定する。また、各値の増加傾向や減少傾向等も判定要素にすることもできる。なお本実施の形態では、前述したように、積分値を算出するために、前記記憶部404に現在時刻から所定時間前までの計測値を記憶している。
駆動回路405は、インフレータ300、より詳しくは前記作動装置320のソレノイド327を駆動するための電力増幅回路である。制御部403は、インフレータ300を作動させる信号を駆動回路405に送ると、駆動回路405により増幅されインフレータ300が作動する。
このようなエアバッグ装置によれば、エアバッグ200が乗員の頸部を囲繞する囲繞部210と前記囲繞部210の前部から乗員の前面において腰位置まで下方に延びる左右一対の胴部221,222と前記各胴部221,222の下端から乗員の腰の周囲に沿って延びる左右一対の腰部231,232とを備えているので、事故による衝撃から乗員を効果的に保護することができる。
また、本発明はセンサや制御装置等が着用体100に全て収容されているので、自動二輪車への各種機器の付設や改造が不要であるとともにコストが安いものとなる。また、本発明に係るインフレータ300は、火薬を用いることなく弾性部材であるバネ324の弾性力によりボンベ310の蓋体を破壊するので、コストが安く、また保管やボンベ310の交換等を容易に行うことができる。以上のように本発明に係るエアバッグ装置は、安全性が高く、低コストで且つ利便性の高いものとなる。
以上、本発明の一実施の形態について詳述したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、エアバッグ200の膨張時に着用体100の各部の連結が解除されるためにスナップボタンを用いていたが、所定の力以上で連結が解除される連結手段であれば他のものを用いてもよい。例えば、面ファスナーが挙げられる。
また、上記実施の形態では、インフレータ300の作動装置320におけるロック機構としてボールを用いたものを例示したが、他のロック機構であってもよい。また、弾性部材としてバネを例示したがゴムなどの他の部材であってもよい。
100…着用体
110…表地
120,130…左右前身頃
140…上後身頃
150…下後身頃
190…裏地
200…エアバッグ
210…囲繞部
221,222…胴部
231,232…腰部
300…インフレータ
310…ボンベ
320…作動装置
400…制御装置

Claims (4)

  1. 自動二輪車に搭乗する乗員の頸部を囲繞する囲繞部と前記囲繞部の前部から乗員の前面において腰位置まで下方に延びる左右一対の胴部と前記各胴部の下部から乗員の腰の周囲に沿って延びる左右一対の腰部とが一体に連通して形成されたエアバッグと、
    前記エアバッグを膨張させる加圧気体が充填されたボンベ及び前記ボンベの蓋体を破壊して前記エアバッグに気体を導入する作動手段を備えたインフレータと、
    加速度センサ及び角速度センサを含むセンサと、
    前記センサの検出結果に基づき前記ボンベの蓋体を破壊するように前記インフレータを制御する制御手段と、
    前記エアバッグと前記インフレータと前記センサと前記制御手段とを収容するとともに乗員に着用される着用体とを備えた
    ことを特徴とする自動二輪車用エアバッグ装置。
  2. 前記着用体は表地及び裏地を有するとともに前面が左右に分割して開放可能な胴衣状に形成され、
    前記エアバッグは前記表地と前記裏地との間に配置され、
    前記表地は一対の左右前身頃と上後身頃及び下後身頃とを備え、
    前記左右前身頃の上端部は前記上後身頃の上端部と連結されており、
    前記左右前身頃の左右縁部は前記エアバッグの膨張により連結が解除されるよう前記裏地に連結されており、
    前記上後身頃の左右縁部及び下縁部は前記エアバッグの膨張により連結が解除されるよう前記裏地に連結されている
    ことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグは前記左右一対の腹部の何れか一方に吸気口が形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
  4. 前記作動装置は、
    前記ボンベの蓋体を突き破るための針と、
    前記ボンベの蓋体を突き破る方向への弾性力を前記針に付勢する弾性部材と、
    前記弾性部材を弾性力が蓄積された状態でロックするストッパ機構と、
    前記制御手段からの信号に基づきロックを解除するよう前記ストッパ機構を駆動する駆動手段とを備えた
    ことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の自動二輪車用エアバッグ装置。
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