JP2019142140A - インクジェット印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】経時的なインキの温度上昇を抑制する簡易な機構を有し、インク粘度を安定化させて高精度の印刷が行えるインクジェット印刷装置を提供する。【解決手段】幅方向と搬送方向を有する記録媒体31を支持する支持部32と、支持部を加温する加温装置33と、インクを吐出するインクジェットヘッド11と、インクジェットヘッドを幅方向に往復移動させるキャリッジ機構20を有し、キャリッジ機構の往復移動可能な範囲は記録媒体の幅方向Aよりも広く、キャリッジ機構の往復移動可能な範囲内にインクジェットヘッドを冷却する冷却機構40を具備し、インクジェットヘッドが冷却機構の部位Bまで移動することにより冷却される。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット印刷装置に関し、特にインクおよびインクジェットヘッドの温度を安定させることにより、安定した品質で印刷が行えるインクジェット印刷装置及び印刷方法に関する。
近年、インクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタや印刷機が広く用いられる様になっている。インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドのノズルの位置に設けた駆動素子(ピエゾ素子等)を駆動することにより、ノズルからインク滴を吐出する。その際、温度などの外的要因によりインクの粘度が変化すると、インク滴下量が変化してしまい、印刷精度や印刷画質に影響を及ぼすことが知られている。
一方、インクジェット方式の用途拡大により、様々な基材およびインキに対する適用がなされ、実用化もされている。紙質基材に水系のインキを印刷する用途も多く提案がされている。紙質基材と水系インキの組合せでは、水系インキの溶剤である水が紙質基材に滴下されることにより、紙質基材のセルロース繊維の間に水が浸入し、押し広げることにより、紙幅の増加が発生する。紙幅の増加は、インクジェットの滴下精度を低下させるだけでなく、場合によってはシワ発生の原因となってしまう。
これらの問題に対処するため、紙質基材である印刷用紙を温湿度が管理された環境下で保管したり、生産ライン中でプレ加熱したりするなどの方法が提案されている(例えば特許文献1)。しかしいずれも管理が難しく、効果は限定的であった。一方、印刷用紙を支持する印刷ステージを加温する方法も知られており、印刷直前から印刷中にかけて調整することになるため、制御が行いやすく好適に用いられることがある。しかしながら、印刷ステージの加温の影響によりインクジェットヘッド部に熱が伝わり、インク温度が設定値以上に上昇してしまう問題がある。
インクの粘度管理はインクジェット印刷において高精度で印刷を行うために必須であるが、印刷ステージの加温によるインクやインクジェットヘッドの温度の上昇によりインクの粘度管理が十分にできなくなるという問題が生じている。従来からインクジェットヘッドの加温機構は知られているが、簡易な構成の冷却機構については知られておらず、過上昇してしまったインクやインクジェットヘッドの温度を下げる有効な方法がなかった。
特開平5−286130号公報
上記の様な従来の課題に鑑み、本発明は、印刷ステージが加温された状態でも経時的なインキの温度上昇を抑制する簡易な機構を有し、インク粘度を安定化させて高精度の印刷が行えるインクジェット印刷装置及び印刷方法を提供する。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
記録媒体上にインクジェット方式で印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
幅方向と搬送方向を有する記録媒体を支持する支持部と、前記支持部を加温する加温装置と、インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを前記幅方向に往復移動させるキャリッジ機構を有し、
前記キャリッジ機構の往復移動可能な範囲は前記記録媒体の前記幅方向よりも広く、
前記キャリッジ機構の往復移動可能な範囲内に前記インクジェットヘッドを冷却する冷却機構を具備し、
前記インクジェットヘッドが前記冷却機構の部位まで移動することにより冷却されることを特徴とするインクジェット印刷装置である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記冷却機構が、記録媒体の幅方向の外側に具備されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、
前記冷却機構が、前記インクジェットヘッドを非接触で冷却する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷装置である。
また、本発明の請求項4に係る発明は、
請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット印刷装置を用いたインクジェット印刷方法であって、
印刷中のインク温度が所定の設定値に対して±5℃の範囲となる様にインクジェットヘッドの冷却を行いながら印刷を行うことを特徴とするインクジェット印刷方法である。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、インクジェットヘッドが冷却機構の部位まで移動して冷却が行われるため、独立した冷却機構を設けることができ、インクジェットヘッド側に冷却機能を装備する必要がないため機構を単純にでき、インクジェットヘッドおよびインクの温度を適切に制御でき、インクの粘度が安定するためインクの吐出が安定し、印刷の品質を安定させることができるインクジェット印刷装置が得られる。
また請求項2に記載の発明によれば、インクジェットヘッドの冷却機構の部位が記録媒体の記録領域の外側となっているため、印刷時に記録媒体や支持部が冷却の影響を直接受けることがなく、より安定した品質で印刷が行える。
また請求項3に記載の発明によれば、インクジェットヘッドを非接触で冷却するため、ヘッドが機械的ダメージを受けることがなく、またムラがない冷却を行うことができる。
また請求項4に記載の発明によれば、印刷の開始時と終了時の濃度の変動が少なく、安定した品質の印刷が行える。
本発明のインクジェット印刷装置の一形態の要部の模式図である。 本発明のインクジェット印刷装置において、印刷用紙を連続用紙としたときの実施形態の要部を幅方向から見込んだ模式図である。 本発明のインクジェット印刷装置の別形態の要部の模式図である。 図3のインクジェット印刷装置を側方から見た模式図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明のインクジェット印刷装置の一形態の要部の模式図であり、印刷用紙31の搬送方向から見込んだ図である。インクジェットヘッド11は、支持アーム12によりヘッドブロック13に取り付けられており、ヘッドブロック13は、フレーム21に両端が固定されたガイドシャフト22と駆動モータ23とタイミングベルト24を有するキャリッジ機構20に取り付けられている。キャリッジ機構20は、これ以外にも部材等の直線移動に適したものであれば特に制限はなく、例えばボールネジやラックギアなどを使用しても良い。
ガイドシャフト22はヘッドブロック13を貫通しており、ヘッドブロック13はガイドシャフト22に沿って破線矢印のように記録媒体である印刷用紙31の幅方向に往復移動可能であり、駆動モータ23とタイミングベルト24に連結されて駆動される。インクジェットヘッド11のノズル14に対向して印刷用紙31の支持部であるステージ32が設けられ、ステージ32の印刷用紙31が載置される面と反対側には加温装置であるパネルヒータ33が装着されている。
インクジェット印刷は、一般に冬季など低温環境下ではインクジェットヘッドやインクの温度が低くなり、インク粘度が高くなって流動抵抗が増し、インクジェットヘッドからの吐出量が少なくなるため、インクジェットヘッドやインクの加温が行われる。また印刷用紙も温湿度が変動すると伸び縮みして印刷精度の低下が生じる。パネルヒータ33は印刷用紙31とインクジェットヘッド11を加温することで一定の温度となる様にして吐出量を安定させ、また印刷用紙31から余分な水分を放出させて、安定した品質で印刷が行えるようにするために設けられる。
一方で、インクジェットヘッド11は、連続して印刷を行うと次第に温度が上昇し、それに伴いインク温度も上昇し流動抵抗が減少して吐出量が増えてくるため、印刷濃度が変動してしまう。この温度上昇は、パネルヒータ33の加温を調節することでもある程度は調節が可能であるが、印刷用紙の加温との兼ね合いもあり必ずしも十分には行えない。そこで、本発明においては、インクジェットヘッド11のみをより効果的に温度調整できるように、冷却機構40が設けられている。
冷却機構40は、冷却プレート41と、冷媒を循環させる循環経路42と、循環ポンプ43を有し、冷却プレート41により非接触でインクジェットヘッド11を冷却する。インクジェットヘッド11は連続運転により室温よりもかなり高温になるため、室温程度の水を冷媒として好適に用いることができるが、これに限定されない。別に冷媒を冷却するための公知の冷却ユニットを適宜設けても良い。またこれ以外でも、冷却プレート41を既存のスポットクーラーからの冷風により冷却する機構であっても良い。
冷却機構40はキャリッジ機構20の往復移動範囲内に設けられているため、インクジェットヘッド11は冷却機構40の部位に支障なく移動でき、特に冷却機構40の部位Bを、印刷用紙31の幅方向の幅Aよりも外側とすることで、冷却の影響が印刷用紙31やステージ32、パネルヒータ33に直接及ぶことがなく、それぞれの制御が複雑にならず好ましい。また、冷却機構40をインクジェットヘッド11や印刷用紙31の支持部などから分離して備えることで、インクジェットヘッド側に冷却機構を設ける必要がなく、印刷装置の構造を単純にできる。
以上の様に、インクジェットヘッド11を加温する装置と冷却する機構を両方備え、印刷中のインク温度の変動を所定の温度範囲内とすると、経時的な濃度ムラの生じ難い印刷が行える。このとき好ましい温度範囲としては、設定温度に対して±5℃の温度範囲となるように制御すると、濃度ムラが生じ難く好適な印刷を行うことができる。
また記録媒体である印刷用紙31の搬送については、印刷用紙31をシート状の、いわゆる枚様紙とし、ステージ32に固定して、インクジェットヘッド11を幅方向に往復移動させながら印刷を行う場合は、キャリッジ機構20とステージ32を搬送方向に相対的に移動させる機構(図示せず)を別に設ける。キャリッジ機構20とステージ32のどちらを移動させるかは任意である。1行分の印刷が終了したらキャリッジ機構20とステージ32を1行分搬送方向に相対的に移動させ、次の行の印刷を行い、以下同様に印刷を行う。
印刷用紙31をウェブ状の連続用紙とする場合は、印刷用紙31を搬送方向に搬送するための巻取り/巻出し機構や搬送ローラ等の搬送機構を別に設ければ良い。図2は、本発明のインクジェット印刷装置において、印刷用紙31を連続用紙としたときの実施形態の要部を印刷用紙31の幅方向から見込んだ模式図である。印刷用紙31に画像を印刷する際は、搬送ローラ35などからなる搬送機構で搬送中の印刷用紙31を一時的に停止させ、キャリッジ機構20を幅方向に往復移動させながら、インクジェットヘッド11のノズル14からインクを吐出して1行分の画像を印刷し、その後、印刷用紙31を1行分搬送して新たに位置する部分に次の1行分の画像を形成する動作を繰り返す。
インクジェットヘッド11には温度センサを装着しておき、印刷中のインクジェットヘッド11の温度が所定の温度範囲内である場合は、印刷を続け、印刷中に所定の温度範囲よりも高くなったときは、1行の印刷が終了した後、インクジェットヘッド11をキャリッジ機構20により冷却機構40の部位まで移動させ、冷却を行った後、次の行の印刷を行う。このとき、冷却によりインクジェットヘッドの温度を一気に大きく下げてしまうと、印刷濃度ムラとなってしまう虞があるため、インクジェットヘッド11の温度変化がなるべく小幅になる様に適宜制御を行うと好適である。
図3は、本発明のインクジェット印刷装置の別形態の要部の模式図である。図1と同様、搬送方向から見込んだ図である。ここでは記録媒体である印刷用紙31の支持部が搬送ベルト34となっている。印刷用紙31は搬送ベルト34により搬送方向に搬送される。加温用のパネルヒータ33は、インクジェットヘッド11がある側と反対側に設けられて搬送ベルト34を加温するため、パネルヒータ33から必要以上の熱がインクジェットヘッド11に伝わらず、インクジェットヘッド11の温度上昇を押さえる効果も得られて好ましい。
また本実施形態においては、冷却機構40を、ステージ状でなく連続ベルト状としている。連続ベルト44の回転経路中にスポットクーラー45を備え、冷風46により連続ベルト44を冷却し、冷風46により冷却された部位をインクジェットヘッド11に対向する位置まで回転させてインクジェットヘッド11を冷却する。冷風46が直接、インクジェットヘッド11にあたってしまうことがなく、冷却によるインクジェットヘッド11の温度変化が不安定になる虞を少なくできる。
本実施形態においても、冷却機構40は、図1に示した例と同様に印刷用紙31の幅方向の幅Cよりも外側の部位Dに設けられ、冷却の影響が印刷用紙31や搬送ベルト34に直接及ぶことがなく、それぞれの制御が複雑にならない様になっている。
図4は、図3に示した別形態の実施形態の要部を印刷用紙31の幅方向から見込んだ模式図である。印刷用紙31に画像を印刷する際は、搬送ベルト34を一時的に停止させて印刷用紙31を停止させ、キャリッジ機構20を幅方向に往復移動させながら、インクジェットヘッド11のノズル14からインクを吐出して1行分の画像を印刷し、その後、搬送ベルト34を駆動して印刷用紙31を1行分搬送して新たに位置する部分に次の1行分の画像を形成し、以下この動作を繰り返すことにより印刷を行う。
以上説明したように、本発明のインクジェット印刷装置においては、インクジェットヘッドを加温する装置と冷却する機構を両方備え、簡易な冷却機構で効果的にインクジェットヘッドの冷却が行え、経時的な印刷の濃度ムラが生じ難いインクジェット印刷装置が得られる。
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。
<実施例1>
・図3に例示したものと同等の印刷装置にて、下記の条件にて印刷を行った。
印刷用紙を搬送する搬送ベルトの加温:45℃
冷却機構の連続ベルトの冷却温度:25℃
スポットクーラー:クリスプSUBSP1CS(ダイキン工業製)
インクジェットヘッド:KJ4B−0300−G06DS(京セラ製)
インク:LIOJET(東洋インキ製)
インク設定温度:32℃
印刷用紙:MJet−online(ムンクショー製、紙幅1270mm、坪量78g/m
印刷速度:15m/h
印刷時間:1時間
・以上の条件で印刷を実施したところ、ヘッド温度は31.5〜32.2℃の範囲で制御できた。また印刷開始時と印刷終了時で印刷濃度に大きな差は見られず、安定した印刷が行えた。
<比較例>
・スポットクーラーを使用せず、冷却を行わない状態とした以外は、実施例1と同様の構成で印刷を行った。
・ヘッド温度は32℃から38.2℃まで上昇した。また印刷終了時の印刷濃度は印刷開始時に比べ高くなり、安定した印刷ではなかった。
11・・・インクジェットヘッド
12・・・支持アーム
13・・・ヘッドブロック
14・・・ノズル
20・・・キャリッジ機構
21・・・フレーム
22・・・ガイドシャフト
23・・・駆動モータ
24・・・タイミングベルト
31・・・印刷用紙
32・・・ステージ
33・・・パネルヒータ
34・・・搬送ベルト
35・・・搬送ローラ
40・・・冷却機構
41・・・冷却プレート
42・・・循環経路
43・・・循環ポンプ
44・・・連続ベルト
45・・・スポットクーラー
46・・・冷風

Claims (4)

  1. 記録媒体上にインクジェット方式で印刷を行うインクジェット印刷装置であって、
    幅方向と搬送方向を有する記録媒体を支持する支持部と、前記支持部を加温する加温装置と、インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを前記幅方向に往復移動させるキャリッジ機構を有し、
    前記キャリッジ機構の往復移動可能な範囲は前記記録媒体の前記幅方向よりも広く、
    前記キャリッジ機構の往復移動可能な範囲内に前記インクジェットヘッドを冷却する冷却機構を具備し、
    前記インクジェットヘッドが前記冷却機構の部位まで移動することにより冷却されることを特徴とするインクジェット印刷装置。
  2. 前記冷却機構が、記録媒体の幅方向の外側に具備されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷装置。
  3. 前記冷却機構が、前記インクジェットヘッドを非接触で冷却する機構であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット印刷装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット印刷装置を用いたインクジェット印刷方法であって、
    印刷中のインク温度が所定の設定値に対して±5℃の範囲となる様にインクジェットヘッドの冷却を行いながら印刷を行うことを特徴とするインクジェット印刷方法。
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