JP2019139931A - 非水系電解液及び非水系電解液電池 - Google Patents

非水系電解液及び非水系電解液電池 Download PDF

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Abstract

【課題】過充電時の安全性及び連続充電特性に優れる非水系電解液電池の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物を含む非水系電解液。
Figure 2019139931

[R〜R10はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1以上10以下のハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基。Xはハロゲン、PO(OR 、SOOR12又はCNであり、R11およびR12は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の飽和又は置換基を有していてもよい不飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基。Yはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の飽和炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基。]
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液電池に関するものである。
携帯電話、ノートパソコンなどのいわゆる民生用の電源から自動車用などの駆動用車載
電源まで広範な用途に、リチウム二次電池などの非水系電解液電池が実用化されつつある
。しかしながら、近年の非水系電解液電池に対する高性能化の要求はますます高くなって
おり、特に、高容量、低温使用特性、高温保存特性、サイクル特性、過充電時安全性等の
種々の電池特性の改善が要望されている。
また、こうした非水系電解液電池の負荷特性、サイクル特性、保存特性等の電池特性を
改良したり、過充電時の電池の安全性を高めるために、非水溶媒や電解質、添加剤につい
て種々の検討がなされており、電池の最大動作電圧以上の電池電圧にて内部抵抗を高くし
て電池を保護したり、電池の最大動作電圧以上の電池電圧にて気体及び圧力を発生させる
ことにより、過充電保護のために設けた内部電気切断装置を確実に動作させる目的で過充
電防止剤が用いられている。過充電防止剤としては、芳香族炭化水素系化合物、芳香族エ
ステル化合物、リン系化合物等が知られている。これらの中でもリン系化合物の例として
特許文献1には過充電防止剤としてすべてのフェニル基が炭素数4以上のアルキル基で置
換された芳香族リン酸エステルを用いると、高温保存特性に優れることが記載されている
特開2014−135296号公報
本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されている電解液を用いた非水系電解液二
次電池では、上記のように子温保存特性は改善するものの、過充電時の安全性向上の点で
満足しうるものではなかった。本発明はこの問題に鑑み、過充電時の安全性及び連続充電
特性に優れる非水系電解液電池、並びにそれを与える非水系電解液を提供することを目的
とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々の検討を重ねた結果、特定の構造を有す
るリン系化合物を電解液中に含有させることによって、上記課題を解決できることを見出
し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明の要旨は、以下に示す通りである。
[1]非水溶媒及び下記式(1)で表される化合物を含む非水系電解液。
Figure 2019139931
[式(1)中、R〜R10はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1以上10
以下のハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基である。Xはハロゲン、PO(OR
、SOOR12又はCNであり、R11およびR12は置換基を有していてもよ
い炭素数1〜10の飽和又は置換基を有していてもよい不飽和脂肪族炭化水素基又は置換
基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。Yはヘテロ原子を含ん
でいてもよい炭素数1〜10の飽和炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2
〜10の不飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族
炭化水素基である。]
[2] 前記非水溶媒中に前記式(1)で表される化合物を0.001〜20質量%含む
、[1]に記載の非水系電解液。
[3] 前記非水溶媒中にLiPF及びLiBFのうちの少なくとも一方を含む、[
1]又は[2]に記載の非水系電解液。
[4] 前記非水溶媒中にLiPF及びLiBFのうちの少なくとも一方を0.5〜
3.0mol/Lの濃度で含む、[3]に記載の非水系電解液。
[5] 正極及び負極、並びに[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の非水系電解液を
含む非水系電解液電池。
本発明によれば、電池特性を著しく損なわずに、過充電時の安全性をより良好にするこ
とができることのできる非水系電解液及びこれを用いた非水系電解液電池が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明は、本発明の一例(代表例)であり
、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない範
囲内で任意に変更して実施することができる。
〔非水系電解液〕
本発明の非水系電解液は、非水溶媒及び下記式(1)表される化合物を含むものである
。なお、以下において、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と称することがあ
る。
Figure 2019139931
[式(1)中、R〜R10はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1以上10
以下のハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基である。Xはハロゲン、PO(OR
、SOOR12又はCNであり、R11およびR12は置換基を有していてもよ
い炭素数1〜10の飽和又は置換基を有していてもよい不飽和脂肪族炭化水素基又は置換
基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。Yはヘテロ原子を含ん
でいてもよい炭素数1〜10の飽和炭化水素基、Yはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素
数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳
香族炭化水素基である。]
本発明の非水系電解液は電池特性を著しく損なわずに、かつ過充電時の安全性をより良
好にすることができることのできるという効果を奏する。本発明がこのような効果を奏す
る理由は定かではないが、次の理由によるものと推定される。即ち、式(1)で表される
化合物は、一定の電位の下で反応することでより酸化電位の低いフルオレン骨格を形成し
、これが連続的に反応して重合生成物となることで内部抵抗を上昇させ、過充電時の安全
性を高めることができると推定される。
<1.化合物(1)>
本発明の非水系電解液は、前記式(1)で表される化合物を含有する。前記式(1)に
おいて、R〜R10はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1以上10以下の
ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基である。ここで、R〜R10の少なくとも
いずれか1つが炭化水素基である場合、置換されていてもよいハロゲンとしては、フッ素
、ヨウ素、臭素が挙げられ、これらの中でもフッ素が好ましい。R〜R10としては、
好ましくは水素である。
前記式(1)において、Xはハロゲン、PO(OR11、SOOR12又はCN
である。Xとしては、特にPO(OR11が好ましい。ここで、R11およびR12
は置換基を有していてもよい炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい
てもよい炭素数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数
6〜10の芳香族炭化水素基である。これらの中でも炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基
が好ましく、炭素数1〜4の飽和脂肪族炭化水素基が特に好ましい。また、R11および
12における、有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シク
ロヘキシル基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、トリフルオロメチル基、ペンタフ
ルオロエチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチ
ルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、4−t−ブチル
フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル
基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリ
フルオロメチルフェニル基、シアノ基等が挙げられる。
前記式(1)において、Yはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜10の飽和炭化
水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2〜10の不飽和脂肪族炭化水素基又は置
換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。ここで、Yにおいて
含まれていてもよいヘテロ原子としては、フッ素、酸素、窒素、硫黄等が挙げられ、また
、ここでいう置換基としてはフルオロ基、カルボニル基、アシル基、スルホニル基、スル
ホニルオキシ基、シアノ基等が挙げられる。Yとしては、具体的には、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t
−ブチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、トリフルオロメ
チル基、ペンタフルオロエチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェ
ニル基、4−メチルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基
、4−t−ブチルフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−
フルオロフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェ
ニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、シアノ基等が挙げられ、好ましいのはメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、s−ブチル基、i−
ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエ
チル基、フェニル基等であり、特に好ましいのはフェニル基である。
特に、前記式(1)において、XがPO(OR11であり、かつYがフェニル基で
あるものが好ましい。より具体的には、前記式(1)で表される化合物の中でも、トリフ
ェニルメタンホスホン酸ジメチル、トリフェニルホスホン酸ジエチル等が好ましい。
式(1)で表される化合物の非水系電解液中の含有量は、本発明の効果を著しく損なわ
ない限り、特に限定されない。具体的には、この化合物の含有量の下限値としては、前記
非水溶媒100質量%に対し、0.001質量%以上であることが好ましく、0.05質
量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。ま
た、上限値としては、前記非水溶媒100質量%に対し、20質量%以下であることが好
ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好
ましい。この化合物の濃度が上記の好ましい範囲内であると、他の電池性能を損なうこと
なく、過充電時の安全性を高める効果がさらに発現し易くなる。
式(1)で表される化合物の具体的な例としては、式(1−1)〜式(1−5)で表さ
れる化合物群が挙げられる。これらの中でも、好ましくは式(1−1)〜式(1−4)で
表される化合物群であり、より好ましくは式(1−1)〜式(1−3)で表される化合物
群であり、更に好ましいのは式(1−1)又は式(1−2)で表される化合物群であり、
特に好ましいのは式(1−1)で表される化合物群である。
Figure 2019139931
Figure 2019139931
Figure 2019139931
Figure 2019139931
Figure 2019139931
<2.非水溶媒>
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様、通常はその主成分として、後
術する電解質を溶解する非水溶媒を含有する。ここで用いる非水溶媒について特に制限は
なく、公知の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、好ましくは、飽和環状
カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル、環状カルボン酸エステル、
化合物(1)以外のエーテル系化合物、及びスルホン系化合物から選ばれる少なくとも1
つが挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を
組み合わせて用いることができる。
<2−1.飽和環状カーボネート>
飽和環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ
る。具体的には、炭素数2〜4の飽和環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート
、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカ
ーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性
向上の点から好ましい。飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上
を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
飽和環状カーボネートの含有量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない
限り任意であるが、1種を単独で用いる場合の含有量の下限は、非水溶媒100体積%中
、通常3体積%以上、好ましくは5体積%以上である。この範囲とすることで、非水系電
解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、蓄電デバイスの大電流放電特
性、負極に対する安定性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。また上限は、通常
90体積%以下、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。こ
の範囲とすることで、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制
し、ひいては蓄電デバイスの入出力特性を更に向上させたり、サイクル特性や保存特性と
いった耐久性が更に向上させたりできるために好ましい。
<2−2.鎖状カーボネート>
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7のものが好ましい。具体的には、炭素数3〜
7の鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n
−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカー
ボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチル
メチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、
エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチル
カーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、ジメチ
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピ
ルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、
メチル−n−プロピルカーボネートが好ましく、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、エチルメチルカーボネートが特に好ましい。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」
と略記する場合がある。)も好適に用いることができる。フッ素化鎖状カーボネートが有
するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好まし
くは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それら
は互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。フッ素化
鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート誘導体、フッ素化エチルメチ
ルカーボネート誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート誘導体等が挙げられる。
鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比
率で併用してもよい。
鎖状カーボネートの含有量は特に限定されないが、非水溶媒100体積%中、通常15
体積%以上であり、好ましくは20体積%以上、より好ましくは25体積%以上である。
また、通常90体積%以下、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下
である。鎖状カーボネートの含有量を上記範囲とすることによって、非水系電解液の粘度
を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては蓄電デバイスの入出力特性や
充放電レート特性を良好な範囲としやすくなる。また、非水系電解液の誘電率の低下に由
来する電気伝導率の低下を回避し、蓄電デバイスの入出力特性や充放電レート特性を良好
な範囲としやすくなる。
<2−3.鎖状カルボン酸エステル>
鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3〜7のものが挙げられ
る。具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢
酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン
酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n
−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチ
ル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪
酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。これらの中でも、酢酸メチル
、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオ
ン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪
酸エチル等が、粘度低下によるイオン伝導度の向上、及びサイクルや保存といった耐久試
験時の電池膨れの抑制の観点から好ましい。
<2−4.環状カルボン酸エステル>
環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3〜12のものが挙
げられる。具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラ
クトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。これらの中でも、ガンマブチロラク
トンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
<2−5.化合物(1)以外のエーテル系化合物>
化合物(1)以外のエーテル系化合物としては、炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び
化合物(1)以外の炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル
)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロ
エチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリ
フルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル
、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオ
ロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフ
ルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロ
ピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−
トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n
−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)
エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−
フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオ
ロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオ
ロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフ
ルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエー
テル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、
(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エー
テル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プ
ロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタ
フルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロ
ピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピ
ル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ
−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,
3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチ
ル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピ
ルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピ
ル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2
,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,
3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)
エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル
)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−
プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフ
ルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エー
テル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ
−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3
,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフル
オロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(
2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,
3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメ
タン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(
2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロ
エトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エト
キシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラ
フルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキ
シ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1
,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メ
タン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキ
シ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン
、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,
2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエ
トキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキ
シ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフ
ルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ
)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,
2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エ
タン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキ
シ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコー
ルジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
化合物(1)以外の炭素数3〜6の環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−
メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、2−
メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等
、及びこれらのフッ素化化合物が挙げられる。これらの中でも、ジメトキシメタン、ジエ
トキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル
、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル
が、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、リチウムイオン解離性を向上させる点で好ま
しい。特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメ
タン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
<2−6.化合物(1)以外のスルホン系化合物>
化合物(1)以外のスルホン系化合物としては、化合物(1)以外の炭素数3〜6の環
状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数
は、1又は2であることが好ましい。
化合物(1)以外の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンス
ルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物で
あるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホ
ン類等が挙げられる。これらの中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン
類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホ
ン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも
含めて「スルホラン類」と略記する場合がある。)が好ましい。スルホラン誘導体として
は、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアル
キル基で置換されたものが好ましい。
これらの中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホ
ラン、3−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロス
ルホラン、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジ
フルオロスルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチル
スルホラン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラ
ン、4−フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−
フルオロ−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロ
メチルスルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、
3−ジフルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオ
ロメチルスルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フル
オロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチ
ル)スルホラン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等がイオン伝導
度が高く入出力が高い点で好ましい。
また、鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルス
ルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピル
スルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピル
スルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルス
ルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメ
チルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルス
ルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタ
フルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロ
メチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホ
ン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(ト
リフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プ
ロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−
プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピ
ルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロ
ピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−
プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−
n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル
−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン等が挙げられる。
これらの中でも、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−
プロピルメチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、t
−ブチルメチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチル
スルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジ
フルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエ
チルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスル
ホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチル
ペンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフル
オロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフル
オロエチル−t−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−n−ブチルスルホン、トリフル
オロメチル−t−ブチルスルホン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
<3.電解質>
本発明の非水系電解液は通常、電解質が含まれる。特に、本発明の非水系電解液をリチ
ウムイオン二次電池である場合には、通常リチウム塩が含まれる。非水系電解液のイオン
電導度を高めるために以下のリチウム塩(A)が用いられ、また、本発明の非水系電解液
に更に所望の性能を高めるためにリチウム塩(A)以外のリチウム塩(B)を用いること
もできる。また、本発明の非水系電解液をナトリウムイオン二次電池に用いる場合には、
以下に例示するリチウム塩のそれぞれについてリチウムイオンをナトリウムイオンに置き
換えたナトリウム塩を用いることが好ましい。
本発明の非水系電解液に用いることができるリチウム塩(A)としては、例えば、Li
ClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiTaF等が挙げられる。これ
らの中でもLiBF及びLiPFの少なくとも一方を含むことが好ましい。また、リ
チウム塩(A)は1種類のみで用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい
本発明の非水系電解液がリチウム塩(A)を含む場合、その含有量は非水溶媒に対し、
好ましくは0.5mol/L以上であり、より好ましくは0.6mol/L以上であり、
更に好ましくは0.7mol/L以上であり、一方、好ましくは3mol/L以下であり
、より好ましくは2mol/L以下であり、更に好ましくは1.8mol/L以下である
。リチウム塩(A)の含有量が上記範囲内であることによりイオン電導度を適切に高める
ことができる。
また、本発明の非水系電解液に用いることができるリチウム塩(B)としては、LiC
SO、LiCSO、Li(CFSON、Li(CSO
N、Li(CF)SOC、LiBF(C)、LiB(C
LiB(C、LiPF(C、LiPO、LiFSO等が
挙げられる。これらは1種類のみで用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いても
よい。
本発明の非水系電解液がリチウム塩(B)を含む場合、その含有量は非水溶媒に対し、
好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、一方、
好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましく
は10質量%以下であり、特に好ましいのは5質量%以下である。リチウム塩(B)の含
有量が上記範囲内であることによりイオン電導度を適切に高めることができる。
なお、以上に挙げたリチウム塩の含有量を測定する方法としては特に制限はなく、公知
の方法を任意に用いることができる。このような方法としては例えば、イオンクロマトグ
ラフィー、F磁気共鳴分光法等が挙げられる。
<4.その他の添加剤>
本発明の非水系電解液は、以上に挙げた各種化合物の他に、保存特性向上剤として、マ
ロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル
、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカン
ジニトリル等のシアノ基を有する化合物;負極保護剤として、1,3−ビス(イソシアナ
トメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,
3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,2−ビス
(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,
4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン等のジイソシアナト化合物;耐久性向上剤とし
て、アクリル酸無水物、2−メチルアクリル酸無水物、3−メチルアクリル酸無水物、安
息香酸無水物、2−メチル安息香酸無水物、4−メチル安息香酸無水物、4−tert−
ブチル安息香酸無水物、4−フルオロ安息香酸無水物、2,3,4,5,6−ペンタフル
オロ安息香酸無水物、メトキシギ酸無水物、エトキシギ酸無水物等のカルボン酸無水物化
合物等の助剤;過充電防止剤としては、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、
t−アミルベンゼン、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの
部分水素化体、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の各種添加剤を本発明の効果を著
しく損なわない範囲で配合することができる。これらの化合物は適宜組み合わせて用いて
もよい。
〔非水系電解液電池〕
本発明の非水系電解液、正極及び負極を用いて非水系電解液(以下、「本発明の非水系
電解液電池」と称することがある。)とすることができる。非水系電解液電池としては例
えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池等が挙げられるが、好ましい
のはリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は通常、本発明の非水系電
解液と、集電体及び該集電体上に設けられた正極活物質層を有し、リチウムイオンを吸蔵
、放出し得る正極と、集電体及び該集電体上に設けられた負極活物質層を有し、リチウム
イオンを吸蔵、放出し得る負極とを備えるものである。
<1.正極>
本発明の非水系電解液電池に用いる正極は通常、複合酸化物、ポリアニオン化合物、フ
ッ化物等を含む。正極は通常、集電体上に正極活物質層を有するものであり、正極活物質
層は正極活物質を含有する。以下、正極活物質について述べる。
前記複合酸化物としては例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
Li1-y (2)
式(2)中、0<x<1.2、0<y<1である。
式(2)におけるMは遷移金属であり、好ましくは、Mn、Fe、Co、Niである。
式(2)におけるMは、複合酸化物中、1種のみが含まれていても、異なる複数種が含ま
れていてもよい。
式(2)におけるNはV、Fe、Cu、Nb、Mo、Ta、W、Zn、Ti、Zr、A
l、B、Mg、Li、Na及びKから選ばれる少なくとも1つである。これらの中でも出
力向上の観点では、V、Fe、Cu、Nb、Mo、Ta及びWから選ばれる少なくとも1
つが好ましく、これらの中でもNb、Mo、Ta及びWから選ばれる少なくとも1つがよ
り好ましい。一方、耐久試験後の容量維持率の観点では、Zn、Ti、Zr、Al、B、
Mg、Li、Na及びKから選ばれる少なくとも1つが好ましく、これらの中でもZr、
Al、Mg及びLiから選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
複合酸化物の好ましいものとしては、例えば、Na2/3Fe1/2Mn1/2
Na2/3Ni1/2Mn1/2、Na2/3Ni1/3Mn2/3、Na4/
Ni1/3Mn2/3、NaCoO、NaCrO、NaNi1/3Co1/3
Mn1/3、NaNi1/3Fe1/3Mn1/3等が挙げられる。
前記ポリアニオン化合物は例えば、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
Nax`M’y`(QO)z (3)
式(3)中、1<x`<2、1<y`<3、1<z<3である。
式(3)におけるM’は遷移金属であり、好ましくは、Mn、Fe、Co、Niである
。式(3)におけるM’は、ポリアニオン化合物中、1種のみが含まれていても、異なる
複数種が含まれていてもよい。
式(3)におけるQはP、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、Si、Ge、S
n及びPbから選ばれる少なくとも1つである。これらの中でも化合物の安定性の観点で
は、P、S、及びSiから選ばれる少なくとも1つが好ましく、これらの中でもP及びS
から選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
ポリアニオン化合物の好ましいものとしては、例えば、LiFePO、LiFe
(PO、LiFe(SO、LiFe(SiO、LiMnPO
、LiMnFe(PO、LiMn(SO、LiMn(SiO
などが挙げられる。
前記フッ化物は、例えば、LiM’’F、LiM’’POF(ここでM’’は、
遷移金属であり、好ましくは、Mn、Fe、Co、Niであり、1種のみが含まれていて
も、異なる複数種がふくまれていてもよい)。例えば、LiFeF、LiFePO
F、LiFMnF、LiMnPOF、LiFNiF、LiNiPOF等が挙
げられる。
本発明に用いる正極は以上に挙げた中でも複合酸化物、ポリアニリン化合物及びフッ化
物を含むものが好ましいが、本発明の効果を阻害しない限り、その他の正極活物質が含ま
れていてもよい。その他の正極活物質としては、前記複合酸化物、前記ポリアニオン化合
物及び前記フッ化物のいずれかに該当せず、電気化学的にs−ブロック金属イオンを吸蔵
・放出可能なものであれば特に制限はないが、例えば、アルカリ金属と少なくとも1種の
遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リ
チウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物が挙げられる。例
えば、NaFeP、NaFe(PO(P)等が挙げられる。上
記その他の正極活物質は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<2.負極>
負極は、通常、集電体上に負極活物質層を有するものであり、負極活物質層は負極活物
質を含有する。以下、負極活物質について述べる。
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン
、マグネシウムイオンなどのs−ブロック金属イオンを吸蔵・放出可能なものであれば、
特に制限はない。その具体例としては、炭素質材料、金属合金系材料、s−ブロック金属
含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種
以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、天然黒鉛、難黒鉛化炭素、人造炭素
質物質などが挙げられるが特に制限はなく、通常、リチウムイオンの挿入及び脱離が可能
はポーア構造を有すればよい。具体的には、WO2014/188722(前記特許文献
1)に記載されている多孔性単相材料が高容量の観点から好ましい。
<3.セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この
場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない
限り、公知のものを任意に採用することができる。これらの中でも、本発明の非水系電解
液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優
れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン
等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィ
ルター等を用いることができる。これらの中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレ
フィンであり、さらに好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用
いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく
、10μm以上がより好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好まし
く、30μm以下がより好ましい。セパレータが、上記範囲より薄過ぎると、絶縁性や機
械的強度が低下する場合がある。また、上記範囲より厚過ぎると、レート特性等の電池性
能が低下する場合があるばかりでなく、蓄電デバイス全体としてのエネルギー密度が低下
する場合がある。
さらに、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパ
レータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%
以上がより好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下
がより好ましい。空孔率が、上記範囲より小さ過ぎると、膜抵抗が大きくなってレート特
性が悪化する傾向がある。また、上記範囲より大き過ぎると、セパレータの機械的強度が
低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm
以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲を上回ると
、短絡が生じ易くなる。また、上記範囲を下回ると、膜抵抗が大きくなりレート特性が低
下する場合がある。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物類、窒化ア
ルミや窒化ケイ素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ
、粒子形状若しくは繊維形状のものが用いられる。
形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄
膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。
前記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて前記無機物の粒子を含有する複
合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる
。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤
として多孔層を形成させることが挙げられる。
<4.導電材>
上述の正極及び負極は、導電性の向上のために、導電材を含むことがある。導電材とし
ては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金
属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボ
ンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、こ
れらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても
よい。
導電材は、正極材若しくは負極材の100質量部に対し、通常0.01質量部以上、好
ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、また、通常50質量部以下、
好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下含有するように用いられる。
含有量が上記範囲よりも下回ると、導電性が不十分となる場合がある。また、上記範囲よ
りも上回ると、電池容量が低下する場合がある。
<5.結着剤>
上述の正極及び負極は、結着性の向上のために、結着剤を含むことがある。結着剤は、
非水系電解液や電極製造時用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に限定されない。
塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であれ
ばよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の
樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタ
ジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴ
ム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添
加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・
ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又は
その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリ
ブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフ
ィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフ
ルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレ
ン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝
導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いて
もよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
結着剤の割合は、正極材若しくは負極材の100質量部に対し、通常0.1質量部以上
であり、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、また、通常50質量部
以下であり、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下
がさらに好ましい。結着剤の割合が、上記範囲内であると電極の結着性を十分保持でき電
極の機械的強度が保たれ、サイクル特性、電池容量及び導電性の点から好ましい。
<6.液体媒体>
スラリーを形成するための液体媒体としては、活物質、導電材、結着剤、並びに必要に
応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に
制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系媒体の例としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機
系媒体の例としては、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、
メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチ
ル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等の
アミン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチ
ルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒等を
挙げることができる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意
の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<7.増粘剤>
スラリーを形成するための液体媒体として水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレン
・ブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘
剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。
増粘剤としては、本発明の効果を著しく制限しない限り制限はないが、具体的には、カ
ルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれ
らの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ
及び比率で併用してもよい。
さらに増粘剤を使用する場合には、正極材若しくは負極材の100質量部に対し、通常
0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、ま
た、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下が望まし
い。上記範囲を下回ると著しく塗布性が低下する場合があり、また上記範囲を上回ると、
活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や活物質間の抵抗が
増大する場合がある。
<8.集電体>
集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体
例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル、銅等の
金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。これらの中
でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金
属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素質材料の場
合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。
なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
集電体の厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm
以上がより好ましく、また、通常1mm以下であり、100μm以下が好ましく、50μ
m以下がより好ましい。薄膜が、上記範囲内であると集電体として必要な強度が保たれ、
また取り扱い性の点からも好ましい。
<9.電池設計>
[電極群]
電極群は、前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介してなる積層構造のもの、
及び前述の正極板と負極板とを前述のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもの
の何れでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する
。)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、
80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。
また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が
膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての
充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、さらには、内部圧力を外に逃
がすガス放出弁が作動する場合がある。
[集電構造]
集電構造は特に限定されるものではないが、本発明の非水系電解液による放電特性の向
上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが
好ましい。この様に内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は
特に良好に発揮される。
電極群が前述の積層構造のものでは、各電極層の金属芯部分を束ねて端子に溶接して形
成される構造が好適に用いられる。1枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大
きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電
極群が前述の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端
子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。
[外装ケース]
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に限定され
るものではない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアル
ミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(
ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム
合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
前記金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属
同士を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して前記金属
類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。前記ラミネートフィルムを用いる外装ケ
ースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。
シール性を上げるために、前記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異な
る樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする
場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極
性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
[保護素子]
前述の保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Po
sitive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サ
ーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流
を遮断する弁(電流遮断弁)等が挙げられる。前記保護素子は高電流の通常使用で作動し
ない条件のものを選択することが好ましく、高出力の観点から、保護素子がなくても異常
発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
[外装体]
本発明の蓄電デバイスは、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外
装体内に収納して構成される。この外装体に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわな
い限り公知のものを任意に採用することができる。
具体的には、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄
、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大
型等の何れであってもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これ
らの実施例に限定されるものではない。
本実施例に使用した式(1)で表される化合物の構造を以下に示す。
Figure 2019139931
また、その他使用した化合物の構造を以下に示す。
Figure 2019139931
<実施例1及び比較例1〜2>
[実施例1]
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(
EMC)及びジエチルカーボネート(DEC)からなる混合溶媒(混合体積比EC:EM
C:DEC=3:4:3)に、電解質であるLiPFを1.2mol/Lの割合で溶解
させた。そして、得られた混合液に対して、ビニレンカーボネート(VC)2.0質量%
ならびにモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)2.0質量%を配合させて基本
電解液とした。更に、基本電解液に対して化合物(1−1)4.8質量%を配合して実施
例1−1の非水系電解液を調製した。
[正極の作製]
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)97質量%と、導電材としてア
セチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.
5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化し
た。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして
正極とした。
[負極の作製]
負極活物質として天然黒鉛粉末、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム
の水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)、結
着材としてスチレンブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレンブタジエンゴムの
濃度50質量%)を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚
さ10μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。なお、乾燥
後の負極において、天然黒鉛:カルボキシメチルセルロースナトリウム:スチレンブタジ
エンゴム=98:1:1の質量比となるように作製した。
[リチウム二次電池の作製]
上記の正極、負極、及びポリプロピレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、
セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚
さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端
子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行ない、シー
ト状のリチウム二次電池を作製した。
[初期の電池特性評価]
リチウム二次電池をガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.05Cに
相当する電流で6時間定電流充電した後、0.2Cで3.0Vまで定電流放電を行い、こ
の時の充放電効率を初期充放電効率とした。更に、0.2Cに相当する電流で4.1Vま
で定電流―定電圧充電(「CC−CV充電」ともいう)(0.05Cカット)した後、4
5℃、72時間の条件下で放置した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電した
。次いで、0.2Cで4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.2
Cで3.0Vまで再度放電し、初期の電池特性を安定させた。ここで、1Cとは電池の基
準容量を1時間で放電する電流値を表し、例えば、0.2Cとはその1/5の電流値を表
す。
[過充電特性評価]
容量、出力評価試験の終了した電池を、25℃において0.3Cの定電流で4.1Vま
で充電後、4.1Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、エタノール
浴中に浸して体積を測定した後、45℃において0.5C電流を印加しSOC180に達
した時点で電流をカットして、過充電試験後の電池の開回路電圧(OCV)を測定した。
次にエタノール浴中に浸して体積を測定し、過充電の前後の体積変化から発生したガス量
を求めた。
過充電試験後の電池のOCVが低い方が、過充電深度が低く、過充電時の安全性が高い
。また、過充電後のガス発生量が多いほど、過充電等の異常により内圧が異常に上昇した
ときにこれを感知して安全弁を作動させる電池では、安全弁を早めに作動させることがで
きるので好ましい。また、過充電後のガス発生量と、連続充電時等に発生するガス量の差
が大きい方が、過充電時に安全弁を確実に作動させながら、高温保存時等における安全弁
の誤作動を防ぐことができるので好ましい。
[連続充電耐久試験]
初期の電池特性評価後のリチウム二次電池を、25℃において、0.2Cで4.4Vま
でCC−CV充電(0.05Cカット)した後、エタノール浴中に浸し、そのときの浮力
から初期電池体積を求めた。その後、60℃において、4.4Vの定電圧充電を14日間
行い、この時の充電電流容量を連続充電容量とした。さらに、十分に冷却させた電池をエ
タノール浴中に浸して体積を測定し、初期電池体積からの変化分を連続充電ガス量とした
。さらに、25℃において、0.2Cで3.0Vまで定電流放電させた。その後、25℃
において0.2Cの定電流で4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、
0.2Cで3.0Vまで再度放電し、これを回復0.2C容量とした。更に、0.2Cで
4.4VまでCC−CV充電(0.05Cカット)した後、0.5Cで3.0Vまで放電
し、これを回復0.5C容量とした。そして、回復0.2C容量に対する回復0.5C容
量の割合を求め、これを連続充電後レート特性(%)とした。
[比較例1]
実施例1−1の電解液において、化合物(1−1)を含まない電解液を用いた以外、実
施例1−1と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
[比較例2]
実施例1の電解液において、化合物(1−1)の代わりに化合物(2−1)2.0質量
%用いた以外、実施例と同様にしてリチウム二次電池を作製し、上記の評価を実施した。
なお、実施例1で添加した化合物(1−1)と比較例2で添加した化合物(2−1)は等
物質量である。
Figure 2019139931
表1から明らかなように、過充電用添加剤を添加していない比較例1の電池と比べて、
比較例2の電池は過充電時の発生ガス量が多く、また過充電後OCVも低いため過充電時
安全性に優れているが、連続充電によって著しく容量が低下した。実施例1の本発明の非
水系電解液を用いた電池では、比較例2と比較して過充電後のガス発生量は遜色なく、一
方で過充電後OCVは低いので過充電時の安全性が高いといえる。また、実施例1を比較
例2、3と比較すると、初期充放電効率は遜色なく、連続充電後の容量低下も抑制されて
いることがわかる。従って、本発明に係る非水系電解液を用いた電池は、前記式(1)で
表される化合物の配合によって電池特性を著しく損なわずに、かつ過充電時の安全性をよ
り良好にすることができることがわかる。

Claims (5)

  1. 非水溶媒及び下記式(1)で表される化合物を含む非水系電解液。
    Figure 2019139931
    [式(1)中、R〜R10はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン又は炭素数1以上10
    以下のハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基である。Xはハロゲン、PO(OR
    、SOOR12又はCNであり、R11およびR12は置換基を有していてもよ
    い炭素数1〜10の飽和又は置換基を有していてもよい不飽和脂肪族炭化水素基又は置換
    基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である。Yはヘテロ原子を含ん
    でいてもよい炭素数1〜10の飽和炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数2
    〜10の不飽和脂肪族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族
    炭化水素基である。]
  2. 前記非水溶媒中に前記式(1)で表される化合物を0.001〜20質量%含む、請求
    項1に記載の非水系電解液。
  3. 前記非水溶媒中にLiPF及びLiBFのうちの少なくとも一方を含む、請求項1
    又は2に記載の非水系電解液。
  4. 前記非水溶媒中にLiPF及びLiBFのうちの少なくとも一方を0.5〜3.0
    mol/Lの濃度で含む、請求項3に記載の非水系電解液。
  5. 正極及び負極、並びに請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水系電解液を含む非水
    系電解液電池。
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