JP2019138865A - 磁気センサおよび電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】数十mTまたはそれ以上の磁場が磁気センサに印加されても磁気抵抗効果素子の測定精度が低下しにくい磁気シールドを備える磁気センサおよび当該磁気センサを用いてなる電流センサを提供する。【解決手段】磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14と、磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14と離間配置され、被測定磁界の強度を減衰させる磁気シールド15と、を備えており、磁気シールド15を基準として磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14とは反対側に、磁気シールド15の残留磁化をリセットするリセットコイル20を有している磁気センサ1。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気センサおよび当該磁気センサを備えた電流センサに関する。
電気自動車やハイブリッドカーにおけるモータ駆動技術などの分野や、柱状トランスなどインフラ関連の分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、大電流を非接触で測定することが可能な電流センサが求められている。このような電流センサとしては、被測定電流からの誘導磁界を検出する磁気センサを用いたものが知られている。磁気センサ用の磁気検出素子として、例えば、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子などの磁気抵抗効果素子が挙げられる。
磁気抵抗効果素子は、検出感度が高いものの、線形性高く検出可能な磁界強度範囲が比較的狭いという特徴がある。このため、特許文献1の図3に示される電流センサのように、被測定電流と磁気抵抗効果素子との間に磁気シールドを配置して、磁気抵抗効果素子に実質的に印加される誘導磁界の強度を小さくして、被測定磁界の大きさを良好な検出特性を有する磁界強度範囲内とする方法が用いられる場合がある。
このように磁気シールドを用いることによって、磁気抵抗効果素子に実質的に印加される磁界の強度を低減させて、磁界強度の測定範囲を拡げることが実現されているが、磁気シールドが磁気的なヒステリシスの原因となる場合がある。特許文献2では、磁気シールド上にハードバイアス層を設けることによりこの磁気的なヒステリシスを抑制し、磁気抵抗効果素子の出力の線形性を向上させることが実現されている。
国際公開第2011/111493号 国際公開第2011/155261号
磁気シールドに印加される磁場が数十mT程度と強い場合には、磁気シールドが軟磁性材料から構成されていても、磁気シールドに残留磁化が生じやすくなってしまう。こうして生じた磁気シールドの残留磁化に基づく磁界が磁気抵抗効果素子に印加されると、磁気抵抗効果素子の測定精度に対して、磁気抵抗効果素子のゼロ磁場ヒステリシスがマイナス側に大きくなるなどの悪影響を与えてしまうおそれがある。
本発明は、かかる現状を鑑み、磁気シールドおよび磁気抵抗効果素子を備える磁気センサであって、磁気センサに印加される磁場が大きい場合であっても、磁気抵抗効果素子の測定精度が低下しにくい磁気センサを提供することを目的とする。本発明は、かかる磁気センサを備える電流センサを提供することをも目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子と離間配置され、前記磁気抵抗効果素子に印加される被測定磁界の強度を減衰させる磁気シールドと、を備えた磁気センサであって、前記磁気シールドを基準として前記磁気抵抗効果素子とは反対側に、前記磁気シールドの残留磁化をリセットするリセットコイルを有することを特徴とする磁気センサである。このような構成を備えることにより、磁気シールドに大きな磁場が印加された場合でも磁気シールドの残留磁化をリセットして、磁気抵抗効果素子のヒステリシスを少なくすることができる。
前記リセットコイルは前記磁気シールドに隣接していることが、磁気抵抗効果素子のヒステリシスを効率的に少なくする観点から好ましい。
平面視で、前記磁気抵抗効果素子の全体が前記磁気シールドに重なることが、磁気抵抗効果素子のヒステリシスを効率的に少なくする観点から好ましい。
上記の磁気センサは、磁気平衡用コイルをさらに備え、前記磁気平衡用コイルに流れる電流に基づき前記被測定磁界の強度を測定するものであってもよい。この場合において、前記磁気平衡用コイルはスパイラルコイルであって、前記磁気抵抗効果素子と前記磁気シールドとの間に前記磁気抵抗効果素子に隣接して位置することが好ましい場合がある。
本発明は、他の一態様として、上記の磁気センサを備え、前記磁気センサは被測定電流の誘導磁界を前記被測定磁界とする電流センサを提供する。
本発明によれば、印加磁場が大きく磁気シールドに残留磁化が生じる場合であっても、リセットコイルによって磁気シールドの残留磁化をリセットして、印加された磁場の影響を抑えることができる。このため、残留磁化に基づく還流磁界による磁気抵抗効果素子への影響を抑制できる。したがって、磁気抵抗効果素子の測定精度が低下しにくい磁気センサが提供される。また、かかる磁気センサを用いてなる電流センサも提供される。
本発明の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す平面図である。 リセットコイルの形状を示す平面図である。 図1及び図2のV1−V1線による断面図である。 図1及び図2のV2−V2線による断面図である。 磁気抵抗効果素子が備える積層構造を模式的に示す断面図である。 本発明の他の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す平面図である。 図6のV3−V3線による断面図である。 磁気シールドの残留磁化をリセットする前後におけるゼロ磁場ヒステリシスの測定結果を示すグラフである。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す平面図である。同図では、便宜上、リセットコイルの外形を実線で表し、4つの磁気抵抗効果素子とリセットコイルとの間にある磁気シールドの外形を破線で表している。図2はリセットコイルの構造の概要を示す平面図であり、図1と同様に磁気シールドを破線で表している。図3および図4は、図1のV1−V1線およびV2−V2線での断面図である。図5は、磁気抵抗効果素子が備える積層構造を模式的に示す断面図である。
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る磁気センサ1は、磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14(以下、適宜、これらをまとめて「4つの磁気抵抗効果素子」という。)、磁気シールド15およびリセットコイル20を備える。
磁気センサ1の4つの磁気抵抗効果素子のそれぞれは、ミアンダ形状(X1−X2方向に延在する複数の長尺パターンが折り返すようにつながって構成される形状)を有する巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を備える。4つの磁気抵抗効果素子それぞれの感度軸方向Pは図1において矢印にて表され、磁気抵抗効果素子11および磁気抵抗効果素子14の感度軸方向PはY1−Y2方向Y1側を向き、磁気抵抗効果素子12および磁気抵抗効果素子13の感度軸方向PはY1−Y2方向Y2側を向くように設定されている。
図5に示されるように、4つの磁気抵抗効果素子(磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14)はそれぞれ、固定磁性層31と非磁性層32とフリー磁性層33とが積層された構成を備えている。その抵抗値は、感度軸方向Pに磁化方向が固定された固定磁性層31と、磁化方向が外部磁場によって磁化方向が変化するフリー磁性層33との磁化の向きの相対関係により変化する。この抵抗値の変化を検知することで外部磁場の向きと強さを検知できる。
軟磁性材料で形成されるフリー磁性層33の内部で磁壁が移動すると、バルクハウゼンノイズが発生する。そこで、磁気センサ1の出力を安定化するため、反強磁性層34との交換結合磁界を使用したエクスチェンジバイアス磁界が4つの磁気抵抗効果素子それぞれの感度軸方向Pと直交する方向に与えられる。フリー磁性層33に印加されるエクスチェンジバイアス磁界により、4つの磁気抵抗効果素子のフリー磁性層33の磁化方向B(図1参照)を揃えることができる。なお、交換結合磁界を用いたエクスチェンジバイアス磁界に代えて、永久磁石を用いてハードバイアス磁界をフリー磁性層33に印加してもよい。
図1に示すように、入力端子5aに接続される配線5は磁気抵抗効果素子11の一端に接続され、磁気抵抗効果素子11の他端と磁気抵抗効果素子12の一端とが直列に接続されて、磁気抵抗効果素子12の他端が配線6を介してグランド端子6aに接続される。入力端子5aに接続される配線5は途中で分岐して磁気抵抗効果素子13の一端にも接続され、磁気抵抗効果素子13の他端と磁気抵抗効果素子14の一端とが直列に接続されて、磁気抵抗効果素子14の他端が配線6を介してグランド端子6aに接続される。第1の中点電位測定用端子7aは磁気抵抗効果素子11の他端と磁気抵抗効果素子12の一端との間に配線7により接続され、第2の中点電位測定用端子8aは磁気抵抗効果素子13の他端と磁気抵抗効果素子14の一端との間に配線8により接続される。第1の中点電位測定用端子7aの電位と第2の中点電位測定用端子8aの電位とを対比することにより、電流線40を流れる被測定電流Ioの誘導磁界(被測定磁界)の強度および向きを測定することができる。
図3は、図1及び図2のV1−V1線による断面図である。図3は磁気抵抗効果素子11のミアンダ形状を構成する複数の長尺パターンの長軸方向(X1−X2方向)に沿った方向を法線とする面で磁気センサ1を切断して得られる断面図である。同図では、便宜上、ミアンダ形状を有する磁気抵抗効果素子11を矩形で示している。この断面内方向の1つであるY1−Y2方向が磁気抵抗効果素子11の感度軸方向P(Y1−Y2方向Y1側の向き)である。磁気抵抗効果素子11は、基板29上に形成され、絶縁材料(アルミナ、窒化ケイ素などが具体例として挙げられる。)からなる絶縁層IMによって覆われている。
磁気シールド15は、磁気抵抗効果素子11の上(Z1−Z2方向Z1側)に磁気抵抗効果素子11から離間して配置される。磁気シールド15と磁気抵抗効果素子11との離間距離は、間に位置する絶縁層IMの厚さによって調整される。
本発明の一実施形態に係る磁気センサ1では、磁気シールド15は、4つの磁気抵抗効果素子に印加される被測定磁界の強度を減衰させるものである。図1および図2に示されるように、磁気シールド15は、平面視で(Z1−Z2方向からみて)、感度軸方向P(Y1−Y2方向)に直交する方向(X1−X2方向)を長手とする矩形の形状を有し、磁気抵抗効果素子11から14はこの矩形内に重なるように配置されている。
磁気シールド15は、例えば、図3に示すように、磁気シールド15の下端(Z1−Z2方向Z2側端部)に位置し軟磁性体からなる下地層151と、下地層151の上(Z1−Z2方向Z1側)に形成された軟磁性層152とを有する構造を備えている。
磁気シールド15は、X1−X2方向を長手とするため、短手であるY1−Y2方向には、形状磁気異方性効果により長手方向であるX1−X2方向よりも磁化しにくい。しかし、外部磁場が強い場合には、Y1−Y2方向に残留磁化M0が生じる場合がある。図3には、一例として残留磁化M0がY1−Y2方向Y1向きに生じている場合が示されている。このように磁気シールド15に残留磁化M0が生じると、残留磁化M0に基づく磁界(還流磁界RM0)が、残留磁化M0の向きとは反対向き(Y1−Y2方向Y2向き)に磁気抵抗効果素子11に印加される。この還流磁界RM0はオフセットの原因となり、磁気センサ1の測定精度を低下させる。このような場合であっても、リセットコイル20に電流を流すことにより、磁気シールド15の残留磁化M0をリセットする磁場を発生させて、強い外部磁場が加えられる前の状態に磁気シールド15を戻すことができる。その結果、残留磁化M0に基づく還流磁界RM0が磁気抵抗効果素子11に印加されることを防止または抑制することができる。それゆえ、磁気シールド15の磁化状態をリセットするリセットコイル20を有しない場合に比べて、磁気抵抗効果素子11を備える磁気センサ1の測定精度が向上する。
図2に示されるように、リセットコイル20は、いずれもスパイラル形状の平面コイル20Aと平面コイル20Bとが両者の間に位置するY1−Y2方向の直線Cに対して線対称に配置されて構成されている。スパイラル形状の平面コイル20Aの内側に位置する一端20ACは平面コイル20Aの中心に設けられた端子21Aに接続され、スパイラル形状の平面コイル20Bの内側に位置する一端20BCは平面コイル20Bの中心に設けられた端子21Bに接続されている。平面コイル20Aの一端20ACは、平面視で、磁気シールド15のX1−X2方向X2側の端部近傍に位置し、平面コイル20Bの一端20BCは、平面視で、磁気シールド15のX1−X2方向X1側の端部近傍に位置している。また、スパイラル形状の平面コイル20Aの外側に位置する他端20AEおよびスパイラル形状の平面コイル20Bの外側に位置する他端20BEは、いずれも、平面視で、直線C上に位置する端子22に接続されている。すなわち、いずれもスパイラル形状を有する平面コイル20Aと平面コイル20Bとは、コイルの巻き方向が反対である。具体的には、平面コイル20Aでは、内側に位置する一端20ACから外側に位置する他端20AEへのコイルの巻き方向は時計回りであり、平面コイル20Bでは、内側に位置する一端20BCから外側に位置する他端20BEへのコイルの巻き方向は反時計回りである。
上記のように配置されたリセットコイル20において、図2に示されるように、平面コイル20Aの他端20AEから一端20ACに電流を流し、平面コイル20Bの他端20BEから一端20BCに電流を流すと、磁気シールド15の全体に対して同方向の磁界が印加される。この磁界によって、外部磁場による残留磁化の影響をリセットすることができる。具体的には、上記のように、平面コイル20Aと平面コイル20Bとはコイルの巻き方向が反対向きであるため、リセットコイル20における、平面視(Z1−Z2方向)で、X1−X2方向を長手とする矩形状の磁気シールド15(図2では太い点線により示されている。)と重なる部分では、いずれのコイルもY1−Y2方向Y1側からY2側に電流が流れる。それゆえ、これらの電流の誘導磁界は、全体として、破線で示した白抜き矢印の方向(X1−X2方向X2向き)の磁界となって、磁気シールド15に対して印加される(図2および図4参照)。
本発明の磁気センサ1は、強磁場が印加された後に磁気シールド15に発生した特性変動をリセット(初期化)するためのリセットコイル20が設けられている。このリセットコイル20に一定時間毎に短時間の電流を印加して生じるリセット磁場によって、強い外部磁場により生じた残留磁化M0を磁気シールド15から取り除くことができる。
図1に示されるように、強い外部磁場によるフリー磁性層33(図5参照)の多磁区化を抑制するために、4つの磁気抵抗効果素子にはバイアス磁場Bが印加される。このバイアス磁場Bを大きくすると、フリー磁性層33の多磁区化の抑制には有効であるが、第1の中点電位測定用端子7aと第2の中点電位測定用端子8a(図1参照)との電位差として出力されるフルブリッジ出力が小さくなるから、応答速度が低下する。このため、磁気センサ1の感度を良好にする観点から、バイアス磁場Bを大きくすることは好ましくない。
本発明の磁気センサ1のリセットコイル20は、磁気シールド15のリセットを目的とするものである。このため、磁気シールド15を基準として4つの磁気抵抗効果素子とは反対側にリセットコイル20が設けられている。しかし、リセットコイル20による磁界は、磁気シールド15に加えて、平面視で(Z1−Z2方向からみて)磁気シールド15に重なる4つの磁気抵抗効果素子のフリー磁性層33に対して印加されてもよい。リセットコイル20が所定の時間間隔で、フリー磁性層33にも磁界を印加することにより、多磁区化抑制のためのバイアス磁場Bを弱くできるから、磁気センサ1の感度を良好にすることができる。また、磁気シールド15の材料がパーマロイめっき膜からなる場合、適用できる組成範囲を拡げられるというメリットがある。
リセットコイル20は、図3に示されるように、磁気シールド15に隣接して位置することが好ましい。この構成により、磁気シールド15の残留磁化M0をリセットする効果を高めることができる。したがって、磁気シールド15の残留磁化M0に基づく磁界(還流磁界RM0)が磁気抵抗効果素子11へ印加されることを防止または抑制できる。
上記のように、平面視で(Z1−Z2方向からみて)、4つの磁気抵抗効果素子の全体が磁気シールド15に重なることが好ましい。この場合には、磁気シールド15の残留磁化M0に基づく還流磁界RM0が4つの磁気抵抗効果素子に印加されることを、より安定的に防止または抑制できる。
下地層151および軟磁性層152はFe,Co,Niなど鉄族元素を含む軟磁性材料から構成される。下地層151の厚さは任意に設定される。軟磁性層152の厚さは、磁気シールド15が所定の磁気遮蔽機能を有する範囲で任意に設定される。軟磁性層152の厚さの限定されない例として、1μm以上50μm以下が挙げられ、軟磁性層152の厚さは、5μm以上30μm以下が好ましい場合があり、10μm以上25μm以下がより好ましい場合がある。
磁気シールド15のアスペクト比は、磁気シールド15の長手方向(X1−X2方向)の長さの短手方向(Y1−Y2方向)の長さに対する比である。磁気シールド15のアスペクト比を大きくすることにより、磁気シールド15の異方性磁界Hkが大きくなり、磁気センサ1の感度軸方向において、磁気シールド15の磁化曲線の線形領域をより拡げることができる。その結果、磁気センサ1の出力の線形領域が拡くなって、磁気センサ1のダイナミックレンジをより拡げることが可能となる。
なお、図1に示される磁気シールド15には、タンタル(Ta)などからなる酸化保護層PLが軟磁性層152の上(Z1−Z2方向Z1側)にさらに形成されている。
磁気シールド15の製造方法は任意である。限定されない一例として、スパッタリングなどのドライプロセス、無電解めっきなどのウェットプロセスによって下地層151を形成し、この下地層151の上に所定の形状にパターニングされたレジスト層を形成した後、露出する下地層151を導電層として軟磁性層152を電気めっきにより形成することが挙げられる。
図6は、本発明の他の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す平面図である。図7は図6のV3−V3断面図である。図6および図7に示される磁気センサ1Aは、図1に示される磁気センサ1と同様に磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14、磁気シールド15およびリセットコイル20を備え、さらに4つの磁気抵抗効果素子と磁気シールド15との間にスパイラル形状を有する磁気平衡用コイル(スパイラルコイル)16を備える。図6では、磁気平衡用コイル16の外形が太い破線にて示されている。この破線で示される領域のX−Y平面内を周回するようにコイル配線が配置される。図7では、磁気平衡用コイル16における周回する複数のコイル配線の断面がY1−Y2方向に並んで示されている。磁気平衡用コイル16は、4つの磁気抵抗効果素子と磁気シールド15との間に位置することにより、磁気シールド15により減衰した状態で印加される外部磁場をキャンセルするような誘導磁界を比較的小電流により生じさせることが可能となる。このため、磁気平衡式の磁気センサを省電力で動作させることが可能である。
以上の実施形態では、磁気センサ1,1Aが備える4つの磁気抵抗効果素子がGMR素子からなる場合を具体例としているが、これに限定されない。限定されない一例において、磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)およびトンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)からなる群から選ばれる1種以上の素子からなる。
なお、磁気センサ1が備える4つの磁気抵抗効果素子を構成するそれぞれのGMR素子の固定磁性層がセルフピン構造を有する場合には、固定磁性層の磁化は磁場中成膜によって行うことができ、成膜後に磁場中の加熱処理が必要とされない。このため、同一基板上に固定磁性層の磁化の向きが異なるGMR素子を配置でき、一基板上にフルブリッジ回路を構成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサ1,1Aは、電流センサとして好適に使用されうる。
本発明の一実施形態に係る電流センサの具体例として、磁気比例式電流センサおよび磁気平衡式電流センサが挙げられる。
磁気比例式電流センサの具体例は、図1から図4に示される磁気センサ1を用いる場合であり、かかる電流センサ(磁気比例式電流センサ2)では、図3に示すリセットコイル20の上方(Z1−Z2方向Z1側)において、被測定電流Ioが流れる電流線40がX1−X2方向に延びるように位置する(図1参照)。被測定磁界となる被測定電流Ioの誘導磁界は、磁気抵抗効果素子11に対して感度軸方向P(Y1−Y2方向)に沿った方向に印加される。被測定磁界の一部はより透磁率の高い磁気シールド15を通るため、磁気抵抗効果素子11に実質的に印加される被測定磁界の強度を低減させることができる。それゆえ、磁気センサ1の測定範囲を拡げることが可能となる。しかも、磁気シールド15を基準として磁気抵抗効果素子11から磁気抵抗効果素子14とは反対側(Z1−Z2方向Z1側)に設けられたリセットコイル20によって磁気シールド15の残留磁化M0を抑制または取り除くことができる。したがって、リセットコイル20により、残留磁化M0に基づく還流磁界RM0が4つの磁気抵抗効果素子に与える影響を抑えることができる。
好ましい一例において、磁気比例式電流センサ2は、4つの磁気抵抗効果素子を備え、被測定電流Ioの誘導磁界からなる被測定磁界に応じた電位差を生じる2つの出力を備える磁界検出ブリッジ回路を有する(図1および図2参照)。このブリッジ回路を有する磁気比例式電流センサ2では、被測定磁界に応じて磁界検出ブリッジ回路から出力される電位差により、被測定電流Ioが測定される。
磁気平衡式電流センサの具体例は、図6および図7に示される磁気センサ1Aを用いる磁気平衡式電流センサ2Aであり、かかる磁気平衡式電流センサ2Aでは、図7に示すリセットコイル20の上方(Z1−Z2方向Z1側)において、被測定電流Ioが流れる電流線40がX1−X2方向に延びるように位置する(図6参照)。被測定磁界である被測定電流Ioの誘導磁界は、磁気抵抗効果素子11に対して感度軸方向P(Y1−Y2方向)に沿った方向に印加される。被測定磁界の一部はより透磁率の高い磁気シールド15を通るため、磁気抵抗効果素子11に実質的に印加される被測定磁界の強度を低減させることができる。それゆえ、磁気抵抗効果素子11に実質的に印加される被測定電流Ioによる磁界をキャンセルするような誘導磁界を発生させるべく磁気平衡用コイル16に流される電流量を少なくすることができ、電流センサの省電力化が実現される。
好ましい一例において、磁気平衡式電流センサ2Aは、4つの磁気抵抗効果素子を備え、被測定電流Ioからの誘導磁界からなる被測定磁界およびこの被測定磁界をキャンセルするように印加された磁気平衡用コイル16からの誘導磁界に応じた電位差を生じる2つの出力を備える磁界検出ブリッジ回路を有する磁気センサ1Aを用いる(図6参照)。このブリッジ回路を有する磁気平衡式電流センサ2Aでは、磁界検出ブリッジ回路から出力される電位差がゼロとなったときに磁気平衡用コイル16に流れる電流に基づいて、被測定電流Ioが測定される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例)
図3および図4に示される断面構造と同様の構造を有する磁気比例式の磁気センサを作製した。磁気抵抗効果素子はGMR素子であった。磁気シールドは、平面形状が800μm×140μmであってNiFeからなり厚さ100nmの下地層をスパッタリングにより形成し、その上にNiFeからなり厚さ16.5μmの軟磁性層を電気めっきにより積層し、さらにTaからなり厚さ10nmの酸化保護層をスパッタリングにより形成した。磁気シールドを基準として、磁気抵抗効果素子とは反対側に磁気シールドをリセットするためのリセットコイルが設けられた磁気センサを複数作製した。
(測定例)ゼロ磁場ヒステリシスの測定
実施例により作製した磁気センサについて、リセットコイルにより20mTのリセット磁場(Reset磁場)を印加する前後において、ゼロ磁場ヒステリシスZH(単位:%/FS)を測定した。ゼロ磁場ヒステリシスZHは、印加する外部磁場の最大強度(最大印加磁場)を±18mTとして外部磁場を変化させながら測定したヒステリシスループから求めた。ゼロ磁場ヒステリシスZHは、フルブリッジ出力曲線における出力の最大値(正の最大磁場を印加したときの値−負の最大磁場を印加したときの値)に対するゼロ磁場における出力の大きさ(正の最大磁場の印加から印加磁場ゼロまで変化させたときの値−負の最大磁場の印加から印加磁場ゼロまで変化させたときの値)の割合(単位:%)である。測定結果を図8に示す。同図は100個の磁気センサの測定結果の平均および標準偏差(3σ)を示している。
図8に示されるように、磁気センサのゼロ磁場ヒステリシスZHは、リセット磁場印加前において、平均値が−0.23%、標準偏差(3σ)が0.29%であり、リセット磁場印加後において、平均値が0.024%、標準偏差(3σ)が0.034であった。このように磁気シールドの外部磁場をリセットすることにより、磁気センサのゼロ磁場ヒステリシスが顕著に改善した。
これは、磁気シールドの残留磁化がリセットされたことにより、残留磁化による還流磁界の磁気抵抗効果素子に対する影響が低減されたことに起因している。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサは、柱状トランスなどのインフラ設備の電流センサの構成要素や、電気自動車、ハイブリッドカーなどの電流センサの構成要素として好適に使用されうる。
1,1A 磁気センサ
2 磁気比例式電流センサ
2A 磁気平衡式電流センサ
11,12,13,14 磁気抵抗効果素子
5,6,7,8 配線
5a 入力端子
6a グランド端子
7a 第1の中点電位測定用端子
8a 第2の中点電位測定用端子
40 電流線
Io 被測定電流
IM 絶縁層
15 磁気シールド
151 下地層
152 軟磁性層
16 磁気平衡用コイル(スパイラルコイル)
20,20A,20B リセットコイル
20AC,20BC 一端
20AE,20BE 他端
21A,21B,22 端子
C 直線
31 固定磁性層
32 非磁性層
33 フリー磁性層
34 反強磁性層
P 感度軸方向
PL 酸化保護層
29 基板
M0 残留磁化
RM0 還流磁界

Claims (6)

  1. 磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子と離間配置され、前記磁気抵抗効果素子に印加される被測定磁界の強度を減衰させる磁気シールドと、を備えた磁気センサであって、
    前記磁気シールドを基準として前記磁気抵抗効果素子とは反対側に、前記磁気シールドの残留磁化をリセットするリセットコイルを有すること
    を特徴とする磁気センサ。
  2. 前記リセットコイルが前記磁気シールドに隣接している、請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 平面視で、前記磁気抵抗効果素子の全体が前記磁気シールドに重なる、請求項1または請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 磁気平衡用コイルをさらに備え、前記磁気平衡用コイルに流れる電流に基づき前記被測定磁界の強度を測定する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  5. 前記磁気平衡用コイルはスパイラルコイルであって、前記磁気抵抗効果素子と前記磁気シールドとの間に前記磁気抵抗効果素子に隣接して位置する、請求項4に記載の磁気センサ。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載される磁気センサを備え、前記磁気センサは被測定電流の誘導磁界を前記被測定磁界とする電流センサ。
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