以下、本発明の実施形態として、6ドアタイプの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、ドアの数は限定されず、5ドア以下のタイプや、1ドアタイプに適用してもよい。また、以下では、冷蔵庫1を正面から見たときの方向を基準として説明する。また、以下に示す図面において、同一の部材には適宜同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜上、変形または誇張して模式的に表す場合がある。また、以下の説明において、「表面」側とは、冷蔵庫1の前側を意味し、「裏面」側とは、冷蔵庫1の後側を意味している。
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫の一例を示す正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵室2、製氷室3、切替室(上段冷凍室、急速冷凍室)4、下段冷凍室5および、野菜室6を備えている。なお、図1において一点鎖線で示すラインは、後記する反応型ホットメルト接着剤70,70Aを塗布する位置を示している。
冷蔵庫1は、冷蔵室2を開閉する回動式(ヒンジ式)の断熱扉2a,2bと、製氷室3を開閉する引出式の断熱扉3aと、切替室4を開閉する引出式の断熱扉4aと、下段冷凍室5を開閉する引出式の断熱扉5aと、野菜室6を開閉する引出式の断熱扉6aと、をそれぞれ備えている。なお、回動式の断熱扉2aと断熱扉2bは、同様の構成のものであるので、断熱扉2aを代表して説明する。
図2は、回動式の断熱扉を示す分解斜視図である。
図2に示すように、断熱扉2aは、断熱扉2aの表面に設けられたガラス製の外板10と、外板10の周縁に設けられた扉枠20と、外板10の裏面に配置された真空断熱材30と、外板10と扉枠20とで形成された空間40に真空断熱材30を介在させて充填された発泡断熱材50(図3参照)と、扉枠20の裏面(背面)に設けられた内板60と、を備えて構成されている。
外板10は、断熱扉2aの表面(前面)側の外壁(外郭、意匠面)を形成する透光性の矩形の平板部材から成る。外板10の外周部は、縦長の四角枠状の扉枠20の内側前端部に装着されて、扉枠20によって覆われている。この扉枠20は、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)樹脂で形成されている。
扉枠20は、外板10の右側縁部に沿って形成される枠部材21と、外板10の左側縁部に沿って形成される枠部材22と、外板10の上側縁部に沿って形成される枠部材23と、外板10の下側縁部に沿って形成される枠部材24と、が組み合わせて構成されている。
枠部材21には、外板10の右側縁部と係合する係合溝21a(図3参照)が形成されている。枠部材23には、外板10の上側縁部と係合する係合溝(図示省略)が形成されている。枠部材24には、外板10の下側縁部と係合する係合溝(図示省略)が形成されている。
枠部材22には、外板10の左側縁部と反応型ホットメルト接着剤70(以下、接着剤70と略記する)によって接着されるフランジ部(つば部)22aが形成されている。なお、外板10は、強化ガラス製の平板材が好ましいが、プラスチック等の透光性の平板材であってもよい。
なお、本実施形態では、外板10の4辺の少なくとも一部である1辺(左側)のみを接着剤70で接着した場合を例に説明するが、1辺に限定されるものではなく、2辺以上の複数であってもよい。
図3は、図1のIII−III線断面図である。
図3に示すように、枠部材21の係合溝21aは、外板10の右側縁部が挿入される凹状溝から成る。また、枠部材23,24の外板10の上側縁部および下側縁部が係合する係合溝についても、係合溝21aと同様に、外板10の上側縁部および下側縁部が挿入される凹状溝から成る。
枠部材22は、表裏方向(冷蔵庫1の前後方向)に沿って延びる板状の本体部22bを有している。本体部22bには、外板10側に沿い、かつ、本体部22bに直交して延びるフランジ部22aが形成されている。このフランジ部22aは、枠部材22の表側の略端部に位置している。また、本体部22bには、フランジ部22aと平行に延びる補強リブ22c,22cが形成されている。この補強リブ22cは、枠部材22の補強としての機能と、枠部材22と発泡断熱材50との接着性を高める機能とを有している。
真空断熱材30は、その材質は特に限定されないが、一例を挙げると、多孔質構造のグラスウール等の芯材をラミネートフィルムで真空パックして内部を減圧して封止した断熱材から成り、気体熱伝導率が略ゼロであるため、優れた断熱性能を有している。また、真空断熱材30は、平板状に形成され、外板10の裏面側に接着されている。
断熱扉2aは、外板10と内板60とが前後方向(表裏方向)に離間して配置され、空間40の表面側に真空断熱材30が配置され、真空断熱材30を除く空間に発泡断熱材50が配置されるように構成されている。真空断熱材30は、外板10よりも左右方向(幅方向)の長さが短く形成され、真空断熱材30の左端と枠部材22との間にも発泡断熱材50が充填されている。
発泡断熱材50は、断熱材としての機能と、接着剤としての機能と、を備えている。また、発泡断熱材50は、中央部に真空断熱材30を載置した外板10と、外板10の外周に取り付けられた扉枠20とで形成された空間40に、真空断熱材30を介在させて充填されることによって、空間40の内壁面に接着される。このため、発泡断熱材50は、真空断熱材30を覆った状態で外板10の裏面に接着されている。
また、発泡断熱材50は、硬質ウレタンフォームで形成されている。この硬質ウレタンフォームは、断熱扉2aの内側の空間40内に注入したウレタンフォーム原液(発泡断熱材の原料液)が発泡した後、硬化して形成されたものである。ちなみに、ウレタンフォーム原液としては、例えば、ポリエーテルポリオールに、シクロペンタン、水などの発泡剤、さらには触媒、整泡剤などの助剤をプレミックスした液と、イソシアネート液とを混合した液体が挙げられる。
内板60は、断熱扉2aの貯蔵室側に設けられた樹脂製(ABSなど)の板部材である。また、内板60は、扉枠20の裏面側の周縁部に固定されている。また、内板60の裏面側の外周部には、断熱扉2aを冷蔵庫本体と密着させて貯蔵室の気密性を確保するためのシール部材(図示省略)が設けられている。
また、図3では太線で簡略化して図示しているが、外板10の裏面には、塗料層80が設けられ、塗料層80の裏面には、飛散防止フィルム90が設けられている。塗料層80と飛散防止フィルム90の詳細については後記する(図6参照)。
図4は、図3の要部を概略的に示す断面図である。なお、図4は、枠部材22のフランジ部22aとその周辺を示す拡大断面図である。
図4に示すように、フランジ部22aは、外板10に平行に沿って延びる断面視において板状の部材である。また、フランジ部22aは、図4の紙面に直交する方向に延びて形成されている(図2参照)。また、フランジ部22aには、外板10側の面に、外板10に向けて突出するリブ22dが形成されている。このリブ22dは、フランジ部22aの基端側に位置している。
外板10は、平板状の部材から成り、その端部の表面側の角部と裏面側の角部とに、面取部10a,10aが形成されている。なお、面取部10aは、角部が直線状にカットされたものであるが、このような形状に限定されるものではなく、破線で示すように、端面の全体が湾曲状(円弧状)に形成されていてもよい。
枠部材22は、本体部22bから表面側に延びて、外板10の端面と当接する当接部22eが一体に形成されている。この当接部22eの板厚は、本体部22bの板厚よりも薄く形成されている。また、本体部22bの左側の表面22b1と、当接部22eの左側の表面22e1とは、面一となるように構成されている。なお、本実施形態では、外板10の端面が付き当たる当接部22eが形成されている場合を例に挙げて説明するが、当接部22eが形成されておらず、外板10の端面が露出する構成であってもよい。
フランジ部22aに形成されたリブ22dは、面取部10a,10aの位置(一点鎖線出示すラインL1)よりも内側(左右方向の中心側)に位置している。これにより、外板10とリブ22dとの隙間が大きくなるのを防止できる。
また、リブ22dよりも内側のフランジ部22aには、接着剤70が塗布される。そして、外板10によって接着剤70が押圧されることで、外板10が枠部材22に接着・固定される。なお、図4においてドットで示す接着剤70が、固定後の状態を示し、一点鎖線で示す楕円形状のものが、固定前(外板10を押しつける前)の状態を示している。固定前の接着剤70は、リブ22dの高さよりも高く形成されている。
ここで、ホットメルト接着剤の厚みについて説明する。本実施形態では、接着剤70の厚みを、デザイン上、加工が困難な部位を除いて0.4mmより大きく0.6mm以下としている。
図16は、ホットメルトを用いてガラスを貼り付けてから10分後における、法線方向の強度である「はく離強度」の一例である。図に示してある安全率3倍のラインは、マテリアルハンドリング時にガラスからかかる衝撃に対する尤度である。本ラインを下回ると不良が発生する可能性が上昇する為、生産上必要な強度である。ホットメルトは、接着中および接着後の環境温度の影響を受けて、同じホットメルトであっても強度が変化する。ただし、ホットメルトの種類を問わず、厚みが増すと「はく離強度」は上昇する傾向にある。したがって、「はく離強度」だけを考えれば、ホットメルトを厚くすればするほど良いことになる。そこで、ホットメルトの厚みの下限については、マテリアルハンドリングにおける安全率を考慮し、0.4mmより大きい値とした。ホットメルトの厚みが0.4mmの場合、冬の時期の製造中の換気等により室内温度が急激に低下したとき、十分なガラス保持力が得られず、接着不良が発生する可能性が出てくるためである。
一方で、ホットメルトの厚みを増して接着を行うと、接線方向の強度である「せん断強度」は低下してしまう。図17は、同じホットメルトを用いてガラスを貼り付けてから10分後における、「せん断強度」の一例である。図に示してある安全率3倍のラインは、「はく離強度」のときと同様、マテリアルハンドリング時にガラスからかかるクリープ荷重に対する尤度である。図17に示すように、「せん断強度」は、ホットメルトの厚みの薄い方が高い値となる。
そこで、ホットメルトの厚みの上限について述べる。ガラスのクリープ応力に基づく安全率を考慮すると、ホットメルトの「せん断強度」を0.20N/mm2以上は必要である。しかし、ホットメルトの「せん断強度」は、接着環境温度により変わり、温度が高いと低下する傾向にある。特に、ホットメルトが硬化するまでの時間の長い夏の時期は、ホットメルトの厚みを増していくと、クリープ応力に耐えられず、ガラスが扉枠に対してズレてしまい、接着したときとば別の位置でガラスが固定される現象が発生する。このため、夏の時期でも0.20N/mm2以上の「せん断強度」を確保するため、ホットメルトの厚みは0.6mm以下とした。
なお、ホットメルトの厚みを0.6mmより大きくしても、生産後に一昼夜ほど放置するなどしてホットメルトの固化を促し、固化後にマテリアルハンドリングすればよいが、この場合、扉を保管しておく倉庫スペースの問題、製造において一定の棚資産が必要となる等、生産性を考えると実現が難しい。
また、本実施形態のように、ホットメルトの厚みを0.6mm以下にすると、扉枠に最初に塗布した所と最後に塗布した所とで、ホットメルトの硬化度合の差は小さくなる。このため、最初に塗布した所と最後に塗布したところとで、ガラスを取り付けて固化したときの高さの差も小さくなるため、ガラスの傾きなどの外観不良も発生し難くなる。したがって、ホットメルトの硬化時間が短く、塗布の最初と最後とで硬化度合いに差が生じやすい短い冬の時期においても、ホットメルトを薄くすることで、外観不良を防ぐことが可能となる。なお、後述する反応型ホットメルトを用いれば、ポリアミドホットメルトなど他のホットメルトと比べて、融点が低くて固化が遅いため、塗布の最初と最後とで硬化度合いの差が小さくなるので、ガラスの傾きはより発生し難くなる。
なお、ホットメルトを塗布する領域の大部分の領域が0.4mmより大きく0.6mm以下あれば一定の効果が得られるので、必ずしも全ての領域でこのような厚さに保つ必要はない。また、ホットメルトの厚みの下限値については、0.5mmとすれば、「はく離強度」の面で、より確実に外観不良を防ぐことが可能である。
接着剤70に用いられる反応型ホットメルトは、一般の熱可塑(熱を与えると溶ける)のホットメルトではなく、熱を与えても溶けない性質を有するものである。また、反応型ホットメルトは、初期の強度の立ち上がりもよく、硬化後の寸法変化も少なく、耐湿性・耐候性に優れ、再融解しないものである。この反応型ホットメルトは、プレポリマーとイソシアネートとを混合した接着剤であり、加熱溶融した後に水分(空気中)を利用して反応が進行するものである。具体的には、PUR(poly urethane reactive)やPOR(poly olefin reactive)などを適用できる。なお、扉枠20(図2参照)として、PE(polyethylene)や難接着性のPP(polypropylene)などの安価な材料を使用する場合には、同じオレフィン(olefin)系のホットメルトであるPORを使用することが望ましい。扉枠20をABSから安価な材料にしたとしても、PORを適用することで、良好な接着性を得ることができる。
外板10を枠部材22に固定する場合には、まず接着剤70を一点鎖線で示すように、リブ22dの高さよりも高くなるように塗布する。そして、接着剤70が外板10によってフランジ部22a側に押し付けられることで、ドットで示すように左右方向に扁平に広がった状態で外板10が枠部材22(フランジ部22a)に固定される。本実施形態では、フランジ部22aにリブ22dを形成することで、接着剤70が外板10の端面に到達して、外板10の端面と当接部22eとの間から外部に漏れ出るのを防止することができ、冷蔵庫1(図1参照)の外観不良が発生するのを防止できる。
ところで、接着剤70は、前記のようにプレポリマーとイソシアネートとが混合されたものであり、反応性が高いものである。使用する場合には、接着剤70を熱で溶かして(軟化させて)所定位置に流し込む(塗布する)ことで、空気中の水分を利用してイソシアネートの反応が進み、ガスが発生するとともにウレタン結合が生成される。このとき、図4に示すように、外板10とリブ22dとの間に隙間Sが形成されるように構成することで、発生したガスを外部に逃がすことができる。
図5は、扉枠の構造を概略的に示す断面図である。なお、図5は、外板10を枠部材22に固定する前の状態である。
図5に示すように、枠部材22は、表面側において外板10の裏面に沿ってフランジ部22aが形成されている。また、枠部材22は、フランジ部22aよりも裏面側においてフランジ部22aと平行に突出して形成される補強リブ22c,22c,22cを有している。それぞれの補強リブ22cは、基端から先端22c1までの長さが略同じに形成されている。枠部材22は、フランジ部22aの先端22a1と補強リブ22cの先端22c1とが差L2を有するように構成されている。すなわち、フランジ部22aは、各補強リブ22cよりも長く形成されている。
このように、フランジ部22aと補強リブ22cとの長さを設定することで、外板10を枠部材22に固定する際に用いられる治具100をフランジ部22aの裏面22a2に当てることができる。なお、ここでの治具100とは、外板10をフランジ部22aに当てたときに、フランジ部22aの撓み変形を抑制する部材である。これにより、外板10を表側から力Fで押圧して、外板10を枠部材22に接着・固定する際に、フランジ部22aを確実に支持することができ、外板10とフランジ部22aとの接着性を高めることができる。
図6は、ガラスの詳細な構成を示す断面図である。
図6に示すように、ガラス製の外板10の裏面には、隠蔽性を持たせるための有色の塗料層80が塗布されている(形成されている)。これにより、裏面側の発泡断熱材50(図3参照)が正面側から見えないように処理されるので、外観性の優れた断熱扉2a(図3参照)を得ることができる。なお、外板10の裏面には、塗料層80に替えて鏡面処理が施されていてもよい。
また、塗料層80の裏面には、さらに飛散防止フィルム90が貼り付けられている。この飛散防止フィルム90は、ガラス製の外板10に衝撃が加えられて外板10が割れた場合や亀裂が入った場合であっても、外板10が周囲に飛び散らないように保護できるものである。
飛散防止フィルム90は、外板10の裏面に配置された樹脂製の薄膜状の部材である。また、飛散防止フィルム90は、フィルム状の部材であれば、その材質は特に限定されない。飛散防止フィルム90は、例えば、その一例を挙げると、ポリエステルフィルム(PETフィルム)が挙げられる。そのPETフィルムは、強度が高くガラスが割れた際の飛散防止にも効果がある。また、PETフィルムは、透明性が高く、飛散防止フィルム90の基材の背面に印刷を施すことにより、フィルムを通して塗料層80が見えるので、光沢が出て高級感がある意匠性の高い装飾シートとすることが可能である。また、PETフィルムは、耐熱・耐寒性に優れており、発泡断熱材50(図3参照)の充填時の高温に対して、塗料層を保護できるとともに、外板10から伝達される外気温の影響が少ない。
図6に示す実施形態では、飛散防止フィルム90と枠部材22とが接着剤70を介して固定される。この場合、貼り付ける前の飛散防止フィルム90がロール状に巻回されたものであれば、基材と、基材の一面側に形成される粘着層(接着層)と、他面側に形成されるフッ素コーティングした離型材とが積層されて構成されているものである。塗料層80の上にフィルムを貼り付ける場合には、ロール状の飛散防止フィルム90から繰り出して、粘着層の側が塗料層80に貼り付けられる。一方、飛散防止フィルム90の離型材と接着剤70とが接触することになり、外板10と枠部材22との接着性が損なわれることになる(付きが悪くなる)。本実施形態では、飛散防止フィルム90を塗料層80に貼り付ける場合には、特にフッ素系コーティングされた離型材を含まないものを使用することが好ましい。なお、外板10に飛散防止フィルム90のみを設ける場合も、フッ素コーティングされた離型材を含まないものを使用することが好ましい。
また、外板10には、塗料層80と飛散防止フィルム90の双方を設ける構成に限定されるものではなく、塗料層80のみを設けるものであってもよい。外板10に塗料層80のみを設ける場合にも、塗料層80にフッ素を含まないものを使用することが好ましい。
ところで、PURのホットメルトは、硬化したときに、熱収縮を受け易くなるので、引張り力(ヤング率)が高くなる。このため、引張り力が、塗料層80と外板10との密着力よりも強くなり、塗料層80を引き剥がすおそれがある。そこで、PURを使用する場合には、外板10に塗料層80だけを設けるのではなく、塗料層80の上にさらに飛散防止フィルム90を設けることが好ましい。
ここで、塗料層80と接着剤70が直接接着していると、接着剤70自体が固化して収縮する際に、接着剤70が塗料層80を引っ張り、外板10から塗料層80を剥がしてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、飛散防止フィルム90の貼付け位置を、塗料層80よりも内側かつリブ22dよりも外側まで延ばしている。
図7(a)は反応型ホットメルトの配置示す断面図、(b)はフランジ部の補強を示す断面図である。なお、図7(a)は、外板10を枠部材22に接着する前の状態である。また、図7(a),(b)では、フランジ部22aにリブ22dを設けていない場合を図示している。
図7(a)に示すように、接着剤70をフランジ部22aに塗布する場合には、フランジ部22aの基端22a3から接着剤70の外側の端部70aまでの距離をs1とし、フランジ部22aの先端22a1から接着剤70の内側の端部70bまでの距離をs2とした場合、s1<s2に設定することが好ましい。つまり、外板10が力Fで押圧されると、フランジ部22aの先端側では撓みが大きくなり、スプリングバックによって押された分だけ跳ね返るので、安定した接着力を得にくくなる(例えば、外板10とフランジ部22aとが剥がれたり、また接着剤70に空気が入る)。そこで、本実施形態では、接着剤70の塗布位置をs1<s2に設定することで、換言すると接着剤70の塗布位置をフランジ部22aの基端側に設定することで、スプリングバックが少なくなり、安定した接着が可能になる。
また、図7(b)に示すように、スプリングバックの影響を受け難くするように、本実施形態では、フランジ部22aと本体部22bとで形成される角部分にR状の補強リブ22f、またはC面を形成するようにしてもよい。
図8は、外板のずれを防止する固定手段を示す模式図である。
ところで、外板10を扉枠20に固定する製造工程では、扉枠20を寝かせ、外板10を水平にした状態で行われる。ホットメルトの固化直後の接着剤は、せん断方向の力に弱く、接着後に扉枠20をウレタン発泡するために扉枠20を縦向きにすると、外板10の自重によってずれるおそれがある。
そこで、図8に示すように、本実施形態では、接着剤70とは逆側の角部に、固定手段としての突き当てリブ25a,25bを形成したものである。すなわち、突き当てリブ25aは、外板10の下辺と対向する位置、かつ、接着剤70の貼付側とは逆側の右端部に形成されている。突き当てリブ25bは、外板10の右辺と対向する位置、かつ、接着剤70の貼付側とは逆側の下端部に形成されている。
これにより、外板10に対して矢印Wで示す方向に回転する力が作用したとしても、突き当てリブ25a,25bによって外板10の回転によるずれを防止することができる。つまり、上下方向(Y軸方向)のずれは、突き当てリブ25aによって抑制でき、左右方向(X方向)のずれは、突き当てリブ25bによって抑制できる。なお、突き当てリブ25a,25bの位置は、図8に示す実施形態に限定されるものではない。
図9は、引出式の断熱扉を正面側から見たときの斜視図、図10は、引出式の断熱扉を背面側から見たときの斜視図、図11は、内板の内部を示す斜視図である。以下では、冷蔵室2回転式の断熱扉2aに替えて、製氷室3の引出式の断熱扉3aを参照して説明する。
図9および図10に示すように、引出式の断熱扉3aは、回転式の断熱扉2a(図1参照)と同様に、ガラス製の外板10A(図9参照)と、扉枠20Aと、内板60A(図10参照)と、を備えて構成されている。
扉枠20Aは、外板10Aの周縁に設けられた四角形状の枠材である。扉枠20Aは、前記した回動式の断熱扉2aの扉枠20(図2参照)と同様、枠部材(垂直枠部材)21Aと、枠部材22Aと、枠部材(水平枠部材)23Aと、枠部材24Aとを横長の矩形状に連結して構成されている。上側の枠部材23Aには、利用者が開閉する際に手を掛けるための手掛部23aが形成されている。また、外板10Aの周囲四辺のうちの隣接する二辺の端部表面を、枠部材(垂直枠部材)22Aと枠部材(水平枠部材)24Aによって覆う(くわえ込む)一方、残りの隣接する二辺の端部側面を、枠部材(垂直枠部材)21Aと枠部材(水平枠部材)23Aとに突き当てる構造となっている。
内板60Aには、製氷室3(図1参照)の氷容器を支持するとともに断熱箱体の側を摺動する金属製の枠部材を固定するねじ孔61が複数箇所に形成されている(図10参照)。
図11に示すように、内板60Aは、扉枠20A(図9参照)の裏面に設けられる樹脂製板材である。例えば、内板60Aは、例えば真空成型によって構成されている。
また、内板60Aは、略四角凹状に形成され、背面を構成する面に補強板部材65が取り付けられている。この補強板部材65は、金属製であり、反応型ホットメルト接着剤を用いて固定されている。
図12は、扉枠を示す正面図、図13は、図12のXIII−XIII線断面図である。
図12に示すように、扉枠20Aは、垂直方向(上下方向)に延びる枠部材21Aと、水平方向(左右方向)に延びる枠部材23Aと、とが組み合わされて構成されている。また、扉枠20Aは、枠部材23Aの右端と枠部材21Aの上端とが突き合わされ、正面視において、L字状の継ぎ目26が形成されるように構成されている。
また、枠部材21Aは、側面21bから内側に向けて延びるフランジ部(つば部)21cが形成されている。フランジ部21cは、上端から下端まで所定の幅で形成されている。枠部材23Aは、手掛部23aの上端から下方に向けて延びるフランジ部(つば部)23bが形成されている。このフランジ部23bは、左端から右端まで所定の幅で形成されている。
接着剤70Aは、図12において一点鎖線で示すように、正面視L字状のフランジ部21c,23bに沿ってL字状に塗布される。このため、接着剤70Aは、継ぎ目26を跨ぐように塗布される。
図13に示すように、フランジ部21c上端には、クランク状に曲がる段差部21dが形成されている。すなわち、段差部21dは、フランジ部21cの上端から裏面側に延びる水平部21d1と、水平部21d1の先端から上方に曲がる垂直部21d2と、を有して構成されている。
枠部材23Aは、手掛部23aの前面下端部から下方に向けて突出する突出部23cが形成されている。この突出部23cの先端(下端)は、段差部21dに当接している。また、突出部23cは、段差部21dと接している。このように、扉枠20Aは、枠部材21Aと枠部材23Aとが、外板10の表裏方向において一部がラップし(重なり)、かつ、断面視においてL字状に接している。また、フランジ部21cの表面21c1とフランジ部23bの表面23b1とは、面一となるように構成されている。
図14は、(a)は本実施形態の扉枠の構造、(b)は比較例の扉枠の構造である。なお、図14では、製造工程において、外板10を接着固定する際の向きで図示している。
図14(b)に示す比較例は、前記した段差部21d(図13参照)を設けずに、枠部材21Aの上端面と突出部23cの先端面(下端面)23c1とが対向して突き合わさるように構成した場合である。このような突き合わせ状態で、治具110を扉枠20Aの裏面側に当てる。そして、接着剤70Aが継ぎ目120を跨ぐように塗布され、外板10が押圧される。このとき、図14(b)において太い矢印で示すように、接着剤70Aが継ぎ目120の隙間を通って、枠部材21A,23Aの裏面側に漏れ出ることで、接着剤70Aが治具110に付着することになる。
そこで、図14(a)に示す本実施形態では、前記したように、枠部材21Aに段差部21dを設けて、枠部材21Aの上端と(先端)と枠部材23Aの下端(先端)とが外板10の表裏方向において重なる(ラップする)ように構成したものである。これにより、接着剤70Aが、継ぎ目26を通って、枠部材21A,23Aの裏面側に漏れ出ることを防止でき、治具110に接着剤70Aが付着するのを防止できる。
図15は、比較例としての補強板部材の固定手段を示す斜視図である。
図15に示す比較例は、補強板部材65を反応型ホットメルト接着剤で固定するものではなく、リベット固定したものである。すなわち、内板160には、実施形態でのねじ孔61(図10参照)の他に、リベット固定用の孔161,161が形成されている。補強板部材65は、リベット162,162が孔161,161を介して固定されている。
このように、従来においては、内板161を真空成型で製造した場合、リベット162で補強板部材65を固定する必要があった。言い換えると、真空成型においては、アンダーカット構造を適用して補強板部材65を固定するのが難しいので、従来は、補強板部材65をリベット162を用いて固定していた。
そこで、本実施形態では、図11に示すように、補強板部材65を反応型ホットメルト接着剤を用いて内板60Aに固定することで、リベット162による固定が不要となり、また内板60Aにリベット162を通すためのリベット挿通用の孔の形成も不要となった。
以上説明したように、本実施形態では、断熱扉2aの表面に設けられた外板10と、外板10の周縁に設けられた扉枠20,20Aと、を備えた冷蔵庫1であって、外板10,10Aの裏側と扉枠20(枠部材22)とを反応型ホットメルトを用いて接着したものである(図4、図14(a)参照)。これによれば、接着剤70,70A(反応型ホットメルト)が再融解することがないので、外板10のズレなどの外観不良が生じることがない。例えば、船便などのコンテナ輸送した場合においても接着剤70,70Aが再融解することがない。また、本実施形態において、接着剤70,70Aが固化した後の状態は、耐候性や強度(せん断力)に優れたものである。よって、本実施形態では、意匠面として構成される外板のズレなどの外観不良を発生させ難い扉を備えた冷蔵庫1を実現できる。
また、本実施形態では、扉枠20は、外板10に沿って形成されるフランジ部22aを有し、フランジ部22aは、当該フランジ部22aの外板10側の面に、外板10の裏面に向けて突出するリブ22dを有する(図4参照)。これによれば、外板10と扉枠20との間から接着剤70が漏れ出ることによる外観不良を防止できる。
また、本実施形態では、外板10と扉枠20とを接着した状態において、外板10とリブ22dとの間に隙間Sを形成した(図4参照)。これによれば、接着剤70から発生するガスを隙間Sを介して外部に排出することができ、ガスの滞留による発泡断熱材50の充填不良を抑制できる。また、製造工程の接着時に、隙間Sを介して空気中の水分を取り込むことができるので、接着剤70の反応を安定して行うことができる。
また、本実施形態では、扉枠20は、フランジ部22aよりも背面側に補強リブ22cを有し、補強リブ22cは、フランジ部22aよりも短く形成されている(図5参照)。これによれば、外板10を接着固定する際に用いられる治具100をフランジ部22aの裏面(背面)に当てて、接着剤70を外板10で押しつぶすことができるので、外板10とフランジ部22aとの接着強度を高めることができる。
また、本実施形態では、外板10の幅方向の右端に1つ、および外板10の高さ方向の下端に1つ、当該外板10に当接して固定する突き当てリブ25a,25bを設けたものである(図8参照)。これによれば、外板10の回転によるずれを防止することができる。
また、本実施形態では、扉枠20は、垂直に延びる枠部材21Aと水平に延びる枠部材23Aとが組み合わされて構成され、枠部材21Aと枠部材23Aとが、外板10の表裏方向において一部がラップしている(図12、図14(a)参照)。これによれば、枠部材21Aと枠部材23Aとの継ぎ目26に接着剤70Aが塗布されたとしても、接着剤70Aが継ぎ目26から裏面側に漏れ出るのを防止できる。
また、本実施形態では、フランジ部22aは、当該フランジ部22aの基端22a3から前記接着剤70の一端までの距離が、当該フランジ部22aの先端22a1から前記接着剤70の他端までの距離よりも短く形成されている(図7(a)参照)。フランジ部22aでは、基端22a3側が先端22a1側よりも撓み変形し難いので、外板10とフランジ部222aとの間での接着力を高めることができる。
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、フランジ部22aの基端側と先端側に、外板10の裏面側に突出するリブを形成してもよい。これにより、接着剤70の塗布厚を均一化することができ、安定した接着力を得ることができる。また、一対のリブを形成することで、接着剤70の幅を所定範囲に収めることができるので、フランジ部22aを小型にできる。なお、リブは、基端側のみに形成してもよく、先端側のみに形成してもよい。
また、前記した実施形態では、断熱扉2a,3aを例に挙げて説明したが、他の断熱扉2b,4a,5a,6aに適用してもよく、その場合の反応型ホットメルト接着剤の位置は、図1において一点鎖線で示す位置に設定できる。
また、前記した実施形態では、扉枠20,20Aを別ピースで構成した場合を例に挙げて説明したが、継ぎ目26が形成されないように扉枠20,20Aの4辺を一体で構成してもよい。
また、図10に示す内板60Aの内壁面に補強板を設ける場合、反応型ホットメルト接着剤を用いて内板60Aの内壁面に固定するようにしてもよい。これにより、内板60Aの真空成型時に固定用の孔を形成する必要が特になくなり、内板60Aの製造コストを下げることができる。
図18は、図9で述べた断熱扉3aとは別の実施形態として、断熱扉3bを正面側から見たときの斜視図である。図18に示すように、断熱扉3bも、ガラス製の外板10Bと、扉枠20Bと、を備えており、上側の枠部材23Bには、利用者が開閉する際に手を掛けるための手掛部23cが形成されている。また、本実施形態の断熱扉3bは、外板10Bの周囲四辺のうち一辺の端部表面を、枠部材(垂直枠部材)22Bによって覆う一方、残りの隣接する三辺の端部側面を、枠部材(水平枠部材)23Bと枠部材(垂直枠部材)21Bと枠部材(水平枠部材)24Bとに突き当てる構造となっている。なお、隣接する三辺の端部は、側面を各枠部材に突き当てる構造に限らず、底面を各枠部材に載置する形で露出させる構造であっても良い。
図19は、図18の扉枠20Bを示す正面図である。扉枠20Bは、枠部材23Bの右端と枠部材21Bの上端とが継ぎ目27にて接続され、枠部材24Bの右端と枠部材21Bの下端とが継ぎ目28にて接続される。
また、枠部材21Bは、側面21eから内側に向けて延びるフランジ部(つば部)21fが形成されている。フランジ部21fは、上端から下端まで所定の幅で形成されている。枠部材23Bは、手掛部23cの上端から下方にけて延びるフランジ部(つば部)23dが形成されている。このフランジ部23dは、左端から右端まで所定の幅で形成されている。枠部材24Bは、側面24bの下端から上方に向けて延びるフランジ部(つば部)24cが形成されている。このフランジ部24cは、左端から右端まで所定の幅で形成されている。
接着剤70Aは、正面視コ字状のフランジ部23d,21f,24cに沿ってコ字状に塗布される。このため、接着剤70Aは、継ぎ目27および28を跨ぐように塗布される。
ここで、フランジ部23d,21f,24cに抜き勾配を有している場合、下支えとなる平面部分を有する冶具とフランジ部23d,21f,24cとの間、外板10Bとフランジ部23d,21f,24cとの間、に空間が生じる。この状態で接着すると、冶具から取出した際に、フランジ部23d,21f,24cに復元力が働き、外板10Bの剥離の原因となってしまう。
しかし、本実施形態では、フランジ部23d,21f,24cをアンダーカットにより成型することで、勾配がなく、外板10Bに対して平行な平面が保たれている。したがって、接着剤70Aの塗布面は、外板10Bに対して平行な関係を維持でき、外板10Bを接着した後も、復元力が働かず、外板10Bの剥離が発生し難くなっている。なお、塗布面は外板10Bに対して完全に平行となっていなくても、傾斜角度が0.2度以下であれば復元力の影響は無視できる。
また、接着剤70Aは、コ字状に接続されたフランジ面の一端から他端まで一筆書きで塗布するのが望ましい。つまり、接着剤70Aを塗布し始める点(塗布開始点)を、フランジ部23dの左端とした場合は、接着剤70Aをの塗布を終える点(塗布終了点)を、フランジ部24cの左端とし、塗布開始点をフランジ部24cの左端とした場合は、塗布終了点をフランジ部23dの左端とする。なお、塗布開始点から塗布した後は、塗布終了点に到達するまで、フランジ面に沿って連続的に接着剤70Aを塗布する。このように、接着剤70Aを隙間なく塗布することで、外板10Bと扉枠20Bとの隙間から発泡断熱材50が漏出するのを防止できる。なお、フランジ部23d,24cの左端における塗布開始点・塗布終了点の近傍には、目印となるように段部を設けても良い。
このように、本実施形態では、外板10Bの周囲四辺のうち、外板10Bの端部表面を覆っていない(突き当てまたは露出する)連続する複数の辺を、接着剤70Aによって固定したので、外板10Bを扉枠20Bに確実に固定できる。突き当てまたは露出する辺は、外板10Bと扉枠20Bとの間に隙間が生じると意匠性を低下させるが、本実施形態によれば、意匠性も良好に保つことができる。また、繰り返し荷重のかかる手掛部23cが存在する辺については、接着剤70Aを用いて外板10Bを固定するため、強度の向上にもつながる。
なお、外板10Bの周囲四辺のすべてを突き当てまたは露出する構造とし、ロ字状に接続されたフランジ面に一筆書きで接着剤70Aを塗布する場合、塗布開始点と塗布終了点とが重なってしまう恐れがある。すると、塗布される接着剤70Aの厚さや幅の均一性が失われ、接着剤70Aが硬化するまでの時間に差が生じ、接着剤70Aの外部への漏れや外板10Bの傾きの原因となる。したがって、接着剤70Aをロ字状に塗布する場合には、塗布開始点と塗布終了点とは、重ねずに少し離しておくのが望ましい。
また、コ字状と比べてロ字状の方が塗布する経路が長くなるため、特に冷蔵室2の扉のように大きな扉の場合は、塗布開始点から塗布終了点までに長い時間がかかる。つまり、塗布終了点まで到達した時点で、塗布開始点における接着剤70Aが既に硬化し始めている場合がある。この場合、外板10Bを取り付ける際に、塗布開始点と塗布終了点とで、接着剤70Aの硬さに差が生じており、外板10Bの傾き等の原因となる。したがって、接着剤70Aをロ字状に塗布するのは、面積の大きな冷蔵室扉2の扉ではなく、面積の小さな製氷室3や切替室4等を対象とするのが良い。なお、本実施形態では、冷蔵室2の扉の場合、短辺は一端から他端まで塗布に2秒かかるのに対して、長辺は一端から他端まで塗布に8秒かかる。一方、製氷室3の扉の場合、長辺でも一端から他端まで3.5秒で塗布できる。
また、本実施形態では、接着剤70Aの塗布,外板10Bのプレス,枠部材22Bの嵌合作業を自動機により行う。そのため、一度自動機に投入すると作業者が目視にて確認しない限り、接着剤70Aの塗布がフランジ部23d,21f,24cに対して正確に行われているか確認することが困難である。したがって、本実施形態では、自動機の上部に識別用のカメラを設け、カメラにより塗布の有無の判断を行う。
また、フランジ部23d,21f,24cに、フランジ面の長手方向と垂直となる向きに切欠き溝を形成しても良い。これにより、加圧された接着剤70Aが切欠き溝から流出し、自動機による組み立て加工が終了した後でも、塗布の有無の判断が可能となる。
図20は、図18の扉枠20Bの内部を示す背面図である。図20に示すように、手掛部23cが設けられる範囲は、枠部材23Bの全幅のうち一部となっており、この手掛部23cが存在しない部分(図19の領域23e)は、冶具で押さえ付け難い面となる。すなわち、接着剤70Aが各フランジ面に対して均一に塗布された場合においても、加圧時に領域23eにかかる力が弱まり、その他の領域と比べて接着剤70Aの潰し幅が細くなる。このように幅が細くなった部分からは、発泡断熱材50が進入し易く、意匠面を汚してしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、加圧によりつぶれた状態における接着剤70Aの幅を、最細部においても10mm以上、望ましくは12mm以上としている。これにより、発泡断熱材50の意匠面への流出を防止できる。
また、フランジ部23d,21f,24cの幅は、加圧によりつぶれた状態における接着剤70Aの最太幅よりも3mm以上広くなるように確保する。これにより、接着剤70Aの内側からの流出を防止できる。
さらに、本実施形態では、図20のように、特に下側の枠部材24Bに複数の補強リブ24dが設けられている。この補強リブ24dは、外板10Bの載置面から側面にかけて延びており、外板10Bを枠部材24Bに押し付ける際に、枠部材24Bが変形するのが抑制され、結果として発泡断熱材50の漏れが抑制される。
図21は、図19のX−X線断面図である。アルミテープ75は、手掛部23c等による段差が生じている部分に、外板10Bの裏面から枠部材23Bにかけて貼り付けられている(図20参照)。これにより、上記領域23eのように、接着剤70Aのつぶし幅の細い部分が発生しても、扉枠20Bから意匠面へ発泡断熱材50が流出するのを防ぐことができる。
ここで、手掛部23cの部分は、凹状となっており、断熱材の厚さが薄くなっているため、他の箇所と比べて断熱性能が劣るため、貯蔵室内の冷気によって結露し易い。しかし、本実施形態のように、手掛部23cの内側にアルミテープ75を貼り付けることで、外板10Bの熱をアルミテープ75によって手掛部23に熱伝導させることで、高湿条件下においても結露し難くなっている。また、手掛部23cは開閉時に持ち手となることから繰り返し荷重が生じやすいため、アルミテープ75はその構造補強部材として、強度を向上させることができる。