JP2019137829A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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高士 本多
Takashi Honda
高士 本多
博之 金子
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博之 金子
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Katsuya Koganei
克也 小金井
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Abstract

【課題】本発明は、低粘度化しても、耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。【解決手段】(A)潤滑油基油、(B1)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル又はそのアミン塩、(C)ホウ酸エステル(D)硫黄系極圧剤、及び(E)有機摩擦調整剤を含む潤滑油組成物であって、該潤滑油組成物は100℃における動粘度1.5〜5mm2/sを有し、該潤滑油組成物の質量に対する、リン含有量が310〜1000ppmであり、ホウ素含有量が50〜400ppmであり、及び、硫黄含有量が250〜1000ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は潤滑油組成物、特に、自動車用として適用できる潤滑油組成物、より好適にはハイブリッド自動車、電気自動車又は燃料電池自動車に使用される潤滑油組成物、さらに好適にはこれらの自動車のギヤ油又は変速機油として使用できる潤滑油組成物に関する。
潤滑油組成物は自動車用及び機械用など多岐の用途に使用されている。近年、自動車用潤滑油組成物の低粘度化が、省燃費化の観点から求められている。しかし潤滑油組成物の低粘度化は油膜形成能に影響を及ぼす。低粘度化は、本来省燃費を実現させるためのものであるが、従来の潤滑油組成物として使用されたものをそのまま低粘度化しても、油膜形成能に劣るため、かえって摩擦が高くなることによって、省燃費を実現できなくなる場合がある。また、低粘度化によって、油膜形成能が低下すると、金属同士の直接的な接触が起こる結果、十分な潤滑がおこなわれなくなり、その結果として摩耗が激しくなるため、潤滑油組成物としての機能を十分に果たさなくなる。
自動車用潤滑油組成物は、近年ハイブリッド自動車、電気自動車又は燃料電池自動車に使用されることがあり、その場合は低粘度化による省燃費化だけでなく、耐摩耗性、耐焼付き性、高度なギヤ疲労特性、高度なベアリング疲労特性、低摩擦特性、及び高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)が求められる。従前に使用されている潤滑油組成物を単に低粘度化しても、これらの特性を確保することは極めて困難である。
特許文献1には、潤滑油基油と、重合性不飽和結合を有するエステル単量体とα-オレフィンとの共重合体と、構成元素としてリン、硫黄及びホウ素を含む性能添加剤とを含有する潤滑油組成物が記載されており、耐摩耗性、耐焼付き性、及び省燃費性に優れることが記載されている。特許文献2には、100℃における動粘度が1.0mm/s以上3.0mm/s以下である潤滑油基油と、構成元素としてリン、硫黄及びホウ素を含む性能添加剤と、ポリアルキルコハク酸イミド及びポリアルケニルコハク酸イミドからなる群より選ばれる少なくとも1種のコハク酸イミド化合物と、重合性不飽和結合を有するエステル単量体とα−オレフィンとの共重合体とを含有する潤滑油組成物が記載されており、該潤滑油組成物は消泡性、耐摩耗性、耐焼付き性、及び省燃費性に優れると記載されている。特許文献3は、基油として特定性状を有するワックス異性化基油及び/又はポリアルファオレフィンを用い、さらに特定の摩擦調整剤、硫黄系極圧剤、及び非ホウ酸変性分散剤を組合せることにより、低粘度化による高い省燃費性、ユニット部材耐久性、及び経済性を満足する潤滑油組成物を提供することを記載している。しかしこれらの文献はいずれも、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)については全く言及していない。
特許文献4には、100℃の動粘度が2〜2.5mm/sである鉱油に、特定構造の粘度指数向上剤を使用することによって、高い粘度指数を有する潤滑油組成物が開示されている。しかし、該特許文献4に記載の潤滑油組成物は100℃の動粘度4mm/s以上を有するものであり、また添加剤処方は一般的な添加剤が記載されているのみであり詳細な記載はない。
特開2016−190918号公報 特開2016−190919号公報 特開2017−138393号公報 特開2017−155193号公報
本発明は、上記事情に鑑み、低粘度化しても、耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。更には、低温粘度特性に優れる潤滑油組成物を提供する。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、潤滑油組成物中のリン、ホウ素及び硫黄の含有量を所定の範囲に特定し、及び、特定の炭素数を有するアルキル基含有リン系極圧剤及び有機摩擦調整剤とを必須に含有する潤滑油組成物が、低粘度化しても耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い体積抵抗率を有することを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)潤滑油基油、
(B1)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル又はそのアミン塩、
(C)ホウ酸エステル
(D)硫黄系極圧剤、及び
(E)有機摩擦調整剤
を含む潤滑油組成物であって、該潤滑油組成物は100℃における動粘度1.5〜5mm/sを有し、該潤滑油組成物の質量に対する、リン含有量が310〜1000ppmであり、ホウ素含有量が50〜400ppmであり、及び、硫黄含有量が250〜1000ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物を提供する。
本発明の好ましい態様は、下記(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分のうち少なくとも1種を含む、上記潤滑油組成物である。
(B2)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩、
(B3)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩、
及び、
(B4)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩。
さらに好ましい態様は、(B2)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩、及び(B3)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩を必須に含む、前記潤滑油組成物である。
さらに好ましくは、下記(1)〜(10)の少なくとも1の要件を満たす潤滑油組成物である。
(1)前記(A)潤滑油基油が100℃における動粘度1〜4.5mm/sを有する。
(2 )前記(C)ホウ酸エステルが、炭素数4〜18のアルキル基を有するホウ酸トリアルキルエステルである。
(3)前記(D)硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン、硫化油脂、及び硫化エステルから選ばれる少なくとも1種である。
(4)前記(D)硫黄系極圧剤が活性硫黄量0.5〜45質量%を有する。
(5)前記(E)有機摩擦調整剤が、エステル系摩擦調整剤、アミン系摩擦調整剤及びアミド系摩擦調整剤から選ばれる少なくとも1である。
(6)ハイブリッド自動車用である、潤滑油組成物。
(7)電気自動車用である、潤滑油組成物。
(8)燃料電池自動車用である、潤滑油組成物。
(9)変速機用である潤滑油組成物。
(10)ギヤ油用である潤滑油組成物。
本発明の潤滑油組成物は−40℃におけるブルックフィールド粘度(以下、BF粘度(−40℃)と表記することがある)6〜12Pa・sを有する事ができる。しかし、該潤滑油組成物を従来公知の市販油と混油すると該BF粘度(−40℃)が6Pa・s未満に低下するという問題が生じることがある。これは、市販油に含まれる粘度指数向上剤に寄るものと考えられる。本発明者らは当該問題について更に検討したところ、(G)鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はエステルと、ビニル化合物との共重合体をさらに配合することで、市販油との混油においてもBF粘度(−40℃)を6〜12Pa・sという好適な範囲に維持できることを見出した。
市販油との混油とは、特には、市販油を混油の1〜20%となる質量割合にて本発明の潤滑油組成物と混合させることを意味する。混油させる市販油は特に制限されるものでないが、例えば100℃の動粘度が10〜20mm/sのものがあげられる。
従って、本発明のより好ましい態様としては、上記潤滑油組成物であって、更に(G)有機不飽和酸又はそのエステルと、ビニル化合物とからなる重合体を含む潤滑油組成物である。
即ち、より好ましい態様としては、
(A)潤滑油基油、
(B1)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル又はそのアミン塩、
(C)ホウ酸エステル
(D)硫黄系極圧剤、
(E)有機摩擦調整剤、及び
(G)鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はエステルと、ビニル化合物との共重合体
を含む潤滑油組成物であって、該潤滑油組成物は100℃における動粘度1.5〜5mm/sを有し、該潤滑油組成物の質量に対する、リン含有量が310〜1000ppmであり、ホウ素含有量が50〜400ppmであり、及び、硫黄含有量が250〜1000ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物。
特には、上記(G)成分がフマル酸アルキルエステル・酢酸ビニル共重合体である前記潤滑油組成物である。
さらに特には、−40℃におけるブルックフィールド粘度が6〜12Pa・sである前記潤滑油組成物である。
さらに好ましい態様は、下記(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分のうち少なくとも1種を含む、上記潤滑油組成物である。
(B2)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩、
(B3)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩、
及び、
(B4)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩。
さらに好ましい態様は、(B2)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩、及び(B3)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩を必須に含む、前記潤滑油組成物である。
該潤滑油組成物は、さらに好ましくは上述した(1)〜(10)のうち1以上の特徴をさらに有する。
本発明の潤滑油組成物は、100℃における動粘度1.5〜5mm/sという低粘度条件下において、耐摩耗性及びベアリング特性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有する。従って、ハイブリッド自動車、電気自動車、及び燃料電池自動車用の変速機又はギヤ油として好適に利用される。
本発明の潤滑油組成物は100℃の動粘度(KV100)1.5〜5mm/sを有する。該KV100の下限値は、好ましくは1.7mm/s、より好ましくは2.0mm/sであり、上限値は好ましくは4.6mm/s、より好ましくは4.4mm/sである。上限値を超えると粘度が高くなりすぎて、省燃費性能に寄与しないし、下限値を下回ると摩耗特性が悪くなる可能性がある。
本発明の潤滑油組成物は−40℃におけるブルックフィールド粘度6〜12Pa・sを有する事ができる。当該粘度範囲とすることにより、低温における潤滑性を維持し、摩耗特性、ベアリング特性等が確保される。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油組成物中に占めるリン含有量が310〜1000ppmであり、ホウ素含有量が50〜400ppmであり、且つ、硫黄含有量が250〜1000ppmであることを特徴とする。潤滑油組成物中に含まれるリン、硫黄及びホウ素含有量を上記範囲に特定することにより、100℃の動粘度(KV100)1.5〜5mm/sという低粘度条件下においても、優れた耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性を有し、且つ、高い体積抵抗率を有する潤滑油組成物を提供できる。リン含有量は好ましくは320〜900ppmであり、より好ましくは350〜800ppmである。リン含有量が前記下限値未満では、潤滑油組成物は耐摩耗性及び耐焼付き性に劣る。また、上記上限値超えでは潤滑油組成物の体積抵抗率が低下するため好ましくない。ホウ素含有量は好ましくは100〜300ppmであり、さらに好ましくは120〜250ppmである。ホウ素含有量が前記下限値未満であると、ギヤ疲労特性が悪くなる。前記上限値超であると、体積抵抗率が低下するため好ましくない。硫黄含有量は好ましくは300〜800ppmであり、より好ましくは350〜700ppmである。硫黄含有量が上記下限値未満では、潤滑油組成物のギヤ疲労特性及びベアリング摩耗特性が悪くなる。また上記上限値超では体積抵抗率が低下するため好ましくない。
これらリン、硫黄及びホウ素の含有量は、潤滑油組成物を構成する各成分(即ちリン系極圧剤、ホウ酸エステル、及び硫黄系極圧剤、並びに任意の無灰分散剤)の配合量により調整される。以下、各成分について、詳細に説明する。
(A)潤滑油基油
本発明における潤滑油基油は特に限定されることはなく、潤滑油基油として従来公知のものが使用できる。潤滑油基油としては、鉱油系基油、合成系基油、及びこれらの混合基油が挙げられる。
鉱油系基油の製法は限定されるものではない。鉱油系基油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋または水素化脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油(高粘度指数鉱油系潤滑油基油)が好ましい。また、上記以外の鉱油系基油としては、例えば、潤滑油原料をフェノール、フルフラールなどの芳香族抽出溶剤を用いた溶剤精製により得られるラフィネート、シリカ−アルミナを担体とするコバルト、モリブデンなどの水素化処理触媒を用いた水素化処理により得られる水素化処理油などが挙げられる。例えば、100ニュートラル油、150ニュートラル油、500ニュートラル油などを挙げることができる。
合成系基油としては、例えば、メタン等の天然ガスからフィッシャー・トロプシュ合成で得られたワックス等の原料を水素化分解処理及び水素化異性化処理して得られる基油(いわゆるフィッシャー・トロプシュ由来基油)、ポリ−α−オレフィン基油、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリグリコールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、及び、シリコン油などを挙げることができる。なお、ポリ−α−オレフィン(PAO)基油は、特に制限されるものではないが、例えば1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー、イソブテンオリゴマー並びにこれらの水素化物を使用できる。
潤滑油基油は、上記の鉱油系基油、上記の合成系基油、又はそれらの組合せから選択される限り、1種単独でも良いし、2種以上の併用であってもよい。2種以上の潤滑油基油を併用する場合は、鉱油系基油同士、合成系基油同士、または鉱油系基油と合成系基油の組合せであってよく、その態様は限定されない。
潤滑油基油の動粘度は、本発明の要旨を損なわない限り制限されることはない。特には、上述した低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには、潤滑油基油全体が100℃における動粘度1〜4.5mm/sを有することが好ましく、さらに好ましくは1.1〜4.3mm/s、一層好ましくは1.2〜4.0mm/sを有するのがよい。潤滑油基油の100℃における動粘度が前記上限値超であると、潤滑油組成物の低粘度化を図ることが困難となり、省燃費性を達成することが困難となる可能性がある。また100℃における動粘度が前記下限値未満であると、省燃費性は達成できるが、摩耗特性に悪影響を及ぼすことがある。
(B)リン系極圧剤
さらに本発明の潤滑油組成物は、リン系極圧剤として(B1)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル又はそのアミン塩を必須として含有する。該(B1)成分を必須として含有することにより耐摩耗性等の部品保護性能をより向上できることを特徴とする。(B1)成分の配合量は潤滑油組成物全体の質量に対するリンの含有量の合計質量が上述した範囲を満たすように調整されればよい。(B1)成分の含有量は、潤滑油組成物全体の質量に対するリン含有量として、好ましくは80ppm〜350ppm、より好ましくは80ppm〜220ppm、さらに好ましくは130ppm〜190ppmであるのがよい。
(B1)成分は、炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル又はそのアミン塩である。該亜リン酸エステルは、例えば以下の構造で示される。
(RO)P(=O)(OH)2−bH (1)
(RO)―P (2)
上記式(1)及び(2)において、bは1又は2であり、R及びRは、炭素数4〜10のアルキル基である。
亜リン酸エステルとしては、特に限定されることはないが、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸ジブチルエステル、亜リン酸モノブチルエステル、亜リン酸トリペンチルエステル、亜リン酸ジペンチルエステル、亜リン酸モノペンチルエステル、亜リン酸トリヘキシルエステル、亜リン酸ジヘキシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステル、亜リン酸トリヘプチルエステル、亜リン酸ジヘプチルエステル、亜リン酸モノヘプチルエステル、亜リン酸トリオクチルエステル、亜リン酸ジオクチルエステル、及び、亜リン酸モノオクチルエステルが挙げられる。中でも、亜リン酸トリブチルエステル、亜リン酸トリペンチルエステル、亜リン酸トリヘキシルエステル、亜リン酸トリヘプチルエステル、及び亜リン酸トリオクチルエステルが好ましい。
上記(B1)成分は、炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステルのアミン塩であってもよい。該亜リン酸エステルのアミン塩としては、特に限定されることはないが、亜リン酸ジブチルエステルのアミン塩、亜リン酸モノブチルエステルのアミン塩、亜リン酸ジペンチルエステルのアミン塩、亜リン酸モノペンチルエステルのアミン塩、亜リン酸ジヘキシルエステルのアミン塩、亜リン酸モノヘキシルエステルのアミン塩、亜リン酸ジオクチルエステルのアミン塩、及び亜リン酸モノオクチルエステルのアミン塩が挙げられる。
本発明においては、さらに(B)成分として、下記の(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分のうち、少なくとも1種を含有することが好ましい。
(B2)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩、
(B3)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩、
(B4)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩。
中でも、より好ましくは、上記(B2)成分及び(B3)成分を上記(B1)成分と併せて必須に含むことが好ましい。
(B2)成分及び(B3)成分を必須に含有することによって、耐摩耗性、耐焼付き性、低摩擦特性等、本発明の所定の効果をより確実に与えることが可能となる。
(B2)成分は、炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩である。
酸性リン酸エステルは例えば(RO)P(=O)(OH)3−aで表され、aが1又は2である化合物の混合物である。前記式において、Rは炭素数11〜30のアルキル基である。Rは好ましくは炭素数11〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数11〜18のアルキル基である。
酸性リン酸エステルとして好ましくは、酸性リン酸ドデシルエステル、酸性リン酸テトラデシルエステル、酸性リン酸ヘキサデシルエステル、酸性リン酸オクタデシルエステル、酸性リン酸エイコシルエステルが用いられる。より好ましくは、酸性リン酸テトラデシルエステル、酸性リン酸ヘキサデシルエステル、及び酸性リン酸オクタデシルエステルであるのがよい。
上記(B2)成分は、炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステルのアミン塩であってもよい。該アミン塩として、好ましくは、酸性リン酸ドデシルエステルアミン塩、酸性リン酸テトラデシルエステルアミン塩、酸性リン酸ヘキサデシルエステルアミン塩、酸性リン酸オクタデシルエステルアミン塩、及び酸性リン酸エイコシルエステルアミン塩が用いられる。より好ましくは、酸性リン酸テトラデシルエステルアミン塩、酸性リン酸ヘキサデシルエステルアミン塩、及び酸性リン酸オクタデシルエステルアミン塩が用いられる。
(B3)成分は、炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩である。例えば、亜リン酸エステルとしては、下記一般式(1)又は(2)で表され、R及びRが、炭素数11〜30のアルキル基である化合物である。R及びRは、好ましくは炭素数11〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数11〜18のアルキル基である。
(RO)P(=O)(OH)2−bH (1)
(RO)―P (2)
上記式(1)及び(2)において、bは1又は2であり、R及びRは、炭素数11〜30のアルキル基である。
ホスホン酸エステルは、下記式で表される。
(R4O)(R5O)(R6)P(=O) (3)
式(3)において、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R4及びR5の少なくとも一方は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、R6は炭素数1〜30の一価炭化水素基である。
上記式(3)において、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であって、少なくとも一方が炭化水素基である。即ち、R4及びR5のうちいずれかは炭素数1〜30のアルキル基であり、好ましくは炭素数2〜20のアルキル基である。また、別の好ましい態様としては、R4及びR5が共に炭素数1〜30のアルキル基であり、より好ましくはR4及びR5が共に炭素数2〜20のアルキル基である。
上記式(3)においてR6は、炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数2〜20のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数4〜18のアルキル基であり、特には炭素数8又は18のアルキル基である。
該亜リン酸エステルとしては、特に限定されることはないが、亜リン酸トリドデシルエステル、亜リン酸ジドデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸トリテトラデシルエステル、亜リン酸ジテトラデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸トリヘキサデシルエステル、亜リン酸ジヘキサデシルエステル、亜リン酸モノヘキサデシルエステル、亜リン酸トリオクタデシルエステル、亜リン酸ジオクタデシルエステル、及び亜リン酸モノオクタデシルエステルが挙げられる。
上記(B3)成分として、炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステルのアミン塩を使用することができる。該亜リン酸エステルのアミン塩は、特に限定されることはないが、亜リン酸ジドデシルエステルのアミン塩、亜リン酸モノドデシルエステルのアミン塩、亜リン酸ジテトラデシルエステルのアミン塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルのアミン塩、亜リン酸ジヘキサデシルエステルのアミン塩、亜リン酸モノヘキサデシルエステルのアミン塩、亜リン酸ジオクタデシルエステルのアミン塩、及び亜リン酸モノオクタデシルエステルのアミン塩が挙げられる。
上記ホスホン酸エステルとしては、例えば、ブチルホスホン酸ジメチル、ブチルホスホン酸ジエチル、ブチルホスホン酸ジプロピル、ブチルホスホン酸ジブチル、ブチルホスホン酸ジペンチル、ブチルホスホン酸ジヘキシル、ブチルホスホン酸ジヘプチル、ブチルホスホン酸ジオクチル、ヘキシルホスホン酸ジメチル、ヘキシルホスホン酸ジエチル、ヘキシルホスホン酸ジプロピル、ヘキシルホスホン酸ジブチル、ヘキシルホスホン酸ジペンチル、ヘキシルホスホン酸ジヘキシル、ヘキシルホスホン酸ジヘプチル、ヘキシルホスホン酸ジオクチル、オクチルホスホン酸ジメチル、オクチルホスホン酸ジエチル、オクチルホスホン酸ジプロピル、オクチルホスホン酸ジブチル、オクチルホスホン酸ジペンチル、オクチルホスホン酸ジヘキシル、オクチルホスホン酸ジヘプチル、オクチルホスホン酸ジオクチル、デシルホスホン酸ジメチル、デシルホスホン酸ジエチル、デシルホスホン酸ジプロピル、デシルホスホン酸ジブチル、デシルホスホン酸ジヘキシル、デシルホスホン酸ジオクチル、デシルホスホン酸ジデシル、ドデシルホスホン酸ジメチル、ドデシルホスホン酸ジエチル、ドデシルホスホン酸ジプロピル、ドデシルホスホン酸ジブチル、ドデシルホスホン酸ジヘキシル、ドデシルホスホン酸ジオクチル、ドデシルホスホン酸ジデシル、ドデシルホスホン酸ジドデシル、テトラデシルホスホン酸ジメチル、テトラデシルホスホン酸ジエチル、テトラデシルホスホン酸ジプロピル、テトラデシルホスホン酸ジブチル、テトラデシルホスホン酸ジヘキシル、テトラデシルホスホン酸ジオクチル、テトラデシルホスホン酸ジデシル、テトラデシルホスホン酸ジドデシル、テトラデシルホスホン酸ジテトラデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジメチル、ヘキサデシルホスホン酸ジエチル、ヘキサデシルホスホン酸ジプロピル、ヘキサデシルホスホン酸ジブチル、ヘキサデシルホスホン酸ジヘキシル、ヘキサデシルホスホン酸ジオクチル、ヘキサデシルホスホン酸ジデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジドデシル、ヘキサデシルホスホン酸ジテトラデシル、オクタデシルホスホン酸ジメチル、オクタデシルホスホン酸ジエチル、オクタデシルホスホン酸ジプロピル、オクタデシルホスホン酸ジブチル、オクタデシルホスホン酸ジペンチル、オクタデシルホスホン酸ジヘキシル、オクタデシルホスホン酸ジヘプチル、オクタデシルホスホン酸ジオクチル、オクタデシルホスホン酸ジオクタデシルなどが挙げられる。
(B4)成分は、炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩である。酸性リン酸エステルは、例えば(RO)P(=O)(OH)3−aで表され(aが1又は2である化合物の混合物)、Rは炭素数4〜10のアルキル基であり、好ましくは炭素数4〜8のアルキル基である。
上記の(B2)、(B3)及び(B4)成分は、任意成分である。潤滑油組成物中に包含される添加量は、潤滑油組成物中に含まれるリンの量が上述した範囲を満たす限りにおいて限定されるものでない。好ましくは、(B2)成分の量は、潤滑油組成物全体の質量に対するリン含有量として好ましくは90ppm〜350ppm、より好ましくは100ppm〜240ppm、さらに好ましくは150ppm〜190ppmである。(B3)成分の量は、潤滑油組成物全体の質量に対するリン含有量として、好ましくは25ppm〜300ppm、より好ましくは30ppm〜170ppm、さらに好ましくは80ppm〜120ppmである。(B4)成分の量は、潤滑油組成物全体の質量に対するリン含有量として、好ましくは70ppm〜350ppm、より好ましくは100ppm〜240ppm、さらに好ましくは100ppm〜190ppmである。
特に、(B2)成分及び(B3)成分の双方を上記(B1)成分と併せて必須に含有する場合は、(B2)成分の含有量は、潤滑油組成物全体の質量に対するリン含有量として好ましくは90ppm〜350ppm、より好ましくは100ppm〜240ppm、さらに好ましくは150ppm〜190ppmであるのがよい。(B3)成分の含有量は、潤滑油組成物全体の質量に対するリン含有量として、好ましくは150ppm〜190ppm、より好ましくは25ppm〜300ppm、より好ましくは30ppm〜170ppmであるのがよい。この場合において、(B4)成分も併用してよい。ただし、(B1)〜(B4)成分の全てを含む態様において、(B4)成分の添加量が多すぎると、得られる潤滑油組成物の摩耗特性が悪化するおそれがあるため、摩耗防止能を損なわない範囲の量とすることが好ましい。
潤滑油組成物中に占める(B)リン系極圧剤の含有量のリン含有量は限定的ではないが、好ましくは200〜1000ppmであり、より好ましくは250〜900ppmであり、最も好ましくは280〜800ppmである。
(C)ホウ酸エステル
本発明の潤滑油組成物はホウ素供給源としてホウ酸エステルを必須に含有する。ホウ酸エステルの含有量は、潤滑油組成物全体の質量に対するホウ素の含有量が上記範囲を満たす量であればよい。特には、ホウ酸エステルを潤滑油組成物全体の質量に対してホウ素含有量として、50ppm〜300ppm、好ましくは100ppm〜200ppmであるのがよい。
ホウ酸エステルは下記一般式で表される。
B(OR) ・・・(4)
式(4)中において、Rは互いに独立に、炭素数1〜30の一価炭化水素基である。全てのRが同一の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基としては、例えば炭素数1〜30のアルキル基、又は炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは全てのRが同一のアルキル基又はアリール基であるのがよい。該ホウ酸エステルは、1種の単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
ホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリデシル、ホウ酸トリドデシル、ホウ酸トリテトラデシル、ホウ酸トリヘキサデシル、ホウ酸トリオクタデシル、ホウ酸トリフェニル、及びホウ酸トリオルソトリル等を挙げることができる。中でもホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリデシル、ホウ酸トリドデシル、ホウ酸トリテトラデシル、ホウ酸トリヘキサデシル、及びホウ酸トリオクタデシルのうち少なくとも1種以上からなる化合物を使用することが好ましい。
(D)硫黄系極圧剤
本発明の潤滑油組成物は硫黄供給源として硫黄系極圧剤を必須として含有する。硫黄系極圧剤の含有量は、限定されることはないが、たとえば、硫黄系極圧剤を潤滑油組成物全体の質量に対して、硫黄含有量として100〜500ppm、好ましくは200〜450ppmであるのがよい。(D)成分は公知の硫黄系極圧剤であればよく、例えば、チアジアゾール、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、及びポリサルファイドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、特には、硫化オレフィン、チアジアゾール、及び硫化油脂が好ましい。最も好ましくはチアジアゾールである。
硫化オレフィン及びポリサルファイドは例えば下記一般式(5)で表される。
−Sx1−(R−Sx2−)−R (5)
なお、後述するように、硫化オレフィンはオレフィン類を硫化して得られるものであり、ポリサルファイドはオレフィン類以外の炭化水素原料を硫化して得られる。
上記式(5)中、R及びRは互いに独立に、一価の炭化水素基であり、例えば炭素数2〜20の、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の脂肪族一価炭化水素基、又は炭素数2〜26の芳香族一価炭化水素基である。例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、及びヘキシルフェニル基などが挙げられる。
上記式(5)中、Rは、炭素数2〜20の、直鎖または分岐の、飽和または不飽和の脂肪族二価炭化水素基、又は、炭素数6〜26の芳香族二価炭化水素基である。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びフェニレン基などが挙げられる。
上記式(5)中、x1及びx2は互いに独立に、1以上の整数であり、好ましくは1〜8の整数である。該値より小さいと極圧性が小さくなり、大きすぎると熱酸化安定性が低下するおそれがある。極圧性及び熱酸化安定性を共に得るためには、x2が1〜6の整数であるのが好ましく、より好ましくは2〜4の整数であり、特に好ましくは2又は3である。
硫化オレフィンとしては、例えば、ポリイソブチレン及びテルペン類などのオレフィン類を、硫黄その他の硫化剤で硫化して得られるものが挙げられる。
ポリサルファイド化合物としては、例えば、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジ−tert−ブチルポリサルファイド、及びジ−tert−ベンジルポリサルファイドなどが挙げられる。
硫化油脂は、油脂と硫黄との反応生成物であり、油脂としてラード、牛脂、鯨油、パーム油、ヤシ油、ナタネ油などの動植物油脂を硫化して得られるものである。この反応生成物は、単一のものではなく、種々の物質の混合物であり、化学構造そのものは明確でない。
硫化エステルは、上記油脂と各種アルコールとの反応により得られる脂肪酸エステルを硫化することにより得られるものである。硫化油脂と同様、化学構造そのものは明確でない。
チアジアゾールは含窒素硫黄複素環化合物であり特に構造は限定されない。含窒素複素環系化合物は高吸着性を有し、少量でも高い耐焼付き性向上効果を得られるため好ましい。例えば、下記一般式(6)で示される1,3,4−チアジアゾール化合物、下記一般式(7)で示される1,2,4−チアジアゾール化合物、及び一般式(8)で示される1,4,5−チアジアゾール化合物が挙げられる。

上記式(6)〜(8)中、R〜Rは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、a、b、c、d、e及びfはそれぞれ0〜8の整数である。
炭素数1〜30の一価炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、及びアリールアルキル基を挙げることができる。
該チアジアゾールとしては、例えば、2−アミノ−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメチル−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジエチル−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール及びこれらの混合物などが挙げられる。中でも2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールが好ましい。
上記硫黄系極圧剤の活性硫黄量は、特に限定されることはないが、活性硫黄を該極圧剤の質量に対して45質量%以下で有すること、好ましくは30質量%以下で有すること、より好ましくは15質量%以下で有することを特徴とする。活性硫黄量が上記上限値超であると、金属腐食を起こすだけでなく、摩耗の発生を抑制することができなくなる。なお、活性硫黄量の下限も特に限定されることはないが、極圧性確保のためには、極圧剤の質量に対して0.5質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以上であり、一層好ましくは2質量%以上であるのがよい。
ここで、活性硫黄量とはASTM D1662に規定される方法により測定されるものである。ASTM D1662に基づく活性硫黄量は、より詳細には以下の手順により測定することができる。
1.200ml用のビーカーに硫黄系添加剤(活性硫黄系極圧剤)50gと銅粉5gを入れ、スターラで攪拌しながら温度を150℃まで上げる。
2.150℃に達したら、更に銅粉を5g加え、30分間攪拌する。
3.攪拌終了後、ASTM D130準拠の銅板をビーカーへ入れて浸漬させる。このとき、銅板に変色が見られたら、さらに銅粉を5g加えて30分間攪拌する(この操作を変色が認められなくなるまで続ける)。
4.銅板変色が認められなくなったら、ろ過により硫黄系添加剤中の銅粉を除去し、添加剤に含まれる硫黄量を測定する。
活性硫黄量は以下のように算出される。
活性硫黄量(質量%)=銅粉と反応前の硫黄量(質量%)−銅粉と反応後の硫黄量(質量%)
(E)有機摩擦調整剤
本発明の潤滑油組成物は、有機摩擦調整剤を必須に含有する。有機摩擦調整剤とは、金属を有しない摩擦調整剤のことを意味する。例えば、アミン系摩擦調整剤、アミド系摩擦調整剤、エステル系摩擦調整剤、及びエーテル系摩擦調整剤など、有機化合物により構成されるものである。特に好ましくはエステル系摩擦調整剤であり、リン捕捉剤として好適に機能する。有機摩擦調整剤を含まないと、優れた耐摩耗性及び耐焼付き性を確保することが困難となる。有機摩擦調整剤の潤滑油組成物中の含有量は好ましくは0.1〜2質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜1質量%である。有機摩擦調整剤は、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
アミン系摩擦調整剤としては、脂肪族アミン化合物が好ましい。該脂肪族アミン化合物としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルアミン、炭素数2〜30のアルケニル基を有するアルケニルアミン、炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン、炭素数1〜30のアルキル基を有するポリアミン、及び脂環式アミンを挙げることができる。
炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルアミンにおいて、アルキル基は直鎖であってもよいし、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)、ドコシルアミン(ベヘニルアミン)、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、及びプロピルブチルアミンを挙げることができる。
炭素数2〜30のアルケニル基を有するアルケニルアミンにおいて、アルケニル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素数は、好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。例えば、エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミンが挙げられる。
炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミンにおいて、アルキレン基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミンが挙げられる。
炭素数1〜30のアルキル基を有するポリアミンにおいてアルキル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよい。例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及び、ペンタエチレンヘキサミンが挙げられる。
脂環式アミンとしては、シクロヘキシルアミン等を挙げることができる。
アミド系摩擦調整剤としては、限定されることはないが、炭素数1〜30のアルキル基を有する飽和脂肪酸アミド、炭素数2〜30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸アミドを使用することが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、混合して使用することもできる。
炭素数1〜30のアルキル基を有する飽和脂肪酸アミドとしては、エタン酸アミド、プロパン酸アミド、ブタン酸アミド、オクタン酸アミド、デカン酸アミド、ドデカン酸アミド、ヘキサデカン酸アミド、オクタデカン酸アミド、ドコサン酸アミドを挙げることができる。炭素数1〜30のアルキル基の炭素数として好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。
炭素数2〜30のアルケニル基を有する不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドを挙げることができる。炭素数2〜30のアルケニル基の炭素数として好ましくは炭素数4〜28であり、より好ましくは炭素数6〜25である。
エステル系摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル系摩擦調整剤が好ましい。脂肪酸としては、炭素数1〜30のアルキル基又は炭素数2〜30のアルケニル基を有する脂肪酸が好ましい。アルケニル基は、直鎖であっても分岐を有していてもよいが、直鎖が好ましい。また、該脂肪酸エステルを調製するにあたり脂肪酸と反応させるアルコールは、1価アルコールでもよいし、多価アルコールでも良いが、多価アルコールであることが好ましい。例えば、2〜10価の多価アルコールであり、より詳細には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトールおよびこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、およびこれらの混合物等が挙げられる。
上記多価アルコールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)およびこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコールおよびこれらの混合物等が好ましい。さらに、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、およびこれらの混合物等がより好ましい。これらの中でもグリセリンが特に好ましい。
エステル系摩擦調整剤として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸から選択される脂肪酸もしくはその混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンから選択されるアルコールもしくはその混合物を反応させて得られるエステルを挙げることができる。エステルの構造としては、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよく、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のまま残存する部分エステルでもよい。中でも、炭素数16〜20の脂肪酸とグリセリンの部分エステルが好ましい。
エステル系摩擦調整剤として、より好ましくは、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、エチレングリコールモノオレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノラウレート等を挙げることができる。中でも、グリセリンモノオレート、グリセリンモノステアレート、及びグリセリンモノラウレートが特に好ましい。
更には、エーテル系摩擦調整剤としては分子内に水酸基を2つ以上有するエーテル化合物が挙げられ、好ましくは(ポリ)グリセリンエーテル化合物である。例えば下記式(5)にて表される。
−O−(CH−CH(OH)−CH−O)−H (5)

上記式(5)において、Rは炭素数1〜30の一価炭化水素基であり、例えば炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、及び炭素数7〜30のアラルキル基が挙げられる。該アルキル基及びアルケニル基は、直鎖、分岐、及び環状のいずれであってもよい。pは1〜10の整数である。特に好ましくはRは、(ポリ)グリセリンエーテル化合物の性能及び入手の容易さなどの観点から、炭素数8〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましい。
炭素数1〜30、好ましくは炭素数8〜20のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、16−メチルヘプタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、及びシクロオクチル等の基が挙げられる。
炭素数3〜30、好ましくは炭素数8〜20のアルケニル基としては、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、メチルシクロペンテニル基、及びメチルシクロヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、及びノニルフェニル基等が挙げられる。
炭素数7〜30のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、メチルベンジル基、及びメチルフェネチル基等が挙げられる。
上記(ポリ)グリセリンエーテル化合物としては、例えば、グリセリンモノドデシルエーテル、グリセリンモノテトラデシルエーテル、グリセリンモノヘキサデシルエーテル(「キミルアルコール」と同じ。)、グリセリンモノオクタデシルエーテル(「バチルアルコール」と同じ。)、グリセリンモノオレイルエーテル(「セラキルアルコール」と同じ。)、ジグリセリンモノドデシルエーテル、ジグリセリンモノテトラデシルエーテル、ジグリセリンモノヘキサデシルエーテル、ジグリセリンモノオクタデシルエーテル、ジグリセリンモノオレイルエーテル、トリグリセリンモノドデシルエーテル、トリグリセリンモノテトラデシルエーテル、トリグリセリンモノヘキサデシルエーテル、トリグリセリンモノオクタデシルエーテル、及びトリグリセリンモノオレイルエーテルが挙げられる。
(F)無灰分散剤
本発明の潤滑油組成物はさらに、無灰分散剤を含むことができる。無灰分散剤は、公知のコハク酸イミド(アルキルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸イミド)であればよい。例えば、炭素数40〜400の、直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはアルケニルコハク酸イミドの変性品等が挙げられる。
コハク酸イミドとしては、ポリアルキレンコハク酸イミドが好ましく、さらにポリイソブチレンコハク酸イミドであることが好ましい。また、コハク酸イミド化合物は、モノイミド化合物であってもビスイミド化合物であってもよいが、ビスイミド化合物であることが好ましい。コハク酸イミド化合物中に含まれる窒素含有量は、限定されることはないが、0.1〜7質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、0.7〜4質量%であることがさらに好ましい。
上記無灰分散剤としては、ホウ素化コハク酸イミド及び硫黄化コハク酸イミド等の変性コハク酸イミド又は未変性コハク酸イミドのいずれであってもよいが、変性コハク酸イミドを使用することが好ましい。コハク酸イミドは1種単独でも2種以上の併用であってもよい。ホウ素化コハク酸イミド及び硫黄化コハク酸イミドが好ましく、最も好ましくは硫黄化コハク酸イミドである。該ホウ素化コハク酸イミドはホウ素供給源となり、硫黄化コハク酸イミドは硫黄供給源となる。従って、硫黄化コハク酸イミド及びホウ素化コハク酸イミドの含有量は、潤滑油組成物中に含まれる硫黄及びホウ素の含有量が上述した範囲をみたすように調整されればよい。
ホウ素化コハク酸イミドの製造方法としては、特公昭42−8013号公報及び同42−8014号公報、特開昭51−52381号公報、及び特開昭51−130408号公報等に開示されている方法等が挙げられる。具体的には例えば、アルコール類やヘキサン、キシレン等の有機溶媒、軽質潤滑油基油等にポリアミンとポリアルケニルコハク酸(無水物)にホウ酸、ホウ酸エステル、又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、適当な条件で加熱処理することにより得ることができる。この様にして得られるホウ素化コハク酸イミドに含まれるホウ素含有量は通常0.1〜4質量%とすることができる。特に、アルケニルコハク酸イミド化合物のホウ素変性化合物(ホウ素化コハク酸イミド)は耐熱性、酸化防止性及び摩耗防止性に優れるため好ましい。
ホウ素化無灰分散剤中に含まれるホウ素含有量は特に制限はない。通常無灰分散剤の質量に対して0.1〜3質量%である。本発明の1つの態様としては、無灰分散剤中のホウ素含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上であり、また好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下であるのがよい。ホウ素化無灰分散剤として好ましくはホウ素化コハク酸イミドであり、特にはホウ素化ビスコハク酸イミドが好ましい。ホウ素化無灰分散剤を使用する場合、そのホウ素含有量は、組成物全体の質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上であるのがよく、また0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0.05質量%以下であるのがよい。
硫黄化コハク酸イミドは、硫黄含有化合物と、コハク酸イミド化合物を反応させて得ることができる。硫黄含有化合物としては、チアジアゾール化合物を挙げることができる。チアジアゾール化合物としては、2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,6−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、3,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,4−チアジアゾール、4,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、4,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,2,3−チアジアゾール、および4,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,2,3−チアジアゾールを挙げることができる。中でも2,5−ジアルキルメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに属する2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(n−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、及び2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールが好ましい。該硫黄化コハク酸イミドは、特開50−070407号に記載されている方法により得ることができる。より詳細には、チアジアゾール化合物とコハク酸イミド化合物とを80℃以上、好ましくは100℃以上250℃以下に加熱することによって製造することができる。
(G)鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はエステルと、ビニル化合物との共重合体
本発明の潤滑油組成物は、好ましくは、鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はエステルと、ビニル化合物との共重合体を更に含む。該成分は流動点降下剤として機能するものである。該成分を含むことにより−40℃におけるブルックフィールド粘度を6〜12Pa・sの範囲に制御することができる。特には、市販油と混油させた場合においても−40℃におけるブルックフィールド粘度の低下を抑制することができる。
鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はエステルとしては、フマル酸、マレイン酸、無水フマル酸、無水マレイン酸、フマル酸アルキルエステル、及びマレイン酸アルキルエステルが挙げられ、フマル酸アルキルエステル、及びマレイン酸アルキルエステルが特に好ましい。ビニル化合物としては、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン、及び酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルが挙げられ、カルボン酸ビニルが好ましい。カルボン酸ビニルはR−COO−CH=CHで示される化合物であるが、本発明においてRは炭素数1〜18の短鎖アルキル基が好ましく、特に好ましくはRがメチル基である酢酸ビニルである。
共重合体の重量平均分子量は、限定されることはないが、5,000〜300,000が好ましい。該(G)成分はエステル系共重合体であることが好ましく、これにより、市販油と混油させた場合の低温粘度の低下を好適に抑制することができる。エステル系共重合体は例えば下記式で表される。
(n及びmは、重量平均分子量が5,000〜300,000となる数であり、Rは互いに独立に炭素数1〜24のアルキル基であり、Rは炭素数1〜18のアルキル基であり、好ましくはメチル基である)
中でもフマル酸アルキルエステルと酢酸ビニルとの共重合体が好ましく、フマル酸アルキルエステル由来の繰返し単位(n)と酢酸ビニル由来の繰返し単位(m)の比率が、10:90〜90:10(質量比)が好ましく、20:80〜80:20(質量比)がより好ましい。
(G)成分の添加量は、特に限定されないが、潤滑油組成物基準で0.02〜3.0質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%が好ましい。
また、本発明の潤滑油組成物は上記重合体以外の流動点降下剤を更に含有してもよい。該併用される流動点降下剤は従来公知のものであればよく、特に制限されるものでない。
(H)その他の添加剤
本発明の潤滑油組成物は、上記(A)〜(G)成分以外のその他の添加剤として、粘度指数向上剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤、金属摩擦調整剤等を含有することができる。
粘度指数向上剤としては、例えば、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体又は共重合体、若しくはその水添物などの、いわゆる非分散型粘度指数向上剤、又は、さらに窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等が例示できる)、若しくはその水素化物、ポリイソブチレン若しくはその水添物、スチレン−ジエン共重合体の水素化物、及びポリアルキルスチレン等が挙げられる。
粘度指数向上剤の分子量は、潤滑油組成物のせん断安定性を考慮して選定することが必要である。例えば、粘度指数向上剤の重量平均分子量は、分散型及び非分散型ポリメタクリレートの場合には、通常5,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜900,000のものが、ポリイソブチレン又はその水素化物の場合は通常800〜5,000、好ましくは1,000〜4,000のものが、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物の場合は通常800〜500,000、好ましくは3,000〜200,000のものが用いられる。
粘度指数向上剤の中でもエチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物を用いた場合には、特にせん断安定性に優れた潤滑油組成物を得ることができる。上記粘度指数向上剤の中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物を任意の量で含有させることができる。
酸化防止剤は潤滑油に一般的に使用されているものであればよく、例えば、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤等の無灰系酸化防止剤及び有機金属系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の添加により、潤滑油組成物の酸化防止性をより高められ、本発明の組成物の鉛含有金属の腐食又は腐食摩耗防止性能を高めるだけでなく、塩基価維持性をより高めることができる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度1000〜10万mm/sを有するシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレート及びo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
金属摩擦調整剤としては、公知のモリブデン摩擦調整剤が使用できる。例えば、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)及びモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、モリブデン化合物と硫黄含有有機化合物又はその他の有機化合物との錯体等、或いは、硫化モリブデン、硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体等を挙げることができる。さらに本発明における摩擦調整剤として、米国特許第5,906,968号に記載されている三核モリブデン化合物を用いることもできる。
本発明の潤滑油組成物は、100℃における動粘度が1〜4.5mm/sであり、2〜4.5mm/sであることが好ましい。本発明の潤滑油組成物は低粘度を有するにも関わらず、耐摩耗性、ベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、自動車用潤滑油組成物として好適に使用することができる。特に、高い体積抵抗率を有し、電気絶縁性に優れ、更には低温粘度特性にも優れるため、自動車の中でもハイブリッド自動車、電気自動車、及び燃料電池自動車のために好適に使用することができ、とりわけ変速機用、ギヤ用に好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例の潤滑油組成物を構成する各成分は以下の通りである。
(A)潤滑油基油
(A1)高度精製鉱油系基油(鉱油2)(100℃の動粘度=2.3mm/s、粘度指数=100、%Cp=70、%Cn=30、%Ca=0)
(A2)GTL基油(GTL4)(100℃の動粘度=4.0mm/s、粘度指数=120、%Cp=99、%Cn=1、%Ca=0)
(A3)ポリα−オレフィン(PAO)基油(PAO4)(100℃の動粘度=4.0mm/s、粘度指=130、%Cp=100、%Cn=0、%Ca=0)
(比較用)(A4)高度精製鉱油系基油(鉱油8)(100℃の動粘度=7.6mm/s、粘度指数=128、%Cp=76、%Cn=24、%Ca=0)
(B)リン系極圧剤
(B2−1)C18アルキル酸性リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)3−a (RがC18アルキル基、a=1又は2の混合物)
(B2−2)C12アルキル酸性リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)3−a (RがC12アルキル基、a=1又は2の混合物)
(B1−1)C4アルキル亜リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)2−bH (RがC4アルキル基、b=1)
(B1−2)C8アルキル亜リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)2−bH (RがC8アルキル基、b=1)
(B3−1)C12アルキル亜リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)2−bH (RがC12アルキル基、b=1)
(B3−2)C18アルキル亜リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)2−bH (RがC18アルキル基、b=1)
(B3−3)C8アルキルホスホン酸エステル
(R4O)(R5O)(R6)P(=O) (R、R、RがC8アルキル基)
(B3−4)C18アルキルホスホン酸エステル
(R4O)(R5O)(R6)P(=O) (R、Rは水素原子、RはC18アルキル基)
(B4−1)C4アルキル酸性リン酸エステル
(RO)P(=O)(OH)3−a (RがC4アルキル基、a=1又は2の混合物)
(C)ホウ酸エステル
(C1)トリブチルホウ酸エステル
(C2)トリヘキシルホウ酸エステル
(C3)トリオクチルホウ酸エステル
(D)硫黄系極圧剤
(D1)硫化オレフィン(活性硫黄量;11質量%)
(D2)硫化エステル (活性硫黄量;1.4質量%)
(D3)硫化油脂 (活性硫黄量;4.1質量%)
(E)有機摩擦調整剤
(E1)グリセリンモノオレート
(E2)オレイルアミン
(E3)オレイン酸アミド
(E4)N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン
(F)無灰分散剤
(F1)硫黄化コハク酸イミド(2,5−ビス(n−ヘキシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールとポリイソブチレンコハク酸ビスイミドとの反応物、ポリイソブチレン基の分子量2000、窒素含有量2.0質量%、硫黄含有量1.0質量%)
(F2)ホウ素化コハク酸イミド(ポリイソブチレンコハク酸ビスイミドのホウ素化物、ポリイソブチレン基の分子量2000、窒素含有量2.0質量%、ホウ素含有量0.7質量%)
(G)流動点降下剤
フマル酸アルキルエステル・酢酸ビニル共重合体(フマル酸アルキルエステル:酢酸ビニル=20:80、重量平均分子量20,000)[フマル酸アルキルエステルは、フマル酸ジメチルを主成分とする混合物]
(H)その他の添加剤(酸化防止剤、金属不活性化剤、消泡剤、粘度指数向上剤)
[実施例1〜16及び比較例1〜10]
上記した各成分を表1及び2に記載の組成及び量で混合して潤滑油組成物を調製した。表に記載のリン系極圧剤の量は潤滑油組成物全体の質量部に対するリンの質量ppmである。ホウ酸エステルの量は潤滑油組成物全体の質量部に対するホウ素の質量ppmである。硫黄系極圧剤の量は潤滑油組成物全体の質量部に対する硫黄の質量ppmである。硫黄化コハク酸イミド及びホウ素化コハク酸イミドの量は夫々、潤滑油組成物全体の質量部に対する硫黄又はホウ素の質量ppmである。有機摩擦調整剤及びその他の添加剤の量は組成物全体の質量に対する質量%である。基油の量は潤滑油組成物全体を100質量%とした残部である。組成物の100℃の動粘度(ASTM D445に準拠して100℃で測定)は、KV100(mm2/s)として表した。
これらの潤滑油組成物について下記の試験を行った。結果を表3及び4に示す。
(1)耐摩耗性
ASTM D4172に基づき、40kgf,80℃,1800rpm,30分で測定した。
(2)耐焼付き性
ASTM D2783に基づき、室温、1760rpmで焼き付きに至るまでの荷重(非焼き付き荷重)を測定した。
(3)ベアリング摩耗
スラストニードルベアリング試験機を用いて、1.6GPa、120℃、3000rpmで測定を行い、損傷が発生するまでのサイクルを測定した。
(4)金属間摩擦係数(80℃)
PCS社製MTM試験機を用いて、1.0GPa,80℃,すべり率50%で測定した。
(5)体積抵抗率
JIS C2101をもとに80℃で測定した。
なお、各物性値については、耐摩耗性は0.60mm以下、耐焼付き性は617N以上、ベアリング摩耗は90Mサイクル以上、金属間摩擦係数(80℃)は0.080以上0.010以下、体積抵抗率は4.5×10Ω・cm以上を良好なものと判断した。
表3の実施例1〜16に示す通り、本発明の潤滑油組成物は、100℃における動粘度1.5〜5mm/sという低粘度を有し、且つ、耐摩耗性が0.60mm以下であり、耐焼付き性は617N以上であり、ベアリング摩耗は90Mサイクル以上であり、金属間摩擦係数(80℃)は0.080以上0.010以下であり、及び体積抵抗率は4.5×10Ω・cm以上であり、非常に良好な物性を有する。また、これら実施例の潤滑油組成物は、すべてギヤ疲労においても良好な結果を示した。
一方、表4に示す通り、比較例1の潤滑油組成物は100℃における動粘度が高すぎるため省燃費性に劣る。比較例2ないし10の潤滑油組成物は、耐摩耗性、耐焼付き性、ベアリング摩耗、金属間摩擦係数(80℃)及び体積抵抗率のうち少なくとも一の物性値が劣り、上記全ての物性が良好な潤滑油組成物は得られない。
[実施例17〜32、参考例1〜2及び比較例11〜21]
上記した各成分を表5〜表7に記載の組成及び量で混合して潤滑油組成物を調製した。表に記載のリン系極圧剤の量は潤滑油組成物全体の質量部に対するリンの質量ppmである。ホウ酸エステルの量は潤滑油組成物全体の質量部に対するホウ素の質量ppmである。硫黄系極圧剤の量は潤滑油組成物全体の質量部に対する硫黄の質量ppmである。硫黄化コハク酸イミド及びホウ素化コハク酸イミドの量は夫々、潤滑油組成物全体の質量部に対する硫黄又はホウ素の質量ppmである。有機摩擦調整剤及びその他の添加剤の量は組成物全体の質量に対する質量%である。(G)フマル酸アルキルエステル・酢酸ビニル共重合体の量は潤滑油組成物全体の質量部に対する質量%である。基油の量は潤滑油組成物全体を100質量%とした残部である。組成物の100℃の動粘度(ASTM D445に準拠して100℃で測定)は、KV100(mm/s)として表した。
これらの潤滑油組成物について下記の試験を行った。結果を表8〜11に示す。
(1)耐摩耗性
ASTM D4172に基づき、40kgf,80℃,1800rpm,30分で測定した。
(2)耐焼付き性
ASTM D2783に基づき、室温、1760rpmで焼き付きに至るまでの荷重(非焼き付き荷重)を測定した。
(3)ベアリング摩耗
スラストニードルベアリング試験機を用いて、1.6GPa、120℃、3000rpmで測定を行い、損傷が発生するまでのサイクルを測定した。
(4)金属間摩擦係数(80℃)
PCS社製MTM試験機を用いて、1.0GPa,80℃,すべり率50%で測定した。
(5)体積抵抗率
JIS C2101をもとに80℃で測定した。
なお、各物性値については、耐摩耗性は0.60mm以下、耐焼付き性は617N以上、ベアリング摩耗は90Mサイクル以上、金属間摩擦係数(80℃)は0.080以上0.010以下、体積抵抗率は4.5×10Ω・cm以上を良好なものと判断した。
(7)BF粘度 ASTM D 2983をもとに−40℃で測定した。
(8)混油後のBF粘度 100℃動粘度が11mm/sの市販油を10質量%混ぜた混油について、ASTM D 2983に準拠するBF粘度を−40℃で測定した。
上記参考例1に示すように本発明の潤滑油組成物は市販油と混合すると−40℃におけるブルックフィールド粘度が低下することがあるが、上記実施例17〜32の潤滑油組成物に示す通り、(G)成分を配合することにより市販油と混油しても−40℃におけるブルックフィールド粘度(以下、BF粘度(−40℃)と表記することがある)6〜12Pa・sに維持することができる。従って、(G)成分を配合することにより、低粘度化しても、耐摩耗性、耐焼付き性、ギヤ疲労耐性、及びベアリング疲労耐性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有するという本願発明の課題を解決しつつ、更には、低温粘度特性に優れる潤滑油組成物を提供することができる。
本発明の潤滑油組成物は、100℃における動粘度1.5〜5mm/sという低粘度条件下において、耐摩耗性及びベアリング特性等の部品保護性能に優れ、且つ、高い電気絶縁性(高い体積抵抗率)を有する。従って、ハイブリッド自動車、電気自動車、及び燃料電池自動車用の変速機又はギヤ油として好適に利用される。

Claims (16)

  1. (A)潤滑油基油、
    (B1)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル又はそのアミン塩、
    (C)ホウ酸エステル
    (D)硫黄系極圧剤、及び
    (E)有機摩擦調整剤
    を含む潤滑油組成物であって、該潤滑油組成物は100℃における動粘度1.5〜5mm/sを有し、該潤滑油組成物の質量に対する、リン含有量が310〜1000ppmであり、ホウ素含有量が50〜400ppmであり、及び、硫黄含有量が250〜1000ppmであることを特徴とする、前記潤滑油組成物。
  2. さらに、下記(B2)成分、(B3)成分及び(B4)成分のうち少なくとも1種を含む、請求項1記載の潤滑油組成物
    (B2)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩、
    (B3)炭素数11〜30のアルキル基を少なくとも1つ有する亜リン酸エステル若しくはそのアミン塩、又はホスホン酸エステル若しくはそのアミン塩、
    及び、
    (B4)炭素数4〜10のアルキル基を少なくとも1つ有する酸性リン酸エステル又はそのアミン塩。
  3. 上記(B2)成分及び上記(B3)成分を必須に含む、請求項2記載の潤滑油組成物。
  4. 更に(G)鎖状不飽和(ジ)カルボン酸又はその無水物又はエステルと、ビニル化合物との共重合体を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  5. (G)成分が、フマル酸アルキルエステル・酢酸ビニル共重合体である、請求項4記載の潤滑油組成物。
  6. −40℃におけるブルックフィールド粘度6〜12Pa・sを有する、請求項4又は5記載の潤滑油組成物。
  7. 前記(A)潤滑油基油が100℃における動粘度1〜4.5mm/sを有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  8. 前記(C)ホウ酸エステルが、炭素数4〜18のアルキル基を有するホウ酸トリアルキルエステルである、請求項1〜7のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  9. 前記(D)硫黄系極圧剤が、硫化オレフィン、硫化油脂、及び硫化エステルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  10. 前記(D)硫黄系極圧剤が活性硫黄量0.5〜45質量%を有する、請求項1〜9のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  11. 前記(E)有機摩擦調整剤が、エステル系摩擦調整剤、アミン系摩擦調整剤及びアミド系摩擦調整剤から選ばれる少なくとも1である、請求項1〜10のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  12. ハイブリッド自動車用である、請求項1〜11のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  13. 電気自動車用である、請求項1〜12のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  14. 燃料電池自動車用である、請求項1〜13のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  15. 変速機用である、請求項1〜14のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
  16. ギヤ油用である、請求項1〜15のいずれか1項記載の潤滑油組成物。
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